JP2011110976A - 伝達比可変装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スティックスリップによる異音の発生を抑制することができる伝達比可変装置を提供する。
【解決手段】伝達比可変装置は、同軸に並置された一対のサーキュラスプライン31,32と、これら各サーキュラスプライン31,32と部分的に噛み合うように同軸配置された筒状のフレクスプライン33と、モータ駆動によりフレクスプライン33の噛合部を回転させる波動発生器34とからなる波動歯車機構11を備えた。そして、伝達比可変装置は、フレクスプライン33が軸方向一方側に移動することを制限する移動制限プレート51と、波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限する移動制限機構52とを備えた。
【選択図】図4

Description

本発明は、一対のサーキュラスプラインを有する所謂リング型の波動歯車機構を備えた伝達比可変装置に関する。
従来、波動歯車機構を差動機構として用いることにより、ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する伝達比可変装置がある。こうした伝達比可変装置に用いられる波動歯車機構として、同軸に並置された一対のサーキュラスプラインを有する所謂リング型のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このリング型の波動歯車機構は、一対のサーキュラスプラインと、その内側において各サーキュラスプラインと同軸配置される柔軟性を有する筒状のフレクスプラインと、フレクスプラインを楕円形に撓ませてその外歯をサーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともにその楕円形状を回転させる波動発生器とを備えてなる。具体的には、これら各サーキュラスプラインにはそれぞれ異なる歯数の内歯が設定されており、一方のサーキュラスプラインが入力軸と一体回転可能に設けられるとともに、他方のサーキュラスプラインが出力軸と一体回転可能に設けられている。また、波動発生器は、駆動源であるモータのモータ軸に一体回転可能に連結される楕円形状のカムと、同カムに外嵌される薄肉のボール軸受とを備え、フレクスプラインの内側に潤滑油を介在させて配置されている。そして、モータ駆動によるカムの回転に伴って、フレクスプラインの楕円形状、すなわち両サーキュラスプラインとの噛み合い箇所が周方向に移動するように波動発生器を回転させることにより、両サーキュラスプライン間の歯数差に基づく回転差が、モータ駆動に基づく回転として上記ステアリング操作に基づく入力軸の回転に上乗せされて出力軸へと伝達されるようになっている。
特開2009−133415号公報
ところで、波動発生器は、筒状に形成されたフレクスプラインの内側に挿入されるものであり、その構造上、波動発生器の外周面(ボール軸受の外輪)とフレクスプラインの内周面との間には、僅かながら隙間が形成される。そのため、波動発生器の作動中に、モータの回転に伴って同波動発生器全体がフレクスプラインの内周面上を転動することがある。
また、運転者のステアリング操作に伴う入力軸の回転は、同入力軸に連結されたサーキュラスプライン、及びフレクスプラインを介して出力軸に連結されたサーキュラスプラインに伝達される。そのため、図8(a)に示すように、これらの噛み合いにより各サーキュラスプライン81,82からフレクスプライン83に作用する力f1,f2は、互いに逆方向に作用する。また、各サーキュラスプライン81,82は軸方向に沿って並置されており、フレクスプライン83に対する軸方向の噛み合い位置が異なるため、波動歯車機構の作動時においてフレクスプライン83には捩れが生じることになる。なお、同図において、サーキュラスプライン81は、サーキュラスプライン82よりも少ない歯数に設定されている。
従って、波動発生器84は、捩れた状態のフレクスプライン83の内周面上を転動することがあり、この場合においてフレクスプライン83及び波動発生器84には、それぞれ軸方向に反発する方向の力が作用する。これにより、フレクスプライン83は同フレクスプライン83の軸方向における歯数の少ないサーキュラスプライン81が配置された側(以下、軸方向一方側)に移動するとともに、波動発生器84はフレクスプライン83の軸方向における歯数の多いサーキュラスプライン82が配置された側(以下、軸方向他方側)に移動することがある。その結果、通常は図8(a)に示すようにフレクスプライン83の軸方向中央位置に配置される波動発生器84が、図8(b)に示すようにフレクスプライン83に対して相対的に軸方向他方側(図8(b)における右側)に移動することになる。
また、図9に示すように、フレクスプライン83は、各サーキュラスプライン81,82から作用する力f1,f2による捩れによって、その軸方向他方側の端部の直径が、捩れていない状態と比べて小径となるように変形していることがある。そして、このようにフレクスプライン83が変形している場合に、上記のように波動発生器84がフレクスプライン83に対して相対的に軸方向他方側に移動すると、同波動発生器84の軸方向他方側端部においてフレクスプライン83との接触荷重が大きくなるため、これらの間に介在された潤滑油の油膜が破断しやすくなる。