JPH01163755A - 静電像現像用トナー - Google Patents

静電像現像用トナー

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JPH01163755A
JPH01163755A JP62320154A JP32015487A JPH01163755A JP H01163755 A JPH01163755 A JP H01163755A JP 62320154 A JP62320154 A JP 62320154A JP 32015487 A JP32015487 A JP 32015487A JP H01163755 A JPH01163755 A JP H01163755A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば電子写真法、静電印刷法、静電記録法
等において潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現
像するために用いられる静電像現像用トナーに関するも
のである。
〔技術の背景〕
例えば電子写真法においては、通常、光導電性感光体よ
りなる静電潜像担持体に、帯電、露光により静電潜像を
形成し、次いでこの静電潜像を、着色粒子であるトナー
によって現像し、得られたトナー像を通常は紙等の記録
材に転写した後、定着して可視画像を形成する。
トナー像を定着する方法としては、従来、ヒ−ターによ
りトナーを非接触の状態で加熱溶融して定着する方法、
有機溶剤によりトナーを溶解して定着する方法、トナー
を加圧して定着する方法、加熱ローラをトナーに直接接
触させてこれを溶融圧着して定着するいわゆる加熱ロー
ラ定着法等が知られているが、熱効率が高くて高速定着
が可能である観点から、加熱ローラ定着法が好ましい。
しかるに、最近においては、(イ>yt写機の過熱劣化
を抑制すること、(ロ)加熱ローラ定着器を作動させて
から加熱ローラが定着可能な温度にまで上昇するに要す
るウオームアツプタイムを短くすること、(ハ)紙等の
記録材に熱が吸収されることによる加熱ローラの温度低
下を小さくして連続して多数回にわたる安定した画像の
形成を可能にすること、(ニ)複写機の小型化および安
全性の向上の観点から、定着器に組み込まれるヒーター
の消費電力を低減させて加熱ローラの温度をより低ぐし
た状態で定着処理を可能にすること、等が強く要求され
ている。
従って、トナーにおいては、(1)より低温で良好な定
着を達成し得るものであること、すなわち優れた低温定
着性を有すること、が要請され、さらに、基本的に、次
のような条件が必要である。
(2)定着法として好ましい加熱ローラ定着法において
は、オフセット現象すなわち定着時に像を構成するトナ
ーの一部が加熱ローラの表面に転移し、これが次に送ら
れて来る記録材に再転移して画像を汚すという現象が発
生しやすいので、トナーに加熱ローラへの転移が生じに
くい性能すなわち耐オフセット性を付与せしめること。
(3)使用もしくは貯蔵環境条件下において凝集せずに
粉体として安定に存在し得ること、すなわち保存性が優
れていること。
(4)流動性が良好であって、現像性が優れていること
(5)潜像担持体の表面あるいはキャリア粒子の表面に
トナー物質が付着するいわゆるフィルミング現象の発生
が抑制されて、画質の良好な画像を多数回にわたり安定
に形成できること、すなわち耐久性が優れていること。
〔従来の技術〕
しかして、従来においては、以下のような技術が提案さ
れている。
■トナー用樹脂として、融点Tmが45〜150℃の結
晶性部分とガラス転移点Tgが0℃以下の非品性部分と
を化学的に結合してなる樹脂を用いる技術(特開昭50
−87032号公報参照)。
■トナー用樹脂として、融点Tmが45〜90℃の結晶
性部分と、当該結晶性部分の融点Tmより10℃高い温
度以下のガラス転移点Tgを有する非品性部分とを化学
的に結合してなる樹脂を用いる技術(特開昭59−34
46号公報参照)。
■トナー用樹脂として、エチレン、プロピレン、酢酸ビ
ニルから得られる結晶性重合体と、ビニル重合体とのグ
ラフト重合体を用いる技術(特開昭56−154740
号公報参照)。
■トナー用樹脂として、エチレン、プロピレン、酢酸ビ
ニルから得られる結晶性重合体と、不飽和ポリエステル
と、ビニル重合体とのグラフト重合体を用いる技術(特
開昭57−8549号公報参照〉。
■トナー用樹脂として、硬質成分と軟質成分とのブロッ
ク共重合体あるいはグラフト共重合体と、ガラス転移点
Tgが50℃以上で前記硬質成分と相溶性のある非品性
樹脂と、融点Tmが60℃以上で前記硬質成分と非相溶
性の結晶性樹脂との混合物を用いる技術(特開昭57−
32447号公報参照)。
■トナー用樹脂として、エチレン、プロピレン、酢酸ビ
ニルから得られる結晶性重合体にビニル系重合体をグラ
フト重合させて得られるグラフト共重合体と、当該グラ
フト共重合体の単量体と共通の単量体を過半量含むビニ
ル系単量体とジビニル系単量体とを共重合させて得られ
る架橋重合体との混合物を用いる技術(特開昭60−2
63953号公報参照) 。
■トナー用樹脂として、主鎖を構成する重合体ふよび側
鎖を構成する重合体の一方の重合体の表面張力γ、が3
4以上であり他方の重合体の表面張力γ、が34未満で
あるグラフト重合体を用いる技術(特開昭59−135
478号公報参照)。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記技術■乃至■においては、(1)低
温定着性、(2)耐オフセット性、(3)保存性、(4
)現像性、(5)耐久性のすべての点において十分満足
できるトナーを得ることがいまだ困難である。
すなわち、上記技術■では、トナー用樹脂の粘着性が高
いために常温下においても保存性が悪いうえ定着時にお
いてはオフセット現象が発生しやすく、また流動性が悪
いために現像性が不良となり、しかもフィルミング現象
が早期に発生するため耐久性が悪く、これらの結果得ら
れる画像がカブリの多い不鮮明なものとなる。
上記技術■では、トナー用樹脂が軟質となるため流動性
が悪くて現像性が不良となるうえ、定着時においてはオ
フセット現象が発生しやすく、またフィルミング現象が
早期に発生するため耐久性が悪く、これらの結果得られ
る画像はカブリの多い不鮮明なものとなる。
上記技術■、■および■では、流動性が悪いために現像
性が不良となり、その結果得られる画像は画像ヌケ等の
ある不鮮明なものとなる。
上記技術■では、圧力定着用のトナーであるため、熱ロ
ーラ定着方式ではオフセット現象の発生が著しい問題点
がある。
上記技術■では、低温での離型性が劣るためいわゆる耐
アンダーオフセット性が悪く、長期にわたって安定した
