JP2021191823A - 熱伝導性シリコーン組成物、半導体装置、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

熱伝導性シリコーン組成物、半導体装置、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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【課題】良好な放熱効果を奏する熱伝導性シリコーン組成物を提供する。【解決手段】(A)平均組成式(1)R1aSiO(4−a)/2(1)〔式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕で表されるオルガノポリシロキサン(B)タップ密度が3.0g/cm3以上であり、比表面積が2.0m2/g以下であり、かつアスペクト比が、2.0〜150.0である銀粉末(C)平均粒径が0.1〜100μmであり、20〜200W/m℃の熱伝導率を有する熱伝導性充填材(D)触媒を含有し、かつ、成分(B)と成分(C)の組成物中の合計含有量が85%以上のものであって、成分(D)は白金系触媒、有機過酸化物触媒、又は縮合反応用触媒である熱伝導性シリコーン組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性に優れたシリコーン組成物及びこれを用いた半導体装置に関する。
電子部品の多くは使用中に熱が発生するので、その電子部品を適切に機能させるためには、その電子部品から熱を取り除くことが必要である。特にパーソナルコンピューターに使用されているCPU等の集積回路素子は、動作周波数の高速化により発熱量が増大しており、熱対策が重要な問題となっている。
この熱を除去する手段として多くの方法が提案されている。特に発熱量の多い電子部品では、電子部品とヒートシンク等の部材の間に熱伝導性グリースや熱伝導性シートのような熱伝導性材料を介在させて熱を逃がす方法が提案されている。
特許文献1には、特定のオルガノポリシロキサンに一定粒径範囲の球状六方晶系窒化アルミニウム粉末を配合したシリコーングリース組成物が、特許文献2には、粒径の細かい窒化アルミニウム粉末と粒径の粗い窒化アルミニウム粉末を組み合わせた熱伝導性シリコーングリースが、特許文献3には、窒化アルミニウム粉末と酸化亜鉛粉末を組み合わせた熱伝導性シリコーングリースが、特許文献4には、オルガノシランで表面処理した窒化アルミニウム粉末を用いた熱伝導性グリース組成物が開示されている。
窒化アルミニウムの熱伝導率は70〜270W/mKであり、これより熱伝導性の高い材料として熱伝導率900〜2,000W/mKのダイヤモンドがある。特許文献5には、シリコーン樹脂に、ダイヤモンド、酸化亜鉛、分散剤を用いた熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。
また、特許文献6や特許文献7には、シリコーンオイル等の基油に金属アルミニウム粉末を混合した熱伝導性グリース組成物が開示されている。
更には熱伝導率の高い銀粉末を充填剤として用いている特許文献8、特許文献9なども開示されている。
上記の中には高い熱伝導率を示すものもあるが、圧縮時の最小厚み(BLT)が厚く、熱抵抗が高い。一方で熱抵抗の低いものはBLTが薄く、ヒートサイクル後の熱抵抗が悪化してしまい、信頼性に欠ける。従って、いずれの熱伝導性材料や熱伝導性グリースも、最近のCPU等の集積回路素子の発熱量には不十分なものとなってきている。
特開平2−153995号公報 特開平3−14873号公報 特開平10−110179号公報 特開2000−63872号公報 特開2002−30217号公報 特開2000−63873号公報 特開2008−222776号公報 特許3130193号公報 特許3677671号公報
従って、本発明の目的は、良好な放熱効果を奏する熱伝導性シリコーン組成物を提供することにある。
上記課題を達成するために、本発明では、熱伝導性シリコーン組成物であって、
(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−a)/2 (1)
〔式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕
で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm/sのオルガノポリシロキサン
(B)タップ密度が3.0g/cm以上であり、比表面積が2.0m/g以下であり、かつアスペクト比が、2.0〜150.0である銀粉末:前記成分(A)100質量部に対して、300〜11,000質量部
(C)平均粒径が0.1〜100μmであり、20〜200W/m℃の熱伝導率を有する前記成分(B)以外の熱伝導性充填材:前記成分(A)100質量部に対して、10〜2,750質量部
(D)触媒:触媒量
を含有し、かつ、前記成分(B)と前記成分(C)の組成物中の合計含有量が85%以上のものであって、
前記成分(D)は白金系触媒、有機過酸化物触媒、又は縮合反応用触媒であり、
前記成分(D)が白金系触媒のとき、前記成分(A)の全部又は一部が、成分(A1):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び、成分(A2):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるオルガノポリシロキサンであり、
前記成分(D)が縮合反応用触媒のとき、前記成分(A)が一分子中にヒドロキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むものである熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
このようなものであれば、良好な放熱効果を奏する熱伝導性シリコーン組成物となる。
また、前記成分(C)のアスペクト比が、1.0以上3.0以下であることが好ましい。
このような成分(C)とすることで、本発明の熱伝導性シリコーン組成物により好適に用いることができる。
また、前記成分(C)が、タップ密度が0.1g/cm以上の酸化亜鉛粉末であることが好ましい。
