JP7495039B2 - 熱伝導性組成物及び熱伝導性部材 - Google Patents

熱伝導性組成物及び熱伝導性部材 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性組成物及び熱伝導性部材に関する。
発熱体と放熱体との間に介在し、発熱体が発する熱を放熱体に伝える熱伝導性部材としては、シート状に成形された熱伝導性シート、流動性のある熱伝導性組成物等が知られている。熱伝導性シートは発熱体と放熱体とで挟んで使われる一方で、熱伝導性組成物は発熱体と放熱体の隙間に塗布して使うことができる。そのため発熱体と放熱体が固定された状態で動かせないような場合には、熱伝導性組成物を好適に用いることができる。
このような熱伝導性部材において、熱伝導性を高めるこれまでの手法としては、熱伝導率の高い熱伝導性充填材を用いる方法、熱伝導性充填材の充填率を高める方法、熱伝導性充填材として、大小粒径のものを併用する方法、シートにおいては異方性充填材の長軸(または高熱伝導方向)を目的とする熱伝導方向(例えばシートの厚み方向)へ配向させる方法等が採用されてきた。
例えば、特許文献1には、少なくとも、粒子形状が多面体形状の無機フィラーと、粒子形状が球形の無機フィラーと、シリコーン樹脂とを含有する封入材が開示されている。そして、平均粒径と材質の異なる複数の無機フィラーを混合した封入材により、総界面積を減らして界面での熱の損失を少なくして、熱伝導率を向上できることが記載されている。
特開2018-50018号公報
特許文献1の封入材は、単に平均粒径と材質の異なる複数の無機フィラーを混合しているだけであり、大小粒径のものを併用して熱伝導性を向上させようとするこれまでの手法とあまり変わることがなく、これまでに比べて熱伝導率のさらなる向上を達成できているかは不明である。
以上から、本発明の課題は、良好な熱伝導性を発揮し得る熱伝導性組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討の結果、大粒径の球状粒子と小粒径の多面体粒子とを用い、これらの粒径の差が所定の範囲にあり、かつ、大きさが球状粒子と多面体粒子との間にある粒子の含有量を少なくすると、従来に比べて熱伝導率が向上することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1] バインダーと熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物であって、前記熱伝導性充填材の粒度分布が、大粒径側から最初に現れる第1の極大ピークと、該第1の極大ピークよりも小粒径側に現れる第2の極大ピークを有し、前記第1の極大ピークが球状の第1熱伝導性充填材に起因するピークであり、前記第2の極大ピークが多面体状の第2熱伝導性充填材に起因するピークであり、前記第1の極大ピークを示す粒径D1に対する前記第2の極大ピークを示す粒径D2の割合(D2/D1)が1/30~1/10であり、前記粒度分布において、前記粒径D1と前記粒径D2との相乗平均を粒径DGとした際に、0.9×DGから1.1×DGまでの範囲における頻度DGFが、前記粒径D1における頻度D1F及び前記粒径D2における頻度D2Fのいずれか低い方の頻度の1/5以下である、熱伝導性組成物。
[2] 前記粒径D1に対する前記粒径D2の割合(D2/D1)が1/25~1/15である[1]記載の熱伝導性組成物。
[3] 前記第2熱伝導性充填材は、長径の長さと該長径に対する垂直方向の長さとの比であるアスペクト比(長径に対する垂直方向の長さ/長径の長さ)が0.7以上であり、最小外接円の直径に対する最大内接円の直径の割合である真球度が0.8以下である、[1]又は[2]に記載の熱伝導性組成物。
[4] 前記頻度D1Fと、前記頻度D2Fの比(D2F/D1F)が0.3~3.0である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[5] 前記粒径D1が40~200μmである[1]~[4]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[6] 前記粒径D2が1~10μmである[1]~[5]のいずれかに記載の熱伝導性組成物。
[7] 25℃、回転速度が10rpmのときの粘度が50~1000Pa・sである[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の熱伝導性組成物を硬化させた硬化物を含む熱伝導性部材。
[9] タイプOOデュロメータを用いてASTM D2240-05に準拠した方法で測定されるOO硬度が90以下である[8]記載の熱伝導性部材。
[10] シート状に成形され、発熱体と放熱体の間に配置されて圧縮して使用される[8]又は[9]に記載の熱伝導性部材。
本発明によれば、良好な熱伝導性を発揮し得る熱伝導性組成物を提供することができる。
