JP2019031224A - 回転支持機構、ウォーム減速機及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

回転支持機構、ウォーム減速機及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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英幸 本門
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新 菊地
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Seiji Tanaka
清司 田中
康孝 福本
Yasutaka Fukumoto
康孝 福本
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Abstract

【課題】軸受の起動トルクが過大になることを抑制する回転支持機構を提供する。【解決手段】回転支持機構1が、ウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに、隙間嵌めにより保持された円筒状の金属カラー40と、第1軸受30とを含む。第1軸受30は、金属カラー40の内周面42に圧入された外輪31と、ウォームシャフト23と嵌合する内輪32と、転動体33とを含む。金属カラー40の内周面42は、一対の軸方向端部領域42a,42bと、一対の軸方向端部領域42a,42bの間に配置される軸方向中間領域42cとを含む。軸方向中間領域42cが、ウォームシャフト23の径方向Rに関して、外輪軌道溝31bの外側に配置される。外輪31に圧入される前の状態で金属カラー40の軸方向中間領域42cの内径が、軸方向端部領域42a,42bの内径よりも大きい。【選択図】図3

Description

本発明は、回転支持機構、ウォーム減速機及び電動パワーステアリング装置に関する。
ウォーム減速機を含む電動パワーステアリング装置では、前記ウォーム減速機のウォームシャフトを回転可能に支持する軸受の内部隙間に起因する異音を抑制するために、前記軸受において、例えば外輪に金属カラーを外嵌圧入して、外輪を縮径変形させることにより、軸受の内部隙間を低減する技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2012−101649号公報
外輪では、径方向に関して外輪軌道溝の外側に配置される部分が、薄肉部となり、軸方向に関して薄肉部の両側に配置される一対の部分が厚肉部となる。このため、金属カラーが外嵌圧入された外輪では、薄肉部の縮径変形量が、厚肉部の縮径変形量よりも大きくなり、軸受の内部隙間が過度に減少される。
このため、軸受にトルクが作用して外輪と内輪とが相対回転し始めるときの作用トルクである、軸受の起動トルクが過大になる。
本発明の目的は、軸受の起動トルクが過大になることを抑制することができる回転支持機構、ウォーム減速機及び電動パワーステアリング装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、シャフト(23)を回転可能に支持する回転支持機構(1)であって、前記シャフトが収容され、保持部(22c)が形成されたハウジング(22a)と、前記ハウジングの前記保持部に、隙間嵌めによって保持された円筒状の金属カラー(40)と、前記金属カラーの内周面(42)に圧入された外輪(31)と、前記シャフトと嵌合する内輪(32)と、前記外輪の内周面(31c)に形成された外輪軌道溝(31b)と前記内輪の外周面(32c)に形成された内輪軌道溝(32b)との間に介在する複数の転動体(33)と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受(30)と、を備え、前記金属カラーの内周面(42)が、一対の軸方向端部領域(42a,42b)と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域(42c)とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向(R)に関して前記外輪軌道溝の外側に配置され、前記外輪に圧入される前の状態で前記金属カラーの前記軸方向中間領域の内径(d2)は、前記軸方向端部領域の内径(d1)よりも大きい、回転支持機構を提供する。
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2記載の発明のように、請求項1記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記外輪の前記外周面との間に隙間(S)を形成する凹部(43)が設けられていてもよい。
請求項3記載の発明は、シャフトを回転可能に支持する回転支持機構(1P)であって、前記シャフトが収容され、保持部が形成されたハウジングと、前記シャフトの外周面(23f)に、隙間嵌めにより保持された円筒状の金属カラー(90)と、前記ハウジングの前記保持部に保持された外輪と、前記金属カラーの外周面に圧入された内輪と、前記外輪の内周面に形成された外輪軌道溝と前記内輪の外周面に形成された内輪軌道溝との間に介在する複数の転動体と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、を備え、前記金属カラーの外周面(91)が、一対の軸方向端部領域(91a,91b)と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域(91c)とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向に関して前記内輪軌道溝の内側に配置され、取り付け前の前記金属カラーの前記軸方向中間領域の外径(e2)は、前記軸方向端部領域の外径(e1)よりも小さい、回転支持機構を提供する。
請求項4記載の発明のように、請求項3記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記内輪の前記内周面との間に隙間(SP)を形成する凹部(93)が設けられていてもよい。
請求項5記載の発明のように、請求項2又は4に記載の回転支持機構において、前記凹部が、前記金属カラーの周方向に延びる溝(43;93)であってもよい。
