JP7457853B1 - ポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】特にセラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた際に引張強度が均一化され、破断点応力の高いセラミックグリーンシートを得ることが可能なポリビニルアセタール樹脂を提供する。【解決手段】ビニルアルコール残基を(V)、アセタール残基を(A)と表記したときに、13C-NMR測定によって得られる、VVV、AVA、AVVの3連子ユニットの中央V残基のメチンC原子のピーク積分値の合計に対する、VVVユニットのメチンC原子のピーク積分値の割合が0.23未満であり、重量平均分子量が230000以上であリ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定において、リテンションタイムが20~30分の範囲に観測されるピークの半値幅が0.50以下である、ポリビニルアセタール樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアセタール樹脂に関する。
近年、種々の電子機器に搭載される電子部品の小型化、積層化が進んでおり、多層回路基板、積層コイル、積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品が広く使用されている。
なかでも、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造されている。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ビーズミル、ボールミル等の混合装置により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するスラリー組成物を得る。このスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、又はSUSプレート等の支持体面に流延して、これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に、内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製する。その後、積層体中に含まれるバインダー樹脂成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行い、焼成して得られるセラミック焼結体の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
しかしながら、従来のポリビニルアセタール樹脂は、有機溶剤に溶解した場合に微量の未溶解物が生じていた。このような未溶解物が存在すると、積層セラミックコンデンサの製造時、脱脂工程及び焼成工程でボイドが残りやすくなったり、セラミック粉末の分散性が低下したりする。その結果、得られる製品の電気特性が低下していた。
このため、ポリビニルアセタール樹脂をセラミックグリーンシートの用途に使用する際には、有機・無機化合物等を配合し、有機溶剤で溶解した後、濾過工程を行うことにより、未溶解物を除去する必要があった。
これに対して、特許文献1では、メチルエチルケトン及び/又はトルエンとエタノールとの1:1混合溶剤に溶解して5重量%溶液としたポリビニルアセタール樹脂溶液を、目開き5μmのフィルタを用い、濾過温度25℃、濾過圧10mmHgの条件で濾過したときの濾過流量の低下率が10%未満であるポリビニルアセタール樹脂が提案されている。また、特許文献2には、IR吸収スペクトルにおける波数3100~3700cm-1の範囲内におけるピークの波数A(cm-1)、及び、水酸基量(モル%)を特定範囲に制御するポリビニルアセタール樹脂が開示されている。このようなポリビニルアセタール樹脂を用いることで、有機溶剤に溶解した場合に未溶解物が少なく、濾過時間を短縮できることにより、生産性を向上させることができるとされている。
特開2005-325342号公報 国際公開2021/060499号
しかしながら、特許文献1に記載のポリビニルアセタール樹脂を用いた場合、得られるセラミックグリーンシートの引張強度にバラツキ(不均一性)が生じるとともに、破断点応力が不充分なものになるという問題があった。特にセラミックグリーンシートの薄層化に伴い、引張強度の均一性、破断点応力が重要な特性となっている。また、特許文献2に記載のポリビニルアセタール樹脂を用いた場合も、得られるセラミックグリーンシートの引張強度の均一性に改善の余地があった。
本発明は、特にセラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた際に、引張強度の均一性が高く、破断点応力の高いセラミックグリーンシートを得ることができるポリビニルアセタール樹脂を提供することを目的とする。
本開示(1)は、13C-NMR(核磁気共鳴)測定によって得られる、下記式(a)、下記式(b)及び下記式(c)で表される3連子ユニットの(a)’、(b)’、(c)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計に対する下記式(a)で表される3連子ユニットの(a)’に示すメチンC原子のピーク積分値の割合が0.23未満であり、重量平均分子量が230000以上であり、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定において、リテンションタイムが20~30分の範囲に観測されるピークの半値幅が0.50以下である、ポリビニルアセタール樹脂である。
Figure 0007457853000001
式(b)及び式(c)におけるRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
本開示(2)は、エタノールとトルエンとの1:1混合溶剤に溶解した5質量%溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度が30mPa・s以上、600mPa・s以下である本開示(1)に記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示(3)は、水酸基量が23モル%以上、40モル%以下である、本開示(1)又は(2)に記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示(4)は、アセチル基量が0.1モル%以上、5モル%以下である、本開示(1)~(3)の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示(5)は、分子量分布が2.75以下である、本開示(1)~(4)の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示(6)は、セラミックグリーンシートに用いられる、本開示(1)~(5)の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂である。
本開示(7)は、本開示(1)~(6)の何れかに記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリー組成物である。
本開示(8)は、本開示(7)に記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシートである。