その結果、フレクスプライン83の内周面と波動発生器84の外周面との間の摩擦抵抗が増大し、波動発生器84の回転に伴ってスティックスリップが発生して異音が生じる虞があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、スティックスリップによる異音の発生を抑制することができる伝達比可変装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構を備えた伝達比可変装置であり、前記差動機構として波動歯車機構を用い、該波動歯車機構は、同軸に並置され互いに異なる歯数の内歯が設定された一対のサーキュラスプラインと、前記各サーキュラスプラインの内側において該各サーキュラスプラインと同軸配置される筒状のフレクスプラインと、前記フレクスプラインの内側に潤滑油を介在させて配置される波動発生器とを備え、該波動発生器は、前記フレクスプラインを非円形に撓ませて該フレクスプラインの外歯を前記各サーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともに、前記フレクスプラインと前記各サーキュラスプラインとの噛み合い箇所を該各サーキュラスプラインの周方向に移動させるように回転可能である伝達比可変装置において、前記フレクスプラインが軸方向に移動することを制限する第1の移動制限手段及び前記波動発生器が軸方向に移動することを制限する第2の移動制限手段を備え、前記第1の移動制限手段は、前記フレクスプラインが歯数の少ない前記サーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限し、前記第2の移動制限手段は、前記波動発生器が歯数の多い前記サーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限することを要旨とする。
上記構成によれば、第1の移動制限手段によってフレクスプラインが歯数の少ないサーキュラスプラインが配置された側(以下、軸方向一方側)に移動することが制限されるとともに、第2の移動制限手段によって波動発生器が歯数の多い前記サーキュラスプラインが配置された側(以下、軸方向他方側)に移動することが制限される。そのため、波動発生器が、フレクスプラインに対して相対的にその軸方向他方側に移動することが制限される。従って、フレクスプラインの軸方向他方側の端部が小径となるように変形していても、波動発生器の軸方向他方側端部においてフレクスプラインとの接触荷重が大きくなり難く、フレクスプラインと波動発生器との間に介在された潤滑油の油膜が破断し難くなる。その結果、フレクスプラインの内周面と波動発生器の外周面との間の摩擦抵抗が増大することが抑えられ、波動発生器の回転に伴ってスティックスリップが発生して異音が生じることを抑制できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の伝達比可変装置において、前記第1の移動制限手段は、前記フレクスプラインの軸方向端部に当接して該フレクスプラインが前記歯数の少ないサーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限する移動制限プレートを備え、該移動制限プレートは、前記フレクスプラインの軸方向に並置され、前記歯数の少ないサーキュラスプラインに軸方向移動不能に固定されたことを要旨とする。
上記構成によれば、簡易な構成でフレクスプラインが軸方向一方側に移動することを制限できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の伝達比可変装置において、前記第2の移動制限手段は前記波動発生器を軸方向に付勢する弾性部材を備え、該弾性部材は前記波動発生器を前記歯数の少ないサーキュラスプライン側に付勢することを要旨とする。
上記構成によれば、波動発生器は弾性部材により付勢されているため、例えば波動発生器が捩れた状態のフレクスプラインの内周面上を転動することで同波動発生器の軸方向位置が瞬間的に変動しても、その変動は弾性部材が弾性変形することにより吸収される。そのため、例えば波動発生器の軸方向他方側に固定されるプレート等により第2移動制限手段を構成し、同プレートに当接することによって波動発生器の移動が制限される場合と異なり、波動発生器の軸方向位置が瞬間的に変動したときに、波動発生器がプレート等と衝突して異音が発生することを抑制できる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の伝達比可変装置において、前記出力軸は、前記波動発生器における前記歯数の少ないサーキュラスプライン側に配置されるものであり、前記弾性部材は、前記出力軸と前記波動発生器との間に配置されたことを要旨とする。
上記構成によれば、弾性部材が波動発生器の軸方向他方側に配置され、同弾性部材が軸方向他方側から波動発生器自体を軸方向一方側に押圧するため、確実に波動発生器が軸方向他方側に移動することを制限できる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の伝達比可変装置において、前記第2の移動制限手段は、スラスト軸受と、平板プレートと、固定用プレートとを備え、前記スラスト軸受は、前記弾性部材と前記波動発生器との間に設けられ、その軸方向両側の側面が平面状に形成されるものであり、前記平板プレートは、前記波動発生器と前記スラスト軸受との間に設けられ、前記スラスト軸受との対向面が平面状に形成されるとともに、前記波動発生器と一体回転するものであり、前記固定用プレートは、前記弾性部材と前記スラスト軸受との間に設けられ、前記スラスト軸受との対向面が平面状に形成されるものであり、前記弾性部材及び前記固定用プレートは前記出力軸と一体回転可能に設けられたことを要旨とする。
