JPH0144550Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ブームの先端部に補助ジブを取付け
た補助ジブ付きブームクレーンにおける補助ジブ
の可変チルト装置に関するものである。

（従来技術） 従来、補助ジブ付きブームクレーンにおいて
は、ブームに対してテンシヨン部材（テンシヨン
ロツド或いはテンシヨンロープ）を介して補助ジ
ブ７を固定的に取付けるようにしていたため、該
補助ジブのチルト角を変更することができず、こ
のため作業現場の状況あるいは作業の種類によつ
てはクレーンの作業能力を十分に発揮することが
できないというような場合があつた。

（考案の目的） 本考案は、補助ジブ付きブームクレーンにおい
て、該ブームクレーンの性能低下及び構造の複雑
化を招くことなく、該補助ジブ固定配置用のテン
シヨン部材を利用して該補助ジブのチルト角を無
段階に変更可能とする可変チルト装置を提供する
ことを目的としてなされたものである。

（考案の構成） 本考案は、ブームの先端部に補助ジブの基端部
を枢支して該補助ジブをブームに対して上下方向
に起伏自在とするとともに、前記補助ジブの先端
部と前記ブームの先端部の間にテンシヨン材を配
設し、前記補助ジブを前記ブームの先端部に固定
配置するようにした補助ジブ付きブームクレーン
において、前記テンシヨン材を前記ブームの先端
部に対して着脱自在とするとともに、前記補助ジ
ブの基端部には折曲自在のリンク構成をもち且つ
その伸張状態においては姿勢保持されまた折曲状
態においてはその先端部が前記ブームの先端部に
固定可能とされたポストが回動自在に取り付けら
れ、前記テンシヨン材を前記ブームの先端部から
取り外した状態においては該テンシヨン材が伸張
状態にある前記ポストの先端部に連結可能とされ
該ポストと前記補助ジブと前記テンシヨン材とで
略三角形状の構造体が構成される如くするととも
に、該構造体を該構造体との間で相対変位する構
造体支持部材に連結することにより前記構造体と
該構造体支持部材間の相対変位に連動して前記補
助ジブのチルト角を変更調整し得る如く構成した
ことを特徴としている。

（実施例） 以下、本考案の可変チルト装置を第１図ないし
第４図に示す実施例に基いて更に詳しく説明する
と、第１図には本考案の実施例に係る可変チルト
装置を備えた補助ジブ付き伸縮ブームトラツクク
レーンＺが示されている。このトラツククレーン
Ｚは、車両３上に搭載された旋回台４に、伸縮ブ
ーム１を上下方向に起伏自在に取付ける一方、該
伸縮ブーム１の先端部１ａに、テンシヨンロツド
８によつて支持される補助ジブ７を上下方向に起
伏自在に取付けている。

補助ジブ７は、第４図に示す如く二又状に形成
された基端部７ａ，７ａにそれぞれ基端側外方に
向つて開口するＵ字形受溝２１を有する基端部材
２２，２２を取りつけるとともに、先端部７ｂに
はワイヤシーブ２４を取りつけている。この補助
ジブ７は、第２図に示す如くそその基端部材２
２，２２のＵ字形受溝２１，２１をブーム１の先
端部１ａに設けたブームヘツド２の両側面２ａ，
２ａに突設されたジブ受けピン２０，２０に嵌合
させ、さらに外れ止めピン２３，２３を取りつけ
ることによりブーム１の先端部１ａに前方にはね
出した状態でしかも上下方向に起伏自在に取付け
られる。又、この補助ジブ７は、その基端寄り位
置の上面に水平方向に適宜離間して一対の基端側
ブラケツト１６，１６を、また先端寄り位置の上
面には先端側ブラケツト１５をそれぞれ取りつけ
ている。この基端側ブラケツト１６，１６には後
述するポスト９がポスト固定ピン２６により、ま
た先端側ブラケツト１５には一対のテンシヨンロ
ツド８，８の一端８ａ，８ａがロツド固定ピン２
７によりそれぞれ連結されている。

ポスト９は、第２図ないし第４図に示す如く適
宜長さの一対の板状の基材５１，５１を継ぎ材５
３，５３によつて略梯子状に連結してなる第１ポ
スト部材１０と、一対の板状の基材５２，５２を
継ぎ材５４，５４によつて略梯子状に連結してな
る第２ポスト部材１１とを有している。尚、第２
ポスト部材１１の外側幅寸法は、第１ポスト部材
１２の内側幅寸法よりも適宜寸法だけ小さく設定
されている。

