JP2022018069A - 変性ポリビニルアセタール樹脂、蓄電池電極用組成物、顔料組成物、及び、変性ポリビニルアルコール樹脂 - Google Patents
変性ポリビニルアセタール樹脂、蓄電池電極用組成物、顔料組成物、及び、変性ポリビニルアルコール樹脂 Download PDFInfo
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Abstract
Description
そこで、二次電池として、リチウム又はリチウム合金を負極電極に用いたリチウム二次電池の研究開発が盛んに行われている。このリチウム二次電池は、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、軽量であるという優れた特徴を有している。
しかしながら、フッ素系樹脂をバインダーとして用いた場合、可撓性を有する薄膜を作製可能な一方で、集電体と活物質の結着性に劣るため、電池製造工程時に活物質の一部又は全部が集電体から剥離、脱落する恐れがあった。また、電池の充放電が行われる際、活物質内ではリチウムイオンの挿入、放出が繰り返され、それに伴い、集電体から活物質の剥離、脱落の問題が起こり得るという問題もあった。
このようなバインダーを用いることで、電解液耐性に優れ、電極との密着性が良好であり、かつ、製造時の安全性を実現することが可能であるとしている。
特許文献2には、25℃におけるエタノールに対する溶解度が7重量%より大きい樹脂を用いた油性ボールペン用インキにおいて、樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いることが記載されている。
また、このような樹脂を用いた場合、電極の抵抗が高いものとなっている。
更に、電解液による溶解が発生するため、電池耐久性の低下を招くという問題がある。
加えて、特許文献2に記載のインクを用いた場合でも、顔料の分散性や経時での分散安定性が不充分であるという問題がある。
即ち、本発明は、上述した特性に優れる変性ポリビニルアセタール樹脂、該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いた蓄電池電極用組成物、及び、顔料組成物、並びに、変性ポリビニルアルコール樹脂を提供することを目的とする。
以下に本発明を詳述する。
なお、上記塩素原子を有する構成単位は、塩素原子を1~3個有するものであることが好ましい。
また、上記塩素化変性アセタール結合単位は、下記式(1)で表される構成単位であることが好ましい。
下記式(1)で表される構成単位を有することで、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖と塩素原子とが適度な距離を保つことができる。その結果、変性ポリビニルアセタール樹脂は、接着性及び分散性に優れ、また、得られる組成物の経時安定性にもより一層優れたものとなる。また、蓄電池の電極に用いた場合に電極抵抗を低下させることができる。
また、本発明では、R1が塩素原子、R2、R3が水素原子の組み合わせで用いることが好ましい。
上記塩素原子含有芳香族基としては、クロロフェニル基又はクロロアルキルフェニル基等が挙げられる。上記クロロフェニル基としては、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、3,4―ジクロロフェニル基等が挙げられる。
また、上記クロロアルキルフェニル基としては、2-クロロメチルフェニル基、3-クロロメチルフェニル基、4-クロロメチルフェニル基等が挙げられる。
上記クロロフェニル基およびクロロアルキルフェニル基は、クロロ基に加えて他の置換基を有していても良い。
下記式(2)で表される構成単位を有することで、変性ポリビニルアセタール樹脂は、接着性及び分散性に優れ、また、得られる組成物の経時安定性にもより一層優れたものとなる。また、蓄電池の電極に用いた場合に電極抵抗を低下させることができる。
上記直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
上記分岐状アルキレン基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。
上記環状アルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基等の直鎖状アルキル基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記R5に示すクロロアルキル基としては、R1と同様のものを使用することができる。
また、本発明では、R4が単結合、R5が水素原子の組み合わせで用いることが好ましい。
なお、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂が、塩素化変性アセタール結合単位と、塩素化変性側鎖結合単位の両方を含む場合、上記塩素化変性単位量は両者の合計を意味する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂における上記水酸基を有する構成単位の含有量(水酸基量)の好ましい下限は20モル%、好ましい上限は70モル%である。上記水酸基量を20モル%以上とすることで、有機溶媒への溶解性が向上し、組成物として好適に使用することができ、70モル%以下とすることで、樹脂の柔軟性を維持することができる。
上記水酸基量のより好ましい下限は25モル%であり、より好ましい上限は65モル%である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂における上記アセチル基を有する構成単位の含有量(アセチル基量)の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記アセチル基量を0.1モル%以上とすることで、樹脂の柔軟性を維持することができ、上記アセチル基量を20モル%以下とすることで、蓄電池の電極に使用した際に電解液への耐性が向上し、樹脂が電解液へ溶出して電池が劣化することを防ぐことができる。上記アセチル基量のより好ましい下限は0.3モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂における上記アセタール基を有する構成単位の含有量(アセタール化度)は20モル%以上、75モル%以下であることが好ましい。上記アセタール化度を20モル%以上とすることで、有機溶媒への溶解性が向上し、組成物として好適に使用することができる。上記アセタール化度を75モル%以下とすることで、接着性、分散性を維持することができる。より好ましくは25モル%以上、70モル%以下である。
