JP5293136B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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本発明は、車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置などの車両用操舵装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。
この電動パワーステアリング装置には、操舵補助力を発生させる電動モータが1つ搭載されているのが一般的であるが、電動モータの長寿命化や操舵補助力の強化のため、複数が搭載されるものもある。
またこのように複数(典型的には2つ)の電動モータが搭載される従来の電動パワーステアリング装置には、或る電動モータの慣性補償を行うためにその他の電動モータを駆動するものがある。電動モータが1つ搭載される電動パワーステアリング装置では、或る電動モータの慣性補償は補償用電流を算出し当該補償用電流をモータに流すべき電流に加算することにより行われるのが一般的であるが、複数の電動モータが搭載される上記構成では、慣性補償が電気的に行われるのではなく、上記その他のモータにより機械的に行われることがある。
また電動モータが1つ搭載される電動パワーステアリング装置では、従来よりモータを制御するための電流に対して常にディザ電流を加えることにより、モータの静止摩擦によるトルクロスを解消する電動パワーステアリング装置がある(例えば特許文献1を参照)。
さらに電動モータが1つ搭載される従来の電動パワーステアリング装置であって、モータ駆動回路に与えられるデューティ比が所定値以下の場合にモータに対してディザ信号を与えることにより、不感帯による操舵の違和感を解消する電動パワーステアリング装置がある(例えば特許文献2を参照)。
特開平11−49013号公報 特開2003−11834号公報
以上のようなモータ制御にディザ信号を使用した電動パワーステアリング装置は、モータの静止摩擦による影響を解消または緩和することができる。しかし、機械的に連結された2つのモータを搭載した電動パワーステアリング装置では、一方のモータの慣性や摩擦などによる他方のモータの遅れや、操舵補助を行うモータが切り替わるときにモータやステアリング系の摩擦や慣性を含む様々な時定数や制御系が有する不感帯などによる電気的または機械的な遅れが生じる。このような遅れは、2つの電動モータに対して、上記特許文献1に記載の構成のように常にディザ信号を与えたり、上記特許文献2に記載の構成のようにデューティ比が所定値以下の場合にディザ信号を与えたりするだけでは解消されない。
それ故に、本発明は、上記のようなモータの摩擦や慣性などによる遅れを解消または緩和することができる複数のモータを備えた電動パワーステアリング装置などの車両用操舵装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、複数のモータを備えた車両用操舵装置であって、
車両のステアリング機構に与えられるべき左方向の操舵力または運転者により操作される操舵部材に与えられるべき右方向の操舵反力を発生させる第1のモータと、
前記機構に与えられるべき右方向の操舵力または前記操舵部材に与えられるべき左方向の操舵反力を発生させる第2のモータと、
前記操舵部材の切り返し操作を検出する切り返し検出手段と、
前記切り返し検出手段により前記切り返し操作が検出されない場合、前記第1および第2のモータのうちの一方のモータを対応する方向に操舵力または操舵反力を発生させるよう駆動するとともに、前記第1および第2のモータのうちの他方のモータに対して、操舵力または操舵反力を発生させない程度の駆動電流を流す駆動制御手段と
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記切り返し検出手段は、前記運転者による操舵方向を検出する方向検出手段を含み、
前記駆動制御手段は、
前記方向検出手段により左方向の操作が検出される場合、前記第1のモータを対応する方向に駆動するとともに、前記左方向の操作が前記切り返し検出手段により左方向への前記切り返し操作として検出される場合、前記第2のモータに対して、対応する方向と反対方向に回転させるための電流であって、前記第1のモータと機械的に連結されている前記第2のモータの回転方向が反転させられるときに生じる慣性を補償する電流を流し、
前記方向検出手段により右方向の操作が検出される場合、前記第2のモータを対応する方向に駆動するとともに、前記右方向の操作が前記切り返し検出手段により右方向への前記切り返し操作として検出される場合、前記第1のモータに対して前記慣性を補償する電流を流すことを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、