第１ポスト部材１０は、基材５１，５１の軸方
向の一端５１ａ側に前記補助ジブ７の基端側ブラ
ケツト１６のピン受穴３８，３８と重合するポス
ト固定ピン受穴４６，４６を形成しており、該ポ
スト固定ピン受穴４６，４６内に嵌挿されるポス
ト固定ピン２６により補助ジブ７側に回動自在に
固定される。又、この第１ポスト部材１０は、基
材５１，５１の他端５１ｂ側に、該他端５１ｂ側
から軸線に沿つて適宜間隔で第２ピン受穴４２と
第１ピン受穴４１を、また第１ピン受穴４１をは
さんで第２ピン受穴４２の反対側には、基材５１
の軸線より適宜角度だけ外方（補助ジブ７の基端
部７ａ側）に偏心させて第３ピン受穴４３をそれ
ぞれ形成している。この第１ピン受穴４１と第２
ピン受穴４２との間の間隔と、第１ピン受穴４１
と第３ピン受穴４３との間の間隔とは同一間隔に
設定されている。又、第３ピン受穴４３の形成位
置は、後述する如く相互に相対回動自在に連結さ
れた第１ポスト部材１０と第２ポスト部材１１を
枢支ピン３１を中心として折りたたんだとき、該
第３ピン受穴４３が第２ポスト部材１１の後述す
る第５ピン受穴４５と重合するような位置に設定
されている（第３図参照）。

一方、第２ポスト部材１１は、前記第１ポスト
部材１０の第１ピン受穴４１と第２ピン受穴４２
との間の間隔と同一の間隔をもつて基材５２の一
端５２ａ側に第４ピン受穴４４と第５ピン受穴４
５を形成する一方、他端５２ｂ側にはロツド連結
ピン受穴４７を形成している。

この第１ポスト部材１０と第２ポスト部材１１
は、第１ポスト部材１０側の第１ピン受穴４１，
４１と第２ポスト部材１１側の第４ピン受穴４４
を重合させて枢支ピン３１，３１を嵌挿すること
により該枢支ピン３１，３１を中心として相対回
動自在に連結され、折曲リンク状のポスト９を構
成する（第２図及び第３図参照）。尚、この枢支
ピン３１，３１は固定的に取付けられる。

上述の如く、第１ポスト部材１０と第２ポスト
部材１１とを枢支ピン３１，３１によつて相対回
動自在に連結して構成されるポスト９は、固定ピ
ン３２，３２によつて稼動姿勢（第２図、実線図
示状態）と格納姿勢（第３図、図示状態）の２つ
の姿勢に択一的に設定される。即ち、稼動時に
は、第２図において実線図示する如く第１ポスト
部材１０と第２ポスト部材１１を一直線状に延出
させて相互に重合する第１ポスト部材１０の第２
ピン受穴４２と第２ポスト部材１１の第５ピン受
穴４５に固定ピン３２を嵌挿し、該第１ポスト部
材１０と第２ポスト部材１１とを直棒体とする。
一方、格納時即ち、補助ジブ７をブーム１から取
り外して該ブーム１の側方に格納する場合には、
第３図に示す如く第１ポスト部材１０と第２ポス
ト部材１１を枢支ピン３１を中心として折りたた
み、相互に連通する第１ポスト１０側の第３ピン
受穴４３と第２ポスト１１側の第５ピン受穴４５
に固定ピン３２を嵌挿し、折曲リンク状の格納姿
勢とする。

一方、第２ポスト部材１１の他端５２ｂは、ク
レーンの作業状態に応じてその連結位置が択一的
に設定される。即ち、ポスト９の稼動姿勢時にお
いては、第２図において実線図示する如くロツド
連結ピン２５を介して一対のテンシヨンロツド
８，８の他端８ｂ，８ｂと前記ウインチ装置５の
ワイヤロープ６に取りつけた索端金具１８とに連
結され、補助ジブ７とポスト９とテンシヨンロツ
ド８の三者により略三角形状のリンク構造体Ａを
構成する。またポスト９の格納時においては第３
図に示す如くロツド連結ピン２５を介して一対の
テンシヨンロツド８，８の他端８ｂ，８ｂとのみ
連結され、ブーム１あるいはウインチ装置５とは
非連結とされる。さらに後述する如く補助ジブ７
を固定式補助ジブとして使用する場合には第２図
において鎖線図示する如くロツド連結ピン２５に
よりテンシヨンロツド８，８の他端８ｂ，８ｂと
ともにブームヘツド２の前面２ａに設けたブーム
側ブラケツト１７，１７に連結される。この際、
ポスト９は稼動位置と格納位置の中間の折曲姿勢
に姿勢保持されている。

