まず、図1及び図2を参照して本発明の一形態に係るゲーム機の全体構成を説明する。ゲーム機1は、概ね直方体状の筐体2を有している。筐体2の内部は、隔壁2aにより外部に対して閉ざされたゲーム空間GSとして構成され、そのゲーム空間GSには、搬送機構3と、左右一対の発射機構4と、回収機構5とが設けられている。搬送機構3は、ユーザの獲得目標としての複数の景品PRを吊り下げて支持しつつ、それらの景品RPを所定の搬送経路に沿って搬送する。発射機構4は、遊技媒体の一例としてのボールを搬送機構3にて搬送されている景品PRに向けて発射する。回収機構5は、発射機構4から発射されたボールを回収して発射機構4に戻す。
ゲーム機1にてプレイされるゲームは、発射機構4から発射されたボールを景品PRに命中させて搬送機構3から落下させ、その落下した景品PRをユーザに払い出すように構成されている。景品の獲得を目的としたゲーム機はプライズゲーム機と呼ばれることがあり、ゲーム機1もまたプライズゲーム機の一種である。また、ゲーム機1は、所定のプレイ料金の支払いと引き換えにゲームプレイさせるいわゆる業務用のゲーム機でもある。なお、図1及び図2では景品PRを円筒状に描いているが、実際の景品PRは適宜の形状及び大きさでよい。また、図3以下では景品PRの図示が省略されている。
図3及び図4にも示すように、各発射機構4は、全体がカバー6にて覆われている。なお、それらの図において、搬送機構3は図示が省略されている。図4は右側の発射機構4のみを示すが、左側の発射機構4は左右対称に設けられている。カバー6には、景品PR側に向けられた発射筒6aが設けられている。カバー6の一部は筐体2の隔壁2aを貫いてゲーム空間GS外に露出する。その露出部分には、ユーザによって把持されるべきハンドル7と、発射ボタン8とが設けられている。ハンドル7を操作することにより、発射機構4を水平な旋回軸線AXs(図4)の周りに一定範囲内で旋回させてボールの発射方向(あるいは発射角度)を上下方向に限って調整することが可能である。発射方向を左右に変化させることはできない。なお、旋回軸線AXsは、発射筒6aが幾らか内側を向くように筐体2の前後方向に対して傾けられている。
発射ボタン8をユーザが押し込み操作すると、その操作に対応して発射機構4からボールが発射される。左右一対の発射機構4が設けられ、それぞれの発射機構4のカバー6に発射ボタン8が配置されることにより、ゲーム機1は最大で二人のユーザが同時にゲームをプレイできるように構成されている。ただし、一人のユーザが両発射機構4を操作してゲームをプレイすることも排除されない。
図1に示すように、筐体2の前面側にはコントロールパネル9が設けられ、そのコントロールパネル9のほぼ中央には表示装置10が設けられている。また、筐体2の前面側には景品PRを取り出すための景品取出口12が設けられている。景品取出口12は一例として左右の発射機構4に対して共通に設けられている。さらに、筐体2には、プレイ料金を支払うための硬貨、代替硬貨、あるいはメダルを投入するためのコイン投入口、あるいは現金による支払いに加えて、又は代えて、電子通貨による支払いを受け付けるためのカードリーダ等の読み取り装置が適宜に設けられてよい。
図5及び図6は搬送機構3の詳細を示している。搬送機構3は、ブラケット20を介して筐体2の天井に取り付けられる。ブラケット20には駆動源としての電動のモータ21が、その出力軸21aを鉛直下方に向けるようにして取り付けられている。出力軸21aには、カップリング22を介して旋回軸23が出力軸21aと同軸かつ一体回転可能に連結され、その旋回軸23にはホイール24がさらに同軸かつ一体回転可能に連結されている。ホイール24の外輪24aには、リング状のハンガー25が複数本のチェーン26を介して取り付けられている。ハンガー25には、複数のフック27が周方向に一定の間隔を空けて取り付けられている。それらのフック27に景品PRが掛け止めされることにより、景品PRが搬送機構3に吊り下げ支持される。モータ21の回転により、ハンガー25が出力軸21aの回転軸線AXwの周りに回転し、それにより、景品PRが回転軸線AXwの周りを循環するように搬送される。なお、ホイール24には、旋回軸23等を覆い隠すカバー28が一体に取り付けられている。
なお、景品PRをフック27に掛け止めするためには、景品PR側にもループ、フック等の接続部材が設けられている必要がある。そのような接続部材が景品PRに装着されていない場合には、景品PRに対してねじ止め、圧入、接着、貼り付けといった各種の接合方法を用いて接続部材が景品PRに取り付けられてよい。景品PR側の接続部材は、解放端がないループ状、あるいはリング状等の閉じた形状であってもよいし、解放端を有する開いた形状であってもよい。さらに、解放状態と非解放状態とを切り替え可能なスナップその他の機構を備えた接続部材が景品PR側に装着されてもよい。一方、ハンガー25側のフック27はハンガー25に固定されてもよいし、ハンガー25に対して着脱自在であってもよい。ハンガー25とフック27との間にリングその他の接続部材が設けられてもよい。
図7~図9は発射機構4のカバー6を取り外した内部構造の詳細を示している。発射機構4は、シャーシ30を備えている。シャーシ30は、発射機構4の各部を支持する構造体であって、一例として適宜に曲げ加工された複数の板材を組み合わせて構成されている。シャーシ30には、ボールBを発射する発射部31と、発射部31に対してボールBを供給する供給部32とが設けられている。発射部31にはボールBが装填される装填室33と、装填室33の上方に配置されたフラッパ34と、装填室33の奥側、すなわち発射方向に対する反対側に配置された射出レバー35と、射出レバー35の動作を切り替えるためのカムプレート36とが設けられている。フラッパ34はブラケット37と一体化され、ブラケット37は、シャーシ30に固定された支軸38の周りに回転自在に設けられている。それにより、フラッパ34は支軸38の周りに回転可能である。
