JPS6228690Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、クリーナカバー取付用ボルトの組付
け構造を改良したエンジンのエアクリーナに関す
るものである。

一般に、エンジンのエアクリーナは、一面を開
口したクリーナケース内にクリーナエレメントを
装着し、前記開口にボルト等の締結手段にてクリ
ーナカバーを被着している。そして、この種エン
ジンのエアクリーナは、エンジンの駆動により発
生する振動によつて前記締結ボルトが緩まないよ
う対策している。この対策を施した先行技術とし
ては、実公昭49−15445号公報に記載の内燃機関
用空気清淨器が存する。これは、空気清浄器のカ
バーの中央内側に雌ねじを一体に設け、支持金具
に設けた軸ねじに該カバーを円回動して取付け、
該軸ねじに更にナツトを締付けるよう構成されて
いる。

しかしながら、この先行技術では、板金加工に
て支持金具を成形し、この支持金具をボルトにて
気化器底板に固定する一方、該支持金具にはさら
に軸ねじを植立してカバーに設けた雌ねじ及びナ
ツトを螺合するもので、カバーの取付構造として
は構造が複雑であり、部品点数、加工工数並びに
組付工数が多くなるといつた不都合がある。

又、この種クリーナケースの開口にカバーを取
付ける従来の構成例としては、第１図に示すもの
が提案されている。第１図において、一面を開口
したクリーナケース１と、クリーナカバー２とは
合成樹脂にて成形されており、前記クリーナケー
ス１底面から開口方向に複数のボス３，…が一体
に突設され、該ボス３，…内にボルト４の頭部４
ａないしは軸部４ｂの中途が埋設されて軸部４ｂ
の雄ねじ部４ｃが露呈している。一方、前記クリ
ーナカバー２の上面には、クリーナケース１のボ
ス部３，…と同一軸方向にボス部５，…が突設さ
れ、このボス部５，…は軸方向上下に貫通して前
記ボルト４の軸部４ｂないしは雄ねじ部４ｃを挿
通し、該雄ねじ部４ｃをクリーナカバー２外へ突
出するようになつている。そして、このクリーナ
カバー２外へ突出したボルト４の雄ねじ部４ｃに
ワツシヤ６を介して蝶ナツト７を螺合し締結する
ようになつている。尚、符号８はクリーナエレメ
ントである。

しかしながら、前記従来のクリーナカバー取付
構造では、ボルトを合成樹脂にて成形されるクリ
ーナケース内に埋設する構成上成型時において、
予めボルトを金型内に挿入しておく必要があり型
構造が複雑となると共に、成形加工が煩雑となつ
てコスト高となる上に、ボルトの交換が不能であ
るという問題がある。

更に、この種クリーナケースの開口にカバーを
取付ける従来の構成例としては、実開昭57−
57257号公報に記載のものが知られている。この
先行技術例は、合成樹脂製のボデーとカバーとか
らなり、ボデー内に形成された複数の柱状体には
それぞれ通孔とその下側に角形凹所および円形凹
所を段状に形成し、各段状の凹所には上端面に環
状の山形突起を備えた金属製袋ナツトをそれぞれ
圧入埋設し、該袋ナツトにねじ杆の下端を螺合緊
締して上記ボデーとカバーとを一体にした構成と
なつている。

しかしながら、前記構成では、ナツトを段状の
特殊な形状とする必要があり、しかもこのナツト
を圧入埋設する特殊形状の凹所をボデーに形成し
なければならず、しかもナツトを前記凹所に圧入
する工程が必要である。更に又、この構成ではナ
ツトはボデーの凹所に圧入埋設するので、交換が
困難である。

本考案は、これらの事情に鑑みてなされたもの
で、部品点数、組付工数並びに部品の加工工数を
低減する一方、樹脂の射出成形における金型の構
造を簡単にし、型成形を容易にしてコストの低減
化を図り、しかも締結用ボルトの迴り止め、抜け
止めを簡単な構成にて行い組付けを容易にすると
共に、前記ボルトの交換を可能としたエンジンの
エアクリーナを提供することを目的としてい。

