JP7477016B1 - シザーズギア及び伝達機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】フリクションの悪化を抑え、効率的に力を伝達することができるシザーズギアを提供する。【解決手段】このシザーズギアは、メインギア10と、サブギア20と、サブギア20がメインギア10に対して回転した際、サブギア20がメインギアに対してサブギア20の初期位置に戻るように周方向に力を付与する付勢部材と、を備えるシザーズギアであって、付勢部材は、メインギア10及びサブギア20のうち一方に配置されたボールピンであって、ボールピンは、ばね33及びボール31を有し、ばね33がボール31をメインギア10及びサブギア20のうち他方に向かって押し付けている、ボールピン30であり、メインギア10及びサブギア20のうちボールピンが設けられていない側のギアに設けられボールが嵌り込むボール受け溝25であって、深さが周方向に沿って変化するボール受け溝25が形成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、シザーズギア及び伝達機構に関する。
エンジンからの駆動力をクランクを介して伝えるギアトレインでは、クランクの回転変動やカム駆動トルクによって、ギアどうしが衝突するギアラトルが発生する。ギアラトルによって発生した振動は、ギア軸受を伝わってエンジンブロック本体に伝達され、エンジン騒音を悪化させる。ギアラトルに対する対策として、従来、2枚の歯で相手側のギアの歯を挟み込み、ギアの相対移動を抑制するシザーズギアにより騒音悪化を抑える方法が提案されている。
ギアラトルに起因する騒音(ラトル音)を低減するために、例えば、メインギアとサブギアとの間においてそれらの回転方向に沿って延在するスプリングを設置し、その一端がメインギアのストッパピンに係止され、他端がサブギアのストッパピンに係止されたシザーズギアを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2022-115424号公報
ばね力で相手の歯を挟み込む構造のシザーズギアでは、ギアラトルが発生しない運転条件でも、シザーズギアから相手側の歯に対して歯を抑え込む力が働き続けるため、フリクションの悪化要因となっていた。また、スプリングのバネ定数を増加させると、相手ギアとの解離や衝突を抑制する効果が向上するが、歯面接触の抵抗が増加することにより、駆動損失が増加したり耐久信頼性が低下したりするという課題がある。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、フリクションの悪化を抑え、効率的に力を伝達することができるシザーズギア及び伝達機構を提供することを目的とする。
本発明の一態様のシザーズギアは、シャフトに連結されたメインギアと、前記メインギアに対して周方向に回転可能に設けられたサブギアと、前記サブギアが前記メインギアに対して回転した際、前記サブギアが前記メインギアに対して前記サブギアの初期位置に戻るように周方向の力を付与する付勢部材と、を備えるシザーズギアであって、前記付勢部材は、前記メインギア及び前記サブギアのうち一方に配置されたボールピンであって、前記ボールピンは、ばね及びボールを有し、前記ばねが前記ボールを前記メインギア及び前記サブギアのうち前記ボールピンが設けられていない側のギアに向かって押し付けている、ボールピンであり、前記メインギア及び前記サブギアのうち前記ボールピンが設けられていない側のギアには、前記ボールが嵌り込むボール受け溝であって、深さが前記周方向に沿って変化するボール受け溝が形成されている。
前記ボール受け溝は、前記サブギアを前記初期位置に位置させるために前記ボールが嵌り込む最深部と、前記最深部から前記周方向に延び出すように形成されたテーパ部と、を有してもよい。
前記テーパ部は、前記ボールが前記周方向の位置にかかわらず一定の力で前記ボール受け溝に押し付けられると仮定した場合に、前記ボールが前記最深部から周方向に離れるほど、前記ボールが前記テーパ部の内面に当接する箇所における、前記サブギアを前記初期位置に戻す方向の力が大きくなる形状のテーパを有する。
前記ボールピンは前記メインギアに設けられ、前記ボール受け溝は前記サブギアに設けられていてもよい。
前記ボールピンは前記サブギアに設けられ、前記ボール受け溝は前記メインギアに設けられてもよい。
本発明の一態様の伝達機構は、上記記載のシザーズギアと、前記シザーズギアと噛み合う第1ギアと、を備え、前記シザーズギアは、初期状態で、前記サブギアの歯が前記第1ギアの歯に接触しないように設けられている。
本発明によれば、フリクションの悪化を抑え、効率的に力を伝達することができるシザーズギア及び伝達機構を提供できるという効果を奏する。
