JPH0122456Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、米や麦、あるいは大豆等の豆類の
苗を田や畑等に植付ける際に、自動田植機にセツ
トして使用する自動田植機用育苗ポツトに関する
ものである。

自動田植機用の苗としては、従来、育苗箱内に
苗床を作り、この上から種籾をばらばらに播種し
て育苗させるマツト苗が一般的であるが、このマ
ツト苗では育苗箱が浅底であるために根（主根）
の成長が育苗箱の底板によつて阻止され、又一定
のマツトを形成させるために密植の傾向となり、
これが苗の成長を妨げて健全な発育が望めず、又
各苗の根が育苗箱の内部で絡み合つた状態となる
ため、これを田植機に載せて植付爪により１株づ
つ苗取りするときに根が切断してしまい、そして
この根切れの状態で苗の植付けがなされるため稲
の成長に悪影響を及ぼし、特に冷害等に対する耐
久性が弱くなるという問題があつた。又、苗がマ
ツト上にばらばらに植立されるために植付爪によ
る苗取りピツチに苗の植立間隔が一致せず、これ
が欠株を生じさせ、かつ苗を傷付けてしまうとい
う原因になつていた。

尚、近年、紙製の筒を多数列設させたものが案
出されているが、この製品は育苗箱内に仕切枠と
して設けられているもので、それ自体で苗の育苗
は行なえずに育苗箱と組合わせて使用する必要が
あるし、又その機能も根絡みの防止にはなるもの
の主根の成長は前術のマツト苗と同様に妨げら
れ、圃場に植付けたときに同製品がゴミとなつて
残存するばかりでなく、その製作に手数を要して
コスト高になるなど多くの難点があつた。

そこで、本案では、各自独立した構造体として
分割可能に区画させた多数の苗ポツトをパルプモ
ールドによつて縦横方向に列設する状態に形成し
て、この各苗ポツト内で苗を育苗させることによ
り苗の根絡みを防止させながら植付け時の根切れ
を防止して冷害等に対する耐久性の優れた苗に育
成させるとともに、苗を植付爪による苗取りピツ
チに対応させた整列状態で植立させて植付時の欠
株及び苗の損傷を防止させ、かつパルプを型成形
させたパルプモールド製品として製造させること
により各苗ポツトの分割を可能にさせるととも
に、製造を容易にしてコストを低減させ、かつ植
付け後において苗ポツトを土壌に同化させるとい
う埋め殺しを可能にさせ、又主根の成長が苗ポツ
トの底板で妨げられることのよいように苗ポツト
の底板に根通し孔を形成して、この根通し孔内に
主根を延出させることにより苗の健やかな成長を
促がすようにしようとするものである。

以下、本案を図面に示す実施例に基づき設明す
る。

ａ，ａ…は各自独立した構造体として分割可能
に区画させた苗ポツトで、この苗ポツトａをパル
プモールドによつて縦方向および横方向に所要数
列設させた状態に成形させることにより本案の自
動田植機用育苗ポツトを構成させるものである。
そして、この場合、各苗ポツトａは上面の開口部
１を底面よりもやや広幅に形成したテーパ状の方
形ポツトに形成され、かつその上縁部において隣
接する苗ポツトに連設されて、この連設部２にお
いて分割させるようにしている。又、この苗ポツ
トａの横方向の列設数は、田植機において苗載台
が横方向に１回移動する間の苗取り回数に対応さ
せ、又縦方向の列設数は育苗ポツトＡ全体の大き
さを勘案して適宜に設定されるものであり、本実
施例としては横方向に14列、縦方向に29列として
いる。又、各苗ポツトａの大きさは、植付爪によ
る苗取り量すなわち苗載台の横送りピツチおよび
縦送り装置による育苗ポツトＡの縦送りピツチに
対応させることになる。

又、３は各苗ポツトａの底板４に形成した根通
し孔で、種籾から延び出た主根ｒは苗ポツトａの
底板４でその成長を防げられることなく、この根
通し孔３内を通つて延出することになる。

