JPH0110111Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、プレス機械、特にタレツトパンチ
プレスにおける金型保持装置に係わり、更に詳し
くは、タレツト上の金型ホルダに載置された金型
の高さを調節可能にしうるようにした金型保持装
置に関するものである。

一般に、パンチプレスでは、穴抜加工の他に、
パーリング、切起し、カウンターシンク、ルーバ
ー等の成形加工を行なうことができる。

また上記のような成形加工を行なう場合、成形
加工された製品を金型（例えばダイ、上型等）か
ら円滑に分離して排出するためのエジエクト機構
がパンチプレスに設けられている。

そして、プレス機械、特にタレツトパンチプレ
スにおいては、上記の穴抜加工用の金型と、エジ
エクト機構を設けた成形加工用の金型とが混在し
てたため次の様な問題点があつた。

工作物位置決装置によつて工作物を移動する
場合、成形加工用の金型のエジエクト機構の間
隙に工作物が進入し、工作物やプレス機械を破
損する場合がある。

パスラインを穴抜加工用の金型の上面に合わ
せて設定すると、成形加工用の金型が配列され
た近くでの穴抜加工においては、工作物が前記
パスラインより上に持ち上げられ、工作物が変
形したり、工作物の裏面が損傷したり、工作物
の移動が困難になる。

上記問題点が生じる範囲の工作加工を避け
た場合、成形加工の立上り寸法には、工作物の
材質からくる限界とは別に余分な限界が生じ
て、成形加工の限界寸法より極めて低い立上り
寸法でしか成形加工できない。

この考案は、上記の問題点を解決するために案
出されたもので、その目的とするところは、タレ
ツト上の金型ホルダに載置された成形加工用の金
型の高さを調節可能にして、加工精度や立上り寸
法の向上を図り、さらには工作物やプレス機械の
破損防止、作業能率の向上等を図るようにしたプ
レス機械における金型保持装置を提供するもので
ある。

以下、添付図面に基づいてこの考案の好適一実
施例を説明する。

第１図はこの考案を実施したNC装置付のタレ
ツトパンチプレス１の側面図を示すものであつ
て、ふところ部３を備えたブリツジ構造のフレー
ム５からなる前記タレツトパンチプレス１には、
板状の工作物Ｗ（ワークＷ）を支持する固定テー
ブル７と、工作物Ｗの位置決めを行なう工作物位
置決装置９と、パンチ１１を備えた円盤状の上部
タレツト１３及び金型保持装置２７に保持された
ダイ１５を備えた円盤状の下部タレツト１７とを
備えたタレツト装置１９とが設けられている。

また前記フレーム５には、上部タレツト１３の
パンチ１１を打撃する打撃子２１を備えたラム本
体２３が昇降自在に装着してあり、さらに、前記
タレツト装置１９には、多数の金型のみならず、
例えばタツピングユニツト２５を着脱自在に装着
するこもある。

前記固定テーブル７は、Ｃ型のフレーム５のふ
ところ部３の下方に位置する下部フレーム２９上
に設けられ、また前記工作物位置決め装置９は、
下部フレーム２９に架設したレール３１を介して
左右方向へ移動自在に支承された移動テーブル３
３と、該移動テーブル３３上に架設されたレール
３５を介して前後方向へ移動自在に支承されたキ
ヤリツジ３７と、更に該キヤリツジ３７に設けら
れた工作物Ｗを挾持するためのクランプ３９とか
ら構成され、工作物Ｗをタレツツト装置１９に対
して前後左右に位置決めできるものである。

前記タレツト装置１９は、前述のように前記ふ
ところ部３の上方に位置する上部フレーム４１
に、回転軸４を介して回転自在に支承された円盤
状の上部タレツト１３と、ふところ部３の下方に
位置する下部フレーム２９に回転軸４５を介して
回転自在に支承された円盤状の下部タレツト１７
とから構成され、上部タレツト１３と下部タレツ
ト１７とは、サーボモータ等の回転駆動装置（図
示せず）により同期して同一方向に回動されるも
のである。そして、前記上部タレツト１３の外周
付近には、複数のパンチ１１が支持されており、
前記下部タレツト１７には、前記複数のパンチ１
１に対応する複数のダイ１５が支持されている。

前記ラム本体２３は、前記上部フレーム４１に
上下動自在に支承されるとともに、前記上部タレ
ツト１３に支持された複数のパンチ１１が描く円
形の軌跡の上方に位置しており、その下面には、
前記パンチ１１を打撃する打撃子２１が装着して
ある。

次に前記下部タレツト１７に備えられた金型保
持装置２７の構成について説明する。

前記金型保持装置２７は、第２図及び第３図に
示すように成形加工用のダイ１５ａを保持し、ま
たは第４図及び第５図に示すように穴抜加工用の
ダイ１５ｂを保持し得るものである。