実施例1の熱伝導性組成物の硬化物断面のSEM写真である。
[熱伝導性組成物]
以下、本発明の実施形態に係る熱伝導性組成物について説明する。
本実施形態に係るの熱伝導性組成物は、バインダーと熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物であり、熱伝導性充填材の粒度分布が、大粒径側から最初に現れる第1の極大ピークと、その第1の極大ピークよりも小粒径側に現れる第2の極大ピークを有している。そして、第1の極大ピークが球状の第1熱伝導性充填材に起因するピークであり、第2の極大ピークが多面体状の第2熱伝導性充填材に起因するピークであり、第1の極大ピークを示す粒径D1に対する第2の極大ピークを示す粒径D2の割合(D2/D1)が1/30~1/10となっている。
球状の第1熱伝導性充填材及び多面体状の第2熱伝導性充填材という所定形状の粒子を用い、D1をD2よりの所定の割合以上に大きくすることで、球面を有する第1熱伝導性充填材の表面の曲率が相対的に大きくなり、第2熱伝導性充填材が第1熱伝導性充填材にあたかも面接触しているかのように存在できるようなる。その結果、効果的な熱伝導パスが形成され、熱伝導率が高まると推察される。
また、粒度分布において、粒径D1と粒径D2との相乗平均を粒径DGとした際に、0.9×DGから1.1×DGまでの範囲(以下、「中粒径範囲」ということがある)における頻度DGFが、粒径D1における頻度D1F及び粒径D2における頻度D2Fのいずれか低い方の頻度の1/5以下となっている。これにより、中粒径範囲の粒子(以下、「中粒径粒子」ということがある)がほとんど存在しないことになる。こうした中粒径粒子が存在すると、中粒径粒子が第1熱伝導性充填材と第2熱伝導性充填材の面接触を阻害してしまい、熱伝導率の向上を図れなくなる。本発明では、中粒径範囲における頻度DGFが、粒径D1における頻度D1F及び粒径D2における頻度D2Fのいずれか低い方の頻度の1/5以下となっているため、中粒径粒子による面接触阻害がほとんどなくなり、良好な熱伝導性が示されると推察される。
以上のようにして、良好な熱伝導性を発揮し得る熱伝導性組成物が得られることが推察される。
中粒径範囲における頻度DGFは、粒径D1における頻度D1F及び粒径D2における頻度D2Fのいずれか低い方の頻度の1/5以下であるが、1/10以下であることが好ましく、1/50以下であることがより好ましい。当該頻度の1/5を超えると、中粒径粒子による面接触阻害が起こりやすくなる。ここで、頻度DGFが中粒径範囲における最大値とする。
また、粒度分布において、頻度D1Fと頻度D2Fの比(D2F/D1F)が0.3~3.0であることが好ましい。この範囲であれば面接触の割合を増やしやすくなる。
粒径D1は40~200μmの範囲にあることが好ましく、42~150μmの範囲にあることがより好ましく、44~100μmであることが特に好ましい。粒径D1が40~200μmの範囲にあることで、面接触の割合を増やすことができる。
粒径D2は1~10μmの範囲にあることが好ましく、1.5~8μmの範囲にあることがより好ましく、2~5μmの範囲にあることが特に好ましい。粒径D2が1~10μmの範囲にあることで、面接触の割合を増やすことができる。
粒径D1に対する粒径D2の割合(D2/D1)は、既述のとおり1/30~1/10であり、1/27~1/13であることが好ましく、1/25~1/15であることがより好ましい。当該割合が1/30未満であったり、1/10を超えたりすると、良好な熱伝導率が得られない。
以下、熱伝導性組成物についてより詳細に説明する。
(熱伝導性充填材)
熱伝導性充填材は、第1熱伝導性充填材と第2熱伝導性充填材を含む。
第1熱伝導性充填材は球状であり、その最小外接円の直径に対する最大内接円の直径の割合である真球度は、0.85以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。真球度が0.85以上であることで、曲率の大きな曲面が増えて、第2熱伝導性充填材との面接触の割合を増やすことができる。
第1の熱伝導性充填材としては、例えば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭素材料、ダイヤモンドなどでなる球状粒子が挙げられる。金属としては、アルミニウム、銅、ニッケルなど、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英など、金属窒化物としては、窒化ホウ素、及び窒化アルミニウムなどを例示することができる。また、金属炭化物としては、炭化ケイ素が挙げられ、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムが挙げられる。これらの中で、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、石英、窒化ホウ素、ダイヤモンド、及び窒化アルミニウム等が挙げられ、なかでも、酸化アルミニウムが最も好ましい。
