JP7464807B2 - SiC基板の製造方法及びその製造装置及びSiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法 - Google Patents

SiC基板の製造方法及びその製造装置及びSiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法 Download PDF

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Description

本発明は、マクロステップバンチングの形成が抑制されたSiC基板の製造方法及びその製造装置及びSiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法に関する。
SiC(炭化珪素)半導体デバイスは、Si(シリコン)やGaAs(ガリウムヒ素)半導体デバイスに比べて高耐圧及び高効率、高温動作が可能であるため、産業化に向けて開発が進められている。
通常、デバイス製造に用いられる(0001)から僅かな傾斜を設けたSiC基板の表面には、ステップ-テラス構造が形成されている。従来、SiC基板の表面制御においては、デバイス製造プロセス中にステップが束化(バンチング)して、ステップバンチングが形成されてしまうことが問題視されてきた。
このステップバンチングは、SiC半導体デバイスの特性に悪影響を与えることが知られている。具体的には、(1)ステップバンチングが形成された表面にエピタキシャル成長を行うと、エピタキシャル成長層(以下、エピ層という。)の表面にステップバンチング起因の欠陥が発生する場合があること、(2)エピ層表面に酸化膜を形成して製造されるMOSFET等のSiC半導体デバイスにおいて、ステップバンチングの存在は動作性能および信頼性に影響を与える場合があること、がそれぞれ知られている。
このような問題に対し、ステップバンチングの発生を抑制する技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、「タンタル金属からなるとともに炭化タンタル層を内部空間に露出させるように上下が嵌合した収納容器に前記単結晶炭化ケイ素基板を収納するとともに、前記収納容器の内部圧力を外部圧力よりも高く且つシリコンの飽和蒸気圧下の真空に保った状態で1500℃以上2300℃以下の温度で前記収納容器を均一に加熱処理する加熱処理工程を含む熱処理工程」により、SiC基板の表面をエッチングし、分子レベルに平坦な表面を得る技術が記載されている。
特開2008-16691号公報
本発明は、マクロステップバンチングの形成が抑制されたSiC基板の製造方法及びその製造装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様のSiC基板の製造装置は、SiC基板を収容可能で、加熱によりSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器と、
前記本体容器を収容し、Si元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させるとともに温度勾配が形成されるように加熱する加熱炉と、を備え、
前記本体容器は、前記SiC基板が前記温度勾配の高温側に配置された状態で、前記温度勾配の低温側に配置される前記本体容器の一部と、前記SiC基板とを相対させることで形成されるエッチング空間と、
前記本体容器内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源と、を有する。
このように、加熱によりSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器内に、SiC基板とSi蒸気供給源を配置してエッチングすることにより、マクロステップバンチングの形成を抑制してエッチングすることができる。
この態様において、前記Si蒸気供給源は、前記本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置される。
このように、本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源を配置することで、本体容器内にSiC-Si平衡蒸気圧環境を形成することができる。
この態様において、前記本体容器は、前記SiC基板と前記本体容器との間に設けられる基板保持具を有する。
このように、SiC基板と本体容器との間に基板保持具を設けることにより、容易にエッチング空間を形成することができる。
この態様において、前記本体容器は、多結晶SiCを含む材料で構成される。
このように、本体容器が多結晶SiCを含む材料で構成されることにより、加熱炉によって本体容器を加熱した際に、本体容器内にSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を発生させることができる。
この態様において、前記加熱炉は、前記本体容器を収容可能な高融点容器と、この高融点容器内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源を有する。
このように、加熱炉が高融点容器とSi蒸気供給源を有することにより、本体容器をSi蒸気圧環境下で加熱することができる。これにより、本体容器内のSi元素を含む気相種の蒸気圧の低下を抑制することができる。
この態様において、前記高融点容器は、タンタルを含む材料で構成され、前記Si蒸気供給源は、タンタルシリサイドである。
また、本発明はSiC基板の製造方法にも関する。すなわち、本発明の一態様のSiC基板の製造方法は、Si元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器の内部にSiC基板とSi蒸気供給源を収容し、前記本体容器を、Si元素を含む気相種の蒸気圧の環境下で温度勾配が形成されるように加熱することで、前記SiC基板をエッチングするエッチング工程を含む。