シザーズギアの分解斜視図である。 シザーズギアの動作を説明するための図である。 シザーズギアの断面図である。 付勢部材であるボールピン及びその周辺構造を示す模式図である。 ボールピンの機能を説明するための図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、シザーズギアの分解斜視図である。図2は、シザーズギアの動作を説明するための図である。図3は、シザーズギアの断面図である。図4は、付勢部材であるボールピン及びその周辺構造を示す模式図である。図5は、ボールピンの機能を説明するための図である。図5は、図4の周方向Lに沿った切断面を示している。
シザーズギアS100は、例えば、車両に搭載される。シザーズギアS100は、一例として、エンジン又はトランスミッション等の動力伝達機構の一部として用いられる。
シザーズギアS100は、図1に示すように主要な構成要素として、メインギア10、サブギア20、ボールピン30、シャフト41、及びフランジ42を備えている。
メインギア10は、外周にギアの歯部が形成されたギアであり、中央部には貫通孔が形成されている。メインギア10は一例としてヘリカルギヤである。メインギア10は、シャフト41の軸部41aに連結されており、シャフト41の回転に応じてシャフト41とともに回転する。
サブギア20は、メインギア10と同様、外周に歯部が形成されたギアであり、一例としてヘリカルギヤである。サブギア20は、メインギア10に隣接してメインギア10と同軸上に配置されている。サブギア20の中央部には貫通孔が形成され、サブギア20は、メインギア10と同様、シャフト41によって支持される。但し、サブギア20は、シャフト41の軸部41a周りに動くことができるように構成されている。これにより、サブギア20は、メインギア10に対して周方向に回転可能に設けられている。
シャフト41は、例えばエンジンの駆動力により回転するシャフトである。シャフト41は、メインギア10の貫通孔及びサブギア20の貫通孔に挿入される軸部41aを有している。フランジ42は、シャフト41の軸部の先端側に対して固定される。
図2は、シザーズギアS100が相手方のギア50と組み付けられている場合におけるギアのかみ合いを、シャフト41の軸方向から拡大して示している。図中、破線で示した部分は、サブギア20の歯20aである。また、メインギア10及び相手方のギア50はそれぞれ実線で示している。サブギア20は、図2に示すように、初期状態で、メインギア10に対してギアの周方向に所定の角度だけずれている。具体的には、サブギア20は、メインギア10の歯10aとサブギア20の歯20aとが相手方のギア50の歯50aを挟み込むように、設けられているが、本実施形態においては、サブギア20は、サブギア20の歯20aがギア50の歯50aに接触しない程度の位置に位置決めされている。この例では、ギアの噛合い部において、図の左側から、メインギア10の歯10a、ギア50の歯50a、及びサブギア20の歯20aの順で歯が位置している。
シザーズギアS100では、このように、メインギア10及びサブギア20が相手方のギア50の歯50aを挟み込むように設けられており、トルクの変動によってギア50が一時的に図示(図2)の反時計回り方向に動いた場合に、ギア50の歯50aがサブギア20の歯20aを押してサブギア20がメインギア10に対して相対的に回転する。サブギア20には、後述するボールピン30の作用により、サブギア20が元の位置に戻ろうとする力が付与されているので、ギア間の相対変位が抑えられ、ギアラトルを抑制する作用が生じる。
(ボールピン30について)
ボールピン30は、サブギア20がメインギア10に対して回転した際に、サブギア20がメインギア10に対して当該サブギア20の初期位置に戻るように周方向の付勢力を付与する付勢部材である。ボールピン30は、本実施形態では、メインギア10に設けられており、図3に示すように、ばね33及びボール31を有する。
ばね33は、ボールピン30に形成された凹部10hに配置されている。ばね33は、一例としてコイルスプリングである。
ボール31は、ばね33に隣接して配置された球体であり、メインギア10からサブギア20側に突出するように設けられている。ボール31は、ばね33によってサブギア20の側に向かって押し付けられている。なお、図3では、説明を簡単にするために、ボール31及びばね33のみが描かれているが、ばね33及びボール31を収容する筒体が設けられていてもよい。この構成の場合、ボール31は、筒体から部分的に突出する。