上記構成によれば、弾性部材及び固定用プレートを出力軸に固定しても、スラスト軸受により固定用プレートと平板プレートとが互いに摺接せずに相対回転できるため、摩擦熱の発生等を抑制できる。また、スラスト軸受は、同スラスト軸受との対向面が平面状の平板プレート及び固定用プレートに挟まれるため、スラスト軸受との対向面が非平面状の部材に挟まれる場合と異なり、スラスト軸受に対して局所的に大きな圧力が作用することを防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の伝達比可変装置において、前記波動発生器は、軸方向に延びる挿入孔を有し、前記平板プレートは、前記挿入孔に挿入される挿入ピンを有し、前記挿入孔と前記挿入ピンとの間には、弾性体からなる緩衝部材が介在され、前記平板プレートは、前記挿入ピンが前記挿入孔に挿入されることにより、前記波動発生器と一体回転するようにしたことを要旨とする。
上記構成によれば、挿入孔と挿入ピンとの間に緩衝部材が介在されるため、波動発生器が回転する際に、その挿入孔と平板プレートの挿入ピンとが互いに接触して異音が発生することを防止できる。
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の伝達比可変装置において、前記波動発生器は、駆動源であるモータのモータ軸に対して固定されるものであり、前記第2の移動制限手段は、ストッパと、弾性部材とを備え、前記ストッパは、前記モータ軸に対して軸方向移動不能に固定され、該ストッパと前記波動発生器との間に前記移動制限プレートが位置し、前記弾性部材は、前記移動制限プレートと前記ストッパとの間に配置され、これら移動制限プレートとストッパとが軸方向に離間する方向に付勢することを要旨とする。
上記構成によれば、弾性部材は、移動制限プレートとストッパとが軸方向に離間する方向にこれらを付勢することで、ストッパを介してモータ軸を軸方向一方側に付勢する。従って、波動発生器自体を押圧することなく波動発生器が軸方向他方側に移動することを制限できるため、波動発生器の作動に影響を与えずに、同波動発生器の移動を制限できる。また、ストッパは弾性部材により付勢されているため、例えば波動発生器が捩れた状態のフレクスプラインの内周面上を転動することで同波動発生器とともにストッパの軸方向位置が瞬間的に変動しても、その変動は弾性部材が弾性変形することにより吸収される。そのため、例えばストッパの軸方向他方側に固定されるプレート等により第2移動制限手段を構成し、同プレートに当接することによってストッパ(波動発生器)の移動が制限される場合と異なり、波動発生器とともにストッパの軸方向位置が瞬間的に変動したときに、ストッパがプレート等と衝突して異音が発生することを抑制できる。
本発明によれば、スティックスリップによる異音の発生を抑制することが可能な伝達比可変装置を提供することができる。
車両用操舵装置の概略構成図。 第1実施形態の伝達比可変装置の断面図。 波動発生器の側面図。 第1実施形態の波動歯車機構近傍の拡大断面図。 移動制限機構の斜視図。 第2実施形態の波動歯車機構近傍の拡大断面図。 ストッパの斜視図。 (a)噛み合いにより各サーキュラスプラインからフレクスプラインに作用する力を示す模式図、(b)フレクスプラインと波動発生器との相対位置を示す模式図。 フレクスプラインと波動発生器との相対位置を示す模式断面図。
(第1実施形態)
以下、本発明を車両用操舵装置に設けられた伝達比可変装置に具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両用操舵装置1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角、すなわち車両の進行方向が変更されるようになっている。
また、車両用操舵装置1は、モータ7を駆動源としてステアリング2の舵角(操舵角)に対する転舵輪6の舵角(タイヤ角)の比率、すなわち伝達比(ギヤ比)を可変させる伝達比可変装置8を備えている。本実施形態では、ステアリングシャフト3は、ステアリング2が連結された第1シャフト9とラックアンドピニオン機構4に連結される第2シャフト10とからなり、これら第1シャフト9及び第2シャフト10は、伝達比可変装置8を介して連結されている。
図2に示すように、伝達比可変装置8は、駆動源としてのモータ7と、差動機構としての波動歯車機構11とを備えており、第1シャフト9の回転を第2シャフト10に伝達するとともにモータ7の回転を減速して第2シャフト10に伝達する。そして、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転に、モータ7の駆動に基づく回転を上乗せして第2シャフト10に伝達することにより、操舵角に対する転舵輪6の伝達比を可変させる構成となっている。
詳述すると、伝達比可変装置8は、筒状のハウジング12と、同ハウジング12の入力側(図2における上側)の開口部12aを閉塞する有底筒状の上蓋部13とを備えており、上蓋部13には、同ハウジング12と同軸となる位置に筒状の連結部14が設けられている。そして、第1シャフト9の一端は、ジョイント15を介してこの連結部14と連結されている。従って、ハウジング12は、第1シャフト9と一体回転可能に同第1シャフト9に連結されており、第1シャフト9、ハウジング12、上蓋部13及び連結部14及びジョイント15により入力軸が構成されている。
ハウジング12内には、略有底円筒状のケーシング16が同ハウジング12と一体回転可能に固定されるとともに、上蓋部13内には、略有底円筒状のケーシング17が同上蓋部13と一体回転可能に固定されている。そして、モータ7のステータ21は、ケーシング16の内周面に固定されている。一方、モータ7のロータ22は、ハウジング12と同軸になるように、各ケーシング16,17の内周面に設けられた軸受24,25を介して、ハウジング12に対して相対回転可能に支持されている。そして、ロータ22には、モータ軸23が、ケーシング16から第2シャフト10側(図2における下側)に突出するとともに、同ロータ22と同軸状で一体回転可能に設けられている。