続いて、補助ジブ７の使用法を説明すると、先
ず、該補助ジブ７を可変チルト式補助ジブとして
使用する場合には、第２図において実線図示する
如く稼動姿勢に位置決めされたポスト９の上端９
ａ部に、ロツド連結ピン２５を介して一対のテン
シヨンロツド８，８の他端８ｂ，８ｂとワイヤロ
ープ６の索端金具１８とを連結する。従つて、こ
の状態においては、テンシヨンロツド８，８とポ
スト９とが補助ジブ７と一体化して略三角形状の
構造体Ａを構成しており、補助ジブ７は、該構造
体Ａを構成した状態のままウインチ装置５の巻込
の巻戻し操作により上下方向に回動せしめられ、
第２図において実線図示する下降位置と鎖線図示
する上昇位置の２位置間においてそのチルト角が
無段階に調整される。このため、クレーン作業に
際しては、補助ジブを作業現場の状況（周囲条件
等）あるいは作業の種類等の諸条件に照らし合わ
せて最適なチルト角に設定することができ、それ
だけクレーン作業における作業性が向上すること
になる。

一方、補助ジブ７を上昇位置に固定して固定ジ
ブとして使用する場合には、第２図において鎖線
図示する如くテンシヨンロツド８，８の他端８
ｂ，８ｂをポスト９の上端９ａとともにロツド連
結ピン２５によつてブームヘツド２のブーム側ブ
ラケツト１７に連結し、該テンシヨンロツド８，
８によつて補助ジブ７を支持する。尚、この際、
ポスト９の固定ピン３２，３２は取り外されてい
る。

上述の如くテンシヨンロツド８は、補助ジブ７
を固定チルトジブとして使用する場合には該補助
ジブ７の支持部材として、また補助ジブ７を可変
チルトジブとして使用する場合には可変チルトジ
ブ（即ち、構造体Ａ）の構成部材のひとつとして
それぞれ利用されるが、このように補助ジブ７を
固定チルトジブとして使用する場合に用いられる
テンシヨンロツド８を、該補助ジブ７を可変チル
トジブとして使用する場合にそのままその構成部
材のひとつとして流用するようにした場合にはそ
れだけ部品の有効利用及び専用部品の削減を図る
ことができ、装置のコストダウンが可能となる。

さらに、この実施例においては、補助ジブ７を
固定チルトジブとして使用する時には、ポスト９
がその先端部９ａをブーム１の先端部１ａに固定
せしめた折曲状態で格納されるため、例えば該ポ
スト９を伸張状態のまま補助ジブ７上に沿わせた
状態で格納する場合に比して、該ポスト９の自重
によるトラツククレーンＺの転倒モーメントの増
加を少ならしめその性能維持を図ることができる
ものである。また、この場合、ポスト９の先端部
９ａをブーム１の先端部１ａに固定するようにし
ているため、例えば、該ポスト９を伸張状態で補
助ジブ７側に格納する場合のように該補助ジブ７
側に専用のポスト固定具を設ける必要がなく、装
置の構造簡略化を促進し得るものである。

又、補助ジブ７を、例えば第１図に実線図示す
る稼動状態から該補助ジブ７側に格納する場合に
は、先ずワイヤロープ６をポスト９から切離し、
しかる後、ポスト９の固定ピン３２，３２を抜い
て該ポスト９を折曲させて格納姿勢に位置決めす
るとともに、相互に重合する第１ポスト部材１０
の第３ピン受穴４３と第２ポスト部材１１の第５
ピン受穴４５に固定ピン３２を差しかえてポスト
９とテンシヨンロツド８，８と補助ジブ７とを一
体化して固定する。

尚、上記実施例においては、ウインチ装置５か
らのびるワイヤロープ６を構造体Ａに連結して該
ウインチ装置５の差込み差戻し操作によつて補助
ジブ７のチルト角を無段階に調整するようにして
いるが（即ち、ウインチ装置５からのびるワイヤ
ロープ６を構造体支持部材として使用せしめた）、
本考案の他の実施例においては例えば第５図に示
す如く構造体Ａを、該構造体Ａとブーム１のセカ
ンドブーム６１の先端部６１ａの間に配設したテ
ンシヨン材（テンシヨンロツドあるいはテンシヨ
ンロープ）６０で支持し、ブーム１の伸縮動作に
連動して無段階に調整するようにすることもでき
る。即ち、この場合には、ブーム１の伸縮に伴つ
て構造体Ａと相対変位するテンシヨン材６０が構
造体支持部材として作用する。