なお、本明細書において、アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、アルデヒド基を除いた部分の塩素原子を含まないアルデヒド(ブチルアルデヒド、アセトアルデヒド等)でアセタール化された水酸基数の割合のことである。従って、上述した「塩素原子がアセタール結合を介して結合した構造」の含有量はアセタール化度には含まれない。
また、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を算出する。
また、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂におけるブチルアルデヒドでアセタール化されたブチルアセタール基の含有量(ブチラール基量)は3モル%以上、75モル%以下であることが好ましい。上記範囲内とすることで、耐水性を維持、優れた粘度特性を得ることができる。
また、上記アセタール基を有する構成単位に対する上記塩素化変性アセタール結合単位の含有量[アセタール基を有する構成単位量/塩素化変性アセタール結合単位量]は15以下であることが好ましい。また、上記割合は10以下であることがより好ましい。なお、下限については特に限定されないが1以上が好ましい。
上記アセタール化度/塩素化変性単位量は、8以上、20以下であることがより好ましい。
上記塩素原子含有量Bとは、NMRを用いて得られる塩素化変性単位量から算出される塩素原子含有量を意味する。
よって塩素原子含有量Bは樹脂に結合した塩素原子含有量を表す値である。
また、上記塩素原子含有量A及び塩素原子含有量Bから、下記式(4)で得られる値(塩素原子含有量差C)は、0.5重量%以下であることが好ましい。
塩素原子含有量差C=塩素原子含有量A-塩素原子含有量B (4)
上記式(4)で得られる塩素原子含有量差Cによって、樹脂に結合していない塩素原子含有量が推定され、これにより例えばNaCl等の塩化物イオン量を推定することができ、上記上限以下であることにより、例えば、蓄電池の電極に用いた場合に電池の耐久性を向上させることができる。上記式(4)で得られる値(塩素原子含有量差C)は、0.1重量%以下であることがより好ましい。また、好ましい下限は特に限定されないが、0.001重量%以上であるとよい。
より具体的には、上記式(2)で表される構成単位を予め有するポリビニルアルコールを用意し、その後アセタール化する方法、上記式(2)で表される構成単位を有しないポリビニルアルコールをアセタール化した後、上記式(2)で表される構成単位のR4、R5に相当する部分を付加する方法等が挙げられる。また、上記式(2)で表される構成単位を予め有するポリビニルアルコール、上記式(2)で表される構成単位を有しないポリビニルアルコールを用意し、その後アセタール化によって上記式(1)で表される構成単位を導入する方法等が挙げられる。
また、上記塩素原子を付加する方法としては、例えば、ポリビニルアルコールと塩素ガスを反応させる方法等が挙げられる。
上記塩素原子を有するアルデヒドとしては、例えば、クロロアセトアルデヒド、ジクロロアセトアルデヒド、トリクロロアセトアルデヒド、3-クロロプロピオンアルデヒド、4-クロロブチルアルデヒド等が挙げられる。
上記アルデヒド等価体とは、アルデヒドに保護基を付けたもの、又は、一般に用いられる方法でアルデヒドに変換できる化合物であり、例えば、アセタール、ヘミアセタール、アルデヒド水和物等が挙げられる。なかでも、塩素原子を有するアルデヒド等価体が好ましい。
上記塩素原子を有するアルデヒド等価体としては、クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール、クロロアセトアルデヒドジエチルアセタール、2-クロロメチル-1,3-ジオキソラン、ジクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール、ジクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール、2,2-ジクロロメチル-1,3-ジオキソラン、トリクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール、トリクロロアセトアルデヒドジエチルアセタール、トリクロロアセトアルデヒドメチルヘミアセタール、トリクロロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、抱水クロラール、2,2,2-トリクロロメチル-1,3-ジオキソラン、3-クロロプロピオンアルデヒドジメチルアセタール、3-クロロプロピオンアルデヒドジエチルアセタール、2-(2-クロロエチル)-1,3-ジオキソラン、4-クロロブチルアルデヒドジメチルアセタール、4-クロロブチルアルデヒドジエチルアセタール、2-(3-クロロプロピル)-1,3-ジオキソラン等が挙げられる。
また、ゲルインク等のインク製品のバインダー、3Dプリンター用樹脂、アクチュエーター、気体分離膜、接着剤、塗料、フィルム等の原料にも使用することができる。
特に、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂を蓄電池電極に用いるバインダーとして使用する場合は、電極抵抗を低下させ、電解液による劣化を防ぐことができ、高出力の蓄電池を作製することが可能となる。
また、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂を顔料の分散剤として使用する場合は、例えば、ハロゲン化銅フタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36等)といったハロゲン置換された顔料に対する分散性、及び、分散後の経時安定性に優れたものとすることができる。
このような蓄電池電極用組成物では、活物質の分散性、接着性に優れるとともに、電気抵抗を低下させ、さらに電解液による劣化を防ぐことができ、高出力の蓄電池を作製することができる。