本開示(9)は、本開示(8)に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる積層セラミックコンデンサである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、13C-NMRで測定した上記式(a)、上記式(b)及び上記式(c)で表される3連子ユニットの(a)’、(b)’、(c)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計に対する上記式(a)で表される3連子ユニットの(a)’に示すメチンC原子のピーク積分値の割合(水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合)、高速液体クロマトグラフィー分析に置けるポリビニルアセタールに由来するピークの半値幅、重量平均分子量が特定の関係を満たすポリビニルアセタール樹脂を用いて得られるセラミックグリーンシートは引張強度が均一化され、破断点応力の高いセラミックグリーンシートを得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、セラミックグリーンシート用スラリー組成物とした場合に、経時でのスラリー粘度の上昇を防止して、生産性を向上できるという効果も得ることが可能となる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、13C-NMRで測定した水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合が0.23未満である。上記範囲とすることで、引張強度の均一性を良化することができる。
上記水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合は、好ましい下限が0.14、好ましい上限が0.22、さらに好ましい下限は0.15、さらに好ましい上限は0.21である。すなわち、上記水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合は0.14~0.22が好ましく、0.15~0.21がさらに好ましい。
上記0.23未満であれば、ポリビニルアセタール樹脂の溶解性やチタン酸バリウムの分散性が向上し、より均一なセラミックグリーンシートを作成することができることにより、引張強度の均一性が良好になる。
上記水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合は、上記式(a)、上記式(b)及び上記式(c)で表される3連子ユニットの(a)’、(b)’、(c)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計に対する上記式(a)で表される3連子ユニットの(a)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計の割合であり、13C-NMRによって測定することができる。
上記式(a)、上記式(b)及び上記式(c)で表される3連子ユニットの(a)’、(b)’、(c)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計[I(a)’+I(b)’+I(c)’]は、13C-NMR(核磁気共鳴)測定によって得られた13C-NMRスペクトルにおける下記(f)式で表される3連子ユニットの(f)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(f)’、下記(g)式で表される3連子ユニットの(g)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(g)’、下記(k)式で表される3連子ユニットの(k)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(k)’、下記(i)式で表される3連子ユニットの(i)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(i)’、下記(j)式で表される3連子ユニットの(j)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(j)’及び、下記(m)式で表される3連子ユニットの(m)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(m)’としたとき、これらの合計、即ち下記式(4)で算出することができる。

I(a)’+I(b)’+I(c)’=I(f)’+I(g)’+I(k)’+I(i)’+I(j)’+I(m)’ (4)
Figure 0007457853000002
式(i)、式(j)及び式(m)におけるR~Rは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
上記式(a)で表される3連子ユニットの(a)’に示すメチンC原子のピーク積分値[I(a)’]は、13C-NMR(核磁気共鳴)測定によって得られた13C-NMRスペクトルにおける上記(f)式で表される3連子ユニットの(f)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(f)’、上記(g)式で表される3連子ユニットの(g)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(g)’、上記(k)式で表される3連子ユニットの(k)’の位置のメチンC原子が帰属するピークの積分値をI(k)’としたとき、これらの合計、即ち下記式(5)で算出することができる。

I(a)’=I(f)’+I(g)’+I(k)’(5)
上記式(a)、上記式(b)及び上記式(c)で表される3連子ユニットのピーク積分値の合計に対する上記式(a)で表される3連子ユニットのピーク積分値の割合[I(a)’/I(a)’+I(b)’+I(c)’]は、下記式(6)で算出することができる。

I(a)’/(I(a)’+I(b)’+I(c)’)=(I(f)’+I(g)’+I(k)’)/(I(f)’+I(g)’+I(k)’+I(i)’+I(j)’+I(m)’) (6)
13C-NMRスペクトルにおいて、上記I(f)’は64.0~64.8ppmの区間のピーク積分値であり、上記I(g)’は65.8~66.7ppmの区間のピーク積分値である。
また、I(i)’は61.5~63.1ppmの区間のピーク積分値であり、I(j)’は64.8~65.8ppmの区間のピーク積分値であり、I(m)’は63.1~64.0ppmの区間のピーク積分値である。
上記I(k)’は66.7~70.5ppmの区間のピークに基づくものであるが、一部他の構造のピークと重複するため、他のピークとの差分により算出することができる。上記I(k)’は、例えば、下記構造単位(e)の(e1)’の位置のメチンC原子が帰属するピークも66.7~70.5ppmの区間に存在するため、下記式(7)を用いてピーク積分値を算出することができる。
