JPS6323754Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は構造簡易にしてリフテイングレー
ル、換言すればダンパーレバーの突き上げ高さを
容易に調整できるようにしたピアノのペダル機構
に関する。

従来からピアノ、特にグランドピアノのダンパ
ー機構は第１図に示す如く構成されている。すな
わち、ダンパー機構１は各鍵２の後方に該鍵２に
連動して作動する如く配設されるもので、一端が
ダンパーレバーフレンおジ４を介してダンパーレ
ール５に回動自在に枢支されたダンパーレバー
６、このダンパーレバー６にダンパーブロツク７
を介して配設され上方に延在するダンパーワイヤ
８、このダンパーワイヤ８の上端に配設され通常
は弦９を上方から押圧してその振動を阻止してい
るダンパー１０等を有し、前記鍵２の押鍵操作時
に前記ダンパーレバー６が該鍵２によつて突き上
げられることにより、前記ダンパー１０が弦９か
ら離反しその振動を許容するように構成されてい
る。また、ダンパー機構１は棚板１１の下方に配
設されたペダル機構１２によつても作動されるよ
うに構成されている。これは鍵２がその押鍵操作
によつてペダル機構１を動作させ、当該鍵２に対
応する弦９のみの発音を可能にするのに対して、
全部のダンパー機構１を同時に動作させ、すべて
の弦９を発音可能にするもので、足によつて踏込
操作されるダンパーペダル１３、このダンパーペ
ダル１３に連結されて上方に延在するペダル突上
棒１４、一端が前記棚板１１の下面に回動自在に
枢支され前記ペダル突上棒１４の上昇によつて突
き上げられるペダルレバー１５、このペダルレバ
ー１５に立設されて前記棚板１１を貫通するロツ
ド１６、前記ダンパーレール５に回動自在に配設
されてダンパーレバー６の下方に位置し且つ前記
ロツド１６の頂面にフエルト１７を介して載置さ
れたリフテイングレール１８等によつて構成され
ている。この場合、リフテイングレール１８はす
べてのダンパーレバー６に対応するように鍵２の
並設方向に長く延在している。したがつて、ダン
パーペダル１３を踏込操作すると、ペダル突上棒
１４が上昇してペダルレバー１５を上昇回動させ
るため、リフテイングレール１８はロツド１６に
よつて突き上げられ、すべてのダンパーレバー６
を一斉に上昇させる。この結果、すべての弦９は
ダンパー１０から解放され、この状態において或
る任意の鍵２を押鍵操作して当該鍵２に対応する
弦９をアクシヨン機構（図示せず）によつて打撃
すると、その振動が他の弦９に伝わつてこれを共
振させ、演奏音を増大させる。

ところで、かかる従来のペダル機構１２におい
ては棚板１１の下面に螺入したキヤプスタンネジ
１９によつてペダルレバー１５の上昇量を調整
し、リフテイングレール１８、換言すればダンパ
ーレバー６の上昇高さを調整しているものの、キ
ヤプスタンネジ１９は棚板１１とペダルレバー１
５との間に配置されているため、その回転操作が
面倒であつた。

この考案は上述したような点に鑑みてなされた
もので、リフテイングレールを突き上げるロツド
をペダルレバーに調整ねじを介して高さ調整自在
に配設し、該ねじの下端部に回転操作部を設ける
という極めて簡単な構成により、リフテイングレ
ールの上昇高さをペダルレバーの下方より容易に
調整し得るようにしたピアノのペダル機構を提供
するものである。

以下、この考案を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。

第２図はこの考案に係るペダル機構を自動演奏
ピアノに適用した場合の一実施例を示す要部の一
部破断側面図である。なお、図中第１図と同一構
成部材のものに対しては同一符号を以つて示し、
その説明を省略する。後端が棚板１１の下面にブ
ラケツト３０を介して上下方向に回動自在に配設
されたペダルレバー１５のロツド１６に対応する
部位にはねじ孔３１が形成され、このねじ孔３１
に調整ねじ３２が上方から回転調整自在に螺入さ
れている。この調整ねじ３２の頭部上面には凹部
３４が形成されてフエルト３３を収納しており、
このフエルト３３上に前記ロツド１６の下端が載
置されている。そして、前記ロツド１６は棚板１
１に形成された貫通孔３６によつて上下動自在に
案内保持されている。なお、ロツド１６と調整ね
じ３２とはかならずしも分離構成されるものに限
らず、一体もしくは一体的に結合されたものであ
つてもよく、その場合にはフエルト３３が不要で
ある。

