JP2019031224A - 回転支持機構、ウォーム減速機及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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このため、軸受にトルクが作用して外輪と内輪とが相対回転し始めるときの作用トルクである、軸受の起動トルクが過大になる。
請求項2記載の発明のように、請求項1記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記外輪の前記外周面との間に隙間(S)を形成する凹部(43)が設けられていてもよい。
請求項5記載の発明のように、請求項2又は4に記載の回転支持機構において、前記凹部が、前記金属カラーの周方向に延びる溝(43;93)であってもよい。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る回転支持機構1が適用されたウォーム減速機2を含む電動パワーステアリング装置3の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置3は、操舵機構4及び転舵機構5を備えている。電動パワーステアリング装置3は、運転者によるステアリングホイール(操舵部材)6の操作に基づいて転舵輪7を転舵させる。操舵機構4は、運転者によるステアリングホイール6の操作を補助するアシスト機構8を備えている。
コラムシャフト10は、ステアリングホイール6に連結される入力シャフト10aと、インターミディエイトシャフト11に連結される出力シャフト10bと、入力シャフト10a及び出力シャフト10bを同軸上に連結するトーションバー10cとを含む。出力シャフト10bは、自在継手13を介して、インターミディエイトシャフト11に連結されている。インターミディエイトシャフト11は、自在継手14を介して、ピニオンシャフト12に連結されている。ピニオンシャフト12には、ピニオン12aが形成されている。
ウォームシャフト23のモータ側端部23aとモータシャフト20bのウォームシャフト側端部20cとが、動力伝達継手21を介して、トルク伝達可能に、かつ、揺動可能に連結されている。動力伝達継手21は、第1回転要素21a、第2回転要素21b及び中間要素21cを有する。第1回転要素21aは、ウォームシャフト23のモータ側端部23aに一体回転可能に連結されている。第2回転要素21bは、モータシャフト20bに一体回転可能に連結されている。中間要素21cは、第1回転要素21a及び第2回転要素21bの間に介在され、両回転要素21a,21b間にトルクを伝達する。中間要素21cは、ゴムなどの弾性体で形成されている。
ウォームシャフト23のモータ側端部23aは、回転支持機構1を介してウォームシャフト収容ハウジング22aに回転可能に支持されている。回転支持機構1の第1軸受30は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aに取り付けられている。金属カラー40は、第1軸受30に外嵌圧入されている。第1軸受30及び金属カラー40は、互いに組み合わされることでサブアセンブリ(回転支持機構1)を構成している。ウォーム減速機2ないし電動パワーステアリング装置3の組立時には、前記サブアセンブリの状態で、第1軸受30の内輪32がウォームシャフト23に嵌め合わされ、また、金属カラー40がウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに嵌め合わされる。
金属カラー40の内周面42の各軸方向端部領域42a,42bと外輪31の外周面31aとのはめあいは、締り嵌めである。これにより、金属カラー40と外輪31との軸方向Xの相対移動が規制され、且つ金属カラー40と外輪31との相対回転が規制されている。
図3に示すように、金属カラー40は、ウォームシャフト収容ハウジング22aに設けられた位置決め段部22dと、ウォームシャフト収容ハウジング22aの保持部22cに設けられた内周溝に保持された止め輪からなる止定部材50との間で軸方向Xに挟持されている。これにより、金属カラー40及び外輪31の軸方向移動が規制されている。
一方の弾性部材ユニット27は、軸方向Xに並ぶ一対の側板59,60と、一対の側板59,60の間に配置された弾性部材57とを含んでいる。一対の側板59,60は、金属板を用いて形成されている。一方の側板59は、環状に形成されており、一方の対向部54に受けられている。一方の側板59からは、他方の側板60に向けて延びるストッパ部61が設けられている。他方の側板60は、円環状に形成されている。他方の側板60は、第1軸受30の内輪32の一端面32dに当接して受けられている。
図2に示すように、第2軸受25は、たとえば、玉軸受により構成されている。第2軸受25は、外輪51と、内輪52と、複数の転動体53を含む。第2軸受25の内輪52は、ウォームシャフト23の反モータ側端部23bの外周に設けられた嵌合凹部23dに嵌合されている。そのため、内輪52は、ウォームシャフト23と一体回転可能である。内輪52は、ウォームシャフト23の反モータ側端部23bの外周に設けられた位置決め段部23eに軸方向Xから当接している。これにより、ウォームシャフト23に対する内輪52の軸方向移動が規制されている。