このように、Si元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器内に、SiC基板とSi蒸気供給源を配置してエッチングすることにより、マクロステップバンチングの形成を抑制してエッチングすることができる。
この態様において、前記Si蒸気供給源が、前記本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置される。
この態様において、前記エッチング工程は、SiC基板をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングする。
この態様において、前記エッチング工程は、SiC基板の表面からSi原子を熱昇華させるSi原子昇華工程と、SiC基板の表面に残存したC原子と前記本体容器内のSi蒸気とを反応させることでSiC基板の表面からC原子を昇華させるC原子昇華工程と、を有する。
この態様において、前記エッチング工程は、前記温度勾配の高温側に配置された前記SiC基板と、前記温度勾配の低温側に配置された前記本体容器の一部と、を相対させてエッチングする。
また、本発明は、SiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法にも関する。すなわち、本発明の一態様のSiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法は、SiC基板をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングするエッチング工程を含む方法である。
この態様において、前記エッチング工程は、1400℃以上2300℃以下の温度範囲で加熱する工程である。
この態様において、前記エッチング工程は、エッチング空間内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源を配置してエッチングする工程である。
また、本発明はSiC基板の製造方法にも関する。すなわち、本発明の一態様のSiC基板の製造方法は、SiC基板をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングするエッチング工程を含み、前記エッチング工程は、Si元素を含む気相種の蒸気圧の環境を介して排気されるエッチング空間に前記SiC基板を配置してエッチングする工程である。
この態様において、前記エッチング工程は、エッチング空間内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源を配置してエッチングする工程である。
この態様において、前記エッチング工程は、前記SiC基板が温度勾配の高温側に配置されたエッチング空間を加熱する工程である。
また、本発明はSiC基板の製造装置にも関する。すなわち、本発明の一態様のSiC基板の製造装置は、SiC基板を収容可能で、加熱によりSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器と、前記本体容器を収容し、Si元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させるとともに温度勾配が形成されるように加熱する加熱炉と、を備え、前記本体容器は、前記SiC基板が前記温度勾配の高温側に配置されるエッチング空間と、前記本体容器内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源と、を有する。
この態様において、前記Si蒸気供給源は、前記本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置される。
この態様において、前記本体容器は、前記SiC基板の少なくとも一部を前記本体容器の中空に保持可能な基板保持具を有する。
開示した技術によれば、マクロステップバンチングの形成が抑制されたSiC基板の製造方法及びその製造装置を提供することができる。
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
一実施の形態のSiC基板の製造装置の概略図である。 一実施の形態のSiC基板の製造装置でエッチングされるSiC基板の説明図である。 一実施の形態のSiC基板の製造装置の説明図である。 一実施の形態のSiC基板の製造装置の説明図である。 一実施の形態のSiC基板の製造方法のエッチング工程前のSiC基板表面のSEM像である。 一実施の形態のSiC基板の製造方法の実施例1で観察されるSiC基板表面のSEM像である。 一実施の形態のSiC基板の製造方法の比較例1で観察されるSiC基板表面のSEM像である。 一実施の形態のSiC基板の製造方法のエッチング工程の本体容器内の環境を説明するグラフである。
以下、本発明を、図面に示した好ましい一実施形態について、図1~図8を用いて詳細に説明する。本発明の技術的範囲は、添付図面に示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、適宜変更が可能である。
[SiC基板の製造装置]
以下、本発明の一実施形態であるSiC基板の製造装置について詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るSiC基板の製造装置は、SiC基板10を収容可能で、加熱によりSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器20と、この本体容器20を収容し、Si元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させるとともに温度勾配が形成されるように加熱する加熱炉30と、を備える。