第2熱伝導性充填材は、長径の長さとその長径に対する垂直方向の最大長さとの比であるアスペクト比(長径に対する垂直方向の最大長さ/長径の長さ)が0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。また、第2熱伝導性充填材は多面体状であり、その最小外接円の直径に対する最大内接円の直径の割合である真球度は、0.8以下であることが好ましく、0.78以下であることがより好ましい。アスペクト比が0.7以上で、かつ、真球度が0.8以下であることで、第2熱伝導性充填材の平面部が増えて、第1熱伝導性充填材との面接触の割合を増やすことができる。なお、本発明においてアスペクト比は、「長径に対する垂直方向の最大長さ/長径の長さ」と定義しているため1.0以下の数値となる。
アスペクト比および真球度の測定方法は実施例記載の方法によりものとする。
第2熱伝導性充填材についても多面体状であれば材質は限定されないが、多面体状の酸化アルミニウム、ダイヤモンド、酸化チタン等が挙げられ、なかでも、多面体状の酸化アルミニウムが好ましい。多面体状の酸化アルミニウムとしては、例えば、日本軽金属社製、住友化学社製、昭和電工社製等の市販品を使用することができる。また、多面体状とは例えば、八面体形状等が挙げられる。
ここで、第1の極大ピークを示す粒径D1は、当該粒径D1とほぼ同じメジアン径の球状の第1熱伝導性充填材を用いればよい。したがって、第1熱伝導性充填材のメジアン径は、40~200μmであることが好ましく、42~150μmであることがより好ましく、44~100μmであることが特に好ましい。
同様に、第2の極大ピークを示す粒径D2は、当該粒径D2とほぼ同じメジアン径の多面体状の第2熱伝導性充填材を用いればよい。したがって、第2熱伝導性充填材のメジアン径は、1~10μmであることが好ましく、1.5~8μmであることがより好ましく、2~5μmであることが特に好ましい。
ここで、本明細書のメジアン径は、レーザー回折散乱法(JIS R1629)により測定した粒度分布の体積平均粒径でのメジアン径D50をいう。
球状の第1熱伝導性充填材と多面体状の第2熱伝導性充填材との混合割合(球状の第1熱伝導性充填材/多面体状の第2熱伝導性充填材)は、熱伝導組成物の低粘度化の観点から、0.35~2.5であることが好ましく、1.5~2,3であることがより好ましい。
球状の第1熱伝導性充填材と多面体状の第2熱伝導性充填材とはともに、同じ材質、特に酸化アルミニウムであることが好ましい。両者が酸化アルミニウムであることで、熱伝導性充填材の充填率を高めやすく、より良好な熱伝導性を発揮することができる。
熱伝導組成物中の熱伝導性充填材の含有率(充填率)は、第1熱伝導性充填材と第2熱伝導性充填材の合計として、60~88体積%であることが好ましく、70~86体積%であることがより好ましい。
本発明においては、熱伝導性充填材の粒度分布において、第2の極大ピークの次に現れる第3の極大ピークを有していてもよい。さらに、その次の第4、第5等の極大ピークを有していてもよい。熱伝導性充填材の粒度分布が第3の極大ピークを有している場合、その極大ピークは、第2熱伝導性充填材よりもメジアン径の小さい、多面体状の第3熱伝導性充填材又は球状の第3熱伝導性充填材に起因するピークであることが好ましく、多面体状の第3熱伝導性充填材に起因するピークであることがより好ましい。第3の極大ピークを有していることで、第1熱伝導性充填材と第2熱伝導性充填材との隙間部分を第3熱伝導性充填材で埋めることができ、熱伝導率をより向上させることができる。
熱伝導率をより向上させる観点から、第3の極大ピークを示す粒径D3は0.1~1.0μmの範囲にあることが好ましく、0.2~0.8μmの範囲にあることがより好ましい。
隙間の充填性の観点から、粒径D2に対する粒径D3の割合(D3/D2)は、1/20~1/2となっていることが好ましい。
多面体状の第3熱伝導性充填材は、第2熱伝導性充填材よりもメジアン径が小さい以外は第2熱伝導性充填材と同じものを使用することができる。また、球状の第3熱伝導性充填材は、粒径が小さい以外は第1熱伝導性充填材と同じものを使用することができる。いずれにしても、第3熱伝導性充填材の材質は酸化アルミニウムであることが好ましい。
第3熱伝導性充填材のメジアン径は、0.1~1.0μmであることが好ましく、0.2~0.8μmであることがより好ましい。
第3熱伝導性充填材と第2熱伝導性充填材との混合割合(第3熱伝導性充填材/第2熱伝導性充填材)は、熱伝導組成物の低粘度化の観点から、0.1~2.0であることが好ましく、0.15~0.8であることがより好ましい。
(バインダー)