画像を得ることが困難である。
一方、低温定着性、耐オフセット性、保存性の向上を図
るために、 ■トナー用樹脂として、カルボキシル基を有する重合体
と、金属化合物とを反応させて得られる樹脂を用いる技
術(特開昭57−178250号公報、特開昭61−1
10155号公報、特開昭61−110156号公報参
照) が提案された。
しかし、この技術■では、耐ホツトオフセット性および
保存性は良好であるが、低温での離型性および定着性が
劣るため耐アンダーオフセット性が悪い。
本発明は、以上の如き事情に基づいてなされたものであ
って、(1)低温定着性、(2)耐オフセット性、(3
)保存性、(4)現像性、(5)耐久性のすべての点に
おいて十分満足できるトナーを提供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の静電像現像用トナーは、結晶性ポリエステルと
、数平均分子量Mnに対する重量平均分子11Mwの比
Mw /Mnの値が3.5以上であるイオン架橋された
無定形ビニル重合体とが化学的に結合してなるブロック
共重合体またはグラフト共重合体を含有してなることを
特徴とする。
〔発明の作用効果〕
本発明の静電像現像用トナーによれば、結晶性ポリエス
テルと特定のイオン架橋された無定形ビニル重合体とが
化学的に結合してなるブロック共重合体またはグラフト
共重合体を含有してなるので、(1)低温定着性、(2
)耐オフセット性、(3)保存性、(4)現像性、(5
)耐久性のすべての点において優れた効果が発揮される
。従って、本発明のトナーによれば、より低温で良好な
熱定着が可能であって、しかもカブリのない鮮明な画像
を多数回にわたり安定に形成することが可能となる。
すなわち、比Mw/Mnの値が3.5以上であるイオン
架橋された無定形ビニル重合体は、非加熱下においては
、強固な架橋結合が形成された状態であって強靭な特性
を有し、そのため結晶性ポリエステルの有する粘着性の
発現の抑制効果が著しく大きく、その結果保存性、流動
性、耐フィルミング性の向上効果が発揮され、そして熱
定着による加熱下においては、イオン架橋された無定形
ビニル重合体による適度な粘弾性により耐オフセット性
の向上効果が発揮されると共に、当該無定形ビニル重合
体のイオン架橋結合は共存結合よりも結合力が小さくて
加熱により切れやすいうえ、結晶性ポリエステルの有す
る良好な低温溶融性および紙等の記録材に対する良好な
浸透性との相乗作用により優れた低温定着性が発揮され
る。
このようにトナーが優れた低温定着性を発揮するため、
熱ローラ定着方式を適用するときには、熱ローラの設定
温度を従来より低くすることができ、そのため熱ローラ
の耐久性の向上を図ることができるうえ、ウオームアツ
プタイムの短縮化により迅速な画像形成が可能となる。
また、記録材の両面に画像を形成する場合にも、カール
、シワ等を招来せずに安定に画像を形成することができ
る。
〔発明の具体的構成〕
本発明においては、結晶性ポリエステルと、数平均分子
量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw /Mnの
値が3.5以上であって、かつイオン架橋されてなる無
定形ビニル重合体く以下「イオン架橋無定形ビニル重合
体」ともいう)とが化学的に結合してなるブロック共重
合体またはグラフト共重合体を必須成分として用いて静
電像現像用トナーを構成する。
本発明のトナーは、キャリアを混合しない一成分現像剤
、またはキャリアを混合する二成分現像剤のいずれのタ
イプにも適用することができる。
イオン架橋無定形ビニル重合体は、結晶性ポリエステル
とブロック共重合体またはグラフト共重合体を形成する
ための官能基を有することが必要である。斯かる官能基
としては、例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基、
エポキシ基等を好ましいものとして挙げることができる
斯かる官能基を有する単量体としては、例えばアクリル
酸、β、β−ジメチルアクリル酸、α−エチルアクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸
、クロトン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、こは
く酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、N−ヒド
ロキシエチルアクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、p−アミノスチレン、グリシジルメタクリレー
ト等を挙げることができる。このような官能基を有する
単量体は、イオン架橋無定形ビニル重合体を得るための
単量体組成物中に、0.1〜20モル%、好ましくは0
.5〜10モル%の割合で使用されることが好ましい。
また、イオン架橋無定形ビニル重合体は、イオン結合に
より架橋された構造の無定形ビニル重合体であることが
必要である。当該ビニル重合体としては、ポリスチレン
、ポリメタクリル酸メチノペポリアクリル酸メチル、ポ
リ塩化ビニ/lz、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニト
リル、その他を挙げることができる。なかでも、スチレ
ン系単量体、アクリル酸系単量体、メタクリル酸系単量
体から選択される少なくとも1種を必須成分として用い
て得られるビニル重合体であることが好ましい。
そして、特に、カルボキシル基を有するビニル重合体の
当該カルボキシル基に多価金属化合物が反応してイオン
架橋結合が形成されていることが好ましい。斯かるカル
ボキシル基を有するビニル重合体を得るためには、上記
単量体のほかに、アクリル酸もしくはメタクリル酸およ
びこれらの透導体から選択される単量体を必須成分とし
て用いて重合すればよい。
例えば水酸基を有するアクリル酸エステルもしくはメタ
クリル酸エステルまたはこれらの誘導体と、ジカルボン
酸化合物とのエステル化反応によって得られる構造の半
エステル化合物を好ましいものとして挙げることができ
る。斯かる半エステル化合物によれば、主鎖構成に影響
の少ない位置にカルボキシル基が導入されているので、
化学構造の立体障害が小さくなり、その結果カルボキシ
ル基と多価金属化合物との反応が効率よく進行してイオ
ン架橋結合が形成され、良好な架橋構造のイオン架橋無
定形ビニル重合体を得ることができる。
上記ビニル重合体を得るためのスチレン系単量体として
は、例えばスチレン、0−メチルスチレン、m−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、
p−エチルスチレン、2゜3−ジメチルスチレン、2.