このような蓄電池電極用組成物では、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂とを両方を含有することで、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂単独、または、ポリフッ化ビニリデン樹脂単独で用いた場合より、さらに接着性に優れ、電気抵抗を低下させることができる場合がある。
本発明の蓄電池電極用組成物において、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂の塩素原子を有する構成単位の含有量は相溶性の観点から0.5モル%以上であることが好ましく、1モル%以上であることがより好ましい。
上記ポリフッ化ビニリデン樹脂の重量平均分子量は、400000以上1200000以下が好ましく、600000以上1000000以下がより好ましい。なお、上記重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて絶対分子量測定法で測定することができる。
また、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂の重量比は0.5:9.5~8:2であることが好ましく、1:9~7:3であることがより好ましい。上記範囲内とすることで、接着性が向上し、さらに電気抵抗を低下させることができる。また、本発明の蓄電池電極用組成物中における樹脂量(本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とポリフッ化ビニリデン樹脂の重量との合計量)は0.5~3重量部が好ましく、1~2.5重量部がより好ましい。上記樹脂量が0.5重量部以上であることで高い接着性を発現でき、3重量部以下であることで、電気抵抗の低い電極を作製することができる。
このような顔料組成物では、顔料の分散性に優れ、かつ、高い経時安定性を実現することができる。
上記正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物等のリチウム含有複合金属酸化物が挙げられる。具体的には例えば、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4等が挙げられる。
また、上記負極活物質としては、例えば、従来から蓄電池の負極活物質として用いられている材料を用いることができ、例えば、球状天然黒鉛、天然グラファイト、人造グラファイト、 アモルファス炭素、カーボンブラック、または、これらの成分に異種元素を添加したもの等が挙げられる。
なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記フタロシアニン系顔料としては、金属フタロシアニン系顔料、無金属フタロシアニン系顔料が挙げられる。上記金属フタロシアニン系顔料としては、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、アルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられる。上記ハロゲン化銅フタロシアニン顔料としては、ピグメントグリーン7、36が好ましい。
上記アルコール類としては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、n-ヘプタノール、2-ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、3,5,5-トリメチルヘキサノール、ノナノール、デカノール、シクロヘキサノール等のその他高級アルコール類、ベンジルアルコール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール等が挙げられる。
上記多価アルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、フェニルグリコール等が挙げられる。
上記グリコールエーテル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルトリグリコール、メチルジグリコール等が挙げられる。
上記エステル類としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酪酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
また、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等を用いることもできる。
上記アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルテセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、アニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
また、上記有機溶剤を2種類以上混合して用いてもよい。
上記塩素原子を有する構成単位は、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と同様であり、塩素原子や塩素原子含有基を側鎖に有する構造であることが好ましく、上記式(2)で表される構成単位であることが好ましい。
なお、別の態様の本発明において、水酸基量は、70モル%以上、99.9モル%以下であることが好ましく、塩素原子を有する構成単位の含有量は、0.1モル%以上、30モル%以下であることが好ましい。
(塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂の作製)
ケン化度98.6モル%、重合度300のポリビニルアルコール(a)120gを純水1400gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸100g、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28g添加した後、液温を50℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を50℃のまま6時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド45g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール57gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド55g及び抱水クロラール30gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=Cl、R3=Cl)であった。
