JPH0112924B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、立形小形デイーゼル機関のクランク
軸を支承するシリンダブロツクに関するものであ
る。

〔従来の技術とその課題〕

一般に、内燃機関におけるシリンダブロツク
は、爆発力をクランク系に伝達させる部材である
とともに、クランク系の慣性荷重、内部モーメン
トなどを支えなければならない最も重要な強度メ
ンバである。しかも、シリンダブロツクの設計の
良否は、機関の大きさ、重量、耐久性全般、更に
は騒音などにも大きな影響を及ぼし、これに加え
て、機関に必要な多数の部分品がこれに装着さ
れ、きわめて重要なメンバである。

ところで、小型汎用ガソリン機関のシリンダブ
ロツクは側蓋式といわれ、横架されたクランク軸
の一方端はシリンダブロツクに、他方端は側蓋に
支承されており、シリンダブロツクとクランクケ
ースとは一体化し、側蓋開口部よりピストンおよ
びクランク軸等を挿入して装着する構造になつて
いる。しかしながら、かかる構造を爆発力の高い
小型デイーゼル機関に転ずることは、例えば、デ
イーゼル機関の圧縮比が16〜20であるのに対しガ
ソリン機関のそれは５〜8.5であるので、それに
耐えるシリンダブロツクは格段の相違があること
から、しかもシリンダブロツクが前記のような重
要なメンバであるだけに、困難で現にデイーゼル
機関のシリンダブロツクに側蓋式というものは存
在しない。

しかしながら、本発明者らは、小型汎用ガソリ
ン機関の側蓋式シリンダブロツクの簡易性、ダイ
ヤキヤストによる量産性等のメリツトが捨てがた
く、鋭意試行した結果、この側蓋をトロコイドポ
ンプが内蔵できるような深い椀体に構成すること
により、側蓋式シリンダブロツクでもつてデイー
ゼル機関の爆発力に耐えられることに到達し、本
発明が完成されたのである。

〔課題を解決するための手段〕

すなわち本発明は、デイーゼル機関に側蓋式シ
リンダブロツクを適用するため創作されたもの
で、その要旨とするところは、機関のシリンダブ
ロツクの一側にボールベアリングの内外輪巾が略
面一となつて内蔵できるような深い椀体で形成
し、且つ該椀体の略深さの巾を有する補強リブを
備えた側蓋を取付け、横架されたクランク軸を該
側蓋および、該側蓋に対面したシリンダブロツク
で支承し、該側蓋に、クランク軸支承用の前記ボ
ールベアリングおよび、潤滑油を圧送するトロコ
イドポンプを該トロコイドポンプのケースを兼用
して内蔵するとともに、該側蓋の椀体をギヤケー
スと兼用したことを特徴とする立形小形デイーゼ
ル機関のシリンダブロツクにある。

〔実施例〕

以下、本発明の構成を添付図面に示す実施例に
もとづき詳細に説明する。第１図は本発明の実施
例である小形の空冷立形デイーゼル機関のシリン
ダブロツク部分におけるクランク軸の位置で切断
した断面図、第２図は同図におけるカム軸の位置
で切断した縦断面図を示す。

第１図において、１はシリンダブロツクとクラ
ンクケースとを一体としたシリンダブロツク、２
はこのシリンダブロツク１に横架したクランク
軸、３はシリンダブロツク１に装着した椀形の側
蓋で、このクランク軸２はシリンダブロツク１の
メタル４と、この側蓋３にその内・外輪幅が略面
一となつて内蔵されたボールベアリング５とで支
承されている。６はコンロツド、７はクランク歯
車で、第２図で示すカム歯車８と噛合う。なお、
側蓋３とシリンダブロツク１とは多数のボルト
（図示せず）でそのフランジ部にて固着している。

第２図において、１０はカム軸で、このカム軸
１０は、シリンダブロツク１のメタル１１と側蓋
３のボールベアリング１２とで支承されている。
１３，１３は吸排気弁用タペツト、１４はガバナ
歯車、１５はガバナウエイトを示す。