このような成分(C)とすれば、本発明の熱伝導性シリコーン組成物をより取り扱い性に優れたものとすることができる。
また、前記成分(B)の質量αと前記成分(C)の質量βの質量比α/βが、3〜150であることが好ましい。
このようなものであれば、十分な熱伝導率が得られ、かつ、圧縮時における最小厚みが薄くなり過ぎることもない。
また、前記成分(A)の全部又は一部が、成分(A1):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(A2):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであってもよい。
本発明では、成分(A)をこのようなものとするのが好ましい。
さらに、成分(E)として、下記一般式(2)
Si(OR4−b (2)
〔式中、R2は、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の一価炭化水素基、エポキシ基、アクリル基及びメタクリル基の中から選択される1種又は2種以上の基を示し、R3は一価炭化水素基を示し、bは1≦b≦3である。〕
で表されるオルガノシランを、前記成分(A)100質量部に対して0〜20質量部含むものであってもよい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物には、このようなオルガノシランを必要に応じて添加することができる。
また、本発明では、発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置であって、
前記発熱性電子部品と前記放熱体との間に、上記の熱伝導性シリコーン組成物から形成された硬化膜が介在しているものである半導体装置を提供する。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、このような半導体装置に好適に用いることができる。
また、本発明では、発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置の製造方法であって、上記の熱伝導性シリコーン組成物を、前記発熱性電子部品と前記放熱体との間で、0.01MPa以上の圧力を掛けた状態で80℃以上に加熱する工程を有する半導体装置の製造方法を提供する。
本発明の半導体装置は、このような方法で製造することができる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、優れた熱伝導性、即ち良好な放熱効果を有するため、半導体装置に有用である。
本発明の半導体装置の一例を示す縦断面概略図である。
上述のように、良好な放熱効果を奏する熱伝導性シリコーン組成物の開発が求められていた。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特定のタップ密度、及び比表面積を持つ銀粉末と特定の粒径の熱伝導性充填材を特定のオルガノポリシロキサン中に混合することで熱伝導性が飛躍的に向上することを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、熱伝導性シリコーン組成物であって、
(A)下記平均組成式(1)
SiO(4−a)/2 (1)
〔式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕
で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm/sのオルガノポリシロキサン
(B)タップ密度が3.0g/cm以上であり、比表面積が2.0m/g以下であり、かつアスペクト比が、2.0〜150.0である銀粉末:前記成分(A)100質量部に対して、300〜11,000質量部
(C)平均粒径が0.1〜100μmであり、20〜200W/m℃の熱伝導率を有する前記成分(B)以外の熱伝導性充填材:前記成分(A)100質量部に対して、10〜2,750質量部
(D)触媒:触媒量
を含有し、かつ、前記成分(B)と前記成分(C)の組成物中の合計含有量が85%以上のものであって、
前記成分(D)は白金系触媒、有機過酸化物触媒、又は縮合反応用触媒であり、
前記成分(D)が白金系触媒のとき、前記成分(A)の全部又は一部が、成分(A1):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び、成分(A2):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるオルガノポリシロキサンであり、
前記成分(D)が縮合反応用触媒のとき、前記成分(A)が一分子中にヒドロキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むものである熱伝導性シリコーン組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<成分(A)>
成分(A)のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)
SiO(4−a)/2 (1)
〔式中、Rは、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕
で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm/sのオルガノポリシロキサンである。
上記平均組成式(1)において、Rで示される炭素数1〜18の飽和又は不飽和の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
aはシリコーングリース組成物として要求される稠度の観点から1.8〜2.2の範囲がよく、特に1.9〜2.1が好ましい。
また、本発明で使用するオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、10mm/sより低いと組成物にした時にオイルブリードが出やすくなるし、100,000mm/sより大きくなると組成物にしたときの粘度が高くなることから取り扱い性が乏しくなるため、25℃で10〜100,000mm/sであることが必要であり、特に30〜10,000mm/sであることが好ましい。なお、オルガノポリシロキサンの動粘度はオストワルド粘度計で測定した25℃の値である。