n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド57g及び3-クロロプロピオンアルデヒドジメチルアセタール15gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=CH2Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド58g及び4-クロロブチルアルデヒドジメチルアセタール12gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=CH2CH2Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.6モル%、重合度が800のポリビニルアルコール(b)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度88.8モル%、重合度が800のポリビニルアルコール(c)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド35g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール25gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド44g、アセトアルデヒド12g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール27gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、アセトアセタール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
(変性ポリビニルアルコール(d)の合成)
攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器を付したフラスコ中に、酢酸ビニル1000重量部、塩化ビニル90重量部及びメタノール300重量部を添加し、系内の窒素置換を行った後、温度を60℃まで昇温した。この系に2,2-アゾビスイソブチロニトリル1.1重量部を添加し、重合を開始した。重合開始から5時間で重合を停止した。重合停止時の系内の固形分濃度は53重量%であり、全モノマーに対する重合収率は65重量%であった。減圧下に未反応のモノマーを除去した後、共重合体の45重量%メタノール溶液を得た。得られた共重合体は酢酸ビニル単位92.4モル%、塩化ビニル単位7.6モル%を含有することが未反応のモノマーの定量より確認された。
変性ポリビニルアルコール(d)のケン化度は98.5モル%、塩素化変性側鎖結合単位量7.6モル%、重合度は800であった。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(2)で表される構成単位(R4=単結合、R5=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.5モル%、塩素化変性側鎖結合単位量3.9モル%、重合度が800の塩素原子を有する構成単位を有する変性ポリビニルアルコール(e)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド64gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂溶液(樹脂含有量:5重量%)を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(2)で表される構成単位(R4=CH2、R5=H)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド5g、アセトアルデヒド18g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール52gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、アセトアセタール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.6モル%、重合度が1800のポリビニルアルコール(f)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド48g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール26gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度99.5モル%、重合度が1800のポリビニルアルコール(g)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド24g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール20gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.6モル%、塩素化変性側鎖結合単位量5.4モル%、重合度が1800の塩素原子を有する構成単位を有する変性ポリビニルアルコール(h)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド45g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール14gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)及び上記式(2)で表される構成単位(R4=単結合、R5=H)であった。
