JPH0144397Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内筒上部に形成した気体室の空気が
油室の油に容易に混入するのを防止するととも
に、発生減衰力を調整することができるようにし
た二輪車等のフロントフオークに関する。

二輪車等のフロントフオークとしては、内、外
筒を摺動自在に嵌合し、外筒底部に植設したシー
トパイプの拡径先部を内筒内周に摺接し、内部に
油を封入するとともに、内筒上部を気体室と成し
た型式のものが知られている。

ところで、この種フロントフオークにあつて
は、その圧縮行程において、シートパイプの側壁
に穿設した油孔を介して油がシートパイプ外室か
ら内室に流入し、勢いよく前記気体室へ吹き上げ
ることになる。この結果、気体室の気体と油が激
しく混合し、気体室側の油面は気泡がかなり混入
した状態を呈することになり、又フロントフオー
ク内部に張架したコイルばねに油が付着し、この
ため油量が一時的に変化することとなる。

上記現象のため、フロントフオーク内に発生す
る減衰力が安定せず、これに起因して二輪車等の
操縦安定性が害されるという問題が生ずる。

又一般にフロントフオークにあつては、路面状
況の変化等に応じて発生減衰力を適宜調整するこ
とが望ましい。

本考案は斯かる事情に鑑みて成されたもので、
その目的とする処は、圧縮行程での気体室への油
の吹き上げを防止することができ、これにより安
定した減衰力が得られると同時に、この減衰力を
適宜調整し得るようにした二輪車等のフロントフ
オークを提供するにある。

斯かる目的を達成すべく本考案は、内筒と外筒
を摺動自在に嵌合し、内部に油を封入するととも
に、内筒上部を気体室と成す二輪車等のフロント
フオークにおいて、前記内筒の油面下に伸長行程
において開くチエツクバルブを備えたばね受を配
設し、ばね受にその側壁に油孔を穿設して成るパ
イプ材を固着するとともに、該パイプ材にこれに
設けた前記油孔に適合する複数の異径オリフイス
を穿設して成るアジヤストパイプを回動自在に嵌
合したことをその要旨とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係るフロントフオークの半截
断面図、第２図は同フロントフオーク要部の拡大
破断側面図である。

第１図に示すフロントフオーク１において２は
外筒であり、該外筒２の内部には上方より内筒３
が上下摺動自在に嵌合している。

上記外筒２内底部にはシートパイプ４がボルト
５及びオイルロツクピース６を介して植設されて
おり、該シートパイプ４の上端拡径部４ａは図示
の如く内筒３の内周に摺接している。尚このシー
トパイプ４の下部には複数の油孔４ｂ…が穿設さ
れている。

又前記内筒３の上端はこれに螺着されるフオー
クボルト７にて閉塞されており、該内筒３の下部
内周にはフリーバルブ８が嵌装されている。尚図
中９はリバウンドスプリングである。

更に前記外筒２の上端内周部には内筒３の外周
に摺接するオイルシール１０が嵌装されており、
外筒２の上端開口部は同じく内筒３外周に摺接す
るダストシール１１にて閉塞されている。

而してフロントフオーク１の内部は図示の如く
シートパイプ内、外室S₁，S₂及び上部室S₃に区画
されており、各室S₁，S₂，S₃には作動油が封入さ
れており、特に上部室S₃の上部は気体で占められ
る気体室S₃′が形成されている。

ところで、上記上部室S₃内の油面下には複数の
油路１２ａ…を穿設して成るリング状ばね受１２
がこれと前記フオークボルト７間に介設される筒
状カラー１３にて位置決めされて設けられてお
り、該ばね受１２の下面側にはフロントフオーク
１の伸長行程においてばね受１２に穿設された前
記油路１２ａ…を開くチエツクバルブ１４がスプ
リング１５にて上方に付勢されて設けられてい
る。そして、このばね受１２と前記シートパイプ
４の上端面間には図示の如くコイルばね１６が張
架されている。

又前記ばね受１２の内周部にはその側壁に油孔
１７ａが穿設して成るパイプ材１７が固着されて
いる。このパイプ材１７下端にて前記スプリング
１５の一端を支持する。

一方、前記フオークボルト７の中央には図示の
如く調整ボルト１８が回動自在に挿通しており、
該調整ボルト１８の上端部にはアジヤスタ１９が
ビス２０にて結着されており、又これの下端部に
アジヤストパイプ２１の上端が固着されている。
尚前記アジヤスタ１９の下面側に設けた凹溝１９
ａにはフオークボルト７に設けた溝７ａに埋設さ
れたスプリング２２にて上方へ弾発されたボール
２３が係合しており、これによりアジヤスタ１９
の回動にはクリツク感が付与される。

上記アジヤストパイプ２１は第２図に詳細に示
す如く前記パイプ材１７内に回動自在に嵌合して
おり、これにはパイプ材１７に設けた前記油孔１
７ａに適合すべき複数の異径オリフイス２１ａ…
が穿設されている。