また、本体容器20は、SiC基板10が温度勾配の高温側に配置された状態で、温度勾配の低温側に配置される本体容器20の一部と、SiC基板10とを相対させることで形成されるエッチング空間S1と、本体容器20内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源25と、を有する。
このようなSiC基板の製造装置を用いることで、図2に示すように、マクロステップバンチングの形成が抑制されたSiC基板を製造することができる。
<SiC基板10>
SiC基板10としては、昇華法等で作製したバルク結晶から円盤状にスライスしたSiCウェハや、単結晶SiCを薄板状に加工したSiC基板を例示することができる。なお、単結晶SiCの結晶多型としては、何れのポリタイプのものも採用することができる。
本明細書中の説明においては、SiC基板10の半導体素子を作る面(具体的にはエピ層を堆積する面)を主面101といい、この主面に相対する面を裏面102という。また、主面101及び裏面102を合わせて表面といい、主面101と裏面102を貫通する方向を表裏方向という。
なお、主面101としては、(0001)面や(000-1)面から数度(例えば、0.4~8°)のオフ角を設けた表面を例示することができる(なお、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味する)。
原子レベルで平坦化されたSiC基板10の表面には、ステップ-テラス構造が確認される。このステップ-テラス構造は、1分子層以上の段差部位であるステップ11と、{0001}面が露出した平坦部位であるテラス12と、が交互に並んだ階段構造となっている。
ステップ11は、1分子層(0.25nm)が最小高さ(最小単位)であり、この1分子層が複数層重なることで、様々なステップ高さを形成している。本明細書中の説明においては、ステップ11が束化(バンチング)して巨大化し、各ポリタイプの1ユニットセルを超えた高さを有するものをマクロステップバンチング(MSB:Macro Step Bunching。以下、MSBという。)という。
すなわち、MSBとは、4H-SiCの場合には4分子層を超えて(5分子層以上)バンチングしたステップ11であり、6H-SiCの場合には6分子層を超えて(7分子層以上)バンチングしたステップ11である。
このMSBは、エピ層形成時の表面にMSB起因の欠陥が発生することや、MOSFETの酸化膜信頼性の阻害要因の一つであるため、SiC基板10の表面には形成されていないことが望ましい。
なお、SiC基板10の大きさとしては、数センチ角のチップサイズから、6インチウェハや8インチウェハを例示することができる。
<本体容器20>
本体容器20は、SiC基板10を収容可能であり、加熱処理時にSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる構成であれば良い。例えば、本体容器20は、多結晶SiCを含む材料で構成されている。本実施形態では、本体容器20の全体が多結晶SiCで構成されている。このような材料で構成された本体容器20を加熱することで、Si元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を発生させることができる。
すなわち、加熱処理された本体容器20内の環境は、Si元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の混合系の蒸気圧環境となることが望ましい。このSi元素を含む気相種としては、Si,Si,Si,SiC,SiC,SiCが例示できる。また、C元素を含む気相種としては、SiC,SiC,SiC,Cが例示できる。すなわち、SiC系ガスが本体容器20内に存在している状態となる。
また、本体容器20の加熱処理時に、内部空間にSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を発生可能な構成であれば、その構成を採用することができる。例えば、内面の一部に多結晶SiCが露出した構成や、本体容器20内に別途多結晶SiCを配置する構成等を示すことができる。
本体容器20は、図3に示すように、互いに嵌合可能な上容器21と下容器22とを備える嵌合容器である。上容器21と下容器22の嵌合部には、微小な間隙23が形成されており、この間隙23から本体容器20内の排気(真空引き)が可能なよう構成されている。
本体容器20は、SiC基板10が温度勾配の高温側に配置された状態で、温度勾配の低温側に配置される本体容器20の一部と、SiC基板10とを相対させることで形成されるエッチング空間S1を有する。すなわち、加熱炉30に設けられる温度勾配により、少なくとも本体容器20の一部(例えば、下容器22の底面)がSiC基板10よりも低温となることで、エッチング空間S1が形成されている。
エッチング空間S1は、SiC基板10と本体容器20の間に設けられた温度差を駆動力として、SiC基板10表面のSi原子及びC原子を本体容器20に輸送する空間である。
例えば、SiC基板10の主面101(又は、裏面102)の温度と、この主面101に相対する下容器22の底面の温度を比較した際に、主面101側の温度が高く、下容器22の底面側の温度が低くなるようSiC基板10を配置する(図3及び図4参照)。このように、主面101と下容器22底面との間に温度差を設けた空間(エッチング空間S1)を形成することで、温度差を駆動力として、主面101のSi原子及びC原子を下容器22の底面に輸送することができる。
本体容器20は、SiC基板10と本体容器20との間に設けられる基板保持具24を有していても良い。