ここで、I(t)は66.7~70.5ppmの区間のピーク積分値であり、I(d1)’は構造単位(d)の(d1)’の位置のメソ型を有する6員のアセタール環のアセタール部分のメチンC原子が帰属する98.5~101.5ppmの区間のピーク積分値であり、I(e1)’は、構造単位(e)の(e1)’の位置のラセモ型を有する6員のアセタール環のアセタール部分のメチンC原子が帰属する91.5~94.5ppmの区間のピーク積分値であり、I(d2)’は、構造単位(d)の(d2)’の位置つまりメソ型を有する6員のアセタール環の主鎖のメチンC原子が帰属する71.0~74.6ppmの区間のピーク積分値であり、I(e2)’は、構造単位(e)の(e2)’の位置のラセモ型を有する6員のアセタール環の主鎖のメチンC原子が帰属する66.7~70.5ppmの区間のピーク積分値である。

I(k)’=I(t)-I(d1)’×I(e2)’÷I(d2)’ (7)
Figure 0007457853000003
式(d)及び式(e)におけるR4、R5は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
上記水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合は、例えば、原料ポリビニルアルコール樹脂のケン化度、アルデヒド種、アセタール化反応の条件、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量、水酸基量、アセチル基量、重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布等を適宜設定することで調整することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、エタノールとトルエンとの1:1混合溶剤に溶解した5質量%溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度が30mPa・s以上、600mPa・s以下であることが好ましい。
引張強度の均一性を良くすることができる点から、上記粘度は30mPa・s以上、さらに好ましくは50mPa・s以上、特に好ましくは60mPa・s以上である。セラミックスラリー組成物の粘度安定性を良くすることができる点から600mPa・s以下、さらに好ましくは400mPa・s以下、特に好ましくは200mPa・s以下である。すなわち、上記粘度は30~600mPa・sが好ましく、50~400mPa・sがさらに好ましく、60~200mPa・sが特に好ましい。
上記B型粘度計としては、例えば、東機産業社製、TVB-10形粘度計を用いることができる。また、粘度測定の際のローターや回転数は、溶液粘度によって適宜調整して測定することが好ましく、例えば、回転数0.3~100rpmの範囲で、SPINDLE No.M1~M4を用いて測定することが好ましい。
上記粘度は、例えば、原料ポリビニルアルコール樹脂のケン化度や平均重合度、アセタール化反応の条件、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量、水酸基量、アセチル基量、重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布等を適宜設定することで調整することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、下記式(1)で表されるアセタール基を有する構成単位、下記式(2)で表される水酸基を有する構成単位、下記式(3)で表されるアセチル基を有する構成単位を有することが好ましい。
Figure 0007457853000004
上記式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
上記式(1)中、Rが炭素数1~20のアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、n-プロピル基が好ましい。
本発明のポリビニルアセタール樹脂において、上記式(1)で表されるアセタール基を有する構成単位の含有量(以下、「アセタール基量」ともいう)の好ましい下限は55モル%、好ましい上限は75モル%である。
上記アセタール基量が55モル%以上であると、有機溶剤への溶解性を向上させることができる。上記アセタール基量が75モル%以下であると、引張強度に優れたポリビニルアセタール樹脂とすることができる。
上記アセタール基量は、より好ましい下限が57モル%、さらに好ましい下限が60モル%、より好ましい上限が73モル%である。すなわち、上記アセタール基量は55~75モル%が好ましく、57~73モル%がより好ましく、60~73モル%がさらに好ましい。
上記アセタール基量は、H-NMRにより測定することができる。
なお、アセタール基量の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
本発明のポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(2)で表される水酸基を有する構成単位の含有量(以下、「水酸基量」ともいう)の好ましい下限は23モル%、好ましい上限は40モル%である。
上記水酸基量が23モル%以上であると、強靭性の高いポリビニルアセタール樹脂とすることができる。上記水酸基量が40モル%以下であると、有機溶剤への溶解性を充分に向上させることができる。
上記水酸基量は、より好ましい下限が25モル%、さらに好ましい下限が27モル%、特に好ましい下限が29モル%、より好ましい上限が35モル%、さらに好ましい上限が33モル%である。すなわち、上記水酸基量は23~40モル%が好ましく、25~35モル%がより好ましく、27~33モル%がさらに好ましく、29~33モル%が特に好ましい。
上記水酸基量は、H-NMRにより測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(3)で表されるアセチル基を有する構成単位の含有量(以下、「アセチル基量」ともいう)の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は5モル%である。
上記アセチル基量が0.1モル%以上であると、ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の分子内及び分子間の水素結合によるセラミックグリーンシート用スラリー組成物の高粘度化を抑制することができる。上記アセチル基量が5モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の柔軟性が上がりすぎることなく、ハンドリング性を向上させることができる。
上記アセチル基量は、より好ましい下限が0.3モル%、さらに好ましい下限が0.5モル%、より好ましい上限が4モル%、さらに好ましい上限が3モル%、特に好ましい上限が2モル%である。すなわち、上記アセチル基量は0.1~5モル%が好ましく、0.3~4モル%がより好ましく、0.5~3モル%がさらに好ましく、0.5~2モル%が特に好ましい。
上記アセチル基量は、H-NMRにより測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、重量平均分子量(Mw)の下限が230000である。上記重量平均分子量が230000以上であることで、引張強度を良好なものとすることができる。
上記重量平均分子量は、好ましい下限が270000、より好ましい下限が290000、好ましい上限が700000、より好ましい上限が450000である。すなわち、上記重量平均分子量は270000~700000が好ましく、290000~450000がより好ましい。