ブラケット37は、フラッパ34の駆動源としてのアクチュエータ39の駆動ロッド39aとピン39bを介して回転自在に連結される。アクチュエータ39は、一例として電磁力を利用して駆動ロッド39aを進退させる直動型の電磁アクチュエータである。アクチュエータ39の駆動ロッド39aの進退動作により、フラッパ34はボールBを装填室33内に拘束する閉位置(実線で示す位置)Pfcと、その閉位置Pfcよりも上方に移動して、ボールBの拘束を解除する開位置(想像線で示す位置)Pfoとの間で駆動される。ブラケット37と、シャーシ30に固定されたロッド40との間には引張ばね41が取り付けられている。その引張ばね41の引張力によりフラッパ34は開位置Pfoに向けて引き寄せられている。
射出レバー35は、支軸38の周りに回転自在に取り付けられている。射出レバー35と、シャーシ30に固定されたロッド42との間には、射出レバー35の駆動源としての引張ばね43(図9)が取り付けられている。射出レバー35が支軸38を中心としてチャージ方向(矢印Rc方向)に回転すると、引張ばね43は引っ張られるように弾性変形する。その弾性変形に対する復元力により、射出レバー35が支軸38を中心として射出方向(矢印Rs方向)に回転駆動される。その射出レバー35の回転により、射出レバー35の先端の射出部35aがボールBと衝突してボールBが発射される。
カムプレート36は、シャーシ30に取り付けられた駆動源としての電動のモータ45により、カム軸46の周りに回転駆動される。図8及び図9はカムプレート36が初期位置Pinにある状態を示している。カムプレート36が初期位置Pinにあるときは射出レバー35が図示の待機位置Pstに拘束される。その待機位置Pstでは引張ばね43が引き延ばされた状態にあり、射出レバー35は射出方向に回転できないようにカムプレート36と噛み合う。カムプレート36が初期位置からカム軸46の周りに所定の駆動方向(矢印Dc方向)に回転すると、カムプレート36による射出レバー35の拘束が解除される。それにより、射出レバー35が引張ばね43の復元力で射出方向に駆動される。その結果、装填室33内のボールBが射出レバー35によって打ち出され、カバー6の発射筒6a(図3参照)から景品PRに向けてボールBが発射される。なお、ボールBの発射時にはフラッパ34が開位置Pfoに配置される。
ボールBが発射された後もカムプレート36を同一方向に継続して回転させると、カムプレート36が射出レバー35と噛み合って、射出レバー35が引張ばね43の復元力に抗してチャージ方向Rcに回転する。カムプレート36が初期位置まで回転すると射出レバー35が待機位置Pstに復帰する。これにより、射出レバー35は次回のボールBの発射に備えて待機した状態となる。このような射出レバー35とカムプレート36との関係は、カムプレート36のカム面形状やそのカム軸46の位置等を適宜に調整することによって実現することが可能である。なお、射出レバー35を待機位置Pstに確実に保持するため、カムプレート36を初期位置に拘束する拘束機構がさらに追加されてもよい。その場合、ボールBを発射する際にカムプレート36の拘束を解除してカムプレート36を回転可能な状態に切り替え、その後にカムプレート36を回転させて射出レバー35を動作させ、カムプレート36が初期位置に復帰した後には、カムプレート36を拘束するようにしてもよい。
供給部32には、ボールマガジン50と、ボールマガジン50の上部に配置されたスプリッタ51と、スプリッタ51を駆動するアクチュエータ52とが設けられている。ボールマガジン50は、ボールBを装填室33に向けて一列に保持する樋状に構成されてシャーシ30に固定されている。回収機構5(図3及び図4)から発射機構4に戻されるボールBは、ボールマガジン50の後端側(図8の右側)に導かれる。
スプリッタ51は、ボールマガジン50に対して支軸53を介して取り付けられることにより、支軸53の周りに回転自在である。スプリッタ51の両端には、ボールマガジン50に並んだボールBと噛み合う爪51a、51bが設けられている。スプリッタ51が支軸53を中心として開方向(矢印Qo方向)に回転すると、装填室33側の爪51aがボールマガジン50の先頭のボールBから離れる一方で、反対側の爪51bがボールマガジン50の次のボールBと噛み合ってそのボールBの装填室33側への移動を阻止する。これにより、装填室33に一球のボールBが供給される。スプリッタ51が支軸53を中心として閉方向(矢印Qc方向)に回転すると、装填室33側の爪51aがボールマガジン50側に入り込む一方で、反対側の爪51bがボールBから離れる。それにより、ボールマガジン50のボールBが装填室33側にボールBの一球分に相当する距離だけ移動する。
アクチュエータ52は、一例として電磁力を利用して駆動ロッド52aを進退させる直動型の電磁アクチュエータである。駆動ロッド52aはスプリッタ51と回転自在に連結されている。したがって、駆動ロッド52aの進退動作により、スプリッタ51が支軸53を中心として開方向及び閉方向に駆動される。なお、発射機構4には、フラッパ34、射出レバー35、あるいはスプリッタ51等の可動部品の位置を検出するセンサが適宜に設けられるが、それらの説明は省略する。
上述した発射部31及び供給部32の構成部品はいずれもシャーシ30上に取り付けられている。シャーシ30は、図3及び図4に示した旋回軸線Axsの周りに回転可能な状態で筐体2に取り付けられる。例えば、シャーシ30はトラニオン構造を用いて筐体2に連結される。それにより、カバー6を含む発射機構4の全体が旋回軸線AWsの周りに旋回可能である。ただし、その旋回範囲は適宜のストッパにより一定範囲に制限される。また、シャーシ30は左右方向に関しては一定の向きで取り付けられている。それにより、左右方向に関するボールBの発射方向は変更不可能である。
したがって、図10に例示したように、発射機構4側から搬送機構3を観察したとき、発射機構4によるボールBの射程範囲SAは、搬送機構3による景品PRの搬送経路CRの一部、より具体的には発射機構4側から見て搬送経路CRの手前側の一部と重なり、搬送経路CRの残部は射程範囲SAから外れる。なお、射程範囲SAは、発射機構4から発射されたボールBを景品PRに対して命中させることが可能な範囲であって、本来的には、発射機構4によるボールBの到達距離と、上下方向に関する発射方向の調整範囲とによって定まる3次元的な範囲である。図10では、発射機構4の発射位置にボールBを示し、射程範囲SAと搬送経路CRとが交差する位置での射程範囲SAをハッチングで示している。