（考案の効果） 本考案の補助ジブ付きブームクレーンにおける
補助ジブの可変チルト装置は、補助ジブをブーム
の先端部に固定配置するために該ブーム先端部と
補助ジブの先端部の間に配設されるテンシヨン材
を該ブーム先端部から取外して補助ジブ上に立設
したポストの先端部に連結して該ポストとテンシ
ヨン材と補助ジブの三者で略三角形状の構造体を
構成するとともに、該構造体を該構造体との間で
相対変位する構造体支持部材に連結することによ
り構造体と構造体支持部材間の相対変位に連動し
て前記補助ジブ７のチルト角を無段階に調整でき
るようにしているため、クレーン作業に際しては
補助ジブを固定チルトジブとして使用したり、あ
るいは可変チルトジブとしてそのチルト角を作業
現場の状況あるいは作業の種類等の条件に応じて
最適な角度に設定して使用したりその使用形態を
選択することが可能であり、従来の補助ジブ付き
ブームクレーンの如く補助ジブのチルト角が一定
角度に固定されているものに比して作業性が向上
し且つクレーンの作業能力をフルに利用すること
ができるという実用的効果がある。

さらに、補助ジブを固定チルトジブとして使用
する場合に用いられるテンシヨン材を、該補助ジ
ブを可変チルトジブとして使用する場合に該可変
チルトジブの構成部材としてそのまま流用し得る
ようにしているため、ポストの追加だけによつて
固定チルトジブを可変チルトジブとして使用する
ことができ、部品点数の増大を最小限に抑えて可
変チルトジブとすることによるコストアツプを可
及的に抑制し得るという効果もある。

また、本考案においては、ポストを折曲自在な
構造とし、補助ジブを固定チルトジブとして使用
する場合には、該ポストを折曲させ且つその先端
部をブームの先端部に固定するようにしているた
め、例えば、該ポストを伸張状態で補助ジブ上に
沿わせて格納し且つこれを該補助ジブ側に固定す
る場合に比して、該ポスト自重によるブームクレ
ーンの転倒モーメントの増加を可及的に抑制して
その性能維持を図れるとともに、構造の簡略化に
よるコストダウンも図れるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例に係る可変チルト装置を
備えたトラツククレーンの全体図、第２図は第１
図に示したトラツククレーンの補助ジブ部分の拡
大図、第３図は第２図に示した補助ジブの格納状
態図、第４図は第２図に示した補助ジブ部分の分
解斜視図、第５図は本考案の他の実施例に係る可
変チルト装置を備えたトラツククレーンの要部側
面図である。 １……ブーム、６……構造体支持部材、７……
補助ジブ、８……テンシヨン材、９……ポスト、
Ａ……構造体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブーム１の先端部１ａに補助ジブ７の基端部７
   ａを枢支して該補助ジブ７をブーム１に対して上
   下方向に起伏自在とするとともに、前記補助ジブ
   ７の先端部７ｂと前記ブーム１の先端部１ａの間
   にテンシヨン材８を配設し、前記補助ジブ７を前
   記ブーム１の先端部１ａに固定配置するようにし
   た補助ジブ付きブームクレーンにおいて、前記テ
   ンシヨン材８を前記ブーム１の先端部１ａに対し
   て着脱自在とするとともに、前記補助ジブ７の基
   端部７ａには折曲自在のリンク構成をもち且つそ
   の伸張状態においては姿勢保持されまた折曲状態
   においてはその先端部９ａが前記ブーム１の先端
   部１ａに固定可能とされたポスト９が回動自在に
   取り付けられ、前記テンシヨン材８を前記ブーム
   １の先端部１ａから取り外した状態においては該
   テンシヨン材８が伸張状態にある前記ポスト９の
   先端部９ａに連結可能とされ該ポスト９と前記補
   助ジブ７と前記テンシヨン材８とで略三角形状の
   構造体Ａが構成される如くするとともに、該構造
   体Ａを該構造体Ａとの間で相対変位する構造体支
   持部材６に連結することにより前記構造体Ａと該
   構造体支持部材６間の相対変位に連動して前記補
   助ジブ７のチルト角を変更調整し得る如く構成し
   たことを特徴とする補助ジブ付きブームクレーン
   における可変チルト装置。