JP7744752B2 - 自動車レインフォース用アルミニウム合金板 - Google Patents
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Description
尚、レインフォースはリンフォース、リーンフォース、reinforce、reinforcementとも呼ばれている。
このようなアルミニウムスクラップ材を再利用したアルミニウム合金板として、例えば、特許文献1に記載のアルミニウム合金板が知られている。
Siは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、1.2質量%未満であると十分な170℃熱処理後の耐力が得られず製品強度が不足する。一方、1.6質量%を超えると金属間化合物の割合が増加して、耐力が高くなりすぎることにより、成形性が悪化する。
Cuは、アルミニウム合金板の耐力向上及び耐食性に寄与し、0.2質量%を超えると耐食性が大幅に低下する。
Mnは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、0.8質量%未満であると十分な170℃熱処理後の耐力が得られず、製品強度が不足する。一方、1.2質量%を超えると、金属間化合物が粗大化して、やはり十分な170℃熱処理後の耐力が得られない。
Mgは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、0.45質量%未満であると十分な170℃熱処理後の耐力が得られない。一方、0.7質量%を超えると耐力が高くなりすぎて、伸びが低下する他、成形性が悪化する。
Znは、アルミニウム合金板の耐食性に寄与し、0.7質量%を超えると耐食性が悪化する。
Cr及びZrのそれぞれは、強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に寄与し、0.01質量%未満では上記効果が十分に得られず、0.10質量%を超えると上記の効果が飽和する他、多数の金属間化合物が生成されて、成形性に悪影響を及ぼすおそれがある。
Tiは、強度向上と鋳塊組織の微細化に寄与し、0.01質量%未満では上記効果が十分に得られず、0.10質量%を超えると、上記効果が飽和する他、粗大な晶出物が生じるおそれがある。
上記態様では、粗大なMg-Si化合物の存在割合を5.0×103個/mm2以下と適正化することにより、部品成型時のプレス成形性に必要な材料強度を確保しつつ、その後の部品塗装工程における負荷熱によって、時効硬化を生じさせて最終製品での高い強度を得ることができる。
ここで、EBSD(Electron BackScatter Diffraction)法における集合組織の表現は、圧延による板材の集合組織の場合、圧延面と圧延方向で表されており、圧延面は{hkl}で表現され、圧延方向は<uvw>で表現される。この表現を用いた場合、立方体方位(Cube方位)は、{001}<100>と表現され、Goss方位は{110}<001>と表現される。
上記Cube方位{001}<100>及びGoss方位{110}<001>では、結晶面(圧延面)上のすべり線は、曲げ軸に対して45°および135°と対称性を良好にすることができる。このため、上記態様では、圧延面の全結晶粒における立方体方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率との和(以下、方位面積率という)を一定以上に高めることで、曲げ外側におけるせん断帯形成が抑制され、曲げ加工性を大幅に向上できる。
熱間圧延の1回のパスの圧延速度が50m/min未満であると、素材の伸びや、立方体方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率との和(方位面積率)が低下するとともに、170℃熱処理後の0.2%耐力が低下するため、アルミニウム合金板の成形性や製品強度が低下する。
溶体化処理の加熱速度が100℃/秒未満であると、アルミニウム合金板の生産性が低下し、その保持温度が500℃未満であると溶質元素の再固溶が充分に進行せず、600℃を超えると板が溶融し破断するおそれがある。また、保持時間が15秒未満であると再固溶が充分に進行せず、120秒を超えるとアルミニウム合金板の生産性が低下する。
また、溶体化処理の冷却速度が10℃/秒未満であると、アルミニウム合金板の生産性が低下する。
溶体化処理後の室温保管が14日未満であると、時効硬化が不足し、アルミニウム合金板の強度が不足し、成形性が低下する。