本実施形態に係る加熱炉30は、本体容器20の上容器21から下容器22に向かって温度が下がるよう温度勾配を形成するよう加熱する構成となっている。そのため、SiC基板10を保持可能な基板保持具24を、SiC基板10と下容器22の間に設けることにより、SiC基板10と下容器22の間にエッチング空間S1を形成することができる。
基板保持具24は、SiC基板10の少なくとも一部を本体容器20の中空に保持可能な構成であればよい。例えば、1点支持や3点支持、外周縁を支持する構成や一部を挟持する構成等、慣用の支持手段であれば当然に採用することができる。この基板保持具24の材料としては、SiC材料や高融点金属材料を採用することができる。
なお、基板保持具24は、加熱炉30の温度勾配の方向によっては設けなくても良い。例えば、加熱炉30が下容器22から上容器21に向かって温度が下がるよう温度勾配を形成する場合には、(基板保持具24を設けずに)下容器22の底面にSiC基板10を配置しても良い。
また、本体容器20は、本体容器20内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源25を有する。
Si蒸気供給源25は、加熱処理時にSi蒸気を本体容器20内に発生させる構成であれば良い。このSi蒸気供給源25としては、固体のSi(Si基板やSi粉末等のSiペレット)やSi化合物を例示することができる。なお、このSi蒸気供給源25は、本体容器20内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置されることが望ましい。
例えば、本実施形態のように本体容器20の全体が多結晶SiCで構成され、基板保持具24がSiC材料で構成されている場合には、Si蒸気供給源25を配置するだけで良い。すなわち、化学量論比1:1を満たす多結晶SiCの本体容器20内に、化学量論比1:1を満たすSiC基板10と、化学量論比1:1を満たすSiC製の基板保持具24と、Si蒸気供給源25(Siペレット等)と、を配置した場合には、本体容器20内の原子数比Si/Cは、1を超えることとなる。
<加熱炉30>
加熱炉30は、図1に示すように、被処理物(SiC基板10等)を1000℃以上2300℃以下の温度に加熱することが可能な本加熱室31と、被処理物を500℃以上の温度に予備加熱可能な予備加熱室32と、本体容器20を収容可能な高融点容器40と、この高融点容器40を予備加熱室32から本加熱室31へ移動可能な移動手段33(移動台)と、を備えている。
本加熱室31は、平面断面視で正六角形に形成されており、その内側に高融点容器40が配置される。
本加熱室31の内部には、加熱ヒータ34(メッシュヒーター)が備えられている。また、本加熱室31の側壁や天井には多層熱反射金属板が固定されている(図示せず。)。この多層熱反射金属板は、加熱ヒータ34の熱を本加熱室31の略中央部に向けて反射させるように構成されている。
これにより、本加熱室31内において、被処理物が収容される高融点容器40を取り囲むように加熱ヒータ34が配置され、更にその外側に多層熱反射金属板が配置されることで、1000℃以上2300℃以下の温度まで昇温させることができる。
なお、加熱ヒータ34としては、例えば、抵抗加熱式のヒータや高周波誘導加熱式のヒータを用いることができる。
また、加熱ヒータ34は、高融点容器40内に温度勾配を形成可能な構成を採用しても良い。例えば、加熱ヒータ34は、上側(若しくは下側)に多くのヒータが配置されるよう構成しても良い。また、加熱ヒータ34は、上側(若しくは下側)に向かうにつれて幅が大きくなるように構成しても良い。あるいは、加熱ヒータ34は、上側(若しくは下側)に向かうにつれて供給される電力を大きくすることが可能なよう構成しても良い。
また、本加熱室31には、本加熱室31内の排気を行う真空形成用バルブ35と、本加熱室31内に不活性ガスを導入する不活性ガス注入用バルブ36と、本加熱室31内の真空度を測定する真空計37と、が接続されている。
真空形成用バルブ35は、本加熱室31内を排気して真空引きする真空引ポンプと接続されている(図示せず。)。この真空形成用バルブ35及び真空引きポンプにより、本加熱室31内の真空度は、例えば、10Pa以下、より好ましくは1Pa以下、さらに好ましくは10-3Pa以下に調整することができる。この真空引きポンプとしては、ターボ分子ポンプを例示することができる。
不活性ガス注入用バルブ36は、不活性ガス供給源と接続されている(図示せず。)。この不活性ガス注入用バルブ36及び不活性ガス供給源により、本加熱室31内に不活性ガスを10-5~10000Paの範囲で導入することができる。この不活性ガスとしては、ArやHe、N等を選択することができる。
予備加熱室32は、本加熱室31と接続されており、移動手段33により高融点容器40を移動可能に構成されている。なお、本実施形態の予備加熱室32には、本加熱室31の加熱ヒータ34の余熱により昇温可能なよう構成されている。例えば、本加熱室31を2000℃まで昇温した場合には、予備加熱室32は1000℃程度まで昇温され、被処理物(SiC基板10や本体容器20、高融点容器40等)の脱ガス処理を行うことができる。
移動手段33は、高融点容器40を載置して、本加熱室31と予備加熱室32を移動可能に構成されている。この移動手段33による本加熱室31と予備加熱室32間の搬送は、最短1分程で完了するため、1~1000℃/minでの昇温・降温を実現することができる。
このように急速昇温及び急速降温が行えるため、従来の装置では困難であった、昇温中及び降温中の低温成長履歴を持たない表面形状を観察することが可能である。
また、図1においては、本加熱室31の下方に予備加熱室32を配置しているが、これに限られず、何れの方向に配置しても良い。
また、本実施形態に係る移動手段33は、高融点容器40を載置する移動台である。この移動台と高融点容器40の接触部から、微小な熱を逃がしている。これにより、高融点容器40内に温度勾配を形成することができる。