図5に示すように、主体部70は、第2軸受25の外輪51の外周を包囲する有端の円環状をなす。一対の回転規制部71は、主体部70の周方向の一対の端部70aからそれぞれ折り曲げ状に延設されている。
本実施形態に係る回転支持機構1では、図4に示すように、外輪31に圧入される前の状態で金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの内径d2が、各軸方向端部領域42a,42bの内径d1よりも大きい(d2>d1)。図3に示すように、金属カラー40が外輪31に組み付けられた状態で、金属カラー40の内周面42において、ウォームシャフト23の径方向Rに関して、第1軸受30の外輪31の外輪軌道溝31bの外側に配置される軸方向中間領域42cが、外輪31の外周面31aとの間に隙間Sを形成する。このため、外輪31において、径方向Rに関して外周面31aと外輪軌道溝31bとの間に配置されて相対的に薄肉となる部分K1が、過度に縮径変形されることが抑制される。このため、第1軸受30の内部隙間の過度な減少が抑制され、第1軸受30の起動トルク(第1軸受30にトルクが作用して外輪31と内輪32とが相対回転し始めるときの作用トルクに相当)が過大となることが抑制される。
また、前記凹部が、金属カラー40の内周面42の全周に延びる内周溝43で構成される。このため、金属カラー40の内周面42の全周にわたる軸方向中間領域42cと外輪31の外周面31aとが非接触とされる。したがって、金属カラー40の寸法精度のばらつきや金属カラー40が圧入嵌合される外輪31の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の起動トルクが過大となることが一層抑制される。
第1軸受30はその起動トルクを超えるトルクが作用した場合に、回転を始める。仮に、第1軸受30の内部隙間が過度に減少されて第1軸受30の起動トルクが過大である場合には、第1軸受30に作用するトルクの発生から第1軸受30が起動するまでに時間遅れが生ずる。前記時間遅れは、引っ掛かり感として操舵感に影響を与える。特に、ウォームシャフト23の軸方向Xの変位を許容する弾性部材57,58によってウォームシャフト23が軸方向Xに弾性支持される場合、電動モータ20からのトルクが、ウォームシャフト23および弾性部材57,58がねじれることで一旦、吸収された後、ウォームシャフト23および弾性部材57,58が吸収できないトルクが作用することにより、第1軸受30が回転し始める。このため、引っ掛かり感による操舵感の悪化が顕著になる傾向にある。これに対して、本実施形態では、前記内部隙間の過度な減少が抑制されて、第1軸受30の起動トルクが過大になることが抑制される。このため、前記時間遅れが抑制されて、前記時間遅れに起因する運転者の操舵感の悪化が抑制される。
(第1実施形態の変更例)
図6(a)〜(c)はそれぞれ第1実施形態の変更例を示している。
図6(b)の例では、軸方向Xに関して、金属カラー40の内周面42の内周溝43(軸方向中間領域42c)の幅W1が、外輪軌道溝31bの幅W2よりも大きくされている(W1>W2)。これにより、金属カラー40の内周面42の軸方向中間領域42cの一部が、径方向Rに関して外輪軌道溝31bの外側に配置されている。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態の回転支持機構1Pとその周辺の構造の断面図である。図7を参照して、第2実施形態の回転支持機構1Pが、図3の第1実施形態の回転支持機構1と主に異なるのは下記である。
金属カラー90は、ウォームシャフト23のモータ側端部23aの外周面23fに、隙間嵌めにより保持されている。また、金属カラー90は、第1軸受30の内輪32に圧入されている。
金属カラー90の外周面91の各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとのはめあいは、締り嵌めである。これにより、金属カラー90と内輪32との軸方向Xの相対移動が規制され、且つ金属カラー90と内輪32との相対回転が規制されている。
また、前記凹部が、金属カラー90の外周面91の全周に延びる外周溝93で構成される。このため、金属カラー90の外周面91の全周にわたる軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとが非接触とされる。したがって、金属カラー90の寸法精度のばらつきや金属カラー90が圧入嵌合される内輪32の寸法精度のばらつきに拘らず、第1軸受30の起動トルクが過大となることを一層抑制される。
(第2実施形態の変更例)
