JP5397662B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の電動モータを用いた場合にも、振動や騒音の発生を抑制することができる車両用操舵装置を提供することである。
また、上記駆動歯車および従動歯車は、はす歯歯車であるので、下記の利点がある。すなわち、はす歯歯車では、歯車の軸方向に対して歯が斜めに噛み合って伝動する。その伝動領域としての歯の噛み合い領域において、両歯車間に、互いに弾性力の異なる複数の弾性体が介在するので、両歯車に、スラスト力を付与することができる。したがって、複数の弾性体は、歯が噛み合うときの噛み合い音を抑制するだけでなく、歯車の軸方向の振動をも抑制することができる。その結果、騒音防止効果を高くすることができる。
また、共通の支軸に連結された第1および第2の従動歯車の歯すじ方向が、支軸の軸方向に対して互いに逆向きであるので、第1および第2の従動歯車に作用する駆動反力の軸方向成分(スラスト力)は、互いに逆向きに働いて相殺される。
また、上記複数の弾性体は、環状をなす第1および第2の弾性体を含み、上記第1の弾性体は、上記駆動歯車に形成された第1の環状溝(116)に保持され、上記第2の弾性体は、上記従動歯車に形成された第2の環状溝(126)に保持されている場合がある(請求項4)。この場合、第1の減速機構の構造が複雑化したり大型化したりすることもなく、第1および第2の弾性体を、それぞれ、駆動歯車および従動歯車に保持することができる。また、各弾性体として、例えば汎用性のあるOリングを用いることも可能となり、製造コストを安くすることができる。
なお、上記において、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一参考形態の車両用操舵装置としての電動パワーステアリング装置の構成を模式的に示す概略図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結しているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結される中間軸5と、中間軸5に自在継手6を介して連結されるピニオン軸7と、ピニオン軸7の端部近傍に設けられたピニオン歯7aに噛み合うラック歯8aを有して自動車の左右方向に延びる転舵軸としてのラックバー8とを有している。ピニオン軸7およびラックバー8により、ラックアンドピニオン機構からなる舵取り機構Aが構成されている。
操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転がピニオン歯7aおよびラック歯8aによって、自動車の左右方向に沿ってのラックバー8の直線運動に変換される。これにより、転舵輪11の転舵が達成される。
トーションバー12を介するアッパーおよびロアーシャフト3a,3b間の相対回転変位量により操舵トルクを検出するトルクセンサ13が設けられており、このトルクセンサ13のトルク検出結果は、ECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)14に与えられる。ECU14では、トルク検出結果や車速センサ15から与えられる車速検出結果等に基づいて、操舵力(本参考形態では操舵補助力)を発生するためのアクチュエータとしての第1および第2の電動モータ161,162を駆動制御する。
第1および第2の電動モータ161,162と、第1の減速機構17と、第1および第2の電動モータ161,162並びに第1の減速機構17を収容するハウジング19とを含む単一のユニットとしてのサブアセンブリSAが構成されている。
第2の減速機構18は、第1および第2の電動モータ161,162により第1の減速機構17を介して回転駆動されるウォーム軸23と、このウォーム軸23に噛み合うと共にステアリングシャフト3のロアーシャフト3bに同行回転可能に連結されたウォームホイール24を備えている。すなわち第2の減速機構18はウォームギヤ機構により構成されている。
第1の支持板25および第2の支持板26の間に、両支持板25,26間の間隔を規制するための複数の筒状のスペーサ29が介在している。そのスペーサ29に挿通された固定ねじ30を用いて、第1の支持板25および第2の支持板26が互いに固定されている。例えば、第2の支持板26のねじ挿通孔を挿通した固定ねじ30が、第1の支持板25に形成されたねじ孔31にねじ込まれることにより、両支持板25,26間にスペーサ29が挟持され、その結果、両支持板25,26が互いに固定されている。
具体的には、第2の支持板26の第1の面37側から、第2の支持板26のねじ挿通孔40を通して、モータハウジング39の端壁41のねじ孔42にねじ込まれた固定ねじ43を用いて、モータハウジング39が、第2の支持板26に固定されている。
図2を参照して、第1および第2の電動モータ161,162および第1の減速機構17を収容するハウジング19は、第1の支持板25と筒状のカバーハウジング45とを組み合わせて構成されており、内部に収容空間を区画している。カバーハウジング45は、一端46aが開放し第2の支持板26の周囲を取り囲む筒状部46と、その筒状部46の他端46bを閉塞する端壁47とを有している。