ボールピン30は、メインギア10の中心からボール31の中心までの距離dがメインギア10の半径の50%の長さ以上となるように、又は、距離dがメインギア10の半径の75%の長さとなるように設けられていてもよい。このように、ギアの比較的外周側の位置にボールピン30が配置されていることで、ボールピン30による周方向の付勢力によるモーメントが大きくなり、効果的にサブギア20を元の位置に戻すことが可能となる。
サブギア20には、ボール31の一部が入り込むボール受け溝25が形成されている。ボール受け溝25の輪郭形状(ギアの厚み方向に見た正面視の輪郭形状)は、単純な円形であってもよいが、本実施形態では図4に例示するように、例えば、ボール受け溝25の輪郭形状はギアの周方向Lに沿って延在するやや円弧状にカーブした長円形である。
ボール受け溝25は、図5に示すように、ギアの周方向(図5の横方向)に沿って所定の長さに形成されており、深さが周方向に沿って変化するように設けられている。ボール受け溝25は、具体的には、第1部分25aと第2部分25bとを含む。ボール受け溝25は、図5の断面視において、深さが例えば階段状に不連続的に変化するのではなく、連続的に変化する曲線となるように設けられている。このような形状であることにより、ボール31がボール受け溝25内をスムーズに移動する。
第1部分25aは、ボール31の外形に沿うような曲面状の内面を有する。第1部分25aは、サブギア20を初期位置に位置させるためにボール31が嵌り込む最深部を含んでいる。
第2部分25bは、ボール受け溝25の最深部から周方向のうち一方向(図5の右側)に延び出すように形成されたテーパ部である。第2部分25bは、最深部から離れるにつれて溝の深さが徐々に浅くなるような曲面状に形成されている。第2部分25bは、具体的には、ボール31がボール受け溝25の最深部から周方向に離れるほど、ボール31がテーパ部の内面に当接する箇所における、サブギア20を初期位置に戻す方向の力Fが大きくなる形状に形成されている。つまり、図5(a)の初期状態から、図5(b)及び図5(c)のようにボール31が徐々に最深部から離れた場合に、図5(c)における、ボール31がテーパ部の内面に当接する箇所でサブギア20を初期位置に戻す方向(周方向)の力Fが、図5(b)における力Fよりも大きくなるようなテーパを有するように、ボール受け溝25が設けられている。
なお、本実施形態の構成では、シザーズギアS100が図5(a)の状態から図5(b)及び図5(c)の状態になるにつれて、ばね33が押し縮められるので、実際には、第2部分25bのテーパが変化することによる力Fの変化に加えて、ばね33からの付勢力の分力である周方向の成分の力も生じる。したがって、ボール31が最深部から離れるほど、力Fの大きさは相乗的に増加する。
本実施形態では実際には上記のような構成であるが、説明の都合上、「ボールが最深部から周方向に離れるほど、ボールがテーパ部の内面に当接する箇所における、サブギアを初期位置に戻す方向の力が大きくなる」とは、ボール31が周方向の位置にかかわらず一定の力でボール受け溝25に押し付けられると仮定した状態でのことをいう。
(動作)
上記のように構成されたシザーズギアS100では、従来のシザーズギアのようなC字型のスプリングではなく、メインギア10とサブギア20との間にボールピン30が設けられている。このボールピン30によって、メインギア10とサブギア20との相対位置が規定されている。そして、シザーズギアS100は、サブギア20の歯20aがギア50の歯50aに接触しないように設けられている。シザーズギアS100の通常の回転時には、サブギア20の歯20aはギア50の歯50aに接することなく、メインギア10とギア50との噛合いによりギアが回転する。
一方、トルク変動によりラトルが発生する場合、サブギア20の歯20aがギア50の歯50aによって押される。そして、図5(a)の状態から、図5(b)及び図5(c)の状態となると、ボール31が凹部10h(図3)側に押し込まれつつ、ボール31が第2部分25bに接する。ボール31が第2部分25bテーパ面に当接する箇所においては、図5(b)及び図5(c)に示したように、サブギア20を初期位置に戻す方向の力Fが発生するので、この力により、サブギア20が元の位置に戻ろうとし、サブギア20の歯20aがギア50の歯50aの変位を抑制する。
トルク変動が解消した場合には、サブギア20は、ボールピン30の作用により初期位置に戻り、メインギア10及びサブギア20は図5(a)の状態に戻る。
(シザーズギアS100の効果)
以上説明した本実施形態のシザーズギアS100では、従来のようなC字型のスプリングではなく、ボールピン30によってメインギア10とサブギア20との間の周方向の付勢力が付与される。ボールピン30を利用した本実施形態の構成によれば、図2に示したように、サブギア20を、歯20aが相手側のギア50の歯50aに接触しない位置に位置決めすることができる。したがって、最終的に構成される伝達機構において、サブギア20の歯20aがギア50の歯50aに接しないため、フリクションの悪化を低減させることができ、ひいては効率的な伝達が可能となる。