請求項6記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載の回転支持機構(1;1P)を含むウォーム減速機(2;2P)であって、一端部(23a)が前記軸受によって回転可能に支持され、電動モータ(20)と連結される前記シャフトとしてのウォームシャフト(23)と、前記ウォームシャフトと噛み合い前記ハウジングに収容されるウォームホイール(24)と、前記ハウジング又は前記ウォームシャフトに形成され、前記軸受に対して前記ウォームシャフトの前記軸方向に対向する対向部(54,55)と、前記軸受と前記対向部との間に介在し、前記軸方向に弾性変形することにより、前記ハウジングに対して前記ウォームシャフトが前記軸方向に変位することを許容する弾性部材(57,58)と、を備えるウォーム減速機を提供する。
請求項7記載の発明は、請求項6に記載のウォーム減速機を介して前記電動モータの動力をステアリングシャフト(9)に伝達する電動パワーステアリング装置(3;3P)を提供する。
請求項1記載の発明の回転支持機構では、金属カラーの内周面において、シャフトの径方向に関して外輪軌道溝の外側に配置される軸方向中間領域の内径が、軸方向端部領域の内径よりも小さくされる。このため、外輪において、径方向に関して内周面の外輪軌道溝と外周面との間に配置されて相対的に薄肉となる部分が、過度に縮径変形されることが抑制される。このため、軸受の内部隙間の過度な減少が抑制され、軸受の起動トルク(軸受にトルクが作用して外輪と内輪とが相対回転し始めるときの作用トルクに相当)が過大となることが抑制される。
請求項2記載の発明では、金属カラーや外輪の寸法精度のばらつきに拘らず、金属カラーの内周面の軸方向中間領域と外輪の外周面とが非接触とされ、外輪において前記相対的に薄肉となる部分の過度な縮径変形が抑制される。このため、金属カラーや外輪の寸法精度のばらつきに拘らず、軸受の内部隙間の過度な減少が抑制され、軸受の起動トルクが過大となることが抑制される。
請求項3記載の発明の回転支持機構では、金属カラーの外周面において、シャフトの径方向に関して内輪軌道溝の内側に配置される軸方向中間領域の外径が、軸方向端部領域の外径よりも小さくされる。このため、内輪において、外周面の内輪軌道溝と内周面との間に配置されて相対的に薄肉となる部分が、過度に拡径変形されることが抑制される。このため、軸受の内部隙間の過度な減少が抑制され、軸受の起動トルクが過大となることが抑制される。
請求項4記載の発明では、金属カラーや内輪の寸法精度のばらつきに拘らず、金属カラーの外周面の軸方向中間領域と内輪の内周面とが非接触とされ、内輪において前記相対的に薄肉となる部分の過度な拡径変形が抑制される。このため、金属カラーや内輪の寸法精度のばらつきに拘らず、軸受の内部隙間の過度な減少が抑制され、軸受の起動トルクが過大となることが抑制される。
請求項5記載の発明では、金属カラーの内周面に外輪が圧入される場合において金属カラーの内周面の全周にわたる軸方向中間領域と外輪の外周面とが非接触とされるか、又は、金属カラーの外周面が内輪に圧入される場合において金属カラーの外周面の全周にわたる軸方向中間領域と内輪の内周面とが非接触とされる。このため、金属カラーの寸法精度のばらつきや金属カラーが圧入される外輪又は内輪の寸法精度のばらつきに拘らず、軸受の起動トルクが過大となることが一層抑制される。
請求項6記載の発明のウォーム減速機では、軸受はその起動トルクを超えるトルクが作用した場合に、回転を始める。仮に、軸受の内部隙間が過度に減少されて軸受の起動トルクが過大である場合には、軸受に作用するトルクの発生から軸受が起動するまでに時間遅れが生ずる。特に、ウォームシャフトの軸方向の変位を許容する弾性部材によってウォームシャフトが軸方向に弾性支持される場合、電動モータからのトルクが、ウォームシャフトおよび弾性部材がねじれることで一旦、吸収された後、ウォームシャフトおよび弾性部材が吸収できないトルクが作用することにより、軸受が回転し始める。このため、前記時間遅れを生ずる傾向にある。これに対して、本発明では、前記内部隙間の過度な減少が抑制されて、軸受の起動トルクが過大になることが抑制される。このため、前記時間遅れが抑制されて、ウォームシャフトの回転がスムーズに開始される。
請求項7記載の発明の電動パワーステアリング装置では、電動モータの動力をステアリングシャフトに伝達するウォーム減速機における軸受の起動トルクが過大である場合、軸受に作用するトルクの発生から軸受が起動するまでに時間遅れが生ずる。前記時間遅れは、引っ掛かり感として操舵感に影響を与える。特に、ウォームシャフトの軸方向の変位を許容する弾性部材によってウォームシャフトが軸方向に弾性支持される場合、電動モータからのトルクが、ウォームシャフトおよび弾性部材がねじれることで一旦、吸収された後、ウォームシャフトおよび弾性部材が吸収できないトルクが作用することにより、軸受が回転し始める。このため、引っ掛かり感による操舵感の悪化が顕著になる傾向にある。これに対して、本発明では、前記内部隙間の過度な減少が抑制されて、軸受の起動トルクが過大になることが抑制される。このため、前記時間遅れが抑制されて、時間遅れに起因する操舵感の悪化が抑制される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転支持機構が適用されたウォーム減速機を含む電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、第1実施形態において、ウォーム減速機とその周辺の構造の断面図である。 図3は、第1実施形態に係る回転支持機構とその周辺の構造の断面図である。 図4は、第1実施形態に係る回転支持機構の概略分解断面図であり、外輪と金属カラーとの締め代を説明するための図である。 図5は、第1実施形態において、図2のV−V断面図であり、付勢部材とその周辺の構造の模式的断面図である。 図6(a)〜(c)は、それぞれ第1実施形態の変更例に係る回転支持機構の概略断面図である。 図7は、本発明の第2実施形態に係る回転支持機構とその周辺の構造の断面図である。 図8は、第2実施形態に係る回転支持機構の概略分解断面図であり、内輪と金属カラーとの締め代を説明するための図である。 図9は、本発明の第2実施形態の変更例に係る回転支持機構の概略断面図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転支持機構1が適用されたウォーム減速機2を含む電動パワーステアリング装置3の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置3は、操舵機構4及び転舵機構5を備えている。電動パワーステアリング装置3は、運転者によるステアリングホイール(操舵部材)6の操作に基づいて転舵輪7を転舵させる。操舵機構4は、運転者によるステアリングホイール6の操作を補助するアシスト機構8を備えている。
操舵機構4は、ステアリングホイール6の回転に連動して回転するステアリングシャフト9を含む。ステアリングシャフト9は、コラムシャフト10、インターミディエイトシャフト11及びピニオンシャフト12を含む。