図5を参照して、支軸32は、従動歯車22とは同行回転可能に且つ軸方向に同行移動可能に設けられている。支軸32は軸方向に浮動状に支持されている。具体的には、第1の軸受35は、第1の支持板25の第1の支持孔33に圧入された外輪51と、支軸32がルーズフィットで嵌合された内輪52と、外輪51および内輪52の間に介在する転動体53とを有する玉軸受からなる。
支軸32の外周には、支軸32の軸方向に同行移動可能な環状の第1および第2の押圧板54,55が取り付けられている。第1の押圧板54は、第1の軸受35と従動歯車22との間に配置され、第1の軸受35の内輪52の端面52aと第1の押圧板54との間に、例えばゴム製の環状の弾性部材56が圧縮状態で介在している。
したがって、従動歯車22に働くスラスト力を弾性部材56,57によって弾性的に受けることができるので、上記スラスト力に起因した、駆動歯車211,212および従動歯車22の伝達効率の低下を抑制することができ、また、上記スラスト力に起因して支軸32と各支持板25,26との間に発生する振動を抑制することができる。
ウォームホイール24は、ステアリングシャフト3のロアーシャフト3bの軸方向中間部に同行回転可能に且つ軸方向移動不能に連結されている。ウォームホイール24は、ロアーシャフト3bに一体回転可能に結合される環状の芯金58と、芯金58の周囲を取り囲み外周に歯部59aを形成した合成樹脂部材59とを備える。芯金58は、例えば合成樹脂部材59の樹脂成形時に金型内にインサートされるものである。
第3および第4の軸受64,65の内輪66,67が、それぞれ、ウォーム軸23の第1および第2の端部23a,23bに一体回転可能に嵌合されている。各内輪66,67は、ウォーム軸23の対応する互いに逆向きの位置決め段部23d,23eに、それぞれ当接している。第3および第4の軸受66,67の外輪68,69は、ギヤハウジング27の対応する軸受保持孔70,71に保持されている。
駆動歯車211および駆動歯車212は同じ構成であるので、駆動歯車211に則して説明する。図6に示すように、駆動歯車211および従動歯車22は、互いに噛み合うはす歯歯車からなっている。図示していないが、駆動歯車212も、はす歯歯車からなっている。
本参考形態では、第1および第2弾性体111,112の弾性力を異ならせるために、第1および第2の弾性体111,112の材質を異ならせてある。例えば、第1の弾性体111として相対的に柔らかい材質のゴムが用いられ、第2の弾性体112として相対的に硬い材質のゴムが用いられる場合がある。
また、図8Bに示すように、従動歯車22の外周に、第2の弾性体112を収容する第2の環状溝126が形成されている。第2の環状溝126の溝底127は、従動歯車22の歯底124よりも深くされている。第2の弾性体112は、第2の環状溝126の溝底127に締め代をもって装着されている。
本参考形態によれば、駆動歯車211(212)および従動歯車22の噛み合い領域Eにおいて、駆動歯車211(212)および従動歯車22の間に、互いに弾性力の異なる第1および第2の弾性体111,112が介在しているので、第1および第2の弾性体111,112が、互いに異なる緩衝特性(例えば周波数特性)を発揮する。したがって、第1の減速機構17の振動、騒音を広範囲に抑制することができる。
特に、小型で高回転型の電動モータ161,162と高減速比の第1の減速機構17を組み合わせることで、小型でも、高出力を得ることが可能となる。また、複数の電動モータ161,162および第1の減速機構17等をサブアセンブリSAとし予め組み立てておくことができるので、組み立て性がよい。
本実施の形態では、図5の参考形態で設けられていた押圧板54,55および弾性部材56,57は廃止されている。本実施の形態において、図2の参考形態と同じである構成要素には同一の符号を付してある。
具体的には、下記の表1のモード1に示すように、通常動作のときは、第1の電動モータ161を左右の操舵に用い、残りの第2の電動モータ162を右操舵のみに用い、第3の電動モータ163を左操舵のみに用いる場合がある。この場合、左操舵および右操舵のそれぞれにおいて、2つの電動モータを用いることになり、各操舵のための十分な出力を得ることができる。
モード2では、第1の電動モータ161に対する駆動制御を停止し、且つ、正常に機能している第2および第3の電動モータ162,163を、それぞれ、通常のときと同じように、右操舵および左操舵にそれぞれ寄与させる。ただし、フェールのときには、操舵のための出力が、通常のときの出力の半分となる。
次いで、右操舵に用いていた第2の電動モータ162にフェールが発生したときには、モード4の制御を実施するようにしてもよいし、また、モード4に代えて、モード5の制御を実施するようにしてもよい。