バインダーとしては、熱硬化性高分子や光硬化性高分子等が挙げられるが、生産性を考慮すると熱硬化性高分子が好ましい。また、熱硬化性高分子としては、硬化収縮の観点から、付加反応型高分子であることが好ましい。発熱体と放熱体とで挟持した状態で熱伝導性組成物を硬化したときに、硬化収縮が大きいと発熱体または放熱体との間に隙間が生じることがあるが、付加反応型高分子であれば、硬化収縮が小さいため隙間が生じる不都合が生じにくい。
付加反応型高分子としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ-α-オレフィン等が挙げられるが、オルガノポリシロキサンなどの反応硬化型シリコーンが、柔軟性や、熱伝導性充填材の充填性の点で好ましい。
上記の反応硬化型シリコーンは室温(25℃)において液状であることが好ましい。反応硬化型シリコーンは、好ましくは、バインダー成分である主剤と、硬化剤とを含み、該主剤が、架橋構造の形成が可能な反応性基を有するポリオルガノシロキサンである。
当該反応硬化型シリコーンとしては、例えば、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン(主剤)とハイドロジェンオルガノポリシロキサン(硬化剤)とを含むものがより好ましい。
反応硬化性シリコーンの粘度は0.05Pa・s~2Pa・s程度であることが好ましい。粘度が0.05Pa・s未満のものは分子量が低い傾向があり、硬化した後でも分子量を高めにくいため、熱伝導性組成物の硬化体が脆くなるおそれがある。一方、粘度が2Pa・sを超えると、熱伝導性組成物の粘度が上昇し易いため、熱伝導性組成物を所望の粘度範囲にすると熱伝導性充填材の配合量が少なくなり熱伝導性を高め難い。
熱伝導性組成物の硬化体が適度な柔軟性を得る観点から、バインダーが熱硬化性高分子であり、熱伝導性組成物の硬化後のASTM D2240に規定されるOO硬度が90以下であることが好ましく、5~90であることがより好ましい。OO硬度が90以下(以下、OO90以下と記載する場合もある)の柔軟な硬化体とすれば、振動や衝撃によって放熱体と発熱体の間隔が変化する場合であっても過大な応力を生じさせ難い。一方、硬さがOO5以上の硬さとすれば、熱伝導性組成物の硬化体がある程度の強度を備えるため破損するおそれが低くなる。OO硬度は50~85であることがより好ましい。
また、熱伝導性組成物の硬化後は、日本工業規格であるJIS K 6253のタイプEの硬度計によって測定される値(以下「E硬度」という)で0~70であることが好ましく、15~50であることがより好ましい。E硬度が0~70であることで、発熱体や放熱体の形状への追従性が十分に得られやすくなる。
(シリコーンオイル)
本発明の熱伝導性組成物は、シリコーンオイルを含有することが好ましい。シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに大別できる。
反応性シリコーンオイルは、反応性の官能基を有し、かつ、室温(25℃)において液状のシリコーンオイルである。反応性シリコーンオイルを含有することで、本発明の熱伝導性組成物に適度なチキソ性を付与することができる。
反応性シリコーンオイルが有する反応性の官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも、チキソ性付与効果の観点からはヒドロキシ基が好ましい。
反応性シリコーンオイルとしては、シロキサン結合を有する主鎖、主鎖に結合する側鎖、又は主鎖の末端に反応性の官能基を導入した、反応性の変性シリコーンオイルが好ましい。このような反応性の変性シリコーンオイルとしては、例えば、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中でも、カルビノール変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、及びエポキシ変性シリコーンオイルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、カルビノール変性シリコーンオイルがより好ましい。
上記反応性シリコーンオイルは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応性シリコーンオイルの動粘度は、好ましくは25℃において、10mm/s以上、10000mm/s以下、より好ましくは100mm/s以上、3000mm/s以下である。更に好ましくは100mm/s以上、1000mm/s以下である。
反応性シリコーンオイルの含有量は、反応硬化型シリコーン100質量部に対し、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.2~4質量部、更に好ましくは0.5~3質量部の範囲である。反応性シリコーンオイルの含有量が反応硬化型シリコーン100質量部に対し0.1質量部以上であれば形状維持性が良好になる。
