JP7479187B2 - 翼を備えた鋼管杭 - Google Patents
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また、他の従来例では、長方形のような板を傾斜させた状態で、鋼管杭の先端部に固定して、翼付の鋼管杭を構成したものもあった(特許文献3、4)。これらは主に地盤を削りながら、埋設する構造となっていた。
従来の鋼管杭では、一般的に、鋼管杭の強度を増して、地盤を削り易く、埋設後に鋼管の支持力を増強することを目的に、様々な工夫がなされていた。また、鋼管杭の底を塞いだ場合に、一般に支持力が高まるが埋設し難いので、翼の形状を様々な工夫もなされていた(特許文献4)。
また、底を閉塞した鋼管杭では埋設し難いく、設計より鋼管杭が深く埋設できず、鋼管杭の上端部が設計より高く地上に露出するいわゆる高止まりを起こす場合もあった。この場合には、鋼管杭の上端部を切断するなどの処理が必要であった。また、鋼管杭の底を開放した場合には、施工性が高まるが、底が地中の掘削土で詰まった場合には、同様に施工性が低下する問題点があった。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、中心O1の周りに、複数枚の基準部分円板を等角度で配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、第一辺と第二辺とを、滑らかな円弧状の外周縁で結んだ略扇形に形成した。
(4)前記基準部分円板は、略扇型の中心O2側を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略扇型の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、
前記第一辺を第二辺より長く形成し、かつ前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記隣接する基準部分円板で、対向する第一辺と第二辺の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。
(1)鋼管本体の下端部に、前記鋼管本体の外周側および中空部側に位置する補強具を固定した。
(2)隣接する基準部分円板の横間隙に前記補強具を位置させて、かつ、前記基準部分円板を前記補強具に固定した。
(3)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。
(1)基準部分円板は、第一辺の外周縁付近を、中心側に比して下方に位置するように傾斜させ、かつ第二辺の外周縁付近を、中心側に比して上方に位置するように、傾斜させて鋼管本体に固定した。
この実施形態では、角度θ1は、12°程度で形成する(図2(a)(b))。また、通常は、鋼板本体1に他の鋼管(通常は鋼管本体1と外径D0および肉厚が同一)を溶接して必要な長さを確保して使用するが長さがそれほどの必要ない場合には、単独で使用することもできる。
θ2≒120°
で形成されている。また、円弧部12は、半径辺13の放射方向の外縁13aと半径辺14の放射方向の外縁14aとを結ぶなめらかな円弧状の形状となっている。
より具体的には、以下のように形成する(図3)。中心O2を中心とする半径L22の基準円18A(大円)と半径L22の基準円(小円)18Bを形成する。基準円18Aの一半径にあたる半径辺13と、基準円18Bの一半径にあたる半径辺14とを角度θ2(約120°)で設定する。半径辺13の放射縁13a(基準円18Aにある)と、半径辺14の放射縁14a(基準円18Bにある)とを、基準円18A、18Bとの間を通る滑らかな曲線で結んで、曲線を円弧部12とする(図3)
また、各基準部分円板11は、長さが長い半径辺13側が下方に、長さが短い半径辺14側が上方に位置するように傾斜して配置されている。さらに、半径辺13の放射縁13aを基準に、半径辺14の放射縁14aを上昇させるように角度θ1で傾斜させてある(図1(e))。したがって、半径辺13では、放射縁13aに対して、中心O2側が上方の位置となっている。また、半径辺14は、放射縁14aが中心O2側に比して、上方に位置している(図4(b)。
ここで、各基準部分円板11で、上側(鋼管本体1側)を上面11a、下側(鋼管本体の他側)を下面11bとする。
この際、各基準部分円板11の上面11aで中心O3側(O2側)は鋼管本体1の翼受け切り欠き5の傾斜(θ1)に合わせて当接して固定されるので、各基準部分円板11の傾斜角度θ1が維持された状態で部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。また、各基準部分円板11の半径辺13、14の厚さ方向の端面で中心O3側(O2側)は、補強具の各基材24の外面に当接して固定され、さらに、部分円状翼10の各基準部分円状板11、11間の横間隙31、31に補強具21の基材24、24が挿入されるので、各基準部分円状板11、11の相対位置、横間隙31が維持された状態で、部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。