4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−
tert−ブチルスチレン、p−n−へキンルスチレン
、p−n−オクチルるチレン、p−n−7ニルスチレン
、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン
、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−
クロルスチレン、3.4−ジクロルスチレン等を挙げる
ことができる。これらの単量体は単独で用いてもよいし
、あるいは複数のものを組合わせて用いてもよい。
上記ビニル重合体を得るためのアクリル酸エスチルもし
くはメタクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ/lz、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸
オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリ
ル、アクリル酸−2−10ルエチル、アクリル酸フェニ
ル、α−クロルアクリル酸メチル等のアクリル酸エステ
ル類;例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタク
リル酸イソブチル、メタクリル酸オクチノペメタクリル
酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸−2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸フエニノペメタクリル酸ジメチルアミノエチノペメ
タクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エス
テル類;等を挙げることができる。
前記半エステル化合物を形成するカルボキシル基を有す
る化合物としては、例えばマロン酸、こはく酸、グルタ
ル酸等の脂肪族ジカルボン酸化合物、例えばフタル酸等
の芳香族ジカルボン酸化合物等を挙げることができる。
これらの化合物と、水酸基を有するアクリル酸エステル
もしくはメタクリル酸エステルまたはこれらの誘導体と
をエステル化反応させることにより半エステル化合物を
得ることができる。上記ジカルボン酸化合物はハロゲン
族元素、低級アルキル基、アルコキシ基等によって水素
原子が置換されていてもよく、また酸無水物であっても
よい。そして、水酸基を有するアクリル酸もしくはメタ
クリル酸の誘導体゛としては、アクリル酸もしくはメタ
クリル酸にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド
等のアルキレンオキサイドを1モルまたは2モル以上付
加せしめたものでもよく、あるいはアクリル酸もしくは
メタクリル酸にプロピレングリコール等の2価アルコー
ルをエステル化反応させたヒドロキシアルキルエステル
であってもよい。
好ましい半エステル化合物としては、例えばこはく酸モ
ノアクリロイルオキシエチルエステノペこはく酸モノア
クリロイルオキシブロピルエステノペグルタル酸モノア
クリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノアクリ
ロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノアクリロイ
ルオキシプロピルエステル、こはく酸モノメタアクリロ
イルオキシエチルエステル、こはく酸モノメタアクリロ
イルオキシプロピルエステル、グルタル酸モノメタアク
リロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタアク
リロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタアク
リロイルオキシプロピルエステル等を挙げることができ
る。
カルボキシル基を有するビニル重合体の当該カルボキシ
ル基と反応させる多価金属化合物の金属元素としては、
例えばCu、 Ag、 Be、 Mg、 Ca、 Sr
Ba、 Zn、 Cd、 AI、 Ti、 Ge、 S
n、 V、  Cr、 Mo、 Mn。
Fe、 Ni、 Co、 Zr、 Se等を挙げること
ができる。
これらの中でもアルカリ土類金属(Be、 Mg、 C
a。
Sr、 Ba )および亜鉛族元素(Zn、 Cd)が
好ましく、特にMgおよびZnが好ましい。
これらの金属を含む多価金属化合物としては、例えば、
上記金属元素の、フッ化物、塩化物、塩素酸塩、臭化物
、ヨウ化物、酸化物、水酸化物、硫化物、亜硫酸塩、硫
酸塩、セレン化物、テルル化物、窒化物、硝酸塩、リン
化物、ホスフィン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、オルトケイ
酸塩、酢酸塩、シニウ酸塩、メチル化合物もしくはエチ
ル化合物等の低級アルキル金属化合物等を挙げることが
できる。これらのなかでも、特に上記金属元素の酢酸塩
、上記金属元素の酸化物が好ましい。
多価金属化合物の添加量は、カルボキシル基を有するビ
ニル重合体を構成する単量体の種類およびその量により
相違するので一概に規定することはできないが、例えば
当該ビニル重合体の1モルに対して、0.1〜1モル程
度である。
カルボキシル基を有するビニル重合体の当該カルボキシ
ル基に多価金属化合物を反応させるには、例えば溶液重
合法により重合して得られたカルボキシル基を有するビ
ニル重合体を含有する溶液に、前記多価金属化合物もし
くは当該多価金属化合物の分散溶液を混合し、昇温しで
約1〜3時間にわたり脱溶剤処理を行い、反応系内の温
度が150〜180℃程度に達した状態で1時間以上こ
の温度に維持して反応を完結させるのがよい。また場合
によっては、カルボキシル基を有するビニル重合体の重
合を開始する前に多価金属化合物を溶剤と共に反応系内
に存在させてもよく、あるいは上記脱溶剤処理を行って
得られたカルボキシル基を有するビニル重合体と多価金
属化合物とをロールミル、ニーダ、押出機等により溶融
混練することにより反応させてもよい。
このようにして、カルボキシル基を有するビニル重合体
と多価金属化合物とが反応して得られるイオン架橋無定
形ビニル重合体は、当該カルボキシル基を有するビニル
重合体のカルボキシル基と多価金属原子とがイオン結合
により結合され、このイオン結合により一種の架橋構造
が形成されたものとなる。このイオン結合は、共有結合
に比してはるかにゆるやかな結合である。
また、低温定着性、耐オフセット性のさらなる向上を図
る観点から、イオン架橋無定形ビニル重合体は、分子量
分布において少なくとも2つ以上の極大値を有すること
が好ましい。具体的には、分子量極大値の小さい低分子
量成分と分子量極大値の大きい高分子量成分の少なくと
も2群に分けられる分子量分布を有し、ゲル・パーミュ
エーション・クロマトグラフィ (GPC)により測定
された分子量分布曲線において、少なくとも1つの極大
値が2.000〜20.000程度の範囲内にあり、少
なくとも1つの極大値が100.000〜1.000.
