JPH0140448Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、苗箱内に敷設し、その上面に播種覆
土して育苗する育苗用人工マツトに係るものであ
る。

従来の技術 従来、育苗箱を用いて田植機用のマツト苗を育
苗する際に、育苗箱に充填される床土に代えて、
硬質ウレタン等で形成したシートを育苗箱内に敷
設し、その上に種籾を播種するようにした育苗用
人工マツトが知られている。

本考案が解決しようとする問題点 この種の育苗用人工マツトは、予め育苗箱の内
法と略同じ大きさとなるように形成して育苗箱内
に納まるようにしているが、木材やプラスチツク
等で作製される育苗箱にはどうしても加工時の寸
法誤差が伴うので、育苗箱が小さくて人工マツト
が育苗箱に入らなかつたり、また育苗箱が大きい
と第５図に示すように育苗箱ａの内壁と人工マツ
トｂとの間に間隙ｃができて、播種された種籾ｄ
がその間隙から落下してしまい、種籾が無駄とな
る許りでなく、マツトの端部には播種ムラが発生
して、育苗後の苗を田植機で圃場に植付ける際に
単位植付株ごとの植付本数がばらついて植付精度
が低下する等の問題点がある。

本考案は上記の如き実状に鑑み、これらの問題
点を解決すべく創案されたものであつて、木材や
プラスチツク等で作製された育苗箱の大きさに加
工時の寸法誤差があつても、育苗箱内に敷設され
た人工マツトの端部が必ず育苗箱の内壁面に密着
するようにして、育苗用人工マツトが育苗箱に入
らなかつたり、あるいは育苗箱の内壁面との間に
隙間を生じて播種された種籾がこの隙間から落下
するのを確実に防止することができる敷設の容易
な育苗用人工マツトを提供することを目的とした
ものである。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成するために本考案が採用した
技術的手段は、育苗箱内に敷設され、その上面に
種籾が播種される育苗用人工マツトにおいて、該
育苗用人工マツトを上面側に向つて拡開状に形成
して、育苗箱内法の所定寸法に対して上面側寸法
がやゝ大、下面側寸法がやゝ小となるように形成
したことを特徴とするものである。

考案の作用 上記の如く構成した本考案の作用について説明
すれば、育苗用人工マツトを育苗箱内に敷設する
際に、育苗箱が作製時の寸法誤差等により所定の
大きさより小さいときには、育苗箱内法の所定寸
法よりもやゝ小に形成された下面側はそのまま育
苗箱内に挿入され、育苗箱内法の所定寸法よりも
拡開状でやゝ大に形成された上面側のみが育苗箱
の内壁面に当接し、この部分は薄くて変形し易い
ので容易に育苗箱内に敷設することができる。ま
た育苗箱が所定の大きさより大きいときは、育苗
用人工マツトの下面側と育苗箱の内壁面との間に
空間ができても、拡開状に形成された上面側の突
出した端縁部が変形することなく直接育苗箱の内
壁面に密着するので、敷設された育苗用人工マツ
ト上面に種籾を播種した時に、育苗箱の内壁面と
育苗用人工マツトとの間隙から種籾が落下して育
苗用人工マツトの端部に播種ムラを生ずることは
ない。

実施例 本考案の構成を図面に示された実施例について
説明すれば、１は硬質ウレタンなどからなる板状
の育苗用人工マツトであつて、該育苗用人工マツ
ト１を、木材、合成樹脂などで作製された所定の
大きさの育苗箱２内に敷設し、その上面に図示し
ない播種装置によつて種籾３を播種し、ついで覆
土４灌水しても育苗するものである。

そして上記育苗用人工マツト１は第１図〜第３
図に示すように上面５側に向つて拡開状に形成さ
れており、育苗箱２内法の基準寸法よりも上面５
側ではやゝ大、下面６側ではやゝ小となる寸法に
形成されていて、テーパー状となつた周側部７の
上面５側の突出した端縁部は薄いので容易に変形
するようになつている。

