JP4675261B2 - シートのリクライニング装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記公報の図12および図13は、リクライニング装置の側面断面図であり、図12はシートバックBが固定された状態を、図13はシートバックBの位置調整可能状態をそれぞれ示す。図14は、図12の断面図である。
また、内歯車盤(2)の底部には、皿バネ(15)が配置されている。内歯車盤(2)、外歯車盤(4)、滑り盤(9)および従動盤(5)の各外周は、外周縁部が円環状のリングカバー(10)の内周面によって保護されている。従動盤(5)は、リングカバー(10)の内周溝(10a)に嵌合された状態でカシメ固定されており、内歯車盤(2)は、内周溝(10b)に回動可能に装着されている。
これにより、シートバックBへの負荷、つまり従動盤(5)からオルダム継手機構Dを介して伝達される外歯車盤(4)への回動トルクによって偏心軸筒(3)が枢支軸(1)を軸心として回動し、この偏心軸筒(3)の回転に伴なう外歯車盤(4)と内歯車盤(2)の噛合部位の転移動により内歯車盤(2)と外歯車盤(4)が相対的に回動され、シートバックBが無段階に調節可能になる。
また、内周溝(10b)は、リングカバー(10)の内周面を切削加工して形成するため、加工時間が長くなり、このことが製造コスト削減を妨げる要因の一つになっている。
さらに、従来の自動車シートのリクライニング装置は、従動盤(5)を最下部に配置し、その上に滑り盤(9)、外歯車盤(4)、皿バネ(15)および内歯車盤(2)などの構成部材を積み上げ、最後に内歯車盤(2)をリングカバー(10)の内周溝(10b)に、従動盤(5)を内周溝(10a)にそれぞれ嵌め込む組付け方法である。このため、内歯車盤(2)および従動盤(5)が不安定で逃げやすいため、リングカバー(10)を装着し難い。
つまり、突起部の側部が内歯車の外周に当接する位置を狙ってカバーの外周面を内周面に向けて打出すようにすれば、内歯車の回動軸方向に対するガタをなくすことができる。 また、突起部の基部と内歯車の内周面との境界部位が、内歯車の外周の周縁に当接するように、突起部を形成すれば、内歯車の外周の周縁と内歯車の内周面との間のラジアル隙間を減少または消滅させることができるため、内歯車のラジアル方向のガタを減少または消滅させることができる。
つまり、突起部の側部が内歯車の外周に当接する位置を狙ってカバーの外周面を内周面に向けて打出すようにすれば、内歯車の回動軸方向に対するガタをなくすことができる。
また、突起部の基部と内歯車の内周面との境界部位が、内歯車の外周の周縁に当接するように、突起部を形成すれば、内歯車の外周の周縁と内歯車の内周面との間のラジアル隙間を減少または消滅させることができるため、内歯車のラジアル方向のガタを減少または消滅させることができる。
さらに、内歯車、外歯車および偏心部材などを組付ける前に、予め内歯車の外周がカバーに保持された状態にしてから外歯車および偏心部材などをカバー内部に組付けることができるため、カバーの組付性を改善することができる。
また、内歯車の外周は、カバーの一方の周縁に屈曲形成された屈曲部の内側角部と、カバーの外周面のうち、内歯車の内歯が形成されている側の周縁に対応する所定個所を内周面に向けて打出すことにより内周面から突出した突起部の側部とによって回動可能に保持されているため、内歯車の回動軸方向に対するガタをなくすことができる。
つまり、突起部の側部が内歯車の外周に当接する位置を狙ってカバーの外周面を内周面に向けて打出すようにすれば、内歯車の回動軸方向に対するガタをなくすことができる。
また、突起部の基部と内歯車の内周面との境界部位が、内歯車の外周の周縁に当接するように、突起部を形成すれば、内歯車の外周の周縁と内歯車の内周面との間のラジアル隙間を減少または消滅させることができるため、内歯車のラジアル方向のガタを減少または消滅させることができる。