非反応性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイル以外の、室温(25℃)において液状のシリコーンオイルである。すなわち非反応性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルが有する反応性の官能基を有さない。非反応性シリコーンオイルを含有させることで、柔軟性を付与することができる。また、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとを併用することで、塗布後の熱伝導性組成物の形状維持性が良好となる。
非反応性シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル等のストレートシリコーンオイルの他、シロキサン結合を有する主鎖、主鎖に結合する側鎖、又は主鎖の末端に非反応性の有機基を導入した、非反応性の変性シリコーンオイル等が挙げられる。非反応性の変性シリコーンオイルとしては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、及びフェニル変性シリコーンオイルが挙げられる。
上記の中でも、非反応性シリコーンオイルとしてはストレートシリコーンオイルが好ましく、ストレートシリコーンオイルの中でも、ジメチルシリコーンオイルがより好ましい。
上記非反応性シリコーンオイルは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
非反応性シリコーンオイルの動粘度は、本発明の熱伝導性組成物に良好な塗布性を付与する観点から、好ましくは25℃において10mm/s以上、10,000mm/s以下、より好ましくは50mm/s以上、1,000mm/s以下である。
非反応性シリコーンオイルの含有量は、反応硬化型シリコーン100質量部に対し、好ましくは10~70質量部、より好ましくは15~70質量部、更に好ましくは20~60質量部の範囲である。非反応性シリコーンオイルの含有量が反応硬化型シリコーン100質量部に対し10質量部以上であれば塗布性が良好になり、70質量部以下であれば形状維持性が良好になる。
非反応性シリコーンオイルの含有量は反応性シリコーンオイルの含有量よりも多いことが好ましい。反応性シリコーンオイルに対する非反応性シリコーンオイルの含有量比[非反応性シリコーンオイル/反応性シリコーンオイル]は、質量比で、好ましくは5~100、より好ましくは10~80、更に好ましくは15~50、より更に好ましくは15~30の範囲である。
以上のような熱伝導性組成物は、実質的に溶剤を含まないことが好ましい。溶剤を実質的に含まないことで形状維持性が得られやすくなり、厚膜が形成しやすくなる。また環境的にも好ましい。ここで、「実質的に溶剤を含まない」とは、熱伝導性組成物を100℃で2時間の加熱した後の重量減少1質量%以下であることをいう。すなわち、熱伝導性組成物の固形分濃度は99質量%以上であることが好ましい。上記重量減少は、例えば熱重量分析装置(TGA)を用いて測定することができる。
本発明の熱伝導性組成物は、硬化前のバインダーに熱伝導性充填材と、その他の必要な添加剤(シリコーンオイル等)を加えて十分に攪拌、分散させて作製することができる。バインダーが主剤と硬化剤からなる場合は、それらの何れか一方に熱伝導性充填材等の固形分を混合させてから、熱伝導性充填材等の固形分を含まない主剤と硬化剤の何れか他方を混合してもよいし、主剤と硬化剤の両者に熱伝導性充填材等の固形分をそれぞれ混合してから、その主剤と硬化剤とを混合してもよい。
<熱伝導性組成物の形態>
本発明の熱伝導性組成物の形態は、1液型でもよいし、使用時に主剤と硬化剤等の2液を混合して用いる2液型のいずれでもよい。1液型の熱伝導性組成物としては、反応硬化型シリコーンとして湿気硬化型シリコーンを含有する組成物が挙げられる。
2液型の熱伝導性組成物としては、反応硬化型シリコーンとして前述した付加反応硬化型シリコーンを含有する組成物が好ましい。具体的には、主剤であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン等の付加反応型のオルガノポリシロキサンを含有する第1剤と、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン等の硬化剤を含有する第2剤とから構成されることが好ましい。
本発明に係る反応硬化型シリコーンが2液型である場合、熱伝導性充填材等は、第1剤及び第2剤のうち、少なくとも一方に含有させればよい。シリコーンオイルは、第1剤と第2剤との混合物の均一性を容易に高めるという観点から、第1剤及び第2剤の両方に分割して含有させることが好ましい。熱伝導性充填材も、上記と同様の観点から、第1剤及び第2剤の両方に分割して含有させることが好ましい。
