JPH0139874Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案に係るシリンダヘツドガスケツトは、
エンジンのシリンダブロツク上面とシリンダヘツ
ド下面との間に挾持し、両面間の気密、液密を保
持するのに利用される。

（従来の技術） エンジンのシリンダブロツク上面とシリンダヘ
ツド下面との間の気密、液密を保持するためのシ
リンダヘツドガスケツトは、例えば第２図に示す
ように構成されている。

このシリンダヘツドガスケツト１には、シリン
ダ頂部の開口形状に合せた円形のボア孔２，２、
シリンダヘツドをシリンダブロツクに固定するた
めのボルトを挿通する小円孔３，３、冷却水や潤
滑油を通すための透孔４，４が穿設されている。

５は各ボア孔２，２の内周縁部に装着した金属
薄板製のグロメツトであり、このグロメツト５
は、第３図に示すように、各ボア孔２，２の周縁
部に装着して、この周縁部に於けるシリンダヘツ
ドガスケツト１の厚さをその他の部分よりも少し
だけ大きくし、このシリンダヘツドガスケツト１
をシリンダブロツク上面とシリンダヘツド下面と
の間で強く押圧した場合に、このようなグロメツ
ト５を設けた各ボア孔２，２の周縁部の押圧力が
特に大きくなるようにするものである。

即ち、このようなボア孔２，２の周縁部の押圧
力を特に大きくすることにより、シリンダ内で発
生する高圧の燃焼ガスが外部に漏洩するのを有効
に防止している。

このようなグロメツト５によるシリンダ内の高
圧の燃焼ガスの漏洩防止を十分効果的にするため
には、グロメツト部分の厚さを大きくし、ボア孔
２の周縁部の面圧を高くすることが効果がある
が、単にグロメツトを構成する金属板の厚さを増
しただけでは、グロメツト装着時の折曲げ加工が
困難になつたり、折曲げ時にグロメツトに亀裂が
生じたりする。

このため、実公昭46−30487号公報、同49−
20619号公報等に見られるように、グロメツト５
を２枚重ねとしたり、（第４図）、或は特公昭46−
43号公報に見られるように、ボア孔２の周縁部で
折り返したグロメツト５の周縁部を更に180度折
り返したり（第５図）して、シリンダヘツドガス
ケツトをシリンダブロツク上面とシリンダヘツド
下面との間に挾持した場合にグロメツトを装着し
たボア孔の周縁部の面圧が大きくなるようにして
いる。

（考案が解決しようとする課題） ところが、上述のような従来のシリンダヘツド
ガスケツトに於いては、依然として次に述べるよ
うな不都合を生じる。

即ち、第４図の構造と第５図の構造とを比較し
た場合、極部的に面圧を向上させ、高圧の燃焼ガ
スの漏洩防止を図れる点では第５図に示した様
に、ボア孔２の周縁部で折り返したグロメツトの
周縁部を更に180度折り返す構造の方が勝れてい
る。

一方、近年自動車の高出力化に伴つてシリンダ
内の温度が高くなり、グロメツト５に、従来より
も高度の耐熱性が要求されるようになつたため、
グロメツト５をステンレス鋼板により造るように
なつて来た。

ところが、ステンレス鋼板は、従来グロメツト
に使用されていた亜鉛メツキ鋼板と比べて弾性に
富むため、熱間プレス等、面倒でランニングコス
トが嵩む作業を行なわない限り、第５図に示すよ
うに縁部を180度折り返した後、外力を加えない
でも、そのままの状態を維持する様にする事が困
難である。

ステンレス鋼板製のグロメツトを使用した場
合、このグロメツトの端縁部を180度折り返さな
くても、90度以上折り返せば、このグロメツトを
装着したシリンダヘツドガスケツトをシリンダブ
ロツク上面とシリンダヘツド下面との間で挾持す
る事で、このグロメツトの一部を180度折り返す
事が出来るが、シリンダヘツドガスケツトを上記
両面の間に装着する際に、グロメツトの一部を更
に折り曲げる場合、エンジンの組立作業性、組付
後のシール性の点で問題が生じる。

即ち、シリンダブロツクとシリンダヘツドとの
間でグロメツトの一部を更に折り曲げる場合、シ
リンダブロツクに対してシリンダヘツドを結合す
る為のボルトを締め付ける為のトルクが大きくな
り、しかもこのトルクは、上記グロメツトの一部
の初期形状によつて大きく変化してしまう。この
様な現象は、上記ボルトを締め付ける為の自動機
の調整を難しくする等、好ましくない。

又、グロメツトの一部を（単なる平面である）
シリンダブロツクの上面とシリンダヘツドの下面
との間で折り返す場合、折り返しの為に適切な力
を付与する事が難しい為、折り返し部の形状が不
同になり易い。この様に、折り返し部が不同にな
つた場合、グロメツトの一部に、十分なシール性
を保持出来ない部分が生じ易い。

本考案はこのような不都合のないシリンダヘツ
ドガスケツトを提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 本考案のシリンダヘツドガスケツトは、前述し
た従来のシリンダヘツドガスケツトと同様、ボア
孔の内周縁部に、金属薄板製のグロメツトを装着
する事で構成されている。

