JPH0133129B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、刈取穀稈を穂先部が下側となる反転
した逆姿勢で脱穀する所謂懸垂型のコンバインに
おける穀稈搬送装置に係るものである。

従来、自脱型コンバインにあつては、刈取穀稈
を、機体前部の刈取部から脱穀部に搬送する搬送
経路中で横倒状にし、この横倒姿勢で脱穀処理す
るようにしていたため、穀稈供給口からの穀粒飛
散が多く、またささり粒が穀稈から離れずらく排
稈とともに機外に排出してしまい、相当多量の穀
粒が機外損失してしまう欠点があつた。そこで、
穀稈を、穂先部が下側となる逆姿勢で脱穀処理す
るようにして、機外飛散を少なくするとともにさ
さり粒が穀稈から分離して下方に落下しやすく
し、穀粒の機外損失を減少せしめることができる
所謂懸垂型の自脱コンバインが提案されている
が、このものは、刈取穀稈を刈取部から脱穀部に
搬送する行程で逆姿勢となるように反転せしめな
ければならない必要上、横倒状にすればよい従来
のものに比し搬送体を長くしなければならず、し
かもこの長い搬送体の後方に脱穀部を設けること
になつて、機体長さが長くなつてしまう欠点が生
じる。

本発明は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃すべく創案されたものであつて、穀稈を、
穂先部が下側となる逆姿勢で脱穀処理できるよう
にしたものでありながら、機体長さを長くするこ
とのないコンバインにおける穀稈搬送装置を提供
することを目的としたものである。

本発明の構成を、図面に示された一実施例に基
いて説明すれば、１は自脱型コンバインの走行機
体であつて、該機体１の前部には刈刃２、分草体
３、梳起体４等を備えた刈取部５が設けられてい
る。６は刈取部５の後側一側に設けられた運転席
であつて、運転席６の他側方には機体前後方向に
向く軸芯を中心として回動する扱胴７を軸架した
脱穀部８が併設されている。

９は刈取穀稈の株元部を挾持した状態で反転せ
しめて穂先部が下側となる逆姿勢に変姿させなが
ら搬送する穀稈搬送体であつて、該穀稈搬送体９
は、刈取部５に臨む搬送始端側から脱穀部８の外
側後方に向けて後傾状に斜設されている。即ち、
穀稈搬送体９を構成する無端帯１０が刈取部５の
掻込輪体１１と同芯状に軸架された駆動プーリ１
０ａと脱穀部８側方上位位置に軸架された従動プ
ーリ１０ｂとの間にクロス掛けされており、刈取
部５で刈取られた穀稈の株元部が、無端帯１０
と、無端帯１０に沿つて対設されたガイド杆１１
との間に挾持搬送されることによつて、穀稈は第
１図に示す如く穂先部が機体外側方側に向けて倒
される如く反転して逆姿勢に変姿するようになつ
ている。１２は穀稈の穂先部を案内する穂部案内
体であつて、該穂部案内体１２は、搬送体９によ
つて反転しながら搬送される穀稈の穂先部を案内
すべく、基端部を梳起体４に固定し、先端部は搬
送体９の上側を経て機体外側に向けて延設してあ
る。

１３は穀稈補助搬送体の一実施例となる扱深さ
調節チエンであつて、該扱深さ調節チエン１３
は、穀稈搬送体９の搬送終端部から継送される逆
姿勢の穀稈を機体前方に向けて挾持搬送し、脱穀
部８よりも前位の搬送終端部からフイードチエン
１４に継送するものであるが、扱深さ調節チエン
１３は、穀稈搬送体９の搬送終端部上方近傍に設
けた回動支点１３ａを中心にして前方の搬送終端
側が上下揺動するように構成してあり、この扱深
さ調節チエン１３の揺動調節によつて扱深さ調節
できるようになつている。１５は扱深さ調節チエ
ン１３に沿つて対設された案内体である。脱穀部
８の外側板８ｂと対向する扱深さ調節チエン１３
の中間位置から搬送終端部を経て脱穀部８の前側
板８ａに開設された穀稈供給口１６に至る穀稈搬
送経路中には穀稈を案内する有底状の案内板１７
が設けられているが、案内板１７の底板１７ａは
穀稈供給口１６位置が最も低くなるように傾斜し
ており、穀稈供給口１６から飛散する穀粒が扱室
内に還元されるようになつている。１８はフイー
ドチエン１４に対設した挾扼レール、１９は穀粒
収納部である。

次に、叙述の如く構成した本考案の作用につい
て説明する。刈取部５で刈取られた穀稈は、穀稈
搬送体９によつて搬送される過程で反転し、逆姿
勢となつて扱深さ調節チエン１３に継送されて扱
深さ調節された後に、逆姿勢のままフイードチエ
ン１４と挾扼レール１８とに挾持搬送されながら
穂先側が穀稈供給口１６から扱室に供給されて扱
胴７によつて脱穀処理され機外に排出される。