また、ロータ22は段付棒状に形成されており、ロータ22が軸受25の内輪の軸方向端部と当接するとともに、軸受25の外輪がケーシング17の底部17aに当接している。これにより、ロータ22(モータ軸23)は、軸方向の第1シャフト9側へ移動不能となっている。また、ロータ22は、軸受24の内輪の軸方向端部と当接するとともに、軸受24の外輪がケーシング16の底部16aにウェーブワッシャ26を介して当接している。これにより、ロータ22(モータ軸23)は、ウェーブワッシャ26が弾性変形することにより、軸方向の第2シャフト10側へ移動可能となっている。
なお、上蓋部13には、スパイラルケーブル装置28が設けられている。そして、このスパイラルケーブル装置28により、所定の回転範囲(許容回転範囲)において、モータ7と同モータ7の作動を制御するECU(図示略)とが電気的に接続されるようになっている。
一方、波動歯車機構11は、上記モータ7の軸方向における第2シャフト10側に並置されている。詳述すると、波動歯車機構11は、同軸に並置された一対のサーキュラスプライン31,32と、これら各サーキュラスプライン31,32と部分的に噛み合うように同軸配置された筒状のフレクスプライン33と、モータ駆動によりフレクスプライン33の噛合部を回転させる波動発生器34とを備えてなる。なお、各サーキュラスプライン31,32と、フレクスプライン33と、波動発生器34とのそれぞれの間には、潤滑油が介在されている。
各サーキュラスプライン31,32はそれぞれ両端が開口した円筒状に形成されるとともに、ハウジング12の軸方向に並設されている。これら各サーキュラスプライン31,32の内周面には多数の内歯がそれぞれ形成されており、互いに異なる歯数が設定されている。なお、以下の説明では、第1シャフト9側のものをステータ側のサーキュラスプライン31、第2シャフト10側のものをドリブン側のサーキュラスプライン32という。そして、ステータ側のサーキュラスプライン31は、ハウジング12と同軸となるように同ハウジング12に固定されており、ドリブン側のサーキュラスプライン32は、連結部材35を介して第2シャフト10と同軸に連結されている。なお、連結部材35は、第2シャフト10と一体回転可能に同第2シャフト10に連結されており、第2シャフト10及び連結部材35により出力軸が構成されている。
フレクスプライン33は、薄肉円筒状に形成されることにより柔軟性を有して構成される、すなわち弾性変形可能とされるとともに、その外周面には各サーキュラスプライン31,32の内歯に噛合する多数の外歯が形成されている。フレクスプライン33は、波動発生器34により略楕円状に撓められた状態で各サーキュラスプライン31,32の内側に配置されている。これにより、フレクスプライン33は、その外歯が該各サーキュラスプライン31,32の内歯とそれぞれ部分的に噛合される。なお、本実施形態では、ステータ側のサーキュラスプライン31の歯数は、フレクスプライン33の歯数と同数に設定されるとともに、ドリブン側にサーキュラスプライン32の歯数は、ステータ側のサーキュラスプライン31(フレクスプライン33)の歯数よりも多く設定されている。
波動発生器34は、図2〜図4に示すように、モータ軸23の一端に同モータ軸23に固定される楕円状のカム41と、該カム41に外嵌される薄肉のボール軸受42と、ボール軸受42の両端部に設けられる一対の楕円プレート43を備え、フレクスプライン33の内側に潤滑油を介在させて配置されている。ボール軸受42は、その内輪がカム41の外周面に固定され、同じく外輪がボールを介して弾性変形する構成とされている。そして、モータ軸23とともにこのカム41が回転することにより、ボール軸受42の外輪が弾性変形し、その径方向に凸となる部分が周方向に沿って移動する。このようにモータ7の駆動によりカム41が回転することでフレクスプライン33の略楕円形状、すなわちフレクスプライン33と各サーキュラスプライン31,32との噛み合い箇所(噛合部)を該各サーキュラスプライン31,32の周方向に沿って移動させるようになっている。
また、各楕円プレート43は、ボール軸受42の軸方向端部に当接するとともに、カム41に相似した楕円形状に形成されている。図4に示すように、これら各楕円プレート43には、軸方向に貫通した複数(本実施形態では4つ)の貫通孔43aが形成されている。さらに、カム41には、楕円プレート43の貫通孔43aと対向する位置に、軸方向に貫通した複数の貫通孔41aが形成されている。そして、貫通孔41a,43aに挿通されたリベット44がかしめられることにより、カム41、ボール軸受42及び各楕円プレート43が一体に連結されている。なお、各リベット44は、それぞれ隣接するリベット44の軸方向反対側から貫通孔41a,43aに挿入されるようになっている(図3参照)。
このような波動発生器34の軸方向長さ(厚み)はフレクスプライン33の軸方向長さよりも短く構成されており、波動発生器34は、フレクスプライン33の軸方向中央位置に配置されるようにモータ軸23に固定されている。また、カム41がモータ軸23に固定されることで、波動発生器34はモータ軸23と一体回転可能且つ軸方向移動不能に固定されている。
そして、このように第1シャフト9及び第2シャフト10、並びにモータ軸23に対してそれぞれ連結された波動歯車機構11をモータ駆動することにより、ステアリング2と転舵輪6との間の伝達比(ギヤ比)を変更することが可能とされている。
詳しくは、ステアリング操作に伴う第1シャフト9の回転は、該第1シャフト9に連結されたステータ側のサーキュラスプライン31からフレクスプライン33を介してドリブン側のサーキュラスプライン32に伝達され、これにより第2シャフト10へと伝達される。また、波動発生器34がモータ7によって駆動され、フレクスプライン33の楕円形状、すなわち両サーキュラスプライン31,32との噛合部が回転することにより、両サーキュラスプライン31,32間の歯数差に基づく回転差が、モータ駆動に基づく回転として上記ステアリング操作に基づく回転に上乗せされて第2シャフト10へと伝達される。そして、これにより、入力軸(第1シャフト9)と出力軸(第2シャフト10)との間の回転伝達比、すなわちステアリング2と転舵輪6との間の伝達比を変更することが可能となっている。