コラムシャフト10は、ステアリングホイール6に連結される入力シャフト10aと、インターミディエイトシャフト11に連結される出力シャフト10bと、入力シャフト10a及び出力シャフト10bを同軸上に連結するトーションバー10cとを含む。出力シャフト10bは、自在継手13を介して、インターミディエイトシャフト11に連結されている。インターミディエイトシャフト11は、自在継手14を介して、ピニオンシャフト12に連結されている。ピニオンシャフト12には、ピニオン12aが形成されている。
転舵機構5は、ラックシャフト15及びタイロッド16を有している。ラックシャフト15には、ピニオン12aに噛み合うラック15aが形成されている。タイロッド16は、その一端がラックシャフト15に連結されて、その他端が転舵輪7に連結されている。 運転者のステアリングホイール6の操作に応じて、ステアリングホイール6が回転すると、コラムシャフト10及びインターミディエイトシャフト11を介して、ピニオンシャフト12が回転される。ピニオンシャフト12の回転は、ラック15aとピニオン12aとにより構成されるラックアンドピニオン機構の働きにより、ラックシャフト15の軸方向への往復運動に変換される。ラックシャフト15の往復運動により、転舵輪7の転舵角が変化する。
アシスト機構8は、トルクセンサ17、車速センサ18、ECU(Electronic Control Unit )19、電動モータ20、動力伝達継手21及びウォーム減速機2を有している。トルクセンサ17は、入力シャフト10aと出力シャフト10bとの間の捩れ量に基づき操舵トルクTを検出する。ECU19は、トルクセンサ17により検出された操舵トルクTと車速センサ18により検出された車速Vとに基づいて、アシストトルクを決定する。電動モータ20は、ECU19により駆動制御される。電動モータ20の回転力(動力)は、ウォーム減速機2を介してステアリングシャフト9のコラムシャフト10の出力シャフト10bに伝達される。その結果、アシストトルクが出力シャフト10bに付与されて、運転者のステアリング操作が補助される。
次に、ウォーム減速機2の構成を説明する。図2は、ウォーム減速機2とその周辺の構造の断面図である。図2を参照して、ウォーム減速機2は、ハウジング22と、ウォームシャフト23と、ウォームホイール24と、回転支持機構1と、第2軸受25と、付勢部材26と、一対の弾性部材ユニット27,28とを含む。回転支持機構1は、第1軸受30と、金属カラー40とを含む。
ハウジング22は、ウォームシャフト23を収容する筒状のウォームシャフト収容ハウジング22aと、ウォームホイール24を収容するウォームホイール収容ハウジング22bとを含む。ウォームシャフト収容ハウジング22aとウォームホイール収容ハウジング22bとは、アルミニウム合金等の金属材料で一体に形成されている。ウォームシャフト収容ハウジング22aの内部に、回転支持機構1を保持する環状の保持部22cが形成されている。
ウォームシャフト収容ハウジング22aの内部区間に、ウォームシャフト23と、ウォームホイール24と、回転支持機構1と、第2軸受25と、付勢部材26と、一対の弾性部材ユニット27,28とが収容されている。回転支持機構1と第2軸受25は、ウォームシャフト収容ハウジング22aに対してウォームシャフト23を回転可能に支持している。
電動モータ20は、モータハウジング20aと、モータシャフト20bとを含む。モータハウジング20aは、ウォームシャフト収容ハウジング22aと一体に連結されている。モータシャフト20bは、モータハウジング20aによって回転可能に支持されている。モータシャフト20bは、モータハウジング20aから突出されており、モータシャフト20bのウォームシャフト側端部20cが、ウォームシャフト収容ハウジング22a内に配置されている。
ウォームシャフト23は、電動モータ20のモータシャフト20bに対して軸方向Xに対向して配置されている。ウォームシャフト23は、モータシャフト20bに対して軸方向Xに対向するモータ側端部23aと、電動モータ20に対して反対側の端部(モータ側端部23aの反対側の端部)である反モータ側端部23bと、両端部23a,23b間の中間部である歯部23cとを含む。
ウォームホイール24は、コラムシャフト10の出力シャフト10b(図1を参照)に一体回転可能に連結されている。図2に示すように、ウォームホイール24の外周に設けられた歯部24aが、ウォームシャフト23の歯部23cと噛み合わされている。
ウォームシャフト23のモータ側端部23aとモータシャフト20bのウォームシャフト側端部20cとが、動力伝達継手21を介して、トルク伝達可能に、かつ、揺動可能に連結されている。動力伝達継手21は、第1回転要素21a、第2回転要素21b及び中間要素21cを有する。第1回転要素21aは、ウォームシャフト23のモータ側端部23aに一体回転可能に連結されている。第2回転要素21bは、モータシャフト20bに一体回転可能に連結されている。中間要素21cは、第1回転要素21a及び第2回転要素21bの間に介在され、両回転要素21a,21b間にトルクを伝達する。中間要素21cは、ゴムなどの弾性体で形成されている。
ウォームシャフト23が第1軸受30の軸受中心を中心として揺動したとき、動力伝達継手21において、中間要素21cが弾性変形しつつ、第2回転要素21bが第1回転要素21aに対して傾くように変位する。
ウォームシャフト23のモータ側端部23aは、回転支持機構1を介してウォームシャフト収容ハウジング22aに回転可能に支持されている。回転支持機構1の第1軸受30は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aに取り付けられている。金属カラー40は、第1軸受30に外嵌圧入されている。第1軸受30及び金属カラー40は、互いに組み合わされることでサブアセンブリ(回転支持機構1)を構成している。ウォーム減速機2ないし電動パワーステアリング装置3の組立時には、前記サブアセンブリの状態で、第1軸受30の内輪32がウォームシャフト23に嵌め合わされ、また、金属カラー40がウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに嵌め合わされる。
図3は、回転支持機構1とその周辺の構造の断面図である。図3に示すように、第1軸受30は、たとえば、玉軸受により構成されている。第1軸受30は、金属カラー40の内周面42に圧入された外輪31と、ウォームシャフト23と嵌合する内輪32と、複数の転動体33とを含む。外輪31は、金属カラー40と嵌め合わされた外周面31aと、外輪軌道溝31bが形成された内周面31cとを含む。内輪32は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aに、隙間嵌めにより一体回転可能に嵌め合わされる内周面32aと、内輪軌道溝32bが形成された外周面32cとを含む。複数の転動体33は、外輪軌道溝31bと内輪軌道溝32bとの間に介在する。