000程度の範囲内にあるような、少なくとも2つの極
大値を有することが好ましい。また、上記高分子量成分
によりイオン架橋無定形ビニル重合体を一層強靭なもの
とすることが可能であるので、キャリアとの摩擦あるい
は潜像担持体との衝突においてトナー粒子破壊の抑制効
果が大きく、その結果フィルミング現象の原因となる微
粉の発生が抑制される。なお、上記高分子量成分の割合
は、イオン架橋無定形ビニル重合体の15重量%以上で
あることが好ましく、特に15〜50重量%が好ましい
イオン架橋無定形ビニル重合体が、上記の如く高分子量
成分と低分子量成分とにより構成される場合には、多価
金属化合物と反応するカルボキシル基が少なくとも低分
子量成分に導入されていることが好ましい。すなわち、
キャリアとの摩擦あるいは潜像担持体の表面との衝突に
よって生ずるトナー粒子の破壊は、主としてトナー粒子
中における低分子量の比較的もろい成分に起因するため
、このような低分子量成分を詳細は後述する多価金属化
合物によりいわばイオン結合により架橋して強靭なもの
とすることにより、トナー粒子の破壊によって生ずるフ
ィルミング現象の原因となる微粉の発生を有効に防止す
ることができる。
また、イオン架橋無定形ビニル重合体において、重量平
均分子量Mwと数平均分子量Mnの比1vh/Mnの値
が3.5以上であることが必要であり、特に4〜40が
好ましい。当該比Mw/Mnが過小のときには、十分な
耐オフセット性および耐久性が得られない。ここで、重
量平均分子11Mwおよび数平均分子量Mnの値は、種
々の方法により求めることができ、測定方法の相異によ
って若干の差異があるが、本発明においては下記の測定
方法によって求めたものである。
スナワチ、ゲル―パーミュエーション・クロマトグラフ
ィ (G P C) によって以下に記す条件で重量平
均分子量Mw、数平均分子量Mn、ピーク分子量を測定
する。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン
)を毎分1.2mj!の流速で流し、4度0.2 g 
/20m1!のテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量
として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあ
たっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の
対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定
条件を選択する。なお、測定結果の信頼性は、上述の測
定条件で測定したNB5706ポリスチレン標準試料(
重量平均分子1tMw =28.8X10’、数平均分
子IJMn−=13.7 X10’、 Mw /Mn 
=2.11)の比Mw/Mnの値が2.11十0.10
となることにより確認する。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足
するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい
。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東洋曹
達社製)等を用いることができる。なお、溶媒および測
定温度は、上記条件に限定されるものではなく、適宜性
の条件に変更してもよい。
イオン架橋無定形ビニル重合体として、既述のように分
子量分布曲線において少なくとも2つの極大値を有する
ものを好ましく用いることができるが、このようなビニ
ル重合体を得る方法としては特に限定されない。例えば
分子量極大値の大きい高分子量成分もしくは分子量極大
値の小さい低分子量成分のいずれか一方を得るための第
1段目の重合を行い、これにより得られた一方の成分を
、他方の成分を得るための単量体組成物中に溶解させて
第2段目の重合を行い、これにより他方の成分を生成さ
せることにより、結果として分子量分布曲線において少
な(とも2つの極大値を有する重合体を得ることができ
る。このように2段重合により得られる重合体は、低分
子量成分と高分子量成分とが、分子レベルで均一に混合
してなるものと推定される。この2段重合は、例えば溶
液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法により行う
ことができるが、特に溶液重合法が好ましい。
また、分子量分布曲線において少なくとも2つの極大値
を有する重合体は、分子量極大値の小さい低分子量の重
合体成分と、分子量極大値の大きい高分子量の重合体成
分とを混合することによっても得ることができるが、混
合により得られる重合体は、分子レベルにおいては、均
一に混合されていない場合があるので、上記2段重合に
よるのが好ましい。
また、低温定着性、耐オフセット性、耐久性のさらなる
向上を図る観点から、イオン架橋無定形ビニル重合体の
ガラス転移点Tgは、50〜100℃が好ましく、特に
50〜85℃が好ましい。ここで、ガラス転移点Tgと
は、示差走査熱量測定法(DSC)に基づいて測定され
た値であり、具体的には例えばrDsc−20J  (
セイコー電子工業社製)を用い、昇温速度10℃/m 
i nで測定した際に、ガラス転移点以下のベースライ
ンの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点
までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう
以上のイオン架橋無定形ビニル重合体とブロック共重合
体またはグラフト共重合体を形成する結晶性ポリエステ
ルは、少なくとも当該ポリエステルの一部に結晶構造を
有しているものであり、ホモポリマーあるいはコポリマ
ーにおいて少なくとも1成分が結晶性すなわち部分的に
結晶しているものをも含み、鋭く明瞭な融点を示すもの
であり、融点以下の温度における固体状態においては結
晶化部分による白濁化を示すものである。
斯かる結晶性ポリエステルとしては、低温定着性、流動
性の観点から特にポリアルキレンポリエステルが好まし
い。具体的には、例えばポリエチレンセバケート、ポリ
エチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリエ
チレンサクシネート、ポリエチレン−p−(カルボフェ
ノキシ)ウンデカエート、ポリへキサメチレンセバケ−
ト、ポリへキサメチレンセバケート、ポリへキサメチレ
ンデカンジオエート、ポリオクタメチレンドデカンジオ
エート、ポリノナメチレンアゼレート、ポリデカメチレ
ンアジペート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリデカ
メチレンアジペ−ト、ポリデカメチレンセバケート、ポ
リデカメチレンサクシネート、ポリデカメチレンドデカ
ンジオエート、ポリデカメチレンオクタデカンジオエー
ト、ポリテトラメチレンセバケート、ポリトリメチレン
ドデカンジオエート、ポリトリメチレンオクタデカンジ
オエート、ポリデカメチレンアゼレート、ポリへキサメ
チレン−デカメチレン−セバケート、ポリオキシデカメ
チレン−2−メチル−1,3−プロパン−ドデカンジオ
エート等を挙げることができる。
結晶性ポリエステルの融点Tmは、50〜120℃、 
