JP7480699B2 - 多結晶ダイヤモンド自立基板を用いた積層基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多結晶ダイヤモンド自立基板及びその製造方法に関する。
高周波デバイスやパワーデバイス等の高耐圧の半導体デバイスを作製するための基板として、多結晶ダイヤモンド自立基板が注目されてきている。
特許文献1には、基体上に化学気相成長法(CVD法)で厚さ5~2000μmの多結晶ダイヤモンド層を成長させ、その後、基体を除去して多結晶ダイヤモンド層を自立基板とする旨が記載されている。特許文献1では、成膜時に雰囲気中に窒素を含有させることで、膜厚の増大とともにダイヤモンド粒子の粒径が増大することがなくなり、成長面と内部の両方で粒径が1μm未満となる多結晶ダイヤモンド層を形成することができる旨が記載されている。よって、多結晶ダイヤモンド層の形成後に基体を除去すれば、両面におけるダイヤモンド粒子の粒径がともに1μm未満となる多結晶ダイヤモンド自立基板を得ることができるはずである。
特開平7-172988号公報
しかしながら、特許文献1では多結晶ダイヤモンド層の厚さが5~2000μmと薄いため、自立基板として十分な機械的強度を得ることができず、基体を除去した後に多結晶ダイヤモンド層が割れてしまう。また、仮に多結晶ダイヤモンド層を厚く形成して、自立基板として十分な機械的強度を得た場合でも、以下のような課題があることを本発明者は認識した。
多結晶ダイヤモンド自立基板の片面に異種基板を貼り付けて、当該異種基板に半導体デバイスを作製する場合を想定する。多結晶ダイヤモンド自立基板の両面のうち、前記片面を「おもて面」と称し、他面を「裏面」と称する。この場合、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面には、異種基板との良好な接合性が求められる。また、半導体デバイスの自己発熱を考慮すると、多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面には高い放熱性が求められる。特許文献1において、仮に多結晶ダイヤモンド層を厚く形成して、自立基板として十分な機械的強度を得た場合でも、おもて面における異種基板との接合性も、裏面における放熱性も十分に得られないことが分かった。
上記課題に鑑み、本発明は、おもて面における異種基板との接合性と裏面における放熱性の両方に優れる多結晶ダイヤモンド自立基板と、その有利な製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、当該多結晶ダイヤモンド自立基板を用いた積層基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を進め、以下の知見を得た。まず、おもて面における異種基板との優れた接合性を得るためには、おもて面の算術平均粗さRaを3nm以下にする必要があることが分かった。また、裏面における優れた放熱性を得るためには、おもて面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径を100nm以下という極微細とし、かつ、裏面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径を1000nm以上と意図的に大きくすることが重要であることが分かった。
また、おもて面でダイヤモンド粒子を平均粒径100nm以下の極微細とし、裏面でダイヤモンド粒子を平均粒径1000nm以上の粗大とするためには、以下の製造プロセスを採用することが好適であることを見出した。まず、半導体基板に、平均粒径が100nm以下のダイヤモンド粒子を付着させ、ダイヤモンド粒子を核として、CVD法により、半導体基板上に厚さが300μm以上3mm以下の多結晶ダイヤモンド層を成長させる。多結晶ダイヤモンド層は、半導体基板と接する成長開始面と、半導体基板と反対側の成長面と、を有する。次いで、半導体基板を除去して、多結晶ダイヤモンド自立基板を得る。このとき、平均粒径が100nm以下のダイヤモンド粒子を核としたので、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面では、ダイヤモンド粒子の平均粒径が100nm以下となる。よって、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と設定すればよい。他方で、成膜の過程で、多結晶ダイヤモンド層の厚みが増すにつれて、ダイヤモンド粒子の粒径は増大するため、多結晶ダイヤモンド層の成長面では、ダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上となる。よって、多結晶ダイヤモンド層の成長面を、多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面と設定すればよい。
そして、おもて面のダイヤモンド粒子の平均粒径が100nm以下であれば、おもて面の算術平均粗さRaを容易に3nm以下にすることができることを見出した。具体的には、おもて面のダイヤモンド粒子の平均粒径が3nm以下であれば、基本的には、おもて面を研磨することなく、Raを3nm以下とすることができる。おもて面のダイヤモンド粒子の平均粒径が3nmを超える場合であっても、100nm以下であれば、おもて面を研磨することで容易にRaを3nm以下とすることができる。
上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]おもて面及び裏面を有する多結晶ダイヤモンド自立基板であって、
前記おもて面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、