<<成分(A1)及び(A2)>>
成分(A)の全部又は一部は、成分(A1)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(A2)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることが好ましい。
成分(A1)のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンは、一分子中に平均2個以上(通常2〜50個)、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個程度のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するものである。成分(A1)のオルガノポリシロキサンのアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特に、ビニル基が好ましい。成分(A1)のアルケニル基の結合位置としては、例えば、分子鎖末端及び/又は分子鎖側鎖が挙げられる。
成分(A1)のオルガノポリシロキサンにおいて、アルケニル基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、フェニル基が好ましい。
このような成分(A1)の分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状等が挙げられるが、基本的に主鎖がジオルガノシロキサン単位(D単位)の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサン、直鎖状のジオルガノポリシロキサンと分岐鎖状あるいは三次元網状のオルガノポリシロキサンの混合物が好ましい。
成分(A2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは2〜100個程度のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)を有するものであり、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。成分(A2)の水素原子の結合位置としては、例えば、分子鎖末端及び/又は分子鎖側鎖が挙げられる。
成分(A2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンにおいて、水素原子以外のケイ素原子に結合した有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などが挙げられ、就中、メチル基、フェニル基が好ましい。
また、(A)成分は、一分子中にヒドロキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むものであってもよい。このとき、ヒドロキシ基を2個有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
<成分(B)>
成分(B)は、タップ密度が3.0g/cm以上であり、比表面積が2.0m/g以下であり、かつアスペクト比が、2.0〜150.0の銀粉末である。
成分(B)の銀粉末のタップ密度は、3.0g/cmより小さいと組成物の充填率が上げられなくなり、粘度が上がってしまい、作業性が悪くなるため、好ましくは3.0g/cm〜10.0g/cmの範囲であり、より好ましくは4.5g/cm〜10.0g/cm、さらに好ましくは6.0g/cm〜10.0g/cmである。
比表面積は、2.0m/gより大きいと組成物の充填率が上げられなくなり、粘度が上がってしまい、作業性が悪くなるため好ましくは0.08m/g〜2.0m/gの範囲であり、より好ましくは0.08m/g〜1.0m/g、さらに好ましくは0.08m/g〜0.5m/gである。
尚、タップ密度は銀粉末100gをはかり、ロートで100mlメスシリンダーに静かに落とした後、シリンダーをタップ密度測定器にのせて落差距離20mm、60回/分の速さで600回落下させ、圧縮した銀粉末の容積を測定した値である。
また、比表面積はBET法により求めた値とすることができる。例えば、銀粉末約2gをサンプルにとり、60±5℃で10分間脱ガスした後、比表面積自動測定装置(BET法)にて総表面積を測定する。その後、サンプル量をはかり、下記式(4)で計算し、比表面積を算出する。
比表面積(m/g)=総表面積(m)/サンプル量(g) (4)
成分(B)の銀粉末のアスペクト比は2.0〜150.0であり、好ましくは3.0〜100.0の範囲であり、より好ましくは3.0〜50.0の範囲である。
アスペクト比とは、粒子の長径と短径の比率(長径/短径)をいう。その測定方法としては、たとえば粒子の電子顕微鏡写真を撮り、この写真から粒子の長径と短径を測定して、算出する事が出来る。
粒子の大きさは上面からの電子顕微鏡写真で測定でき、この上面の電子顕微鏡写真から大きい方の直径を長径として測定する。この長径に対して短径は粒子の厚さになる。粒子の厚さは上面からの電子顕微鏡写真では測定できない。粒子の厚さを測定するには、電子顕微鏡写真を撮る際に、粒子の載っている試料台を傾斜させて取り付け、上面から電子顕微鏡写真を撮り、試料台の傾きの角度で補正して粒子の厚さを算出すれば良い。
具体的には、電子顕微鏡で数千倍に拡大した写真を数枚撮影した後、粒子の長径及び短径を任意に100個測定し、長径と短径の比(長径/短径)を算出して、平均値を求める。
成分(B)の銀粉末の粒径は特に限定されないが、平均粒径は0.2〜50μmの範囲が好ましく、特に1.0〜30μmの範囲が好ましい。
平均粒径は銀粉末をミクロスパテラで1〜2杯100mlビーカーにとり、イソプロピルアルコールを約60ml入れて、超音波ホモジナイザーで1分間分散した後、レーザー回折式粒度分析計により測定できる体積基準の体積平均径[MV]である。なお、測定時間は30秒で測定する。