  ゛特に50〜100℃が好ましい。融点TlTlが
過小のときには耐ブロッキング性が悪化しやすく、また
融点Tmが過大のときには低温定着性が悪化しやすい。
なお、この結晶性ポリエステルの融点Tmは、イオン架
橋無定形ビニル重合体と結合されていない状態で測定さ
れたものである。なお、融点Tmとは、示差走査熱量測
定法(DSC)に従い、試料10mgを一定の昇温速度
(10℃/min>で加熱したときの融解ピーク値をい
う。
また、結晶性ポリエステルとしては、その重量平均分子
量Mwが5.000〜50.000、数平均分子量Mn
が2.000〜20.000のものが好ましい。
結晶性ポリエステルの割合は、ブロック共重合体もしく
はグラフト共重合体において、3〜50重量%、特に5
〜40重量%が好ましい。結晶性ポリエステルの割合が
過小のときには低温定着性が悪化しやすく、逆に過大の
ときには耐オフセット性が悪化しやすい。
結晶性ポリエステルとイオン架橋無定形ビニル重合体と
は実質上非相溶であることが好ましい。
なお、実質上非相溶とは、結晶性ポリエステルとイオン
架橋無定形ビニル重合体とが十分には分散しないことを
いい、具体的には例えばフエドースの方法によるS、 
P、値(R,F、 Pedors、 Polym。
Bng、 Sci、、 14.  (2) 147 (
1974))の差が0.5より大きいことをいう。
結晶性ポリエステルとイオン架橋無定形ビニル重合体と
が化学的に結合してなるブロック共重合体もしくはグラ
フト共重合体を得るためには、例えば末端官能基間のカ
ップリング反応により頭−尾様式で互いに直接に結合さ
せ、あるいは末端官能基と二官能性カップリング剤によ
って結合することができる。例えば末端基が水酸基であ
る重合体とジイソシアネートとの反応により形成される
ウレタン結合、末端基が水酸基である重合体とジカルボ
ン酸との反応または末端基がカルボキシル基である重合
体とグリコールとの反応により形成されるエステル結合
、末端基が水酸基である重合体とホスゲン、ジクロルジ
メチルシランとの反応によって形成される他の結合等に
よって結合することができる。
斯かるカップリング剤としては、例えばヘキサメチレン
ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート
、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート等の二官能性イ
ソシアネート;例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、フェニレンジアミン等の二官能性アミン;
例えばシ二つ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸等の二官能性カルボン酸;
例、tlfエチレングリコール、プロピレングリコール
、ブタンジオール、ベンタンジオール、ヘキサンジオー
ル、シクロヘキサンジメタツール、p−キシリレングリ
コール等の二官能性アルコール;例えばテレフタル酸ク
ロリド、イソフタル酸クロリド、アジピン酸クロリド、
セバシン酸クロリド等の二官能性酸塩化物;例えばジイ
ソチオシアナート、ビスケテン、ビスカルボジイミド等
の他の二官能性カップリング剤等を挙げることができる
カップリング剤は、結晶性ポリエステルとイオン架橋無
定形ビニル重合体との合計量に対して、1〜10重量%
、特に2〜7重■%の割合で使用することが好ましい。
カップリング剤の割合が過大のときには得られるブロッ
ク共重合体もしくはグラフト共重合体の軟化点が高くな
りすぎて低温定着性が悪化しやすく、逆に過小のときに
は耐オフセット性が悪化しやすい。
本発明にふいては、以上の如き特定のブロック共重合体
またはグラフト共重合体をトナー用樹脂として用いるが
、必要に応じてその他の樹脂を併用してもよい。しかし
、上記ブロック共重合体またはグラフト共重合体のトナ
ーに右ける割合が、30重量%以上であることが好まし
い。
本発明のトナーには、必要に応じて種々の添加剤が含有
されていてもよい。斯かる添加剤としては、例えば着色
剤、荷電制御剤、定着性向上剤等がある。
着色剤としては、例えばカーボンブラック、ニグロシン
染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイ
エロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド
、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタ
ロシアニンブルー、マラカイトグリーンオフサレート、
ランプブラック、ローズベンガノペこれらの混合物、そ
の他を挙げることができる。
荷電制御剤としては、例えば金属錯体系染料、ニグロシ
ン系染料、アンモニウム系化合物等を挙げることができ
る。
定着性向上剤としては、ポリオレフィン、脂肪酸金属塩
、脂肪酸エステルおよび脂肪酸エステル系ワックス、部
分ケン化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール
、流動または固形のパラフィン系ワックス、ポリアミド
系ワックス、多価アルコールエステル、シリコーンオイ
ル、脂肪族フロロカーボン等を挙げることができる。特
に、環球法(JIS K 2531)による軟化点が6
0〜150℃のワックスが好ましい。
また、本発明のトナーには、さらに流動性向上剤あるい
は研磨剤として無機微粒子が添加混合されていてもよい
。斯かる無機微粒子は、−次粒子(個々の単位粒子に分
離した状態の粒子)の平均径が5層μ〜2pが好ましく
、特に51μ〜500肩μが好ましい。また、BET法
による比表面積は20〜500 m”/gが好ましい。
無機微粒子のトナーに対する添加割合は、0.01〜5
重量%が好ましく、特に0.01〜2.0重量%が好ま
しい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ
、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウ
ム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸
化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土
、酸化クロム、酸化。
セリウム、ベンガラ、二酸化アンチモン、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム
、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げる
ことができる。特にシリカ微粉末が好ましい。
このシリカ微粉末は、5i−0−3i結合を有する微粉
末であり、乾式法または湿式法で製造されたものが含ま
れる。また、無水二酸化ケイ素のほか、ケイ酸アルミニ
ウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグ
ネシウム、ケイ酸亜鉛等であってもよいが、5102を
85重量%以上含むものが好ましい。シリカの微粉末の
具体例としては、表面に疎水性基を有するものが好まし
く、例、tlfrアエロジルR−972」、「アエロジ
ルR−974」、「アエロジルR−8054、[アエロ
ジルR−812J  (以上、日本アエロジル社製)、