前記切り返し検出手段は、前記方向検出手段により検出される操舵方向が反転する場合に前記切り返し操作を検出する反転検出手段をさらに含むことを特徴とする。
上記第1の発明によれば、切り返し検出手段により切り返し操作が検出されない場合、一方のモータを対応する方向に操舵力を発生させるよう駆動するとともに、他方のモータに対して、操舵力を発生させない程度の駆動電流(例えばディザ電流)を流すので、この駆動電流により、一方のモータ(例えば左操舵用モータ)に対する上記他方のモータ(例えば右操舵用モータ)の摩擦等による遅れを小さくする(理想的には無くす)ことができる。
上記第2の発明によれば、方向検出手段により左方向の操作が検出される場合(例えばステップS16においてYesの場合)、第1のモータ(例えば操舵力を発生させる場合の左操舵用モータ)を対応する方向(例えば左方向)に駆動するとともに(例えばステップS18)、当該左方向の操作が切り返し検出手段により左方向への切り返し操作として検出される場合(例えばステップS20においてYesの場合)、第2のモータ(例えば操舵力を発生させる場合の右操舵用モータ)に対して、対応する方向(例えば右方向)と反対方向に回転させるための電流であって、第1のモータと機械的に連結されている第2のモータの回転方向が反転させられるときに生じる慣性を補償する電流を流し(例えばステップS22)、方向検出手段により右方向の操作が検出される場合(例えばステップS16においてNoの場合)、第2のモータを対応する方向に駆動するとともに(例えばステップS28)、当該右方向の操作が切り返し検出手段により右方向への切り返し操作として検出される場合(例えばステップS30においてYesの場合)、第1のモータに対して慣性を補償する電流を流す(例えばステップS32)。この慣性補償電流により、一方のモータに対する他方のモータ慣性による遅れを含む機械的・電気的遅れの影響を小さくする(理想的には無くす)ことができる。
上記第3の発明によれば、例えばトルクセンサや操舵角(操作角)センサなどの操舵方向を検出する方向検出手段により検出される操舵方向が反転する場合に反転検出手段により切り返し操作が検出されるので、切り返し操作を簡単かつ正確に検出することができる。
なお、トルクセンサが備えられる場合、駆動制御手段は、トルクセンサにより検出される操舵トルクの絶対値が所定の閾値以上の場合、他方のモータに対して電流を流さないように構成することもできる。そうすれば、トルクセンサにより検出される操舵トルクの絶対値が所定の閾値以上の場合、他方のモータに対して電流を流さないので、モータの長寿命化を図ることができ、ディザ電流などの上記駆動電流または慣性補償電流を生成する制御を省略することができる。なお、このように操舵トルクの絶対値が所定の閾値以上に大きい場合は、典型的には細かくハンドルを切ることがないコーナリング操作時などであるため、運転者は摩擦や慣性などの影響、例えば操舵補助力の不連続感を感じにくく、ディザ電流などの上記駆動電流や慣性補償電流を与えることにより遅れを小さくすることは必ずしも必要ないとも言える。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成と、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、トルクセンサ1、車速センサ2、車載バッテリ3、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)4、右操舵用モータ11、減速機12、および左操舵用モータ21を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端には操舵部材であるハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
なお、右操舵用モータ11および左操舵用モータ21とステアリングシャフト102との間には1つの減速機12が設けられる。この減速機12の構造や上記2つのモータとの接続構造およびステアリングシャフト102との接続構造は周知であるのでここでの説明は省略するが、ここでは右操舵用モータ11と左操舵用モータ21との機械的な連結を解除するクラッチ機構などは設けられないものとする。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ1は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出し、操舵トルクを示す操舵トルク信号Tsを出力する。なお、検出される操舵トルクの符号は右方向の場合に正であり、左方向の場合に負であるものとする。車速センサ2は、車両の速度(車速)を検出し、車速を示す車速信号Vsを出力する。
ECU4は、車載バッテリ3から電力の供給を受け、操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vsに基づき、右操舵用モータ11および左操舵用モータ21を駆動する。詳細は後述するが、ECU4によって駆動されることにより、典型的には右操舵用モータ11は右(回転)方向の操舵補助力を発生させ、左操舵用モータ21は左(回転)方向の操舵補助力を発生させる。