すなわち熱伝導性組成物は、反応硬化型シリコーンを構成する主剤、熱伝導性充填材、及び、好ましくはシリコーンオイルを含有する第1剤と、反応硬化型シリコーンを構成する硬化剤、熱伝導性充填材、及び、好ましくはシリコーンオイルを含有する第2剤とから構成されることがより好ましい。
本発明の熱伝導性組成物は、25℃において、回転速度が1rpmのときの粘度が5000Pa・s以下であることが好ましく、4500Pa・s以下であることがより好ましく、600Pa・s以下であることがさらに好ましい。この粘度の範囲であれば所定の流動性を備え、作業性の好ましい熱伝導性組成物となる。また、前記粘度の下限は特に限定しないが、例えば200Pa・s以上であることが好ましく、400Pa・s以上であることがより好ましい。したがって、好ましい粘度範囲は、400~5000Pa・sであり、500~4500Pa・sであることがより好ましく、500~600Pa・sであることがさらに好ましい。
また、25℃において、回転速度が10rpmのときの粘度は、1000Pa・s以下であることが好ましく、600Pa・s以下であることがより好ましく、400Pa・s以下であることがさらに好ましい。また、前記粘度の下限は特に限定しないが、例えば50Pa・s以上であることが好ましく、100Pa・s以上であることがより好ましくい。したがって、25℃において、回転速度が10rpmのときの好ましい粘度範囲は、50~1000Pa・sであり、100~600Pa・sであることがより好ましく、100~400Pa・sであることがさらに好ましい。
上記のような粘度であることで、取り扱い性が良好で、かつ本発明に係る熱伝導性充填材を多く充填することができる。
[熱伝導性部材]
本発明の熱伝導性部材は、本発明の熱伝導性組成物を硬化させた硬化物を含む。
熱伝導性部材の形態としては、例えば放熱体と発熱体とを含む対象に熱伝導性組成物を充填して、発熱体と放熱体の隙間を埋めるように構成する形態や、予めシート状または所定形状の熱伝導性部材を成形しておき、発熱体と放熱体とで挟み込むように構成する形態を例示できる。
熱伝導性部材がシート状である場合、硬化物の厚みは0.03~1mmであることが好ましく、0.3~1mmであることがより好ましい。0.03~1mmであることで、自動車等の用途に好適となり、また、生産性の点でも好ましい。
本発明の熱伝導性部材のOO硬度及びE硬度は、熱伝導性組成物の硬化体のOO硬度及びE硬度と同じ範囲であることが好ましい。
特に熱伝導性部材がシート状である場合には、OO硬度で90以下、E硬度で70以下であることで、発熱体と放熱体とで熱伝導性部材を圧縮した際に、小さな応力で圧縮であるため、発熱体や放熱体またはそれらが設置されている基板に対する応力を小さくできる点で好ましい。。すなわち、シート状に成形され、発熱体と放熱体の間に配置されて圧縮して使用されることが好ましい。
本発明の熱伝導性部材は、例えば、車両用途、電子機器用途、及び建築用途等に好適に用いられる。特に自動車部品の外周に塗布して用いる車両部品用緩衝材としても有用である。
また、本発明の熱伝導性部材は、放熱体上に設けることで放熱構造を形成することが好ましい。このとき、前記熱伝導性部材は、発熱体より大きい外形とすることが好ましく、前記熱伝導性部材上には発熱体を配置したとき、発熱体の所定の表面全体に熱伝導性部材が接触するように配置されることが好ましい。
さらにまた、本発明の熱伝導性部材は、発熱体または放熱体のいずれか一方と予め一体に形成したものとすることができる。例えば放熱体であるヒートシンクの所定位置に熱伝導性部材を一体にしておけば、ヒートシンクを発熱体に設置するだけで、放熱構造を形成することができる。
放熱体としては、熱伝導率20W/mK以上の素材、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属、黒鉛、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化ほう素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム等の素材を利用したものが好ましい。このような素材を用いた放熱体としては、ヒートシンク、きょう体、放熱用配管等が挙げられる。
また、発熱体としては、EVバッテリ等の自動車部品;一般の電源;電源用パワートランジスタ、パワーモジュール、サーミスタ、熱電対、温度センサなどの電子機器;LSI、CPU等の集積回路素子などの発熱性電子部品などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
本実施例では、以下の方法により各例で得られた熱伝導性組成物及び熱伝導部材の評価を行った。
[熱伝導性充填材の粒度分布、アスペクト比、真球度]