さらに、内歯車、外歯車および偏心部材などを組付ける前に、予め内歯車の外周がカバーに保持された状態にしてから外歯車および偏心部材などをカバー内部に組付けることができるため、カバーの組付性を改善することができる。
なお、上記「課題を解決するための手段」における括弧内の符号は、後述する実施形態において使用する符号と対応するものである。
なお、以下の説明では、リクライニング装置からシートクッションの側方へ離れる方向を外側または外方とし、その逆方向を内側または内方とする。図1は、この実施形態に係るリクライニング装置の分解斜視図である。図2はリクライニング装置を内側の斜め上方から見た斜視図である。図3はリクライニング装置を外側の斜め上方から見た斜視図である。図4はリクライニング装置を内方から見た側面図である。図5はリクライニング装置を外方から見た側面図である。図6はリクライニング装置の正面図である。図7は位置調整不能状態にある図6に示すリクライニング装置をシャフトの軸に沿って切断した場合の縦断面図である。図8は図7の一部を拡大した拡大図である。図9は位置調整可能状態にある図6に示すリクライニング装置をシャフトの軸に沿って切断した場合の縦断面図である。図10は図7のA−A矢視断面図である。
リクライニング装置の構成部材の主要構造について説明する。
図1に示すように、リクライニング装置1は、内歯車プレート11を備える。内歯車プレート11は、内方から見て円板状に形成されており、その回動中心には、ブッシュ12の筒状部材12bを挿通するための挿通孔11kが貫通形成されている。図7に示すように、内歯車プレート11は、略碗形状に形成されており、外方に位置する外周11a(図1)と、内方に位置する底部11eと、外周11aと底部11eとの間に形成された周壁11fとを有する。図7に示すように、周壁11fの外面および内面は、それぞれ階段状に形成されている。図10に示すように、内歯車プレート11の外側は開口形成されており、その開口部の周縁には、平板でリング状の内歯車本体11iが形成されている。内歯車本体11iの内周面に沿って複数の内歯11dが形成されており、各内歯11dによって囲まれた空間11jには、外歯車プレート9の外歯車本体9eが収容されている。また、内歯車プレート11の内側の側面11bには、シートクッションまたはシートバックの内部に設けられた嵌合部材と嵌合する嵌合部11cが形成されている。
従動プレート3の底部であって回動中心には、シャフト4の頭部4dを挿通するための挿通孔3fが貫通形成されている。挿通孔3fの周辺には、ブッシュ6の係止片6aを係止するための係止孔3eが貫通形成されている。
図8に示すように、周壁2bの内側端部2eは、その周縁に沿って内側に屈曲形成されており、その屈曲形成された屈曲部2hの内側には、内側角部2iが周縁に沿って形成されている。内側角部2iは、内歯車プレート11の外周の内側周縁に合致した形状に形成されている。
また、周壁2aの外側端部2dは、内側に屈曲形成されており、その屈曲形成された屈曲部2mの内側には、内側角部2nが形成されている。内側角部2nは、従動プレート3の外周に合致した形状に形成されている。
リクライニング装置1の主要構造について説明する。
図7において、シャフト4のシャフト本体4aは、シートバック(図示せず)の傾動時の回動軸としてシートクッション(図示せず)の内部に配置された連結シャフトの端部と接続される。従動プレート3は、シートクッションに固定されたブラケット16に固定され、内歯車プレート11は、シートバックに固定されたブラケット15に固定される。
保持部材14のリング部14bの内周縁は、皿バネ10の外周縁と重なっており、皿バネ10が外方へ移動しないように規制している。つまり、皿バネ10は、保持部材14によって配置位置に保持されている。なお、保持部材14を圧接によらないで、接着剤などによって接着して固定することもできる。
