JPH0144687Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、鉄筋や鉄骨によつて構築される多層
階建造物の各フロアーを形成するときのスラブ型
枠構成材に関する。

一般に、多層階建造物の各フロアーを形成する
場合には、梁間に適当間隔置きにスラブ型枠構成
材としての支持パイプを架設し、その上に、鉄板
やベニヤ板等のスラブ型枠材を載置して、そのス
ラブ型枠材の上にコンクリートを打設して床を形
成することとなるのであるが、スラブ型枠材とし
ての前記支持パイプを梁間に架設するにあたつ
て、従来は、特開昭49−88319号公報に示される
如く、梁の側面に形成の孔に差し込む形式であつ
た。

ところが、このように、粱の側面に形成の孔に
支持パイプを差し込む形式では、梁形成時にパイ
プ支持用の孔を形成、又は、梁形成後に孔を形成
しなければならない不都合がある。そして、差し
込み形式であるから、伸縮自在なパイプ同士の戻
りを阻止する為のノコ歯係合構造やくさび、ある
いは、カム等の締結具を必要とし、全体として、
スラブ型枠材を支持する為のコストが高く付くと
いう欠点があつた。そしてまた、パイプ同士を締
結するくさび、あるいは、カムにパイプ屈曲荷重
が集中する為、確実なパイプ折曲りを阻止できな
いという不都合があつた。

また、実開昭56−93442号公報で見られるよう
に、アジヤストパイプ（本願考案で言う支持部材
に相当するもの。）に複数の長さ調節用透過孔を
長さ方向に間隔を隔てて形成し、それら透過孔の
うちからボルトを通すものを選択してアジヤスト
パイプを上弦材（本願考案で言うパイプに相当す
るもの。）に固定することで全体の長さを調節で
きるようにしたものも知られている。

しかし、この従来技術によるときは、長さ調節
が有段階となつて微妙な長さ調節ができないこと
はもちろん、長さ調節後の固定作業として、上弦
材に形成のボルト用の孔に選択した長さ調節用透
過孔を合致させてボルトを挿通するといつた煩雑
で手間の掛かる作業が必要で、作業性に欠けてい
た。

本考案は、梁間に架設するスラブ型枠構成材と
しての支持パイプの構造を工夫することによつ
て、上記欠点を解消することを目的とする。

上記目的を達成するための本考案の特徴構成
は、スラブ型枠材支持用のパイプの長手方向端部
に、前記パイプの内空間上下幅よりも短い幅の支
持部材を伸縮摺動自在に内嵌し、前記支持部材
の、前記パイプより離れる側の端部に梁上面側へ
の係止構造を備えた支持部を連設し、かつ、前記
支持部材の、前記パイプ内側端部またはその近く
に、前記パイプに対する前記支持部材の屈曲反力
を受止める反力受け部を下方に突設し、さらに、
前記スラブ型枠材支持用パイプの端部近くには、
締め上げ状態で該パイプに対して伸縮自在な前記
支持部材を固定し、かつ、弛み状態で前記パイプ
に対する支持部材の伸縮を許容する締結具を設け
た点にあり、斯かる構成から次の作用効果を奏す
る。

すなわち、スラブ型枠材支持用パイプに対して
伸縮自在な支持部材に梁上面側への係止構造を備
えた支持部材を連設して、前記スラブ型枠材支持
用パイプを梁の上面側に係止する係止タイプに構
成したから、差し込み形式のように、梁の側面に
孔を形成する必要がなく、又、係止タイプに構成
したから、スラブ型枠材支持用パイプに対する支
持部材の摺動、つまり、位置固定をはかる為のボ
ルト・ナツト等による締付具のみで良く、差し込
みタイプのように、戻りを阻止する為のノコ歯係
合構造を必要とせず構造が簡単であり、全体とし
て、スラブ型枠材を支持する為のコストの低減化
がはかれる。そして、ボルト・ナツト等による締
結具と反力受け部によつてスラブ型枠材支持用パ
イプに対する支持部材の折曲りを阻止するもので
あるから、スラブ型枠材支持用パイプに対する支
持部材の確実な折曲りを阻止することができ、そ
して、ボルト・ナツト等の締結具と反力受け部に
よつてスラブ型枠材支持用パイプに対する支持部
材の折曲りを阻止するものであるから、例えば、
前後２本のボルト・ナツトによる締結具によつて
折曲りを阻止する場合に比して、支持部材の固定
作業が迅速に行える利点がある。