金属カラー40は、ウォームシャフト収容ハウジング22a内の保持部22cに、隙間嵌めによって嵌め合わされて保持されている。金属カラー40は、外輪31に外嵌圧入されている。金属カラー40は、外周面41と、内周面42とを含む。金属カラー40の外周面41と保持部22cとのはめあいは、隙間嵌めである。金属カラー40の内周面42の一部と外輪31の外周面31aとのはめあいは、締り嵌めである。
金属カラー40の内周面42は、一対の軸方向端部領域42a,42bと、一対の軸方向端部領域42a,42bの間に配置される凹部としての内周溝43によって構成される軸方向中間領域42cとを含む。軸方向中間領域42c(内周溝43)が、ウォームシャフト23の径方向R(金属カラー40の径方向に相当)に関して外輪軌道溝31bの外側に配置されている。
軸方向中間領域42cを構成する凹部(内周溝43)と、外輪31の外周面31aとの間に、径方向Rの隙間Sが形成されている。軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとのはめあいが、隙間嵌めとされることで、隙間Sが形成されてもよい。
金属カラー40の内周面42の各軸方向端部領域42a,42bと外輪31の外周面31aとのはめあいは、締り嵌めである。これにより、金属カラー40と外輪31との軸方向Xの相対移動が規制され、且つ金属カラー40と外輪31との相対回転が規制されている。
図4は、回転支持機構1の概略分解断面図である。図4に示すように、外輪31に圧入される前の状態で金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの内径d2が、各軸方向端部領域42a,42bの内径d1よりも大きい(d2>d1)。また、金属カラー40と外輪31とが結合されていないときに、金属カラー40の内周面42の各軸方向端部領域42a,42bの内径d1は、外輪31の外径Dよりも小さくされている(d1<D)。このため、図3に示すように、金属カラー40と外輪31とが結合された状態で、各軸方向端部領域42a,42bと外輪31の外周面31aとのはめあいが、締り嵌めとなる。これにより、第1軸受30の内部隙間が減少されている。
また、図4に示すように、金属カラー40と外輪31とが結合されていないときに、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42c(内周溝43)の内径d2は、外輪31の外径Dよりも大きくされている(d2>D)。このため、図3に示すように、金属カラー40と外輪31とが結合された状態で、金属カラー40の内周溝43(凹部)の底と外輪31の外周面31aとの間に、全周に延びる環状の隙間Sが形成されている。
図4に示すように、軸方向Xに関して、軸方向中間領域42c(内周溝43)の幅W1が、外輪軌道溝31bの幅W2と等しくされている(W1=W2)。
図3に示すように、金属カラー40は、ウォームシャフト収容ハウジング22aに設けられた位置決め段部22dと、ウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに設けられた内周溝に保持された止め輪からなる止定部材50との間で軸方向Xに挟持されている。これにより、金属カラー40及び外輪31の軸方向移動が規制されている。
図2に示すように、ウォームシャフト23の反モータ側端部23bには、第2軸受25が取り付けられている。ウォームシャフト23の反モータ側端部23bは、第2軸受25を介してウォームシャフト収容ハウジング22aに回転可能に支持されている。動力伝達継手21の中間要素21cが弾性変形することによって、回転支持機構1の第1軸受30の軸受中心を中心として、モータシャフト20bに対するウォームシャフト23の揺動が許容される。
図3に示すように、第1軸受30は、軸方向Xに関して、ウォームシャフト23に設けられた一対の対向部54,55の間に配置されている。一方の対向部54は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aの外周面23fの環状溝に固定された止め輪56に形成されている。一方の対向部54は、止め輪56の一側面に形成されており、円環状をなしている。他方の対向部55は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aと歯部23cとの間の環状の段部に形成されており、円環状をなしている。
軸方向Xに関する対向部54,55の間であって、第1軸受30の両側に、一対の弾性部材ユニット27,28が配置されている。具体的には、第1軸受30の内輪32と一方の対向部54との間に一方の弾性部材ユニット27が配置されている。また、第1軸受30の内輪32と他方の対向部55との間に他方の弾性部材ユニット28が配置されている。
各弾性部材ユニット27,28は、ウォームシャフト収容ハウジング22aに対してウォームシャフト23を軸方向Xに弾性的に変位可能にするために設けられている。また、各弾性部材ユニット27,28は、軸方向Xに沿う振動力がウォームシャフト23に入力されたときに、ウォームシャフト23の振動を減衰・吸収する機能を果たす。
一方の弾性部材ユニット27は、軸方向Xに並ぶ一対の側板59,60と、一対の側板59,60の間に配置された弾性部材57とを含んでいる。一対の側板59,60は、金属板を用いて形成されている。一方の側板59は、環状に形成されており、一方の対向部54に受けられている。一方の側板59からは、他方の側板60に向けて延びるストッパ部61が設けられている。他方の側板60は、円環状に形成されている。他方の側板60は、第1軸受30の内輪32の一端面32dに当接して受けられている。
一方の弾性部材ユニット27の弾性部材57は、ゴム等の弾性部材を用いて環状に形成されている。弾性部材57は、両側板59,60に、例えば加硫接着により接合されている。弾性部材57は、一方の対向部54と、第1軸受30との間に配置されている。弾性部材57の圧縮量が大きくなると、ストッパ部61が他方の側板60に当接するようになっている。これにより、弾性部材57が過度に圧縮されることを抑制できる。
他方の弾性部材ユニット28は、軸方向Xに並ぶ一対の側板62,63と、一対の側板62,63の間に配置された弾性部材58とを含んでいる。一対の側板62,63は、金属板を用いて形成されている。一方の側板62は、環状に形成されており、他方の対向部55に受けられている。一方の側板62からは、他方の側板63に向けて延びるストッパ部64が設けられている。他方の側板63は、円環状に形成されている。他方の側板63は、第1軸受30の内輪32の他側面32eに当接して受けられている。
