JPH0134675B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は塩化アルミニウム水溶液中に含まれる
ガリウムを分離濃縮する方法に関するものであ
る。 本発明にいう塩化アルミニウム水溶液とは、酸
化アルミニウムを主成分とする試料を塩素又は塩
酸処理ののち水溶液としたもの、及び塩化アルミ
ニウムを主成分とする水溶液を指すものである。
この塩化アルミニウム水溶液は通常希有元素ガリ
ウムを不純物として含んでいる。アルミニウム鉱
石であるボーキサイト中に含有されていたガリウ
ムが、バイヤー法による鉱石処理によつてアルミ
ニウムと共にアルカリ溶解され、溶解液から酸化
アルミニウムが析出するさいに伴われ、更に塩化
アルミニウム溶液中に移行したものである。塩化
アルミニウム水溶液から採取を目的としてガリウ
ムを分離濃縮する方法としては、溶液を塩酸濃度
６規定程度にしたのちエーテル又はケトン類など
の有機溶媒によつてガリウムを抽出する方法、或
いは同塩酸溶液を陰イオン交換樹脂と接触させて
ガリウムを吸着させる方法がある。しかしこれら
の方法では不純物として共存する鉄もガリウムと
同じ効率で分離濃縮されるため、濃縮部分からガ
リウムを採取するさいに大量の鉄の存在が障害と
なることと、比較的高い濃度の塩酸を取り扱うた
めの危険性とが難点であり、現在塩化アルミニウ
ム水溶液からガリウムを分離濃縮することは工業
的に行われていない。 本発明者は以上のべた公知の技術の欠陥を解決
するために種々検討の結果、キレート樹脂に属す
るイミノジ酢酸を含むスチレンジビニルベンゼン
共重合体は高濃度の塩化アルミニウム水溶液から
ガリウムをよく吸着するが、鉄をそれほど吸着し
ないことを発見し、その知見に基づいて本発明を
なすに至つた。 すなわち、本発明は、ガリウムを含有する塩化
アルミニウムからガリウムを分離濃縮するに当
り、塩化アルミニウムを少なくとも２モル／の
水溶液とし、これをイミノジ酢酸基を有するスチ
レンジビニルベンゼン共重合体樹脂と接触させて
ガリウムを選択的に該樹脂に吸着させる方法に関
するものである。 本発明に使用するイミノジ酢酸基を含んだスチ
レンジビニルベンゼン共重合体とは、例えば商品
名ダウエツクスＡ−１、キレツクス100、ダイヤ
イオンCR10などを挙げることができる。これら
はナトリウム型として市販されるが使用のさいア
ルミニウム型にする必要がある。これはナトリウ
ムによつて塩化アルミニウム水溶液が汚染される
のを防ぐためである。また塩化アルミニウム水溶
液の濃度は２モル／以上に調製する必要があ
る。 本発明はこのようにきわめて簡単な方法で塩化
アルミニウム水溶液からガリウムを優先的に分離
濃縮しうるものであり、きわめて利用価値の高い
ものである。 次に実施例により本発明を説明する。 実施例 １ キレツクス100、ナトリウム型200〜400メツシ
ユの湿潤体の4.8ｇ（水素型乾燥体1.0ｇに相当す
る）を内径８mmのガラス製カラムに充てんし、濃
度0.5モル／の塩化アルミニウム水溶液100mlを
流してアルミニウム型にする。このカラムに2.70
モル／の濃度にした塩化アルミニウム水溶液
7.5を通過させる。この溶液の組成は表１に示
した。流速は0.2〜0.3ml／minである。溶液が通
過しおわつたならば濃度２モル／の塩酸でカラ
ムを洗い樹脂に吸着したガリウム、鉄、アルミニ
ウム及び付着した塩化アルミニウム溶液を溶出す
る。溶出液の組成は表１に示した。塩化ガリウム
の97.8％が分離濃縮され、塩化アルミニウムの
0.06％塩化鉄の17.3％がこれに随伴した。当初
0.001％であつた塩化ガリウムの含有率が1.68％
に増加した。なお使用した0.5モル／の塩化ア
ルミニウム水溶液及び２モル／の塩酸はいずれ
も特級試薬をもちいて調製した。 【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ガリウムを含有する塩化アルミニウムからガ
   リウムを分離濃縮するに当り、塩化アルミニウム
   を少なくとも２モル／の水溶液とし、これをイ
   ミノジ酢酸基を有するスチレンジビニルベンゼン
   共重合体樹脂と接触させてガリウムを選択的に該
   樹脂に吸着させることを特徴とする方法。