先ず、第２図及び第３図に示す成形加工用のダ
イ１５ａを保持する場合について説明する。

前記成形加工用のダイ１５ａは前記下部タレツ
ト１７に固定された金型ホルダ４７のガイド孔に
摺動自在に嵌挿されている。

前記加工用のダイ１５ａは、ダイベース４９
と、ダイチツプ５３と、工作物Ｗを排出するため
のエジエクタープレート５９等からなり、前記ダ
イベース４９の上の中心位置においてボルト５１
をを介して前記ダイチツプ５３が装着されてい
る。

前記ダイベース４９に弾性部材５５とボルト５
７とを介してエジエクタープレート５９が装着さ
れており、前記ボルト５７はエジエクタープレー
ト５９に螺合し、且つダイベース４９に摺動自在
に設けられており、エジエクタープレート５９の
上限位置を規制するものである。

また、前記ダイベース４９の下部にはボルト６
１を介してリング状の金型支持部材６３が固定さ
れており、この金型支持部材６３の下部にはフラ
ンジ部６５が形成されている。そして、前記フラ
ンジ部６５にはキー溝６９が形成されており、下
部タレツト１７に固定されたキー７１に係合して
いる。また、下部タレツト１７にはボルト７３を
介してサポート７５が装着されており、前記フラ
ンジ部６５を支承する。さらに、前記フランジ部
６５と、下部タレツト１７との間には、弾性部材
７９にガイドされるピン７７が設けられており、
前記金型支持部材６３を下方に押圧している。

前記下部タレツト１７の下部には、前記金型支
持部材６３を支承する流体圧作動装置８３が設け
られており、この流体圧作動装置８３の円筒状の
ピストンロツド８５の伸縮作動によつて、金型支
持部材６３が昇降される。前記ピストンロツド８
５の上下方向の中央部には、ピストン８７が一体
的に設けられており、このピストン８７がシリン
ダ８１の内部に、嵌挿されている。また前記シリ
ンダ８１の下部にはボルト８９を介して、シリン
ダキヤツプ９１が固定されていて、前記ピストン
８７の上部及び下部には、各々縮み側圧力室９３
ａ及び伸び側圧力室９３ｂが水密的に形成されて
いる。また、前記シリンダ８１の上部には、前記
縮み側圧力室９３ａに通じる給排口９５が設けら
れており、また前記シリンダキヤツプ９１には、
伸び側圧力室９３ｂに通じる給排口９７が設けら
れている。そして、前記給排口９５，９７より、
縮み側圧力室９３ａ或いは伸び側圧力室９３ｂに
作動圧流体が入れられ、ピストン８７は上方向或
いは下方向に押圧され、ピストンロツド８５が伸
縮作動する。

なお、前記流体圧作動装置８３の下部には、ピ
ストンロツド８５の上昇或いは加工を検出する検
出装置１０５が設けられており、この検出装置１
０５によつてピストンロツド８５が上昇位置にあ
るのが検知された場合、前記タレツト装置１９は
回転ができないようにされている。

また、前記金型保持装置２７には金型支持部材
６３の上下位置を検出する検出装置（図示せず）
が設けられており、この検出装置によつて、ダイ
１５が完全に加工されたことが確認されてから工
作物Ｗの位置決め或いは移動が行なわれるように
されている。

また、１０７はダイ押え部材であり、１０９は
空気孔であり、１１１は収容装置で工作物Ｗを収
容するためのものである。

次に、前記下部タレツト１７に、穴抜加工用の
ダイ１５ｂを載置する場合について説明すると、
上記の構成からなる金型保持装置２７において、
前記ボルト６１を取りはずして、成形加工用のダ
イ１５ａを上方向に抜き取り、第４図及び第５図
に示すように、ボルト６１を介して金型支持部材
６３に中間支持部材９９を固定し、この中間支持
部材９９上に穴抜加工用のダイ１５ｂを載置する
ものである。この場合、前記ダイホルダ４７に装
着されたキー１０１は前記穴抜加工用のダイ１５
ｂと、中間支持部材９９とに形成されたキー溝１
０３に係合する。

次に、上記の構成からなるこの実施例の作用に
ついて説明する。

先ず、前記下部タレツト１７に設けられた複数
の金型保持装置２７の１つに成形加工用のダイ１
５ａを装着しておく場合には、第２図及び第３図
に示すように、前記シリンダ８１に設けられた給
排口９５より、縮み側圧力室９３ａに作動圧流体
を入れ、ピストン８７を下方に押圧しピストンロ
ツド８５を下限の位置にさせておく。この作動に
よつて、金型支持部材６３と、成形加工用のダイ
１５ａも下降し、このダイ１５ａのエジエクター
プレート５９の上面はパスラインと一致させられ
る。