射程範囲SAと搬送経路CRとの関係が上記の通りに設定されることにより、発射機構4側から搬送機構3を観察したときに、景品PRは射程範囲SAに対して搬送方向の一方の側から進入し、他方の側から退出するようになる。したがって、ユーザは所望の景品PRが射程範囲SAに入ったタイミングで発射ボタン8を操作してボールBを発射させればよい。そのため、景品PRの搬送経路CRの全領域を含むように射程範囲SAを設定した場合と比較して、どの位置をどのタイミングで狙うべきか、の判断が容易となる。上下方向に関する発射方向の調整は、景品PRのいずれの高さ位置を狙うかによって適宜に行われれば足り、ボールBの発射操作を必要以上に難化させるものではない。したがって、射的の自由度を適度に制限してゲームの難易度を適切に設定し、ユーザが気軽にプレイできるゲームを提供してその興趣を高めることが可能である。
図10に示した搬送経路CRは景品PRの高さによって変化する範囲であるが、景品PRに関して標準的な高さを想定し、少なくともフック27から鉛直下方に標準的な高さに相当する範囲を搬送経路CRとして想定することができる。あるいは、景品PRの最大高さを想定し、その最大高さの景品PRを基準として搬送経路CRが想定されてもよい。発射機構4の上下方向に関する発射方向の調整範囲は、搬送経路CRの全高以上の範囲をカバーできるように設定されてもよいし、搬送経路CRの上部又は下部の一部が射程範囲SAから外れるように設定されてもよい。いずれにしても、左右方向に関して発射方向を調整不可能とすることにより、搬送経路CRの一部に限って射程範囲SAが重なるように発射機構4を設けることが可能である。
図10では一方の発射機構4による射程範囲SAと搬送経路CRとの関係を示したが、他方の発射機構4による射程範囲SAと搬送経路CRとの関係も同様でよい。左右の発射機構4のそれぞれの射程範囲SAは、少なくとも一部が互いに重複するように設定されてもよいし、それぞれの射程範囲SAが重複部分を有しないように完全に分離されて設定されてもよい。さらに、上下方向における発射方向の調整は必須ではなく、発射方向が一方向に固定されるように発射機構4が設けられてもよい。
図3及び図4に戻って、搬送経路CRから落下した景品PRの払い出し、及びボールBの回収機構5について説明する。ゲーム空間GSには、搬送機構3の下方に位置するようにして景品受け60が設けられている。景品受け60は、複数の細長い受け棹61を、筐体2の前面側に向かって下り勾配を描くように傾けつつ、筐体2の左右方向に適宜の間隔で並べて構成されている。受け棹61同士の間隔はボールBが通過可能でかつ景品PRは通過不可能な範囲に設定される。言い換えれば、景品PRには、受け棹61同士の隙間を通過できない大きさのものを選択する必要がある。搬送機構3から落下した景品PRは、景品受け60を受け棹61の傾斜に沿って筐体2の前面側に向かって滑り、景品取出口12に連なる景品払出部62へと落下する。景品払出部62に導かれた景品PRがユーザにより景品取出口12から取り出される。一方、発射機構4から発射されたボールBは景品受け60の受け棹61の隙間から落下することにより、景品PRから分離される。それにより、景品受け60は分離手段の一例として機能する。
景品受け60から落下したボールBは回収機構5によって発射機構4の供給部32に戻される。回収機構5は、景品受け60の下方に配置された下部ガイド70と、筐体2の背面側の隅部に配置された一対のリフトコンベア71と、それらのリフトコンベア71と左右の発射機構4とを個別に接続する一対の上部ガイド72とを備えている。下部ガイド70は、受け棹61の隙間から落下したボールBを筐体2の後部に導くように筐体2の後部に向かって下り勾配を描くように傾けられている。ボールBを左右のリフトコンベア71に適宜に分配できるように、下部ガイド70には、筐体2の左右方向に関しても筐体2の中央部が左右の端部よりも高くなるように傾斜が付されてよい。受け棹61間の隙間から落下せず、景品払出部62にボールBが進入した場合に備えて、ボールBを筐体2の後方に導く底部ガイドが景品払出部62の底位置にさらに設けられてもよい。
リフトコンベア71は下部ガイド70によって導かれたボールBを上部ガイド72まで持ち上げる。例えば、図11に示したように、リフトコンベア71は、上下方向に沿って走行するベルト73の適宜の位置に、ボールBを捉えるピッカ74が取り付けられた構成を有している。駆動源としての電動のモータ75にてベルト73が走行駆動されることにより、リフトコンベア71の下部に導かれたボールBがピッカ74ですくい上げられて上昇し、上部ガイド72に移される。
図3及び図4に戻って、上部ガイド72は、筐体2の前方に向けて下り勾配を描くように傾けられた前後案内部72aと、前後案内部72aの前端から下方に向けて延ばされたシュータ部72bとを含んでいる。前後案内部72a及びシュータ部72bは一例として筒状に構成されている。図3及び図4では前後案内部72aとシュータ部72bとの接続部分を切り離して描いているが、その接続部分には適宜の筒状部材にて接続される。リフトコンベア71から供給されたボールBは上部ガイド72aにてシュータ部72bの上端まで導かれ、シュータ部72bにて下方に落下する。シュータ部72bの下端と発射機構4のカバー6とは、発射機構4の上下方向の旋回に追従して変形可能なジャバラ状の連絡筒76にて連結されている。シュータ部72bの下端まで落下したボールBは連絡筒76を経由して発射機構4のボールマガジン50へと導かれる。
次に、図12を参照してゲーム機1の制御系の構成を説明する。図12に示すように、ゲーム機1には制御装置80が設けられている。制御装置80は、CPU及びその動作に必要な内部メモリ等を含んだコンピュータとして構成されている。制御装置80には、その制御対象として、上述した搬送機構3、発射機構4、回収機構5及び表示装置10が接続されるとともに、ユーザの操作に関する情報を検出する手段として、発射ボタン8が接続されている。なお、搬送機構3、発射機構4及び回収機構5については、制御対象のモータ、アクチュエータ等の駆動装置と、その動作制御に必要なセンサ等が実際には接続されるが、図12ではそれらを機構ごとにまとめて示している。発射ボタン8及び発射機構4については、左ユニット81L、及び右ユニット81Rで区別して示してある。さらに、制御装置80には料金徴収装置82が接続されている。料金徴収装置82は、例えば、硬貨、代替硬貨、メダル等を用いたプレイ料金の支払いを検出するコインセレクタ、あるいは電子通貨によるプレイ料金の支払いを処理するカードリーダ等であってよい。