他方の弾性部材ユニット28の弾性部材58は、一方の弾性部材ユニット27の弾性部材57と同じ材料を用いて環状に形成されている。弾性部材58は、両側板62,63に、例えば加硫接着により接合されている。弾性部材58は、他方の対向部55と、第1軸受30との間に配置されている。弾性部材58の圧縮量が大きくなると、ストッパ部64が他方の側板63に当接するようになっている。これにより、弾性部材58が過度に圧縮されることを抑制できる。
電動パワーステアリング装置3の初期状態のとき、各弾性部材57,58は、弾性的に圧縮されている。ウォームシャフト23がウォームシャフト収容ハウジング22aに対して軸方向Xに振動したとき、この振動は、各弾性部材57,58の弾性変形によって減衰・吸収される。
図2に示すように、第2軸受25は、たとえば、玉軸受により構成されている。第2軸受25は、外輪51と、内輪52と、複数の転動体53を含む。第2軸受25の内輪52は、ウォームシャフト23の反モータ側端部23bの外周に設けられた嵌合凹部23dに嵌合されている。そのため、内輪52は、ウォームシャフト23と一体回転可能である。内輪52は、ウォームシャフト23の反モータ側端部23bの外周に設けられた位置決め段部23eに軸方向Xから当接している。これにより、ウォームシャフト23に対する内輪52の軸方向移動が規制されている。
ウォームシャフト収容ハウジング22aには、ウォームシャフト23の反モータ側端部23b、第2軸受25及び付勢部材26を収容する内部空間を区画する収容部65が形成されている。付勢部材26は、第2軸受25を介してウォームシャフト23の反モータ側端部23bをウォームホイール24側に向けて弾性的に付勢している。付勢部材26の付勢方向は、ウォームシャフト23の中心軸C1とウォームホイール24の中心軸C2との距離である芯間距離Lが減少する方向である。
図5は図2のV−V断面図である。図5に示すように、付勢部材26は、主体部70と、一対の回転規制部71と、一対の弾性舌片72と、少なくとも1つの複数の弾性突起73(図2を参照)とを含む湾曲板ばねからなり、例えば板金により形成される薄板状の部材である。
図5に示すように、主体部70は、第2軸受25の外輪51の外周を包囲する有端の円環状をなす。一対の回転規制部71は、主体部70の周方向の一対の端部70aからそれぞれ折り曲げ状に延設されている。
一対の弾性舌片72は、一対の回転規制部71の先端部からそれぞれ片持ち状に延びている。各弾性舌片72は、ウォームシャフト収容ハウジング22aの収容部65の内周面の一部に形成された受け凹部74の底によって受けられている。各弾性舌片72の付勢力が、第2軸受25を介してウォームシャフト23の反モータ側端部23bをウォームホイール24側に付勢している。一対の回転規制部71は、受け凹部74の一対の内壁74aに当接することにより、主体部70が第2軸受25の周方向に回転するのを規制する。
図2に示すように、弾性突起73は、主体部70一端縁から主体部70の径方向の内側に向けて片持ち状に延びて、ウォームシャフト収容ハウジング22aの端壁22eによって受けられている。弾性突起73は、第2軸受25を第1軸受30側に弾性的に付勢している。
本実施形態に係る回転支持機構1では、図4に示すように、外輪31に圧入される前の状態で金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの内径d2が、各軸方向端部領域42a,42bの内径d1よりも大きい(d2>d1)。図3に示すように、金属カラー40が外輪31に組み付けられた状態で、金属カラー40の内周面42において、ウォームシャフト23の径方向Rに関して、第1軸受30の外輪31の外輪軌道溝31bの外側に配置される軸方向中間領域42cが、外輪31の外周面31aとの間に隙間Sを形成する。このため、外輪31において、径方向Rに関して外周面31aと外輪軌道溝31bとの間に配置されて相対的に薄肉となる部分K1が、過度に縮径変形されることが抑制される。このため、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルク(第1軸受30にトルクが作用して外輪31と内輪32とが相対回転し始めるときの作用トルクに相当)が過大となることが抑制される。
また、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cには、外輪31の外周面31aとの間に隙間Sを形成する凹部(内周溝43)が設けられている。したがって、金属カラー40や外輪31の寸法精度のばらつきに拘らず、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとが非接触とされ、外輪31において相対的に薄肉となる部分K1の過度な縮径変形が抑制される。このため、金属カラー40や外輪31の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルクが過大となることを抑制される。
また、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとの間に、凹部(内周溝43)による隙間Sが形成されるため、各軸方向端部領域42a,42bにおける締め代が多少ばらついても、第1軸受30の内部隙間が、ばらつき難くなる。このため、内部隙間の過度な減少を抑制し易いという利点もある。
また、前記凹部が、金属カラー40の内周面42の全周に延びる内周溝43で構成される。このため、金属カラー40の内周面42の全周にわたる軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとが非接触とされる。したがって、金属カラー40の寸法精度のばらつきや金属カラー40が圧入嵌合される外輪31の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の起動トルクが過大となることが一層抑制される。
また、回転支持機構1を含むウォーム減速機2では、下記の効果を奏する。すなわち、ウォームシャフト23の対向部54,55と第1軸受30との間に、ウォームシャフト23の軸方向Xの変位を許容する弾性部材57,58が介在されて、第1軸受30に対して軸方向Xから予圧を付与することができない場合において、金属カラー40が外輪31に外嵌圧入されることにより、第1軸受30に対して径方向Rから予圧が付与されて、第1軸受30の内部隙間が減少される。その第1軸受30における内部隙間の過度な減少が抑制されるので、第1軸受30の起動トルクが過大となることが抑制される。
第1軸受30はその起動トルクを超えるトルクが電動モータ20側から作用した場合に、回転を始める。仮に、第1軸受30の内部隙間が過度に減少されて軸受の起動トルクが過大である場合には、第1軸受30に作用するトルクの発生から第1軸受30が起動するまでに時間遅れが生ずる。これに対して、本実施形態では、第1軸受30の起動トルクが過大になることが抑制されるため、前記時間遅れが抑制されて、ウォームシャフト23の回転がスムーズに開始されるウォーム減速機2が実現される。
