JPH09256095A

JPH09256095A - 成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法

Info

Publication number: JPH09256095A
Application number: JP9327996A
Authority: JP
Inventors: Minoru Hayashi; 稔林; Yoichiro Totsugi; 洋一郎戸次; Motoyoshi Yamaguchi; 元由山口; Koichi Kaneko; 鉱一兼子; Kiyoshi Higashiyama; 潔東山
Original assignee: Furukawa Electric Co Ltd; Toyota Motor Corp
Current assignee: Furukawa Electric Co Ltd; Toyota Motor Corp
Priority date: 1996-03-22
Filing date: 1996-03-22
Publication date: 1997-09-30

Abstract

(57)【要約】【課題】従来の成形用アルミニウム合金における強度
不足や外観品質不良を改良したアルミニウム合金を提供
する。【解決手段】必須成分としてＳｉを 0.8〜 3.5wt％、
Ｍｎを 0.6wt％を越え1.4wt％以下、Ｆｅを 0.1〜 1.0w
t％、Ｃｕを 0.1〜 0.5wt％含み、必要に応じて 0.6wt
％以下のＭｇ、 2.0wt％以下のＺｎの１種もしくは２種
を含有し、残部Ａｌと不可避的不純物よりなることを特
徴とする成形性に優れたアルミニウム合金板。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は成形性および延性に
優れた、アルミニウム合金板および該合金板の製造方法
に関し、本発明による合金板は自動車部品などの成形用
部材に最適であって工業的にも大量生産が可能なもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、アルミニウム合金の成形用材料と
しては1000系（純Ａｌ系）、3000系（Ａｌ−Ｍｎ系）お
よび5000系（Ａｌ−Ｍｇ系）合金の完全焼鈍材が用いら
れている。しかしながら、純Ａｌ系では延性は非常に優
れるものの強度が低いため、低潤滑条件下では十分な成
形性（絞り性）が得られない問題があった。また、Ａｌ
−Ｍｎ系ではＭｎの添加により強度が向上するものの、
Ｍｎの添加により、Ａｌ−Ｍｎ系析出物が再結晶時に核
発生を抑制し、粗大な再結晶粒径となることが知られて
おり、これにより成形後に肌荒れと呼ばれる結晶粒径に
起因する凹凸が発生し表面品質が劣化する問題があっ
た。さらにＡｌ−Ｍｇ系では強度・延性にすぐれ良好な
成形性を示すが、Ｍｇ添加量を増加すると熱間加工性が
劣化するとともに成形時にリューダースマークが発生し
易くなり、外観不良となることがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の成形用アルミニウム合金、例えばＪＩＳ１１００合金
（Ａｌ− 0.1wt％Ｃｕ）、ＪＩＳ３００３合金（Ａｌ−
0.15wt％Ｃｕ− 1.1wt％Ｍｎ）やＪＩＳ５００５合金
（Ａｌ− 0.8wt％Ｍｇ）などでは強度不足あるいは外観
品質上の問題があった。本発明ではこれら問題点を解決
することを目的としたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はこれらを鑑み種
々検討の結果、アルミニウム合金の合金組成および製造
条件を制御することにより強度を向上しかつ肌荒れやリ
ューダースマークなどの外観不良のない材料を見出した
ものである。

【０００５】即ち本発明のアルミニウム合金板は、必須
成分としてＳｉを 0.8〜 3.5wt％（以下wt％を単に％と
記す）、Ｍｎを 0.6％を越え 1.4％以下、Ｆｅを 0.1〜
1.0％、Ｃｕを 0.1〜 0.5％含み、必要に応じて 0.6％
以下のＭｇ、 2.0％以下のＺｎの１種又は２種を含み、
残部Ａｌと不可避的不純物よりなることを特徴とするも
のである。

【０００６】また本発明のアルミニウム合金板の製造方
法は、上記組成のアルミニウム合金を 300〜 450℃で最
終焼鈍することを特徴とするものである。

【０００７】本発明において、合金組成を限定したの
は、以下の理由による。Ｓｉは合金中に固溶および分散
することにより強度を増大させる働きがあり成形性の向
上に寄与し、かつ分散したＳｉ粒子は再結晶核発生サイ
トとなり再結晶粒微細化効果を持つ。そしてその添加量
を 0.8〜 3.5％と限定したのは、 0.8％未満ではその効
果が小さく、 3.5％を越えると粗大なＳｉ粒子が生成し
延性を低下させるからである。

【０００８】Ｍｎは合金中への固溶により、およびＡｌ
−Ｍｎ系化合物の晶出及び析出により強度を増大させる
働きがあり、その添加量を 0.6を越え 1.4％以下と限定
したのは 0.6％以下ではその効果が小さく、 1.4％を越
えると再結晶粒径が粗大になるおそれがあるからであ
る。

【０００９】Ｆｅは強度向上および核発生サイトを増加
させ再結晶粒径を微細にする働きがあり、その添加量を
0.1〜 1.0％と限定したのは、 0.1％未満ではその効果
は十分ではなく、 1.0％を越えると延性が低下するから
である。

【００１０】Ｃｕは強度および延性を向上させる働きが
あり、その添加量を 0.1〜 0.5％と限定したのは 0.1％
未満ではその効果は十分ではなく、 0.5％を越えとる耐
蝕性が劣化するからである。