また、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、数平均分子量(Mn)の好ましい下限が98000、好ましい上限が250000、より好ましい上限が160000である。すなわち、上記数平均分子量は98000~250000が好ましく、98000~160000がより好ましい。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である分子量分布の好ましい下限が2.2、より好ましい下限が2.4、好ましい上限が2.75、より好ましい上限が2.73、さらに好ましい上限が2.7である。
上記Mw、Mnは例えば、適切な標準(例えば、ポリスチレン標準)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。上記Mw、Mnを測定する際に用いるカラムとしては、例えば、TSKgel SuperHZM-H等が挙げられる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、薄膜セラミックグリーンシートを作製する場合に、機械的強度が保てるという観点から、平均重合度の好ましい下限が600、より好ましい下限が800、さらに好ましい下限が1000、また有機溶剤への溶解性や、溶解粘度の観点から、好ましい上限が4000、より好ましい上限が3000、さらに好まし上限が2500である。すなわち、上記平均重合度は600~4000が好ましく、800~3000がより好ましく、1000~2500がさらに好ましい。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は原料ポリビニルアルコールのものと同様である。また、上記平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定において、リテンションタイムが20~30分の範囲に観測されるピークの半値幅(HPLC半値幅)が、0.50以下である。上記HPLC半値幅が上記範囲内であることで、得られるセラミックグリーンシートの引張強度の均一性を高めることができる。
上記HPLC半値幅は、0.30以上、0.45以下が好ましく、0.31以上、0.42以下であることがより好ましく、0.32以上、0.40以下であることがさらに好ましい。すなわち、上記HPLC半値幅は0.30~0.45が好ましく、0.31~0.42がより好ましく、0.32~0.40がさらに好ましい。
なお、上記半値幅とは、観測されるピークの1/2(50%)の高さ位置でのピーク幅を意味する。
また、上記HPLC測定は、水-テトラヒドロフラン/イソプロパノール=7/3[体積比]混合溶液の溶離液による逆相分配グラジエント高速液体クロマトグラフィー測定を意味する。
上記HPLC測定は、例えば以下の測定条件で行うことができる。
HPLC装置:島津製作所社製 Prominence
試料濃度:0.2mg/mL
試料溶媒:テトラヒドロフラン(THF)/イソプロパノール(IPA)=7/3[体積比]
注入量:20μL
検出器:島津製作所社製 蒸発光散乱検出器(以下、ELSD)「ELSD_LTII」
ネブライザーガス:窒素ガス(ガス供給圧力=350kPa)
検出器温度:35℃
ODSカラム:Waters社製「XBridge BEH C18(内径2.1μm ×10cm、充填剤粒径3.5μm)」
カラム温度:45℃
送液流量:惣流量0.4mL/分
本発明のポリビニルアセタール樹脂のHPLC測定は、例えば、以下の手順で実施することができる。
移動相は極性の異なる種類の溶媒を用いる。高極性の移動相Aとして水、低極性の移動相BとしてTHF/IPA=7/3[体積比]を使用することが好ましい。サンプル注入前の時点においてはHPLCシステムのカラム内部は移動相A/移動相Bが体積比で9/1の混合溶媒で満たされた状態である。この状態でサンプルを注入し、サンプル注入直後から20分かけて移動相における移動相Bの割合を一定速度(4.5vol%/分)で増加させる。注入後20分後から10分間は移動相Bのみ流す。
ポリビニルアセタール樹脂は、分子中にアセタール環単量体及びビニルエステル単量体に由来する低極性部位と、ビニルアルコール単量体に由来する高極性部位を有している。そのためポリビニルアセタール樹脂の分子中には低極性部位と高極性部位の分布が存在し、引張強度の均一性に影響することを見出した。HPLC分析によるピーク半値幅W0.5hは、ポリマー中の低極性部位と高極性部位の分布を判断できる。W0.5hが増加すると低極性部位と高極性部位の分布が広くなり、減少すると分布が狭くなることを示す。極性の分布が狭くなることで、ポリビニルアセタール樹脂が均一に溶解し、均一なセラミックグリーンシートを作製することができるため、引張強度の均一性を高めることができる。
上記HPLC測定によるHPLC半値幅(ピーク半値幅W0.5h)は、例えば、原料ポリビニルアルコール樹脂のケン化度やけん化度分布、アセタール化反応の条件、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量、水酸基量、アセチル基量、重量平均分子量、数平均分子量、分子量分布等を適宜設定することで調整することができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、通常、ポリビニルアルコール樹脂をアセタール化することにより製造することができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造された樹脂等の従来公知のポリビニルアルコール樹脂を用いることができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセモ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。また、上記ポリビニルアルコール樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂等、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとビニルアルコールとの共重合体も用いることができる。
上記ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度が70モル%以上99.5モル%以下であることが好ましく、95モル%以上99.3モル%以下であることがより好ましい。すなわち、上記ケン化度は70~99.5モル%が好ましく、95~99.3モル%がより好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂を用いることにより、ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。
上記アセタール化は、水溶剤中、水と水との相溶性のある有機溶剤との混合溶剤中、あるいは有機溶剤中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶剤としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、アルコール系有機溶剤、芳香族有機溶剤、脂肪族エステル系溶剤、ケトン系溶剤、低級パラフィン系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等が挙げられる。