しかも、支持部材の内端側部に突設した反力受
け部がパイプ中間部の内周面に接当することと、
支持部材の中間部がパイプ先端の内周面に接当す
ることとによつて、つまり、支持部材の長手方向
に間隔を隔てた２箇所がパイプ内周面に接当する
ことで、前記パイプに作用する荷重（作業者によ
る鉄筋組立、電気配線、配管に伴なう荷重および
コンクリート荷重）による支持部材のパイプに対
する折曲りに対抗するため、支持部材のパイプに
対する折曲りを確実に阻止できる。

その上、支持部材の内端部をパイプ内周面に接
当させる支持部材の上下幅をパイプの内空間上下
幅よりも小にし、かつ、反力受け部を支持部材よ
りも下方に突出させて、反力受け部のみをパイプ
の内周面に接当させるため、パイプに荷重が作用
したとき、反力受け部をパイプ中間の内周面に対
して強く接当させて、反力受け部、つまり、支持
部材のパイプに対する伸縮摺動に抵抗となる摩擦
力を発生させることができる。換言すれば、支持
部材をパイプに固定するための固定力として前記
の摩擦力を利用できるので、支持部材をパイプに
固定するにあたつて、支持部材とパイプとにわた
つてボルトを挿通させてボルトを支持部材および
パイプに伸縮摺動方向で接当させることにより支
持部材をパイプに固定するといつた形式を採用し
なくても、支持部材をパイプに押付て摩擦力で支
持部材をパイプに固定する形式を採用できる。

そして、それに基づいて、支持部材をパイプに
固定するための締結具として、弛み状態で支持部
材のパイプに対する伸縮摺動を許容し、締め上げ
により支持部材をパイプに押付ける形式のもの、
つまり、支持部材をパイプに対して任意の伸縮摺
動位置で固定できるものを設けてあるため、支持
部材のパイプに対する伸縮摺動量を無段階に調節
して固定できることはもちろん、ボルトの挿通お
よびそのための孔合せが不要で、固定作業として
締め上げ操作のみで済む。

要するに、本考案によれば、構造簡単、安価
で、しかも、作業性良く梁間距離に応じた長さに
正確に調節して固定でき、かつ、確実、強力にス
ラブ型枠を支持できるスラブ型枠構成材を提供で
きるようになつた。

以下、本考案の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

断面形状４角形のパイプ１の長手方向両端夫々
に、摺動伸縮自在に支持部材２が内嵌され、スラ
ブ型枠構成材３が構成されている。

前記支持部材２は左右一対の互いに対向した鉄
板４，４で構成され、その長手方向一端側に、梁
５に載置支持するための支持部６を有するアング
ル状鉄板７が溶接により一体連設され、そして、
他端側に、平鉄板の溶接により反力受け部８が突
設され、対向鉄板４，４に対する相互補強が図ら
れている。

前記鉄板４，４夫々は、パイプ１の内空間上下
幅よりも短い幅に構成され、その鉄板４，４より
も下方に突出して前記反力受け部８が設けられて
いる。

前記パイプ１の端部にボルト挿通孔９が設けら
れ、両鉄板４，４を摺動自在に受止めるチヤンネ
ル状の金具１０に、前記両鉄板４，４間に位置し
た状態で一端において前記ボルト挿通孔９に挿通
するボルト１１の他端が溶接され、かつ、ボルト
１１の突出端にナツト１２が取付けられている。
つまり、ナツト１２を弛み状態に仮止めしておく
ことにより両鉄板４，４のパイプ１に対する摺動
を許容し、適宜、作業現場に応じ、そこに適した
長さに支持部材２を伸縮して調整し、しかる後
に、ナツト１２を締め上げることにより支持部材
２をパイプ１に押付けて固定するようになつてい
る。

