JP7466390B2 - ガス供給異常判定システム - Google Patents
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Description
また、上述したようなガス供給異常が発生した場合、ガス事業者は、ガス供給箇所でのガス使用者からの連絡によりガス供給異常の発生の可能性があることを知り、当該連絡に基づいてガス供給異常の発生の有無の調査、及び対応を行っている。
更には、ガス使用者から連絡があった場合には、現地にガス事業者の検査員が赴いて、ガス管への水の侵入状況や、破損状況を確認する必要があり、経済性の観点から問題があった。
また、これまでの方法では、例えば、ガス供給箇所でのガスの供給が停止した後でガス事業者に連絡が入った後に、復旧対応をしていたため、ガス供給箇所においてガス供給異常に伴ってガス供給停止が発生してから復旧するまでに、比較的長時間を要し、ガス使用者の利便性を損なうという問題もあった。
前記ガス管により構成される一のガス供給系統において所定の前記ガス供給箇所へ供給されるガスの流量を測定する流量測定部を有すると共にガスの圧力を測定する圧力測定部を有するガスメータを備え、
所定の第1測定期間毎の測定時点において、前記流量測定部により測定されるガス流量と前記圧力測定部により測定されるガス圧力に関連するガス圧力関連値とを判定情報として、前記ガス供給系統毎に前記測定時点毎で記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された前記判定情報のうち、一の前記ガス供給系統に設けられる前記ガスメータに関し、すべての前記ガスメータの夫々で一の前記測定時点における前記ガス流量と他の前記測定時点における前記ガス流量とが同一となっているときで、夫々の前記ガスメータにおいて前記測定時点における零より大きい前記ガス流量に対応する前記ガス圧力関連値に関し、一の前記測定時点における前記ガス圧力関連値と他の前記測定時点における前記ガス圧力関連値とが異なる場合に、当該ガス圧力関連値を測定した前記ガスメータの近傍において前記ガス供給異常が発生している可能性があると判定する供給異常判定としての第1供給異常判定を実行する供給異常判定部とを備える点にある。
上記特徴構成によれば、ガス使用者がガス使用箇所において、ガス供給停止等の異常を感じる前に、システム側でガス供給異常の判定を行いその判定結果に基づいて対応を行うことができるから、ガス使用者からの連絡がきた後に対応する場合に比べ、迅速な対応をとることができ、安全性の向上を図ることができる。
更には、検査員が現場に赴くことなく、一定の信頼度のあるガス供給異常に関する判定結果を得ることができるから、緊急保安に関する人員の削減を図ることができ、経済的メリットを享受できる。
更には、ガス供給異常によりガスの供給停止が発生する前で被害が拡大する前に対応をとることができるから、長期間のガス供給停止の発生を防止でき、ガス使用者の利便性の向上を図ることができる。
因みに、上記特徴構成によれば、ガス供給系統でガス流量がある状態、即ち、ガス使用がある状態であっても、供給異常判定を実行できるから、当該判定において、例えば、ガス供給系統の上流側でガス管を遮断する遮断弁を閉止する必要がなく、ガス供給系統でのガス使用状態に縛られることなく柔軟性の高い供給異常判定を実現できる。
以上より、ガス使用者からの連絡の有無に関わらず、ガス供給異常に対する対応を早期に行うことができながらも、検査員が現地に赴くことなくガス供給異常を検知できると共に、従来に比べガス使用者の利便性の向上を図り得る供給異常判定システムを実現できる。
また、本発明において、ガス供給異常とは、ガス供給系統での差し水以外に、異物の混入、及びガス漏洩を含むものとする。
前記供給異常判定部は、前記判定情報に関し、前記ガス圧力関連値として、前記測定時点にて前記ガス流量が零のときの前記ガス圧力と推定できる値から、前記測定時点における前記零より大きい前記ガス流量での前記ガス圧力を減算した値を用いる点にある。