制御装置80には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、ゲーム管理部83、搬送制御部84、発射制御部85及び回収制御部86が設けられる。ゲーム管理部83は、ゲーム機1の各部の状態を監視し、各制御部84、85、86に対して適宜に制御開始を指示し、あるいは表示装置10に適宜の情報を表示させることにより、ゲーム機1の全体の動作を管理する。搬送制御部84は搬送機構3による景品PRの搬送動作を制御し、発射制御部85は発射機構4によるボールBの発射動作を制御し、回収制御部86は回収機構5によるボールBの回収動作を制御する。
ゲーム管理部83は、ゲーム機1の状態の一つとして、料金徴収装置82からの信号に基づいてプレイに必要な料金が支払われたか否かを判別し、プレイ料金が支払われた場合には、発射制御部85に対してボールBの発射に必要な制御の開始を指示する。図13は、発射制御部85による発射制御の手順の一例を示している。なお、図13の処理は、左右のユニット81L、81Rのうち、プレイ料金が支払われた側のユニットを対象として実行される処理である。二人分のプレイ料金が支払われた場合には、各ユニット81L、81Rに対して図13の処理が並行して実行される。
ゲーム管理部83から制御の開始が指示されると、発射制御部85は図13の処理を開始し、まず供給部32のスプリッタ51が一往復するようにアクチュエータ52を動作させてボールBを装填室33に装填する(ステップS101)。次に、発射制御部85は、発射部31のフラッパ34が開位置Pfoに移動するようにアクチュエータ39を動作させる(ステップS102)。その後、発射制御部85は、発射操作、すなわち発射ボタン8の操作が検出されたか否かを判別し(ステップS103)、発射操作が検出されない場合にはその判別を繰り返す。発射操作が検出されると、発射制御部85はカムプレート36が駆動方向Dcに一周するようにモータ45を動作させる(ステップS104)。これにより、一球のボールBが発射機構4から発射される。カムプレート36が一周すると、発射制御部85はフラッパ34が閉位置Pfcに移動するようにアクチュエータ39を動作させる(ステップS105)。以上により、一回の発射制御処理が終了する。
なお、搬送制御部84及び回収制御部86のそれぞれは、ゲームがプレイされている間に景品PRが搬送され、かつ発射されたボールBが発射機構4に適宜に戻されるように搬送機構3及び回収機構5の動作を制御すればよい。例えば、搬送制御部84は、ゲーム機1の電源が投入されている間は継続して搬送機構3を駆動して景品PRを周回させてもよい。あるいは、プレイ料金の支払に対応してゲーム管理部83から搬送制御部84に対して搬送開始を指示し、これを受けて搬送制御部84がモータ21を動作させて景品PRを搬送させるようにしてもよい。回収機構5の制御については、例えばボールBが発射された場合に、その後の一定時間に限ってリフトコンベア71を駆動してボールBをいずれか一方の発射機構4に戻すようにしてもよいし、リフトコンベア71の下部へのボールBの到達をセンサで検出し、その検出後の一定時間に限ってリフトコンベア71を駆動してもよい。あるいは、ゲーム機1が稼働している間、連続的に、あるいは一定周期で間欠的にリフトコンベア71を動作させるようにしてもよい。発射機構4側にストックされているボールBの個数が不足しているか否かをセンサで検出し、不足している場合に、不足が解消されるまでリフトコンベア71を駆動してもよい。
次に、ゲーム機1の構成に関する幾つかの変形例を説明する。上記のゲーム機1において、搬送機構3は鉛直方向の回転軸線AXwを中心とした円筒状の搬送経路CRに沿って景品PRを循環させるように設けられ、発射機構4は上下方向に限って発射方向が調整可能であって、左右方向には発射方向を調整できないように設けられている。しかしながら、射程範囲SAが搬送経路CRの一部に限って重なり、搬送経路CRの残部が射程範囲SA外に位置する限り、搬送機構及び発射機構は適宜の変形又は変更が可能である。例えば、景品PRを水平方向の軸線の周りに循環させ、景品がユーザから見て手前側に搬送されたときにその景品が発射機構の射程範囲に入るように搬送機構及び発射機構が構成されてもよい。あるいは、搬送機構の搬送方向はユーザから見て前後方向に設定されてもよい。その場合には、ユーザから見て搬送経路の前後方向に関する一部の領域が射程範囲と重なり、それ以外の領域が射程範囲から外れるように発射機構が構成されてよい。
発射機構は、上述したように発射方向が固定されて調整不可能な態様で設けられてもよい。一方、発射方向を調整可能とする場合であっても、その調整の方向は搬送方向と直交する方向(一例として上記の形態では上下方向)に限らず、搬送方向と交差する適宜の方向に調整可能とされてよい。さらに、発射機構は、搬送経路の一部が射程範囲外となる限りにおいて、搬送方向にも発射方向を調整可能であってもよい。一方、射程範囲の一部が搬送経路外の領域を含んでいてもよい。例えば、図10の例では射程範囲SAの上端部及び下端部が搬送経路CR外の領域を含んでいる。このような領域を設けることにより、ゲームの難易度を調整することが可能である。
搬送機構は、鉛直方向の軸線の周りに景品を周回させる例に限らず、射的の対象物を所定の搬送経路に沿って搬送できる限りにおいて、適宜に変形されてよい。例えば、適宜の形状のレールに沿ってスライダを移動させ、そのスライダに対象物が取り付けられてもよい。ベルトコンベアを用いて対象物が搬送されてもよい。さらに、搬送機構の搬送経路は循環経路として構成される例に限らない。対象物を一定範囲内で往復させるように搬送機構が構成されてもよい。対象物を吊り下げる例に限らず、対象物を台に載せて搬送するといった形態も可能である。搬送経路は一方向に対象物を搬送する例に限らず、二以上の方向に対象物を搬送可能であってもよい。例えば、上記の搬送機構3において、回転軸線AXwの方向にホイール24を昇降可能とし、その昇降動作と回転動作とを組み合わせつつ景品PRを搬送してもよい。