前記側蓋３とシリンダブロツク１とでオイルパ
ン１６を形成し、このオイルパン１６には側蓋３
よりオイルフイルタ１７を抜差自在に設けてい
る。また、側蓋３にはキリ孔１８を上下に貫通
し、その下端をオイルフイルタ１７と連通し、そ
の中間を、前記したガバナ歯車１４を固着した軸
１９と共通の軸とするトロコイドポンプ９に連通
し、また、このキリ孔１８の先端をクランク軸２
の油孔２０に連通している。

前記オイルフイルタ１７は、プラスチツク製の
筒体２１とプラスチツク製の網体２２とから構成
し、筒体２１の基部には前記キリ孔１８と連通す
る貫通縦孔２３を設け、この貫通縦孔２３は網体
２２内と連通する横孔２４が設けられている。そ
して、オイルフイルタ１７をプラスチツクの弾力
を利用して側蓋３の外方より押込んでいる。オイ
ルフイルタ１７の頭部はボルト３０および座金３
１より抜け止めされている。なお、２５はシール
を示す。

本実施例は以上のような構成になつているの
で、クランク軸２およびカム軸１０はともに、シ
リンダブロツク１と側蓋３とで支承されていて、
機関の爆発力等荷重を支持している。

殊に、側蓋３をボールベアリング５の内外輪幅
が面一となつて内蔵できるような深い椀体（以
下、深いとは同意味に用いる）で形成し、しかも
リブ３Ａを大きくとつており、この側蓋３をシリ
ンダブロツク１に取付け、ボールベアリング５や
シール２５を嵌め込むだけの壁厚ｔとしているの
で、クランク軸２に作用するデイーゼル機関の爆
発力に充分対抗できる構造にすることができた。
換言すれば、壁厚ｔを大きくし、リブ３Ａを大き
く設けることにより、深い椀体が形成できるの
で、該蓋３によりクランク歯車７およびカム歯車
８等のギヤケース２６が形成できる。

更に、側蓋３の壁厚ｔにキリ孔１８およびトロ
コイドポンプ９も設けられるので、ダイキヤス
ト、キリ孔加工等も、側蓋単体の加工としてその
生産性を向上することができた。

〔発明の効果〕

本考案によれば、 深い椀体で形成され、椀体の略厚さで横切つ
た補助リブを備えた側壁を、シリンダブロツク
の一側に取付けたので、側蓋を採用しながらデ
イーゼル機関の爆発力に耐える強度が充分確保
できる。

かかる側蓋である故、トロコイドポンプやギ
ヤを内蔵でき、しかも、側蓋をトロコイドポン
プケース、ギヤケースと兼用したので、部品点
数が節減でき、とかくデイーゼル機関は各部肉
厚が大となつて重量大であるが、その機関の重
量を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例で、クランク軸の位置
で切断した縦断面図、第２図は同実施例でカム軸
の位置で切断した縦断面図である。 １……シリンダブロツク、２……クランク軸、
３……側蓋、５……ボールベアリング、９……ト
ロコイドポンプ、２６……ギヤケース。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 機関のシリンダブロツクの一側にボールベア
   リングの内外輪巾が略面一となつて内蔵できるよ
   うな深い椀体で形成し、且つ該椀体の略深さの巾
   を有する補強リブを備えた側蓋を取付け、横架さ
   れたクランク軸を該側蓋および、該側蓋に対面し
   たシリンダブロツクで支承し、該側蓋に、クラン
   ク軸支承用の前記ボールベアリングおよび、潤滑
   油を圧送するトロコイドポンプを該トロコイドポ
   ンプのケースを兼用して内蔵するとともに、該側
   蓋の椀体をギヤケースと兼用したことを特徴とす
   る立形小形デイーゼル機関のシリンダブロツク。