図9は第2実施形態の変更例を示している。図9に示すように、軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの間に径方向Rの隙間が形成されず、軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとが、ゼロ以上の締め代を有して嵌め合わされてもよい。軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとの締め代が、各軸方向端部領域91a,91bと内輪32の内周面32aとの締め代よりも小さくされる。軸方向中間領域91cと内輪32の内周面32aとのはめあいは、締り嵌めとされてもよいし、中間ばめとされてもよい。
また、金属カラー40が外輪31に外嵌圧入される場合に、外輪31の外周面31aの軸方向中間領域に、凹部が形成されていてもよい。また、金属カラー90が内輪32に内嵌圧入される場合に、内輪32の内周面32aの軸方向中間領域に、凹部が形成されていてもよい。
Claims (7)
- シャフトを回転可能に支持する回転支持機構であって、
前記シャフトが収容され、保持部が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの前記保持部に、隙間嵌めによって保持された円筒状の金属カラーと、 前記金属カラーの内周面に圧入された外輪と、前記シャフトと嵌合する内輪と、前記外輪の内周面に形成された外輪軌道溝と前記内輪の外周面に形成された内輪軌道溝との間に介在する複数の転動体と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、を備え、 前記金属カラーの内周面が、一対の軸方向端部領域と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向に関して前記外輪軌道溝の外側に配置され、
前記外輪に圧入される前の状態で前記金属カラーの前記軸方向中間領域の内径は、前記軸方向端部領域の内径よりも大きい、回転支持機構。 - 請求項1記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記外輪の前記外周面との間に隙間を形成する凹部が設けられている、回転支持機構。
- シャフトを回転可能に支持する回転支持機構であって、
前記シャフトが収容され、保持部が形成されたハウジングと、
前記シャフトの外周面に、隙間嵌めにより保持された円筒状の金属カラーと、
前記ハウジングの前記保持部に保持された外輪と、前記金属カラーの外周面に圧入された内輪と、前記外輪の内周面に形成された外輪軌道溝と前記内輪の外周面に形成された内輪軌道溝との間に介在する複数の転動体と、を含み、前記シャフトを回転可能に支持する軸受と、を備え、
前記金属カラーの外周面が、一対の軸方向端部領域と前記一対の軸方向端部領域の間に配置される軸方向中間領域とを含み、前記軸方向中間領域の少なくとも一部が、前記シャフトの径方向に関して前記内輪軌道溝の内側に配置され、
取り付け前の前記金属カラーの前記軸方向中間領域の外径は、前記軸方向端部領域の外径よりも小さい、回転支持機構。 - 請求項3記載の回転支持機構において、前記金属カラーの前記軸方向中間領域に、前記内輪の前記内周面との間に隙間を形成する凹部が設けられている、回転支持機構。
- 請求項2又は4に記載の回転支持機構において、前記凹部が、前記金属カラーの周方向に延びる溝である、回転支持機構。
- 請求項1から5の何れか一項に記載の回転支持機構を含むウォーム減速機であって、
一端部が前記軸受によって回転可能に支持され、電動モータと連結される前記シャフトとしてのウォームシャフトと、
前記ウォームシャフトと噛み合い前記ハウジングに収容されるウォームホイールと、
前記ハウジング又は前記ウォームシャフトに形成され、前記軸受に対して前記ウォームシャフトの前記軸方向に対向する対向部と、
前記軸受と前記対向部との間に介在し、前記軸方向に弾性変形することにより、前記ハウジングに対して前記ウォームシャフトが前記軸方向に変位することを許容する弾性部材と、を備えるウォーム減速機。 - 請求項6に記載のウォーム減速機を介して前記電動モータの動力をステアリングシャフトに伝達する電動パワーステアリング装置。
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JP2006220254A (ja) * | 2005-02-14 | 2006-08-24 | Nsk Ltd | 転がり軸受及びこれを備えた歯車装置 |
JP2012101649A (ja) * | 2010-11-09 | 2012-05-31 | Jtekt Corp | 電動パワーステアリング装置 |
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- 2017-08-09 JP JP2017154035A patent/JP2019031224A/ja active Pending
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