また、回転支持機構1が適用されたウォーム減速機2を含む電動パワーステアリング装置3では、下記の効果を奏する。すなわち、運転者のステアリングホイール6の操舵操作の開始直後で電動モータ20が駆動されていない状態で、前記操舵操作によってウォームホイール24が回転されるときに、ウォームシャフト23の軸方向Xの変位を許容するように弾性変形する弾性部材57,58が採用される。これにより、運転者の操舵負荷が低減され、運転者の操舵感の悪化が抑制される。
また、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制されて第1軸受30の起動トルクが過大となることが抑制されるので、電動モータ20の駆動トルクの発生からウォームシャフト23が回転を開始するまでの時間遅れが抑制される。このため、前記時間遅れに起因する運転者の操舵感の悪化(操舵の引っ掛かり感)を抑制することができる。
第1軸受30はその起動トルクを超えるトルクが作用した場合に、回転を始める。仮に、第1軸受30の内部隙間が過度に減少されて第1軸受30の起動トルクが過大である場合には、第1軸受30に作用するトルクの発生から第1軸受30が起動するまでに時間遅れが生ずる。前記時間遅れは、引っ掛かり感として操舵感に影響を与える。特に、ウォームシャフト23の軸方向Xの変位を許容する弾性部材57,58によってウォームシャフト23が軸方向Xに弾性支持される場合、電動モータ20からのトルクが、ウォームシャフト23および弾性部材57,58がねじれることで一旦、吸収された後、ウォームシャフト23および弾性部材57,58が吸収できないトルクが作用することにより、第1軸受30が回転し始める。このため、引っ掛かり感による操舵感の悪化が顕著になる傾向にある。これに対して、本実施形態では、前記内部隙間の過度な減少が抑制されて、第1軸受30の起動トルクが過大になることが抑制される。このため、前記時間遅れが抑制されて、前記時間遅れに起因する運転者の操舵感の悪化が抑制される。
(第1実施形態の変更例)
図6(a)〜(c)はそれぞれ第1実施形態の変更例を示している。
図6(a)の例では、軸方向Xに関して、金属カラー40の内周面42の内周溝43(軸方向中間領域42c)の幅W1が、外輪軌道溝31bの幅W2よりも小さくされている(W1<W2)。これにより、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの全体が、径方向Rに関して外輪軌道溝31bの外側に配置されている。
図6(b)の例では、軸方向Xに関して、金属カラー40の内周面42の内周溝43(軸方向中間領域42c)の幅W1が、外輪軌道溝31bの幅W2よりも大きくされている(W1>W2)。これにより、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの一部が、径方向Rに関して外輪軌道溝31bの外側に配置されている。
図3、並びに、図6(a)及び(b)に示すように、軸方向中間領域42cの少なくとも一部が、径方向Rに関して、外輪軌道溝31bの径方向の外側に配置されていればよい。軸方向Xに関して、軸方向中間領域42cの幅は、第1軸受30の起動トルクが過大とならないように、外輪軌道溝31bの幅に対して適宜調整される(W1=W2。W1<W2。W1>W2。)。
図6(c)の例では、軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとの間に径方向Rの隙間が形成されず、軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとが、ゼロ以上の締め代を有して嵌め合わされている。軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとの締め代が、各軸方向端部領域42a,42bと外輪31の外周面31aとの締め代よりも小さくされる。軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとのはめあいは、締り嵌めとされてもよいし、中間ばめとされてもよい。
図6(c)の例では、軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとの締め代が、軸方向端部領域42a,42bと外輪31の外周面31aとの締め代よりも小さくされることで、外輪31において、径方向Rに関して内周面31cの外輪軌道溝31bと外周面31aとの間に配置されて相対的に薄肉となる部分K1が、過度に縮径変形されることが抑制される。このため、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルク過大となることが抑制される。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の回転支持機構1Pとその周辺の構造の断面図である。図7を参照して、第2実施形態の回転支持機構1Pが、図3の第1実施形態の回転支持機構1と主に異なるのは下記である。
回転支持機構1Pは、第1軸受30と、金属カラー90とを含む。第1軸受30の外輪31は、ウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに内嵌保持されている。外輪31は、ウォームシャフト収容ハウジング22aの位置決め段部22dと止定部材50との間で軸方向Xに挟持されて、外輪31の軸方向Xの移動が規制されている。
金属カラー90は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aの外周面23fに、隙間嵌めにより保持されている。また、金属カラー90は、第1軸受30の内輪32に圧入されている。
金属カラー90は、内輪32が圧入された外周面91と、内周面92とを含む。金属カラー90の外周面91の一部と内輪32の内周面32aとのはめあいは、締り嵌めである。金属カラー90の外周面91は、一対の軸方向端部領域91a,91bと、一対の軸方向端部領域91a,91bの間に配置される凹部としての外周溝93によって構成される軸方向中間領域91cとを含む。軸方向中間領域91cの少なくとも一部が、ウォームシャフト23の径方向Rに関して、内輪軌道溝32bの内側に配置されている。
軸方向中間領域91cを構成する凹部(外周溝93)と、内輪32の内周面32aとの間に、径方向Rの隙間SPが形成されている。軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとのはめあいが、隙間嵌めとされることで、隙間SPが形成されてもよい。
