JPH0132398Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、テレビなどの他の機器に電磁波障
害を与えるノイズを発生する放電加工装置、高周
波加療装置、通信用機器等を収容したり、他の機
器のノイズにより電磁波障害を受け易い医療用脳
波心電筋電検査、電子部品検査、電子環境試験等
を行なつたりするのに使用する電磁波シールド室
の庫口における電磁波シールド装置に関する。

この明細書において、「表」という語は屋外側
を指し、「裏」という語は屋内側を指すものとす
る。

従来技術とその問題点 電磁波シールド室としては、通常天井、床およ
び壁の屋内側および屋外側を向いた面が電磁波シ
ールド用導電シートで覆われたものが用いられて
いる。このような電磁波シールド室には人の出入
りや機器の搬出入のための庫口が形成されてい
る。この庫口は、閉鎖パネルによつて閉鎖される
ようになつている。ところが、庫口の周縁と閉鎖
パネルの周縁との間から電磁波が洩れて電磁波障
害をもたらす。このような電磁波障害をなくすに
は、庫口周縁と閉鎖パネル周縁とを通電しうる状
態に保ち、上記部分での電気の流れがとだえない
ようにすればよいことは既に知られている。そこ
で従来は、庫口の閉鎖パネルとして、断熱材製芯
材、芯材の表裏両面を覆う金属製皮材および周縁
に配置されかつ表裏両側から芯材と両皮材とを挾
む一対の挾着壁を有する横断面略コ字形の金属製
枠よりなるものを使用し、庫口の周縁に周壁の導
電シートと電気的に接続されかつ閉鎖パネルの片
面周縁部を受ける受部を有する金属製庫口枠が取
付けられるとともに、庫口枠の受部における閉鎖
パネル側を向く面に導電ガスケツトを取付けてお
き、閉鎖パネルで庫口を閉じたさいに導電ガスケ
ツトが閉鎖パネルの金属製枠の挾着壁に密接する
ようにしていた（実開昭59−14396号公報参照）。
ところが、コストを下げるために、閉鎖パネルと
して、組立式冷蔵庫や組立式クリーンルームに用
いられているものを共用することが考えられてい
るが、この場合のような問題がある。すなわち、
組立式冷蔵庫の閉鎖パネルは、断熱材製芯材、芯
材の表裏両面を覆う金属製皮材および周縁に配置
されかつ表裏両側から芯材と両皮材とを挾む一対
の挾着壁を有する横断面略コ字形のプラスチツク
製枠よりなるものであるから、従来の閉鎖パネル
の代わりにこの閉鎖パネルを使用しても、閉鎖パ
ネルで庫口を使用したさいに庫口枠と閉鎖パネル
との間を電気的に接続することができないという
問題がある。また組立式クリーンルームの閉鎖パ
ネルは、断熱製材芯材、芯材の表裏両面を覆う金
属製皮材および周縁に配置されかつ表裏両側から
芯材と両皮材とを挾む一対の挾着壁を有する横断
面略コ字形のアルミニウム押出型材製枠よりなる
ものであるが、枠の表面には電気絶縁性を有する
陽極酸化皮膜が形成されているから、従来の閉鎖
パネルの代わりにこの閉鎖パネルを使用しても、
閉鎖パネルで庫口を使用したさいに庫口枠と閉鎖
パネルとの間を電気的に接続することができない
という問題がある。

