JP3022696U - 野菜用育苗トレイ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のセル成型苗用育苗トレイは、育苗中の
保水性が悪く、従って灌水頻度が高くなる上、該排水孔
からの野菜苗の根張りが多く、該トレイを水稲用育苗箱
から取出す際に、剥離抵抗が大きくなるだけでなく、自
動移植機による苗の移植に当たって、上記排水孔からの
根張りが隣接セル間で根絡みを起し、個々の野菜苗のト
レイからの離脱を困難にするという課題が見られた。 【解決手段】 本案育苗トレイは各セルの底面中央部に
貫設される所定の排水孔径に見合う範囲を少しく隆起さ
せ、該隆起部の上面に排水孔を貫設したことを特徴とす
るものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、野菜作の機械化に向けて、重要な役割を担うセル成型苗用育苗ト レイに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

最近、農林行政の一環として、野菜作の標準化と、野菜苗の全自動移植機によ る移植の機械化が叫ばれるようになったが、その実現に当たって野菜苗の機械移 植を容易にするためのポイントとされるセル成型苗用育苗トレイの規格が、昨秋 発表された。それによると、トレイの外枠寸法の他、セルの配列や穴数等が規格 化されており、野菜苗の育苗には、このトレイを在来の水稲用育苗箱に嵌合して 使用することとなっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上述したセル成型苗用育苗トレイの規格化によって、市場にて散見される現物 は、その外枠寸法、セルの配列、穴数等は、規格通りに製作されているが、平坦 なセルの下底に一定径長の排水孔を貫設したものであった為、育苗中の保水性が 悪く、従って灌水頻度が高くなる上、該排水孔からの野菜苗の根張りが多く、該 トレイを水稲用育苗箱から取出す際に、剥離抵抗が大きくなるだけでなく、自動 移植機による苗の移植に当たって、上記排水孔からの根張りが隣接セル間で根絡 みを起し、個々の野菜苗のトレイからの離脱を困難にするという課題が見られた ものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、このような課題を解決することを目的としたものであって、外枠寸 法やセルの配列等は全て前記規格に倣って作製することは当然であるが、各セル の底面中央部における排水孔に改善を加えることによって、従来品の上記問題点 を一挙に解消したものである。 即ち、セル成型苗用育苗トレイの各セルの底面中央部を、その排水孔径に見合 う範囲で少しく隆起させ、該隆起部の上面に排水孔を貫設するという手段を用い たものである。

【０００５】

【考案の実施の形態】

以下、図面に従って、本考案の構成を更に詳しく述べると、図１・２において １はトレイ主体、２はセル、３は排水孔であって、上記トレイの規格として現状 では、セル数１２８個（８穴×１６列）と、２００セル（１０穴×２０列）の２ 種類があるが、いづれもポリスチレン等で板厚０. ６ｍｍ〜０. ８ｍｍとしたト レイ主体１の外枠寸法は、巾（Ｗ）３００ｍｍ、長さ（Ｌ）５９０ｍｍ、又、セ ルに関しては、その深さ（Ｈ）４３ｍｍで、セルの上部径（Ａ）は、１２８セル タイプが３１ｍｍ、２００セルタイプが３６ｍｍ、下部径（Ｂ）は、１２８セル タイプが１８ｍｍ、２００セルタイプが１２ｍｍ、更に排水孔径（Ｄ）は１２８ セルタイプが１２ｍｍ、２００セルタイプが９ｍｍとされている。

【０００６】 而して、本考案における各セル２の構造は、図２に見られるように、その下部 径（Ｂ）内に貫設されるそれぞれの排水孔３は、上記規格に即した径長とされる が、その成型に当たって、各セルの底部を通ずる排水孔３の外周に沿った部分を 少しく隆起させて成型し、この隆起部４に規格の径長を有する排水孔３を貫設す ることを技術的要旨としたものである。

【０００７】 本考案は上記構成としたことによって、各セル２の内壁下周面と隆起部４の周 面との間に環状凹部５が形成され、潅水が上記排水孔３から完全に排出されるこ とがないのである。

【０００８】

【考案の効果】

上述した構成に係る本案セル成型苗用育苗トレイは、これを適宜な水稲用育苗 箱に嵌入し、その各セル内に適宜な養土を充填して所望の裸種子を蒔き、これを 別途育苗器中に収納して灌水、加温を施し、野菜苗を育成することは、猶従前の この種セル成型苗用育苗トレイと同様であるが、上記各セル内側の下周面と排水 孔の周面との間に環状の凹部が形成されているから、この部分に灌水が溜まり、 養土の保水性を良好に維持できるので、灌水頻度が従来のものに比して著しく少 なくて済む上、排水孔の下方には常に空気が滞溜するため、この部分の根張りが 妨げられて、排水孔からの根出しが抑制されるのである。

【０００９】 何故ならば、成育期の根は、空気（酸素）の存在下では成長し難くいという性 質を有するからであって、上述したように常時空気が滞溜する上記排水孔を避け て凹部側に伸長し、良好な根巻き状態が得られるという格別顕著な効果が得られ るものである。

【００１０】 従って、本案トレイによれば、水稲用育苗箱からのトレイの取出しが容易に行 え、しかも排水孔からの根出しによる隣接セル間の根絡みが皆無に等しいので、 全自動苗移植機による中成苗のトレイからの剥脱が著しく良好となり、作業能率 の向上にもつながる上、健全な野菜苗が得られるという在来のトレイには期待で きなかった多くの利益が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る育苗トレイの一部を示す斜視図

【図２】本案育苗トレイの部分拡大断面図

【符号の説明】

１ トレイ主体 ２ セル ３ 排水孔 ４ 隆起部 ５ 環状凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】各セルの底面中央部に貫設される所定の排
   水孔径に見合う範囲を少しく隆起させ、該隆起部の上面
   に排水孔を貫設したことを特徴とする野菜用育苗トレ
   イ。