前記支持部６には、梁５の桟木１３に取付ける
釘孔１４が形成されている。

前記アングル状鉄板７の下部にボルト孔１５が
形成されるとともにそれに対応させてナツト１６
が溶接され、第３図に示すように、ボルト１７を
取付けるとともに、その締め込みにより梁型枠１
８の桟木１９に接当押圧して突つ張らせるように
構成されている。なお、このボルト１７は使用し
なくても良い。

前記パイプ１の上部には、第３図及び第４図に
示すように、帯板２０により桟木２１が取付けら
れ、そこに載置される型枠材２２を釘によつて止
められるように構成されている。なお、この桟木
２１は無くても良い。

以上の構成により、第５図及び第６図に示すよ
うに、対向梁５，５の長さに合うように、左右の
支持部材２，２の伸縮量を調整して固定し、所定
長さに設定したスラブ型枠構成材３…を対向梁
５，５に所定間隔おきに架設支持させ、その両端
夫々を釘によつて桟木１３，１３に固定する。そ
の後に、型枠材２２としての波鉄板を桟木２１上
に載置し、適宜、釘などにより固定してスラブ型
枠を構成し、支保工を用いずに、鉄筋組立、電気
配線や配管を行える床スラブを構築するのであ
る。型枠材２２としてはベニヤ板を用いても良
い。

前記支持部材２を載置支置する梁５の桟木１３
の取付構成としては、第３図及び第６図に示すよ
うに、梁鉄骨２３に、その長手方向に所定間隔お
きに溶接されたカンザシアングル２４…に桟木１
３を取付ける場合、あるいは、第７図に示すよう
に、梁鉄骨２３に溶接されたアングル状の鉄板２
５に取付ける場合など、各種の構成がある。

前記支持部材２をパイプ１に固定する構造とし
ては、例えば、第８図に示すように、金具１０に
ナツト２６を溶接しておき、ボルト挿通孔９に挿
通したボルト２７をナツト２６に螺合させるよう
にしても良い。

本考案のスラブ型枠構成材３としては、例え
ば、第９図に示すように、パイプ１の長手方向一
端側に、梁５への支持部２８を有するアングル状
鉄板２９を溶接し、パイプ１の長手方向他端側に
のみ支持部材２を摺動伸縮自在に設けるものでも
良い。

また、上記パイプ１としては、丸パイプなど、
各種の断面形状のものが採用できる。

前記反力受け部８としては、第３図に二点鎖線
Ｌで示すように、支持部材２の長手方向途中の、
パイプ内側端部に近い下方箇所に、チヤンネル状
に曲げた鉄筋を溶接して構成するなど、構造変形
が可能である。上記実施例において、ボルト１
１、ナツト１２を総称して締結具と称す。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対
照を便利にする為に符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構造に限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の梁型枠構成材の実施例を示し、
第１図は一部省略全体側面図、第２図は要部の分
解斜視図、第３図は梁への支持状態を示す要部の
断面図、第４図は第３図の−線断面図、第５
図は使用状態の側面図、第６図は第５図の平面
図、第７図は梁への桟木取付構造の変形例を示す
側面図、第８図は支持部材の固定構造の他の実施
例を示す断面図、第９図は他の実施例を示す一部
省略全体側面図である。 １……パイプ、２……支持部材、５……梁、６
……支持部、８……反力受け部、１１，１２……
締結具、２２……スラブ型枠材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スラブ型枠材２２支持用のパイプ１の長手方向
   端部に、前記パイプ１の内空間上下幅よりも短い
   幅の支持部材２を伸縮摺動自在に内嵌し、前記支
   持部材２の、前記パイプ１より離れる側の端部に
   梁５上面側への係止構造を備えた支持部６を連設
   し、かつ、前記支持部材２の、前記パイプ１内側
   端部またはその近くに、前記パイプ１に対する前
   記支持部材２の屈曲反力を受止める反力受け部８
   を下方に突設し、さらに、前記スラブ型枠材２２
   支持用パイプ１の端部近くには、締め上げ状態で
   該パイプ１に対して伸縮自在な前記支持部材２を
   固定し、かつ、弛み状態で前記パイプ１に対する
   支持部材２の伸縮を許容する締結具１１，１２を
   設けてあるスラブ型枠構成材。