本実施形態のアルミニウム合金板は、例えば、自動車のフード、トランクの内側に挿入されており、構造体の剛性を高めるために用いられるレインフォ―スメント等として用いられるいわゆるレインフォース材に加工される。このアルミニウム合金板は、アルミニウムスクラップ材を原料とするアルミニウム合金から形成されている。具体的には、アルミニウム合金板となるアルミニウム合金には、アルミニウムスクラップ材が50もしくは60質量%以上含まれており、全てアルミニウムスクラップ材により形成されていてもよい。
また、このようなアルミニウムスクラップ材は、アルミニウム圧延工場や各種使用済みアルミニウム合金部品のくずからなる。
Siは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、1.2質量%未満であると、後述する170℃熱処理後の耐力が十分に得られず製品強度が不足する。一方、1.6質量%を超えると金属間化合物の割合が増加して、耐力が高くなりすぎることにより、成形性が悪化する。
Cuは、アルミニウム合金板の耐力向上及び耐食性に寄与し、0.2質量%を超えると耐食性が大幅に低下する。
Mnは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、0.8質量%未満であると十分な170℃熱処理後の耐力が得られず、製品強度が不足する。一方、1.2質量%を超えると、金属間化合物が粗大化して、やはり十分な170℃熱処理後の耐力が得られない。
Mgは、アルミニウム合金板の耐力向上に寄与し、0.45質量%未満であると十分な170℃熱処理後の耐力が得られない。一方、0.7質量%を超えると耐力が高くなりすぎて、伸びが低下する他、成形性が悪化する。
Znは、アルミニウム合金板の耐食性に寄与し、0.7質量%を超えると耐食性が悪化する。
Cr及びZrのそれぞれは、強度向上と結晶粒の微細化および組織の安定化に寄与し、0.01質量%未満では上記効果が十分に得られず、0.10質量%を超えると上記の効果が飽和する他、多数の金属間化合物が生成されて、成形性に悪影響を及ぼすおそれがある。
Tiは、強度向上と鋳塊組織の微細化に寄与し、0.01質量%未満では上記効果が十分に得られず、0.10質量%を超えると、上記効果が飽和する他、粗大な晶出物が生じるおそれがある。
なお、平均結晶粒径は25μm以下がより好ましい。0.2%耐力は125MPa以上150MPa以下がより好ましい。また、170℃熱処理後の耐力は185MPa以上がより好ましい。
なお、導電率が40%IACS未満である場合、及び45%IACSを超える場合、アルミニウム合金板に対する各添加元素の固溶度が適切な範囲外となるため、0.2%耐力及び170℃で20分間の熱処理後の0.2%耐力が低下する可能性がある。また、導電率が45%IACSを超えると金属間化合物が粗大化する傾向にあることから、耐食性がやや低下する可能性がある。
この導電率は42%IACS以上44%IACS以下がより好ましい。
アルミニウム合金板は、以下の手順にて製造される。まず、50質量%以上のアルミニウムスクラップ材を含んだ上記組成のアルミニウム合金に対して、溶解鋳造処理、均質化処理、均熱処理、熱間圧延処理、冷間圧延処理、溶体化処理及び時効処理をこの順で施すことにより製造する。以下、具体的に説明する。
50質量%以上のアルミニウムスクラップ材を含んだFe:0.5質量%以下、Si:1.2質量%以上1.6質量%以下、Cu:0.2質量%以下、Mn:0.8質量%以上1.2質量%以下、Mg:0.45質量%以上0.7質量%以下、Zn:0.7質量%以下を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金を溶解してアルミニウム合金溶湯を生成する。そして、アルミニウム合金溶湯を半連続鋳造法(DC鋳造)により鋳造する。
なお、鋳造法については、半連続鋳造法に限らず、連続鋳造法等、その他の常法を用いてもよい。また、アルミニウム合金鋳塊に対して、均質化処理の前後に面削加工を実施してもよい。
半連続鋳造法により得られた鋳塊に対して、偏析など不均質な組織を除去する事を目的に均質化処理を実施する。高温の均質化処理により、鋳造時にマトリクスに過飽和に固溶した添加元素が金属間化合物として析出する。析出する金属間化合物のサイズや分散量は均質化処理の温度、時間に影響を及ぼされるため、添加元素の種類に応じた熱処理条件を選択する必要がある。
なお、均質化処理の保持温度が500℃未満であると、鋳造時に発生する偏析が残存し、充分な均質化が実施できず、その保持温度が600℃を超えると鋳塊が溶融するおそれがある。また、保持時間が2時間未満であると均質化が充分に進行しない場合がある。