上記特徴構成によれば、供給異常判定部は、判定情報に関し、ガス圧力関連値として、測定時点にてガス流量が零のときのガス圧力(静圧)と推定できる値から測定時点における零より大きいガス流量でのガス圧力(動圧)を減算した値を用いて、ガス供給異常を判定しているから、上流側から供給されるガス供給圧力が変動する場合であっても、その変動の影響を除外して判定することでき、より現場の実情を反映した判定結果を得ることができる。
尚、ガス流量が零より大きい測定時点においては、ガス流量が零のときの静圧を実測することはできない。そこで、本発明では、静圧としてのガス流量が零のときのガス圧力と推定される値を用いており、例えば、ガス流量が零より大きい測定時点の前後で、ガス流量が零の測定時点にて測定されるガス圧力の平均値として導出される値(推定値)を好適に採用できる。
前記ガス管が、ガス本管とそこから分岐され前記ガスメータに連通するガス支管とから構成されているものにおいて、
前記供給異常判定部は、前記供給異常判定において、少なくとも2つの前記ガスメータにて前記ガス供給異常が発生していると判定した場合、前記ガス本管にて前記差し水による水溜りが発生していると判定する点にある。
前記供給異常判定部は、前記第1供給異常判定において前記ガス供給異常が発生していると判定した場合、一の前記測定時点における前記ガス圧力関連値と他の前記測定時点における前記ガス圧力関連値とが異なる値を示した前記ガスメータにおいて、前記ガス流量と前記ガス圧力とを前記第1測定期間より短い第2測定期間において経時的に連続して前記ガス圧力を測定し、測定された前記ガス流量が前記第2測定期間において零より大きい値で一定であり且つ測定された前記ガス圧力が前記第2測定期間において所定の判定変動幅を超えて変動している場合に、前記ガス供給異常としての差し水が発生している可能性が高いと判定する前記供給異常判定としての第2供給異常判定を実行する点にある。
前記ガス供給系統を構成する前記ガス管の高さ情報を含む3次元的な配設情報と、前記供給異常判定部による前記供給異常判定の判定結果とに基づいて、前記ガス管での差し水の発生箇所を推定する差し水発生箇所推定部を備える点にある。
一の前記ガス供給系統に設けられる前記ガスメータの夫々は、前記第1測定期間よりも長い期間である送信期間毎に、当該送信期間で取得して前記ガスメータの第2記憶部に記憶されている前記判定情報を、ネットワーク回線を介して監視センターの前記第1記憶部へ送信する通信部を備えている点にある。
以下、図1~4に基づいて、当該実施形態に係るガス供給異常判定システム100について説明する。
ガスメータMは、超音波流量計として構成されており、ガス管から住居等のガス供給箇所(図示せず)へ供給されるガスの流量を計測するものである。
当該ガスメータMには、図1の一部断面図に示すように、一次側のガス配管に連通接続されるガス流入口11と、二次側のガス配管に連通接続されるガス流出口12と、当該ガス流入口11とガス流出口12とを接続するガス流路Lが形成されている。
ガス流路Lには、整流流路を形成する筒状部材20が配設されると共に、当該筒状部材20の内部には、筒軸心に沿って延びる整流板21が複数設けられている。
詳細な図示は省略するが、当該ガスメータMには、筒状部材20の内部に形成される整流流路に超音波を伝播させる一対の送受波器SJ1、SJ2とが備えられている。
より詳細には、ガス流路Lを通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、第1方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に第2方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器SJ1、SJ2を有すると共に、第1方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第1伝搬時間と第2方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された第1伝搬時間及び第2伝搬時間と所定伝搬距離とからガス流路を通流するガスのガス流速を導出し、当該ガス流速とガス流路L(整流流路)の流路断面積とからガス流量を導出する制御装置Cを有する超音波流量計50(流量計測部の一例)を備える。
また、図示は省略するが、ガスメータMには、制御部C1にて演算されたガス流量を外部から視認可能な状態で表示する表示部(図示せず)が設けられている。