この考案の目的は、上記問題を解決した電磁波
シールド室の庫口における電磁波シールド装置を
提供することにある。

問題点を解決するための手段 この考案による電磁波シールド室の庫口におけ
る電磁波シールド装置は、屋内側を向いた面およ
び屋外側を向いた面のうち少なくともいずれか一
方が電磁波シールド用導電シートで覆われた周壁
に庫口が形成され、庫口が、芯材、芯材の表裏両
面を覆う金属製皮材および周縁に配置されかつ表
裏両側から芯材と両皮材とを挾む一対の挾着壁を
有する横断面略コ字形の枠よりなる庫口閉鎖パネ
ルで閉鎖される電磁波シールド室において、庫口
周縁と閉鎖パネル周縁との間を電磁波シールドす
る装置であつて、庫口の周縁に、閉鎖パネルの片
面周縁部を受ける受部を有する金属製庫口枠が、
周壁の導電シートに電気的に接続された状態で取
付けられ、庫口枠の受部における閉鎖パネル側を
向く面に導電ガスケツトが取付けられ、閉鎖パネ
ルの上記片面周縁部に、枠における挾着壁外面を
覆い、かつ閉鎖パネルで庫口を閉じたさいに導電
ガスケツトが当接する金属板が全周にわたつて取
付けられ、金属板の一部が、枠内方に突出させら
れ、金属板の皮材側への突出部と皮材との間に弾
性導電部材が介在させられているものである。

上記において、庫口の閉鎖パネルは、片開き式
および両開き式の形式で庫口の側縁部に開閉自在
に取付けられたり、締り金物によつて、庫口周縁
に１または２以上着脱自在に取付けられる。導電
ガスケツトとしては、導電性ゴム製のものおよび
弾性を有するガスケツト本体の表面がシート状導
電部材で覆われたものなどが用いられる。ガスケ
ツト本体としては、ネオプレン、シリコン等のス
ポンジ、または中空ゴムなどからなるものが用い
られる。シート状導電部材としては、金網状のも
の、金属繊維を織つてシート状としたもの、金属
繊維を不織布状に集めてシート状としたものおよ
び金属箔などが用いられる。弾性導電部材として
も、上記導電ガスケツトと同様な構成のものが用
いられる。

実施例 以下、この考案の実施例を図面を参照して説明
する。以下の説明において、左右とは第２図の左
右を指すものとする。

第１図には、この考案の装置を適用した電磁波
シールド室の全体が示されている。

電磁波シールド室１は組立式であつて、その天
井１ａ、床１ｂおよび周壁１ｃは、それぞれ発泡
ポリウレタン、発泡フエノール等からなる断熱材
製芯材４と、芯材４の両面を覆うアルミニウム
（アルミニウム合金も含む。以下同じ）等の金属
製皮材５と、周縁に配置されたプラスチツク製枠
８とよりなるサンドイツチ構造のパネル３を複数
枚接続することによつて構成されている。天井１
ａ、床１ｂおよび周壁１ｃにおける隣り合うパネ
ル３どうしの目地部、ならびに隣り合う天井パネ
ル３または床パネル３と周壁パネル３との目地部
においては、それぞれ適当な装置で皮材５どうし
が通電されることにより電磁波シールドされてい
る。そして、各パネル３の皮材５が天井１ａ、床
１ｂおよび周壁１ｃにおける電磁波シールド用導
電シートとなつている。また、床１ｂ上には補強
用耐水ベニヤ板６が敷設され、さらにその表面が
塩化ビニル製床仕上げ材７で覆われている。

