JPS6315531Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、エンジンのオイルパンに関し、特
に、オイルパンに防振用の弾性部材を取り付ける
構造の改良に関するものである。

（従来技術） 一般に、エンジンのオイルパンはエンジン重量
の低減を図る目的で比較的薄肉の板材によつて形
成されており、そのため、このオイルパンを伝わ
つてエンジンの爆発騒音が外部に漏れ出てエンジ
ンの静粛性を阻害するという問題がある。

そこで、従来、例えば実開昭52−146651号公報
等に開示されているように、エンジンのオイルパ
ンに多数の防音用の切欠孔を形成し、この各切欠
孔を防音蓋としての弾性体で密閉することによ
り、オイルパンがエンジンの爆発振動に応じて振
動するのを各切欠孔の弾性体により抑制してエン
ジン騒音の低減を図るようにしたオイルパンが提
案されている。

ところで、上記のものにおいて、オイルパンの
各切欠孔内に弾性体を気密嵌合して組み付ける場
合、弾性体の組付性を考慮して切欠孔に対する弾
性体の寸法を比較的小さく設定したときには、各
切欠孔と弾性板との間のシール性が低下してオイ
ル漏れを招く虞れがある。一方、逆に、シール性
を確保するために弾性体の寸法を比較的大に設定
すると、弾性体を切欠孔に簡易に組み付けること
が困難になつて組付性が低下するという背反した
問題が生じる。この問題は、特に、上記切欠孔が
矩形状のものであるときには一層顕著になる。

（考案の目的） 本考案の目的は、上記したオイルパンの切欠孔
を弾性体で気密閉塞する場合に、両者間のシール
性を良好に確保すると同時に組付性をも向上させ
得るようにすることにある。

（考案の構成） 上記目的の達成のために、本考案の構成は、オ
イルパンに形成した切欠孔を、オイルパンの内外
側に配置した少なくとも２枚の弾性板によつて切
欠孔の開口縁部を挾むように閉塞するとともに、
上記弾性板同士を切欠孔内において締結部材によ
つて着脱自在に一体に締結したものである。

（考案の効果） したがつて、本考案によれば、オイルパンの切
欠孔が、その開口縁部を挾むようにオイルパン内
外側に配置されかつ切欠孔内において締結部材で
着脱自在に一体に締結された少なくとも２枚の弾
性板によつて閉塞されているので、切欠孔と弾性
板との間の隙間を確実に気密閉塞しつつ、複数の
弾性板を締結により容易に切欠孔に組み付けるこ
とができ、よつて弾性板のエンジン用オイルパン
への組付時のシール性の確保および組付性の向上
の両立を図ることができるものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図において、１はエンジン、２は該エンジ
ン１の下部に接合されたオイルパンであつて、該
オイルパン２の本体２ａの側部には複数の例えば
矩形状の切欠孔３，３，…が開設されており、該
各切欠孔３のオイルパン２外側に相当する開口端
縁には第２図に拡大詳示するようにオイルパン２
の外側に向かつて拡開する切欠部３ａが形成され
ている。

上記各切欠孔３におけるオイルパン２の内外側
には、それぞれ切欠孔３より若干大きい寸法に形
成されたゴム板等よりなる内側弾性板４および外
側弾性板５が互いに相対応して配置されている。
上記内側弾性板４はオイルパン２の内側に位置す
る基部４ａと、該基部４ａの裏面（オイルパン２
の外側に向いた面）に一体に突設され、上記切欠
孔３に気密嵌合する嵌合部４ｂと、該嵌合部４ｂ
の先端に一体に形成され、上記切欠孔３の切欠部
３ａに係合するフランジ部４ｃとからなる。一
方、上記外側弾性板５はフラツトな一枚板材より
なる。そして、内側弾性板４の嵌合部４ｂを切欠
孔３に嵌合しかつフランジ部４ｃを切欠孔３の切
欠部３ａに係合させた状態で、内側弾性板４の基
部４ａと外側弾性板５との間に切欠孔３の開口縁
部３ｂを挾むことにより、切欠孔３を閉塞するよ
うにしている。

さらに、上記内側弾性板４には切欠孔３内に相
当する部位にボルト挿通孔６，６，…が貫通形成
され、該ボルト挿通孔６の内側弾性板４裏面側部
には他の部分より小径の小径部６ａが形成されて
いる。また、上記内側弾性板４の表面（オイルパ
ン２内側に向いた面）には金属製の内側押え板７
が固着され、該押え板７には上記内側弾性板４の
ボルト挿通孔６，６，…と対応して該ボルト挿通
孔６，６，…と同径の貫通孔７ａ，７ａ，…が形
成されている。

