JP4487970B2 - 電動パワーステアリング装置および電動パワーステアリング装置用モータ - Google Patents
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Description
また、ウオーム減速機構の減速比を増加させる場合も、ウオーム減速機構が大型化する問題があった。ウオーム減速機構の減速比を増加させる場合には、転追性を確保するために、ウオームホイール側(ステアリング側)へ伝達される回転数が所定の回転数となるように、ウオーム側(モータ側)の回転数は高回転とする必要があり、このために騒音が増加するほか、ウオーム減速機構の発熱が大きくなって減速部の強度低下や減速効率の低下を引き起こし、その対応のために結果としてウオーム減速機構やモータが更に大型化するなどの問題があった。
排気量の大きい車両においては、特に装置の静音化も必要となってくる。
更に、ウオーム減速機構の減速比を増加させることに伴って、ウオームホイール側(ステアリング側)からウオーム側(モータ側)を回転させることができない所謂セルフロックが発生しやすくなる。このようにウオーム減速機構は、減速比を増加させていくと所謂ロストルクの増加が大きくなり、このために車両等のタイヤの向きを進行方向と一致させるようにタイヤの向きを変えようとする所謂セルフアライニングトルクの作用が低下して、電動パワーステアリング装置として重要なハンドル戻りやセンター感などの性能が悪化するという問題があった。
更にまた、減速比を増加させることに伴って、ステアリング側からみたモータ側の慣性モーメントやロストルクが大きくなるため、操舵フィーリングやハンドル戻り等の性能が悪化するといった問題もあった。
実施の形態1を図1〜図8に基づいて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一符号を付して説明する。図1は、電動パワーステアリング装置の要部断面図、図2は、電動パワーステアリング装置の全体説明図である。図3は、図1に示す電動パワーステアリング装置用モータの正面図であって、図4は、図3をギヤハウジング側から見た側面図、図5は図1の歯車減速機構の要部断面図である。図6は、シャフトに一体形成されたメインギヤであって、図6(a)は左側面図、図6(b)は断面図、図6(c)は右側面図である。図7はサブギヤであって、図7(a)は左側面図、図7(b)は断面図、図7(c)は右側面図である。図8は、シザーズギヤの組立体の説明図であって、図8(a)は側面図、図7(b)は要部断面図である。
ウオーム減速機構6を変更せずに、歯車減速機構4の減速比を変更することで、ウオーム減速機構6の共用化が図れ、装置としての減速比の変更も比較的容易に行うことができる。
なお、歯車減速機構4の減速比を、ウオーム減速機構6の減速比よりも大きくして構成することは、装置が全体として大型化するなどウオーム減速機構6の特長を生かせないものとなってしまう。
なお、ウオームホイール7側(ステアリング側)の回転数やトルクを変更しない場合においても、この実施の形態のように構成して減速比を増加させることによって、ブラシレスモータ2は、高回転で低トルクの小型のモータとすることができて、装置を小型化することができる。
これに対して、例えば遊星減速機構だけで減速比を増加させたときには同軸に構成できるが、逆に装置のレイアウトの自由度が低下するほか、装置が大型化したり、特にギヤ音が大きくなってしまうなどの問題がある。また、遊星減速機構の減速比を変更するときは、比較的大掛かりな構造変更が必要となってしまう。
また、外歯歯車などで構成される平行軸歯車減速だけで減速比を増加させる場合や、かさ歯車などで構成した交差軸歯車減速だけで減速比を増加させた場合も、装置が大型化したり、装置のレイアウトの自由度が低下したり、特にギヤ音が大きくなってしまうなどの問題がある。ラック15をラック15と同軸のボールネジ減速機構で駆動するラック同軸型では、ボールネジ減速機構だけで減速比をこのように増加させることは現実的に困難で、装置のレイアウトの自由度も乏しく、装置が大型・複雑で、装置の組付性も低下するなどの問題がある。
また、比較的減速比の低いウオーム減速機構6を直列に連結して構成する場合では、装置が大型化・複雑化する問題があるほか、ブラシレスモータ2側のウオーム軸8の回転数が高回転となることによる前述のような問題がある。
なお、歯車減速機構4であるので、ベルト等による減速機構と比べて小型に構成できて、滑りがなく、ベルト等の張力によるロストルクの増加もないなど電動パワーステアリング用に適した装置を得ることができるとともに、ブラシレスモータ2と歯車減速機構4との一体化も比較的容易で装着性も良い装置とすることができる。
また、バックラッシュを低減できるため操舵フィーリングも向上できる。
更に、ブラシレスモータ2であるため、ロストルクや回転子の慣性モーメントを低減できて、上記のように歯車減速機構4を介在させて減速比を増加させた場合においても、ハンドル戻りや操舵フィーリングの悪化が抑制されるという効果も合わせて得ることができる。
なお、歯車減速機構4を遊星歯車減速で構成しても良いが、遊星歯車減速は構造が複雑化し、歯車減速機構4の減速比が1.5〜2.5であるため太陽歯車が大型化するなど遊星歯車減速としては減速比が低めで小型化できるメリットが減少し、減速比の変更についても外歯歯車減速と比べて比較的大掛かりとなるため、外歯歯車減速を採用することが好ましい。また、遊星歯車減速では減速装置が同軸となるため装置のレイアウトの自由度も低下する。
また、メインギヤとサブギヤの周方向の角度のずれは、バックラッシュ以上の角度としたので、バックラッシュを確実に除去することができる。
更に、樹脂材のため軽量で、自己潤滑性があるために慣性モーメントやロストルクを低減できる効果がある。また、樹脂材で形成されシザーズギヤ17に噛合する相手側のギヤ16を金属製としたので、シザーズギヤ17の温度上昇を抑制することができる。
樹脂ギヤは金属製と比べて温度や吸湿等による寸法変化が大きくなるため、予めバックラッシュや中心間距離を大き目とすることがあるが、この場合においてもシザーズギヤ17であるのでバックラシュが低減されて騒音の増加を抑制することができる。