つまり、内歯車プレート11の外周は、カバーブラケット2の内側角部2iと、各突起部2fの側部2jとによって、回動軸方向およびラジアル方向に対するガタが存在しない状態で回動可能に保持されている。
外歯車プレート9の外側面に形成された凸条9cおよび凹溝9d(図1)は、オルダムプレート5の内側の側面に形成された凹溝5cおよび凸条5dにそれぞれ嵌合している。オルダムプレート5の外側面に形成された凹溝5cおよび凸条5dは、従動プレート3の内側の側面に形成された凸条3cおよび凹溝3dにそれぞれ嵌合している。
つまり、従動プレート3の外周は、カバーブラケット2の周壁2aの外側端部2dによってカシメ固定されている。
皿バネ10は、カム7およびブッシュ6の内側の側面を外方へ押圧しており、カム7のロック部7aが外歯車プレート9のロック部9gを面接触で圧接している。これにより、カム7の周りにおける外歯車プレート9の偏心した回動が阻止されている。また、カム7が外歯車プレート9を外方へ押圧しているため、外歯車プレート9はオルダムプレート5を押圧し、オルダムプレート5が従動プレート3を押圧している。
したがって、シートバックが所望の傾倒角度に固定されたロックオン状態になっている。
つまり、シートバックの傾倒角度を調節可能な状態になり、シートバックが所望の傾倒角度になったときに操作レバーを放すと、皿バネ10によるバネ力によってカム7およびブッシュ6が外方へ押圧され、ブッシュ6の係合部6cの谷側へ移動していた係合突起4bが係合部6cの山側(外方)へ移動し、前述のロックオンの状態に戻る。
次に、リクライニング装置1の製造過程における特徴を説明する。
皿バネ10および内歯車プレート11を別個に組付けるのではなく、予め皿バネ10を内歯車プレート11の底部11eに配置し、保持部材14を周壁11fの内面に固定し、皿バネ10の配置位置がずれないようにしておく。
これにより、リクライニング装置1の各構成部材を組付けるときに、皿バネ10の配置位置がずれるおそれがないので、組付性を改善することができる。
また、内歯車プレート11以外の外歯車プレート9、オルダムプレート5および従動プレート3などの構成部材を組付ける前に、予め内歯車プレート11の外周がカバーブラケット2に保持された状態にしてから他の構成部材をカバーブラケット2の内部に組付けることができるため、カバーブラケット2の組付性を改善することができる。
(1)上記実施形態に係るリクライニング装置およびその製造方法を実施すれば、内歯車プレート11の外周は、カバーブラケット2の周壁2bの内側端部2eに屈曲形成された屈曲部2hの内側角部2iと、カバーブラケット2の外周面2cを内周面2gに向けて打出すことにより内周面2gから突出した突起部2fの側部2jとによって回動可能に保持されているため、内歯車プレート11の回動軸方向およびラジアル方向に対するガタをなくすことができる。
つまり、突起部2fの側部2jが内歯車プレート11の外周の外側周縁に当接する位置を狙ってカバーブラケット2の外周面2cを内周面2gに向けて打出すようにすれば、内歯車プレート11の回動軸方向およびラジアル方向に対するガタをなくすことができる。
(1)この発明の請求項1,2,4に係る発明は、特許文献1の図2,3に示されるように、シャフトが皿バネに挿通固定されており、皿バネのバネ力によってシャフトを軸方向へ移動させることにより、ロックオンおよびロックオフの状態に変換する機構を備えたリクライニング装置にも適用することができる。
2c・・外周面、2d・・外側端部、2e・・内側端部、2f・・突起部、
2g・・内面、2h・・屈曲部、2i・・内側角部、3・・従動プレート、
4・・シャフト、5・・オルダムプレート、6・・ブッシュ、7・・カム、
8・・ベアリング、9・・外歯車プレート、10・・皿バネ、
11・・内歯車プレート、12・・ブッシュ。
Claims (5)
- シートクッションに対してシートバックを傾動可能に保持するシートのリクライニング装置であって、
内歯車と、
この内歯車よりも小径であり、前記内歯車の内歯よりも少ない歯数の外歯を有する外歯車とを備えており、