均質化処理がなされた鋳塊に対して均熱処理を実施する。この均熱処理は、均質化処理よりも若干低い温度で実行され、例えば、480℃以上550℃以下の温度で1時間以上保持する。なお、均熱処理と熱間圧延前の均熱処理を兼ねて実施しても良い。
均質化処理がなされた鋳塊(均熱処理がなされた場合には、均熱処理がなされた鋳塊)に対して熱間圧延処理を実施する。この熱間圧延は、500℃前後の高温で実施される。具体的には、出側の温度が400℃~460℃となる熱間粗圧延後、シングルリバース式の熱間仕上圧延機に50m/min以上の圧延速度で3回通過させることにより、板材の厚さを2mm~6mmとする。具体的には、圧延速度が50m/min以上150m/min以下で、巻取り温度を350℃以上400℃以下の条件で熱間仕上げの1パス目を実行する。次に、圧延速度が50m/min以上150m/min以下で、巻取り温度を330℃以上380℃以下の条件で熱間仕上げの2パス目を実行する。最後に、圧延速度が150m/min以上300m/min以下で、巻取り温度を230℃以上330℃以下の条件で熱間仕上げの3パス目を実行する。
本実施形態では、上記熱間仕上圧延の条件を種々変更する事で材料の集合組織を制御し、最終圧延品における圧延面の立方体方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率との和(方位面積率)を所望の範囲に調整した。
次に、熱間圧延後の板材に対して、冷間圧延処理を実施する。この冷間圧延処理の方法は、特に限定されないが、例えば、圧延機に板材を通過させることにより実施できる。この冷間圧延後の板材の厚さは、例えば、0.8mm以上2.5mm以下とされる。
冷間圧延処理後の板材に対して、溶体化処理を実施する。この溶体化処理では、板材を100℃/秒以上の加熱速度で500℃以上550℃以下に加熱して15秒以上120秒以下保持してから、200℃/秒以上の冷却速度で100℃以下に冷却する。
なお、溶体化処理の加熱速度が100℃/秒未満であると、アルミニウム合金板の生産性が低下し、その保持温度が500℃未満であると再結晶化が充分に進行せず、600℃を超えるとアルミニウム合金板が溶融し破断するおそれがある。また、保持時間が15秒未満であると再結晶化が充分に進行せず、120秒を超えるとアルミニウム合金板の生産性が低下する。また、溶体化処理の冷却速度が200℃/秒未満であると、アルミニウム合金板の生産性が低下する。
最後に、溶体化処理が施された板材に対して、室温で14日以上保管するか、50℃で72時間保持する室温相当の時効処理を実行する。これらアルミニウム合金板の圧延終了後の時効処理後の耐力、伸びは当該製品のプレス成形性に大きく影響する。この時効処理後のアルミニウム合金板の0.2%耐力が100MPa以上155MPa以下で、伸びが20%以上となる。
実施例1~17及び比較例1~12の原料となるアルミニウム合金の組成(成分)は、表1に示す通りとした。
なお、表2の熱間圧延条件において、圧延速度は、圧延条件B~Dでは、各欄ごとに下限値以上、上限値未満で範囲を示しており(例えば圧延条件Dの1パス目では20m/min以上50m/min未満)、圧延条件Aでは各欄ごとに下限値以上、上限値以下(1パス目であれば100m/min以上150m/min以下)で範囲を示している。
0.2%耐力については、JISZ2241に準ずる方法により測定した。具体的には、得られた各試料から圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS5号形状の試験片を作成し、常温で引張試験を実施し、耐力(MPa)を測定した。なお、引張速度は、5mm/分とした。
伸びについては、JISZ2241に準ずる方法により測定した。具体的には、得られた各試料から圧延方向と平行にサンプルを切り出してJIS5号形状の試験片を作成し、常温で引張試験を実施し、伸びを測定した。なお、ここでいう伸びとは、JISZ2241に基づく破断後の永久伸びを原標点距離に対する百分率で表したものである。
導電率については、4端子法にて測定した。20~25℃の室温環境にて試料に対し500mAの電流を流し、電圧値から抵抗を算出し、その後、導電率を算出した。
製造したアルミニウム合金について、圧延方向に平行な断面を観察した。観察はイオンミリング法に基づくCP加工(断面加工)を施した断面を電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)にて行った。観察した画像を基に画像解析によって化合物粒子(Mg-Si化合物粒子)の円相当径と分布密度を算出した。