「タラノックス500J  (タルコ社製)等の市販品
を好ましく用いることができる。また、これらのほか、
シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シ
リコーンオイル、側鎖にアミンを有するシリコーンオイ
ル等により表面処理されたシリカ微粉末等を用いること
もできる。
また、本発明のトナーにはさらにクリーニング性向上剤
が添加混合されていてもよい。斯かるクリーニング性向
上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸等脂肪酸金属塩、例えばメチ
ルメタクリレート微粒子、スチレン微粒子等のポリマー
微粒子等を挙げることができる。
また、磁性トナーを得る場合には、磁性体の微粒子がト
ナー粒子中に含有される。斯かる磁性体としては、鉄、
フェライト、マグネタイトをはじめとする鉄、ニッケル
、コバルト等の強磁性を示す金属もしくは合金またはこ
れらの元素を含む化合物、強磁性元素を含まないが適当
な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合
金、例エバマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅
−錫等のマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれ
る種類の合金、二酸化クロム、その他を挙げることがで
きる。磁性体は、平均粒径が0.1〜1μ贋の微粉末の
形態で均一に分散されて含有されることが好ましい。そ
して磁性体の含有割合は、トナーの10〜70重量%が
好ましく、特に20〜50重量%が好まじり。
本発明に係るトナーは例えば次のようにして製造するこ
とができる。すなわち、トナー用樹脂あるいはさらに必
要に応じて添加剤を添加したものを、例えばエクストル
ーダーにより溶融混練し、冷却後ジェットミル等により
微粉砕し、これを分級して、所定の粒径のトナーを製造
することができる。あるいはエクストルーダーにより溶
融混練したものを溶融状態のままスプレードライヤー等
により噴霧もしくは液体中に分散させることにより所定
の粒径のトナーを製造することができる。
二成分現像剤とする場合においては、基本的には本発明
に係るトナーと、キャリアとが混合されて現像剤が構成
される。斯かるキャリアとしては、特に限定されず従来
公知のキャリアを用いることができる。具体的には、磁
性体粒子のみにより構成された非被覆キャリア、磁性体
粒子の表面が樹脂により被覆されてなる樹脂被覆キャリ
ア、樹脂粒子中に磁性体粒子が分散含有されてなる磁性
体分散型キャリア等を用いることができる。キャリアの
平均粒径は、20〜200 traが好ましく、特に3
0〜150 nが好ましい。ここで、キャリアの平均粒
径(重量)は、「マイクロトラック」 (日機装社製)
を用いて測定された値である。
本発明のトナーによれば、例えば次のようにして画像を
形成することができる。すなわち、電子写真法において
は、潜像担持体上に形成された静電潜像を、静電像現像
剤により現像し、得られた未定着トナー画像を紙等より
なる記録材に例えば静電転写し、次いで転写トナーを加
熱ローラ定着方式により定着し、もって定着トナー画像
を形成する。
加熱ローラ定着方式において用いられる加熱ローラ定着
器は、通常、加熱ローラと、これに対接配置された圧着
ローラと、加熱源とにより構成される。また必要に応じ
てクリーニング用ローラが加熱ローラに対接配置される
。加熱源により加熱ローラの温度を一定範囲の温度に維
持しながら、加熱ローラと圧着ローラとの間をトナーが
転写された記録材を通過させることにより、トナーを直
接加熱ローラに接触させて当該トナーを記録材に熱定着
する。なお、加熱ローラの表面の材質はフッ素系物質も
しくはシリコーン系物質であることが好ましく、本発明
のトナーとの相乗効果により加熱ローラ定着器の耐久性
を著しく向上することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明が
これらの実施例に限定されるものではない。
く結晶性ポリエステルの製造〉 (1)結晶性ポリエステル1 セバシン酸1500 gと、ヘキサメチレングリコール
964gとを、温度計、ステンレススチール製撹拌器、
ガラス製窒素導入管および流下式コンデンサーを備えた
容量51の丸底フラスコに入れ、次いでこのフラスコを
マントルヒーターにセットシ、ガラス製窒素導入管より
窒素ガスを導入して反応器内を不活性雰囲気に保った状
態で昇温させた。
そして13.2 gのp−)ルエンスルホン酸を加えて
温度150℃で反応させた。留出した水の量が250一
に達した時に反応を停止させ、反応系を室温に冷却して
分子末端に水酸基を有するポリへキサメチレンセバケー
トよりなる結晶性ポリエステルIを製造した。
この結晶性ポリエステル1の融点Tmは64℃、重量平
均分子量Mwは14.000である。
(2)結晶性ポリエステル2 結晶性ポリエステル1と同様にして、融点Tmが72℃
、重量平均分子量Mwが12.800のポリエチレンセ
パケートよりなる結晶性ポリエステル2を製造した。
(3)結晶性ポリエステル3 結晶性ポリエステル1と同様にして、融点Tmが92℃
、重量平均分子量Mwが14.800のポリエチレンサ
クシネートよりなる結晶性ポリエステル3を製造した。
(4)結晶性ポリエステル4 結晶性ポリエステルlと同様にして、融点T+nが77
℃、重量平均分子量Mwが8.370のポリデカメチレ
ンアジペートよりなる結晶性ポリエステル4を製造した
く無定形ビニル重合体の製造〉 (1)無定形ビニル重合体l 容量11のセパラブルフラスコにトルエン100重量部
を入れ、その中に、高分子量成分用単量体として、スチ
レン75重景部と、n−ブチルアクリレート25重量部
と、過酸化ベンゾイル0.2重量部とを加えて懸濁分散
し、フラスコ内の気相を窒素ガスによって置換した後、
温度80℃に昇温しで当該温度に15時間保って第1段
重合を行なった。なお、当該高分子量成分用単量体の単
独重合体における重量平均分子量Mwは461.000
、ガラス転移点Tgは61℃である。
その後、フラスコ内を温度40℃に冷却して、その中に
、低分子量成分用単量体として、スチレン85重量部と
、n−ブチルメタクリレート10重量部と、アクリル酸
5重量部と、過酸化ベンゾイル4重量部とを加えて、温
度40℃において2時間撹拌を続けた後、温度を80℃
に再昇温してその温度に8時間保って第2段重合を行な
った。なお、当該低分子量成分用単量体の単独重合体に
おける重量平均分子量Mwは8.200、ガラス転移点
Tgは64℃である。
次に、フラスコ内に、多価金属化合物である酸化亜鉛0
.5gを添加し、還流温度に保持して撹拌しながら2時
間にわたり反応を行なった。
その後、反応系を冷却して固形物を分離し、脱水および
洗浄を繰り返した後、乾燥して、ビニル重合体のカルボ
キシル基に酸化亜鉛が反応してイオン架橋結合が形成さ
れてなる無定形ビニル重合体1を製造した。なお、この
無定形ビニル重合体1は結晶性ポリエステルとの結合用
の官能基としてカルボキシル基を有するものである。
この無定形ビニル重合体1は、GPCによる分子量分布
においてピークが2つ存在し、高分子量側のピーク分子
量は363.000、低分子量側のピーク分子量は7.