本発明で用いる原料銀粉末の製造方法は、特に限定されないが、例えば電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、還元法等が挙げられる。
銀粉末は上記数値範囲を満たす範囲で粉砕して用いてもよい。銀粉末を粉砕する場合、装置は特に限定されず、例えば、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ローラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。好ましいのは、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミルである。
成分(B)の配合量は、成分(A)100質量部に対して、300〜11,000質量部である。成分(A)100質量部に対して、300質量部より小さいと得られる組成物の熱伝導率が悪くなり、11,000質量部より大きいと流動性が悪くなり取扱い性が悪くなる。好ましくは300〜5,000質量部、より好ましくは500〜5,000質量部の範囲である。
なお、本発明の熱伝導性シリコーン組成物においては、成分(B)と後述の成分(C)の組成物中の合計含有量は85%以上である。85%よりも低い場合には十分な熱伝導性を得ることができない。
<成分(C)>
成分(C)は、平均粒径が0.1〜100μmであり、20〜200W/m℃の熱伝導率を有する成分(B)以外の熱伝導性充填材である。例えば、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末の中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
成分(C)の熱伝導性充填材の平均粒径は、0.1μmより小さいと得られる組成物の流動性が悪くなり取扱い性が悪くなる。また、100μmより大きいと得られる組成物の熱抵抗が高くなり、性能が低下してしまうため、0.1〜100μmの範囲がよく、好ましくは10〜90μm、より好ましくは15〜70μmである。
なお、本発明において、成分(C)の熱伝導性充填材の平均粒径は、日装機(株)製マイクロトラックMT330OEXにより測定できる体積基準の体積平均径[MV]である。
熱伝導率は、20W/m℃より小さいと組成物の熱伝導率が小さくなるため20〜2000W/m℃の範囲がよく、好ましくは50〜200W/m℃、より好ましくは100〜200W/m℃である。なお、本発明において成分(C)の熱伝導性充填材の熱伝導率は、京都電子工業(株)製QTM−500により測定した値である。
この熱伝導性充填材は、成分(A)100質量部に対し10質量部より少ないと得られる組成物の圧縮時における最小厚みが非常に薄くなり、ヒートサイクル後の熱抵抗が悪化してしまい、2,750質量部より多いと得られる組成物の粘度が上昇してしまい作業性が悪化してしまうため、10〜2,750質量部の範囲であり、好ましくは30〜1,000質量部、より好ましくは40〜500質量部である。
成分(C)のアスペクト比は特に限定されないが、好ましくは1.0〜3.0がよく、より好ましくは1.0〜2.0の範囲がよく、さらに好ましくは1.0〜1.5の範囲がよい。成分(C)のアスペクト比は、上述の成分(B)で説明したのと同じ方法で求めることができる。
さらに、成分(C)の熱伝導性充填材は、タップ密度が0.1g/cm以上の酸化亜鉛粉末が好ましい。成分(C)の酸化亜鉛粉末のタップ密度は、0.1g/cm以上であれば得られる組成物の流動性が良好になり取扱い性がよくなる。好ましくは0.1g/cm〜2.0g/cmの範囲がよく、より好ましくは0.2g/cm〜1.5g/cm、さらに好ましくは0.3g/cm〜1.0g/cmである。
尚、本発明において、酸化亜鉛粉末のタップ密度は筒井理化学器械(株)製A.B.D粉体特性測定器A.B.D−72型により測定した値である。
成分(B)の銀粉末の質量αと成分(C)の熱伝導性充填材の質量βの質量比α/βは3以上であれば得られる組成物の熱伝導率が十分となり、150以下であれば圧縮時における最小厚みが薄くなり過ぎず、ヒートサイクル後の熱抵抗が悪化することがないため、3〜150が好ましく、特に8〜100が好ましく、更に10〜80の範囲が好ましい。
<成分(B)、(C)以外の充填材>
また、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は成分(B)及び(C)以外に、無機化合物粉末及び/又は有機化合物材料を含有せしめても良い。
無機化合物粉末は、例えば水酸化アルミニウム粉末、無水炭酸マグネシウム粉末、水酸化マグネシウム粉末、酸化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、金粉末、銅粉末、カーボン粉末、ニッケル粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、金属ケイ素粉末、二酸化ケイ素粉末の中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
有機化合物材料も、熱伝導率の高いものが好ましく、例えば、炭素繊維、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボン材料の中から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
これら無機化合物粉末と有機化合物材料の表面は、必要に応じてオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理を施してもよい。
無機化合物粉末と有機化合物材料の平均粒径は得られるグリース組成物(本発明の熱伝導性シリコーン組成物)の充填率を上げる観点から、0.5〜100μmの範囲が好ましく、特に好ましくは1〜50μmの範囲である。また、炭素繊維の繊維長は得られるグリース組成物の充填率を上げる観点から、10〜500μmの範囲が好ましく、特に好ましくは30〜300μmの範囲である。
無機化合物粉末と有機化合物材料の配合量は、成分(A)100質量部対して0.1〜3,000質量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜2,000質量部である。この範囲であれば、得られる組成物の流動性が良好になり取扱い性がよくなる。