更に、本考案のシリンダヘツドガスケツトに於
いては、上記グロメツトを可塑性のある金属板と
ステンレス鋼板とをボア孔の内周側でステンレス
鋼板が外側に露出する状態に重ね合せた二枚重ね
構造とすると共に、両板の端縁部を、上記可塑性
のある金属板を外側として、180度折り返したこ
とを特徴としている。

（作用） 上述の様に構成される本考案のシリンダヘツド
ガスケツトは、前述した従来のシリンダヘツドガ
スケツトと同様に、シリンダブロツクの上面とシ
リンダヘツドの下面との間に挾持して、両面間の
気密及び液密を保持する。

この様に、本考案のシリンダヘツドガスケツト
を、シリンダブロツクの上面とシリンダヘツドの
下面との間で挾持した状態に於いて、ボア孔の内
周縁部に装着した、二枚重ね構造のグロメツト
は、ステンレス鋼板が内周側に露出した状態とな
る。従つて、シリンダ内で発生する高温の燃焼ガ
スは、このステンレス鋼板に接触するようにな
り、グロメツトの耐熱性は十分に確保される。

又、グロメツトの端縁部が180度折り返されて
いるため、この折り返し部に於いて、シリンダヘ
ツドガスケツト両面とシリンダブロツク上面及び
シリンダヘツド下面との当接圧が十分に大きくな
り、ボア孔周囲の気密保持性が向上する。

この場合に於いて、上記折り返し部は、ステン
レス鋼板を内側にし、可塑性のある金属板を外側
にして、弾性に富んだステンレス鋼板を可塑性の
ある金属板で抑え付けているため、折り返し部の
形状は、シリンダヘツドガスケツトをシリンダブ
ロツク上面とシリンダヘツド下面との間で挾持す
る以前に於いても、180度折り返された状態とな
り、この折り返し部の形状が不同となる事はな
い。従つて、ボア孔周囲の気密は、全周に亙つて
確実に保持される。

（実施例） 次に、第１図に示した、本考案の実施例に就い
て説明する。

第１図に示した本考案のシリンダヘツドガスケ
ツトは、グロメツトとして、第１図に示すよう
に、亜鉛メツキ冷間圧延鋼板等の、耐熱性に問題
はあるが可塑性を有する金属板６と、可塑性は不
足するが耐熱性に勝れたステンレス鋼板７とを２
枚重ねにして使用している。

可塑性を有する金属板６は、ガスケツトシート
８と直接当接し、ボア孔２の内周縁部に於ける第
一の折り返し部分では内側となるように、ステン
レス鋼板７はガスケツトシート８とは直接接触せ
ず、上記第一の折り返し部分では外側となるよう
に両板６，７を重ね合せている。

この両板６，７の端縁部は、両板６，７を重ね
合せた状態のまま更に180度折り返しているが、
この第二の折り返し部分に於いてはステンレス鋼
板７が内側に、金属板６が外側に位置する。この
ため、曲率半径の小さい第二の折り返し部分を於
いて、ステンレス鋼板が弾性的に元に戻ろうとし
ても、金属板６に抑えられ、グロメツトは第１図
の状態に保たれる。

上述のように構成される本考案のシリンダヘツ
ドガスケツトは、従来のガスケツトと同様にシリ
ンダブロツクの上面とシリンダヘツドの下面との
間に挾持して使用されるが、グロメツトを構成す
る金属板６とステンレス鋼板７との端縁部が折り
返されているため、ボア孔２の外周縁部の圧力を
十分に高くしてシリンダ内で発生する高圧の燃焼
ガスが外部に漏洩するのを十分効果的に防止でき
る上、ボア孔２の内周縁で内側に露出する部分に
はステンレス鋼板が位置するため、耐熱性の面か
らも十分な性能が得られる。

（効果） 本考案のシリンダヘツドガスケツトは、以上に
述べた通り構成され作用するが、十分な耐熱性を
確保しつつ、ボア孔周縁部の当接圧を極部的に大
きくして、ボア孔周囲の気密性を十分に保持する
事が出来、しかも気密性保持のための折り返し部
の形状がグロメツトの周方向に亙つて不同になる
事がなく、安定した気密保持性能を得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のシリンダヘツドガスケツトを
示す第２図の拡大Ａ−Ａ断面図、第２図は本考案
の対象となるシリンダヘツドガスケツトの１例を
示す平面図、第３〜５図は従来のシリンダヘツド
ガスケツトの３例を示すそれぞれ第２図の拡大Ａ
−Ａ断面図である。 １：シリンダヘツドガスケツト、２：ボア孔、
３：小円孔、４：透孔、５：グロメツト、６：金
属板、７：ステンレス鋼板、８：ガスケツトシー
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボア孔の内周縁部に金属薄板製のグロメツトを
   装着したシリンダヘツドガスケツトに於いて、上
   記グロメツトを可塑性のある金属板とステンレス
   鋼板とをボア孔の内周側でステンレス鋼板が外側
   に露出する状態に重ね合せた二枚重ね構造とする
   と共に、両板の端縁部を、上記可塑性のある金属
   板を外側として、180度折り返したことを特徴と
   するシリンダヘツドガスケツト。