而して外筒２の下端は車軸側に、内筒３の上端
は車体側に夫々連結され、両者２，３は相対伸縮
動する。

次に本フロントフオーク１の作用を説明する。

まず圧縮行程において、内筒３が外筒２及びシ
ートパイプ４に対して下動すれば、シートパイプ
４外室S₂の容積が減少し、この容積減少分の作動
油がシートパイプ４に穿設された油孔４ｂ…を介
してシートパイプ内室S₁に流入する。このシート
パイプ内室S₁に流入した油はシートパイプ４の上
端開口部から上部室S₃に流入するが、このときチ
エツクバルブ１４はばね受１２に穿設した油路１
２ａ…を閉塞するため、油はアジヤストパイプ２
１に設けた異径オリフイス２１ａ…のうちパイプ
材１７に設けた油孔１７ａに適合するオリフイス
２１ａ−１、油孔１７ａを通つてパイプ材１７の
外部へ流出し、この結果上部室S₃の油面は上昇す
る。

ところで、この圧縮行程においては、シートパ
イプ外室S₂の油がオリフイス２１ａ−１及び油孔
１７ａのみを介して、且つ高い抵抗を与えられて
パイプ材１７の外部へ整然と流出するため、上部
室S₃の油面が乱れることがなく、従つて所謂気体
室S₃′への油の吹き上げを防止することができ、
気体室S₃′中の気体が油中に混入して気泡を発生
することがない。この結果、この圧縮行程におい
て各流路での油の流動抵抗に基づいて発生する減
衰力は安定化し、車両の操縦安定性が高められ
る。

一方、アジヤスタ１９を回わしてアジヤストパ
イプ２１をパイプ材１７内で回動せしめ、これに
設けた異径オリフイス２１ａ…のパイプ材１７に
設けた油孔１７ａに適合するものの径を変更すれ
ば、該オリフイスを通過する油の流動抵抗が変化
し、これにより減衰力の調整が成される。即ちよ
り小径のオリフイスを選択すれば、油の流動抵抗
が増大して減衰力は高く調整され、逆により大径
のオリフイスを選択すれば、減衰力は低く調整さ
れる。

次に伸長行程において、内筒３が外筒２及びシ
ートパイプ４に対して上動すれば、シートパイプ
外室S₂の容積は増大し、この容積増大分に見合う
量の油が上部室S₃のパイプ材１７外部からその一
部は油孔１７ａ及びオリフイス２１ａを介して、
残りは油路１２ａ…及びチエツクバルブ１４を介
して夫々シートパイプ内室S₁に流入し、更に油孔
４ｂ…を通つてシートパイプ外室S₂に流入する。
そして、この油の流動による流動損失により伸長
行程において所要の減衰力が発生し、この減衰力
は前記同様にして調整される。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、内
筒と外筒を摺動自在に嵌合し、内部に油を封入す
るとともに、内筒上部を気体室と成す二輪車等の
フロントフオークにおいて、前記内筒の油面下に
伸長行程において開くチエツクバルブを備えたば
ね受を配設し、該ばね受にその側壁に油孔を穿設
して成るパイプ材を固着するとともに、該パイプ
材にこれに設けた前記油孔に適合する複数の異径
オリフイスを穿設して成るアジヤストパイプを回
動自在に嵌合したため、圧縮行程での気体室への
油の吹き上げを防止して安定した減衰力を得るこ
とができると同時に、その減衰力を適宜調整する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は本考案に係るフロントフオークの半截断面
図、第２図は同フロントフオークの要部の拡大破
断側面図である。 尚図面中１はフロントフオーク、２は外筒、３
は内筒、４はシートパイプ、１２はばね受、１２
ａは油路、１４はチエツクバルブ、１６はコイル
ばね、１７はパイプ材、１７ａは油孔、１８は調
整ボルト、１９はアジヤスタ、２１はアジヤスト
パイプ、１２ａはオリフイス、S₁，S₂は夫々シー
トパイプ内、外室、S₃は上部室、S₃′は気体室で
ある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、内部に油を封
   入するとともに、内筒上部を気体室と成す二輪車
   等のフロントフオークにおいて、前記内筒の油面
   下に伸長行程において油路を開くチエツクバルブ
   を備え、懸架スプリングの上端を支承するばね受
   を配設し、該ばね受にパイプ材を貫通固着し、こ
   のパイプ材のばね受より上方に突出した部分の側
   壁に油孔を穿設するとともに当該油孔に適合する
   複数の異径オリフイスを穿設してなるアジヤスト
   パイプを回動自在に嵌合し、更にばね受より下方
   に突出したパイプ材の下端にて前記チエツクバル
   ブのスプリングの一端を支承するようにしたこと
   を特徴とする二輪車等のフロントフオーク。