一方、上記外側弾性板５には上記内側弾性板４
のボルト挿通孔６，６，…と対応する部位に該ボ
ルト挿通孔６，６，…と同径の、すなわちその小
径部６ａ，６ａ，…より大径のボルト挿通孔８，
８，…が貫通形成されている。また、上記外側弾
性板５の表面（オイルパン２外側に向いた面）に
は金属製の外側押え板９が一体に固着され、該押
え板９には上記外側弾性板５のボルト挿通孔８，
８，…と対応して該ボルト挿通孔８，８，…より
小径の貫通孔９ａ，９ａ，…が形成されている。

そして、上記対応する内側押え板７の各貫通孔
７ａ、内側弾性板４の各ボルト挿通孔６およびそ
の小径部６ａならびに外側弾性板５の各ボルト挿
通孔８および外側押え板９の貫通孔９ａには締結
部材としてのボルト１０がオイルパン２の内側か
ら挿通され、該ボルト１０は上記内側弾性板４の
ボルト挿通孔６の小径部６ａに嵌合する小径部１
０ａを備えた段付きボルトで構成されている。ま
た、ボルト１０のねじ部１０ｂは外側押え板９よ
り外側に突出し、該ねじ部１０ｂにはナツト１１
が螺合締結されており、このボルト１０とナツト
１１との螺合によつて２枚の弾性板４，５は切欠
孔３内において着脱自在に一体に締結されてい
る。

したがつて、上記実施例においては、オイルパ
ン２の本体２ａの各切欠孔３に２枚の弾性板４，
５が組み付けられているため、オイルパン２の本
体２ａがエンジン１の爆発振動に応じて振動する
のを上記弾性板４，５の制振作用によつて抑制し
て、エンジン１の騒音を低減することができる。

また、上記オイルパン２の両側に配置された２
枚の弾性板４，５がボルト１０およびナツト１１
の締結により各切欠孔３をその開口縁部３ｂに両
側から圧接した状態で閉塞しているため、切欠孔
３と弾性板４，５との間を確実にシールして良好
なシール性を確保することができ、よつてオイル
パン２からのオイル漏れを確実に防止することが
できる。

さらに、上記両弾性板４，５がボルト１０およ
びナツト１１により着脱自在に一体に締結されて
いるため、弾性板４，５を切欠孔３に組み付ける
際には両弾性板４，５をボルト１０およびナツト
１１で一体に締結する作業だけでよく、弾性板
４，５のオイルパン２の本体２ａへの組付性を向
上させることができる。

さらにまた、上記両弾性板４，５が切欠孔３内
においてボルト１０およびナツト１１により一体
に締結されているため、弾性板４，５の全体をオ
イルパン２の本体２ａに対して振動可能としてそ
の制振効果を十分に発揮させることができ、エン
ジン騒音のより一層の低減化を図ることができ
る。

しかも、上記内側弾性板４の嵌合部４ｂ先端の
フランジ部４ｃが切欠孔３の切欠部３ａに係合さ
れ、またボルト１０の小径部１０ａが内側弾性板
４のボルト弾性孔６の小径部６ａに嵌合されてい
るため、弾性板４，５の組付時ないし取換時に外
側弾性板５が内側弾性板４から取り出されている
状態でも、該内側弾性板４またはボルト１０を確
実にオイルパン２に保持してそのオイルパン２内
部への抜落ちを防止することができる。

尚、上記実施例では、オイルパン２の本体２９
の各切欠孔３を２枚の弾性板４，５で閉塞するよ
うにしたが、３枚以上の弾性板で閉塞するように
してもよい。

また、上記実施例では、弾性板４，５で閉塞さ
れる切欠孔３をオイルパン２の側部に設けたが、
オイルパン２の下部、あるいは側部および下部の
両方に設けてもよいのは言うまでもない。さら
に、上記実施例では、弾性板４の外側端面と弾性
板５の内側端面とを密着させたが、ボルト１０の
周縁部を残して内側弾性板４の外側端面に凹部を
設けるようにしても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
オイルパンの全体縦断面図、第２図は要部拡大縦
断面図である。 １……エンジン、２……オイルパン、２ａ……
本体、３……切欠孔、３ｂ……開口縁部、４……
内側弾性板、５……外側弾性板、１０……ボル
ト、１１……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. オイルパン本体に切欠孔が形成され、該切欠孔
   はその開口縁部を挾むようにオイルパンの内外側
   に配置された少なくとも２枚の弾性板によつて閉
   塞され、かつこれら弾性板同士は切欠孔内におい
   て締結部材によつて着脱自在に一体に締結されて
   いることを特徴とするエンジンのオイルパン。