n-ブチルアルデヒド48g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール26gに代えて、n-ブチルアルデヒド80g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール5gを添加した以外は、製造例12と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.2モル%、重合度が2700のポリビニルアルコール(i)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド47g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール1gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.3モル%、塩素化変性側鎖結合単位量0.8モル%、重合度が2700の塩素原子を有する構成単位を有する変性ポリビニルアルコール(j)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド62gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(2)で表される構成単位(R4=単結合、R5=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.7モル%、重合度が4000のポリビニルアルコール(k)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド50g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール28gに代えて、n-ブチルアルデヒド60g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール6gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド61g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール0.1gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド31g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール60gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(1)で表される構成単位(R1=Cl、R2=H、R3=H)であった。
ポリビニルアルコール(a)に代えて、ケン化度98.5モル%、塩素化変性側鎖結合単位量0.06モル%、重合度が800の塩素原子を有する構成単位を有する変性ポリビニルアルコール(l)を用いた。更に、n-ブチルアルデヒド63gを添加した以外は、製造例1と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(2)で表される構成単位(R4=単結合、R5=H)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド53g及び4-クロロベンズアルデヒド15gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(3)で表される構成単位(R6=4-クロロフェニル)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド53g及び3-クロロベンズアルデヒド10gを添加した以外は、製造例6と同様の方法により、塩素原子を有する構成単位を含む塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量、及び、塩素化変性アセタール結合単位量を測定した。結果を表1に示す。
なお、塩素原子を有する構成単位は、上記式(3)で表される構成単位(R6=3-クロロフェニル)であった。
n-ブチルアルデヒド51g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール33gに代えて、n-ブチルアルデヒド66gを添加した以外は、製造例6と同様の方法によりポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量を測定した。結果を表1に示す。
n-ブチルアルデヒド48g及びクロロアセトアルデヒドジメチルアセタール26gに代えて、n-ブチルアルデヒド66gを添加した以外は、製造例12と同様の方法によりポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-d6(ジメチルスルホキシド)に溶解し、1H-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセチル基量、ブチラール基量を測定した。結果を表1に示す。
市販のポリビニルアセタール樹脂(水酸基量:32.9モル%、アセチル基量:1.8モル%、ブチラール基量:65.3モル%)に、NaClを5重量%となるように添加してポリビニルアセタール樹脂粉末を得た。
(蓄電池電極用組成物の作製)
製造例1の塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂を含有する樹脂溶液20重量部(ポリビニルアセタール樹脂:3重量部)に、活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC-5H)55重量部、導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を5重量部、N-メチルピロリドン25重量部を加えた。その後、シンキー社製泡取練太郎にて混合し、蓄電池電極用組成物を得た。
(蓄電池電極用組成物の作製)
表2に示す種類、添加量の塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、蓄電池電極用組成物を得た。
(蓄電池電極用組成物の作製)
製造例2で得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂15gをN-メチルピロリドン85gに溶解し、ポリビニルアセタール樹脂溶液を得た。
