JPH0132832Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、植付苗の倒伏を防止するために、植
付苗に対して土を掻寄せる土寄せ具を、間欠的に
下降及び上昇の一連動作をするように駆動自在
に、かつ、苗取出口よりも下方において待機停止
するように設けた田植機に関する。

上記田植機は、苗植付爪による苗植付が完了し
た後に土寄せ具が泥土を植付面に対して掻寄せる
ように、土寄せ具と苗植付爪との作動タイミング
を設定しているのであるが、従来、苗を保持する
苗植付爪が待機姿勢にある土寄せ具を通過した後
に土寄せ具が下降作動を開始することとなるため
に、上端側ほど広がり状態にある苗の茎葉を下降
する土寄せ具で扱いてしまい苗を傷付けることが
あつた。

本考案の目的は、上述従来の実情に鑑みて、土
寄せ具の駆動構造に対する改良により、土寄せ具
が苗を傷付けることなく円滑かつ良好に土寄せ作
動するようにする点にある。

本考案の特徴構成は冒記田植機において、前記
土寄せ具の下降開始タイミングを、植付爪に対し
てそれに保持された苗のうち上方に位置する部分
が前記土寄せ具の待機停止位置を通過している時
点に定める機構を設けると共に、前記土寄せ具の
下降速度を、前記苗上方部分と土寄せ具の交差状
態が維持されるように定める機構を設けてある事
にある。

つまり、苗を保持する苗植付が待機姿勢にある
土寄せ具を通過した後、その保持苗の上部側部分
が土寄せ具を通過している時点で土寄せ具を下降
開始させ、かつ、その苗上部側部分との交差状態
を維持する状態で土寄せ具を下降させるものであ
るから、上端側ほど広がり状態にある苗の茎葉を
下降する土寄せ具で抜くことを確実に回避し得る
に至り、しかも、苗植付爪による苗植付完了後土
寄せ具が植付苗に対して土寄せ作動することとな
るから、土寄せによる植付苗の倒伏防止機能をも
確実に維持でき、全体として、苗を傷付けること
がなく、かつ、植付苗の倒伏をも十分に防止でき
る植付性能に極めて優れた田植機を提供し得るに
至つた。

次に本考案の実施例を例示図に基づいて詳述す
る。

第１図に示すように、駆動昇降操作自在な左右
一対の推進車輪１、及び、それとの協衝により機
体を接地支持する左右複数個の整地フロート２を
備えた機体フレーム３に、前部原動部４を設ける
と共に、後方延出操縦ハンドル５を取付け、そし
て、一定ストロークで横往復移動する傾斜苗のせ
台６、苗のせ台６に左右に並べて載置したマツト
状苗７の夫々の下端列に沿つて順次一株分づつの
苗を取出し泥面に植付ける複数の苗植付爪８、及
び、支持フロート９等諸装置を備えた苗植付装置
１０を、機体フレーム３の後部にリンク機構１１
を介して対機体昇降自在に連結し、もつて、機体
の走行に伴ない順序複数条の苗を植付ける歩行型
田植機を構成してある。

前記苗植付装置１０を機体フレーム３に連結す
るに、前記リンク機構１１を、それと機体フレー
ム３とに亘つて架設したスプリング１２により上
昇揺動側へ付設し、そのスプリング１２の引つ張
り付勢力をもつて、苗植付装置１０を機体に対し
て吊り下げ保持状態とすると共に、リンク機構１
１との連結部において苗植付装置１０を対機体ロ
ーリング自在に連結してある。

つまり、スプリング１２による吊り下げ保持作
用と支持フロート９の対地支持作用との協衝によ
り、機体のピツチングに対して苗植付装置１０の
対地植付高さを適切に維持し得るように、かつ、
機体が左右傾斜してもローリング機能により苗植
付装置１０を適正植付姿勢に維持できるようにし
てある。

次に、苗植付装置１０の植付駆動構造について
詳述する。

第２図及び第３図イ，ロ，ハ，ニに示すよう
に、苗植付装置１０の対機体昇降を許容する状態
で本機側からPTO軸１３を介して動力伝達を受
ける植付ミツシヨンケース１４に、苗のせ台６に
一体連結した横向き摺動軸１５を、一定ストロー
クで往復摺動自在に支承し、苗のせ台６を駆動す
るように構成してある。そして、植付ミツシヨン
ース１４からの動力を一本の横向き回転軸１６に
より各爪伝動ケース１７に分岐伝達して、そのケ
ース１７の先端部に支承した爪駆動軸１８を回転
駆動し、苗植付爪８を取付けた駆動軸１８クラン
ク部１８ａの回転作用、及び、そのクランク部１
８ａの回転に伴ない横向き軸芯Ｐ周りで植付爪８
と一体揺動する揺動アーム１９の植付爪８に対す
る姿勢保持作用、それら両作用により、苗のせ台
６からの苗の取出し、及び、苗の植付に亘つて各
苗植付爪８を所定軌跡で縦循環動作させるように
構成してある。

更に、苗植付爪８による苗植付に伴ない植付苗
に対して下降揺動により泥土を掻寄せる左右一対
の土寄せ具２０を、各苗植付爪８に対応させて設
けてあり、苗植付爪８により泥面に形成された植
付溝を埋めることによつて植付苗の倒伏を防止す
るように構成してある。