この外歯車の前記外歯の一部と前記内歯の一部とを噛み合わせ、前記内歯車および前記外歯車を相対的に偏心運動させるための偏心機構と、
前記内歯車および前記外歯車の各外周を保護するためのカバーと、を備えており、
前記シートクッションおよび前記シートバックの一方の側に前記内歯車が、他方の側に前記外歯車がそれぞれ取付けられたシートのリクライニング装置において、
前記カバーは、筒状に形成されており、かつ、周壁の一方の端部は、内側に屈曲形成されており、さらに、前記周壁の内周面には、前記周壁の外周面を内周面に向けて打出すことにより内周面から突出した突起部が複数箇所に形成されており、
前記内歯車の外周は、前記カバーの内側に屈曲形成された屈曲部の内側角部と、前記突起部の側部とによって回動可能に保持されていることを特徴とするシートのリクライニング装置。 - 前記カバーは、プレス成形により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシートのリクライニング装置。
- 前記偏心機構は、
前記シートバックの回動軸と同じ回動軸を有するシャフトと、
このシャフトが回動中心に挿通されており、外周にカム部と、前記外歯車の内周面と接触可能な接触部とを有し、前記外歯車の回動中心に配置された偏心部材とを備えており、
前記偏心部材を前記シャフトの変位方向へ変位させ、前記偏心部材の前記接触部および前記外歯車の前記内周面を接触状態と非接触状態とに変換する変換機構を備えており、
前記内歯車は、
前記シャフトが挿通された底部と、前記内歯車の外周と、前記底部の周縁と前記内歯車の外周との間に形成された周壁とを有し、かつ、前記内歯は、前記内歯車の外周の内方に形成された開口部の周縁に形成されており、さらに、前記底部には、前記変換機構によって変位した前記偏心部材を変位前の位置に復帰させるための弾性部材が配置されており、さらに、前記内歯車の周壁の内側には、前記弾性部材を配置位置に保持するための保持部材が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシートのリクライニング装置。 - 請求項1に記載のシートのリクライニング装置の製造方法であって、
前記屈曲部が形成されており、前記突起部を形成する前の筒状の前記カバーと、前記内歯車と、前記外歯車とを用意し、
前記内歯車における外周を規定する2つの周縁のうち、前記内歯が形成されていない側の周縁と、前記カバーの屈曲部の内側角部とを一致させることにより、前記内歯車を前記カバーの内側に配置する第1工程と、
この第1工程を行った後に、前記カバーの外周面のうち、前記内歯車の前記内歯が形成されている側の周縁に対応する所定個所を内周面に向けて打出すことにより、前記内周面に前記突起部を形成する第2工程と、を備えており、
前記内歯車の外周が、前記カバーの屈曲部の内側角部と、前記突起部の側部とによって回動可能に保持された状態にすることを特徴とするシートのリクライニング装置の製造方法。 - 請求項3に記載のシートのリクライニング装置の製造方法であって、
前記弾性部材を前記内歯車の底部に配置し、前記保持部材を、前記内歯車の前記弾性部材よりも前記開口部側に配置する工程と、
前記内歯車における外周を規定する2つの周縁のうち、前記内歯が形成されていない側の周縁と、前記カバーの屈曲部の内側角部とを一致させることにより、前記内歯車を前記カバーの内側に配置し、前記カバーの外周面のうち、前記内歯車の前記内歯が形成されている側の周縁に対応する所定個所を内周面に向けて打出すことにより、前記内周面に前記突起部を形成する工程と、を備えており、
前記内歯車の外周が、前記カバーの屈曲部の内側角部と、前記突起部の側部とによって回動可能に保持された状態にすることを特徴とするシートのリクライニング装置の製造方法。
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