<成分(D)>
成分(D)は、白金系触媒、有機過酸化物触媒及び縮合反応用触媒からなる群より選択される触媒であり、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、該触媒を配合することにより、硬化性の組成物とすることができる。
<<白金系触媒>>
本発明の熱伝導性シリコーン組成物がヒドロシリル化反応により硬化する場合には、成分(A)として上述の成分(A1)及び成分(A2)と、白金系触媒を添加する。成分(A2)の配合量は、成分(A1)のアルケニル基1モルに対して成分(A2)のケイ素原子結合水素原子が0.1〜15.0モルの範囲内となる量とすることが好ましく、さらに、0.1〜10.0モルの範囲内となる量とすることがより好ましく、特に、0.1〜5.0モルの範囲内となる量とすることがさらに好ましい。
白金系触媒としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体が挙げられる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物において、白金系触媒の含有量は、組成物の硬化に必要な量、所謂触媒量であり、具体的には、成分(A)に対して成分(D)中の白金金属が質量単位で0.1〜2,000ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特に、0.1〜1,500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。
また、本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化速度を調節し、取扱作業性を向上させるため、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエン−イン化合物;その他、ヒドラジン系化合物、フォスフィン系化合物、メルカプタン系化合物等の硬化反応抑制剤を含有することができる。この硬化反応抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.0001〜1.0質量部の範囲内とすることが好ましい。
<<有機過酸化物触媒>>
一方、本発明の熱伝導性シリコーン組成物が有機過酸化物によるフリーラジカル反応により硬化する場合には、硬化触媒は有機過酸化物を用いる。
この有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ(p−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(o−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートが挙げられる。
この有機過酸化物の含有量は触媒量であり、組成物の硬化に必要な量であり、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.1〜8質量部の範囲内とすることが好ましい。
<<縮合反応用触媒>>
また、本発明の熱伝導性シリコーン組成物を縮合反応により硬化させる場合には、組成物中に、(A)成分として一分子中にヒドロキシ基(水酸基)を2個以上有するオルガノポリシロキサン、及び硬化触媒として縮合反応用触媒を含有させる。さらに、硬化剤として、一分子中に少なくとも3個のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランもしくはシロキサンオリゴマーを含有させることが好ましい。
このとき用いられる(A)成分としては、ヒドロキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサンであれば特に限定はされないが、ヒドロキシ基を2個有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
硬化剤のケイ素原子結合加水分解性基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケノキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基が例示される。また、このシランのケイ素原子には上記の加水分解性基以外に、例えば、前記と同様の直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基が結合していてもよい。
このようなシランもしくはシロキサンオリゴマーとしては、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルオルソシリケート、ビニルトリ(イソプロぺノキシ)シランが挙げられる。
このシランもしくはシロキサンオリゴマーの含有量は特に限定されないが、組成物の硬化に必要な量であり、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲内が好ましく、特に、0.1〜10質量部の範囲内が好ましい。
また、縮合反応用触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン酸エステル;ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等の有機チタンキレート化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトネート)、ジルコニウムテトラブチレート等の有機ジルコニウム化合物;ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレート、ブチルスズ−2−エチルヘキソエート等の有機スズ化合物;ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸の金属塩;ヘキシルアミン、燐酸ドデシルアミン等のアミン化合物、およびその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩;酢酸カリウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;グアニジル基含有有機ケイ素化合物が挙げられる。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物において、この縮合反応用触媒の含有量は触媒量(任意量)であり、配合する場合は、具体的には、(A)成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲内とすることが好ましく、特に、0.1〜10質量部の範囲内とすることが好ましい。