(スティックスリップによる異音発生の抑制機構)
次に、フレクスプライン33及び波動発生器34の軸方向移動を制限するため構成について説明する。
上述のように、波動発生器34が捩れた状態のフレクスプライン33の内周面を転動することで、フレクスプライン33及び波動発生器34には、それぞれ軸方向に反発する方向の力が作用する。これにより、フレクスプライン33がその軸方向における歯数の少ないステータ側のサーキュラスプライン31が配置された側(以下、軸方向一方側)に移動するとともに、波動発生器34がフレクスプライン33の軸方向における歯数の多いドリブン側のサーキュラスプライン32が配置された側(以下、軸方向他方側)に移動することがある。その結果、波動発生器34がフレクスプライン33に対して相対的に軸方向他方側に移動することになる(図8参照)。また、フレクスプライン33の軸方向他端側の直径が、捩れていない状態と比べて小径となるように変形していることがあり、この場合に波動発生器34が軸方向他方側に移動すると、波動発生器34の軸方向一方側端部においてフレクスプライン33の接触荷重が大きくなる。そのため、フレクスプライン33と波動発生器34との間に介在された潤滑油の油膜が破断しやすくなり、波動発生器34の回転に伴ってスティックスリップが発生して異音が生じる虞がある。
この点を踏まえ、本実施形態の伝達比可変装置8は、フレクスプライン33が軸方向一方側に移動することを制限する第1の移動制限手段としての移動制限プレート51と、波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限する第2の移動制限手段としての移動制限機構52とを備えている。
詳述すると、図4に示すように、移動制限プレート51は、円環状に形成されるとともに、フレクスプライン33の軸方向一方側に軸方向移動不能に固定されている。具体的には、ステータ側のサーキュラスプライン31の軸方向一方側端部には、内歯が形成された内周面よりも大径の内周面を有する段差部53が形成されている。そして、移動制限プレート51は、ステータ側のサーキュラスプライン31の段差部53に嵌合されることで、フレクスプライン33の軸方向一方側端部との間に潤滑油を介して当接した状態で、同サーキュラスプライン31に対して軸方向移動不能に固定されている。
また、移動制限機構52は、出力軸を構成する連結部材35と波動発生器34との間に配置されている。図5に示すように、移動制限機構52は、軸方向の付勢力を発生する弾性部材55と、弾性部材55を固定するための一対の固定用プレート56,57と、弾性部材55との間に固定用プレート56を挟んで配置されるスラスト軸受58と、波動発生器34と一体回転可能に設けられる平板プレート59とを備えてなる。そして、移動制限機構52は、波動発生器34を軸方向一方側に付勢することにより、該波動発生器34の軸方向他方側への移動を制限するように構成されている。なお、上述のように波動発生器34はモータ軸23に対して軸方向移動不能に設けられるとともに、モータ軸23は第1シャフト9側、すなわち軸方向一方側へ移動不能に構成されているため、移動制限機構52が軸方向一方側に付勢しても、波動発生器34はフレクスプライン33の軸方向中央位置よりも軸方向一方側へは移動しない。
詳述すると、弾性部材55は、例えばウェーブワッシャ等からなり、波動発生器34を構成する楕円プレート43の短軸の長さと略同じ外径を有する略円環状に形成されるとともに、その内周には径方向内側に延びる複数(本実施形態では4つ)の固定部55aが周方向に等間隔を空けて形成されている。また、固定用プレート56,57は、楕円プレート43の短軸の長さと略同じ外径を有する円環状に形成されるとともに、弾性部材55の固定部55aと対向する位置にその内周から径方向内側に延びる複数(本実施形態では2つ)の固定部56a,57aがそれぞれ形成されている。そして、弾性部材55と固定用プレート56とは、固定部55a,56a同士が接着されることにより互いに固定されるとともに、弾性部材55と固定用プレート57とは、固定部55a,57a同士が接着されることにより互いに固定されている。このように弾性部材55と固定用プレート56,57とは、一体にされた状態で連結部材35に固定されている。
平板プレート59は、楕円プレート43の短軸の長さと略同じ外径を有する円環状に形成されるとともに、同平板プレート59から軸方向一方側に突出する複数(本実施形態では4つ)の挿入ピン61が設けられている。一方、図3及び図4に示すように、本実施形態では、波動発生器34を構成するリベット44は、筒状に構成されており、該リベット44には軸方向に沿った挿入孔62が形成されている。そして、平板プレート59は、各挿入ピン61が挿入孔62に挿入されることにより、波動発生器34と一体回転可能に設けられている。さらに、本実施形態では、図4及び図5に示すように、挿入ピン61と挿入孔62との間には、ゴムや樹脂材料等の弾性体からなる筒状の緩衝部材63が介在されている。
スラスト軸受58は、例えば針状ころ軸受からなり、楕円プレート43の短軸の長さと略同じ外径を有する円環状に形成されるとともに、軸方向両側の側面が平面状に形成されている。また、固定用プレート56及び平板プレート59のスラスト軸受58との各対向面は、それぞれ平板状に形成されている。