上記脂肪族エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
上記低級パラフィン系溶剤としては、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルテセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、アニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶剤を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1~10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられる。
上記脂肪族アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、n-ヘプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、アミルアルデヒド等が挙げられる。
上記芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β-フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。
これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルデヒドとしては、なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に充分な内部可塑効果をもたらし、結果として良好な柔軟性を付与することができるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、n-ノニルアルデヒドが好ましい。また、耐衝撃性及び金属との接着性に特に優れる接着剤組成物を得られることから、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とするポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量にあわせて適宜設定することができる。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、好ましくは55モル%以上95モル%以下、より好ましくは60モル%以上90モル%以下とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。すなわち、上記アルデヒドの添加量は55~95モル%が好ましく、60~90モル%がより好ましい。
また、上記アルデヒドを添加する際の温度(アルデヒド投入温度)は、0℃以上が好ましく、10℃以上がさらに好ましく、55℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。すなわち、上記アルデヒド投入温度は0~55℃が好ましく、10~50℃がさらに好ましい。
上記アルデヒド投入温度とすることで、上記ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。
上記アセタール化反応に際しては、アセタール反応前に、塩酸による加水分解または水酸化ナトリウムによるけん化工程を行うことが好ましく、中でも塩酸による加水分解が好ましい。上記塩酸による加水分解工程を行うことで、上記ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。例えば、上記塩酸による加水分解工程とは、ポリビニルアルコールを水に加熱溶解した後、塩酸を投入して一定時間加熱撹拌を行い、ポリビニルアルコール中に含まれるアセチル基を水酸基に加水分解する工程である。加水分解温度や加水分解時間、塩酸量は、原料ポリビニルアルコールのけん化度や、加水分解後の狙いけん化度に応じて適宜調整すれば良い。
上記加水分解温度は50℃以上が好ましく、90℃以下が好ましい。上記加水分解時間は、30分以上が好ましく、10時間以下が好ましい。すなわち、上記加水分解時間は30分~10時間が好ましい。上記塩酸量はポリビニルアルコール100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、250重量部以下が好ましい。すなわち、上記塩酸量はポリビニルアルコール100重量部に対して、10~250重量部が好ましい。
上記アセタール化反応は、所定温度でアルデヒドを投入後、一定時間、所定温度で保持することが好ましい。
上記アセタール化反応における保持時間は、0.1時間以上、7時間以下であることが好ましく、0.5時間以上、5時間以下であることがより好ましい。すなわち、上記保持時間は0.1~7時間が好ましく、0.5~5時間がより好ましい。上記保持時間とすることで、上記ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。
上記アセタール化反応における保持温度は、-5℃以上、50℃以下であることが好ましく、5℃以上、40℃以下であることがより好ましい。すなわち、上記保持温度は-5~50℃が好ましく、5~40℃がより好ましい。上記保持温度とすることで、ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。
上記アセタール化反応は、所定温度でアルデヒドを投入後、所定の昇温速度で昇温を行ってから、一定時間、所定温度で保持しても良い。
上記アセタール化反応における昇温時間は、60分以上、500分以下であることが好ましく、120分以上、400分以下であることがより好ましい。すなわち、上記昇温時間は60~500分が好ましく、120~400分がより好ましい。
また、上記昇温速度は0.1℃/分以上、2℃/分以下であることが好ましい。すなわち、上記昇温速度は0.1~2℃/分が好ましい。
上記昇温速度、昇温速度で昇温を行うことで、上記ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合、粘度、HPLC半値幅を所定の範囲とすることができる。
本発明のポリビニルアセタール樹脂に有機溶剤、セラミック粉末を混合することでセラミックグリーンシート用スラリー組成物を作製することができる。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類が挙げられる。また、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。更に、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酪酸2-エチルヘキシル等のエステル類等が挙げられる。また、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。特に、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類及びこれらの混合溶剤が塗工性、乾燥性の面から見て好ましい。なかでも、エタノールとトルエンの混合溶剤やメチルエチルケトンとトルエンの混合溶剤がより好ましい。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物中の上記有機溶剤の含有量は、用いられるポリビニルアセタール樹脂の種類等によって設定されるものであって、特に限定されるものではないが、あまり少ないと、混錬に必要な溶解性を発揮しにくい。また、あまり多いと、セラミックグリーンシート用スラリー組成物の粘度が低くなり過ぎてセラミックグリーンシートを作製する際のハンドリング性が悪くなることがある。このため、有機溶剤の含有量は、好ましくは20重量%以上80重量%以下である。すなわち、上記有機溶剤の含有量は20~80重量%が好ましい。