<成分(E)>
更に、本発明の熱伝導性シリコーン組成物には、成分(E)として、下記一般式(2)
Si(OR4−b (2)
〔式中、Rは、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の一価炭化水素基、エポキシ基、アクリル基及びメタクリル基の中から選択される1種又は2種以上の基を示し、Rは一価炭化水素基を示し、bは1≦b≦3である。〕
で表されるオルガノシランを配合してもよい。
上記一般式(2)のRの具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等のアルキル基;シクロアルキルアルケニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロヘキシル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。一価炭化水素基の置換基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。また、bは1〜3である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6の1種若しくは2種以上のアルキル基が挙げられ、特にメチル基、エチル基が好ましい。
成分(E)の一般式(2)で表されるオルガノシランの具体例としては、下記のものを挙げることができる。
1021Si(OCH、C1225Si(OCH、C1225Si(OC、C1021Si(CH)(OCH、C1021Si(C)(OCH、C1021Si(CH)(OC、C1021Si(CH=CH)(OCH、C1021Si(CHCHCF)(OCH、CH=C(CH)COOC16Si(OCH
このオルガノシランを添加する場合には、成分(A)100質量部に対し0〜20質量部の範囲で添加するのが良く、より好ましくは0.1〜10質量部である。
<成分(F)>
また、成分(A)の一般式(1)で示されるオルガノポリシロキサンと併せて、下記一般式(3)で表される、加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン(成分(F))を配合してもよい。この加水分解性オルガノポリシロキサンの含有量は、成分(A)に対して0〜20質量%の量が好ましく、より好ましくは0〜10質量%である。
Figure 2021191823
(一般式(3)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは、互いに独立に、炭素数1〜18の、飽和または不飽和の、非置換または置換の一価炭化水素基であり、cは5〜120である)
上記一般式(3)で示されるオルガノポリシロキサンは、本発明の熱伝導性シリコーン組成物中に粉末を高充填することを補助する。また、該オルガノポリシロキサンによって粉末の表面を疎水化処理することもできる。
上記一般式(3)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。
は、互いに独立に、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の、飽和または不飽和の、非置換または置換の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、及びアリル基等のアルケニル基、フェニル基、及びトリル基等のアリール基、2−フェニルエチル基、及び2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基、又は、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等が挙げられる。この内、特にメチル基が好ましい。
上記一般式(3)中、cは5〜120の整数であり、好ましくは10〜90の整数である。
<熱伝導性シリコーン組成物>
本発明の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、従来公知のシリコーングリース組成物の製造方法に従えばよく、特に制限されるものでない。例えば、上記(A)〜(D)成分、並びに必要に応じてその他の成分を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(いずれも井上製作所(株)製混合機、登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機、登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機、登録商標)等の混合機にて30分〜4時間混合することにより製造することができる。また、必要に応じて、50〜150℃の範囲の温度で加熱しながら混合してもよい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、25℃にて測定される絶対粘度が好ましくは10〜600Pa・s、より好ましくは15〜500Pa・s、更に好ましくは15〜400Pa・sである。絶対粘度が上記範囲内であることにより良好なグリースを提供でき、また作業性にも優れる。上記範囲の絶対粘度は、各成分を上述した配合量で調整することにより得ることができる。本発明において、絶対粘度は、株式会社マルコム社製の型番PC−1TL(10rpm)を用いて測定した値である。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて得られる熱伝導性シリコーン硬化物の性状は限定されないが、例えば、ゲル状、低硬度のゴム状、あるいは高硬度のゴム状が挙げられる。