また、ポリフッ化ビニリデン樹脂(重量平均分子量600000)5gをN-メチルピロリドン95gに溶解し、ポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液10重量部(ポリビニルアセタール樹脂:1.5重量部)に、ポリフッ化ビニリデン樹脂溶液30重量部(ポリフッ化ビニリデン樹脂:1.5重量部)を加えた。更に、活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC-5H)55重量部、導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を5重量部、N-メチルピロリドン5重量部を加えた。その後、シンキー社製泡取練太郎にて混合し、蓄電池電極用組成物を得た。
製造例2で得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂に代えて、製造例13で得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂を使用した以外は、実施例24と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液およびポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を調製し、蓄電池電極用組成物を得た。
製造例2で得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂に代えて、製造例18で得られた塩素化変性ポリビニルアセタール樹脂を使用した以外は、実施例24と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液およびポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を調製し、蓄電池電極用組成物を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂(重量平均分子量600000)に代えて、ポリフッ化ビニリデン樹脂(重量平均分子量1000000)を使用した以外は、実施例24と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液およびポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を調製し、蓄電池電極用組成物得た。
製造例12で得られた塩素化変性ポリビニルアセタールを用いて、蓄電池電極用組成物を作製する際、ポリビニルアセタール樹脂溶液20重量部(ポリビニルアセタール樹脂:3重量部)に代えて、ポリビニルアセタール樹脂溶液13.3重量部(ポリビニルアセタール樹脂:2重量部)を添加した以外は実施例1と同様にして蓄電池電極用組成物を得た。
製造例12で得られた塩素化変性ポリビニルアセタールを用いて、蓄電池電極用組成物を作製する際、ポリビニルアセタール樹脂溶液20重量部(ポリビニルアセタール樹脂:3重量部)に代えて、ポリビニルアセタール樹脂溶液26.7重量部(ポリビニルアセタール樹脂:4重量部)を添加した。更に、N-メチルピロリドン25重量部に代えて、N-メチルピロリドン10重量部を添加した以外は実施例1と同様にして蓄電池電極用組成物を得た。
ポリフッ化ビニリデン樹脂(重量平均分子量600000)10gをN-メチルピロリドン90gに溶解し、ポリフッ化ビニリデン樹脂溶液を得た。
得られたポリフッ化ビニリデン樹脂溶液30重量部(ポリフッ化ビニリデン樹脂:3重量部)に対して、活物質としてコバルト酸リチウム(日本化学工業社製、セルシードC-5H)55重量部、導電付与剤としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)を5重量部、N-メチルピロリドン5重量部を加えた。その後、シンキー社製泡取練太郎にて混合し、蓄電池電極用組成物を得た。
(顔料組成物の調製)
表3に示す製造例1~11、19~26で得られた(変性)ポリビニルアセタール樹脂2.25g、顔料22.5g及び有機溶剤147.75gを混合し、撹拌機で1時間攪拌して顔料分散体を作製した。
なお、顔料としては、ピグメントグリーン7(レジノカラー工業社製、フタロシアニングリーン、平均粒子径80μm)、有機溶剤としてベンジルアルコールを用いた。
製造例で得られた(変性)ポリビニルアセタール樹脂、実施例、比較例で得られた蓄電池電極用組成物、顔料組成物について、以下の評価を行った。結果を表2~3に示した。
得られたポリビニルアセタール樹脂について、JIS K 0127(2013)に基づき、燃焼イオンクロマトグラフィーによって塩素原子含有量Aを測定した。試料燃焼装置としてはAQF-100(三菱化学アナリテック社製)、イオンクロマトグラフとしてはICS-1500(ダイオネクス社製)、イオン交換カラムはDionex IonPac AS12A(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を使用した。
また、1H-NMRを用いて得られる塩素化変性単位量から塩素原子含有量を算出し、塩素原子含有量Bとした。
更に、塩素原子含有量A及び塩素原子含有量Bから、下記式(4)を用いて、塩素原子含有量差Cを算出した。
塩素原子含有量差C=塩素原子含有量A-塩素原子含有量B (4)
(2-1)接着性(剥離力)
得られた蓄電池電極用組成物について、アルミ箔に対する接着性を評価した。
アルミ箔(厚み20μm)の上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電極用組成物を塗工、乾燥し、アルミ箔上に電極がシート状に形成された試験片を得た。
このサンプルを縦1cm、横2cmに切り出し、AUTOGRAPH(島津製作所社製、「AGS-J」)を用い、試験片を固定しながら電極シートを引き上げ、アルミ箔から完全に電極シートが剥離するまでに要する剥離力(N)を計測した後、以下の基準で判定した。
○:剥離力が8.0N以上
△:剥離力が8.0N未満、6.0N超え
×:剥離力が6.0N以下
上記「(2-1)接着性」で得られた試験片について、JIS B 0601(1994)に基づいて表面粗さRaを測定し、電極の表面粗さを以下の基準で評価した。なお、一般的には、活物質の分散性が高いほど、表面粗さは小さくなるとされている。
○:Raが3.0μm未満
△:Raが3.0μm以上、4.0μm未満
×:Raが4.0μm以上
(電極シートの作製)
