JPH0210885Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、植付苗の倒伏を防止するために、植
付機構と、その植付機構により圃場に植付けられ
た植付苗に対して圃場の土を掻寄せる土寄せ具と
を備えるとともに、前記土寄せ具を前記植付機構
に連係させて駆動自在に設けた田植機に関する。

上記田植機は、植付爪の植付駆動時には土寄せ
具を常に駆動させるように構成されていた。しか
しながら、植付泥土が軟質な場合においては、泥
面に形成された植付爪突入溝に直ちに泥水が流入
し、溝を埋めてしまうので、苗に対して土寄せ具
により泥寄せを行なう必要が無いばかりか、かえ
つて、土寄せ具により泥水が跳ね上げられて植付
苗に泥をかぶせたり、また、不要に泥面を荒して
しまうなどの不都合があつた。

そこで、従来は、泥面の状態に応じて土寄せ不
要時には、土寄せ具を機体から取りはずしていた
が、土寄せ具に対する動力伝達構造をも分解解除
する必要があるために、土寄せ具の取り付け取り
はずし作業が極めて手間取る作業であり、土寄せ
具の取りはずしを伴なう植付作業の能率が大巾に
低下する問題があつた。

本考案の目的は、上述従来の実情に鑑みて、泥
面の状態に応じて土寄せ付要時には、土寄せ具の
作動を容易に停止できるようにすると共に、その
停止状態において土寄せ具が苗植付作業の支障と
ならないようにする点にある。

本考案の特徴構成は、冒記田植機において、前
記土寄せ具の駆動機構に、その前記植付機構と前
記土寄せ具とを連係作動させる連係機構の途中
に、その連係作動を断続切換自在な連係断続部を
設けるとともに、前記連係が断たれた状態で前記
土寄せ具を植付苗に対する非作用位置に保持する
姿勢維持機構を設けてある事にある。

つまり、植付機構と土寄せ具との間の連係を断
つと、土寄せ具が前記姿勢維持機構によつて植付
苗に対する非作用位置で確実に位置保持されるの
で、そのような状態で植付機構による苗植付作動
を行つても、土寄せ具は植付苗に対し何ら作用し
ない。従つて、土寄せ不要時において、従来のよ
うに土寄せ具を機体から取りはずしてしまう等に
比して、土寄せ具取りはずし作業の手間を省き、
植付作業能率を大巾に向上し得るに至り、しか
も、停止状態の土寄せ具が植付苗にひつかかり植
付苗を倒伏させたり傷付けることをも確実に回避
できて、良好な苗植付を行なえるに至つた。

次に本考案の実施例を例示図に基づいて詳述す
る。

第１図に示すように、駆動昇降操作自在な左右
一対の推進車輪１、及び、それとの協働により機
体を接地支持する複数個の整地フロート２を備え
た機体フレーム３に、前部原動部４を設けると共
に、一定ストロークで横往復移動する傾斜苗のせ
台５、及び、その傾斜苗のせ台５に左右に並べて
載置したマツト状苗Ｗの夫々の下端列から縦循環
動作により順次一株分づつの苗を取り出し泥面に
植付ける複数の植付機構としての苗植付爪６等諸
装置を備えた苗植付装置７を、機体フレーム３の
後端部に連結し、かつ、左右一対の操縦ハンドル
８を後方に延設し、もつて、機体の走行に伴ない
順次複数条の苗を植付ける歩行型田植機を構成し
てある。

前記苗植付爪６を駆動するに、第２図乃至第４
図に示すように、本機側ミツシヨンケース９から
動力伝達を受ける植付ミツシヨンケース１０から
の変速動力を、各植付爪伝動ケース１１に動力を
分岐伝達する一本の横向き回転軸１２、及び、そ
れら伝動ケース１１に内装したチエーン連動機構
１３を介して、各伝動ケース１１先端部に支承し
た植付爪駆動軸１４に伝達し、苗植付爪６を取付
ける駆動軸１４のクランク部１４ａの回転作用と
そのクランク部１４ａの回転に伴ない前後揺動す
る揺動アーム１５の植付爪６に対する姿勢保持作
用とにより、各苗植付爪６を、第３図及び第４図
に示すように、苗のせ台５からの苗の取り出し、
及び、泥面への苗の植付とに亘つて一定軌跡で縦
循環動作させるように構成してある。

更に、苗植付爪６の植付動作に伴つて上下揺動
し、その下降揺動により第４図及び第５図に示す
如く植付面に対して泥土を掻き寄せる左右一対の
土寄せ具１６を、各苗植付爪６に対応させて設
け、苗植付爪６により泥面に形成された苗植付溝
を各土寄せ具１６により順次埋めることによつて
植付苗の倒伏を防止するように構成してある。

以下、土寄せ具１６の駆動構造について詳述す
る。

第２図乃至第７図に示すように、前記各爪伝動
ケース１１に回転自在に支持された一本の横向き
回転軸１７に、左右一対づつの土寄せ具１６の
夫々を、各植付爪６に対応位置させた状態で並設
すると共に、その回転軸１７の左右中間適当箇所
に固設したアーム１８と前記爪駆動軸１４のクラ
ンク部１４ａとをロツド１９を介して連動連結
し、かつ、苗植付爪６による苗植付けが完了した
時点、土寄せ具１６の植付苗に対する土寄せが開
始されるように、アーム１８の長さ等により苗植
付爪６と土寄せ具１６の作動タイミングを設定
し、もつて、土寄せ具１６を適切な作動タイミン
グで苗植付爪６と連動動作させるように構成して
ある。

