JPH0118801Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車輛用エンジンのバルブ装置に係り、
特に、エンジンの気筒休止のためのバルブ停止機
構に関する。

市街地走行のように、アイドリングや比較的低
速走行の多い運行時に、多気筒の一部を選択的に
休止させることは、燃費対策の上で有効な手段と
され、その実用化が計られている。例えばロツカ
ーアーム上部にソレノイドコイルユニツトを設
け、ロツカーアームの支点を浮上させる方式、ロ
ツカーアーム自体に弁停止装置を組込み、油圧シ
リンダで弁動作をロツクする方式等が、従来試み
られている。しかしながら、前者ではロツカーア
ームの上部に比較的大きな設置スペースを要する
ためエンジン設計上問題があり、また後者は機構
が複雑で、装置の信頼性、耐久性に問題があり、
また互換性に乏しいものとなつている。

本考案は上記従来技術の問題点に鑑み、シリン
ダヘツド内へのコンパクトな組込みが可能である
と共に、簡易構成で信頼性、耐久性が高く、かつ
応用範囲の広いバルブ停止機構を提供することを
目的とする。

そして、この目的はシリンダヘツド上部に柱状
に穿設された凹穴部に、プランジヤと該プランジ
ヤを上下摺動させる駆動手段とを設け、ロツカー
アームの基端部を前記プランジヤに回動自在に軸
着し、前記ロツカーアームの基端には前記プラン
ジヤに係合して該ロツカーアームの必要以上の揺
動を規制するストツパー部を設け、かつバルブの
軸端に取付けられたリテーナに前記ロツカーアー
ムの先端部を案内する案内溝を設けたことを特徴
とするバルブ停止機構によつて達成される。

以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて
説明する。

第１図は本考案にかかるバルブ停止機構の原理
を示す要部断面図である。同図において、１はシ
リンダブロツク、２はシリンダヘツド、３はシリ
ンダヘツド２の上方に設けられたカムである。シ
リンダヘツド２には吸・排気通路４を開閉するご
とく、軸端にリテーナ６を固設してなるバルブ５
が装着されており、該バルブ５はシリンダブロツ
ク２とリテーナ６の間に介装されたスプリング７
の付勢により、常時は吸・排気通路４を閉じるよ
うに作用している。

一方、シリンダヘツド２のバルブ５に隣接した
箇所には、柱状の凹穴部８が穿設されており、該
凹穴部８に、ブラケツト部９を有するプランジヤ
１０が摺動可能に内装されると共に、その底部に
はピストン１１を有するシリンダ部１２が設けら
れる。そして、プランジヤ１０とピストン１１は
ガイド軸１３で連結されており、該ガイド軸１３
は、例えば角柱上に形成されてなり、プランジヤ
１０の回動を阻止して、その位置決め作用をな
す。またシリンダ部１２内の底部およびシリンダ
部１２の上方空所部に開口部を有する油穴ポート
１４ａ，１４ｂがシリンダヘツド２に設けられ、
さらにシリンダ部１２の上面に抜穴ポート１４が
設けられている。かかる構成によりピストン１１
に油圧が作用して、ピストン１１はシリンダ部１
２内を摺動し、これに連動してプランジヤ１０が
凹穴部８内を上下に摺動するものとなる。

１５は中央部を凸に折曲せられてなるロツカー
アームで、その一端部は軸１６を介してプランジ
ヤ１０のブラケツト９に軸１６にて回動可能に軸
着し、また他端部はバルブ５のステム頭頂面に当
接している。ここでロツカーアーム１５は、第２
図ａ，ｂに示すように、ブラケツト９の隙間へロ
ツカーアーム１５の基端部を嵌合し、軸１６で軸
支されるものとなるが、基端部の底面には切除部
１５ｂが形成されており、該切除部１５ｂがブラ
ケツト部９の底面９ａに当接してストツパーとし
て作用し、ロツカーアーム１５が必要以上に揺動
しないようになつている。またバルブ５とリテー
ナ６との係合は、第３図ａ，ｂに示すように、リ
テーナ６に形成してあるテーパー穴６ａに、分割
入れ子１７を介してバルブ５の軸端部を嵌合して
いる。なお、リテーナ６の上面には案内溝６ｂが
設けられており、前記ロツカーアーム１５の先端
部がこの案内溝６ｂに沿つて移動するようになつ
ている。

以上述べた構成により、通常運転時には、ロツ
カーアーム１５の揺動支点（軸１６部に相当）は
ピストン１１の上死状態で位置決めされる第１図
中実線位置にあり、カム３のＡ矢印方向への回転
によつて、カム３のノーズ部３ａがロツカーアー
ム１５の折曲部の頂部１５ａを押し下げ、これに
伴つてバルブ５が開弁状態となる。

一方、気筒休止に際しては、油穴ポート１４ｂ
から油圧が凹穴部８内に導入されて、ピストン１
１がＳストローク押し下げられる。これに伴つて
ロツカーアーム１５の揺動支点もＳストローク下
がり、ロツカーアーム１５は第１図中二点鎖線で
示すように、端部をステム５の頭頂面に平行接触
し、バルブ５は遊びの範囲内でわずか押し下げら
れる。しかして、かかる状態ではカム３のノーズ
部３ａは、第１図中二点鎖線で示すようにロツカ
ーアーム１５の上面、近接部を通過することとな
り、バルブ４の閉弁状態が維持される。

ここで、前記ピストン１１は別途設けた油圧制
御装置により適宜作動し得るものとなつており、
任意の気筒休止が可能となつている。またかかる
バルブ停止機構は車種が変わつても、ロツカーア
ーム１５の寸法、形状を変更するだけで、そのま
ま適用可能であり、非常に応用範囲の広いものと
なつている。

なお、プランジヤ１０の油圧駆動方式に代え例
えばラツク、ピニオン方式またはリンク方式のメ
カニズムの採用も可能である。

以上、詳細に説明したように、本考案にかかる
バルブ停止機構は、ロツカーアームの基端部をプ
ランジヤに軸着しかつバルブリテぶナにロツカー
アームの案内溝を設け、さらにロツカーアームの
基端には前記プランジヤに係合して該ロツカーア
ームの必要以上の揺動を規制するストツパー部を
設けたので、ロツカーアームの揺動支点が急激に
上下動してもその機能が安定的に維持され、装置
の信頼性、耐久性が高く、かつ安価に提供でき、
しかも応用範囲が著しく広い等の利点を有するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるバルブ停止機構の原理
を示す要部断面図、第２図ａ，ｂはロツカーアー
ムの揺動軸部の係止状態を示す外観図、第３図
ａ，ｂはバルブ軸端部構造を示す要部断面図と外
観図である。 ２…シリンダヘツド、８…凹穴部、１０…プラ
ンジヤ、１１…ピストン、１２…シリンダ、１３
…ガイド軸、１４ａ，１４ｂ…油穴ポート、１４
…抜穴ポート、１５…ロツカーアーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド上部に柱状に穿設された凹穴部
   に、プランジヤと該プランジヤを上下摺動させる
   駆動手段とを設け、ロツカーアームの基端部を前
   記プランジヤに回動自在に軸着し、前記ロツカー
   アームの基端には前記プランジヤに係合して該ロ
   ツカーアームの必要以上の揺動を規制するストツ
   パー部を設け、かつバルブの軸端に取付けられた
   リテーナに前記ロツカーアームの先端部を案内す
   る案内溝を設けたことを特徴とするバルブ停止機
   構。