JPH0136282Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカラーテレビジヨン受像機の、特に、
複数の電子銃がインライン状に配設されたインラ
イン型受像管上に装着される偏向ヨークに関す
る。

近来、第１図に示す如く、ブルーＢ、グリーン
Ｇ、レツドＲの各電子銃１，２，３がインライン
状に配列された受像管上に装着される偏向ヨーク
として、各電子銃１，２，３から発射される各電
子ビームに対して、偏向ヨークで発生する偏向磁
界の印加量を調整し、コンバージエンスヨークを
用いることなく良好なコンバージエンス特性を得
ることができる、セルフコンバージエンス型の偏
向ヨークが開発され実用化されてきている。しか
しながら、上述した偏向ヨークにおいては、受像
管性能のバラツキ等によつて、第２図に示す如
く、中央に位置するグリーン電子銃２から発生す
るラスターＧの感度が、左右に位置するブルー電
子銃１、レツド電子銃３から発生するラスター
Ｂ，Ｒの感度に対して、画面のＸ軸上の左右点に
おいて不足（水平偏向に対する感度が不足）し、
画面のＹ軸上の上下点において過多（垂直偏向に
対する感度が過多）となる、所謂、アンバランス
状態となるもので、画面上にミスコンバージエン
スを生じ、良好な画質特性を得ることができない
ものであつた。

本考案は上記事項に鑑みなされた偏向ヨークに
関し、特に、偏向ヨークを構成するコイルボビン
の後部拡大部の管軸に対して上下に位置して対角
状に、水平片と垂直片とからなる略十字形状の磁
性片を取着固定してなる、セルフコンバージエン
ス型のインライン型受像管用偏向ヨークに関する
ものである。

以下、本考案の一実施例を、中央に位置するグ
リーン電子銃から発生するラスターＧの感度が、
左右に位置するブルー電子銃、レツド電子銃から
発生するラスターＢ，Ｒの感度に対して、画面の
Ｘ軸上の左右点において不足し、Ｙ軸上の上下点
において過多となる状態（第２図に示す）を例に
とつて図面を用いて詳細に説明する。

第３図は本考案偏向ヨークの一実施例における
一部断面側面図、第４図は同じくコイルボビンの
後部拡大部の概略正面図を示すもので、第３図に
おいて、１０は偏向ヨークであり、磁性材料から
なるコア１１と、コア１１の外周上に直接トロイ
ダルに巻回された垂直偏向コイル１２と、コア１
１の内面にコイルボビン１３を介してくら型に巻
回された水平偏向コイル１４とから構成され、コ
イルボビン１３の後端に設けられた締付舌片１３
１を締付バンド等の締付手段１５により縮径する
ことで、ブルーＢ、グリーンＧ、レツドＲの３本
の電子銃１，２，３がインライン状に配列された
受像管１６上の所定位置に装着固定される。偏向
ヨーク１０を構成するコイルボビン１３の後部拡
大部１３２の前面（受像管１６の拡大部１６Ａ
側）１３２Ａには、第４図に示す如く、管軸に対
して上下に位置し中央のグリーン電子銃２に対向
して対角状に、フエライト、ハーマロイ等の磁性
材料からなる一対の磁性片１７，１７が接着或は
嵌着、係着等により取着固定される。磁性片１７
は、第５図に示す如く、水平片１７Ａと、水平片
１７Ａの略中間部から水平片１７Ａに対して同一
平面で直角方向に延びる垂直片１７Ｂとから構成
され、全体として略十字形状をなすもので、磁性
片１７の垂直片１７Ｂの一端が中央のグリーン電
子銃２に対向して取着固定されるものである。