金属組織を露出させる方法として、アルミニウム合金板の圧延方向に対し平行に切断した断面をエメリー紙にて研磨し、荒バフ研磨、仕上げ研磨を施した後、水洗、乾燥を実施し、更に、バーカー氏液中で、浴温:25℃、印加電圧:30V、印加時間:120秒の条件で陽極酸化処理を施す方法を適用した。処理後の試料について、偏光をかけた光学顕微鏡を用いて撮影し、切断法により平均結晶粒径を算出した。
結晶粒のCube方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率(Cube方位面積率)と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率(Goss方位面積率)との和(方位面積率)は、EBSD(Electron BackScatter Diffraction)法にて測定した結晶粒方位分布マップOIM(Orientation Imaging Microscopy)像にCube{001}<100>方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積分率と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積分率との和を方位面積率として測定した。具体的には、前述したアルミニウム合金板の圧延方向の板厚断面の0.20mm×1.5mm(板厚)の測定領域に対して、1μmのピッチで電子線を走査して、各測定点の結晶方位を測定し、測定点間の方位差から判定した結晶粒のうち、Cube方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒及びGoss方位との方位差が15°以内にある方位を有する結晶粒のそれぞれについて、測定領域における全結晶粒の面積に対する平均面積率(%)を測定してCube方位面積率及びGoss方位面積率を算出し、これらの和を方位面積率とした。
成形性の評価については、JISZ2248に基づく180°密着曲げを実行した際に生じる割れ、しわの発生具合を目視にて評価した。この場合、しわがほとんど発生しておらず、割れていないものを非常に良好(◎)と評価し、一部にしわが発生しているものの割れていないものを良好(〇)と評価し、割れが発生しているものを不可(×)と評価した。
試料に圧延方向に2%の一軸歪を付与した後、170℃で20分間の熱処理後の0.2%耐力を製品強度と想定した。その耐力が190MPa以上のものを非常に良好(◎)と評価し、170MPa以上190MPa未満のものを良好(〇)と評価し、170MPa未満のものを不可(×)と評価した。
耐食性評価として、塩水噴霧試験(SST)を1000時間実施した。この腐食試験後のサンプルについて、リン酸クロムによって腐食生成物を除去後、腐食減量を測定した。この結果に基づいて、腐食減量が15.0mg/cm2未満のものを良好(〇)、15.0mg/cm2以上のものを不可(×)と評価した。
これら耐力、伸び、導電率、Mg-Si化合物の数密度、結晶粒径、Cube方位面積率、Goss方位面積率、方位面積率、170℃熱処理後の耐力については表3に示し、各種評価については、表4に示した。
Claims (2)
- Fe:0.5質量%以下、Si:1.2質量%以上1.6質量%以下、Cu:0.02質量%以上0.2質量%以下、Mn:0.8質量%以上1.2質量%以下、Mg:0.45質量%以上0.7質量%以下、Zn:0.05質量%以上0.7質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が30μm以下であり、0.2%耐力が100MPa以上155MPa以下で、伸びが20%以上であり、圧延方向に2%の一軸ひずみ付与後に170℃で20分間の熱処理を施した後の0.2%耐力が170MPa以上であり、
円相当径が1.0μm以上のMg-Si系第二相粒子が5.0×103個/mm2以下であり、
圧延方向の断面の立方体方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率と、Goss方位との方位差が15°以内にある方位を持つ結晶粒の全結晶粒に対する面積率との和が3%以上であることを特徴とする自動車レインフォース用アルミニウム合金板。 - Cr:0.01質量%以上0.10質量%以下、Ti:0.01質量%以上0.10質量%以下、Zr:0.01質量%以上0.10質量%以下のうち、1種または2種以上をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の自動車レインフォース用アルミニウム合金板。
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