熱伝導性組成物の硬化物を厚み方向に沿ってクロスセクションポリッシャー(CP)により切断加工した。切断加工により現れた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で、100個以上の熱伝導性充填材を観察できる視野の倍率で写真撮影し、得られたSEM写真より、熱伝導性充填材の長径の長さとその長径に対する垂直方向の最大長さを計測した。そして、長径の長さとその垂直方向の最大長さの相加平均値を個々の粒子の粒径として、粒度分布(ヒストグラム)を求め、大粒径側から最初に現れる第1の極大ピーク、第1の極大ピークよりも小粒径側で次に現れる第2の極大ピーク、及び、それぞれのピークを示す粒径D1、粒径D2等を求めた。
このとき、ヒストグラムを作成するデータ区間は例えば0.1μm以上0.15μm未満、0.15μm以上0.2μm未満、0.2μm以上0.3μm未満、0.3μm以上0.4μm未満、0.4μm以上0.6μm未満、0.6μm以上0.8μm未満、0.8μm以上1.2μm未満、1.2μm以上1.6μm未満、1.6μm以上2.4μm未満、2.4μm以上3.2μm未満、3.2μm以上4.8μm未満、4.8μm以上6.4μm未満、6.4μm以上9.6μm未満、9.6μm以上12μm未満、12μm以上16μm未満、16μm以上24μm未満、24μm以上32μm未満、32μm以上48μm未満、48μm以上64μm未満、64μm以上96μm未満、96μm以上128μm未満、128μm以上192μm未満と設定することができる。
なお、中粒径範囲における頻度DGFは、ヒストグラムにおける該当する区間の頻度値とした。また、図1に実施例1で得られた熱伝導性組成物の硬化物を厚み方向に切断した断面のSEM写真を示す。
さらに前記SEM写真から、(粒子100個の)長径の長さとその垂直方向の最大長さを測定し、アスペクト比(長径に対する垂直方向の最大長さ/長径の長さ)を算出して、その相加平均を表2のアスペクト比の項に記載した。
また、さらに前記SEM写真から、熱伝導性充填材の最小外接円の直径に対する最大内接円の直径を計測し、その割合をである真球度を算出した。
なお、非硬化性の液状の熱伝導性組成物については、硬化物を厚み方向に沿ってクロスセクションポリッシャー(CP)により切断加工することができないため、液状成分を洗浄した粉末を電子顕微鏡で観察して、同様に各種値を求めても良いものとする。
[粘度]
熱伝導性組成物の調製直後(後述する第1剤及び第2剤の混合直後)の25℃における粘度(Pa・s)を、B型粘度計(BROOKFIELD社製回転粘度計、DV-E)を用いて、スピンドル(SC4-14)の回転速度を1rpm及び10rpmに設定して測定した。粘度の値は、それぞれの回転速度においてスピンドルを2分間回転させた後の値を読み取った。なお、回転速度が10rpmのときの粘度を第1粘度とし、1rpmのときの粘度を第2粘度とした。
[熱伝導率]
(熱伝導性組成物の熱伝導率)
各例の熱伝導性組成物を、試験装置の所定の位置に配置し、ASTM D5470-06に準拠した方法で熱伝導率を測定した。このとき、塗布量は塗布直後の厚みが2.0mm、1.0mm、0.5mmとなるように調整した。
(熱伝導性組成物の硬化物の熱伝導率)
各例の熱伝導性組成物について、室温(25℃)で24h放置して硬化することで、25.4×25.4mmの矩形状で厚さが2.0mm、1.0mm、0.5mmの硬化物からなる熱伝導率測定用の試験片を作製した。そして、各試験片を用いて、ASTM D5470-06に準拠した方法で熱伝導率を測定した。
また、実施例1~3については下記のようにして熱伝導率向上率を求めた。
・実施例1の熱伝導率向上率:((実施例1の熱伝導率(硬化物)/比較例1の熱伝導率(硬化物))-1)×100(%)
・実施例2の熱伝導率向上率:((実施例2の熱伝導率(硬化物)/比較例2の熱伝導率(硬化物))-1)×100(%)
・実施例3の熱伝導率向上率:((実施例3の熱伝導率(硬化物)/比較例6の熱伝導率(硬化物))-1)×100(%)
[硬化物の硬さ]
各実施例の熱伝導性組成物について、成形型を用いて40×40mmで厚さが6mmの硬化物からなる硬さ測定用の試験片を作製した。
そして、各試験片について、タイプOOデュロメータを用いて、ASTM D2240-05に準拠した方法でOO硬度を測定した。
また、各試験片について、タイプEデュロメータを用いてE硬度を測定した。
[実施例1]
付加反応硬化型シリコーンを構成する主剤、非反応性シリコーンオイルであるジメチルシリコーンオイルを混合することで第1剤を調製した。一方で、付加反応硬化型シリコーンを構成する硬化剤、熱伝導性充填材を混合することで第2剤を調製した。第1剤及び第2剤の合計量における各成分の配合量(質量部)は表1に示す通りである。
得られた第1剤と第2剤とを混合して熱伝導性組成物を調製し、既述の方法により各種評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2、3及び比較例1~6]