本実施形態の加熱炉30では、高融点容器40の底部が移動台と接触しているため、高融点容器40の上容器41から下容器42に向かって温度が下がるように温度勾配が設けられる。
なお、この温度勾配の方向は、移動台と高融点容器40の接触部の位置を変更することで、任意の方向に設定することができる。例えば、移動台に吊り下げ式等を採用して、接触部を高融点容器40の天井に設ける場合には、熱が上方向に逃げる。そのため温度勾配は、高融点容器40の上容器41から下容器42に向かって温度が上がるように温度勾配が設けられることとなる。なお、この温度勾配は、SiC基板10の表裏方向に沿って形成されていることが望ましい。
また、上述したように、加熱ヒータ34の構成により、温度勾配を形成してもよい。
<高融点容器40>
本実施形態に係る加熱炉30内のSi元素を含む気相種の蒸気圧環境は、高融点容器40及びSi蒸気供給源44を用いて形成している。例えば、本体容器20の周囲にSi元素を含む気相種の蒸気圧の環境を形成可能な方法であれば、本発明のSiC基板の製造装置に採用することができる。
高融点容器40は、高融点材料を含んで構成されている。例えば、汎用耐熱部材であるC、高融点金属であるW,Re,Os,Ta,Mo、炭化物であるTa,HfC,TaC,NbC,ZrC,TaC,TiC,WC,MoC、窒化物であるHfN,TaN,BN,TaN,ZrN,TiN、ホウ化物であるHfB,TaB,ZrB,NB,TiB,多結晶SiC等を例示することができる。
この高融点容器40は、本体容器20と同様に、互いに嵌合可能な上容器41と下容器42とを備える嵌合容器であり、本体容器20を収容可能に構成されている。上容器41と下容器42の嵌合部には、微小な間隙43が形成されており、この間隙43から高融点容器40内の排気(真空引き)が可能なよう構成されている。
高融点容器40は、高融点容器40内にSi元素を含む気相種の蒸気圧を供給可能なSi蒸気供給源44を有している。Si蒸気供給源44は、加熱処理時にSi元素を含む気相種の蒸気圧を高融点容器40内に発生させる構成であれば良く、例えば、固体のSi(単結晶Si片やSi粉末等のSiペレット)やSi化合物を例示することができる。
本実施形態に係るSiC基板の製造装置においては、高融点容器40の材料としてTaCを採用し、Si蒸気供給源44としてタンタルシリサイドを採用している。すなわち、図3及び図4に示すように、高融点容器40の内側にタンタルシリサイド層が形成されており、加熱処理時にタンタルシリサイド層からSi蒸気が容器内に供給されることにより、Si蒸気圧環境が形成されるように構成されている。
この他にも、加熱処理時に高融点容器40内にSi元素を含む気相種の蒸気圧が形成される構成であれば採用することができる。
本発明に係るSiC基板の製造装置によれば、SiC基板10を収容可能で、加熱によりSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器20と、本体容器20を収容し、Si元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させるとともに温度勾配が形成されるように加熱する加熱炉30と、を備え、本体容器20は、SiC基板10が温度勾配の高温側に配置された状態で、温度勾配の低温側に配置される本体容器20の一部と、SiC基板10とを相対させることで形成されるエッチング空間S1と、前記本体容器20内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源25と、を有する構成となっている。
SiC基板10と本体容器20の間に近熱平衡状態を形成可能であり、かつ、本体容器20内にSiC-Si平衡蒸気圧環境が形成可能となる。このような環境において、加熱炉30の温度勾配を駆動力として質量の輸送が起こり、SiC基板10がエッチングされることで、MSBの形成が抑制されたSiC基板を製造することができる。
また、本実施形態に係るSiC基板の製造装置によれば、本体容器20を、Si元素を含む気相種の蒸気圧環境(例えばSi蒸気圧環境)下で加熱することにより、本体容器20内からSi元素を含む気相種が排気されることを抑制することができる。すなわち、本体容器20内のSi元素を含む気相種の蒸気圧と、本体容器20外のSi元素を含む気相種の蒸気圧とをバランスさせることにより、本体容器20内の環境を維持することができる。
言い換えれば、本体容器20はSi元素を含む気相種の蒸気圧環境(例えばSi蒸気圧環境)が形成される高融点容器40内に配置されている。このように、Si元素を含む気相種の蒸気圧環境(例えばSi蒸気圧環境)を介して本体容器20内が排気(真空引き)されることで、エッチング空間S1内からSi原子が減少することを抑制することができる。これにより、エッチング空間S1内をエッチングに好ましい原子数比Si/Cを長時間維持することができる。
また、本実施形態に係るSiC基板の製造装置によれば、本体容器20は多結晶SiCで構成されている。このような構成とすることにより、加熱炉30を用いて本体容器20を加熱した際に、本体容器20内にSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧のみを発生させることができる。
[SiC基板の製造方法]
以下、本発明の一実施形態であるSiC基板の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係るSiC基板の製造方法は、Si元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧を内部空間に発生させる本体容器20の内部にSiC基板10とSi蒸気供給源25を収容し、この本体容器20を、Si元素を含む気相種の蒸気圧の環境下で温度勾配が形成されるように加熱することで、SiC基板10をエッチングするエッチング工程を含む。
