JPH035079Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、インライン配列の多電子銃を有する
カラーブラウン管用の偏向ヨークに関するもので
あり、更に詳しくは、ブラウン管のラスタ面にお
けるコマ収差を補正することの可能な偏向ヨーク
に関するものである。

〔考案の背景〕

インライン配列の多電子銃をそなえたカラーブ
ラウン管に使用するセルフコンバーゼンス偏向ヨ
ークでは、周知のように水平偏向コイルの作る磁
界をピンクツシヨン形磁界に、垂直偏向コイルの
作る磁界をバレル形磁界にすることでラスタ面に
おけるコンバーゼンス補正を行なつている。

第１図はかかる従来の偏向ヨークを示す斜視図
である。同図において、１は偏向ヨーク、２は水
平偏向コイル、３は垂直偏向コイル、４は主コ
ア、５はセパレータ、６はクリツプである。

第２図は垂直偏向コイル３の断面図である。同
図において、７は磁力線、８，８Ｒ，８Ｇ，８Ｂ
は電子ビーム、９は垂直方向の中心線、１０は垂
直方向の偏向力である。

さて、上記磁界のうち、垂直偏向コイル３のバ
レル形磁界というのは、第２図に示すように、偏
向ヨークの垂直方向の中心線９付近の巻線が、両
端部に比較して疎になつているため、中心に位置
する緑色Ｇ用の電子ビーム８Ｇは、両端に位置す
る赤色Ｒ、青色Ｂ用の電子ビーム８Ｒ，８Ｂに比
較して実質的に偏向量１０が減少することにな
り、第３図のラスタパターンに示すようにＧのラ
スタ１２ＧはＲ，Ｂのラスタ１２Ｒ，１２Ｂに比
較して内側になるいわゆるコマ収差と呼ばれるミ
スコンバーゼンス１７を生じる結果となる。

従来、この種のコマ収差を補正する手段として
は、第４図に示すブラウン管（以下CPTという）
１９の電子銃１３の先端に、第５図（第４図のＡ
−A′断面図）に示すような磁界制御素子と呼ば
れる磁性体片１４を配置し、中心に位置するＧの
電子銃付近に偏向磁界を集中させて、Ｇの電子ビ
ームの偏向量をＲ，Ｂに比較して相対的に増大さ
せる方式が一般的に使用されている。

しかし、上記した磁界制御素子１４によるコマ
収差の補正においては、CPTと偏向ヨークとの
組み合せ誤差によつてコマ収差が変動する要因が
あるため、製造上のバラツキを生じやすいという
欠点がある。

一方、上記したコマ収差（本例では上下方向）
を調整する手段としては、第６図に示すように、
偏向ヨーク１の後端部の上下位置に磁性体片２０
を配置する方法が公知であるが、この方法では偏
向ヨークの作る垂直偏向磁界を弱める作用しかも
たないので、中心に位置するＧの電子ビームの偏
向量を増大させることはできない。また、上記し
たように上下方向のコマ収差は、垂直偏向コイル
の中央部付近の偏向量が小さいことに起因するも
のであるから、この部分に巻線を集中させればよ
いわけであるが、このようにすると垂直偏向コイ
ルの作る磁界全体がピンクツシヨン形磁界の傾向
に変化するため、ミスコンバーゼンスを極度に悪
化させるという問題が生じる。

〔考案の目的〕

本考案は、上述の如き従来技術の欠点を除去す
るためになされたものであり、従つて本発明の目
的は、コマ収差を偏向ヨーク単体で補正し低減す
ることができ、コンバーゼンス品位の向上を図り
得る偏向ヨークを提供することにある。

〔考案の概要〕

上記目的達成のため、本考案による偏向ヨーク
は、インライン配列の多電子銃を有するカラーブ
ラウン管用の偏向ヨークであつて、垂直偏向コイ
ルの電子銃側（後方）に水平方向に対向する１対
または複数対の磁性材からなる副コアを配置し、
該副コアに垂直偏向コイル用の補助コイルを設け
ることにより、偏向ヨークの電子銃側に６極の補
正磁界を形成し、コマ収差を補正するようにした
ことを特徴としている。

〔考案の実施例〕

次に図を参照して本考案の実施例を説明する。

第７図は本考案の一実施例を示す斜視図、第８
図は第７図において垂直偏向コイル３の電子銃側
２０に設けられた副コア２１とそこに捲回された
補助コイル１５を示す正面図である。