以下、土寄せ具２０の揺動駆動構造について詳
述する。

各爪伝動ケース１７に亘つて回転自在に取付け
た一本の横向き回転軸２１に土寄せ具２０を、各
苗植付爪８に対応位置させた状態で並設すると共
に、回転軸２１の左右中間適当箇所に固設したア
ーム２２と、１個の爪駆動軸１８に連設した延設
クランク部１８ｂとを、ロツド２３により連動連
結し、苗植付爪８の駆動に伴ない各土寄せ具２０
を一体的に上下揺動駆動するように構成してあ
る。更に詳述すると、ロツド２３とアーム２２と
は、ロツド２３にその長手方向に沿う状態で形成
した長穴２４に対してアーム２２に固設したピン
２２ａを係合させることにより連結されており、
他方、前記回転軸２１はそれに付設したスプリン
グ２５により土寄せ具２０上昇揺動側に付勢され
ている。

つまり、その長穴２４の融通作用及びスプリン
グ２５の付勢作用、更に、延設クランク部１８ｂ
とアーム２２との連動比設定、並びに、相対回転
設定により、土寄せ具２０を下記の如く作動させ
るように構成してある。

即ち、一植付工程当初において長穴２４の融通
作用、及び、スプリング２５の付勢作用により、
第３図イに示す如く、土寄せ具２０を、苗取り口
２６の下部に連設した苗ガイド２７の下端部近く
で待機停止させると共に、第３図ロに示すよう
に、苗植付爪８により保持された苗の上端側部分
が待機停止状態にある土寄せ具２０を通過する時
点で、長穴２４端部とピン２２ａの接当係止作用
により、ロツド２３の押し動作をもつて土寄せ具
２０の下降揺動を開始させる。

そして、延設クランク部１８ｂとアーム２２と
の上述設定により、苗の上端側部分との交差状態
を維持した状態で土寄せ具２０を下降揺動させ、
それに続いて第３図ハに示すように苗植付が完了
した後、植付苗に対して土寄せ作動させると共
に、第３図ニに示す如く、その下降揺動による土
寄せ作動が終了した時点からのロツド２３の引き
動作に伴ないスプリング２５の付勢力により土寄
せ具２０を待機停止位置まで上昇揺動させるので
ある。尚、図中２８は、スプリング２５の付勢力
に抗して土寄せ具２０を所定待機位置に停止させ
るためのストツパーである。

要するに、上述の如く土寄せ具２０を作動させ
ることにより、土寄せ具２０がその下降揺動に伴
ない苗の茎葉部を抜くことを確実に回避し、土寄
せ具２０による苗の損傷を防止しながらも苗植付
を倒伏なく確実に行なえるように構成してある。

尚、土寄せ具２０の具体的駆動構造は各種の構
成変更が可能であり、それら各駆動構造中におい
て、土寄せ具２０の下降開始タイミングを設定す
るに、上述の如く長穴２４のピン２２ａに対する
融通を利用するに代えて、苗植付爪８の動作に伴
ない回転するカムのアーム２２に対する一定タイ
ミングでの接当作用を利用したり、あるいは、植
付爪８の動作を機械的もしくは電気的に検出し、
その検出に基づいて土寄せ具２０への動力伝達を
植付爪８の動作に対応させて自動断続操作するよ
うに構成する等、各種の構成変更が可能であり、
それらタイミング設定のための機構を総称して下
降タイミング設定機構２４と称する。

また、土寄せ具２０と苗上部側部分との交差状
態を維持するように、土寄せ具２０の下降速度を
設定するに、上述の如く、延設クランク部１８ｂ
とアーム２２との連動比を設定するに代えて、土
寄せ具２０の駆動構造構成変更に伴ない、各連動
部材の連動比、つまり、一対の連動アームの長さ
比や連動ギア比等を設定する等、各種の構成変更
が可能であり、それらを総称して下降速度設定機
構１８ｂと称する。

本考案は、歩行型や乗用型等の各種型式の田植
機を対象とする。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施例を例示し、
第１図は全体側面図、第２図は苗植付装置駆動構
造を示す概略平面図、第３図イ，ロ，ハ，ニは
夫々植付爪と土寄せ具の作動状態を示す拡大側面
図である。 ８……植付爪、２０……土寄せ具、１８ｂ……
下降速度設定機構、２４……下降開始タイミング
設定機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 植付苗に対して土を掻寄せる土寄せ具２０を、
   間欠的に下降及び上昇の一連動作をするように駆
   動自在に、かつ、苗取出口２６よりも下方におい
   て待機停止するように設けた田植機において、前
   記土寄せ具２０の下降開始タイミングを、植付爪
   ８に対してそれに保持された苗のうち上方に位置
   する部分が前記土寄せ具２０の待機停止位置を通
   過している時点に定める機構２４を設けると共
   に、前記土寄せ具２０の下降速度を、前記苗上方
   部分と土寄せ具２０の交差状態が維持されるよう
   に定める機構１８ｂを設けてある事を特徴とする
   田植機。