また、この状態で、基準部分円板11にはθ1の傾斜があるので、隣接する基準部分円板11、11で、半径辺13の放射縁13aと半径辺14の放射縁14aとの間に高さ方向で、最大で長さL4の縦間隙33が形成される(図1(e))。
この際、比較的硬い地盤であれば、所定外径で予め杭穴を掘削した後にこの鋼管杭30を回転しながら埋設するが、比較的柔らかい地盤であれば、予め杭穴を掘削せずに、直接に地上から部分円状翼10で地盤を掘削しながら鋼管杭30、40を埋設する。
また、略平行な横間隙31、縦間隙33から基準部分円板11の下面11b側に移動した土砂は、基準部分円板11の下面11b側に留まることなく、排土開口15から鋼管本体1の中空部3に揚げられるので、半径辺13、13での掘削効率が低下することを防止できる。さらに、補助具21の先端22が水平に対して角度を持って形成されているので、半径辺13、13が及ばない中心O1(O3)付近を掘削でき、補助具21で掘削されてほぐされた土砂も半径辺13、13に至り排土され、あるいは、中心側の土砂は補強具21により直接に排土開口15から鋼管本体1の中空部3に排土される。
また、半径辺13を長く、半径辺14を短く形成したので、円弧部12は真円ではなく半径辺14側は中心O1(O3)側に寄っているので、基準部分円板11、11への摩擦抵抗が少なく、掘削効率、排土効率を高められる(図1(c))。また、半径辺13の回転軌跡(すなわち基準円18A(図3)、掘削穴42(図1(c))に対して、半径辺14の放射縁14aの放射側に第二横間隙35を形成できるので(図1(c))、横間隙31と相まって、掘削杭穴内の圧力増加を防止して、掘削効率を高めることができる。また、第二横間隙35から掘削穴の穴壁周辺の掘削土を上方に排土できる。
また、基準部分円板11の円弧部12を滑らかな円弧状に形成したので、尖ったあるいは角となった部分がないので、地盤内に滑らかに突入されるので、掘削効率、排土効率もさらに高められる。
また、基準部分円板11の排土開口15は全部鋼管本体1の中空部3内に位置し、基準部分円板11で鋼管本体1の外面1a側に開口が形成されないので、基準部分円板11の上面11a全体を使って上方に排土できる。
10°<θ1<15°
程度で調整できる。
回転方向(y方向)傾斜:49.55
対角方向傾斜:111.47
となった。この場合、基準部分円板11のΦ=267.4、厚さ28mmである。
したがって、対角方向の傾斜の場合、点B(すなわち半径辺14の放射縁14a)の高さは
111.47/49.55≒2,25
となり、最初に地盤に当接する(最下端)点A(半径辺13の放射縁13a)から、最も上方に位置する点B(半径辺14の放射縁14a)が2倍以上大きくできるので、縦間隙33のスペースを多くとれるので望ましいが、回転方向(y方向)の傾斜とすることもできる。
すなわち、基準部分円板11は、下方に位置する半径辺13の外周縁13aを、中心O2側と同じ高さ(半径辺13を略水平)とすることもできる(図5)。
また、この場合も、排土開口15、15は鋼管本体1の中空部3内に位置する(図6(a)(b))。
また、排土開口15は部分円状(特に半円)としたので、基準部分円板11の裏面11b側から鋼管本体1の中空部3への排土効率が良いが、排土開口15の開口形状は他の形状とすることもできる(図示していない)。
また、台形状の補強具21を使用したが、横間隙31に嵌挿され、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、形状は任意である(図示していない)。
また、上記のように横間隙31を省略した場合には、補強具31を省略することもできる(図4(b))。
また。この実施形態では、角度θ1は、12°程度で形成する(図8(d)(e))。また、第一の実施形態と同様に、鋼板本体1の構成は任意である。
また、円弧部12は、半径辺13の放射方向の外縁13aと半径辺14の放射方向の外縁14aとを結ぶ円弧(ほぼ真円)となっている。
また、各基準部分円板11は、一方の半径辺13側が下方に、他方の半径辺14側が上方に位置するように水平に対して角度θ1で傾斜して配置されている。
ここで、各基準部分円板11で、上側(鋼管本体1側)を上面11a、下側(鋼管本体の他側)を下面11bとする。
この際、各基準部分円板11の上面11aが鋼管本体1の翼受け切り欠き5の傾斜(θ1)に合わせて当接して固定されるので、各基準部分円板11の傾斜角度θ1が維持された状態で部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。また、各基準部分円板11の半径辺13、14の厚さ方向の端面で、補強具21の外面に当接して固定され、さらに、部分円状翼10の各基準部分円状板11、11間の横間隙31、31に補強具21(基材24)が挿入されるので、各基準部分円状板11、11の相対位置、横間隙31が維持された状態で、部分円状翼10が鋼管本体1に固定される。