発射機構は、引張ばね43の復元力を利用してボールBを発射する例に限らない。例えば電磁力、流体圧力その他の各種の物理的な力を利用してボールを打ち出すように発射機構が構成されてもよい。遊技媒体はボールに限らず、メダル等の適宜の物理的媒体が遊技媒体として利用されてよい。搬送機構及び発射機構の数は図示例に限らず、適宜に変更されてよい。例えば、単一の搬送機構に対して単一の発射機構が設けられ、あるいは複数の搬送機構に対して同数又はそれ以上の発射機構が設けられてもよい。さらに、単一の発射機構に対して複数の搬送機構が設けられてもよい。その場合でも、各搬送機構の搬送経路のそれぞれの一部に限って射程範囲が重なるように発射機構が設けられていればよい。
搬送機構によって搬送される対象物は、遊技媒体を命中させる目標として設定されるものであれば足りる。対象物は景品を含むことを必ずしも要しない。例えば、搬送機構によって搬送される対象物に遊技媒体が命中し、あるいは対象物が落下したことをセンサ等で検出し、その検出に応答して、別途の位置に保管された景品が払い出される、といった構成であっても、対象物の搬送経路と発射機構の射程範囲とを上記の関係で設定すれば、発明の目的を達成することが可能である。一方、景品は、ユーザが最終的に獲得する物品に限られない。例えば、ゲーム機では、チケットその他の交換価値を有する物品を1次的な景品として払い出し、その景品をユーザが所望する最終的な景品と引き換えるようにゲーム機が運用されてもよい。要するに、対象物は遊技媒体を命中させる目標として設定されるものであれば足り、景品は対象物への遊技媒体の命中を必要条件としてユーザに払い出されるものであればよい。
分離手段及び回収機構も上記の形態に限らず、適宜の変形が可能である。例えば、分離手段については、例えば景品受け60の表面にボールBの転がり方向を制限する突条部や溝部を形成し、それらの突条部等を利用してボールBを特定方向に集める一方、景品PRはそれらの突条等を乗り越えて滑り落ちるように景品受け60を構成してもよい。回収機構もリフトコンベアを用いる例に限らず、昇降機構等を用いてボールを上昇させ、あるいは多数のボールを列状に並べて貯留し、それらのボールを押し出すことにより発射機構までボールを導くといった変形が可能である。
上述したゲーム機1では、搬送機構3のハンガー25からフック27を介して景品PRを吊り下げたが、射的の対象物の支持に関しては種々のバリエーションを想定することが可能である。以下、図14~図27を参照して、対象物の支持に関する各種の例を説明する。図14~図18は、景品PRを含んだ対象物を吊り下げ支持する場合に利用可能なフックの例を示している。
図14(a)~(c)に示した例では、フック100の途中に突起部101a、101b、101cが設けられることにより、フック100がその解放端102に向けて連なるようにして複数の支持部103に区分されている。支持部103のそれぞれは、対象物を掛け止めされた状態で支持可能な長さを有している。図14(a)のフック100では、フランジ状の突起部101aが設けられている。図14(b)のフック100では、フック100それ自体が概略逆U字状に形成され、その内側領域に複数対のピン状の突起部101bが設けられている。図14(c)のフック100は、図14(b)のフック100を概略半分に分割した形状であって、その側方に突起部101cが設けられている。
図14(a)~(c)の例によれば、支持部103間に突起部101a~101cが設けられることにより、解放端102に向かう対象物の移動に対する抑制作用を支持部103間に生じさせることができる。したがって、対象物に遊技媒体が命中しても突起部101a~101cに対象物が引っ掛ってその落下が適度に抑制される。遊技媒体の一回の命中で対象物を落下させことは難しく、対象物が突起部101a~101cに引っ掛かっていずれかの支持部103にて停止する。したがって、対象物を落下させるには、遊技媒体を複数回命中させて対象物を解放端102に向けて段階的に移動させる必要がある。解放端102の近くまで対象物が移動していれば、あと少しで対象物を落下させて景品を獲得できることをユーザに認識させることができる。それにより、ゲームの期待感を高めることが可能である。
なお、突起部101a~101cの形状及び大きさは、解放端102に向けた対象物の移動に対して抑制作用を与え得る限り適宜に変更されてよい。突起部101a~101cは適宜の材料にて構成されてよい。一例として、遊技媒体の命中に伴って対象物から伝わる力により変形可能な弾性を有する材料にて突起部101a~が101c構成されてよい。例えば、図14(a)の突起部101aをシリコン素材等の弾性材料にて構成されてよい。図14(b)、(c)の例においても、突起部101b、101cを弾性材料にて構成することが可能である。突起部101a~101cは、解放端102に近いものほど大きく、又は長く構成されているが、その大きさや長さは適宜に変更されてよい。
図15(a)~(e)に示したフック110は、複数の支持部112が解放端111に向けて連なるように設けられている点で図14(a)~(c)の例と共通する。しかしながら、フック110は、対象物の移動に対する抑制作用を支持部112間に生じさせる手段として、隣接する支持部112間において、対象物の解放端111に向かう移動の方向を変化させている点で図14(a)~(c)のフック100とは相違する。すなわち、図15(a)の例では、フック110が解放端111に向けて螺旋状に曲げられることにより、少なくとも一周又はそれ未満の長さの範囲で一つの支持部112が構成され、支持部112間では対象物の移動方向が変化する。図15(b)の例ではフック110が解放端111に向けてジグザグに折り曲げられることにより、支持部112間では対象物の移動方向が変化する。さらに、図15(b)の例では支持部112の太さが差別化されている。それにより、対象物とフック110との間に作用する摩擦抵抗を変化させて対象物の異同に対する特性を支持部112間で変化させている。
図15(c)の例では、支持部112の方向をさらに多様に変化させている。図15(d)の例では、支持部112の境界部分が比較的滑らかに曲げ加工されている。図15(e)の例では、解放端111に向けて三段の支持部112が設けられ、それらの支持部112間に中間領域113が設けられている。言い換えれば、図15(e)の例では、支持部112が中間領域113を介して連なっている。中間領域113は、支持部112間を結ぶ領域であり、それ自体は、対象物を掛け止めして支持する作用を奏しない領域として構成されてよい。