前記裏面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下であり、
前記おもて面の算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であり、
厚さが300μm以上3mm以下である、多結晶ダイヤモンド自立基板。
[2]上記[1]に記載の多結晶ダイヤモンド自立基板と、
前記おもて面に貼り合わされたSiC基板、GaN基板、Ga23基板、又は単結晶ダイヤモンド基板と、
を有する積層基板。
[3]半導体基板上に、平均粒径が1nm以上100nm以下のダイヤモンド粒子を付着させる工程と、
前記ダイヤモンド粒子を核として、化学気相成長法により、前記半導体基板上に厚さが300μm以上3mm以下の多結晶ダイヤモンド層を成長させ、前記多結晶ダイヤモンド層は、前記半導体基板と接する成長開始面と、前記半導体基板と反対側の成長面と、を有する工程と、
その後、前記半導体基板を除去して前記成長開始面を露出させて、前記多結晶ダイヤモンド層からなる多結晶ダイヤモンド自立基板を得る工程と、
前記多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と設定し、前記多結晶ダイヤモンド層の成長面を前記多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面と設定する工程と、
を有し、前記おもて面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、前記裏面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下であり、前記おもて面の算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であり、厚さが300μm以上3mm以下である、前記多結晶ダイヤモンド自立基板を得る、多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法。
[4]前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面を研磨する工程をさらに有する、上記[3]に記載の多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法。
[5]前記半導体基板が、シリコン基板、サファイア基板、又はSiC基板である、上記[3]又は[4]に記載の多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法。
[6]上記[3]~[5]のいずれか一項に記載の多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法と、
前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面に、SiC基板、GaN基板、Ga23基板、又は単結晶ダイヤモンド基板を貼り合わせて、積層基板を得る工程と、
を有する積層基板の製造方法。
本発明の多結晶ダイヤモンド自立基板は、おもて面における異種基板との接合性と裏面における放熱性の両方に優れる。本発明の多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法によれば、おもて面における異種基板との接合性と裏面における放熱性の両方に優れる多結晶ダイヤモンド自立基板を製造することができる。さらに、本発明は、当該多結晶ダイヤモンド自立基板を用いた積層基板及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100の模式断面図である。 (A)~(E)は、本発明の一実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100の製造方法を説明する模式断面図である。 本発明の一実施形態による積層基板200の模式断面図である。 (A),(B)は、本発明の一実施形態による積層基板200の製造方法を説明する模式断面図である。 発明例1における多結晶ダイヤモンド自立基板のラマンスペクトルである。
(多結晶ダイヤモンド自立基板)
図1を参照して、本発明の一実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100は、おもて面100A及び裏面100Bを有し、おもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、裏面100Bにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下であり、おもて面100Aの算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であり、厚さが300μm以上3mm以下である。
[ダイヤモンド粒子の平均粒径]
本実施形態において、多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下であることが重要である。当該平均粒径が100nmを超える場合、裏面からの放熱性が不十分となる。これは、おもて面側の表層部において大きなダイヤモンド粒子が形成されると、粒子間の隙間が大きくなり、当該隙間に熱がこもり、裏面への熱の伝搬性が劣るためと考えられる。おもて面側の表層部に小さなダイヤモンド粒子が高密度に形成されると、粒子間の隙間が小さくなり、裏面への熱の伝搬性が高まり、裏面における放熱性が優れる。よって、当該平均粒径は100nm以下とする。また、当該平均粒径を100nm以下とすることによって、おもて面100Aの算術平均粗さRaを容易に3nm以下にすることができる。なお、核として付着させるダイヤモンド粒子の平均粒径の下限(後記の製造方法を参照)の観点から、おもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径は1nm以上となる。