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、発熱性電子部品の表面と放熱体との間に、本発明の熱伝導性シリコーン組成物から形成された硬化膜が介在することを特徴とする。本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化膜は、10〜200μmの厚さで介在させることが好ましい。
本発明の半導体装置の代表的な構造を図1に示すが本発明はこれに限定されるものではない。図1において、本発明の半導体装置5は、基板1に搭載された発熱性電子部品2と放熱体4の間に熱伝導性シリコーン組成物層3(本発明の熱伝導性シリコーン組成物から形成された硬化膜)が介在するものである。
本発明の半導体装置を製造するには、本発明の熱伝導性シリコーン組成物を、発熱性電子部品と放熱体との間で、0.01Mpa以上の圧力を掛けられた状態で80℃以上に加熱する方法が好ましい。この際、掛ける圧力は、0.01Mpa以上が好ましく、特に0.05Mpa〜100Mpaが好ましく、更に0.1MPa〜100Mpaが好ましい。加熱する温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃〜300℃であり、さらに好ましくは100℃〜300℃であり、極めて好ましくは120℃〜300℃である。
以下、本発明の効果をより明確にする目的で、実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
本実施例で用いた組成物を作製するための各成分を以下に示す。
成分(A)
A−1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm/sのジメチルポリシロキサン。
A−2:下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン。
Figure 2021191823
A−3:両末端が水酸基で封鎖され、25℃における動粘度が5000mm/sのジメチルポリシロキサン。
成分(B)
B−1:タップ密度が6.6g/cm、比表面積が0.28m/g、アスペクト比が8の銀粉末。
B−2:タップ密度が6.2g/cm、比表面積が0.48m/g、アスペクト比が13の銀粉末。
B−3:タップ密度が9.0g/cm、比表面積が0.16m/g、アスペクト比が30の銀粉末。
B−4:タップ密度が3.0g/cm、比表面積が2.0m/g、アスペクト比が50の銀粉末。
B−5(比較例):タップ密度が2.3g/cm、比表面積が2.3m/g、アスペクト比が1の銀粉末。
B−6(比較例):タップ密度が3.3g/cm、比表面積が2.11m/g、アスペクト比が1の銀粉末。
B−7(比較例):タップ密度が2.8g/cm、比表面積が1.8m/g、アスペクト比が2の銀粉末。
成分(C)
C−1:平均粒径が0.3μm、熱伝導率25W/m℃、タップ密度が0.4g/cm、アスペクト比が1.5の酸化亜鉛粉末。
C−2:平均粒径が20μm、熱伝導率27W/m℃、アスペクト比が1.2のアルミナ粉末。
C−3:平均粒径が80μm、熱伝導率180W/m℃、アスペクト比が1.1の窒化アルミニウム粉末。
C−4(比較例):平均粒径が110μm、熱伝導率27W/m℃、アスペクト比が1.1のアルミナ粉末。
成分(D)
D−1(白金触媒):白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のA−1溶液、白金原子として1wt%含有。
D−2(有機過酸化物):パーオキサイド。日本油脂(株)製の商品名パーヘキサC。
D−3(縮合反応用触媒):テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン。
成分(E)
E−1:下記式で表されるオルガノシラン。
Figure 2021191823
成分(F)
F−1:下記式で表されるオルガノポリシロキサン。
Figure 2021191823
成分(G)硬化反応抑制剤
G−1:1−エチニル−1−シクロヘキサノール。
成分(H)硬化剤
H−1:ビニルトリ(イソプロピノキシ)シラン。
[実施例1〜14および比較例1〜8]
下記表1〜3に示す組成で、次のように混合して実施例1〜14および比較例1〜8の組成物を得た。即ち、5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)社製)に成分(A)、及び必要に応じて(E)及び(F)を取り、成分(B)、及び(C)を加え25℃で1.5時間混合した。次に成分(D)、及び必要に応じて(G)又は(H)を加えて均一になるように混合した。
得られた組成物について、絶対粘度、熱伝導率、BLT、熱抵抗、及びヒートサイクル試験後の熱抵抗を下記の方法にてそれぞれ測定した。結果を表1〜3に併せて示す。
〔粘度〕
各組成物の絶対粘度は、マルコム粘度計(タイプPC−1TL)を用いて25℃で測定した。
〔熱伝導率〕
各組成物を6mm厚の型に流し込み、0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃に加熱した後、京都電子工業(株)社製のTPS−2500Sにより、いずれも25℃において測定した。
〔圧縮時の最小厚み(BLT)測定〕
φ12.7mmのアルミニウム板2枚の厚みを測定し、その後、厚みを測定したアルミニウム板2枚の間に、各組成物を挟み込み、0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃のオーブンに90分間装入して各組成物を加熱硬化させ、BLT測定用の試験片を作製し、この測定用試験片の厚みを測定した。BLTは下記式(5)で計算し、算出したものである。
BLT(μm)=試験片の厚み(μm)−使用したアルミニウム板2枚の厚み(μm)
(5)
なお、厚みの測定はデジマチック標準外側マイクロメータ((株)ミツトヨ社製、MDC−25MX)により行った。
〔熱抵抗測定及びヒートサイクル〕
φ12.7mmのアルミニウム板2枚の間に、各組成物を挟み込み、0.35Mpaの圧力を掛けられた状態で150℃のオーブンに90分間装入して各組成物を加熱硬化させ、熱抵抗測定用の試験片を作製し、熱抵抗を測定した。更にその後(−55℃←→150℃)ヒートサイクル試験を1,000時間実施して熱抵抗の変化を観察した。なお、この熱抵抗測定はナノフラッシュ(ニッチェ社製、LFA447)により行った。