離型処理されたポリアルキレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように実施例及び比較例で得られた蓄電池電極用組成物を塗工、乾燥して電極シートを作製した。
その電極シートを2cm角に切り出し、電極シート試験片を作製した。
得られた試験片の重量を正確に計量し、シートに含まれる成分重量比から試験片に含まれる樹脂の重量を算出した。その後、試験片を袋状のメッシュに入れ、メッシュ袋と試験片の合計重量を正確に計測した。
次いで、試験片の入っているメッシュ袋を電解液溶剤であるジエチルカーボネート:アルキレンカーボネート=1:1混合溶剤に浸し、60℃にて5Hr放置した。放置後メッシュ袋を取り出し、150℃、8時間の条件で乾燥させ、完全に溶剤を乾燥させた。
乾燥機から取り出した後、室温にて1時間放置し、重量を計測した。試験前後の重量変化から樹脂の溶出量を算出し、その溶出量とあらかじめ算出しておいた樹脂の重量の比から樹脂の溶出率を算出し、以下の基準で評価した。
○:溶出率が1.0%未満
△:溶出率が1.0%以上、2.0%未満
×:溶出率が2.0%以上
上記「(2-1)接着性」で得られた試験片について、電極抵抗測定器(日置電機株式会社製)を用いて電極抵抗値を測定し、以下の基準で評価した。
◎:電極抵抗値が400Ω/sq未満
○:電極抵抗値が400Ω/sq以上、700Ω/sq未満
△:電極抵抗値が700Ω/sq以上、1000Ω/sq未満
×:電極抵抗値が1000Ω/sq以上
(コイン型電池の作製)
実施例2、3、9、11~13、16、18、22、23~29、比較例1~4で得られた蓄電池電極用組成物を、アルミ箔(厚み20μm)の上に塗工、乾燥し、乾燥後の厚さが80μmである正極シートを得た後、これをφ11mmに打ち抜き正極層を得た。また、厚さ100μmの金属リチウム箔をφ11mmに打ち抜くことで負極層を得た。電解液として1モル/LのLiPF6を含有するEC:DEC:EMC=3:4:3の混合溶媒を用い、正極集電体、正極層、多孔質PP膜セパレータ(厚さ25μm)、負極層、負極集電体の順で重ね合わせた後、かしめ機により圧力を加えることで密閉型のコイン型電池を得た。
得られたコイン電池について、充放電試験装置(北斗電工社製)を用い、電圧範囲3.0~4.2V、温度25℃で充放電サイクル評価を行った。初回の放電容量に対する、300サイクル目の容量を容量維持率(%)として算出した。
なお、比較例3は電池性能に悪影響を及ぼすNaイオンおよびClイオンを多量に含むものであり、評価開始後10サイクル未満で容量が大きく低下したため、測定不可とした。
(4-1)分散性
得られた顔料組成物を100倍に希釈し、粒子径分布測定装置(島津製作所製、SALD-7100)を用いて平均粒子径(D50)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:平均粒子径が300μm未満
○:平均粒子径が300μm以上、350μm未満
△:平均粒子径が350μm以上、400μm未満
×:平均粒子径が400μm以上、又は、凝集
得られた顔料組成物について、コーンプレート型粘度計Gemini(Bohlin Instruments製)を用いて、25℃、せん断速度20s-1における初期粘度(Pa・s)を測定した。
〇:粘度変化率が10%未満
△:粘度変化率が10%以上、15%未満
×:粘度変化率が15%以上
Claims (18)
- 塩素原子を有する構成単位を含む、変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 塩素原子を有する構成単位を0.1モル%以上含有する、請求項1記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 塩素原子を有する構成単位は、塩素原子がアセタール結合を介して結合した構造である、請求項1又は2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 式(1)において、R1が塩素原子、-CH2Cl又は-CH2CH2Clである、請求項5記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 式(3)において、R6がクロロフェニル基又はクロロアルキルフェニル基である、請求項4記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 重合度が200~4000である、請求項1~8の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 水酸基量が20~70モル%である、請求項1~9の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- アセタール化度が20~75モル%である、請求項1~10の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 燃焼イオンクロマトグラフィーによって測定される塩素原子含有量Aが0.1~10重量%である、請求項1~11の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 請求項1~12の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤、及び、活物質を含有する、蓄電池電極用組成物。
- 請求項1~12の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤、及び、顔料を含有する、顔料組成物。
- 塩素原子を有する構成単位を含む、変性ポリビニルアルコール樹脂。
- 水酸基量と、塩素原子を有する構成単位の含有量との比(水酸基量:塩素原子を有する構成単位の含有量)が、70:30~99.9:0.1である、請求項15記載の変性ポリビニルアルコール樹脂。
- 請求項1~12の何れかに記載の変性ポリビニルアセタール樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、有機溶剤、及び、活物質を含有する、蓄電池電極用組成物。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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