本実施形態において、多結晶ダイヤモンド自立基板100の裏面100Bにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径は1000nm以上4000nm以下であることが重要である。当該平均粒径が1000nm未満の場合、裏面における放熱性が不十分となる。当該平均粒径が4000nmを超える場合、裏面を真空吸着して基板搬送を行なう際に、吸着エラーとなるおそれがある。
本発明において、おもて面100A及び裏面100Bの各々における「ダイヤモンド粒子の平均粒径」は、以下の定義に従う。すなわち、おもて面及び裏面の各々において、多結晶ダイヤモンド自立基板の中心点、及び、多結晶ダイヤモンド自立基板の半径95%の円周と直径との2つの交点、の計3点をそれぞれ中心とする10μm×10μmの3つの領域を光学顕微鏡にて観測し、これら3つの領域における全てのダイヤモンド粒子の粒径の加算平均値を「ダイヤモンド粒子の平均粒径」と定義する。なお、「ダイヤモンド粒子の粒径」とは、ダイヤモンド粒子の長軸の長さである。
後記の製造方法に起因して、多結晶ダイヤモンド自立基板100の厚み方向に沿ったダイヤモンド粒子の平均粒径の変化は、おもて面100Aから裏面100Bに向かって漸増した後、徐々に飽和する態様となる。
[おもて面の算術平均粗さRa]
本実施形態において、多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aの算術平均粗さRaは1nm以上3nm以下であることが重要である。これにより、おもて面における異種基板との接合性が優れる。当該Raが3nm超えの場合、おもて面における異種基板との接合性が不十分となる。なお、本発明において「おもて面の算術平均粗さRa」は、JIS B0601-2001に従うものとする。具体的には、おもて面において、多結晶ダイヤモンド自立基板の中心点、及び、多結晶ダイヤモンド自立基板の半径95%の円周と直径との2つの交点、の計3点をそれぞれ中心とする20μm×20μmの3つの領域を、7nm径のプローブ針を有する原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて観察し、表面形状を画像化する。得られた表面形状から、JIS B0601-2001に従って各領域の算術平均粗さRaを算出し、その加算平均値を「おもて面の算術平均粗さRa」として採用する。
[多結晶ダイヤモンド自立基板の厚さ及び直径]
多結晶ダイヤモンド自立基板100の厚さは300μm以上3mm以下である。当該厚さが300μm未満の場合、自立基板として十分な機械的強度を得ることができず、半導体基板10を除去した後に多結晶ダイヤモンド層が割れてしまう。当該厚さが3mm超えの場合、プロセスタイムが過大となる。多結晶ダイヤモンド自立基板100の直径は特に限定されないが、例えば50mm以上300mm以下とすることができる。なお、「多結晶ダイヤモンド自立基板の厚さ」については、多結晶ダイヤモンド自立基板の中心点、及び、多結晶ダイヤモンド自立基板の半径95%の円周と直径との2つの交点、の計3点をそれぞれ中心とする10μm×10μmの3つの領域において、光学顕微鏡にて断面観察して測定した厚さの平均値を採用する。
本発明において、多結晶ダイヤモンド自立基板の「おもて面」は、半導体デバイスを作製したり、異種基板を貼り付けたりする面であり、多結晶ダイヤモンド自立基板の「裏面」は、おもて面の反対側の表面である。ここで、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面又は裏面には、製品情報を記録した識別子(レーザーマーク)が刻印される。このため、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と裏面とは、明確に区別される。なお、本実施形態では、多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面に、レーザーマークが刻印されることが好ましい。
(多結晶ダイヤモンド自立基板の製造方法)
図2(A)~(E)を参照して、本発明の一実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100の製造方法は、以下の工程を有する。まず、図2(A),(B)に示すように、半導体基板10上に、平均粒径が1nm以上100nm以下のダイヤモンド粒子12を付着させる。その後、図2(B),(C)に示すように、ダイヤモンド粒子12を核として、化学気相成長法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)により、半導体基板10上に厚さが300μm以上3mm以下の多結晶ダイヤモンド層14を成長させる。このとき、多結晶ダイヤモンド層14は、半導体基板10と接する成長開始面14Aと、半導体基板10と反対側の成長面14Bと、を有する。その後、図2(D),(E)に示すように、半導体基板10を除去して成長開始面14Aを露出させて、多結晶ダイヤモンド層14からなる多結晶ダイヤモンド自立基板100を得る。ここで、本実施形態では、多結晶ダイヤモンド層14の成長開始面14Aを多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aと設定し、多結晶ダイヤモンド層14の成長面14Bを多結晶ダイヤモンド自立基板100の裏面100Bと設定することが肝要であり、このことを描写するため、図2(E)では、図2(D)の多結晶ダイヤモンド自立基板を反転させている。