周壁１ｃを構成する複数のパネル３のうち１枚
のパネル３における上端部を除いた部分が切除さ
れることにより、周壁１ｃにパネル３分の幅を有
する庫口１０が形成され、この庫口１０に片開き
式の形式で１枚の閉鎖パネル２０が開閉自在に設
けられている。庫口１０の周縁には、庫口１０に
屋外側から嵌め止められた横断面Ｌ形のアルミニ
ウム押出型材製枠状取付部材１１を介してアルミ
ニウム押出型材製庫口枠１３が取付けられてお
り、庫口枠１３が取付部材１１を介して庫口１０
が形成されたパネル３の上端残存部の表側皮材
５、庫口１０の左右両側のパネル３の表側皮材５
および床１ｂを構成するパネル３の下側の皮材５
に電気的に接続されている。庫口枠１３は、表側
縁が周壁１ｃ表面に一致しかつ裏側縁が周壁１ｃ
裏面よりも屋内側に突出した横断面長方形の中突
状本体１３ａと、本体１３ａの内周面の裏側端部
に枠内方に突出するように一体的に設けられ、か
つ閉鎖パネル２０の裏面周縁部を受ける受部１３
ｂとよりなる。受部１３ｂの表側を向いた面に
は、全周にわたつてガスケツト嵌合溝１５が設け
られ、この溝１５内に導電ガスケツト１６が嵌め
込まれている。庫口枠１３の上枠部分および左右
両縦枠部分においては、枠１３は、枠１３の裏方
突出部における枠外方を向いた面と、庫口１０が
形成されたパネル３の上端残存部の屋内側皮材５
および庫口１０の左右両側のパネル３の屋内側皮
材５との間にまたがつて配置されかつ庫口枠１３
およびパネル３にねじ止めされた横断面Ｌ形のア
ルミニウム押出型材製通電部材１２によつて、周
壁１ｃを構成するパネル３の屋内側皮材５と電気
的に接続されている。通電部材１２は化粧用カバ
ー１８で覆われている。下枠部分においては、庫
口枠１３は、枠１３の裏方突出部の下面と、床１
ｂを構成するパネル３の上部皮材５との間に介在
されられた弾性導電部材１４を介して該皮材５と
電気的に接続されている。弾性導電部材１４とし
ては、導電ガスケツト１６と同様に導電性ゴム製
のものおよび弾性を有する本体の表面がシート状
導電部材で覆われたものなどが用いられる。本体
としては、ネオプレン、シリコン等のスポンジ、
または中空ゴムなどからなるものが用いられる。
シート状導電部材１４ｂとしては、金網状のも
の、金属繊維を織つてシート状としたもの、金属
繊維を不織布状に集めてシート状としたものおよ
び金属箔などが用いられる。弾性導電部材１４は
押し潰された状態である。

閉鎖パネル２０は、発泡ポリウレタン、発泡フ
エノール等からなる断熱材製芯材２１と、芯材２
１の表裏両面を覆うアルミニウム等の金属製皮材
２２と、周縁に配置されかつ表裏両側から芯材２
１と両皮材２２とを挟む一対の挟着壁２４を有す
る横断面略コ字形のアルミニウム押出型材製枠２
３とよりなり、庫口枠１３の右側の縦枠部分にヒ
ンジ２５を介して取付けられている。枠２３にお
ける各挾着壁２４の内側には、挾着壁２４に押え
られる皮材２２を受ける皮材支持壁２６が設けら
れており、皮材２２の周縁部は、挾着壁２４と支
持壁２６との間に入り込んでいる。また、枠２３
の表面には電気絶縁性を有する陽極酸化皮膜が形
成されている。また、閉鎖パネル２０の屋内側を
向いた面の周縁部には、裏側の挾着壁２４を覆う
ように、ステンレス鋼等からなる帯状金属板２７
が全周にわたつて取付けられている。金属板２７
の幅は枠２３の挾着壁２４の幅よりも大きく、し
かも金属板２７の外周縁と挾着壁２４の外周縁と
が合致しているので、金属板２７の一部は皮材５
との間に挾着壁２４の厚みと等しい間隔をおいた
状態で枠内方に突出している。この突出部を２７
ａで示す。突出部２７ａと皮材５との間に、弾性
導電部材２８およびスペーサ２９が、弾性導電部
材２８が奥に来るように介在させられている。弾
性導電部材２８は弾性を有するガスケツト本体２
８ａの外周面がシート状導電部材２８ｂで覆われ
たものである。弾性導電部材２８は押し潰された
状態である。そして、金属板２７の突出部２７ａ
およびスペーサ２９を貫通したタツピングねじ３
０を閉鎖パネル２０にねじ込むことにより、金属
板２７および弾性導電部材２８が閉鎖パネル２０
に固定されている。

皮材５，２２の表面は通常塗膜で覆われている
ので、通電部材１２、弾性導電部材１４および弾
性導電部材２８と接する部分の塗膜は剥がされて
いる。また、アルミニウム押出型材製庫口枠１３
の表面は通常陽極酸化皮膜で覆われているので、
通電部材１２および導電ガスケツト１６との接触
部分の陽極酸化皮膜は剥がされている。

