JPH0138629Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はアツプライトピアノにおけるサスタ
ニング機構に関するものである。

サスタニング効果とは、所要の鍵に対応する楽
音のみを鍵の押下げを止めてもその楽音の減衰を
阻止せずに長く減衰させる効果をいう。通常鍵の
押下げを止めると、ダンパーが弦を押圧してその
振動を急激に阻止してしまう。従来、グランドピ
アノにはこのサスタニング効果を奏する機構が装
備されているが、アツプライトピアノにおいては
そのアクシヨン機構上サスタニング機構を装備す
ることが困難であつた。

この考案はダンパーレバーの上部を多少改良す
ることにより極めて簡単な構成でサスタニング効
果を得ることができるサスタニング機構を堤供す
るものである。

第１図はアツプライトピアノのアクシヨンの側
面図であり、鍵（図示省略）を押下げると、ウイ
ツペン１は突上げられてその後方部（図面では左
方）のウイツペンフレンジ１１により回動する。
このウイツペン１の後端でウイツペンフレンジ１
１より後方部にはダンパースプーン２が植設され
ていて、このダンパースプーン２がダンパーフレ
ンジ８によつて回動自在に装着されているダンパ
ーレバー３の下部を後方へ押してこれを回動させ
る。この回動はダンパースプリング４に抗してな
される。第２図にも示すようにダンパーレバー３
の上面３ａにはダンパーワイヤー５が植設されて
いて、このダンパーワイヤー５の上端部にはダン
パー６が装着されており、ダンパーレバー３の回
動によりダンパーレバー６は弦７から離反し、ハ
ンマー（図示省略）で打撃された弦７はダンパー
６に阻止されずに振動することとなる。

そして、鍵の押下げを止めて鍵を元の位置に戻
すと、ウイツペン１は下降してその後端に植設さ
れたダンパースプーン２がダンパーレバー３から
離れ、ダンパー６はダンパースプリング４で弦７
を押圧して弦７の振動を阻止するようになつてい
る。

なお、第１図及び第２図において、９はセンタ
ーレール、１０はハンマーバツト、１２はダンパ
ーロツド、１３はダンパースプリング４の摺動溝
を示す。

この考案のサスタニング機構はダンパーレバー
３の上部に設けたものであり、第３図にその一実
施例を示すように、ダンパーレバー３はダンパー
ワイヤー５が植設される上面３ａの前方部（図で
は右側）に上面３ａよりも上方に突出させた突出
部１５と、この突出部１５とダンパーワイヤー５
との間の前記上面３ａに溝１４とを一体に形成し
てなりこの溝１４内に金属板ばね等からなるタン
ジエント１７をクロス１６で包んで嵌着し、この
タンジエント１７を突出部１５より更に上方へ突
出させ、そして第４図〜第６図に示すようにこの
タンジエント１７の上方には爪１９を有するサス
タニングロツド１８を横架対設したものである。

第４図〜第６図はこの考案によるサスタニング
機構の動作を説明するための図である。第４図は
サスタニングロツド１８が回動していない状態の
図であり、通常の演奏すなわち鍵を押下げればダ
ンハー６は弦７から離反し、鍵の押下げを止めれ
ばダンパー６は弦７を押圧して弦７の振動を強制
的に阻止する。この場合、爪１９はタンジエント
１７の先端の動作軌跡上に位置していない。次に
鍵を押下げ、ダンパーレバー３が回動した時、ペ
ダル操作等によつてサスタニングロツド１８を回
動すると、第５図に示すように爪１９はタンジエ
ント１７の後方部（図では左側）に位置、すなわ
ちタンジエント１７の先端の動作軌跡上に位置す
るようになり、鍵の押下げを止めてもタンジエン
ト１７は爪１９に引掛り、ダンパー６は弦７を押
圧することなく弦７の振動を許容し続けることと
なる。この時更に他の鍵を押した場合は、第６図
に示すように、タンジエント１７は爪１９に接触
するが、タンジエント１７はやわらかく撓つて動
作を妨げない。