本実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100の製造方法は、任意の工程として、半導体基板10を除去する前(図2(C)の後、かつ、図2(D)の前)に、多結晶ダイヤモンド層14の成長面14Bを研磨して平坦化してもよい。
本実施形態による多結晶ダイヤモンド自立基板100の製造方法は、任意の工程として、半導体基板10を除去した後に(図2(D)の後)に、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面14Aを研磨して平坦化してもよい。
このようにして、図1に示す多結晶ダイヤモンド自立基板100を得ることができる。以下、本実施形態における各工程を詳細に説明する。
[半導体基板の用意]
図2(A)を参照して、まず、半導体基板10を用意する。半導体基板10は、シリコン基板、サファイア基板、又はSiC基板であることが好ましい。半導体基板10の厚さは、200μm以上3mm以下とすることが好ましい。厚さが200μm未満の場合、半導体基板が反ることにより多結晶ダイヤモンド層の剥がれが発生したり、半導体基板の割れが発生する。また、厚さが3mm超えの場合、後述の半導体基板10の除去工程におけるプロセスタイムや材料コストの観点から好ましくない。半導体基板10の直径は、所望の多結晶ダイヤモンド自立基板100の直径と同じにすることができる。
[ダイヤモンド粒子の付着]
図2(A),(B)に示すように、半導体基板10上に、平均粒径が1nm以上100nm以下のダイヤモンド粒子12を付着させる。半導体基板10にダイヤモンド粒子12を付着させる方法は特に限定されないが、一例として、以下の方法を挙げることができる。
[[ダイヤモンド粒子含有溶液の塗布]]
まず、半導体基板10上にダイヤモンド粒子を含有する溶液を塗布して、半導体基板10上にダイヤモンド粒子含有液膜を形成する。塗布方法としては、スピンコート法、スプレー法、及び浸漬法を挙げることができ、スピンコート法が特に好ましい。スピンコート法によれば、半導体基板10の両面のうちダイヤモンド粒子12を付着させたい片側の表面のみに、ダイヤモンド粒子含有溶液を均一に塗布することができる。
ダイヤモンド粒子含有溶液に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下とすることが肝要である。当該平均粒径が1nm以上であれば、多結晶ダイヤモンド層14を成長させる初期段階において、ダイヤモンド粒子がスパッタリング作用により半導体基板10の表面から弾き飛ばされる現象を抑制することができ、また、半導体基板10上に付着するダイヤモンド粒子12の平均粒径を1nm以上とすることができる。当該平均粒径が100nm以下であれば、多結晶ダイヤモンド層を異常成長なく緻密に成膜でき、また、半導体基板10上に付着するダイヤモンド粒子12の平均粒径を100nm以下とすることができる。このようなサイズのダイヤモンド粒子は、公知の爆轟法や爆縮法や粉砕法によりグラファイトから好適に作製することができる。なお、「ダイヤモンド粒子含有溶液に含まれるダイヤモンド粒子の平均粒径」は、JIS 8819-2に従って算出されるものであり、公知のレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定された粒度分布が正規分布に従うと仮定して算出された平均粒径を意味する。
ここで、ダイヤモンド粒子含有溶液を塗布する前の半導体基板10は、その表面に付着した金属不純物を除去するために、一般的にフッ酸などを用いて酸洗浄される。酸洗浄された半導体基板10の表面は活性な撥水面であるので、その表面にはパーティクルが付着しやすい。このため、酸洗浄した半導体基板10を純水などで洗浄して、半導体基板10の表面を自然酸化膜が形成された親水性面とすることが好ましい。あるいは、酸洗浄した半導体基板10をクリーンルーム内に長時間放置して、半導体基板10の表面に自然酸化膜を形成することが好ましい。これにより、半導体基板10の表面にパーティクルが付着するのを抑制することができる。この時、自然酸化膜中には正電荷を有する固定電荷が発生する。そのため、正電荷に帯電した自然酸化膜上に、負電荷に帯電させたダイヤモンド粒子を含有するダイヤモンド粒子含有溶液を塗布すれば、半導体基板10とダイヤモンド粒子12とがクーロン引力により強固に結合する。その結果、多結晶ダイヤモンド層14の半導体基板10に対する密着性が向上する。このように負電荷に帯電させたダイヤモンド粒子は、ダイヤモンド粒子に酸化処理を施すことによって、カルボキシル基やケトン基でダイヤモンド粒子を終端することで得られる。例えば、酸化処理としては、ダイヤモンド粒子を酸化熱する方法や、オゾン溶液、硝酸溶液、過酸化水素水溶液、又は過塩素酸溶液にダイヤモンド粒子を浸漬する方法などが挙げられる。
ダイヤモンド粒子含有溶液の溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、2-プロパノ-ル、及びトルエン等の有機溶媒が挙げられ、これらの溶媒を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ダイヤモンド粒子含有溶液におけるダイヤモンド粒子の含有量は、ダイヤモンド粒子含有溶液全体に対して0.03質量%以上10質量%以下とすることが好ましい。0.03質量%以上であれば、ダイヤモンド粒子12を半導体基板10上に均一に付着させることができ、10質量%以下であれば、付着したダイヤモンド粒子12が多結晶ダイヤモンド層14の成長過程で異常成長するのを抑制することができるからである。