右操舵用モータ11および左操舵用モータ21で発生した操舵補助力は、減速機12を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと右操舵用モータ11および左操舵用モータ21の一方(後述する据え切りの場合は双方)で発生した操舵補助力によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、2台の操舵用モータのいずれかで発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。このように2台の操舵用モータを通常同時に使用しないので、モータの長寿命化を図ることができる。以下、図2を参照して、右操舵用モータ11および左操舵用モータ21の駆動についてより詳しく説明する。
図2は、本実施形態における電動パワーステアリング装置に備えられるECUの詳細を示すブロック図である。図2に示すようにECU4は、モータに対する駆動制御手段として機能しており、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)5と、右操舵用モータ11を駆動するモータ駆動回路16と、左操舵用モータ21を駆動するモータ駆動回路26と、モータ駆動回路16を制御するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するPWM信号生成回路17と、モータ駆動回路26を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号生成回路27とを含んでいる。
マイコン5には、トルクセンサ1から出力された操舵トルク信号Tsと、車速センサ2から出力された車速信号Vsとが入力される。マイコン5は、ECU4に内蔵された半導体メモリ(図示せず)に格納されたプログラムを実行することにより、右操舵用モータ11および左操舵用モータ21の駆動制御を行う。より詳細には、マイコン5は、操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vsに基づき、右操舵用モータ11の駆動電流を制御するための指令電圧信号V1と、左操舵用モータ21の駆動電流を制御するための指令電圧信号V2とを出力する。
すなわちマイコン5は、操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vsに基づき必要な操舵補助方向および操舵補助力を求め、この操舵補助力を発生させるために右操舵用モータ11または左操舵用モータ21に供給すべき電流の量を求める。またマイコン5は、後述するように切り返しが行われる場合に、切り返し前に操舵補助力を発生していた右操舵用モータ11または左操舵用モータ21に供給すべき慣性補償電流の量を求める。マイコン5は、これらの量に応じた指令電圧信号V1,V2をPWM信号生成回路17,27に対して出力する。なお、後述するように切り返しが行われない場合、マイコン5は、操舵補助力を発生しない右操舵用モータ11または左操舵用モータ21に与えられるべきディザ電流に応じた指令電圧信号V1,V2をPWM信号生成回路17,27に対して出力する。
PWM信号生成回路17,27は、マイコン5から出力される指令電圧信号V1,V2に応じたデューティ比のパルス幅変調信号(PWM信号)を生成するPWM変調器である。モータ駆動回路16は、車載バッテリ3から電力の供給を受け、PWM信号生成回路17からの指令電圧信号V1に応じたデューティ比を有するPWM信号により制御されて右操舵用モータ11を駆動し、モータ駆動回路26は、同様にPWM信号生成回路27からの指令電圧信号V2に応じたデューティ比を有するPWM信号により制御されて左操舵用モータ21を駆動する。
これにより、右操舵用モータ11の回転軸には、マイコン5で算出された電流量に応じたトルクTm1が発生する。また同様に、左操舵用モータ21の回転軸には、マイコン5で算出された電流量に応じたトルクTm2が発生する。なお後述するディザ電流が与えられるモータにはトルクが発生しない。以下、図3を参照して、マイコン5の制御動作について説明する。
図3は、マイコン5における処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すステップS12において、マイコン5は、トルクセンサ1からの操舵トルク信号Tsにより示される検出値(以下、単に「操舵トルクTs」という)を取得する。なお、後述するようにこの操舵トルクTs(またはその符号)は図示されない半導体メモリなどに一時的に記憶される。