尚、図中５で示すものは各苗ポツトａ内に作つ
た苗床で、培養土を用いている。又、６は基礎土
壌であり、ｎは苗である。

従つて、本案の育苗ポツトＡを用いて苗を育苗
させるには、先ず各苗ポツトａ内に培養土を入れ
て苗床５を作り、次にこの苗床５上に種籾を播種
したのち、この育苗ポツトＡをこの育苗ポツトａ
が基礎土壌６内に半分程度埋設する状態に埋め込
むものである。そして、この状態で種籾を発芽さ
せて苗として育成させるものであるが、このとき
各苗ポツトａが独立して区画形成されていること
から、各苗ポツトａ間において根絡みが生じるこ
とはないのである。尚、各苗ポツトａ内に数本の
苗ｎを育成させる場合には各苗ポツトａ内で根絡
みが生じることになるが、この場合、各苗ポツト
ａを１株として植付けることから根切れが生じる
ことはない。又、苗ポツトａ内で種籾から延び出
た主根ｒは苗ポツトａの底に達したのち底板４に
設けた根通し孔３から基礎土壌６中に延出し、こ
れが主根ｒの自然な成長を促がして苗を健やかに
育成させることになるのである。尚、育苗ポツト
Ａの材質となるパルプ内に肥料を含浸させておけ
ば、苗の育成および植付後の稲としての成長が効
果的に行なえることになる。そして、上述のよう
にして苗ｎが所要の大きさに成長すると、次にこ
の育苗ポツトＡを全体として基礎土壌６から取り
出し、これをそのまま田植機の苗載台上に載置
し、植付爪によつて各苗ポツトａを１株として順
次圃場に植付けていくものである。そして、この
場合、各苗ポツトａは植付爪によつて連設部２か
ら切り離されてこの苗ポツトａを付けたままで苗
の植付けが行なわれるのであるが、本案では育苗
ポツトＡがパルプを材質とすることからその吸水
性によつて適度に軟化され、これが苗ポツトａの
独立した分割を可能とし、かつ植付後は完全に溶
解して土壌に同化するという埋め殺しが可能にな
るのである。

上述のように本案によれば、以下に列記するよ
うに種々多くの効果がある。

(イ) 苗ポツトが各自独立した構造体であるため
に、密植を防ぎかつ根絡みがなく、これが苗の
成長を促進しかつ植付時の根切れを防止して冷
害等に強い苗を育成できる。

(ロ) 苗を苗取り量に一致した整列状態に植立させ
ることができるので欠株がなく、又苗を傷つけ
ることがない。

(ハ) パルプモールドによつて成形させるので、製
造が容易になりコストを低減できる。

(ニ) パルプを材質としているので、その吸水性に
よる軟化により各苗ポツトの独立した分割が可
能である。又、植付け後には、繊維が完全に土
壌中で溶解分散するので、苗ポツトを苗と共に
埋め殺しすることができる上に、苗ポツトが栄
養素として苗の成長を助勢する。

(ホ) 苗ポツトの底板に根通し孔を形成したので、
主根はこの根通し孔から延出し、これが基礎土
壌で養われて自然な成長を促がされ、強い苗を
健やかに成長させることができる。

(ヘ) 育苗ポツトだけで耐久性に優れた苗を育成す
ることができる上に、これをそのまま田植機の
苗載台に載置するだけで苗の植付けができるの
で田植作業の能率を著しく向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案実施例の育苗ポツトを示す一部平
面図、第２図は同断面図、第３図は育苗状態を示
す断面図である。 Ａ…育苗ポツト、ａ…苗ポツト、１…開口部、
２…連設部、３…根通し穴、４…底板、５…苗
床、６…基礎土壌、ｒ…主根、ｎ…苗。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 各自独立した構造体として分割可能に区画した
   多数の苗ポツトａ，ａ…をパルプモールドにより
   縦横方向に列設する状態に成形し、かつ各苗ポツ
   トａの底面にそれぞれ根通し孔３を形成してこの
   根通し孔３から主根が延出するように構成したこ
   とを特徴とする自動田植機用育苗ポツト。