Figure 2021191823
Figure 2021191823
Figure 2021191823
表1、2に示すように、本発明の熱伝導性シリコーン組成物である実施例1〜14では、いずれも高い熱伝導率を示し、またBLTも薄すぎないためにヒートサイクル後において熱抵抗の悪化は見られなかった。このことから、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は良好な放熱効果を有するものであり、発熱性電子部品を含む半導体装置に好適に用いられるものであることが明らかになった。
一方、表3に示すように、比較例1では(B)成分である銀粉末の配合量が少なかったために十分な熱伝導率を示さなかった。比較例2では(B)成分の配合量が多すぎたためにグリース状にならなかった。比較例3では(C)成分である熱伝導性充填材の平均粒径が大きすぎたために熱抵抗が高くなってしまった。比較例4ではBLTが薄くなり過ぎたことから、ヒートサイクルによって熱抵抗が悪化した。比較例5では(C)成分の配合量が多すぎたために粘度が上がって取り扱い性および作業性が悪化し、さらには十分な熱伝導率も得られなかった。比較例6〜8では、本発明に用いる(B)成分ではない銀粉末を用いたため、粘度が上昇してしまい、さらには十分な熱伝導率も得られなかった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…基板、 2…発熱性電子部品(CPU)、 3…熱伝導性シリコーン組成物層、
4…放熱体(リッド)、 5…半導体装置。

Claims (8)

  1. 熱伝導性シリコーン組成物であって、
    (A)下記平均組成式(1)
    SiO(4−a)/2 (1)
    〔式中、R1は、水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜18の飽和若しくは不飽和の一価炭化水素基の群の中から選択される1種若しくは2種以上の基を示し、aは1.8≦a≦2.2である。〕
    で表される、25℃における動粘度が10〜100,000mm/sのオルガノポリシロキサン
    (B)タップ密度が3.0g/cm以上であり、比表面積が2.0m/g以下であり、かつアスペクト比が、2.0〜150.0である銀粉末:前記成分(A)100質量部に対して、300〜11,000質量部
    (C)平均粒径が0.1〜100μmであり、20〜200W/m℃の熱伝導率を有する前記成分(B)以外の熱伝導性充填材:前記成分(A)100質量部に対して、10〜2,750質量部
    (D)触媒:触媒量
    を含有し、かつ、前記成分(B)と前記成分(C)の組成物中の合計含有量が85%以上のものであって、
    前記成分(D)は白金系触媒、有機過酸化物触媒、又は縮合反応用触媒であり、
    前記成分(D)が白金系触媒のとき、前記成分(A)の全部又は一部が、成分(A1):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び、成分(A2):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであるオルガノポリシロキサンであり、
    前記成分(D)が縮合反応用触媒のとき、前記成分(A)が一分子中にヒドロキシ基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含むものであることを特徴とする熱伝導性シリコーン組成物。
  2. 前記成分(C)のアスペクト比が、1.0以上3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  3. 前記成分(C)が、タップ密度が0.1g/cm以上の酸化亜鉛粉末であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 前記成分(B)の質量αと前記成分(C)の質量βの質量比α/βが、3〜150であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  5. 前記成分(A)の全部又は一部が、成分(A1):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及び/又は、成分(A2):一分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  6. さらに、成分(E)として、下記一般式(2)
    Si(OR4−b (2)
    〔式中、R2は、置換基を有していてもよい飽和又は不飽和の一価炭化水素基、エポキシ基、アクリル基及びメタクリル基の中から選択される1種又は2種以上の基を示し、R3は一価炭化水素基を示し、bは1≦b≦3である。〕
    で表されるオルガノシランを、前記成分(A)100質量部に対して0〜20質量部含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  7. 発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置であって、
    前記発熱性電子部品と前記放熱体との間に、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物から形成された硬化膜が介在しているものであることを特徴とする半導体装置。
  8. 発熱性電子部品と、放熱体とを備えている半導体装置の製造方法であって、
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物を、前記発熱性電子部品と前記放熱体との間で、0.01MPa以上の圧力を掛けた状態で80℃以上に加熱する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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