ダイヤモンド粒子12と半導体基板10との密着性を向上させる観点から、ダイヤモンド粒子含有溶液をジェル状のものとすることが好ましく、ダイヤモンド粒子含有溶液に増粘剤を含有させてもよい。増粘剤としては、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩系増粘剤、水溶性セルロース類、ポリエチレンオキサイドなどが挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。増粘剤を含有させる場合、ダイヤモンド粒子含有溶液のpHを6以上8以下の範囲とすることが好ましい。
ダイヤモンド粒子含有溶液の調製は、上記の溶媒にダイヤモンド粒子を混合して撹拌することにより、溶媒中にダイヤモンド粒子を分散させるようにして行えばよい。撹拌速度は500rpm以上3000rpm以下とすることが好ましく、撹拌時間は10分以上1時間以下とすることが好ましい。
[[熱処理]]
次に、半導体基板10に熱処理を施す。これにより、ダイヤモンド粒子含有液膜中の溶媒が蒸発し、かつ半導体基板10の表面とダイヤモンド粒子12との結合力が強化されて、半導体基板10上にダイヤモンド粒子12が付着する。熱処理中の半導体基板10の温度は、100℃未満とすることが好ましく、30℃以上80℃以下とすることがより好ましい。100℃未満であれば、ダイヤモンド粒子含有溶液の沸騰に伴う泡の発生を抑制することができるので、半導体基板10上にダイヤモンド粒子12が部分的に存在しない部位が発生することがなく、この部位を起点として多結晶ダイヤモンド層14が剥離するおそれもない。30℃以上であれば、半導体基板10とダイヤモンド粒子12とが十分に結合するので、CVD法によって多結晶ダイヤモンド層14を成長させる過程で、スパッタリング作用によりダイヤモンド粒子12が弾き飛ばされるのを抑制することができ、多結晶ダイヤモンド層14を均一に成長させることができる。また、熱処理時間は1分以上30分以下とすることが好ましい。なお、熱処理装置としては、公知の熱処理装置を用いればよく、例えば、加熱したホットプレート上に半導体基板10を載置することにより行うことができる。
[[他の付着方法]]
半導体基板10にダイヤモンド粒子12を付着させる方法の他の例として、傷付け法を挙げることができる。傷付け法では、半導体基板10の表面にダイヤモンド粒子12を埋め込むことにより、半導体基板10上にダイヤモンド粒子12を付着させる。ダイヤモンド粒子を埋め込む方法としては、(1)乾燥した状態のダイヤモンド粉末をシリコンウェーハの表面に分布させて、半導体基板の表面に押圧力を印加する方法、(2)ダイヤモンド粒子を含む高速ガスを半導体基板の表面に噴射する方法、(3)ダイヤモンド粒子の流動床中に半導体基板を置く方法、(4)ダイヤモンド粒子を分散させた溶液中で半導体基板を超音波洗浄する方法などが挙げられる。
[多結晶ダイヤモンド層の成長]
その後、図2(B),(C)に示すように、ダイヤモンド粒子12を核として、CVD法により、半導体基板10上に厚さが300μm以上3mm以下の多結晶ダイヤモンド層14を成長させる。CVD法としては、プラズマCVD法及び熱フィラメントCVD法等を好適に用いることができる。
プラズマCVD法を用いる場合、例えば、水素をキャリアガスとして、メタン等のソースガスをチャンバー内に導入して、半導体基板10の温度を700℃以上1300℃以下として、多結晶ダイヤモンド層14を成長させる。多結晶ダイヤモンド層14の厚さの均一性を向上させる観点から、マイクロ波プラズマCVD法を用いることが好ましい。マイクロ波プラズマCVD法とは、プラズマチャンバー内でメタン等のソースガスをマイクロ波によって分解してプラズマ化し、プラズマ化したソースガスを加熱した半導体基板10上に導くことにより、多結晶ダイヤモンド層14を成長させる方法である。ここで、プラズマチャンバー内の圧力、マイクロ波の出力、及び半導体基板10の温度は、以下のように設定することが好ましい。プラズマチャンバー内の圧力は、1.3×103Pa以上1.3×105Pa以下とすることが好ましく、1.1×104Pa以上4.0×104Pa以下とすることがより好ましい。マイクロ波の出力は、0.1kW以上100kW以下とすることが好ましく、1kW以上10kW以下とすることがより好ましい。半導体基板10の温度は、700℃以上1300℃以下とすることが好ましく、900℃以上1200℃以下とすることがより好ましい。
熱フィラメントCVD法を用いる場合、タングステン、タンタル、レニウム、モリブデン、イリジウム等からなるフィラメントを用いて、フィラメント温度を1900℃以上2300℃以下程度とし、メタン等の炭化水素系のソースガスから炭素ラジカルを生成する。この炭素ラジカルを加熱した半導体基板10上に導くことにより、多結晶ダイヤモンド層14を成長させる。熱フィラメントCVD法によれば、基板の大口径化に容易に対応することができる。ここで、チャンバー内の圧力、フィラメントと半導体基板10との距離、及び半導体基板10の温度は、以下のように設定することが好ましい。チャンバー内の圧力は1.3×103Pa以上1.3×105Pa以下とすることが好ましい。フィラメントと半導体基板10との距離は5mm以上20mm以下とすることが好ましい。半導体基板10の温度は700℃以上1300℃以下とすることが好ましい。
多結晶ダイヤモンド層14は、多結晶ダイヤモンド自立基板100を構成するものであるため、半導体基板10上に成長させる多結晶ダイヤモンド層14の厚さは300μm以上3mm以下とする。
本実施形態では、平均粒径が1nm以上100nm以下のダイヤモンド粒子12を核としてCVD法を行うため、多結晶ダイヤモンド層14の成長開始面14Aにおいて、ダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下とすることができる。また、成膜の過程で、多結晶ダイヤモンド層14の厚みが増すにつれて、ダイヤモンド粒子の粒径は増大するため、多結晶ダイヤモンド層14の成長面14Bでは、ダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nmとなる。