これにより、移動制限機構52は、波動発生器34の軸方向他方側に配置された弾性部材55が、固定用プレート56、スラスト軸受58及び平板プレート59を介して波動発生器34自体を軸方向一方側に押圧することで、波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限するように構成されている。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)伝達比可変装置8は、同軸に並置された一対のサーキュラスプライン31,32と、これら各サーキュラスプライン31,32と部分的に噛み合うように同軸配置された筒状のフレクスプライン33と、モータ駆動によりフレクスプライン33の噛合部を回転させる波動発生器34とからなる波動歯車機構11を備えた。そして、伝達比可変装置8は、フレクスプライン33が軸方向一方側に移動することを制限する移動制限プレート51と、波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限する移動制限機構52とを備えた。
上記構成によれば、移動制限プレート51によってフレクスプライン33が軸方向一方側に移動することが制限されるとともに、移動制限機構52によって波動発生器34が軸方向他方側に移動することが制限される。そのため、波動発生器34が、フレクスプライン33に対して相対的にその軸方向他方側端部に移動することが制限される。従って、フレクスプライン33の軸方向他方側端部が小径となるように変形していても、波動発生器34の軸方向他方側端部においてフレクスプライン33との接触荷重が大きくならず、フレクスプライン33と波動発生器34との間に介在された潤滑油の油膜が破断し難くなる。その結果、フレクスプライン33の内周面と波動発生器34(ボール軸受42の外輪)の外周面との間の摩擦抵抗が増大することが抑えられ、波動発生器34の回転に伴ってスティックスリップが発生して異音が生じることを抑制できる。
(2)フレクスプライン33の軸方向端部に当接して該フレクスプライン33が軸方向一方側に移動することを制限する移動制限プレート51を備え、該移動制限プレート51をサーキュラスプライン31に軸方向移動不能に固定したため、簡易な構成でフレクスプライン33が軸方向一方側に移動することを制限できる。
(3)移動制限機構52は、波動発生器34を軸方向一方側に付勢する弾性部材55を備えた。上記構成によれば、波動発生器34は弾性部材55により付勢されているため、例えば波動発生器34が捩れた状態のフレクスプライン33の内周面上を転動することで同波動発生器34の軸方向位置が瞬間的に変動しても、その変動は弾性部材55が弾性変形することにより吸収される。そのため、例えば波動発生器34の軸方向他方側に固定されるプレート等により第2の移動制限手段を構成し、同プレートに当接することによって波動発生器の移動が制限されるようにした場合と異なり、波動発生器34の軸方向位置が瞬間的に変動したときに、波動発生器34がプレート等と衝突して異音が発生することを抑制できる。
(4)出力軸を構成する第2シャフト10及び連結部材35を、波動発生器34の軸方向他方側に配置し、弾性部材55を、連結部材35と波動発生器34との間に配置した。上記構成によれば、弾性部材55が波動発生器34の軸方向他方側に配置され、同弾性部材55が軸方向他方側から波動発生器34自体を軸方向一方側に押圧するため、確実に波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限できる。
(5)移動制限機構52は、弾性部材55と波動発生器34との間に設けられるスラスト軸受58と、波動発生器34とスラスト軸受58との間に設けられ波動発生器34と一体回転する平板プレート59と、弾性部材55とスラスト軸受58との間に設けられる固定用プレート56とを備えた。そして、平板プレート59及び固定用プレート56のスラスト軸受58との対向面を平面状に形成した。上記構成によれば、弾性部材55及び固定用プレート56,57を連結部材35に固定しても、スラスト軸受58により固定用プレート56と平板プレート59とが互いに摺接せずに相対回転できるため、摩擦熱の発生等を抑制できる。また、スラスト軸受58は、同スラスト軸受58との対向面が平面状の平板プレート59及び固定用プレート56に挟まれるため、スラスト軸受58との対向面が非平面状の部材(例えば、波動発生器34)に挟まれる場合と異なり、スラスト軸受58に対して局所的に大きな圧力が作用することを防止できる。
(6)波動発生器34に軸方向に延びる挿入孔62を形成し、平板プレート59に挿入ピン61を形成し、挿入孔62と挿入ピン61との間に弾性体からなる緩衝部材63を介在させた。そして、平板プレート59は、挿入ピン61が挿入孔62に挿入されることにより、波動発生器34と一体回転するようにした。上記構成によれば、挿入孔62と挿入ピン61との間に緩衝部材63が介在されるため、波動発生器34が回転する際に、その挿入孔62と平板プレート59の挿入ピン61とが互いに接触して異音が発生することを防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、第2の移動制限手段としての移動制限機構の構成である。このため、説明の便宜上、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
図6に示すように、移動制限機構71は、モータ軸23に対して移動制限プレート51よりも軸方向他方側に固定されたストッパ72と、このストッパ72と移動制限プレート51との間に配置される弾性部材73と備えてなる。