第７図はタンジエント１７の動作を説明するた
めの図であり、第５図に示すように、サスタニン
グ機構が働いている際はタンジエント１７にはＡ
方向の力が加わり、突出部１５の上端のＰ点を支
点するので、そのばね力は強くほとんど撓わない
から、ばね４の力によつてタンジエント１７は爪
１９を通り越すことなく、第５図示の状態を保持
する。そして、第６図の場合にはタンジエント１
７にＢ方向の力が加わり、タンジエント１７はＱ
点を支点として大きく撓うから他の鍵の動作にほ
とんど影響を及ぼさないことが理解できよう。

第８図はサスタニングロツド１８を回動させる
ための機構を示し、サスタニング用のペダル２０
を踏み込むと、天秤２１が突揚棒２２を突上げ、
この突揚棒２２が小天秤２４を回動させ、この小
天秤２３がサスタニングロツド１８に固着された
ロツドアーム１８ａを押下げ、サスタニングロツ
ド１８を回動させて表面にクロス等を貼つた爪１
９を下に向けるようにしている。

第９図及び第１０図はサスタニングロツド１８
の装着構造を示すものであり、ダンパーレール２
７を保持するため、アクシヨンブラケツト２４に
取着されたレール保持部材２５とロツド保持部材
２６とでサスタニングロツド１８をクロス等を介
して挟持したものである。

以上のように、この考案によれば、アツプライ
トピアノにおいてもダパーレバーの上部を多少改
良することにより、極めて簡単な構成でサスタニ
ング効果を得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアツプライトピアノにおけるア
クシヨンの一部を示す側面図、第２図は同じく従
来のダンパーレバーの上部の斜視図、第３図はこ
の考案による一実施例のダンパーレバーの上部の
斜視図、第４図〜第６図はこの考案によるサスタ
ニング機構の動作を説明するための側面図、第７
図はサスタニングタンジエント１７の動作を説明
するための図、第８図はサスタニングロツドの動
作機構の一実施例を示す斜視図、第９図及び第１
０図はサスタニングロツドの装着構造の一実施例
を示す斜視図及び側面図である。 １……ウイツペン、２……ダンパースプーン、
３……ダンパーレバー、３ａ……上面、４……ダ
ンパレバースプリング、５……ダンパーワイヤ
ー、６……ダンパー、７……弦、１４……溝、１
５……突出部、１７……タンジエント、１８……
サスタニンロツド、１９……爪。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. センターレール９に固着したダンパーフレンジ
   ８に回動自在に軸支され、ばね付勢されたダンパ
   ーレバー３の上面３ａに植設したダンパーワイヤ
   ー５を介して上端に装着したダンパー６で弦７を
   押圧し、該弦７の振動を阻止するアツプライトピ
   アノのダンパー機構において、前記ダンパーレバ
   ー３は、ダンパーワイヤー５が植設される上面３
   ａの前方部に、該上面３ａよりも上方に突出する
   突出部１５と、該突出部１５と前記ダンパーワイ
   ヤ−５との間の前記上面３ａに溝１４とを一体に
   形成してなり、該溝１４に弾性を有する板ばね等
   からなるタンジエント１７を前記突出部１５より
   更に上方に突出させて嵌着し、該タンジエント１
   ７の上方に爪１９を有するサスタニングロツド１
   ８を回動自在に横架対設してなり、鍵盤の押鍵に
   伴うダンパーレバー３の回動時にペダル等により
   前記サスタニングロツド１８を回動させて前記爪
   １９が前記タンジエント１７を係止し、押鍵に対
   応するダンパーレバー３の復帰を阻止してサスタ
   ニング効果を得るようにしたことを特徴とするア
   ツプライトピアノにおけるサスタニング機構。