上記セラミック粉末としては、セラミックの製造に使用される金属又は非金属の酸化物もしくは非酸化物の粉末が挙げられる。また、これらの粉末の組成は単一組成、化合物の状態のものを単独又は混合して使用しても差し支えない。なお、金属の酸化物又は非酸化物の構成元素はカチオン又はアニオンともに単元素でも複数の元素から成り立っていてもよく、更に酸化物又は非酸化物の特性を改良するために加えられる添加物を含んでいてもよい。具体的には、Li、K、Mg、B、Al、Si、Cu、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Ga、In、Y、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni等の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、硫化物等が挙げられる。
また、通常複酸化物と称される複数の金属元素を含む酸化物粉末の具体的なものを結晶構造から分類すると、ペロブスカイト型構造をとるものとしてNaNbO、SrZrO、PbZrO、SrTiO、BaZrO、PbTiO、BaTiO等が挙げられる。スピネル型構造をとるものとしてMgAl、ZnAl、CoAl、NiAlO4、MgFe等が挙げられる。イルメナイト型構造をとるものとしてはMgTiO、MnTiO、FeTiO等が挙げられる。ガーネット型構造をとるものとしてはGdGa12、YFe12等が挙げられる。このなかでも、本願の変性ポリビニルアセタール樹脂は、BaTiOの粉末と混合したセラミックグリーンシートに対し、高い特性を示す。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物は、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤を添加することで、得られるセラミックグリーンシートの機械的強度、及び、柔軟性を大幅に向上させることができる。
上記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)等のフタル酸ジエステル、ジオクチルアジペート等のアジピン酸ジエステル、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール-ジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、テトラエチレングリコール-ジ-2-エチルブチレート、テトラエチレングリコール-ジ-ヘプタノエート、トリエチレングリコール-ジ-ヘプタノエート等のアルキレングリコールジエステル等が挙げられる。
上記セラミック粉末の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、薄層セラミックグリーンシート(厚さ5μm以下)の作製用としては、0.5μm以下であることが好ましい。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物において、上記可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する好ましい下限が7重量部、より好ましい下限が8.5重量部、好ましい上限が40重量部、より好ましい上限が30重量部である。すなわち、上記可塑剤の含有量は7~40重量部が好ましく、8.5~30重量部がより好ましい。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリビニルアセタール樹脂以外のポリビニルアセタール樹脂や、アクリル樹脂、エチルセルロース等の他の樹脂を含有していてもよい。このような場合、全バインダー樹脂に対する本発明のポリビニルアセタール樹脂の含有量が50重量%以上であることが好ましい。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物には、必要に応じて、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、充填剤、離型剤等を適宜添加してもよく、場合によってはアクリル樹脂やウレタン樹脂等の他樹脂を少量添加してもよい。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、本発明のポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤、セラミック粉末及び必要に応じて添加する各種添加剤をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法等が挙げられる。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物を塗工した後、加熱し乾燥させることでセラミックグリーンシートが得られる。
上記セラミックグリーンシートを用いて、セラミック電子部品を製造することができる。例えば、セラミックグリーンシートの表面に電極層用ペーストを塗工する工程、電極層が形成されたセラミックグリーンシートを積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂、焼成する工程を行うことで、セラミック電子部品を製造することができる。
上記セラミックグリーンシート用スラリー組成物を塗工する場合の方法としては、特に限定されず、例えば、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の方法が挙げられる。なお、その他の具体的な方法については、従来公知の方法を用いることができる。
上記セラミック電子部品としては特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサ、積層セラミックインダクタ、キャパシタ、圧電アクチュエーター、積層バリスタ、積層サーミスタ、EMIフィルタ、窒化アルミニウム多層基板、アルミナ多層基板等が挙げられる。このような積層セラミックコンデンサもまた本発明の1つである。
上記セラミック電子部品の製造方法では、上記セラミックグリーンシートの表面に電極層用ペーストを塗工する工程を行う。
電極層用ペーストとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂やエチルセルロース、アクリル樹脂等をバインダー樹脂として有機溶剤に溶解し、導電粉末等を分散させることで得ることができる。これらの樹脂は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。ポリビニルアセタール樹脂を含有する電極層用ペーストは、加熱圧着工程において、セラミックグリーンシートに優れた接着性を示すので好ましい。