これらの図において、１５は補助コイル、１８
は電子銃側、２１は副コア、２３は補正磁界、２
４は電流の方向である。

なお、実施例は、セミトロイダル型の偏向ヨー
ク（水平偏向コイルはくら型、垂直偏向コイルは
トロイダル型）である。

第８図において、部分リング状の磁性材からな
る水平方向に対向する１対の副コア２１には、ト
ロイダル状に補助コイルが捲回してあり、Ｙ方向
の偏向時には同図に示す電流の方向２４に垂直偏
向電流が流れるように接結してあり、同図に示す
形状の補正磁界２３を形成する。また、上下方向
の中心線９上に副コア２１のない間隙部２６があ
るために、上記の補正磁界２３は、ほぼ６極磁界
とすることができる。該補正磁界２３によるＹ方
向の偏向力１０は、中心部ほどＸ方向と逆向きの
磁界密度が大きいため、Ｒ，Ｂの電子ビーム８
Ｒ，８Ｂに比較してＧの電子ビーム８Ｇに強く作
用する。したがつて、第３図の従来のラスタパタ
ーンに比較して、本考案による偏向ヨークを用い
たとき、Ｇの電子ビームの垂直偏向量がＲ，Ｂに
比較して増すため、第９図に示すようにＲ，Ｇ，
Ｂの横線ラスタ１２Ｒ，１２Ｇ，１２Ｂを一致さ
せて、コマ収差を補正することができる。

第１０図、第１１図および第１２図は、それぞ
れ本考案の他の実施例にかかわる補助コイルを示
す正面図である。同図の実施例では、水平方向の
中心線１６付近と垂直方向の中心線に対する角度
αがほぼ30゜になる付近に突起２２を形成し、磁
束を導き強めるようにしている。

また、第１２図に示すように、副コアはＥ型に
形成してもよい。さらに、補助コイル１５は、第
８図および第１０図に示すように副コアに直接ト
ロイダル状に捲回してもよいし、第１１図および
第１２図に示すようにあらかじめ捲回したコイル
を、突起に挿入して構成してもよい。

第１３図は、本考案の他の実施例を示す偏向ヨ
ーク１の側面図である。第７図に示す本考案の一
実施例では、補助コイル１５を偏向ヨーク１の電
子銃側１８のセパレータ５に取付けたが、第１３
図に示すように補助コイル１５を垂直偏向コイル
３のすぐ後方に設けてもよい。

第１４図は本考案の他の実施例を示す正面図で
ある。同図に示すように、補助コイルによる垂直
偏向磁界のピンクツシヨン形磁界（６極磁界）強
度にみあつたバレル形磁界を中間部に形成させて
コンバーゼンスを調整するために、垂直偏向コイ
ル３をコア４の中心位置から放射方向に延びる線
２５に対して傾斜した巻線形状としたり磁性体片
２０を垂直偏向コイル３の内面に配置するように
してもよい。

また、図には示さないが、副コアを水平方向の
中心線付近で分割して、副コアを複数対設けるよ
うにしてもよい。

〔考案の効果〕

本考案によれば、CPT内部に備えるコマ収差
補正用の磁界制御素子を不要化することができる
とともに、CPTと偏向ヨークとの組合せ誤差に
よるコマ収差の変化に起因するミスコンバーゼン
スを低減することができ、コンバーゼンス品位の
良い画像を得るため実用上有効な偏向ヨークを提
供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の偏向ヨークを示す斜視図、第
２図は第１図における垂直偏向コイルの断面図、
第３図はコマ収差を表わすラスタパターン図、第
４図は偏向ヨークと電子銃の位置関係を示す側面
図、第５図は従来のCPTの電子銃付近に設ける
磁界制御素子を示すための第４図のＡ−A′断面
図、第６図は従来のコマ収差調整機能をもつ偏向
ヨークの斜視図、第７図は本考案の一実施例を示
す斜視図、第８図は第７図において垂直偏向コイ
ルの電子銃側に設けられる副コアとそこに捲回さ
れる補助コイルを示す正面図、第９図は本考案に
よる偏向ヨークの使用によりコマ収差のないラス
タパターンが得られることを示す説明図、第１０
図、第１１図および第１２図はそれぞれ本考案の
他の実施例を示す要部の正面図、第１３図は本考
案の他の実施例を示す偏向ヨークの側面図、第１
４図は本考案の他の実施例の垂直偏向コイルを示
す正面図である。 １……偏向ヨーク、２……水平偏向コイル、３
……垂直偏向コイル、４……主コア、５……セパ
レータ、６……クリツプ、７……垂直偏向磁界、
８，８Ｒ，８Ｇ，８Ｂ……電子ビーム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 水平偏向コイルと、垂直偏向コイルと、主コ
   アと、上記垂直偏向コイルの後方に互いに上記
   垂直偏向コイルの垂直方向の中心線に垂直な方
   向に離れて配置された一対の副コアと、上記副
   コアのそれぞれに装着された補助コイルとから
   なり、上記補助コイルは補助コイルに上記垂直
   偏向コイルに流れている電流を流した際に上記
   垂直偏向コイルの後方に６極磁界が形成される
   ように捲回され接続されていることを特徴とす
   るインライン配列の多電子銃を有するカラーブ
   ラウン管に使用する偏向ヨーク。 ２ 一対の副コアのそれぞれには、端部もしくは
   中央部において、互いに他方の副コアに向かつ
   て突出する突起部が形成されていることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の偏
   向ヨーク。 ３ 補助コイルが副コアに形成された突起部に装
   着されていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第２項記載の偏向ヨーク。