なお、同実施形態において、先のSiC基板の製造装置と基本的に同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
以下、本実施形態に係るSiC基板の製造方法のエッチング工程について、詳細に説明する。
<エッチング工程>
SiC基板10を配置した本体容器20を、1400℃以上2300℃以下の温度範囲で加熱することで、以下1)~5)の反応が持続的に行われ、結果としてエッチングが進行すると考えられる。
1) SiC(s)→Si(v)+C(s)
2) 2C(s)+Si(v)→SiC(v)
3) C(s)+2Si(v)→SiC(v)
4) Si(v)+SiC(v)→2SiC(s)
5) SiC(v)→Si(v)+SiC(s)
1)の説明:SiC基板10(SiC(s))が加熱されることで、熱分解によってSiC基板10表面からSi原子(Si(v))が脱離する(Si原子昇華工程)。
2)及び3)の説明:Si原子(Si(v))が脱離することでSiC基板10表面に残存したC(C(s))は、本体容器20内のSi蒸気(Si(v))と反応することで、SiC又はSiC等となって本体容器20内に昇華する(C原子昇華工程)。
4)及び5)の説明:昇華したSiC又はSiC等が、温度勾配によって本体容器20内の底面(多結晶SiC)に到達し成長する。
すなわち、エッチング工程は、SiC基板10の表面からSi原子を熱昇華させるSi原子昇華工程と、SiC基板10の表面に残存したC原子と本体容器20内のSi蒸気とを反応させることでSiC基板10の表面から昇華させるC原子昇華工程と、を有する。
また、エッチング工程は、温度勾配の高温側に配置されたSiC基板10と、温度勾配の低温側に配置された本体容器20の一部と、を相対させてエッチングすることを特徴とする。
すなわち、SiC基板10の主面101と、この主面101よりも温度が低い本体容器20底面とを相対させて配置することにより、これらの間にエッチング空間S1を形成する。このエッチング空間S1では、加熱炉30が形成する温度勾配を駆動力として質量の輸送が起こり、結果としてSiC基板10をエッチングすることができる。
言い換えれば、エッチング工程は、SiC基板10と本体容器20の一部とを相対させて配置し、本体容器20の一部が低温側、SiC基板10が高温側となるよう温度勾配をつけて加熱している。この温度勾配により、SiC基板10から本体容器20にSi元素及びC元素を輸送して、SiC基板10をエッチングする。
また、本発明に係るエッチング工程は、SiC基板10をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングすることを特徴とする。以下、SiC-Si平衡蒸気圧環境及びSiC-C平衡蒸気圧環境について詳細に説明する。
なお、本明細書におけるSiC-Si平衡蒸気圧環境及びSiC-C平衡蒸気圧環境とは、理論的な熱平衡環境から導かれたエッチング速度とエッチング温度の関係を満たす近熱平衡蒸気圧環境を含む。
SiC-Si蒸気圧環境とは、SiC(固体)とSi(液相)とが気相を介して相平衡状態となっているときの蒸気圧の環境のことを言う。
SiC-Si平衡蒸気圧環境は、例えば、原子数比Si/Cが1を超える準閉鎖空間が熱処理されることで形成される。
なお、本明細書における「準閉鎖空間」とは、容器内の真空引きは可能であるが、容器内に発生した蒸気の少なくとも一部を閉じ込め可能な空間のことをいう。この準閉鎖空間は、本体容器20内や高融点容器40内に形成することができる。
また、SiC-C平衡蒸気圧環境とは、SiC(固相)とC(固相)とが気相を介して相平衡状態となっているときの蒸気圧の環境のことを言う。
SiC-C平衡蒸気圧環境は、例えば、原子数比Si/Cが1以下である準閉鎖空間が熱処理されることで形成される。
SiC-Si平衡蒸気圧環境の気相中の原子数比Si/Cは、SiC-C平衡蒸気圧環境の気相中の原子数比Si/Cよりも大きい。
以下、SiC-Si平衡蒸気圧環境が形成される本体容器20内のエッチング空間S1(図3)について、SiC-C平衡蒸気圧環境が形成される本体容器20内のエッチング空間S1(図4)を参照して詳細に説明する。
SiC-Si平衡蒸気圧環境が形成されるエッチング空間S1は、加熱処理前に本体容器20内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源25を配置し、加熱することで形成することができる。
例えば、図3に示すように、化学量論比1:1を満たす多結晶SiCの本体容器20内に、化学量論比1:1を満たすSiC基板10と、化学量論比1:1を満たすSiC製の基板保持具24と、Si蒸気供給源25(Siペレット等)と、を配置した場合には、本体容器20内の原子数比Si/Cは、1を超えることとなる。
一方で、SiC-C平衡蒸気圧環境が形成されるエッチング空間S1は、加熱処理前にエッチング空間S1内の原子数比Si/Cが1以下となるよう配置し、加熱することで形成することができる。
例えば、図4に示すように、化学量論比1:1を満たす多結晶SiCの本体容器20内に、化学量論比1:1を満たすSiC基板10と、化学量論比1:1を満たすSiC製の基板保持具24と、を配置した場合には、本体容器20内の原子数比Si/Cは、1若しくは1以下となる。
また、エッチング空間S1内の原子数比Si/Cを下げるため、C蒸気供給源を別途配置してもよいし、C蒸気供給源を含む本体容器20や基板保持具24を採用してもよい。このC蒸気供給源としては、固体のC(C基板やC粉末等のCペレット)やC化合物を例示することができる。
本手法におけるエッチング温度は、好ましくは1400~2300℃の範囲で設定され、より好ましくは1600~2000℃の範囲で設定される。