590である。また、重量平均分子量Mwは165.0
00、比Mw/Mnの値は25.9、ガラス転移点Tg
は62℃、軟化点Tspは130℃である。
(2)無定形ビニル重合体2 gllIlのセパラブルフラスコにトルエン100重量
部を入れ、その中に、スチレン85重量部と、n−ブチ
ルアクリレート10重量部と、アクリロイルオキシエチ
ルモノサクシネート5重量部と、過酸化ベンゾイル1重
量部とを加えて懸濁分散し、フラスコ内の気相を窒素ガ
スによって置換した後、温度80℃に昇温しで当該温度
に5時間保って重合を行なった。
その後、さらに過酸化ベンゾイル4重量部を添加して温
度80℃で10時間にわたり重合を継続して行なった。
次に、フラスコ内に、多価金属化合物である酸化亜鉛0
.5gを添加し、還流温度に保持して撹拌しながら2時
間にわたり反応を行なった。
その後、トルエンをアスピレータおよび真空ポンプによ
り留去して、ビニル重合体のカルボキシル基に酸化亜鉛
が反応してイオン架橋結合が形成されてなる無定形ビニ
ル重合体2を製造した。なお、この無定形ビニル重合体
2は結晶性ポリエステルとの結合用の官能基としてカル
ボキシル基を有するものである。
この無定形ビニル重合体2は、GPCによる分子量分布
においてピークが1つであり、重量平均分子量Mwは8
3.000、比Mw /Mn o)値は7.5、ガラス
転移点Tgは67℃、軟化点Tspは127℃である。
(3)無定形ビニル重合体3 上記無定形ビニル重合体1の製造において、高分子量成
分用単量体として、スチレン75重量部と、n−ブチル
アクリレート20重量部と、グリシジルメタクリレート
5重量部と、過酸化ベンゾイル0.2重量部との混合物
30gを用い、低分子量成分用単量体として、スチレン
75重量部と、n−ブチルアクリレート10重量部と、
メチルメタクリレート10重量部と、グリシジルメタク
リレート2.5重量部と、アクリロイルオキシエチルモ
ノサクシネート2.5重量部と、過酸化ベンゾイル4重
量部との混合物100gを用いたほかは同様に処理して
、ビニル重合体のカルボキシル基に酸化亜鉛が反応して
イオン架橋結合が形成されてなる無定形ビニル重合体3
を製造した。なお、この無定形ビニル重合体3は結晶性
ポリエステルとの結合用の官能基としてエポキシ基を有
するものである。
この無定形ビニル重合体3は、GPCによる分子量分布
においてピークが2つ存在し、高分子量側のピーク分子
量は473,000、低分子量側のピーク分子量は7,
940である。また、重量平均分子量Mwは186.0
00、比Mw/Mnの値は33.1、ガラス転移点Tg
は62℃、軟化点Tspは136℃である。
なお、上記高分子量成分用単量体の単独重合体における
重量平均分子量Mwは925.000、ガラス転移点T
gは62℃であり、上記低分子量成分用単量体の単独重
合体における重量平均分子量Mwは9.610 、ガラ
ス転移点Tgは63℃である。
(4)無定形ビニル重合体4 (比較用)上記無定形ビ
ニル重合体1の製造において、酸化亜鉛を添加しないほ
かは同様に処理して、比較用の無定形ビニル重合体4を
製造した。この比較用の無定形ビニル重合体4は、結晶
性ポリエステルとの結合用の官能基としてカルボキシル
基を有するものである。
この比較用の無定形ビニル重合体4は、GPCによる分
子量分布においてピークが2つ存在し、高分子量側のピ
ーク分子量は355.000、分子量側のピーク分子量
は6.840である。また、重量平均分子量Mwは14
2.00口、比Mw /Mnの値は24.5、ガラス転
移点Tgは60℃、軟化点Tspは128.5℃である
〈トナー用樹脂の製造〉 (1) トナー用樹脂A 結晶性ポリエステル1の15重量部と、無定形ビニル重
合体1の85重量部と、p−)ルエンスルホン酸0.0
5重量部と、キシレン100重量部とを、容量31のセ
パラブルフラスコ内に入れ、温度150℃で1時間にわ
たり還流させ、その後キシレンをアスピレータ−および
真空ポンプにより留去して、結晶性ポリエステルとイオ
ン架橋無定形ビニル重合体とのグラフト共重合体よりな
るトナー用樹脂へを製造した。
(2)トナー用樹脂B−E 上記トナー用樹脂Aの製造において、結晶性ポリエステ
ルおよび無定形ビニル重合体を後記第1表に示す組合せ
に変更したほかは同様にして結晶性ポリエステルとイオ
ン架橋無定形ビニル重合体とのグラフト共重合体よりな
る各トナー用樹脂B〜Eを製造した。
(3)トナー用樹脂F(比較用) 上記トナー用樹脂への製造において、無定形ビニル重合
体lの代わりに比較用の無定形ビニル重合体4を用いた
ほかは同様にしてグラフト共重合体よりなるトナー用樹
脂Fを製造した。
実施例1 トナー用樹脂Aの100重量部と、カーボンブラック「
モーガルLJ  (キャポット社製>  10重量部と
、定着性向上剤「ワックスEJ  (ヘキスト社製)3
重量部とを混合し、加熱ロールにより溶融混練し、冷却
した後、粗粉砕しさらに超音速ジェットミルにより微粉
砕し、風力分級機により分級して、粉末を得た。
この粉末の100重量部に、疎水性シリカ微粉末「アエ
ロジルR−972J  (日本アエロジル社製)0.8
重量部をV型混合器により混合して、平均粒径11. 