上記セラミック電子部品の製造方法では、上述した、電極層が形成されたセラミックグリーンシートを作製した後、同様にして作製した電極層が形成されたセラミックグリーンシートを積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂、焼成することで、シートアタックやクラック等の問題が解決された積層セラミック電子部品が得られる。
なお、上記加熱圧着工程、積層体を脱脂、焼成する工程については特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
本発明によれば、特にセラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた際に引張強度が均一化され、破断点応力の高いセラミックグリーンシートを得ることが可能なポリビニルアセタール樹脂を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1,800、ケン化度88.1モル%)300gに純水3000gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を70℃に冷却して、濃度35重量%の塩酸200gを添加し、3時間保持した。40℃に冷却し、n-ブチルアルデヒド160gを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(実施例2)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1,800、ケン化度88.1モル%)200gに純水3000gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を70℃に冷却して、濃度35重量%の塩酸200gを添加し、3時間保持した。40℃に冷却し、n-ブチルアルデヒド107gを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(実施例3)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1,500、ケン化度88.1モル%)300gに純水3000gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を70℃に冷却して、濃度35重量%の塩酸200gを添加し、3時間保持した。40℃に冷却し、これにn-ブチルアルデヒド160gを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(比較例1)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1,700、ケン化度98.0モル%)300gに純水3000gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸200gとn-ブチルアルデヒド160gとを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(比較例2)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度3,000、ケン化度98.5モル%)300gに純水3100gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸200gとn-ブチルアルデヒド160gとを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(比較例3)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度800、ケン化度98.4モル%)300gに純水3100gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸200gとn-ブチルアルデヒド150gとを添加し、40℃で、3時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(比較例4)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1,700、ケン化度99.0モル%)210gに純水3000gを加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を20℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸200gとn-ブチルアルデヒド115gとを添加し、昇温速度0.30℃/分で昇温させ(昇温時間150分)、65℃で、2時間保持してアセタール化反応を行った後、反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)ポリビニルアセタール樹脂の評価
(1-1)アセタール基量、水酸基量、アセチル基量
得られたポリビニルアセタール樹脂について、AV400型分光計(Bruker社製)を使用して、H-NMR測定を行い、アセタール基量、水酸基量、アセチル基量を算出した。
なお、得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-D中に1.6重量%になるように溶解し、測定溶液とした。また、H-NMR測定は80℃で実施した。
(1-2)ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合(3連鎖の水酸基構成単位の割合)
得られたポリビニルアセタール樹脂について、AV400型分光計(Bruker社製)を使用して、13C-NMR測定を実施することで、ポリビニルアセタール樹脂における水酸基を有する構成単位の3連鎖からなる3連子ユニットのピーク積分値の割合を測定した。なお、ピーク積分値測定の詳細は前述した通りである。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-D中に12重量%になるように溶解し、測定溶液とした。また、13C-NMR測定は80℃で実施した。
(1-3)平均分子量測定
得られたポリビニルアセタール樹脂0.04gを、テトラヒドロフラン20gに添加し、撹拌溶解し、樹脂溶液を作製した。上記樹脂溶液について、カラムとしてLF-804(SHOKO社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。また、得られたMw及びMnからMw/Mnを算出した。
(1-4)粘度測定
得られたポリビニルアセタール樹脂を重量比1:1のエタノール・トルエン混合溶液に対して5質量%となるように溶解し、粘度測定用サンプルを調製した。得られた粘度測定用サンプルについて、B型粘度計を用い、粘度測定を実施した。
なお、B型粘度計としては、TVB-10形粘度計(東機産業社製)を用い、回転数とローターは次の通りにして測定を行った。
実施例1~3、比較例1、4:回転数30rpm、SPINDLE No.M1
比較例2:回転数30rpm、SPINDLE No.M2
比較例3:回転数60rpm、SPINDLE No.M1
(1-5)高速液体クロマトグラフィー[HPLC]測定
実施例及び比較例で得たポリビニルアセタールをTHF/IPA=7/3[体積比]を溶媒として濃度0.2mg/mLで調整し、測定サンプルとした。