<変形例>
上記の実施形態では、ボールピン30がメインギア10に設けられたが、ボールピン30は、メインギア10及びサブギア20のうち一方に配置されていればよい。この場合、メインギア10及びサブギア20のうちボールピン30が設けられていない側のギアにボール受け溝が形成される。但し、上記実施形態のように、メインギア10とサブギア20とを比較すると、通常、メインギア10の方が厚くなるため、ボールピン30がメインギア10に設けられた構成は、ボールピン30がサブギア20に設けられる構成に比べて、サブギア20を厚く形成する必要がなく、構成全体の小型化に有利である。
複数のボールピン30が設けられていてもよく、特には、複数のボールピン30のうち第1グループがメインギア10に設けられ、第2グループがサブギア20に設けられていてもよい。第1グループの幾つかのメインギア10(例えば2つ又は3つ)と、第2グループの幾つかのメインギア10(例えば2つ又は3つ)とが、同一円周上に交互に、かつ、周方向に等間隔となるように、配置されていてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
10 メインギア
10a 歯
10h 凹部
20 サブギア
20a 歯
25 ボール受け溝
25a 第1部分
25b 第2部分
30 ボールピン
31 ボール
33 ばね
41 シャフト
42 フランジ
50 ギア(第1ギア)
50a 歯
F 力
L 周方向
S100 シザーズギア

Claims (6)

  1. シャフトに連結されたメインギアと、
    前記メインギアに対して周方向に回転可能に設けられたサブギアと、
    前記サブギアが前記メインギアに対して回転した際、前記サブギアが前記メインギアに対して前記サブギアの初期位置に戻るように周方向の力を付与する付勢部材と、
    を備えるシザーズギアであって、
    前記付勢部材は、
    前記メインギア及び前記サブギアのうち一方に配置されたボールピンであって、前記ボールピンは、ばね及びボールを有し、前記ばねが前記ボールを前記メインギア及び前記サブギアのうち前記ボールピンが設けられていない側のギアに向かって押し付けている、ボールピンであり、
    前記メインギア及び前記サブギアのうち前記ボールピンが設けられていない側のギアには、前記ボールが嵌り込むボール受け溝であって、深さが前記周方向に沿って変化するボール受け溝が形成されている、
    シザーズギア。
  2. 前記ボール受け溝は、
    前記サブギアを前記初期位置に位置させるために前記ボールが嵌り込む最深部と、
    前記最深部から前記周方向に延び出すように形成されたテーパ部と、
    を有する、
    請求項1に記載のシザーズギア。
  3. 前記テーパ部は、
    前記ボールが前記周方向の位置にかかわらず一定の力で前記ボール受け溝に押し付けられると仮定した場合に、前記ボールが前記最深部から周方向に離れるほど、前記ボールが前記テーパ部の内面に当接する箇所における、前記サブギアを前記初期位置に戻す方向の力が大きくなる形状のテーパを有する、
    請求項2に記載のシザーズギア。
  4. 前記ボールピンは前記メインギアに設けられ、
    前記ボール受け溝は前記サブギアに設けられている、
    請求項1又は2に記載のシザーズギア。
  5. 前記ボールピンは前記サブギアに設けられ、
    前記ボール受け溝は前記メインギアに設けられている、
    請求項1又は2に記載のシザーズギア。
  6. 請求項1又は2に記載のシザーズギアと、
    前記シザーズギアと噛み合う第1ギアと、
    を備え、
    前記シザーズギアは、初期状態で、前記サブギアの歯が前記第1ギアの歯に接触しないように設けられている、
    伝達機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014207873A1 (ja) 2013-06-27 2014-12-31 株式会社安川電機 シザーズギヤ、動力伝達機構、ロボットおよびシザーズギヤの製造方法

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WO2014207873A1 (ja) 2013-06-27 2014-12-31 株式会社安川電機 シザーズギヤ、動力伝達機構、ロボットおよびシザーズギヤの製造方法

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