図15(a)~(e)の例でも、遊技媒体の命中により、対象物が支持部112をまたいで移動しようとした場合、隣接する支持部112間で移動方向が変化するためにその異同に対して抑制作用が生じる。したがって、対象物を落下させるには、遊技媒体を複数回命中させて対象物を解放端102に向けて段階的に移動させる必要がある。解放端102の近くまで対象物が移動していれば、あと少しで対象物を落下させて景品を獲得できることをユーザに認識させることができる。それにより、ゲームの期待感を高めることが可能である。
図16(a)~(c)に示したフック120は、複数の支持部122が解放端121に向けて連なるように設けられ、かつ隣接する支持部122間において、対象物の解放端121に向かう移動の方向が変化している点で図15(a)~(e)のフック110と共通する。しかしながら、フック120は、支持部122の上下方向の位置が差別化されず、一つの水平面内に支持部122が配置されている点で図15(a)~(e)のフック110とは相違する。このような例でも、図15(a)~(e)のフック110と同様に、対象物を解放端121に向けて段階的に移動させ、それにより上記と同様の作用効果を得ることが可能である。
図17(a)~(c)に示したフック130は、複数の支持部132が解放端131に向けて連なるように設けられ、かつ隣接する支持部132間において、対象物の解放端131に向かう移動の方向が変化している点で上述したフック110、120と共通するが、一部の支持部132間において上下方向の位置が差別化され、かつ一部の支持部132が同一の水平面内に配置される点で、フック110、120を適宜に組み合わせた形状とされている。このような形態のフック130でも対象物を解放端131に向けて段階的に移動させ、それにより上記と同様の作用効果を得ることが可能である。
さらに、図18に示したように、フック140に複数の解放端141を設け、それらの解放端141に向けて複数の支持部142を適宜に組み合わせて配置することにより、複数の景品PRを吊り下げできるようにフック140が構成されてもよい。
以上に説明したフック100~140は、いずれも対象物を解放端に向けて段階的に移動させるように、複数の支持部を設け、かつ支持部間では、解放端に向かう対象物の移動に対して抑制作用が生じるようにフックを構成する点で共通する。それらのフックは、必ずしも搬送機構によって搬送される対象物を吊り下げ支持する用途に限らず、対象物を搬送せずに定位置にて吊り下げ支持する場合でも適用が可能である。対象物は射的の対象物であればよく、ゲーム機はその対象物の落下に対応してユーザに景品が付与されるものであればよい。
一方、上述したゲーム機1に適用されるフックは図14~図18に示した例に限らない。例えば、図19に例示した適宜のフックが利用されてよい。図19(a)、(b)のフック150は、キャラクタ等の各種の図形を表現するように構成され、その一部に対象物を吊り下げる箇所が設けられた例である。図19(c)のフック160は、遊技媒体が命中したときの力で破断する特性を備えた連絡部161を介して対象物を吊り下げる例である。図19(d)のフック170は、その解放端171を概略十字状に形成した例である。解放端171を例えばシリコン等の柔軟な素材にて構成することにより、例えば遊技媒体が解放端171の付近に側方から命中した場合には解放端171が容易には変形せず、景品PRを上下方向に負荷するように遊技媒体が命中した場合には解放端171が容易に変形して景品PRが落下するような変形特性を解放端171に付与することにより、遊技媒体をどのような向きで命中させるべきかに関して遊戯性を与えることが可能である。さらに図19(e)のフック180は複数所景品PRを吊り下げ支持できるように、水平軸状の支持部181を設け、その支持部181を中央付近でさらに吊り下げ支持した例である。このようなフック180によれば、景品PRの位置に応じて支持部181の傾きが変化し、その変化に応じて景品PRの落下のし易さが変化する。それにより、遊戯性を高めることが可能である。
上記の形態では、景品等の対象物に遊技媒体を命中させることにより、対象物の全体を落下させるといったように、対象物それ自体を吊り下げ支持するものであるが、対象物の支持はそのように全体が落下の対象となる形態に限らない。例えば、景品等の物品を解放物として含んだ対象物を用意し、その対象物に遊技媒体が命中したときに、対象物の少なくとも一部を動かして解放物を解放させるように対象物が設けられてもよい。図20~図27はそのように対象物を構成する例を示している。なお、図20~図27の例では、景品を含むように対象物が構成され、景品自体が解放される例を示すが、解放物は景品の代替物として構成され、その落下等の解放により、別の景品がユーザに払い出されるものとしてもよい。
図20に示す対象物200では、同図(a)に示すように、景品PRが載せられる支持体としての台座201が、上方の支持プレート202から複数の支持索203にて吊り下げ支持され、少なくとも前側(発射機構側)の支持索203が掛止具204にて支持プレート202に掛け止めされている。掛止具204はボール等の遊技媒体の命中によって容易に外れるように掛け止めされている。図20(b)に示すように、留め具203が外れると台座201が傾き、その傾きにより景品PRが対象物200から解放されて落下する。
図21に示す対象物210では、多数の景品PRを収容する支持体としての網211が、上方の支持プレート212から複数の支持ロッド213を介して吊り下げ支持されている。網211と支持ロッド213とは、網211を揺らすことができるように、例えば継手214を介して矢印で示すように相対回転可能に連結される。網211には、遊技媒体を命中させる目標としての標的215が設けられている。標的215は網211をより大きく動かせる位置に設定される。このような対象物210では、標的215に遊技媒体が命中すると網211が揺れ動き、それに伴って景品PRが零れ落ちるように解放される。なお、網211に代えて、剛体としての皿、籠などが支持体として設けられてもよい。
図22に示す対象物220では、支持体としての皿221が複数の支持索223(同図(a))又は剛体の支持ロッド224(同図(b))を介して吊り下げ支持され、その皿221上に多数の景品PRが積み重ねて載せられている。図22(a)と(b)とでは景品PRの積み重ねの形態も異なる。このような対象物220でも、皿221又は景品PRそのものに遊技媒体を命中させることにより、景品PRを崩して皿221から零れ落ちるように解放させることができる。
