JPH0124900Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、複数個のコイルを必要とする各種電
子回路を極めてコンパクトに形成できるように工
夫した回路基板に関し、更に詳しくは板状磁性体
を櫛型構造にしてコイル部の巻線の容易化と磁気
的相互干渉の防止を図ることができるような磁性
回路基板に関するものである。

板状磁性体を回路基板として利用し、その磁気
特性を利用して回路板の一部にコイルを構成しよ
うとする考え方は、既に公知である。しかし、従
来提案されているものは、予め別の磁性コアに巻
線したものを回路板上に載置してそれによつて閉
磁路を構成させるタイプや、回路板中に２本のス
リツトを形成してそれに巻線を施しコイルを形成
するといつたタイプのものであつた。

そのため、前者のタイプでは構造的に複雑であ
り、厚型となつてしまうため複合小型部品用の基
板としては利用しにくいし、また後者のタイプは
巻線が非常に困難で、自動巻線には適さないとい
つた欠点がある。その他、両タイプとも複数のコ
イルを形成しようとすると磁気的な相互干渉が大
きく性能が低下するため、小型化できないといつ
た欠点がある。

本考案の目的は、上記のような従来技術の欠点
を解消し、構造簡単で自動巻線に適し、コイル相
互間の結合が小さく、それ故電子回路を小型化す
ることができ、かつ薄型化にも適するような複数
個のコイルを備えた磁性回路板を提供することに
ある。

そこで本考案は、板状磁性体を、両側から互い
に対向する如き切込み部を有する櫛型形状とする
とともに、それに形成するコイルの巻線位置、並
びに各コイルから発生する磁界の向きに工夫を加
え、全体として上記目的を達成できるように構成
されている。

以下、図面に基づき本考案について更に詳しく
説明する。第１図は本考案の一実施例を示す説明
図である。基板１は板状の磁性体によつて構成さ
れ、その両側から互いに対向するように５組の切
込部２が幅方向に形成されている櫛型構造であ
る。板状の磁性体としては例えばフエライトが好
適で、その場合には所望の櫛型形状にプレス成型
として焼結してもよいし、グリーンの状態で打抜
きあるいは切削によつて所望形状にし焼結しても
よい。焼結後、切込み加工することも可能である
が、一般に加工は困難であり不利である。

基板１の表面絶縁抵抗が充分高い場合には基板
表面に直接所望の回路パターン３を形成する。回
路パターン３は、例えば従来公知のスクリーン印
刷等の技法を用いて形成することができる。

もし、基板１の表面絶縁抵抗が低い場合には、
基板表面に絶縁被膜を形成し、その上に回路パタ
ーン３を形成すればよい。回路パターン３として
は、各種回路部品４を取付けたり、コイル５の端
末を処理するためのランドや配線パターンのほ
か、必要に応じて外部リードピン６を取付けるた
めのランド等を有するものである。

この実施例では、基板１の中央部及び両側の３
個所にコイル５が形成される。つまり、各コイル
は切込み部２の一つおきに形成され、かつ、第２
図に示すように、隣り合うコイルから発生する磁
界が逆向きとなるように構成されている。このよ
うに構成するため、これらコイルの巻線の方向並
びにコイルに流す電流の向き等を適宜に設定すれ
ば良にことは言うまでもない。

巻線の端末は基板１に形成した回路パターン３
のランド等で接続処理される。

このような基板１上には各種回路部品４を搭載
することができる。また、必要に応じて外部リー
ドピン６等を接続することもできる。それ故、各
回路部品や外部リードピン等を取付け後、樹脂モ
ールドするか、あるいはケースに封入すれば複合
回路素子を容易に構成することができる。つま
り、本考案の櫛型磁性回路板は、複数のコイルを
必須とする回路、例えばノイズフイルタやDC−
DCコンバータ等を単一の素子として作成する場
合の基板として特に有効である。

本実施例のように構成すると、各コイルによつ
て発生する磁束は、隣りのコイルとの間には巻線
されていない切込み部分が存在するため、近接し
た櫛歯状の部分を通るように磁路が限定され、隣
接するコイル間で磁気的影響を相互に及ぼし合う
度合を激減させることができる。また、各コイル
は、隣り合うコイルから発生する磁界が互いに逆
向きとなるように構成されているので、コイル相
互間の結合が生じにくい。これらの構成によつ
て、部品の実装密度を上げて小型化しても性能の
低下を防ぐことができる。

以上本考案の一実施例について説明したが本考
案はかかる構成のみに限定されるものではない。
例々ばコイル部は２個所もしくは４個所以上形成
されていてもよいし、切込み部の二つおきにコイ
ル巻線を施すようにしてもよく、また、切込み部
の形状や（幅や長さ等）も任意であつてよい。

本考案は上記のように構成した磁性回路板であ
るから、基板と一体的に複数個のコイルを形成す
ることができ、また構造簡単で自動巻線にも適
し、コイル相互間の結合が小さく、それ故、電子
回路を小型化することができ、かつ薄型化にも適
し、電子回路を単一パツケージ内に組込んだ機能
部品化する際の基板として特に有用であるなど、
実用的効果は非常に大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る櫛型磁性回路板の一実施
例を示す説明図、第２図はその各コイル部分の磁
界の向きを示す説明図である。 １……基板、２……切込み部、３……回路パター
ン、４……回路部品、５……コイル、６……外部
リードピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状磁性体の両側から互いに対向する如く３組
   以上の切込み部を形成し、これら切込み部の少な
   くとも１つおきにコイルを形成してなり、またこ
   れらのコイルを、隣り合うコイルが互いに逆向き
   の磁界を発生するよう構成するとともに、前記板
   状磁性体の表面に回路部品搭載用の導電パターン
   を形成したことを特徴とする複数のコイルを備え
   た櫛型磁性回路板。