本手法におけるエッチング速度は、上記温度領域によって制御することができ、0.001~2μm/minの範囲で選択することが可能である。
本手法におけるエッチング量は、SiC基板10のMSBを分解できるエッチング量であれば採用することができる。このエッチング量としては、0.1μm以上20μm以下を例示することができるが、必要に応じて適用可能である。
本手法におけるエッチング時間は、所望のエッチング量となるよう任意の時間に設定することができる。例えば、エッチング速度が1μm/minの時に、エッチング量を1μmとしたい場合には、エッチング時間は1分間となる。
本手法における温度勾配は、エッチング空間S1において、0.1~5℃/mmの範囲で設定される。
以下の方法で実施例1、比較例1のSiC基板を製造した。
<実施例1>
以下の条件で、SiC基板10を本体容器20及び高融点容器40に収容した(配置工程)。
[SiC基板10]
多型:4H-SiC
基板サイズ:横幅10mm×縦幅10mm×厚み0.3mm
オフ方向及びオフ角:<11-20>方向4°オフ
エッチング面:(0001)面
MSBの有無:有
図5は、エッチング工程前のSiC基板10の表面のSEM像である。このエッチング工程前のSiC基板10表面には、高さ3nm以上のMSBが形成されている。なお、ステップ11高さはAFMにより測定した。
[本体容器20]
材料:多結晶SiC
容器サイズ:直径60mm×高さ4mm
基板保持具24の材料:単結晶SiC
SiC基板10と本体容器20の底面との距離:2mm
Si蒸気供給源25:単結晶Si片
[高融点容器40]
材料:TaC
容器サイズ:直径160mm×高さ60mm
Si蒸気供給源44(Si化合物):TaSi
[エッチング工程]
上記条件で配置したSiC基板10を、以下の条件で加熱処理した。
加熱温度:1900℃
加熱時間:60min
エッチング速度:300nm/min
本加熱室真空度:10-5Pa
図6は、上記条件でエッチングした実施例1のSiC基板10表面のSEM像である。
この実施例1のSiC基板10表面には、MSBは形成されておらず、1.0nm(フルユニットセル)のステップ11が規則正しく配列していることがわかる。
この実施例1においては、本体容器20内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源25が配置されている(図3参照)。これにより本体容器20内に、SiC-Si平衡蒸気圧環境を形成される。このSiC-Si平衡蒸気圧環境下でSiC基板10をエッチングすることで、MSBの形成が抑制されたSiC基板10を製造することができる。
<比較例1>
以下の条件で、SiC基板10を本体容器20及び高融点容器40に収容した(配置工程)。
[SiC基板10]
実施例1と同様のSiC基板10を用いた。
[本体容器20]
実施例1と同様の本体容器20を用いた。この時、Si蒸気供給源25(単結晶Si片)は配置せず、本体容器20内にはSiC基板10のみを配置した(図4参照)。
[高融点容器40]
実施例1と同様の高融点容器40及びSi蒸気供給源44(Si化合物)を用いた。
[エッチング工程]
上記条件で配置したSiC基板10を、実施例1と同様の条件でエッチングした。
図7は、上記条件でエッチングした比較例1のSiC基板10表面のSEM像である。
この比較例1のSiC基板10表面には、高さ3nm以上のMSBが形成されている。
この比較例1においては、本体容器20内の原子数比Si/Cが1以下となるよう各部材が配置されている(図4参照)。これにより、本体容器20内にSiC-C平衡蒸気圧環境が形成されている。
図8は、本発明に係るSiC基板の製造方法にてエッチングした場合の、加熱温度とエッチング速度の関係を示すグラフである。このグラフの横軸は温度の逆数であり、このグラフの縦軸はエッチング速度を対数表示している。エッチング空間S1内の原子数比Si/Cが1を超えるように設定して(図3参照)エッチングした結果を○印で示し、エッチング空間S1内の原子数比Si/Cが1以下(1又は1未満)となるよう設定して(図4参照)エッチングした結果を×印で示している。○印箇所のSiC基板10表面は何れもMSBが形成されておらず、ステップ11は1ユニットセルの高さであった。一方、×印箇所のSiC基板10表面は何れもMSBが形成されていた。
ここで、本体容器20内の加熱した際に、SiC基板10から発生するSi元素を含む気相種及びC元素を含む気相種の蒸気圧をエッチング量とした場合、SiC基板10のエッチング速度は以下の数1で求められる。
Figure 0007464807000001
ここで、TはSiC基板10の温度、mは気相種(Six)の分子量、kはボルツマン定数である。
また、Pは、SiC基板10が加熱されることで本体容器20内に発生する蒸気圧を足し合わせた値のことである。なお、Pの気相種としては、SiC,SiC,SiC等が想定される。
図8のグラフにおいては、SiC-Si平衡蒸気圧環境におけるSiC基板エッチングの熱力学計算の結果を破線(アレニウスプロット)で、SiC-C平衡蒸気圧環境におけるSiC基板エッチングの熱力学計算の結果を二点鎖線(アレニウスプロット)にて示している。
すなわち、破線は、SiC(固体)とSi(液相)とが気相を介して相平衡状態となっているときの蒸気圧の環境において、単結晶SiCをエッチングした際の熱力学計算の結果である。具体的には、数1を用いて、以下の条件(i)~(iv)で熱力学計算を行った。(i)体積一定のSiC-Si平衡蒸気圧環境であること,(ii)エッチング駆動力は、エッチング空間S1内の温度勾配であること,(iii)原料ガスは、SiC,SiC,SiCであること,(iv)原料がステップ11から昇華する脱離係数は0.001であること。