【００１１】次に選択的添加元素であるＭｇ、Ｚｎにつ
いて述べる。Ｍｇは合金中に固溶することにより強度の
向上、再結晶駆動力の増加および核発生サイトの増加に
より再結晶粒径を微細にする働きがあり、その添加量を
0.6％以下と限定したのは、 0.6％を越えるとリューダ
ースマークが発生し易くなり外観不良をおこすおそれが
あるからである。

【００１２】Ｚｎは合金中への固溶により、およびＣ
ｕ、Ｍｇ等との金属間化合物の形成により強度を向上す
る働きがある。その添加量を 0.2％以下と限定したの
は、 2.0％を越えると耐蝕性が劣化するためである。

【００１３】なお、結晶粒径の微細化あるいは強度向上
のためＴｉ、Ｃｒ、Ｚｒなどを微量添加することは、本
発明の効果を劣化させない範囲で任意に添加できる。そ
してこれら元素の添加量としてはそれぞれ 0.1％以下程
度が好ましい。

【００１４】なおこれら組成のアルミニウム合金を得る
には、最初から成分調整することにより合金を溶製する
こともできるが、他にろう付けに用いるアルミニウム製
ブレージングシートの切断屑なども利用できる。

【００１５】次に最終焼鈍温度の規定について述べる。
最終焼鈍温度は、材料の再結晶粒径および再結晶集合組
織に影響し、機械的特性を決定する重要な因子である。
最終焼鈍温度を 300〜 450℃に限定したのは 300℃未満
では加工組織が残存して延性が低下し、また、 450℃を
越えると延性は向上するものの結晶粒径が粗大となり、
成形後に肌荒れが生じ表面品質が劣化し外観不良となる
からである。また、最終焼鈍時間については特に限定す
るものではないが十分再結晶が完了する時間保持を行え
ばよく、本発明においては30分以上が望ましい。

【００１６】なお、特に規定するものではないが最終焼
鈍後の冷却速度が速すぎると溶質元素の過飽和固溶度が
大きくなり最終製品後も時効硬化による経時変化が生
じ、材料特性にバラツキが発生するため最終焼鈍後の冷
却速度は 100℃／hr以下が望ましい。

【００１７】なお、本合金の製造に関しては通常のＤＣ
鋳造法あるいは溶湯から直接圧延板を作製する直接溶湯
圧延法のいずれの方法を用いても良い。

【００１８】

【実施例】表１に示す組成のＡｌ合金を溶解・鋳造およ
び面削を行って厚さ 100mm×幅300mm×長さ1200mmの鋳
塊とし、次いで均質化処理、熱間圧延および冷間圧延を
行って厚さ 0.6mmの板とし、さらに表２に示す種々の条
件で最終焼鈍を行ったものについて機械的性質、成形性
および表面品質について評価した。そしてこれらの結果
を表２に示した。

【００１９】なお成形性はφ40mmの成形パンチを用い、
ＢＨＦ（しわ押え力）＝1500kgf 、動粘性率５cSt の潤
滑油で絞り試験を行い、成形高さ10mm以上のものを○
印、10mm未満のものを×印として評価した。また外観品
質は目視にて肌荒れやリューダースマークの発生してい
ないものを○印、発生しているものを×印で評価した。
さらに総合評価として全項目について良好なものを○
印、劣っている項目が１以上あるものを×印とした。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】表２から明らかなように、本発明合金Ｎo.
１〜Ｎo.15を本発明製造法で製造した本発明例Ｎo.１〜
Ｎo.15の合金板は、比較合金Ｎo.16〜Ｎo.21を本発明製
造法で製造した比較例Ｎo.16〜Ｎo.21の合金板及び本発
明合金を本発明から外れた製造法で製造した比較例Ｎo.
22〜Ｎo.25の合金板と比較して、成形性と外観品質のい
ずれかの特性について優れていることが判る。

【００２３】

【発明の効果】このように本発明によれば従来合金に比
べて成形性及び表面品質の両特性に優れたアルミニウム
合金板が得られるので自動車ボディーシート等に好適に
用いることができる等工業上顕著な効果を奏するもので
ある。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者山口元由東京都千代田区丸の内２丁目６番１号古河電気工業株式会社内 (72)発明者兼子鉱一愛知県豊田市トヨタ町１番地トヨタ自動車株式会社内 (72)発明者東山潔愛知県豊田市トヨタ町１番地トヨタ自動車株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】必須成分としてＳｉを 0.8〜 3.5wt％、
Ｍｎを 0.6wt％を越え 1.4wt％以下、Ｆｅを 0.1〜 1.0
wt％、Ｃｕを 0.1〜 0.5wt％含み、必要に応じて 0.6wt
％以下のＭｇ、 2.0wt％以下のＺｎの１種もしくは２種
を含有し、残部Ａｌと不可避的不純物よりなることを特
徴とする成形性に優れたアルミニウム合金板。
【請求項２】必須成分としてＳｉを 0.8〜 3.5wt％、
Ｍｎを 0.6wt％を越え 1.4wt％以下、Ｆｅを 0.1〜 1.0
wt％、Ｃｕを 0.1〜 0.5wt％含み、必要に応じて 0.6wt
％以下のＭｇ、 2.0wt％以下のＺｎの１種もしくは２種
を含有し、残部Ａｌと不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金に 300〜 450℃の温度で最終焼鈍を施すことを
特徴とする成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方
法。