一方、前記調整ねじ３２の下端部は前記ペダル
レバー１５の下方に突出されてナツト３７が螺着
され、且つ下端面にはマイナス溝からなる回転操
作部３８が設けられている。

前記棚板１１とペダルレバー１５の間には該レ
バー１５に時計方向の復帰習性を付与するばね４
０が介在され、またペダルレバー１５には前記ば
ね４０の下端を収納保持しそのばね力を調整する
ばね調整用ねじ４１が回転調整自在に配設されて
いる。このばね調整用ねじ４１は前記調整ねじ３
２と同様に形成されてペダルレバー１５に螺入さ
れ、下端面には溝等からなる回転操作部４２が設
けられている。

加えて、前記ペダルレバー１５の先端部上面に
はナツト４４を介してキヤプスタンネジ４５が螺
入されている。このキヤプスタンネジ４５の頭部
上面は平担面に形成されてフエルト、皮革等の緩
衝部材４６が固着され、この緩衝部材４６に対応
してフエルト４７が前記棚板１１の下面に固着さ
れている。ここで、前記キヤプスタンネジ４５の
頭部上面を平担面に形成した理由は、緩衝部材４
６とフエルト４７の接触面積を大きくし、これら
両者による衝撃雑音並びに変形を防止することに
ある。

前記棚板１１には各鍵２の後端部に対応して開
口部５０が形成され、この開口部５０には複数個
の鍵駆動装置５１が各鍵２に対応して貫通配置さ
れている。この鍵駆動装置５１は周知の電磁プラ
ンジヤによつて構成され、、再生演奏時において
のみ駆動し、対応する鍵２をあたかも手によつて
押鍵操作されたかのように作動させる。同様にペ
ダル突上棒１４の上端部にも再生演奏時において
のみ駆動し該突上棒１４を上昇移動させるペダル
駆動装置５３が配設されている。この場合、ペダ
ル駆動装置５３はペダル突上棒４１の外周に嵌装
され、通常の演奏および録音演奏時においてはペ
ダル突上棒１４に対して何ら作用せず、その自由
な上下動を許容するように構成されている。

かくしてこのような構成からなるペダル機構１
２によれば、調整ねじ３２の回転調整によりペダ
ルレバー１５とは別個独立にロツド１６の高さを
変えることができ、しかも調整ねじ３２はペダル
レバー１５の下方から回転されるため、リフテイ
ングレール１８の取付け高さおよび上昇高さの調
整が容易である。また、ばね調整ねじ４１を回転
させて上下動させると、ばね４０のばね力が変る
ため、ペダルの踏込力を演奏者の好みにあわせて
自由に微調整でき、ペダル駆動装置５３との微妙
なタイミング調整も容易である。

なお、上記実施例は自動演奏ピアノに適用した
場合について説明したが、この考案はこれに限ら
ず一般のグランドピアノにもそのまま適用実施し
得ることは勿論である。

以上説明したようにこの考案に係るピアノのペ
ダル機構は、ペダルレバーに調整ねじを介してロ
ツドを高さ調整自在に配設したので、リフテイン
グレールの上昇高さをペダルレバーとは別個に調
整でき、また構造簡易にしてペダルレバーの下方
より行うことができるので容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のグランドピアノにおけるダンパ
ー機構およびペダル機構の側面図、第２図はこの
考案に係るペダル機構を自動演奏ピアノに適用し
た場合の一実施例を示す要部の一部破断側面図で
ある。 １……ダンパー機構、２……鍵、１１……棚
板、１５……ペダルレバー、１６……ロツド、１
８……リフテイングレール、３１……ねじ孔、３
２……調整ねじ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 棚板下面に回動自在に配設されペダルの踏込操
   作に連動して作動するペダルレバーに上下に貫通
   するねじ孔を設け、このねじ孔に下端部に回転操
   作部を有する調整ねじを螺合させ、前記棚板を貫
   通し前記ペダルレバーと一体的に作動して上昇す
   ることによりリフテイングレールを突き上げるロ
   ツドを前記調整ねじを介して高さ調整自在に配設
   したことを特徴とするピアノのペダル機構。