Onの本発明に係るトナーlを製造した。
実施例2 実施例1において、トナー用樹脂へをトナー用樹脂已に
変更したほかは同様にして本発明に係るトナー2を製造
した。
実施例3 実施例1において、トナー用樹脂Aをトナー用樹脂Cに
変更したほかは同様にして本発明に係るトナー3を製造
した。
実施例4 実施例1において、トナー用樹脂Aをトナー用樹脂りに
変更したほかは同様にして本発明に係るトナー4を製造
した。
実施例5 実施例1において、トナー用樹脂Aをトナー用樹脂Eに
変更したほかは同様にして本発明に係るトナー5を製造
した。
比較例1 実施例1において、トナー用樹脂へを比較用のトナー用
樹脂Fに変更したほかは同様にして比較トナー1を製造
した。
比較例2 ゛ 実施例1において、トナー用樹脂へを、結晶性ポリエス
テル1の15重量部と、無定形ビニル重合体1の85重
量部との単なる混合物に変更したほかは同様にして比較
トナー2を製造した。゛比較例3 実施例1において、トナー用樹脂Aを、無定形ビニル重
合体1のみに変更したほかは同様にして比較トナー3を
製造した。
〈現像剤の調製〉 電子写真複写機rU −8ix 1600J  (コニ
カ側部)用のキャリアと、上記各トナーとを混合して、
トナー濃度が4重量%の各二成分現像剤を調製した。
く評価〉 (1)低温定着性の評価テスト セレン潜像担持体、二成分現像剤用の現像器を備えた電
子写真複写機rU −Bix 1600J  (コニカ
側部)改造機により、上記各現像剤を用いて静電潜像の
現像を行ない、現像により得られたトナー像を64 g
 /m”の紙よりなる記録材上に転写して未定着トナー
画像を形成した。
次いで、表層がテフロン(ポリテトラフルオロエチレン
)よりなる直径3Qmmの加熱ローラと、表層がシリコ
ーンゴムr K E −1300RT V J  (信
越化学工業社製)よりなる圧着ローラとを有してなる加
熱ローラ定着器により、線速度70mm/秒、線圧Q、
3 kg/cm、 ニーツブ幅4.9mmの条件で定着
する操作を、加熱ローラの設定温度を5℃ずつステップ
的に変化させた各温度において繰り返し、得られた定着
トナー画像に対してキムワイプ摺擦を施し、十分な耐摺
擦性を示す定着トナー画像に係る最低の設定温度(最低
定着温度)を測定した。
なお、上記加熱ローラ定着器は、シリコーンオイル等の
離型剤の塗布機構を備えていないものである。
(2)耐オフセット性の評価テスト 上記低温定着性の評価テストと同様にして定着トナー画
像を形成した直後、白紙の記録材を同様の条件下で加熱
ローラ定着器に送ってこれにトナー汚れが生ずるか否か
を目視により観察する操作を、加熱ローラの各設定温度
において行ない、トナー汚れが生じたときの最低の設定
温度(オフセット発生温度)を測定した。
(3)保存性の評価テスト 各トナー2gをサンプル管に採り、タフプデンサーによ
り500回タッピングした後、温度55℃、相対湿度2
6%の雰囲気下に2時間にわたり放置し、その後48メ
ツシユの篩により分別し、篩に残留した凝集物の割合を
測定した。
(4)耐久性の評価テスト 上記各現像剤を用いて、セレン潜像担持体、二成分現像
剤用の現像器および加熱ローラ定着器を備えた電子写真
複写機rU −Bix 1600J  (ゴニカ側製)
改造機により、常温常温環境条件下(温度20℃、相対
湿度60%)において、10.000回にわたる実写テ
ストを行ない、得られた画像を目視で観察することによ
り耐久性を評価した。
(5)流動性の評価テスト 流動性の高い粉粒体はど圧縮度が小さいことを利用して
、上記各トナーを、直径28mm、容積100艷の容器
に上方から疎充填してその重量を測定し、トナーの静カ
サ密度を求めた。評価は、静カサ密度が0.38 g 
/m1以上を「○J 、0.38g/ml!未満を「×
」とした。
以上の結果を第1表に示す。
第1表の結果からも理解されるように、本発明に係るト
ナー1〜5によれば、(1)低温定着性、(2)耐オフ
セット性、(3)保存性、(4)現像性、(5)耐久性
のすべての点において優れた性能が発揮される。
これに対して、比較トナー1は、トナー用樹脂Fを構成
する無定形ビニル重合体がイオン架橋無定形ビニル重合
体でないため、保存性が著しく悪く、そのため耐久性も
著しく劣る。
比較トナー2は、トナー用樹脂が、結晶性ポリエステル
とイオン架橋無定形ビニル重合体との単なる混合物であ
るため、低温定着性、耐オフセット性、保存性のいずれ
の点においても劣り、そのため耐久性も悪い。
比較トナー3は、トナー用樹脂が、イオン架橋無定形ビ
ニル重合体のみよりなるため、低温定着性が劣る。また
、アンダーオフセットによる画像汚れが早期に発生して
耐久性が劣る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1)結晶性ポリエステルと、数平均分子量Mnに対する
    重量平均分子量Mwの比Mw/Mnの値が3.5以上で
    あるイオン架橋された無定形ビニル重合体とが化学的に
    結合してなるブロック共重合体またはグラフト共重合体
    を含有してなることを特徴とする静電像現像用トナー。 2)イオン架橋された無定形ビニル重合体が、カルボキ
    シル基を有するビニル重合体の当該カルボキシル基に多
    価金属化合物が反応してイオン架橋結合が形成されてな
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の静電
    像現像用トナー。 3)イオン架橋された無定形ビニル重合体における結晶
    性ポリエステルと化学的に結合する官能基が、カルボキ
    シル基、水酸基、アミノ基またはエポキシ基であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項に記載
    の静電像現像用トナー。 4)イオン架橋された無定形ビニル重合体は、分子量分
    布において少なくとも2つ以上の極大値を有することを
    特徴とする特許請求の範囲第1項から第3項までのいず
    れか一に記載の静電像現像用トナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016014838A (ja) * 2014-07-03 2016-01-28 花王株式会社 電子写真用トナー

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