具体的には、図7に示すように、ストッパ72は、略円筒状に形成されるとともに、その筒状部75から径方向外側に延出される環状のフランジ部76を有している。このストッパ72は、モータ軸23に対して軸方向移動不能に固定されており、ストッパ72と波動発生器34との間に移動制限プレート51が位置するように配置されている。また、弾性部材73は、ウェーブワッシャや皿ばね等からなり、円環状に形成されている。そして、弾性部材73は、移動制限プレート51の軸方向一方側の側面に当接するとともに、フランジ部76の軸方向他方側の側面に当接しており、これら移動制限プレート51とストッパ72とが軸方向に離間する方向にこれらを付勢している。これにより、移動制限機構71は、弾性部材73がストッパ72を介してモータ軸23を軸方向一方側に押圧することで、波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限するように構成されている。
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)、(2)の作用効果に加えて、以下の作用効果を奏することができる。
(6)移動制限機構71は、モータ軸23に対して軸方向移動不能に固定されたストッパ72を備え、ストッパ72と波動発生器34との間に移動制限プレート51が位置するようにした。また、移動制限機構71は、移動制限プレート51とストッパ72との間に配置され、これら移動制限プレート51とストッパ72とが軸方向に離間する方向に付勢する弾性部材73とを備えた。上記構成によれば、弾性部材73は、移動制限プレート51とストッパ72とが軸方向に離間する方向にこれらを付勢することで、ストッパ72を介してモータ軸23を軸方向一方側に付勢する。従って、波動発生器34自体を押圧することなく波動発生器34が軸方向他方側に移動することを制限できるため、波動発生器34の作動に影響を与えずに、同波動発生器34の移動を制限できる。
また、ストッパ72は弾性部材73により付勢されているため、例えば波動発生器34が捩れた状態のフレクスプライン33の内周面上を転動することで同波動発生器34とともにストッパ72の軸方向位置が瞬間的に変動しても、その変動は弾性部材73が弾性変形することにより吸収される。そのため、例えばストッパ72の軸方向他方側に固定されるプレート等により第2移動制限手段を構成し、同プレートに当接することによってストッパ72の移動が制限される場合と異なり、波動発生器34とともにストッパ72の軸方向位置が瞬間的に変動したときに、ストッパ72がプレート等と衝突して異音が発生することを抑制できる。
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、移動制限機構52は、弾性部材55と、固定用プレート56,57と、スラスト軸受58と、平板プレート59とを備えたが、これに限らず、少なくとも弾性部材55を備えていれば、その他の部材は備えなくともよい。
・上記第1実施形態では、挿入ピン61と挿入孔62との間に緩衝部材63を介在させたが、これに限らず、緩衝部材63を介在させず、挿入ピン61の外周面が挿入孔62の内周面に直接接触するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、リベット44の挿入孔62に平板プレート59の挿入ピン61を挿入するようにしたが、これに限らず、例えばカム41及び各楕円プレート43に別途挿入孔を形成し、その挿入孔に挿入ピン61を挿入するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、挿入ピン61を波動発生器34(リベット44)の挿入孔62に挿入することで、平板プレート59が波動発生器34と一体回転するようにしたが、これに限らず、例えば平板プレート59と波動発生器34とを接着材で接着する等のその他の方法で、平板プレート59が波動発生器34と一体回転するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、スラスト軸受58を、固定用プレート56と平板プレート59との間に設けたが、これに限らず、例えば固定用プレート57と連結部材35との間に設けてもよい。
・上記第1実施形態では、移動制限機構52は弾性部材55を備え、波動発生器34を付勢するようにしたが、移動制限機構52が波動発生器34を付勢しないようにしてもよい。例えば、波動発生器34の軸方向他方側に軸方向移動不能に設けられたプレートにより移動制限機構52を構成し、同移動制限機構52が波動発生器34を付勢せずに、波動発生器34が上記プレートに当接することで軸方向他方側へ移動することを制限するようにしてもよい。
同様に、上記第2実施形態において、ストッパ72の軸方向他方側に軸方向移動不能に設けられたプレートにより移動制限機構71を構成し、同移動制限機構71がストッパ72及びモータ軸23を付勢せずに、ストッパ72がプレートに当接することで波動発生器34が軸方向他方側へ移動することを制限するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、移動制限プレート51をサーキュラスプライン31に固定したが、これに限らず、例えばハウジング12等、その他の部材に固定するようにしてもよい。同様に、上記第2実施形態では、移動制限プレート51を、例えばハウジング12等、モータ軸23以外の部材に固定するようにしてもよい。
・上記第2実施形態では、弾性部材73を移動制限プレート51の軸方向他方側の側面に当接するとともに、フランジ部76の軸方向一方側の側面に当接するようにしたが、これに限らず、例えばストッパ72と弾性部材73との間にスラスト軸受等を配置するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、第1の移動制限手段を、フレクスプライン33の軸方向一方側に軸方向移動不能に固定される移動制限プレート51として構成した。しかし、これに限らず、フレクスプライン33を軸方向他方側に付勢する弾性部材を備え、フレクスプライン33を軸方向他方側に付勢することにより、該フレクスプライン33の軸方向他方側への移動を制限するように第1の移動制限手段を構成してもよい。