金属カラー90の外周面91の各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとのはめあいは、締り嵌めである。これにより、金属カラー90と内輪32との軸方向Xの相対移動が規制され、且つ金属カラー90と内輪32との相対回転が規制されている。
図8は、回転支持機構1Pの概略分解断面図である。図8に示すように、取り付け前の金属カラー90の軸方向中間領域91cの外径e2が、軸方向端部領域91a,91bの外径e1よりも小さい(e2<e1)。また、金属カラー90と内輪32とが結合されていないときに、金属カラー90の外周面91の各軸方向端部領域91a,91bの外径e1が、内輪32の内径Eよりも大きくされている(e1>E)。このため、図7に示すように、金属カラー90と内輪32とが結合された状態で、各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとのはめあいが、締り嵌めとなる。これにより、第1軸受30の内部隙間が減少されている。
また、図8に示すように、金属カラー90と内輪32とが結合されていないときに、金属カラー90の外周面91の軸方向中間領域91c(外周溝93)の外径e2が、内輪32の内径Eよりも小さくされている(e2<E)。このため、図7に示すように、金属カラー90と内輪32とが結合された状態で、金属カラー90の外周溝93(凹部)の底と内輪32の内周面32aとの間に、全周に延びる環状の隙間SPが形成されている。
第1軸受30及び金属カラー90は、互いに組み合わされることでサブアセンブリ(回転支持機構1P)を構成している。回転支持機構1Pを含むウォーム減速機2Pないし電動パワーステアリング装置3Pの組み立て時には、前記サブアセンブリの状態で、金属カラー90がウォームシャフト23に嵌め合わされ、また、第1軸受30の外輪31がウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに嵌め合わされる。
本実施形態に係る回転支持機構1Pでは、図8に示すように、取り付け前の金属カラー90の軸方向中間領域91cの外径e2が、軸方向端部領域91a,91bの外径e1よりも小さい(e2<e1)。また、図7に示すように、金属カラー90が内輪32に組み付けられた状態で、金属カラー90の外周面91において、ウォームシャフト23の径方向Rに関して、第1軸受30の内輪32の内輪軌道溝32bの内側に配置される軸方向中間領域91cが、内輪32の内周面32aとの間に隙間SPを形成する。このため、内輪32において、径方向Rに関して、外周面32cの内輪軌道溝32bと内周面32aとの間に配置されて相対的に薄肉となる部分K2が、過度に拡径変形されることが抑制される。このため、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルクが過大となることが抑制される。
また、金属カラー90の外周面91の軸方向中間領域91cが、内輪32の内周面32aとの間に隙間SPを形成する凹部(外周溝93)で構成されている。したがって、金属カラー90や内輪32の寸法精度のばらつきに拘らず、金属カラー90の外周面91の軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとが非接触とされ、内輪32において前記相対的に薄肉となる部分K2の過度な拡径変形が抑制される。このため、金属カラー90や内輪32の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルクが過大となることを抑制される。
また、金属カラー90の外周面91の軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの間に、凹部(外周溝93)による隙間SPが形成されるため、各軸方向端部領域91a,91bにおける締め代が多少ばらついても、第1軸受30の内部隙間が、ばらつき難くなる。このため、内部隙間の過度な減少を抑制し易いという利点もある。
また、前記凹部が、金属カラー90の外周面91の全周に延びる外周溝93で構成される。このため、金属カラー90の外周面91の全周にわたる軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとが非接触とされる。したがって、金属カラー90の寸法精度のばらつきや金属カラー90が圧入嵌合される内輪32の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の起動トルクが過大となることを一層抑制される。
また、回転支持機構1Pを含むウォーム減速機2Pおよび電動パワーステアリング装置3Pでは、下記の効果を奏する。すなわち、ウォームシャフト23の対向部54,55と第1軸受30との間に、ウォームシャフト23の軸方向Xの変位を許容する弾性部材57,58が介在されて、第1軸受30に対して軸方向Xから予圧を付与することができない場合において、金属カラー90が第1軸受30の内輪32に内嵌圧入されることにより、第1軸受30に対して径方向Rから予圧が付与されて、第1軸受30の内部隙間が減少される。
その第1軸受30における内部隙間の過度な減少が抑制されるので、第1軸受30の起動トルクが過大となることが抑制される。このため、第1軸受30に作用するトルクの発生から第1軸受30が起動するまでの時間遅れが抑制されて、ウォームシャフト23の回転がスムーズに開始される。これにより、前記時間遅れに起因する運転者の操舵感の悪化(引っ掛かり感)を抑制することができる電動パワーステアリング装置3Pが実現される。
なお、軸方向中間領域91cの少なくとも一部が、径方向Rに関して、内輪軌道溝32bの径方向の内側に配置されていればよい。軸方向Xに関して、軸方向中間領域91cの幅W3(図8を参照)は、第1軸受30の起動トルクが過大とならないように、内輪軌道溝32bの幅W4に対して適宜、調整される。すなわち、W3<W4とされてもよいし、W3=W4とされてもよいし、W3>W4とされてもよい。
(第2実施形態の変更例)
図9は第2実施形態の変更例を示している。図9に示すように、軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの間に径方向Rの隙間が形成されず、軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとが、ゼロ以上の締め代を有して嵌め合わされてもよい。軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの締め代が、各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとの締め代よりも小さくされる。軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとのはめあいは、締り嵌めとされてもよいし、中間ばめとされてもよい。
軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの締め代が、各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとの締め代よりも小さくされることで、内輪32において、径方向Rに関して外周面32cの内輪軌道溝32bと内周面32aとの間に配置されて相対的に薄肉となる部分K2が、過度に拡径変形されることが抑制される。このため、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルク過大となることが抑制される。
本発明は各実施形態に限定されるものではなく、例えば、図3の第1実施形態や図7の第2実施形態の変更例として、回転支持機構1;1Pが、ウォームシャフト収容ハウジング22aに形成された対向部と第1軸受30の外輪31との間に介在する一対の弾性部材ユニット27,28によって軸方向Xに移動可能に弾性支持される例(図示せず)を挙げることができる。
また、各金属カラー40;90に形成される凹部は、各金属カラー40;90の全周に延びる溝(内周溝43;外周溝93)ではなく、各金属カラー40;90の周方向に断続的に設けられた溝であってもよい。
また、金属カラー40が外輪31に外嵌圧入される場合に、外輪31の外周面31aの軸方向中間領域に、凹部が形成されていてもよい。また、金属カラー90が内輪32に内嵌圧入される場合に、内輪32の内周面32aの軸方向中間領域に、凹部が形成されていてもよい。
また、各弾性部材ユニット27,28が、対応する弾性部材57,58のみで構成されてもよい。この場合、弾性部材57,58は、第1軸受30の内輪32及び対応する一対の対向部54,55に接着剤等によって接着される。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1;1P…回転支持機構、2;2P…ウォーム減速機、3;3P…電動パワーステアリング装置、9…ステアリングシャフト、20…電動モータ、22a…ウォームシャフト収容ハウジング、22c…保持部、23…ウォームシャフト、23a…モータ側端部(一端部)、24…ウォームホイール、30…第1軸受、31…外輪、31a…外周面、31b…外輪軌道溝、31c…内周面、32…内輪、32a…内周面、32b…内輪軌道溝、32c…外周面、33…転動体、40…金属カラー、41…外周面、42…内周面、42a,42b…軸方向端部領域、42c…軸方向中間領域、43…内周溝(凹部)、54,55…対向部、57,58…弾性部材、90…金属カラー、91…外周面、91a,91b…軸方向端部領域、91c…軸方向中間領域、92…内周面、93…外周溝(凹部)、R…径方向、S;SP…隙間、X…軸方向

Claims (7)

  1. シャフトを回転可能に支持する回転支持機構であって、
    前記シャフトが収容され、保持部が形成されたハウジングと、
    前記ハウジングの前記保持部に、隙間嵌めによって保持された円筒状の金属カラーと、 前記金属カラーの内周面に圧入された外輪と、前記シャフトと嵌合する内輪と、前記外輪の内周面に形成された外輪軌道溝と前記内輪の外周面に形成された内輪軌道溝との間に介在する複数の転動体と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、を備え、 前記金属カラーの内周面が、一対の軸方向端部領域と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向に関して前記外輪軌道溝の外側に配置され、
    前記外輪に圧入される前の状態で前記金属カラーの前記軸方向中間領域の内径は、前記軸方向端部領域の内径よりも大きい、回転支持機構。
  2. 請求項1記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記外輪の前記外周面との間に隙間を形成する凹部が設けられている、回転支持機構。
  3. シャフトを回転可能に支持する回転支持機構であって、
    前記シャフトが収容され、保持部が形成されたハウジングと、
    前記シャフトの外周面に、隙間嵌めにより保持された円筒状の金属カラーと、
    前記ハウジングの前記保持部に保持された外輪と、前記金属カラーの外周面に圧入された内輪と、前記外輪の内周面に形成された外輪軌道溝と前記内輪の外周面に形成された内輪軌道溝との間に介在する複数の転動体と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、を備え、
    前記金属カラーの外周面が、一対の軸方向端部領域と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向に関して前記内輪軌道溝の内側に配置され、
    取り付け前の前記金属カラーの前記軸方向中間領域の外径は、前記軸方向端部領域の外径よりも小さい、回転支持機構。
  4. 請求項3記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記内輪の前記内周面との間に隙間を形成する凹部が設けられている、回転支持機構。
  5. 請求項2又は4に記載の回転支持機構において、前記凹部が、前記金属カラーの周方向に延びる溝である、回転支持機構。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の回転支持機構を含むウォーム減速機であって、
    一端部が前記軸受によって回転可能に支持され、電動モータと連結される前記シャフトとしてのウォームシャフトと、
    前記ウォームシャフトと噛み合い前記ハウジングに収容されるウォームホイールと、
    前記ハウジング又は前記ウォームシャフトに形成され、前記軸受に対して前記ウォームシャフトの前記軸方向に対向する対向部と、
    前記軸受と前記対向部との間に介在し、前記軸方向に弾性変形することにより、前記ハウジングに対して前記ウォームシャフトが前記軸方向に変位することを許容する弾性部材と、を備えるウォーム減速機。
  7. 請求項6に記載のウォーム減速機を介して前記電動モータの動力をステアリングシャフトに伝達する電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006220254A (ja) * 2005-02-14 2006-08-24 Nsk Ltd 転がり軸受及びこれを備えた歯車装置
JP2012101649A (ja) * 2010-11-09 2012-05-31 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置

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