なお、コイルバネ20はサブギヤ19の軸方向寸法に対して軸方向に隙間を持って配設されており、サブギヤ19はコイルバネ20を介さずにシャフト11側に係止されるため、コイルバネ20の弾性力に変動を与えず、安定して騒音を低減させることができる。
なお、この実施の形態では、電動パワーステアリング装置用モータ1のギヤ16がウオームホイール7側になるようにしてギヤハウジング9へ取り付けたが、回転軸5とシャフト11がオフセットする外歯減速の特徴を生かして、ギヤ16が反ウオームホイール側なるように取り付けるなど、取り付け上の最適な位置を選んでオフセット方向を選択することが可能で、レイアウト性の向上を図ることができる。
カップリング12とウオーム軸8の間に、ゴム等の弾性体を介在させて連結することによって、更に騒音が低減された装置とすることができる。
Claims (10)
- ステアリング側に連結され、少なくとも歯部が樹脂材で形成されたウオームホイールと該ウオームホイールと噛合する歯部を有するウオーム軸を備えたウオーム減速機構と、前記ウオーム軸に連結され、前記ウオーム減速機構の減速比よりも減速比が小さく構成された歯車減速機構と、この歯車減速機構に連結される回転軸を有するブラシレスモータとを備え、前記歯車減速機構の減速比は1.7〜2.3、前記ウオーム減速機構の減速比は10〜20であって、前記歯車減速機構の減速比と前記ウオーム減速機構の減速比の積は、40以下で構成されており、前記ウオーム減速機構が収容されたギヤハウジングに装着される電動パワーステアリング装置用モータは、前記ブラシレスモータと、このブラシレスモータの通電制御を行う制御装置と、前記ブラシレスモータの回転力を減速する前記歯車減速機構とを有し、前記制御装置は、前記ブラシレスモータの径方向の側面に配置され前記ブラシレスモータと一体化して構成され、前記歯車減速機構の入力側は前記回転軸に連結され、出力側は前記回転軸とオフセットし、その一端部に固定されたカップリングを介して前記ウオーム軸に連結されるとともに、外歯歯車からなる前記歯車減速機構は、前記回転軸から前記制御装置側の方向に向かって配設され、前記ブラシレスモータの側に固定され前記ブラシレスモータと一体化されて構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- ステアリング側に連結され、少なくとも歯部が樹脂材で形成されたウオームホイールと該ウオームホイールと噛合する歯部を有するウオーム軸を備えたウオーム減速機構が収容されたギヤハウジングに装着される電動パワーステアリング装置用モータであって、カップリングを介して、その出力側が前記ウオーム軸に連結される歯車減速機構と、この歯車減速機構に連結され、前記出力側とオフセットして配設される回転軸を有するブラシレスモータと、このブラシレスモータの通電制御を行う制御装置とを備え、前記歯車減速機構と前記ブラシレスモータとが一体に構成され、前記制御装置を前記ブラシレスモータの径方向の側面に配置して前記ブラシレスモータと一体化して構成されているとともに、外歯歯車からなる前記歯車減速機構を前記ブラシレスモータの前記回転軸から前記制御装置側の方向に向かって配設し、前記歯車減速機構の減速比は、前記ウオーム減速機構の減速比よりも減速比が小さく構成され、前記歯車減速機構の減速比は1.7〜2.3、前記ウオーム減速機構の減速比は10〜20であって、前記歯車減速機構の減速比と前記ウオーム減速機構の減速比の積は、40以下で構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置用モータ。
- 歯車減速機構はシザーズギヤを備えているとともに、シザーズギヤは、外歯歯車からなるメインギヤ及びサブギヤを軸方向に並設して構成されており、メインギヤの内径側には軸方向に延出したボス部を有し、このボス部の外周面に前記サブギヤの内周面が遊嵌され、前記サブギヤの内径側には前記メインギヤと前記サブギヤの両者間に弾性力を付与する弾性体を配設して構成されていることを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- シザーズギヤのメインギヤとサブギヤは、両者ともに樹脂材で形成されたはすば歯車で構成されていることを特徴とする請求項3記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- メインギヤは、ボス部とともに樹脂成型によってシャフトに一体形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- メインギヤの内径側にはサブギヤ側に突出した突出部を有し、サブギヤの内径側には前記突出部を周方向に移動可能に収容する収容部を有しており、前記突出部と前記収容部との間に弾性体が配設されていることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- 弾性体はサブギヤの側面側から配設されるとともに、前記サブギヤの側面側には前記弾性体の脱落を防止するワッシャが配設されていることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- サブギヤに作用する軸方向荷重は、ワッシャを介してシャフト側で係止される構成であることを特徴とする請求項3〜請求項7のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- 収容部は、サブギヤの軸方向に貫通しているとともに周方向に複数個形成されており、周方向に隣接する前記収容部の間には前記サブギヤの歯幅よりも薄肉の板状部を備え、この板状部にワッシャが配設されていることを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
- 弾性体は、バネで構成されており、メインギヤとサブギヤの両者間の周方向に付与されるバネ荷重は200〜400gfであることを特徴とする請求項3〜請求項9のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用モータ。
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