前記目的を達成するために本考案によるエンジ
ンのエアクリーナは、一面を開口したエアクリー
ナケースとこのエアクーナケースの開口を閉塞す
るよう該クリーナケースに被着されるクリーナカ
バーとを合成樹脂にて成形し、前記エアクリーナ
ケースの底板上面から開口方向へ上下に貫通した
軸受ボスを突設する一方、クリーナカバーの上板
下面から前記エアクリーナケースのボスと同一軸
方向へ上下に貫通した軸受ボスを突設し、前記エ
アクリーナケース底板下部のボス突設部に保持片
を突設してボルト頭部保持空間を形成し、ボルト
の先端を頭部保持空間からボス内に挿入してクリ
ーナカバー上面から突出し、該ボルトの頭部を前
記保持片にて形成される保持空間内に挿入・保持
して抜け止め廻り止めを図り、前記クリーナカバ
ー上面に突出したボルト先端部にナツトを螺合し
てクリーナカバーをエアクリーナケースに組付る
よう構成されている。

以下図面を参照して本考案を具体的に説明す
る。第２図ないし第４図は本考案の一実施例を示
し、第２図はエアクリーナの縦断面図、第３図は
第２図の底面図、第４図は第２図のボルト頭部嵌
合部を示す拡大断面図である。これらの図におい
て、符号１１はエンジンのエアクリーナ、１２は
一面を開口したエアクリーナケース、１３はクリ
ーナケースと一体に成形された吸気管、１４は前
記クリーナケースの開口を閉塞するよう被着され
るクリーナカバー、１５はクリーナエレメントで
あり、前記クリーナケース１２とクリーナカバー
１４とは合成樹脂にて射出成形されている。前記
エアクリーナケース１２は、その底板から開口方
向へ上下に貫通した軸受ボス１６が一体に突設さ
れており、該ボス１６の先端は開口面と同一平面
上にある。一方、クリーナカバー１４は、その上
板下面から軸受ボス１７をエアクリーナケース１
２のボス１６方向へ該ボス１６と同軸に上下に貫
通して一体に突設していると共に、このクリーナ
カバー１４上板上面のボス１７位置には円形の座
面１８が突設されている。又、クリーナカバー１
４は、その内周の中途に合わせ面１９が環状に又
はリブ状に数ケ所形成されていると共に、前記軸
受ボス１７の先端をこの合わせ面１９と同一平面
内に形成して、クリーナカバー１４のエアクリー
ナケース１２開口部への被着時に前記合わせ面１
９をエアクリーナケース１２の開口端面に密着す
る一方、クリーナカバー１４側の軸受ボス１７先
端面がクリーナケース１２側の軸受ボス１６先端
面に当接・連通するようになつている。さらに、
前記クリーナカバー１４は、合わせ面１９の外周
側が開口先端方向へ延出しており、エアクリーナ
ケース１２の外周を覆うようになつている。

前記エアクリーナケース１２底板下面の軸受ボ
ス１６対向位置には、下方に向けて例えば一対の
保持片２０，２０が一体に突設して該保持片２
０，２０よつてボルト２１の頭部２１ａを保持す
る保持空間２２を形成している。この保持片２
０，２０は、例えば六角状ボルト頭部２１ａの対
向二辺を保持するよう平行状態に相対峙している
と共に、先端部内側に頭部２１ａの端面を支持す
る支持爪２３が膨出形成され、この支持爪２３，
２３の内径がボルト頭部２１ａの外径より狭くな
つている。前記保持片２０，２０は、フレキシブ
ルに形成されており、ボルト装着時には外力によ
つて外側に撓み支持爪２３，２３間の内径がボル
ト頭部２１ａの外径より広くなるようになつてい
る。又、この支持爪２３，２３は、先端方向に拡
開するテーパ面２４，２４を有し、ボルト頭部２
１ａを挿入し且つ前記保持片２０，２０を外側拡
開易しくなつている。

前記ボルト２１は、雄ねじを有する軸部２１ｂ
の先端側をエアクリーナケース１２の保持空間２
２から軸受ボス１６，１７内に挿通して先端側を
クリーナカバー１４上面の座面１８から突出する
と共に、頭部２１ａを前記保持空間２２内に挿
入・保持させ、且つ前記ボルト２１軸部２１ｂの
突出部にワツシヤ２５を介して蝶ナツト２６を螺
合しエアクリーナケース１２とクリーナカバー１
４とを締着するようになつている。