まずもって、ガスメータMに設けられる第2記憶部C3は、所定の第1測定期間毎の測定時点において同一タイミングで、自身に設けられる超音波流量計50により測定されるガス流量と自身に設けられる圧力センサS1により測定されるガス圧力に関するガス圧力関連値とを判定情報として記憶する。尚、同一タイミングとは、第1測定期間より短い時間幅を有するタイミングを意味するものとし、ガス流量とガス圧力が計測されるタイミングは、第1測定期間に対して十分に短い時間幅であれば、多少のずれがあっても構わない。
これにより、第1記憶部CS2は、所定の第1測定期間毎の測定時点において同一タイミングで、ガスメータM毎の超音波流量計50により測定されるガス流量と圧力センサS1により測定されるガス圧力に関連するガス圧力関連値とを判定情報として、ガス供給系統GK毎に測定時点毎で記憶することになる。
また、当該明細書において、ガス供給異常とは、ガス供給系統での差し水以外に、異物の混入、及びガス漏洩を含むものとする。
尚、ガス流量が零より大きい測定時点において、静圧を実測することはできない。そこで、当該実施形態では、静圧としてのガス流量が零のときのガス圧力と推定される値として、例えば、ガス流量が零より大きい測定時点の前後で、ガス流量が零の測定時点にて測定されるガス圧力の平均値として導出される値を好適に採用する。
ガス供給本管L2から伸びるガス供給支管L3aにガスメータMが設けられる構成において、ガス供給異常としての差し水が発生していない状態(図2(a)に示す状態)から、差し水が発生している状態(図2(b)に示す状態)となった場合を考える。
ここで、図2(a)の様に、差し水が発生していない状態でのガスメータMを通流するガス流量をL1a〔m3/h〕、静圧をPs1〔Pa〕、動圧をPd1〔Pa〕とし、図2(b)の様に、差し水が発生している状態でのガスメータMを通流するガス流量をL2a〔m3/h〕、静圧をPs2〔Pa〕、動圧をPd2〔Pa〕とする。
差し水が発生しガスメータMの近傍のガス供給本管L2の内部に水が滞留している場合、当該滞留部位においてガス供給本管L2のガス通流面積が減少して圧力損失が増加するため、水が滞留していない場合に比べて、動圧が当該圧力損失分だけ減少することになる。
ここで、差し水が発生していない状態でのガス流量L1a〔m3/h〕と差し水が発生している状態でのガス流量L2a〔m3/h〕とが同一である場合、差し水による圧力損失の影響により、以下の〔式1〕に示す関係が成立する。
Ps1-Pd1<Ps2-Pd2
即ち、供給異常判定部CS3は、第1供給異常判定においてガス供給異常が発生していると判定した場合、一の測定時点におけるガス圧力関連値(静圧推定値-動圧)と他の測定時点におけるガス圧力関連値とが異なる値を示したガスメータMにおいて、ガス流量とガス圧力とを第1測定期間より短い第2測定期間において経時的に連続して測定し、測定されたガス流量が第2測定期間において零より大きい値で一定であり且つ測定されたガス圧力が第2測定期間において所定の判定変動幅(測定される動圧よりも十分に小さい値)を超えて変動している場合に、ガス供給異常としての差し水が発生している可能性が高いと判定する供給異常判定としての第2供給異常判定を実行する。
そこで、監視センターCSでは、ガス供給系統GKを構成するガス管の高さ情報を含む3次元的な配設情報を第1記憶部CS2に記憶し、当該ガス管の3次元的な配置情報と、供給異常判定部CS3による供給異常判定の判定結果とに基づいて、ガス管での差し水の発生箇所を推定する差し水発生箇所推定部CS4を備える。
所定の差し水発生箇所からガス管の内部に侵入した差し水は、ガス管の3次元的な配置状態に応じて、ガス管の内部を流動するため、差し水発生箇所推定部CS4は、供給異常判定部CS3により判定した差し水の滞留箇所の推定値と、ガス管の三次元的な配設情報とにより、差し水の発生箇所を推定することができるのである。
(1)上記実施形態において、ガス供給系統には、一のガスメータのみが設けられる場合も権利範囲に含むものである。
しかしながら、例えば、ガス供給系統の上流に、一次側の供給圧力が変動した際に二次側の圧力を設定圧力へ調整する応答性が十分に高い整圧装置が設けられている場合等には、ガス圧力関連値として、動圧を直接採用することもできる。