上記の如き刈取脱穀作業において、穀稈は、刈
取穀稈を機体前側から脱穀部８の後方に搬送しな
がら穀稈姿勢を反転せしめる穀稈搬送体９と、穀
稈搬送体９の搬送終端側から機体前方に向けて穀
稈を逆姿勢のまま搬送せしめる扱深さ調節チエン
１３と、該扱深さ調節チエン１３の前側に位置す
る搬送終端から逆姿勢の穀稈を後方に向けて挾持
搬送し、脱穀部８に供給するフイードチエン１４
とによつて前後方向に略Ｓ字形状となるジグザグ
状に搬送されるため、穀稈を反転するために長い
搬送行程を必要とするものであつても、機体１の
前後長さは長い搬送距離に対応して長くすること
はない。しかも、穀稈搬送体９から扱深さ調節チ
エン１３への穀稈の継送及び扱深さ調節チエン１
３からフイードチエン１４への穀稈の継送は、各
搬送体の搬送方向とは逆方向となつた時点で行な
うようにしたため、扱深さ調節チエン１３あるい
はフイードチエン１４における穀稈の受継方向が
穀稈搬送方向と同方向になつて、円滑な穀稈の継
送を行なうことができる。

一方、穀稈の扱深さ調節は、長い穀稈搬送体９
によつて機体後側に搬送された穀稈を機体前側に
搬送せしめる扱深さ調節チエン１３によつて行な
われることになるが、穀稈は、穂先側が下方とな
り、穂先側の自重で常に略垂直状の逆姿勢に維持
されるため、扱深さ調節チエン１３を、穀稈搬送
体の搬送終端部近傍の支点１３ａを中心にして上
下揺動せしめるだけで扱深さ調節を行なうことが
できる。しかも、扱深さ調節チエン１３を支点１
３ａを中心にして上下に大きく変位せしめても、
平面視では扱深さ調節チエン１３の変位がわずか
で、特に穀稈搬送体９から扱深さ調節チエン１３
への継送位置での両者間の位置関係の変化はほと
んどないため、穀稈が自重で略垂直状の逆姿勢に
なつていることと相俟つて、穂先遅れのない理想
的な扱深さ調節をし、フイードチエン１４に継送
して脱穀処理することができる。

また、扱深さ調節チエン１３によつて挾持搬送
される穀稈は、穂先自重によつて逆の垂直姿勢を
維持しながら、案内板１７の側板１７ｂと脱穀部
８の外側板８ｂ及び前側板８ａとによつて形成さ
れた案内空間Ａに案内されて穀稈供給口１６に供
給されることになり、穀稈乱れを一段となくすこ
とができる。その上、案内板１７は有底状とする
ことができ、従つて、穀稈供給口１６から飛散し
た穀稈は、機外損失することはなく底板１７ａと
高い側板１７ｂとによつて形成された案内板１７
を利用して回収することができ、しかも案内板１
７によつて回収された穀稈は、穀稈供給口１６側
が最も低くなるように斜設された底板１７ａに案
内されて穀稈供給口１６から脱穀室に自動還元さ
れるため極めて都合が良い。

以上要するに、本発明は、機体前側で刈取つた
穀稈を、穂先側が下方となる逆姿勢に反転せしめ
ながら脱穀部の穀稈供給口よりも後方に搬送し、
該後方搬送位置から逆に前方に折返し移送して前
記穀稈供給口に逆姿勢で供給可能に構成したか
ら、穀稈を穂先側が下方となる逆姿勢で脱穀部に
供給できるようにしたものでありながら、脱穀部
に至る穀稈供給経路は、一旦穀稈供給口よりも後
方に搬送する長い搬送過程で穀稈を逆姿勢に反転
させたものを、逆に前方に折返し移送して逆姿勢
に反転された後方搬送位置よりも前方の穀稈供給
口に供給せしめることができるため、機体長さを
長くすることはなく機体全体をコンパクト化する
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明に係るコンバインにおける穀稈
搬送装置の一実施例を示したものであつて、第１
図はコンバインの全体概略側面図、第２図は同上
平面図、第３図は同上正面図、第４図は要部正面
図、第５図は穀稈の流れを示す作用説明図であ
る。 図中、１は機体、５は刈取部、８は脱穀部、９
は穀稈搬送体、１３は扱深さ調節チエン、１４は
フイードチエンである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 機体前側で刈取つた穀稈を、穂先側が下方と
   なる逆姿勢に反転せしめながら脱穀部の穀稈供給
   口よりも後方に搬送し、該後方搬送位置から逆に
   前方に折返し移送して前記穀稈供給口に逆姿勢で
   供給可能に構成したことを特徴とするコンバイン
   における穀稈搬送装置。