[成長面の研磨]
その後、半導体基板10を除去する前(図2(C)の後、かつ、図2(D)の前)に、多結晶ダイヤモンド層14の成長面14Bを研磨して平坦化してもよい。成膜後の多結晶ダイヤモンド層14の表面(成長面14B)には過度の凹凸が形成されている。多結晶ダイヤモンド層14の表面を平坦化することにより、その後得られる多結晶ダイヤモンド自立基板100を半導体プロセス装置の試料台へ確実にセット(チャック)することができる。平坦化方法は特に限定されないが、例えば公知の化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を好適に用いることができる。なお、平坦化後も、多結晶ダイヤモンド層14の厚さは300μm以上3mm以下とする。
[半導体基板の除去]
その後、図2(D),(E)に示すように、半導体基板10を除去して成長開始面14Aを露出させて、多結晶ダイヤモンド層14からなる多結晶ダイヤモンド自立基板100を得る。半導体基板10の除去方法は特に限定されないが、研削、研磨、及び化学エッチングの一種以上を用いることができる。例えば、半導体基板10を、多結晶ダイヤモンド層14との界面とは反対側の表面から研削することによりある程度減厚し、その後、ダイヤモンドは溶解せず、半導体基板10のみを溶解するエッチング液により化学エッチングすることで、半導体基板10を除去して成長開始面14Aを露出させることができる。研削及び研磨には、公知又は任意の研削法及び研磨法を好適に用いることができ、具体的には平面研削法及び鏡面研磨法を用いることができる。また、エッチング液としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリエッチング液を用いることができる。
[おもて面/裏面の設定]
多結晶ダイヤモンド層14の成長開始面14Aを多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aと設定し、多結晶ダイヤモンド層14の成長面14Bを多結晶ダイヤモンド自立基板100の裏面100Bと設定する。このことを描写するため、図2(E)では、図2(D)の多結晶ダイヤモンド自立基板を反転させているが、例えば、具体的には、成長面14Bを搬送用ピンセットに吸着させて成長開始面14Aをおもて側に配置する作業を行う。また、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面となる成長開始面14A又は裏面となる成長面14Bに、製品情報を記録した識別子(レーザーマーク)を刻印する。多結晶ダイヤモンド自立基板100を異種基板と貼り合わせて使用する場合には、接合面にレーザーマークが存在すると貼り合わせ不良を生じる。このため、多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面となる成長面14Bに、レーザーマークを刻印することが好ましい。これにより、おもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、裏面100Bにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下である多結晶ダイヤモンド自立基板100を得ることができる。
[おもて面(成長開始面)の研磨]
半導体基板10を除去した後に(図2(D)の後)に、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面14A(多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面100A)を研磨して平坦化してもよい。多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が3nm以下であれば、基本的には、おもて面100Aを研磨することなく、Raを3nm以下とすることができる。しかし、おもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が3nm超えの場合には、おもて面100Aを研磨することにより、おもて面100AのRaを3nm以下とすることができる。なお、おもて面100Aにおけるダイヤモンド粒子の平均粒径が100nmを超えると、研磨によりRaを3nm以下に調整しにくくなるが、当該平均粒径が100nm以下であれば、おもて面を研磨することで容易にRaを3nm以下とすることができる。
(積層基板)
図3を参照して、本発明の一実施形態による積層基板200は、多結晶ダイヤモンド自立基板100と、当該多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面100Aに貼り合わされた異種基板20と、を有する。多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aは、算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であるため、異種基板との接合性が優れている。よって、本実施形態による積層基板200は、多結晶ダイヤモンド自立基板100と異種基板20との接合性が良好である。異種基板20には、高周波デバイスやパワーデバイス等、所望の半導体デバイスを形成することができる。
(積層基板の製造方法)
図4(A),(B)を参照して、本発明の一実施形態による積層基板200の製造方法では、既述の多結晶ダイヤモンド自立基板100の製造方法を行い、その後、多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aに異種基板20を貼り合わせて、積層基板200を得る。
[異種基板の用意]