前記ロツド１９とアーム１８とによる連動構造
について更に説明すると、ロツド１９の対アーム
１８連結側端部にその長手方向に沿う係合長穴２
０を穿設し、かつ、ピン孔２１ａを穿設した係止
部材２１を、そのピン孔２１ａが長穴２０に対向
する状態でロツド１９に固設すると共に、アーム
１８に形成したピン孔１８ａ、及び、ロツド１９
の長穴２０、並びに係止部材２１のピン孔２１ａ
に亘つて挿通する連係断続部としての連結ピン２
２を、その先端部が係止部材２１のピン孔２１ａ
に対して係合する状態と係合を解除した状態とに
亘つて出退自在に構成し、かつ、付勢のスプリン
グ２３により連結ピン２２を係合状態側に付勢す
ると共に、操縦ハンドル８に取付けた操作レバー
２４と連結ピン２２とを、レリーズワイヤ２５を
介して連動連結してある。

つまり、操作レバー２４操作によりワイヤー２
５を緩めることによつて、スプリング２３の付勢
作用をもつて連結ピン２２を係止部材２１のピン
孔２１ａに係合させ、そのピン孔２１ａと連結ピ
ン２２との係止作用によりロツド１９とアーム１
８とを連動連結状態として、各土寄せ具１６を駆
動するように、また、操作レバー２４によりワイ
ヤー２５を引張り操作し、かつ、レバー２４案内
孔２４ａに形成した切欠部にレバー２４を保持す
ることによつて、連結ピン２２をスプリング２３
の付勢力に抗して係止部材２１だけから離脱させ
た状態に保持し、長穴２０の連結ピン２２に対す
る融通作用によりロツド１９とアーム１８とを非
連動状態として土寄せ具１６の駆動を停止すると
共に、そのレバー２４の駆動停止側への操作に伴
ない土寄せ具１６を上昇揺動する側に回転軸１７
を回転付勢するようにレバー２４に連動させた姿
勢維持機構としてのスプリング２６の付勢作用に
より、駆動停止された土寄せ具１６を上昇揺動姿
勢に位置保持するように構成してある。

以上要するに、各土寄せ具１６の駆動を断続操
作自在に構成すると共に、駆動停止状態において
各土寄せ具１６を植付苗に対する非作用姿勢、つ
まり、上昇揺動姿勢に自動的に保持し得るように
構成したことにより、たとえば、軟質圃場におい
て、土寄せ具１６による土寄せが不要で、かつ、
かえつて土寄せ具１６の作動による泥水の跳ね上
げ等不都合が生じる場合に、従来のように、土寄
せ具１６を機体から取りはずしてしまう等の手間
を省き、植付作業の能率を大巾に向上できるよう
にしてある。

尚、各土寄せ具１６を植付苗に対する非作用位
置で停止操作自在に構成するに、第８図に示すよ
うに、回転軸１７に固設されたアーム１８に、ロ
ツド１９長手方向に沿う長穴２７とそれに連結し
た状態のピン係止部２７ａを形成し、ロツド１９
端部に固設した連結ピン２８をそのピン係止部２
７ａに係合させることにより、ピン２８と係止部
２７ａとの係止作用をもつてロツド１９とアーム
１８とを連動状態とすると共に、アーム１８に対
する人為操作により連結ピン２８を長穴２７に係
合させることにより、長穴２７の融通作用をもつ
てロツド１９とアーム１８とを非連動状態とし、
かつ、回転軸１７に付設のスプリング２６により
停止状態の各土寄せ具１６を非作用位置に保持す
るように構成しても良い。あるいは、各苗植付爪
６と土寄せ具１６とを各種の連動機構により連動
すると共に、その連動機構中に土寄せ具１６への
動力伝達を断続する各種型式のクラツチを介装
し、かつ停止状態の土寄せ具１６を種々の構造の
ストツパー等により非作用位置に位置保持するよ
うに構成しても良く、土寄せ具１６を植付苗に対
する非作用位置で停止させるためにその駆動機構
中に介装される具体的操作構造は各種の構成変更
が可能である。

本考案は、土寄せ具を装備した歩行型や乗用型
等の各種型式の田植機を対象とするものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施例を例示し、
第１図は全体側面図、第２図は苗植付装置駆動構
造を示す概略平面図、第３図及び第４図は、夫々
苗植付爪及び土寄せ具の作動状態を示す側面図、
第５図は第４図の−線矢視図、第６図は土寄
せ具操作構造を示す概略斜視図、第７図は土寄せ
具の駆動断続構造を示す拡大断面図、第８図は別
実施例を示す側面図である。 ６…植付機構、１６…土寄せ具、２２…連係断
続部、２６…姿勢維持機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 植付機構６と、その植付機構６により圃場に植
   付けられた植付苗に対して圃場の土を掻寄せる土
   寄せ具１６とを備えるとともに、前記土寄せ具１
   ６を前記植付機構６に連係させて駆動自在に設け
   た田植機であつて、前記植付機構６と前記土寄せ
   具１６とを連係作動させる連係機構の途中に、そ
   の連係作動を断続切換自在な連係断続部２２を設
   けるとともに、前記連係が断たれた状態で前記土
   寄せ具１６を植付苗に対する非作用位置に保持す
   る姿勢維持機構２６を設けてある田植機。