モード6では、第3の電動モータ163に対する駆動制御を停止し、且つ、正常に機能している第1の電動モータ161および第2の電動モータ162を、通常のときと同じように機能させる。すなわち、第1の電動モータ161を左操舵および右操舵に寄与させる。また、第2の電動モータ162を右操舵のみに寄与させる。ただし、モード6では、フェールのときに左操舵のための出力が、通常のときの半分となる。
4つの電動モータ161〜164を設ける場合、下記の表2のモード1に示すように、通常動作のときは、第1および第3の電動モータ161,163を右操舵のみに用い、第2および第4の電動モータ162,164を左操舵のみに用いる場合がある。この場合、左操舵および右操舵のそれぞれにおいて、2つの電動モータを用いることになり、各操舵のための十分な出力を得ることができる。
各電動モータ161,162のモータハウジング39が、ハウジング19Eに固定されている。また、ウォームホイール24の残りの部分を収容するギヤハウジング27Eと、ハウジング19Eとが、互いに対向する対向板85,86を有している。これらの対向板85,86間に、例えばゴム板などの弾性体87が介在する状態で、両対向板85,86がねじ88により、ねじ88の軸方向に相対移動可能に連結されている。サブアセンブリSA1のハウジング19Eが、ギヤハウジング27Eによって弾性体87を介して弾性的に支持されている。
図15に示すように、ギヤハウジング27Eの対向板85とハウジング19Eの対向板86との間に、環状の弾性体87が挟持された状態で、対向板85のねじ挿通孔89に挿通されたねじ88が、対向板86のねじ孔90にねじ込まれている。
本参考形態によれば、ギヤハウジング27EおよびサブアセンブリSA1のハウジング19Eの互いの対向板85,86間に弾性体87を介在させており、両対向板85,86の直接接触を避けているので、下記の利点がある。すなわち、電動モータ161,162、第1の減速機構17Eおよびウォーム軸23を支持しているサブアセンブリSA1のハウジング19Eから、ウォームホイール24やステアリングシャフト3を支持しているギヤハウジング27E側へ振動や騒音が伝達されることを防止することができる。
また、電動モータ161,162、第1の減速機構17Eおよびウォーム軸23を支持しているサブアセンブリSA1を弾性支持しているので、ステアリング操作を開始するときの第2の減速機構18の起動トルクを低減することができ、その結果、操舵フィーリングを向上することができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図2の参考形態のように駆動部材、従動部材として駆動歯車211,212、従動歯車22を用いる場合において、従動歯車22の回転角を検出する回転角センサ74に代えて、図17に示すように、何れか1つの駆動歯車211,212の回転角を検出する回転角センサ74Aを設けるようにしてもよいし、また、上記の回転角センサ74に代えて、図18に示すように何れか1つの電動モータ161,162の回転軸20の回転角を検出する回転角センサ74Bを設けるようにしてもよい。
Claims (5)
- それぞれ回転軸を有する複数の電動モータを含み、操舵力を発生するためのアクチュエータと、上記アクチュエータに接続された第1の減速機構と、上記第1の減速機構に接続された第2の減速機構と、上記第2の減速機構に接続された舵取り機構と、を備え、
上記第1の減速機構は、対応する電動モータの回転軸にそれぞれ連結された複数のはすばの駆動歯車と、共通の支軸の同軸上に連結されて各駆動歯車にそれぞれ噛み合う複数のはすばの従動歯車と、を含み、
上記複数の従動歯車は、上記支軸の軸方向に対して互いに逆向きに傾斜する歯すじ方向を有する第1および第2の従動歯車を含み、
上記駆動歯車および上記従動歯車の伝動領域において、上記駆動歯車および上記従動歯車の間に、互いに弾性力の異なる複数の弾性体が圧縮された状態で介在していることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1において、上記複数の弾性体の材質が互いに異なることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1において、上記複数の弾性体の断面径が互いに異なることを特徴とする車両用操舵装置。
- 請求項1から3の何れか1項において、上記複数の弾性体は、環状をなす第1および第2の弾性体を含み、
上記第1の弾性体は、上記駆動歯車に形成された第1の環状溝に保持され、
上記第2の弾性体は、上記従動歯車に形成された第2の環状溝に保持されていることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項4において、上記第1の環状溝および上記第2の環状溝は、上記駆動歯車および上記従動歯車の軸方向に平行な方向に互いにオフセットした位置に配置されていることを特徴とする車両用操舵装置。
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