尚、図中符号２７は、クリーナケース底板上面
に形成されクリーナエレメント１５と該底板上面
との間に空間を形成するための突条である。

このような構成で、エアクリーナケース１２に
クリーナカバー１４を組付けエアクリーナ１１を
構成するには、まずエアクリーナケース１２内に
クリーナエレメント１５を収納して該エアクリー
ナケース１２の開口面にクリーナカバー１４を被
せ、このクリーナカバー１４の合わせ面１９をエ
アクリーナケース１２の開口端面に密着させる一
方、クリーナカバー１４側の軸受ボス１７先端面
をエアクリーナケース１２側の軸受ボス１６先端
面に当接させて両軸受ボス１６，１７を連通させ
る。その後、ボルト２１の軸部２１ｂをエアクリ
ーナケース１２の底板下面の保持空間２２から各
軸受ボス１６，１７に挿通させ、雄ねじを有する
軸部２１ｂ先端側をクリーナカバー１４の座面１
８から突出させる。そして、ボルト２１の頭部２
１ａ座面側を支持爪２３，２３のテーパ面２４，
２４に当接させて挿入方向の力を加え、保持片２
０，２０を拡開させて前記ボルト頭部２１ａを保
持片２０，２０間の保持空間２２内に挿入する。
このボルト頭部２１ａが前記保持空間２２内に挿
入・保持されると、保持片２０，２０は自身の弾
撥力により原状に復帰し、支持爪２３，２３間の
内径がボルト頭部２１ａの外形より狭小となつて
該ボルト頭部２１ａを下方から支持する。しかる
後に、前記クリーナカバー１４の座面１８から突
出したボルト軸部２１ｂにワツシヤ２５を介して
蝶ナツト２６を螺合し、該蝶ナツト２６がワツシ
ヤ２５を介してクリーナカバー１４の座面１８に
密着するまで締結する。そうすると、エアクリー
ナケース１２とクリーナカバー１４とはボルト２
１にて確固と締着される。又、ボルト２１の頭部
２１ａは、例えば一対の保持片２０，２０にて保
持されて、廻り止め及び抜け止めが対策されてい
る。

前記のように構成されたエアクリーナ１１で
は、クリーナエレメント１５の交換、或いは洗浄
時において、蝶ナツト２６及びワツシヤ２５を外
すのみで、ボルト２１はエアクリーナケース１２
に保持したままの状態でクリーナカバー１４を取
り外すことができる。従つて、前記クリーナエレ
メント１５の交換・洗浄が容易であり、又ボルト
２１の紛失を防止できる。さらに、ボルト２１の
雄ねじが変形等した場合であつても容易に交換す
ることが可能である。

尚、本考案において実施例では、保持片２０，
２０をボルト２１の六角状頭部２１ａの対向二片
に当接するよう設けているが、前記頭部２１ａの
対向四片に当接する等、ボルト２１の廻り止め及
び抜け止めが対策されるよう適宜設けられる。

かくて、本考案によれば、部品点数、組付け工
数並びに部品の加工工数を低減できる一方、樹脂
の射出成形における金型の構造を簡単にでき、し
かも廻り止め、抜け止めを簡単な構成にて行うこ
とができ、組付け及びクリーナエレメントの交
換・洗浄を容易にでき、さらにはボルトの交換が
可能であるという利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のエアクリーナを示す断面図、
第２図ないし第４図は本考案の一実施例のエアク
リーナを示し、第２図はその断面図、第３図は第
２図の底面図、第４図は第２図のボルト頭部保持
部を示す拡大断面図である。 １２……エアクリーナケース、１４……クリー
ナカバー、１５……クリーナエレメント、１６，
１７……軸受ボス、２０……保持片、２１……ボ
ルト、２２……保持空間、２３……支持爪、２６
……ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一面を開口したエアクリーナケースとこのエア
   クリーナケースの開口面を閉塞するよう該エアク
   リーナケースに被着されるクリーナカバーとを合
   成樹脂にて形成し、前記エアクリーナケースの底
   板上面から開口方向へ上下に貫通した軸受ボスを
   突設する一方、クリーナカバーの上板下面から前
   記エアクリーナケースのボスと同一軸方向へ上下
   に貫通した軸受ボスを突設し、前記エアークリー
   ナケース底板下部の前記軸受ボス対向位置に保持
   片を突設して軸受ボス内と貫通するボルト頭部保
   持空間を形成し、且つこの保持片の先端側内側に
   内径がボルト頭部の径より狭くボルト頭部の端面
   を支持する支持爪を形成して、ボルトの先端を頭
   部保持空間からボス内に挿入してクリーナカバー
   上板から突出し、該ボルト頭部を前記保持片にて
   形成される保持空間内に挿入・保持すると共に、
   前記クリーナカバー上面に突出したボルト先端部
   にナツトを螺合してクリーナカバーをエアクリー
   ナケースに組付けるよう構成したことを特徴とす
   るエンジンのエアクリーナ。