異種基板20は、SiC基板、GaN基板、Ga23基板、又は単結晶ダイヤモンド基板とすることができる。異種基板20の厚さは、その強度を考慮して適宜決定することができ、300μm以上1000μm以下とすることが好ましい。異種基板20の直径は、多結晶ダイヤモンド自立基板100の直径と同じにすることができる。
[異種基板の貼り合わせ]
多結晶ダイヤモンド自立基板100への異種基板20の貼合せ方法は特に限定されず、例えば、公知の真空常温接合法又はプラズマ接合法による貼り合わせを挙げることができる。
真空常温接合法とは、多結晶ダイヤモンド自立基板100と異種基板20を加熱することなく、常温で貼り合わせる方法である。本実施形態では、多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100A及び異種基板20の表面に、真空常温下でイオンビーム又は中性原子ビームを照射する活性化処理して、両方の表面を活性化面とする。これにより、活性化面にはダングリングボンドが現れる。そのため、引き続き真空常温下で上記両方の活性化面を接触させると、瞬時に接合力が働き、上記活性化面を貼り合わせ面として、多結晶ダイヤモンド自立基板100と異種基板20とが強固に貼り合う。
プラズマ接合法とは、多結晶ダイヤモンド自立基板100のおもて面100Aと異種基板20の表面をプラズマ雰囲気に曝すことにより、各表面にダングリングボンドを形成し、このダングリングボンド同士を結合させるウェーハ接合方法である。一般的に、プラズマ活性処理とウェーハ接合処理とを別装置にて実施するため、活性化したダングリングボンドが一旦大気中に暴露されダングリングボンド密度が減少し、ウェーハ接合強度が低下してしまう。よって、ウェーハ接合強度を確保するために、ウェーハ接合後に熱処理を行うことが好ましい。
[異種基板の減厚]
その後、異種基板20を減厚してもよい。具体的には、異種基板20を、接合面とは反対側の表面から研削及び研磨することにより減厚することができる。減厚後の異種基板20の厚さは、そこに形成する半導体デバイスの種類や構造に応じて適宜決定することができ、1μm以上500μm以下とすることが好ましい。なお、この研削及び研磨には、公知又は任意の研削法及び研磨法を好適に用いることができ、具体的には平面研削法及び鏡面研磨法を用いることができる。
(発明例1~6)
図2(A)~(E)に示す工程を経て、発明例1~6の多結晶ダイヤモンド自立基板を作製した。
まず、CZ(Czochralski)法により育成されたCOPフリーのシリコン単結晶インゴットから切り出し加工した、直径が2インチ、厚さが3mm、面方位が(100)、抵抗率が10Ω・cm、酸素濃度(ASTM F121-1979)が1.0×1018atoms/cm3であるp型シリコンウェーハを用意した。
次に、爆轟法によって、表1に示す平均粒径を有するダイヤモンド粒子を用意した。このダイヤモンド粒子を、過酸化水素水溶液に浸漬することによりカルボキシル基(COOH)で終端して、負電荷に帯電させた。次に、ダイヤモンド粒子を溶媒(H2O)に混合し、撹拌して、ダイヤモンド粒子の含有量が0.2質量%のダイヤモンド粒子含有溶液を調製した。なお、撹拌速度は1100rpm、撹拌時間は50分とし、撹拌中のダイヤモンド粒子含有溶液の温度は25℃とした。続いて、シリコンウェーハを純水により洗浄して、表面に自然酸化膜を形成した後、スピンコート法によってシリコンウェーハ上にダイヤモンド粒子含有溶液を塗布し、ダイヤモンド粒子含有液膜を形成した。
次に、90℃に設定したホットプレート上にシリコンウェーハを3分間置くことにより、シリコンウェーハとダイヤモンド粒子との結合を強化する熱処理を施し、シリコンウェーハ上にダイヤモンド粒子を付着させた。
次に、水素をキャリアガス、メタンをソースガスとして、既述のマイクロ波プラズマCVD法を用いて、GaN基板上に付着したダイヤモンド粒子を核として、種々の厚さの多結晶ダイヤモンド層を成長させた。なお、プラズマチャンバー内の圧力を1.5×104Pa、マイクロ波の出力を5kW、シリコンウェーハの温度を1050℃とした。
次に、多結晶ダイヤモンド層の成長面をCMP法により研磨して平坦化した。
次に、研削及びそれに続くKOHによるエッチングによって、シリコンウェーハを除去し、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を露出させた。
発明例1~6では、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と設定し、多結晶ダイヤモンド層の成長面を多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面と設定した。このことを、表2では「反転あり」と記載した。具体的には、裏面となる成長面にレーザーマークを刻印した。
次に、表1の「おもて面研磨」の欄に示すように、一部の発明例では、多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面をCMP法により研磨して平坦化した。
(比較例1,2)
比較例1,2では、多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面と設定し、多結晶ダイヤモンド層の成長面を多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と設定した。このことを、表2では「反転なし」と記載した。具体的には、裏面となる成長開始面にレーザーマークを刻印した。この点以外は、発明例1~6と同様にして、多結晶ダイヤモンド自立基板を作製した。
(比較例3)
多結晶ダイヤモンド層の厚さを100μmとしたこと以外は、発明例1と同じ条件で、多結晶ダイヤモンド自立基板の作製を試みた。しかし、シリコンウェーハを除去後、多結晶ダイヤモンド層に割れが発生し、自立基板とすることができなかった。