HPLC装置としては株式会社島津製作所「Prominence」、LCカラムとしてWaters社製「XBridge BEH C18(内径2.1μm×10cm、充填剤粒径3.5μm)」を使用し、蒸発光散乱検出器として株式会社島津製作所「ELSD_LTII」を使用した。
分析は以下の手順で実施した。移動相Aとして水、及び移動相BとしてTHF/IPA=7/3[体積比]を使用した。サンプル注入前の時点においてはHPLCシステムのカラム内部は移動相A/移動相Bが体積比で9/1の混合溶媒で満たされた状態である。この状態でサンプルを注入し、サンプル注入直後から20分かけて移動相における移動相Bの割合を一定速度(4.5vol%/分)で増加させる。注入後20分後から10分間は移動相Bのみ流す。カラム温度は45℃であり、送液流量は0.4mL/分であった。
[半値幅の算出]
ピーク半値幅W0.5hは上記条件において逆相分配グラジエント高速液体クロマトグラフィーで測定し、ピーク50%高さ位置でのピーク幅を表している。実際の得られたデータの解析は株式会社島津製作所製「Labsolutions LC(ver.5.7.1 SP1)」を使用し、下記条件で解析した。
Width:100秒
Slope:200μm
Drift:0μV/分
T.DBL:1000分
最小面積/高さ:10,000カウント
この条件で解析した際に算出されるピーク50%高さ幅をW0.5hとして算出した。
(2)セラミックグリーンシート用スラリー組成物の評価[経時粘度安定性]
(無機粉分散液の作製)
ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業社製、BL-1)1重量部を、トルエン20重量部とエタノール20重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した。次いで、100重量部のチタン酸バリウムの粉末(堺化学工業社製、BT01)を得られた溶液に添加し、ビーズミル(アイメックス社製 レディーミル)にて180分間撹拌することにより、無機粉分散液を作製した。
(樹脂溶液の作製)
ポリビニルアセタール樹脂8重量部、可塑剤(積水化学工業社製、G260)2.1重量部を、エタノール45重量部とトルエン45重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解することにより、樹脂溶液を作製した。
(セラミックグリーンシート用スラリーの作製)
得られた無機粉分散液に樹脂溶液を添加しビーズミルにて90分間攪拌することにより、セラミックグリーンシート用スラリー組成物を得た。
(2-1)経時粘度安定性
得られたセラミックグリーンシート用スラリー組成物について、レオメーター(TA instruments社製 Discovery HR 10)を用いて20℃、回転数1.0(1/s)における粘度を測定した。また、セラミックグリーンシート用スラリー組成物を23℃で一週間放置した後の粘度についても同様の条件で測定し、1週間経過前後での粘度変化率を計算した。得られた粘度変化率について、以下の基準で評価した。
AA:粘度変化率が400%以下
A:粘度変化率が400%超、500%以下
B:粘度変化率が500%超、600%以下
C:粘度変化率が600%超
(3)セラミックグリーンシートの評価
(セラミックグリーンシートの作製)
得られたスラリーを、コーターを用いて乾燥後の厚みが20μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗工した後、加熱乾燥させ、セラミックグリーンシートを作製した。
(3-1)引張強度
得られたセラミックグリーンシートについて、JIS K 7113に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH AGS-J)を用い、23℃環境下で、引張速度20mm/分の条件にて、破断点応力(MPa)の測定を行った。得られた破断点応力について、以下の基準で評価した。
AA:破断点応力が32MPa超
A:破断点応力が30MPa超、32MPa以下
B:破断点応力が25MPa超、30MPa以下
C:破断点応力が25MPa以下
(3-2)引張強度のバラツキ性
得られたセラミックグリーンシートについて、JIS K 7113に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH AGS-J)を用い、23℃環境下で、引張速度20mm/分の条件にて、破断点応力(MPa)の測定を行った。試験片は30個用意し、30回測定を行い、破断点応力の標準偏差を求め、以下の基準で評価した。
AA:破断点応力の標準偏差が0.40以下
A:破断点応力の標準偏差が0.40超、0.50以下
B:破断点応力の標準偏差が0.50超、0.60以下
C:破断点応力の標準偏差が0.60超
Figure 0007457853000005
本発明によれば、特にセラミックグリーンシート用のバインダーとして用いた際に引張強度が均一化され、破断点応力の高いセラミックグリーンシートを得ることが可能なポリビニルアセタール樹脂を提供することができる。

Claims (7)

  1. 13C-NMR(核磁気共鳴)測定によって得られる、下記式(a)、下記式(b)及び下記式(c)で表される3連子ユニットの(a)’、(b)’、(c)’に示すメチンC原子のピーク積分値の合計に対する下記式(a)で表される3連子ユニットの(a)’に示すメチンC原子のピーク積分値の割合が0.23未満であり、
    重量平均分子量が230000以上であり、
    高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定において、リテンションタイムが20~30分の範囲に観測されるピークの半値幅が0.50以下であり、
    水酸基量が23モル%以上、40モル%以下、アセチル基量が0.1モル%以上、5モル%以下である、
    ポリビニルアセタール樹脂。

    Figure 0007457853000006
    式(b)及び式(c)におけるRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上20以下の炭化水素基である。
  2. エタノールとトルエンとの1:1混合溶剤に溶解した5質量%溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した場合の溶液粘度が30mPa・s以上、600mPa・s以下である請求項1に記載のポリビニルアセタール樹脂。
  3. 分子量分布が2.75以下である、請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂。
  4. セラミックグリーンシートに用いられる、請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂。
  5. 請求項1又は2に記載のポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤と、セラミック粉末とを含有する、セラミックグリーンシート用スラリー組成物。
  6. 請求項に記載のセラミックグリーンシート用スラリー組成物を用いて得られるセラミックグリーンシート。
  7. 請求項に記載のセラミックグリーンシートを用いて得られる積層セラミックコンデンサ。
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