図23に示す対象物230は、複数の標的231に対して遊技媒体が一定の関連性をもって命中した場合に景品PRが解放されるように仕掛け構造(仕掛け手段の一例である。)232が組み込まれた例である。すなわち、仕掛け構造232は二つの標的231が設けられたベース233と、そのベース233から吊り下げ支持された支持体としての皿234とを含んでいる。皿234に単一の、一又は複数の景品が搭載される。
図23(b)、(c)に示したように、ベース233と皿234とは、それらの背面側にてヒンジ部235を介して相互に連結されており、そのヒンジ部235の位置を軸として回転するように相対変位することができる。一方、ヒンジ部235の前面側には、標的231の直下に位置するようにして一対の接続部236が設けられている。各接続部236は、標的231の直下に配置された一対の磁石237を利用してベース233と皿234とを接続するように構成されている。
このような対象物230によれば、標的231に対して遊技媒体が命中したときに、対象物230に伝わる力(あるいは衝撃)により、図23(c)に示すように磁石237が相互に分離する。しかし、いずれか一方の標的231にのみ遊技媒体が命中した場合には、反対側の標的231の直下の磁石237が吸着状態を維持するため、一方の側の標的231の直下で磁石237が分離しても、それらの磁石237は再び吸着する。したがって、皿234は図23(a)、(b)の状態を維持し、景品は解放されない。一方、標的231のそれぞれに同時的に遊技媒体が命中した場合には、各接続部236の磁石237が分離し、それにより、図23(c)に示すように皿234が傾く。その結果、景品が対象物230から解放される。
以上のように、図23の対象物230では、二つの標的231に同時的に遊技媒体が命中しなければ景品が解放されない。したがって、上述したゲーム機1のように複数の発射機構を備えたゲーム機への適用に適している。発射機構は、遊技媒体の発射に一定の動作が必要であり、複数の標的231に向けて同時又は同時と見なせるほどの短時間に複数の遊技媒体を発射することは一般に困難である。これに対して複数の発射機構が存在する場合には、各発射機構から複数の標的231に対して遊技媒体を同時的に発射することにより、対象物230を図23(c)のように変形させて景品を獲得することができる。これにより、二人のユーザが共通の対象物230に対して協力して遊技媒体を発射するようなプレイ形態を実現し、いわゆるプライズゲーム機では導入が困難であった複数ユーザによる協力プレイを実現し、ゲームの興趣を高めることができる。
なお、上記の説明から明らかなように、複数の標的231に対して遊技媒体が厳密に同時に命中する必要はなく、一方の接続部236の磁石237が再度吸着しない間に他方の接続部236の磁石237が分離される範囲内で標的231に遊技媒体が命中すればよい。要するに、複数の標的231に対して遊技媒体が相互に影響し合うように命中した場合に景品等の解放物が解放され、単一の標的231に遊技媒体が命中した場合には解放物が解放されないように仕掛け構造232が構成されていればよい。例えば、複数の標的に対して一定時間内に所定の順序で遊技媒体が命中した場合に景品が解放されるように仕掛け手段を構成してもよい。その場合でも、例えば単一の発射機構のみでは実現困難となるように命中の時間差を設定すれば、複数の発射機構を用いたプレイを必須とする協力プレイをユーザに提供することが可能である。なお、遊技媒体が相互に影響し合うように命中するか否かは、遊技媒体の命中によって対象物に生じる影響が物理的に関連し合って、単一の遊技媒体のみが命中したときには得られない動作、作用が生じるか否かを基準として判断されてよい。
協力プレイに適した対象物は、図23のような仕掛け手段を含んだ例に必ずしも限定されない。例えば図24(a)~(c)にそれぞれ示す対象物240、250、260が設けられてもよい。図24(a)の対象物240は、図22の例と同様に、支持体としての皿241が複数の支持索243を介して吊り下げ支持され、その皿241上に多数の景品PRが載せられた例である。支持索243のそれぞれには少なくとも一つの標的244が設けられている。標的244に遊技媒体が命中すると、その力が支持索243を介して皿241に伝わり、皿241が揺れて景品PRが零れ落ちるように解放される。複数の標的244に対して同時的に遊技媒体が命中した場合、その命中で伝わる力が相互に影響し合うことにより、単一の遊技媒体のみがいずれかの標的244に命中した場合との比較において皿241はより大きく揺れ動く。したがって、複数の標的244に同時的に遊技媒体を命中させた方が景品PRの解放に関して有利となる。なお、この場合も遊技媒体の命中は厳密に同時でなくともよい。命中によって伝わる力が相互作用を生じる時間的な範囲内で複数の標的244に遊技媒体が命中すればよい。
図24(b)の対象物250は、同図(a)と同様に複数の標的254を設ける例であるが、それらの標的254は、複数の支持索253によって吊り下げられた支持体としての皿251に配置されている点が図24(a)の例とは相違する。このような構成でも、皿251の動きを各標的254に対する遊技媒体の命中の状況に応じて同様に変化させて同様の作用効果を得ることが可能である。
図24(c)の対象物260は、景品PRを収容する支持体としての籠261の左右にアーム262を配置し、籠261及びアーム262を一体的にアーム262の周りに揺動可能に支持した例である。アーム262から籠261の下方にロッド263が延され、それらのロッド263の先端に標的264が設けられている。この対象物260でも、複数の標的264に対して遊技媒体が相互に影響し合うように命中すれば、単一の標的264のみ遊技媒体が命中した場合と比較して籠261を大きく揺動させ、景品PRをより多く解放させることが可能である。