次にステップS14において、マイコン5は、操舵トルクTsの絶対値が所定の閾値th(この値は適宜定められるがここでは2[Nm]とする)未満であるか否かを判定する。この判定の結果、閾値th未満である場合(ステップS14においてYesである場合)、処理はステップS16へ進む。また、この判定の結果、閾値th以上である場合(ステップS14においてNoである場合)、処理はステップS40へ進み、右操舵用モータ11または左操舵用モータ21の一方が従来の(2つの左右操舵用モータを備えた)電動パワーステアリング装置と同様の操舵補助が行われるよう適宜駆動される。その後、処理はステップS12へ戻る。
なお、このステップS40では、2つの左右操舵用モータを備えた従来の電動パワーステアリング装置と同様、その一方のモータが操舵補助力を発生しているときに他方のモータが停止する。そのため電動モータの長寿命化を図ることができ、後述するディザ電流や慣性補償電流を生成する制御を省略することができる。なお、この場合には、一方のモータ(例えば左操舵用モータ21)に対する上記他方のモータ(例えば右操舵用モータ11)の摩擦等による遅れを小さくする(理想的には無くす)ことはできないが、このように操舵トルクTsが比較的大きい場合は、典型的には細かくハンドルを切ることがないコーナリング操作時である。そのため、運転者はモータの上記慣性や摩擦などの影響、例えば操舵補助力の不連続感を感じにくく、ディザ電流や慣性補償電流を与えることによりモータの摩擦や慣性による影響を小さくすることは必ずしも必要ないと言える。またさらに、据え切り時などに操舵補助力を強化するため、例えば操舵トルクTsの絶対値が5[Nm]を超える場合には、2つの左右操舵用モータが同時に(同一の回転方向に)動作してもよい。
続いてステップS16において、マイコン5は、操舵トルクTsがゼロ未満であるか否か、すなわちハンドルを左に切っているか否かを判定する。この判定の結果、ハンドルを左に切っている場合(ステップS16においてYesである場合)、処理はステップS18へ進み、右に切っている場合(ステップS16においてNoである場合)、処理はステップS28へ進む。なお、以下に説明するように、ステップS18〜S24の処理はステップS28〜S34の処理と左右が逆である他はほぼ同様であるので、ステップS18以降の処理について説明しつつ、併せてステップS28以降の処理について簡単に説明する。
ステップS18において、マイコン5は、操舵トルク信号Tsおよび車速信号Vsに基づき必要な操舵補助方向および操舵補助力を求め、この操舵補助力を発生させるために左操舵用モータ21に供給すべき電流の量を求め、これらの量に応じた指令電圧信号V2をPWM信号生成回路27に対して出力する。ここでは例えばモータに流すべき電流の目標値Itとモータに流れる電流の検出値Isとの偏差It−Isに基づく比例積分制御演算による周知のフィードバック制御がなされる。なお、ステップS28においてもマイコン5は同様に、右操舵用モータ11に供給すべき電流の量に応じた指令電圧信号V1をPWM信号生成回路17に対して出力する。
次にステップS20において、マイコン5は、半導体メモリなどに記憶されている所定時間前の操舵トルクTsまたはその符号情報を過去の操舵トルクTspとして読み出し、読み出された値を現在の操舵トルクに乗算した結果が負であるか否か、すなわちトルクの方向が反転していることから切り返しの操舵状態であるか否かを判定する。なお、このように直前の時点ではなく所定時間前の操舵トルクTspを読み出すのは後述するステップS22の処理に必要な時間を与えるためであるから、例えば直前の操舵トルクTspを読み出して上記判定を行った後、切り返しが一度検出された後は新たに切り返しが検出されない限り上記所定時間切り返しの検出状態を保持するような処理が行われてもよい。以上のような判定を行うマイコン5は切り返し検出手段として機能している。
この判定の結果、切り返しである場合(ステップS20においてYesである場合)、続いてステップS22において、マイコン5は、切り返し前に操舵補助力を発生していた右操舵用モータ11に供給すべき慣性補償電流の量を求め、その量に応じた指令電圧信号V1をPWM信号生成回路17に対して出力する。この慣性補償電流は、前述したように操舵補助を行うモータが切り替わるときに、例えばモータやステアリング系の慣性を含む様々な時定数や制御系が有する不感帯などによる電気的または機械的に生じる遅れを補償するためのものであって、所定の計算やシミュレーション、実測などにより求めることができる。以下、この補償について図4から図6までを参照して詳しく説明する。
図4は、上記補償が行われない場合の操舵補助力の時間的変化の従来例を示す図であり、図5は、右操舵用モータによる発生トルクTm1の時間的変化の例を示す図であり、図6は上記補償が行われる場合の操舵補助力の時間的変化の例を示す図である。これら図4または図5に示される点線は、左操舵用モータ21において発生したトルクTm2の時間的変化の例を簡単に示したものである。このトルク値は、機械的および電気的な遅れが一切ない場合には操舵補助力に等しくなる。図4ないし図6において、時刻t1から時刻t2までの間、左操舵用モータ21はトルクTm2を発生しておらず、またこの間右操舵用モータ11において発生したトルクTm1は、操舵補助力と等しくなるよう上記遅れが無視された簡略な形で示されている。