熱伝導性組成物の配合を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で熱伝導性組成物を調製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007495039000001
表1に示す成分のうちバインダー及びシリコーンオイルは下記である。なお、表1に示す配合量はいずれも有効成分量である。
・付加反応硬化型シリコーンの主剤:粘度400mPa・s(25℃)
・付加反応硬化型シリコーンの硬化剤:粘度300mPa・s(25℃)
・ジメチルシリコーンオイル:粘度100mPa・s(25℃)
また、熱伝導性充填剤は下記表2のとおりであり、それぞれ酸化アルミニウムで市販品を用いた。表中の標準偏差、アスペクト比、真球度は電子顕微鏡で観察して算出した値である。また、形状と共に記載した数値は平均粒径(メジアン径)である。
Figure 0007495039000002
なお、比較例3は混合物がぼそぼそ状となり、各種測定ができなかった。また、比較例5は、混合物がぼそぼそ状となり粘度および硬さの測定ができなかったが、熱伝導率の測定は可能だった。さらに比較例6は、混合物が粘土状の塊となり、粘度測定はできなかったが、硬さと熱伝導率の測定は可能だった。
実施例1と比較例1の比較、及び、実施例2と比較例2の比較から、第2熱伝導性充填材としては、多面体粒子を用いる方が球状粒子を用いた場合よりも熱伝導率が向上することがわかった。また粘度が低下することがわかった。
実施例1、2と比較例5の比較から、D1とD2の差が、少なくとも10倍以上(D2/D1が0.1以下)であると熱伝導率が良好になることがわかった。
比較例2のように多面体が小粒径である場合、すわわち、D1とD2の粒径の差(D2/D1)が30倍未満では効果が見込めないことがわかった。
実施例1と比較例4の比較から、比較例4のようにD1とD2の粒径の差が適切であっても、中粒径領域に中粒径粒子を所定比を超えて含む場合には、熱伝導率の向上効果が小さいことがわかった。
本発明の熱伝導性組成物を用いた熱伝導性部材は、例えば車両用途、電子機器用途、及び建築用途における防水用、防振用材料として好適に用いられる。

Claims (10)

  1. バインダーと熱伝導性充填材とを含む熱伝導性組成物であって、
    前記熱伝導性充填材の粒度分布が、大粒径側から最初に現れる第1の極大ピークと、該第1の極大ピークよりも小粒径側に現れる第2の極大ピークを有し、
    前記第1の極大ピークが球状の第1熱伝導性充填材に起因するピークであり、
    前記第2の極大ピークが多面体状の第2熱伝導性充填材に起因するピークであり、
    前記第1の極大ピークを示す粒径D1に対する前記第2の極大ピークを示す粒径D2の割合(D2/D1)が1/30~1/10であり、
    前記粒度分布において、前記粒径D1と前記粒径D2との相乗平均を粒径DGとした際に、0.9×DGから1.1×DGまでの範囲における頻度DGFが、前記粒径D1における頻度D1F及び前記粒径D2における頻度D2Fのいずれか低い方の頻度の1/5以下であり、
    前記第2熱伝導性充填材よりもメジアン径の小さい、多面体状の第3熱伝導性充填材又は球状の第3熱伝導性充填材に起因するピークを有する、熱伝導性組成物。
  2. 前記粒径D1に対する前記粒径D2の割合(D2/D1)が1/25~1/15である請求項1記載の熱伝導性組成物。
  3. 前記第2熱伝導性充填材は、長径の長さと該長径に対する垂直方向の長さとの比であるアスペクト比(長径に対する垂直方向の長さ/長径の長さ)が0.7以上であり、最小外接円の直径に対する最大内接円の直径の割合である真球度が0.8以下である、請求項1又は2に記載の熱伝導性組成物。
  4. 前記頻度D1Fと、前記頻度D2Fの比(D2F/D1F)が0.3~3.0である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
  5. 前記粒径D1が40~200μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
  6. 前記粒径D2が1~10μmである請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
  7. 25℃、回転速度が10rpmのときの粘度が50~1000Pa・sである請求項1~6のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導性組成物を硬化させた硬化物を含む熱伝導性部材。
  9. タイプOOデュロメータを用いてASTM D2240-05に準拠した方法で測定されるOO硬度が90以下である請求項8記載の熱伝導性部材。
  10. シート状に成形され、発熱体と放熱体の間に配置されて圧縮して使用される請求項8又は9に記載の熱伝導性部材。
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