なお、協力プレイは、上述した図20~22の対象物200、210、220を利用した場合でも実現可能である。それらの対象物200、210、220も、単一の柚木媒体のみが命中した場合と比較して、複数の遊技媒体が相互に影響し合うようにして対象物に命中した場合には、対象物がより大きく動いて景品を落下させ易くなる。つまり、協力プレイは、複数の発射機構のそれぞれから同一の対象物に向けて遊技媒体を発射することが可能であって、かつ複数の遊技媒体が相互に影響し合うように命中した場合には、単一の遊技媒体のみが命中した場合と比較して解放物の解放に関して有利となるように対象物が構成されていれば実現可能である。
図25~図27はさらに他の対象物の構成例を示している。それらの対象物は上述したように複数の発射機構を備えたゲーム機に適用されてよいが、単一の発射機構のみが設けられたゲーム機に対しても適用可能なものである。
図25の対象物300は、上部支持部301及び下部支持部302の二つのセクションを備えている。上部支持部301は一例として多数の景品PRを収容可能な皿状であり、その底部の中心に下部支持部302のねじ部303がねじ止めされている。ねじ部303を受け入れる雌ねじ部分は景品PRが通過可能な大きさの貫通孔である。一方、下部支持部302には複数の標的304が周方向に間隔を空けて設けられ、それらの標的304の下方にさらなる景品PRが吊り下げ支持される。このような例では、同図(a)に示すように標的304に遊技媒体を命中するごとに標的304が回転してねじ部303が徐々に緩む。そして、ねじ部303が上部支持部301から抜け落ちると、上部支持部301の雌ねじ部分も開通し、上部支持部301の景品PRも落下する。このような構成は、例えば、下部の景品PRに対してさらなる景品PRを追加的に獲得する期待感をユーザに与えることができる。
図26の対象物310は、台座311又は台座311に載せられた景品PRから袋312を吊り下げて支持し、その袋312に遊技媒体が通過する開口部313を設けた例である。景品PRが開口部313を通過して袋312に取り込まれるごとに袋312の重さが徐々に増加し、遊技媒体の数量が限界を超えると台座311が傾いて景品PRが解放され、あるいは景品PRが台座311から滑り落ちる。なお、図25及び図26の対象物300、310は、遊技媒体を対象物に複数回に亘って命中させることにより、景品PRが解放される点では、図14~図18に示した例と共通する。
図27の対象物320は、単一の台座321上に複数の領域322を設定し、各領域322に少なくとも一つの景品PRを載せた例である。台座321を旋回させることにより、いずれの景品PRを狙って遊技媒体を発射すべきかに関して遊戯性を生じさせることが可能である。対象物320をゲーム機1の搬送機構3から吊り下げ支持し、かつ台座321をその中心軸323の周りに自転させることにより、さらなる遊戯性をゲームに付加することも可能である。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係るゲーム機(1)は、対象物(200、210、220、230、240、250、260)に遊技媒体(B)が命中することにより、前記対象物の少なくとも一部が解放物(PR)として解放され、前記解放物の解放により景品(PR)がユーザに払い出されるように構成されたゲーム機であって、互いに異なる位置から同一の対象物に向かって前記遊技媒体を発射する複数の発射機構(4)と、前記遊技媒体の発射を指示するために前記ユーザに操作される発射機構ごとの操作部(8)と、前記操作部の操作に応答して、前記操作部に対応した発射機構から前記遊技媒体が発射されるように前記複数の発射機構のそれぞれを制御する制御装置(80)と、を備え、複数の遊技媒体が相互に影響し合うように命中した場合には、単一の遊技媒体のみが命中した場合と比較して前記解放物の解放に関して有利となるように前記対象物が構成されたものである。
上記態様によれば、複数の発射機構のそれぞれから同一の対象物に対して複数の遊技媒体を発射させた場合、それらの遊技媒体が相互に影響し合うように対象物に命中すれば、単一の遊技媒体のみが対象物に命中した場合よりも対象物の解放に関して有利となる。そのため、複数のユーザが協力し合って発射機構を操作するようなプレイをユーザに提供することが可能であり、それにより協力プレイに適したゲーム機を実現することができる。
上記態様において、前記対象物(230)には、前記遊技媒体を命中させるべき複数の標的(231)と、前記遊技媒体が前記複数の標的のそれぞれに対して相互に影響し合うように命中した場合に前記解放物を解放し、単一の標的に対してのみ前記遊技媒体が命中した場合には前記解放物を解放しないように動作する仕掛け手段(232)が設けられてもよい。これによれば、複数の標的のそれぞれを各発射機構のユーザがそれぞれ分担して狙うといった要素を含んだ協力プレイをユーザに提供することができる。
前記仕掛け手段は、前記複数の標的のそれぞれに対して前記遊技媒体が同時的に命中した場合に前記解放物を解放するように動作するものとしてもよい。物理的な遊技媒体を発射させるためには相応の時間が必要であり、単一の発射機構から複数の遊技媒体をそれぞれ別の位置を狙って発射させることは実質的に困難である。これに対して複数の発射機構が同一の対象物に向けて遊技媒体を発射できるように設けられていれば、それぞれの発射機構を同時的に操作して複数の標的に同時的に遊技媒体を命中させることが可能である。このような形態のプレイを協力プレイとしてユーザに提供することにより、単一の発射機構に依存するゲーム機では実現が困難な興趣の高いゲーム機を提供することができる。
上位機態様において、前記対象物(200、210、220、240、250、260)は、複数の遊技媒体が相互に影響し合うように命中した場合には、単一の遊技媒体のみが命中した場合と比較して前記対象物が大きく動いて前記解放物が解放され易くなるように構成されてもよい。これによれば、複数の遊技媒体を相互に影響し合うように対象物に命中させて対象物を大きく動かし、それにより解放物が解放される可能性を高めるといった要素を含んだ協力プレイをユーザに提供することができる。
さらに、前記対象物は、前記解放物を支持する支持体(201、211、221、241、251、261)を吊り下げた状態で支持し、前記支持体の傾きにより前記解放物が解放されるように構成されてもよい。支持体を吊り下げ支持した場合には、対象物に複数の遊技媒体が相互に影響し合うように命中したときに支持体がより大きく揺れ動くようになる。それにより、支持体が傾いて解放物が解放される可能性を高め得る。