・上記各実施形態では、ハウジング一体回転型の伝達比可変装置8に具体化したが、例えばハウジングをラックハウジングと一体にした所謂ラックハウジング一体型等、伝達比可変装置のハウジングがステアリング操作に伴って第1シャフト9と一体回転しないタイプの伝達比可変装置に具体化してもよい。
・上記実施形態では、本発明を、車両用操舵装置1の伝達比可変装置8に具体化したが、これ以外の用途に用いる伝達比可変装置に適用してもよい。
1…車両用操舵装置、7…モータ、8…伝達比可変装置、9…第1シャフト、10…第2シャフト、11…波動歯車機構、12…ハウジング、23…モータ軸、31…ステータ側のサーキュラスプライン、32…ドリブン側のサーキュラスプライン、33…フレクスプライン、34…波動発生器、35…連結部材、51…移動制限プレート、52,71…移動制限機構、55,73…弾性部材、56,57…固定用プレート、58…スラスト軸受、59…平板プレート、61…挿入ピン、62…挿入孔、63…緩衝部材、72…ストッパ。

Claims (7)

  1. ステアリング操作に基づく入力軸の回転にモータ駆動に基づく回転を上乗せして出力軸に伝達する差動機構を備えた伝達比可変装置であり、前記差動機構として波動歯車機構を用い、該波動歯車機構は、同軸に並置され互いに異なる歯数の内歯が設定された一対のサーキュラスプラインと、前記各サーキュラスプラインの内側において該各サーキュラスプラインと同軸配置される筒状のフレクスプラインと、前記フレクスプラインの内側に潤滑油を介在させて配置される波動発生器とを備え、該波動発生器は、前記フレクスプラインを非円形に撓ませて該フレクスプラインの外歯を前記各サーキュラスプラインの内歯に部分的に噛み合わせるとともに、前記フレクスプラインと前記各サーキュラスプラインとの噛み合い箇所を該各サーキュラスプラインの周方向に移動させるように回転可能である伝達比可変装置において、
    前記フレクスプラインが軸方向に移動することを制限する第1の移動制限手段及び前記波動発生器が軸方向に移動することを制限する第2の移動制限手段を備え、
    前記第1の移動制限手段は、前記フレクスプラインが歯数の少ない前記サーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限し、
    前記第2の移動制限手段は、前記波動発生器が歯数の多い前記サーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限することを特徴とする伝達比可変装置。
  2. 請求項1に記載の伝達比可変装置において、
    前記第1の移動制限手段は、前記フレクスプラインの軸方向端部に当接して該フレクスプラインが前記歯数の少ないサーキュラスプラインが配置された側に移動することを制限する移動制限プレートを備え、該移動制限プレートは、前記フレクスプラインの軸方向に並置され、前記歯数の少ないサーキュラスプラインに軸方向移動不能に固定されたことを特徴とする伝達比可変装置。
  3. 請求項1又は2に記載の伝達比可変装置において、
    前記第2の移動制限手段は前記波動発生器を軸方向に付勢する弾性部材を備え、該弾性部材は前記波動発生器を前記歯数の少ないサーキュラスプライン側に付勢することを特徴とする伝達比可変装置。
  4. 請求項3に記載の伝達比可変装置において、
    前記出力軸は、前記波動発生器における前記歯数の少ないサーキュラスプライン側に配置されるものであり、
    前記弾性部材は、前記出力軸と前記波動発生器との間に配置されたことを特徴とする伝達比可変装置。
  5. 請求項4に記載の伝達比可変装置において、
    前記第2の移動制限手段は、スラスト軸受と、平板プレートと、固定用プレートとを備え、
    前記スラスト軸受は、前記弾性部材と前記波動発生器との間に設けられ、その軸方向両側の側面が平面状に形成されるものであり、
    前記平板プレートは、前記波動発生器と前記スラスト軸受との間に設けられ、前記スラスト軸受との対向面が平面状に形成されるとともに、前記波動発生器と一体回転するものであり、
    前記固定用プレートは、前記弾性部材と前記スラスト軸受との間に設けられ、前記スラスト軸受との対向面が平面状に形成されるものであり、
    前記弾性部材及び前記固定用プレートは前記出力軸と一体回転可能に設けられたことを特徴とする伝達比可変装置。
  6. 請求項5に記載の伝達比可変装置において、
    前記波動発生器は、軸方向に延びる挿入孔を有し、
    前記平板プレートは、前記挿入孔に挿入される挿入ピンを有し、
    前記挿入孔と前記挿入ピンとの間には、弾性体からなる緩衝部材が介在され、
    前記平板プレートは、前記挿入ピンが前記挿入孔に挿入されることにより、前記波動発生器と一体回転するようにしたことを特徴とする伝達比可変装置。
  7. 請求項2に記載の伝達比可変装置において、
    前記波動発生器は、駆動源であるモータのモータ軸に対して固定されるものであり、
    前記第2の移動制限手段は、ストッパと、弾性部材とを備え、
    前記ストッパは、前記モータ軸に対して軸方向移動不能に固定され、該ストッパと前記波動発生器との間に前記移動制限プレートが位置し、
    前記弾性部材は、前記移動制限プレートと前記ストッパとの間に配置され、これら移動制限プレートとストッパとが軸方向に離間する方向に付勢することを特徴とする伝達比可変装置。
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