ここで図4において、運転者による右から左への切り返し操作が行われる時刻t2では、右操舵用モータ11においてトルクTm1の発生が停止し、左操舵用モータ21においてトルクTm2が発生する。しかし、左操舵用モータ21による操舵補助力が実際に発生するのは時刻t3以降となっており、しかも時刻t3から時刻t4の間は、左操舵用モータ21において発生したトルクTm2が操舵補助力と等しくなっていない。このような遅れが前述したモータやステアリング系の慣性を含む様々な時定数や制御系が有する不感帯などによる電気的または機械的に生じる遅れの例であり、典型的には時刻t2の直前まで右方向に大きなトルクを発生していた右操舵用モータ11が急に左方向へ反転されることから生じる慣性による遅れを含んでいる。
そこでこのような遅れを補償するよう予め設定された上記慣性補償電流により、右操舵用モータ11は、図5に示されるように時刻t2から時刻t4までの間、停止することなく本来の回転方向である右方向とは反対の方向へトルクTm1を発生するよう駆動される。
このように右操舵用モータ11が時刻t2から時刻t4までの間(反対方向に)駆動されることにより、操舵補助力は図6に示されるように連続的に滑らかに変化する。したがって運転者に違和感(不連続感)を与えることがなく、操舵フィーリングを向上させることができる。
ステップS22において、マイコン5は、上記のような動作を行った後、処理はステップS12に戻る。なお、ステップS32においても、マイコン5は、切り返し方向が逆であることによる相違点を除き同様に動作し、その後処理はステップS12に戻る。
また、上記ステップS20における前述した判定の結果、切り返しでない場合(ステップS20においてNoである場合)、続いてステップS24において、マイコン5は、操舵補助力を発生していない右操舵用モータ11に供給すべきディザ電流の量を求め、その量に応じた指令電圧信号V1をPWM信号生成回路17に対して出力する。
具体的にはこのディザ電流は、例えば図4では時刻t1から時刻t2まで間、左操舵用モータ21に与えられ、図5では時刻t4から時刻t5まで間、右操舵用モータ11に与えられる。このディザ電流により、操舵補助力を発生させるよう駆動される一方のモータに対する、(ディザ電流を与えられる)他方のモータの摩擦等による影響を小さくする(理想的には無くす)ことができる。
すなわちこのディザ電流は、モータの摩擦等によるトルクロスや遅れを小さくするために(ここでは操舵補助力を発生していない)モータに与えられる電流であって、具体的には右操舵用モータ11がトルクTm1を発生しない程度の最大電流値から電流値ゼロまでの間を所定の短い周期で変化する電流である。なお、上記所定の短い周期は、モータの摩擦等による影響を小さくすることができない程度に長いものでなければ、例えば制御周期の数倍などどのような周期であってもよい。また、ディザ電流の波形は、サイン波や、ノコギリ波、矩形波などモータの摩擦等による影響を小さくすることができるものであれば特に限定はない。さらに、ディザ電流は、モータに非常に小さなトルクTm1を発生させるものであってもよく、発生するトルクTm1が運転者に感じられない程度であれば特に問題とはならない。
なお、上記構成に代えて上記ディザ電流を生成するディザ電流生成回路を新たに設け、このステップS24において、マイコン5は指令電圧信号V1をゼロとしてPWM信号生成回路17およびモータ駆動回路16を使用せず、ディザ電流生成回路から出力されるディザ電流を右操舵用モータ11に直接供給するようこのディザ電流生成回路を制御してもよい。この構成では制御周期より短い周期で変化するディザ電流をモータに与えることが可能となり、このディザ電流生成回路を含むECU4が駆動制御手段として機能することになる。
ステップS24において、マイコン5は、上記のような動作を行った後、処理はステップS12に戻る。なお、ステップS34においても、マイコン5は、切り返し方向が逆であることによる相違点を除き同様に動作し、その後処理はステップS12に戻る。なお、ステップS34において、左操舵用モータ21に与えられるディザ電流は、ステップS24において与えられるディザ電流とは異なり、左操舵用モータ21が(負の)トルクTm2を発生しない程度の最小電流値から電流値ゼロまでの間を所定の短い周期で変化する電流である。なお、これらのディザ電流は最大電流値または最小電流値から電流値ゼロまでの幅で変化するものとして説明したが、摩擦による影響を低減する効果を有する程度であって、この最大電流値または最小電流値の絶対値を超えないものであれば、変化の幅に限定はなく、例えば最大電流値から最小電流値まで変化するものであってもよい。