また、この状態で、基準部分円板11にはθ1の傾斜があるので、隣接する基準部分円板11、11で、半径辺13の放射縁13aと半径辺14の放射縁14aとの間に高さ方向で、最大で長さL4の縦間隙33が形成される(図8(d))。
この際、比較的硬い地盤であれば、所定外径で予め杭穴を掘削した後にこの鋼管杭30を回転しながら埋設するが、比較的柔らかい地盤であれば、予め杭穴を掘削せずに、直接に地上から部分円状翼10で地盤を掘削しながら鋼管杭30、40を埋設する。
また、略平行な横間隙31、縦間隙33から基準部分円板11の下面11b側に移動した土砂は、基準部分円板11の下面11b側に留まることなく、排土開口15から鋼管本体1の中空部3に揚げられるので、半径辺13、13での掘削効率が低下することを防止できる。さらに、補助具21の先端22が尖って(すなわち、水平に対して角度を持って)形成されているので、半径辺13、13が及ばない中心O1(O3)付近を掘削でき、補助具21で掘削されてほぐされた土砂も半径辺13、13に至り排土され、あるいは、中心側の土砂は補強具21により直接に排土開口15から鋼管本体1の中空部3に排土される。
また、基準部分円板11の円弧部12を真円に近い円弧状に形成したので、尖ったあるいは角となった部分がないので、地盤内に滑らかに突入されるので、掘削効率、排土効率もさらに高められる。
また、基準部分円板11の排土開口15は全部鋼管本体1の中空部3内に位置し、基準部分円板11で鋼管本体1の外面1a側に開口が形成されないので、基準部分円板11の上面11a全体を使って上方に排土できる。
10°<θ1<15°
程度で調整できる。
また、排土開口15は、傾斜状態で下方に位置する半径辺13側に寄せて形成したが(図8(c))、短い半径辺14側に寄せることもできる((図示していない)。
また、この場合も、排土開口15、15は鋼管本体1の中空部3内に位置する。
また、排土開口15は部分円状(特に半円)としたので、基準部分円板11の裏面11b側から鋼管本体1の中空部3への排土効率が良いが、排土開口15の開口形状は他の形状とすることもできる(図示していない)。
また、台形状の補強具21を使用したが、横間隙31に嵌挿され、隣接する基準部分円板11、11を連結補強できれば、形状は任意である(図示していない)。
1a 鋼管本体の外面
2 鋼管本体の上縁
3 鋼管本体の中空部
5 鋼管本体の翼受け切り欠き
6 鋼管本体の補強具受け切り欠き
7 鋼管本体の段差縁
10 部分円状翼
11 基準部分円板
11a 基準部分円板の上面
11b 基準部分円板の下面
12 基準部分円板の円弧部
13 基準部分円板の半径辺(長い)
13a 半径辺の放射縁
14 基準部分円板の半径辺(短い)
14a 半径辺の放射縁
15 基準部分円板の排土開口
16 排土開口
18A、18B 基準円
21 補強具
22 補強具の先端
23 補強具の放射方向端部
24 補強具を構成する基材
30 鋼管杭
31 横間隙
33 縦間隙
35 第二横間隙
40 他の鋼管
42 掘削穴
44 回転方向矢示
Claims (3)
- 円筒状で軸芯O1の中空部を有する鋼管本体を鉛直に配置して、前記鋼管の下端部に、水平に対して角度を与えて配置した部分円状翼を備え、以下のように構成したことを特徴とする翼を備えた鋼管杭。
(1)前記鋼管杭を地盤中に下降させるための前記鋼管本体の回転方向を、一方向とする。
(2)前記部分円状翼は、中心O1の周りに、複数枚の基準部分円板を等角度で配置して構成した。
(3)前記基準部分円板は、第一辺と第二辺とを、滑らかな円弧状の外周縁で結んだ略扇形に形成した。
(4)前記基準部分円板は、略扇型の中心O2側を、平面視で前記鋼管本体の中空部に位置させて、かつ略扇型の外周縁を前記鋼管本体の外周側に位置させた。
(5)前記第一辺を前記一方向の回転時に回転方向前側に位置させた場合、
前記第一辺を第二辺より長く形成し、かつ前記第一辺が前記第二辺より下方に位置するように前記基準部分円板を傾斜して形成した。
(6)前記隣接する基準部分円板で、対向する第一辺と第二辺の間に横間隙を形成して、前記横間隙を鋼管本体の外周側および中空部側に位置させた。 - 以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載した翼を備えた鋼管杭。
(1)鋼管本体の下端部に、前記鋼管本体の外周側および中空部側に位置する補強具を固定した。
(2)隣接する基準部分円板の横間隙に前記補強具を位置させて、かつ、前記基準部分円板を前記補強具に固定した。
(3)前記基準部分円板で、前記鋼管本体の中空部側に位置する部分の一部を切り欠いて、排土開口を形成した。 - 以下のように構成したことを特徴とする請求項1に記載した翼を備えた鋼管杭。
(1)基準部分円板は、第一辺の外周縁付近を、中心側に比して下方に位置するように傾斜させ、かつ第二辺の外周縁付近を、中心側に比して上方に位置するように、傾斜させて鋼管本体に固定した。
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