第６図は他の実施例を示すものであつて、育苗
用人工マツト１の寸法は前記実施例と同じである
が、テーパー状となつた周側部７に沿つて上下方
向の切欠き溝８が種籾３の大きさよりも小さいピ
ツチで形成されている。

また、育苗用人工マツト１のテーパー状の周側
部は第８図に示すように上面側を殊更突出させる
ように形成してもよいことは勿論である。

上記の如き構成において、育苗用人工マツト１
を育苗箱２内に敷設するに当つて、育苗箱２の内
法が作製時の寸法誤差により基準寸法よりも小さ
いときは、拡開状に形成した人工マツト１の上面
５側が育苗箱２の内壁面に接当するが、テーパー
状となつて側方に突出した端縁部は、第４図Ｂに
示すように変形するので容易に敷設することがで
きる。一方育苗箱２の大きさが基準寸法よりも大
きいときは第４図Ａに示すように人工マツト１の
下面６側と育苗箱２の内壁面との間に空間ｅがで
きても、拡開状に形成された上面５側の突出した
端縁部が変形することなく直接育苗箱２の内壁面
に密着する。このため敷設された人工マツト１上
に播種装置などによつて種籾３を播種しても、従
来のように人工マツト１と育苗箱２内壁面との間
隙から種籾３が落下して種籾３が無駄になつた
り、人工マツト１の端部に播種ムラが生ずること
はなく、育苗後のマツト苗を田植機で圃場に植付
ける際の植付精度を向上させることができる。

また、テーパー状の周側部７に上下方向の細い
切欠き溝８を形成したものでは、上記端縁部が更
に変形しやすくなるので、育苗箱２の大きさが基
準寸法よりも小さいときの育苗用人工マツト１の
敷設操作が一層容易となるうえ、種籾３を播種し
てから覆土４する際に、第７図Ａに示すように土
が切欠き溝８を落下して育苗箱２と人工マツト１
下面側との間にできた空間ｅを埋めるので、苗の
根部に養分を適確に送ることができて苗の成育を
良好にすることができ、しかも土と根からみ合い
が促進されて形状の整つたマツト苗を得ることが
できる。

考案の効果 これを要するに本考案は育苗箱内に敷設され、
その上面に種籾が播種される育苗用人工マツトに
おいて、該育苗用人工マツトを、上面側に向つて
拡開状に形成して、育苗箱内法の所定寸法に対し
て上面側寸法がやゝ大、下面側寸法がやゝ小とな
るように形成したから、育苗箱の大きさに、製作
時の寸法誤差があつても、育苗箱内壁面と育苗用
人工マツトとが確実に密着するように敷設できる
ので、播種された種籾が育苗箱の内壁と育苗用人
工マツトとの間隙から落下して種籾を無駄にしな
い許りでなく、人工マツトの端縁部に播種ムラが
生ずることはなく、育苗後のマツト苗を圃場に植
付ける際に植付精度を著しく向上させることがで
きる等、極めて実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る育苗用人工マツトの実施例
を示すものであつて、第１図は全体斜視図、第２
図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は第１図のＢ
−Ｂ断面図、第４図Ａ，Ｂは作用説明図、第５図
は従来例を示す断面図、第６図は他の実施例を示
す全体斜視図、第７図Ａ，Ｂは第６図に示した実
施例の作用説明図、第８図は更に他の実施例を示
す要部の断面図である。 図中、１……育苗用人工マツト、２……育苗
箱、３……種籾である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 育苗箱２内に敷設され、その上面に種籾３が播
   種される育苗用人工マツトにおいて、該育苗用人
   工マツト１を、上面５側に向つて拡開状に形成し
   て、育苗箱２内法の所定寸法に対して上面５側寸
   法がやゝ大、下面６側寸法がやゝ小となるように
   形成したことを特徴とする育苗用人工マツト。