斯かる構成の偏向ヨークにおいて、一対の磁性
片１７，１７をコイルボビン１３の後部拡大部１
３２の前面１３２Ａの所定位置に取着固定した状
態で、偏向ヨーク１０を受像管１６上に装着固定
する。この際、磁性片１７の水平片１７Ａにより
偏向ヨーク１０を構成するコア１１の寸法が後部
側（磁性片１７側）に延びた状態となり、この結
果、水平偏向コイル１４によつて発生する水平偏
向磁界も後部方向に延長され、かつ、磁性片１７
の垂直片１７Ｂにより、第６図に示す如く、水平
偏向磁界Hfは中央に位置するグリーン銃２によ
つて発生するラスターＧに対して集中（増加）
し、ラスターＧの水平偏向成分（Ｘ軸上の左右
点）の感度はラスターＢ／Ｒに対して相対的にア
ツプ（増加）するものであり、一方、垂直偏向コ
イル１２によつて発生する垂直偏向磁界Vfは、
第６図の如く、磁性片１７の水平片１７Ａによつ
て形成される磁路に集中するようになり、中央に
位置するラスターＧへの垂直偏向成分（Ｙ軸上の
上下点）の磁界を減少せしめ、ラスターＧの垂直
偏向感度はラスターＢ／Ｒに対して相対的にダウ
ン（減少）するもので、第２図に示す画面上のミ
スコンバージエンスは、第７図に示す如く、磁性
片１７の水平片１７Ａおよび垂直片１７Ｂにより
画面のＸ軸上の左右点で、磁性片１７の水平片１
７ＡによりＹ軸上の上下点でそれぞれ矢印方向に
補正され、ラスターＢ，Ｇ，Ｒのコンバージエン
スは最良の状態となるものである。

尚、本考案偏向ヨークの一実施例においては、
一対の磁性片を偏向ヨークを構成するコイルボビ
ンの後部拡大部の前面に管軸に対して上下に位置
して対角状に取着固定するものについて述べた
が、コイルボビンの後部拡大部の後面（締付舌片
側）に同様に一対の磁性片を取着固定しても動作
的に何等変ることはないものである。また、偏向
ヨークの構成も実施例に限定されるものではな
く、例えば、両偏向コイルを共にくら型に巻回し
て偏向ヨークを構成しても良いものである。

以上述べた如く、本考案のインライン型受像管
用偏向ヨークによれば、複数の電子銃がインライ
ン状に配列された受像管上に装着される偏向ヨー
クを構成するコイルボビンの後部拡大部の管軸に
対して上下に位置して対角状に、水平片と垂直片
とからなる略十字形状の磁性片を取着固定したも
のであり、受像管性能のバラツキ等によつて生ず
る画面のＸ軸上の左右点における中央に位置する
電子銃からのラスターＧのミスコンバージエンス
を磁性片の垂直片によりラスターＧに対して水平
偏向磁界を集中させて補正することができ、ま
た、同じく画面のＹ軸上の上下点における中央の
ラスターＧのミスコンバージエンスを磁性片の水
平片によりラスターＧに対して垂直偏向磁界を減
少させて補正することができ、簡単な構成で画面
全体として常に良好なコンバージエンス特性を得
ることができるものである。また、磁性片の水平
片、垂直片の寸法を変えることにより、偏向コイ
ル分布を調整する必要なく種々の偏向ヨークに適
用することができ、応用性に富むものである。さ
らに、本考案の磁性片を用いることで、偏向ヨー
ク自体が有する設計残りのミスコンバージエンス
の補正もなされるもので、従来の偏向ヨークに比
べ使用する磁性片の数を減らすことができ、コス
トダウンがなされる他、磁性片を減らすことで他
の特性に与える影響も少なくなり、良好な特性を
維持できるもので、特に、セルフコンバージエン
ス型の偏向ヨークとして有効なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はインライン型受像管の電子銃部分の拡
大部側から見た概略構成図、第２図はミスコンバ
ージエンス状態のラスターの説明図、第３図は本
考案の一実施例における偏向ヨークの一部断面側
面図、第４図は同じく偏向ヨークを構成するコイ
ルボビンの後部拡大部の概略正面図、第５図は同
じく磁性片の斜視図、第６図は磁性片を取着した
状態における水平・垂直偏向磁界分布の説明図、
第７図は本考案の偏向ヨークにおけるラスターの
動作説明図である。 １，２，３……電子銃、１０……偏向ヨーク、
１３……コイルボビン、１３２……コイルボビン
後部拡大部、１７……磁性片、１７Ａ……磁性片
水平片、１７Ｂ……磁性片垂直片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数の電子銃がインライン状に配列された受像
   管上に装着される偏向ヨークを構成するコイルボ
   ビンの後部拡大部の管軸に対して上下に位置して
   対角状に、水平片と垂直片とからなる略十字形状
   の磁性片を取着固定したことを特徴とするインラ
   イン型受像管用偏向ヨーク。