以上のように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置によれば、切り返しが検出されない場合に、上記のようなディザ電流により、操舵補助力を発生させるよう駆動される一方のモータに対する、(ディザ電流を与えられる)他方のモータの摩擦等による遅れの影響を小さくする(理想的には無くす)ことができる。
また、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置によれば、切り返しが検出される場合に、上記のような慣性補償電流により、操舵補助力を発生させるよう駆動される一方のモータに対する、(慣性補償電流を与えられる)他方のモータ慣性による遅れを含む機械的・電気的遅れの影響を小さくする(理想的には無くす)ことができる。
なお、本発明は、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置にも適用でき、また電動モータそれぞれが異なる部材に接続される複合型の電動パワーステアリング装置にも適用でき、さらに電動モータの個数は3つ以上であってもよい。
また、本発明は、電動パワーステアリング装置だけでなく、ステアリングホイールとステアリング機構との機械的な連結を無くしたステアバイワイヤシステム(特にその操舵反力トルク発生用のモータ)や、操舵角に対する車輪転舵角の比を差動ギヤ機構により変更可能とした操舵装置など、およそ運転者によるステアリングホイールの操作を車輪の転舵に変換する車両用操舵装置に適用することができる。なお、操舵反力の方向は操舵補助力の方向とは逆になるため、操舵反力トルク発生用のモータに本発明を適用する場合には、上記実施形態における右操舵用モータは左方向の操舵反力を発生させるモータに、左操舵用モータは右方向の操舵反力を発生させるモータにそれぞれ置き換えて適用することになる。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両の構成と共に示す概略図である。 上記実施形態におけるECUの詳細を示すブロック図である。 上記実施形態におけるマイコンにおける処理の流れを示すフローチャートである。 上記実施形態における慣性補償電流による補償が行われない場合の操舵補助力の時間的変化の従来例を示す図である。 上記実施形態における右操舵用モータによる発生トルクTm1の時間的変化の例を示す図である。 上記実施形態における慣性補償電流による補償が行われる場合の操舵補助力の時間的変化の例を示す図である。
符号の説明
12…減速機、101…ハンドル、102…ステアリングシャフト

Claims (3)

  1. 複数のモータを備えた車両用操舵装置であって、
    車両のステアリング機構に与えられるべき左方向の操舵力または運転者により操作される操舵部材に与えられるべき右方向の操舵反力を発生させる第1のモータと、
    前記機構に与えられるべき右方向の操舵力または前記操舵部材に与えられるべき左方向の操舵反力を発生させる第2のモータと、
    前記操舵部材の切り返し操作を検出する切り返し検出手段と、
    前記切り返し検出手段により前記切り返し操作が検出されない場合、前記第1および第2のモータのうちの一方のモータを対応する方向に操舵力または操舵反力を発生させるよう駆動するとともに、前記第1および第2のモータのうちの他方のモータに対して、操舵力または操舵反力を発生させない程度の駆動電流を流す駆動制御手段と
    を備えることを特徴とする、車両用操舵装置。
  2. 前記切り返し検出手段は、前記運転者による操舵方向を検出する方向検出手段を含み、
    前記駆動制御手段は、
    前記方向検出手段により左方向の操作が検出される場合、前記第1のモータを対応する方向に駆動するとともに、前記左方向の操作が前記切り返し検出手段により左方向への前記切り返し操作として検出される場合、前記第2のモータに対して、対応する方向と反対方向に回転させるための電流であって、前記第1のモータと機械的に連結されている前記第2のモータの回転方向が反転させられるときに生じる慣性を補償する電流を流し、
    前記方向検出手段により右方向の操作が検出される場合、前記第2のモータを対応する方向に駆動するとともに、前記右方向の操作が前記切り返し検出手段により右方向への前記切り返し操作として検出される場合、前記第1のモータに対して前記慣性を補償する電流を流すことを特徴とする、請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. 前記切り返し検出手段は、前記方向検出手段により検出される操舵方向が反転する場合に前記切り返し操作を検出する反転検出手段をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の車両用操舵装置。
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