このような構成において、庫口１０を閉鎖パネ
ル２０で閉じたさいには、金属板２７が受部１４
の導電ガスケツト１６に密接し、両者が電気的に
接続される。したがつて、周壁１ｃを構成するパ
ネル３の皮材５と閉鎖パネル２０の皮材２２と
が、取付部材１１，１２、庫口枠１３、受部１４
に取付けられた導電ガスケツト１６、金属板２７
および弾性導電部材２８を介して電気的に接続さ
れ、庫口１０の周縁と閉鎖パネル２０の周縁との
間が電磁波シールドされている。第３図にはこの
考案の他の実施例が示されている。

第３図において、上記実施例と異なる点は、閉
鎖パネル２０がヒンジによつて開閉自在に設けら
れている代わりに、閉鎖パネル２０の周縁に配置
された複数の回転自在の締り金物３１および庫口
１０周縁に配置された受具３２により、着脱自在
に取付けられている点である。その他の構成は上
記実施例と同一である。

考案の効果 この考案の電磁波シールド室の庫口における電
磁波シールド装置によれば、芯材、芯材の表裏両
面を覆う金属製皮材および周縁に配置されかつ表
裏両側から芯材と両皮材とを挾む一対の挾着壁を
有する横断面略コ字形の枠よりなる閉鎖パネル
に、金属板が取付けられるとともに金属板と皮材
との間に弾性導電部材が介在させられているの
で、閉鎖パネルを、組立式冷蔵庫や組立式クリー
ンルームの庫口用の閉鎖パネルと共用することが
でき、しかも閉鎖パネルを取付けるためのヒンジ
や締り金物も共用することができる。したがつ
て、電磁波シールド室のコストを下げることが可
能となる。また、弾性導電部材が金属板で覆われ
ることになるので、弾性導電部材が直接導電ガス
ケツトと接触することはなくその耐久性が向上す
るとともに、弾性導電部材が直接目に触れること
がなくなり美観が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による電磁波シールド装置を
適用した電磁波シールド室の一部切欠き分解斜視
図、第２図は庫口を閉鎖パネルで閉鎖したさいの
庫口部分の一部を省略した拡大水平断面図、第３
図は同垂直断面図、第４図は第２図の部分拡大
図、第５図はこの考案の他の実施例を示す電磁波
シールド室の部分正面図、第６図は第５図の−
線にそう寛大断面図である。 １……電磁波シールド室、１ｃ……周壁、３…
…パネル、５……金属製皮材（電磁波シールド用
導電シート）、１０……庫口、１３……庫口枠、
１３ｂ……受部、１６……導電ガスケツト、２０
……閉鎖パネル、２１……芯材、２２……金属製
皮材、２３……枠、２４……挾着壁、２７……金
属板、２８……弾性導電部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 屋内側を向いた面および屋外側を向いた面のう
   ち少なくともいずれか一方が電磁波シールド用導
   電シート５で覆われた周壁１ｃに庫口１０が形成
   され、庫口１０が、芯材２１、芯材２１の表裏両
   面を覆う金属製皮材２２および周縁に配置されか
   つ表裏両側から芯材２１と両皮材２２とを挾む一
   対の挾着壁２４を有する横断面略コ字形の枠２３
   よりなる庫口閉鎖パネル２０で閉鎖される電磁波
   シールド室において、庫口１０周縁と閉鎖パネル
   ２０周縁との間を電磁波シールドする装置であつ
   て、庫口１０の周縁に、閉鎖パネル２０の片面周
   縁部を受ける受部１３ｂを有する金属製庫口枠１
   ３が、周壁１ｃの導電シート５に電気的に接続さ
   れた状態で取付けられ、庫口枠１３の受部１３ｂ
   における閉鎖パネル２０側を向く面に導電ガスケ
   ツト１６が取付けられ、閉鎖パネル２０の上記片
   面周縁部に、枠２３における挾着壁２４外面を覆
   い、かつ閉鎖パネル２０で庫口１０を閉じたさい
   に導電ガスケツト１６が当接する金属板２７が全
   周にわたつて取付けられ、金属板２７の一部が、
   枠内方に突出させられ、金属板２７の皮材２２側
   への突出部と皮材２２との間に弾性導電部材２８
   が介在させられている電磁波シールド室の庫口に
   おける電磁波シールド装置。