また、穴抜加工用のダイ１５ｂを装着しておく
場合には、第４図及び第５図に示すように、前記
シリンダ８１に設けられた給排口９５より、縮み
側圧力室９３ａに作動圧流体を入れて、ピストン
８７を下方に押圧し、ピストンロツド８５を下限
の位置にしておく。この作動によつて、金型支持
部材６３と、中間支持部材９９と、穴抜加工用の
ダイ１５ｂとが一体的に下降し、この穴抜加工用
のダイ１５ｂの上面はパスラインに一致させられ
る。

そして、上記のように成形加工用のダイ１５ａ
のエジエクタプレート５９の上面と、穴抜加工用
のダイ１５ｂの上面とがパスラインに一致した状
態において、工作物Ｗの位置決め及び移動がなさ
れ、且つ穴抜加工が行なわれるものである。

一方、成形加工を行なう場合には、シリンダー
キヤツプ９１に設けられた給排口９７より伸び側
圧力室９３ｂに作動圧流体を入れて、ピストン８
７を上方向に押圧しピストンロツド８５を上昇作
動させ、成形加工用のダイ１５ａのエジエクター
プレート５９の上面がＰ点の高さに達するまで金
型支持部材６３と、成形加工用のダイ１５ａとを
一体的に上昇させる。この状態で成形加工を行な
えば、工作物Ｗが底づきしたとき、前記エジエク
タープレート５９の上面は、穴抜加工用のダイ１
５ｂの上面と一致することになり、また、工作物
Ｗを排出する作動も行なわれることになる。

そして、成形加工の作業が終了すれば、また前
記シリンダ８１に設けられた給排口９５より縮み
側圧力室９３ａに作動圧流体を入れて、ピストン
８７を下方に押圧しピストンロツド８５を下方に
作動させ、前記エジエクタープレート５９の上面
をパスラインに一致させ、次の工作作業に移るこ
とになる。

以上のごとき実施例の説明より理解されるよう
に、要するに本考案の要旨は実用新案登録請求の
範囲に記載のとおりであるから、その記載より明
らかなように、本考案においては、下部タレツト
のガイド孔内に装着された形成加工用のダイはガ
イド孔内に上下動自在に内装されたリング状の金
型支持部材に着脱可能に支承されており、下部タ
レツトのガイド孔に対応して下部フレームに設け
られたシリンダ内には、前記金型支持部材を押し
上げ自在な円筒状のピストンロツドが上下動自在
に嵌合してなるものである。

したがつて、下部タレツトを適宜に回動して、
成形加工用のダイを円筒状のピストンロツドの上
方に位置決めすることにより、下部タレツトに対
して成形加工用のダイを上下動することができ、
特に成形加工用のダイの不使用時には、下部タレ
ツトに装着されたダイと同程度あるいはより低く
保持することができるものである。すなわち、成
形加工用のダイとその他のダイとを下部タレツト
に一緒に装着することによる前述のごとき従来の
不都合を解消し得るものである。

また、金型支持部材がリング状であること、お
よびピストンロツドが円筒状であるとにより、成
形加工用のダイに変えて打抜加工用のダイを金型
支持部材に支承せしめて使用するとき、例えば工
作物から打抜かれたスクラツプ等を何等の問題な
しに排出できるものである。

なお、この考案は上記の実施例のみに限定され
ず。適宜の変更を行なうことにより他の態様によ
り実施することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案を実施したNC装置付タレ
ツトパンチプレスの正面図、第２図は成形加工用
のダイを保持した状態の要部断面図、第３図は第
２図の平面図、第４図は穴抜加工用のダイを保持
した状態の要部断面図、第５図は第４図の平面図
である。 図面中に表わされた主要な符号の説明、４７…
…ダイホルダ、６３……金型支持部材、８３……
流体圧作動装置、１５……ダイ、９９……中間支
持部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プレス機械における上部フレーム４１に回動可
   能に支承された上部タレツト１３に備えられた複
   数のパンチ１１に対応する複数のダイ１５を装着
   するための複数のガイド孔を備えた下部タレツト
   １７を、プレス機械の下部フレーム２９上に回動
   可能に装着して設け、上記ガイド孔内に装着され
   た成形加工用のダイ１５ａを着脱可能に支承する
   リング状の金型支持部材６３を前記ガイド孔内に
   上下動自在に内装して設け、前記下部タレツト１
   ７のガイド孔に対応して下部フレーム２９に設け
   られたシリンダ８１内に、前記金型支持部材６３
   を押上げ自在な円筒状のピストンロツド８５を上
   下動自在に嵌合してなることを特徴とするプレス
   機械における金型保持装置。