また、二点鎖線は、SiC(固相)とC(固相)とが気相を介して相平衡状態となっているときの蒸気圧の環境において、単結晶SiCをエッチングした際の熱力学計算の結果である。具体的には、数1を用いて、以下の条件(i)~(iv)で熱力学計算を行った。(i)体積一定のSiC-C平衡蒸気圧環境であること,(ii)エッチング駆動力は、エッチング空間S1内の温度勾配であること,(iii)原料ガスはSiC,SiC,SiCであること,(iv)原料がステップ11から昇華する脱離係数は0.001であること。
なお、熱力学計算に用いた各化学種のデータはJANAF熱化学表の値を採用した。
その結果、SiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングされた図8の○印箇所の条件においては、MSBの形成が分解・抑制されており、SiC基板10表面に1nm(1ユニットセル)高さのステップ11が整列していることがわかる。
一方で、SiC-C平衡蒸気圧環境下でエッチングされた図8の×印箇所の条件においては、MSBが形成されていることがわかる。
本発明のSiC基板の製造方法によれば、SiC基板10がSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングされるエッチング工程を含むことにより、MSBの形成が抑制されたSiC基板を製造することができる。
10 SiC基板
101 主面
11 ステップ
12 テラス
20 本体容器
24 基板保持具
25 Si蒸気供給源
30 加熱炉
40 高融点容器
44 Si蒸気供給源
S1 エッチング空間

Claims (15)

  1. SiC基板を収容可能で、多結晶SiC製の本体容器と、
    前記本体容器を収容し、Si蒸気圧を内部空間に発生させるとともに温度勾配が形成されるように加熱する加熱炉と、を備え、
    前記本体容器は、前記SiC基板が前記温度勾配の高温側に配置された状態で、前記温度勾配の低温側に配置される前記本体容器の一部と、前記SiC基板とを相対させることで形成されるエッチング空間と、
    前記本体容器内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源と、
    前記本体容器の内外に通じる微小間隙と、を有する、SiC基板の製造装置。
  2. 前記Si蒸気供給源は、前記本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置される、請求項1に記載のSiC基板の製造装置。
  3. 前記本体容器は、前記SiC基板と前記本体容器との間に設けられる基板保持具を有する、請求項1又は請求項2に記載のSiC基板の製造装置。
  4. 前記加熱炉は、前記本体容器を収容可能な高融点容器と、
    この高融点容器内にSi蒸気を供給可能なSi蒸気供給源と、を有する、請求項1~の何れかに記載のSiC基板の製造装置。
  5. 前記高融点容器は、タンタルを含む材料で構成され、
    前記Si蒸気供給源は、タンタルシリサイドである、請求項に記載のSiC基板の製造装置。
  6. 多結晶SiC製の本体容器の内部にSiC基板とSi蒸気供給源を収容し、前記本体容器を、Si蒸気圧環境下で前記SiC基板が高温側、前記本体容器の一部が低温側となる温度勾配が形成されるように加熱することで、前記SiC基板をエッチングするエッチング工程を含
    前記本体容器は、その内外に通じる微小間隙を有する、SiC基板の製造方法。
  7. 前記Si蒸気供給源が、前記本体容器内の原子数比Si/Cが1を超えるよう配置される、請求項に記載のSiC基板の製造方法。
  8. 前記エッチング工程は、SiC基板をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングする、請求項又は請求項に記載のSiC基板の製造方法。
  9. 前記エッチング工程は、SiC基板の表面からSi原子を熱昇華させるSi原子昇華工程と、
    SiC基板の表面に残存したC原子と前記本体容器内のSi蒸気とを反応させることでSiC基板の表面からC原子を昇華させるC原子昇華工程と、を有する、請求項6~8の何れかに記載のSiC基板の製造方法。
  10. SiC基板を多結晶SiC製の本体容器内のSiC-Si平衡蒸気圧環境に配置し、前記SiC基板が高温側、前記本体容器の一部が低温側となる温度勾配が形成されるように前記本体容器を加熱することでエッチングするエッチング工程を含む、SiC基板のマクロステップバンチングを低減する方法。
  11. 前記エッチング工程は、1400℃以上2300℃以下の温度範囲で加熱する工程である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記エッチング工程は、エッチング空間内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源を配置してエッチングする工程である、請求項10又は請求項11に記載の方法。
  13. SiC基板をSiC-Si平衡蒸気圧環境下でエッチングするエッチング工程を含み、
    前記エッチング工程は、Si蒸気圧環境を介して排気されるエッチング空間に前記SiC基板を配置してエッチングする工程である、SiC基板の製造方法。
  14. 前記エッチング工程は、エッチング空間内の原子数比Si/Cが1を超えるようSi蒸気供給源を配置してエッチングする工程である、請求項13に記載のSiC基板の製造方法。
  15. SiC基板を多結晶SiC製の本体容器内のSiC-Si平衡蒸気圧環境に配置し、前記SiC基板が高温側、前記本体容器の一部が低温側となる温度勾配が形成されるように前記本体容器を加熱することでエッチングするエッチング工程を含む、SiC基板の製造方法。
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