この場合、ガスメータMの制御装置Cが、上記実施形態の監視センターCSの第1記憶部CS2及び供給異常判定部CS3としての機能を果たすように構成される。
100 :ガス供給異常判定システム
C1 :制御部
C2 :第2通信部
C3 :第2記憶部
CS :監視センター
CS1 :第1通信部
CS2 :第1記憶部
CS3 :供給異常判定部
CS4 :差し水発生箇所推定部
GK :ガス供給系統
L2 :ガス供給本管
L3a :ガス供給支管
M :ガスメータ
N :ネットワーク回線
S1 :圧力センサ
Claims (6)
- ガス供給箇所へガスを導くガス管での差し水を含むガス供給異常を判定するガス供給異常判定システムであって、
前記ガス管により構成される一のガス供給系統において所定の前記ガス供給箇所へ供給されるガスの流量を測定する流量測定部を有すると共にガスの圧力を測定する圧力測定部を有するガスメータを備え、
所定の第1測定期間毎の測定時点において、前記流量測定部により測定されるガス流量と前記圧力測定部により測定されるガス圧力に関連するガス圧力関連値とを判定情報として、前記ガス供給系統毎に前記測定時点毎で記憶する第1記憶部と、
前記第1記憶部に記憶された前記判定情報のうち、一の前記ガス供給系統に設けられる前記ガスメータに関し、すべての前記ガスメータの夫々で一の前記測定時点における前記ガス流量と他の前記測定時点における前記ガス流量とが同一となっているときで、夫々の前記ガスメータにおいて前記測定時点における零より大きい前記ガス流量に対応する前記ガス圧力関連値に関し、一の前記測定時点における前記ガス圧力関連値と他の前記測定時点における前記ガス圧力関連値とが異なる場合に、当該ガス圧力関連値を測定した前記ガスメータの近傍において前記ガス供給異常が発生している可能性があると判定する供給異常判定としての第1供給異常判定を実行する供給異常判定部とを備えるガス供給異常判定システム。 - 前記供給異常判定部は、前記判定情報に関し、前記ガス圧力関連値として、前記測定時点にて前記ガス流量が零のときの前記ガス圧力と推定できる値から、前記測定時点における前記零より大きい前記ガス流量での前記ガス圧力を減算した値を用いる請求項1に記載のガス供給異常判定システム。
- 前記ガス管が、ガス本管とそこから分岐され前記ガスメータに連通するガス支管とから構成されているものにおいて、
前記供給異常判定部は、前記供給異常判定において、少なくとも2つの前記ガスメータにて前記ガス供給異常が発生していると判定した場合、前記ガス本管にて前記差し水による水溜りが発生していると判定する請求項1又は2に記載のガス供給異常判定システム。 - 前記供給異常判定部は、前記第1供給異常判定において前記ガス供給異常が発生していると判定した場合、一の前記測定時点における前記ガス圧力関連値と他の前記測定時点における前記ガス圧力関連値とが異なる値を示した前記ガスメータにおいて、前記ガス流量と前記ガス圧力とを前記第1測定期間より短い第2測定期間において経時的に連続して前記ガス圧力を測定し、測定された前記ガス流量が前記第2測定期間において零より大きい値で一定であり且つ測定された前記ガス圧力が前記第2測定期間において所定の判定変動幅を超えて変動している場合に、前記ガス供給異常としての差し水が発生している可能性が高いと判定する前記供給異常判定としての第2供給異常判定を実行する請求項1~3の何れか一項に記載のガス供給異常判定システム。
- 前記ガス供給系統を構成する前記ガス管の高さ情報を含む3次元的な配設情報と、前記供給異常判定部による前記供給異常判定の判定結果とに基づいて、前記ガス管での差し水の発生箇所を推定する差し水発生箇所推定部を備える請求項1~4の何れか一項に記載のガス供給異常判定システム。
- 一の前記ガス供給系統に設けられる前記ガスメータの夫々は、前記第1測定期間よりも長い期間である送信期間毎に、当該送信期間で取得して前記ガスメータの第2記憶部に記憶されている前記判定情報を、ネットワーク回線を介して監視センターの前記第1記憶部へ送信する通信部を備えている請求項1~5の何れか一項に記載のガス供給異常判定システム。
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