[ラマン分光法による分析]
発明例1~6において、ラマン分析法を用いて多結晶ダイヤモンド自立基板の表面を評価した。代表して、発明例1のラマンスペクトルを図5に示す。sp3構造からなるDライン(1330-1340cm-1)と、sp2構造からなるGライン(1580-1620cm-1)が存在し、Dラインの信号強度はGラインより大きいことがわかった。すなわち、sp3構造が優性であり、sp3構造が主となるダイヤモンド自立基板が作製できたことがわかった。
[厚さ、おもて面及び裏面の平均粒径、並びにおもて面の算術平均粗さRa]
既述の方法で、発明例1~6及び比較例1,2において、多結晶ダイヤモンド自立基板の厚さ、おもて面及び裏面の平均粒径、並びにおもて面の算術平均粗さRaを測定し、結果を表1に示した。
[おもて面接合性の評価]
発明例1~6及び比較例1,2の多結晶ダイヤモンド自立基板(直径:2インチ)と、SiC基板(直径:2インチ)とを真空常温接合法で貼り合わせることを試みた。多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面及び異種基板の表面に、1×10-5Pa未満の真空常温下で、アルゴンイオンを照射して、両方の表面を活性化面とした。引き続き真空常温下で上記両方の活性化面を接触させて、多結晶ダイヤモンド自立基板と異種基板との接合を試みた。発明例1~6では、強固な接合が実現できたため、表1「おもて面接合性」の欄に○と表記した。比較例1,2では、2枚の基板がずれてしまい、接合不可と判断したため、表1「おもて面接合性」の欄に×と表記した。
[裏面放熱性の評価]
発明例1~6及び比較例1,2の多結晶ダイヤモンド自立基板に対して、おもて面の温度が200℃となるように熱処理を施した。熱処理前後の抵抗を測定することにより、多結晶ダイヤモンド自立基板の熱伝導率を求めた。裏面からの放熱性が高いほど、高い熱伝導率が得られる。熱伝導率が350W/mKに対して何%高いかを表1に示した。
Figure 0007480699000001
表1から明らかなように、発明例1~6は、おもて面における異種基板との接合性と裏面における放熱性の両方に優れていた。これに対して、比較例1,2では、おもて面における異種基板との接合性と裏面における放熱性の両方が不十分であった。
本発明による多結晶ダイヤモンド自立基板及び積層基板は、高周波デバイスやパワーデバイス等の高耐圧の半導体デバイスを作製する基板として好適である。
100 多結晶ダイヤモンド自立基板
100A 多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面
100B 多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面
10 半導体基板
12 ダイヤモンド粒子
14 多結晶ダイヤモンド層
14A 多結晶ダイヤモンド層の成長開始面
14B 多結晶ダイヤモンド層の成長面
200 積層基板
20 異種基板

Claims (4)

  1. おもて面及び裏面を有する多結晶ダイヤモンド自立基板と、前記おもて面に貼り合わされたSiC基板、GaN基板、又はGa板と、を有する積層基板であって、
    前記多結晶ダイヤモンド自立基板は、
    前記おもて面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、
    前記裏面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下であり、
    前記おもて面の算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であり、
    前記多結晶ダイヤモンド自立基板の厚さが300μm以上3mm以下である、積層基板。
  2. 半導体基板上に、平均粒径が1nm以上100nm以下のダイヤモンド粒子を付着させる工程と、
    前記ダイヤモンド粒子を核として、化学気相成長法により、前記半導体基板上に厚さが300μm以上3mm以下の多結晶ダイヤモンド層を成長させ、前記多結晶ダイヤモンド層は、前記半導体基板と接する成長開始面と、前記半導体基板と反対側の成長面と、を有する工程と、
    その後、前記半導体基板を除去して前記成長開始面を露出させて、前記多結晶ダイヤモンド層からなる多結晶ダイヤモンド自立基板を得る工程と、
    前記多結晶ダイヤモンド層の成長開始面を前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面と設定し、前記多結晶ダイヤモンド層の成長面を前記多結晶ダイヤモンド自立基板の裏面と設定する工程と、
    前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面に、SiC基板、GaN基板、Ga基板、又は単結晶ダイヤモンド基板を貼り合わせて、積層基板を得る工程と、
    を有し、前記多結晶ダイヤモンド自立基板は、前記おもて面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1nm以上100nm以下であり、前記裏面におけるダイヤモンド粒子の平均粒径が1000nm以上4000nm以下であり、前記おもて面の算術平均粗さRaが1nm以上3nm以下であり、厚さが300μm以上3mm以下である、積層基板の製造方法。
  3. 前記多結晶ダイヤモンド自立基板のおもて面を研磨する工程をさらに有する、請求項2に記載の積層基板の製造方法。
  4. 前記半導体基板が、シリコン基板、サファイア基板、又はSiC基板である、請求項2又は3に記載の積層基板の製造方法。
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