JP7456906B2 - 移動体移動装置 - Google Patents
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Description
このような移動体移動装置においては、ECU(Electronic Control Unit)等からなる制御部によって、予め設定された所定の目標移動速度則に基づき駆動部に設けられた駆動モータの回転速度を制御しつつ、当該駆動モータを正転方向または逆転方向に回転駆動させることにより、移動体の移動動作を実行する(例えば、「特許文献1」を参照)。
また、制御部は、例えば閉方向に移動中の移動体に対して、実移動速度の瞬時的な低下を検知した場合、移動体による異物の挟み込み、或いは障害物や人の接触等によって、移動体の移動の阻害が発生したと判断し、移動体の移動動作を停止させる、或いは反対方向に移動させる。
よって、駆動部による移動体の実移動速度は、バッテリー電源から駆動モータに印加される電圧値、つまり、制御部に供給される電圧値の範囲内において可変可能である。
従って、上記目標移動速度則における目標移動速度の上限値は、制御部に供給される電圧値の範囲内において設定可能であり、当該電圧値の範囲を超えて設定することは困難である。
このようなことから、制御部に供給される電圧値の範囲については、予め想定されている様々な使用条件、即ち、周囲の温度や車両の傾き角度、移動体の重量、及び設定する移動体の目標移動速度などを考慮したうえで、移動体の移動動作を問題なく実行するように、駆動部を駆動させることが可能な範囲に予め設定されている。
例えば、移動体の移動動作中において、エンジンの始動等によってバッテリー電源の電圧値が瞬時に低下した場合、制御部に供給される電圧値も、これに伴い瞬時に低下する。
このような場合、移動体の実移動速度を、目標移動速度に即して最大限維持するように制御しようとしても、前述したように、制御部に供給される電圧値の範囲を超えて、バッテリー電源から駆動部の駆動モータに電圧を印加することは困難であることから、移動体の実移動速度は、目標移動速度に対して瞬時に下回ることとなる。
その結果、制御部は、移動体の実移動速度の低下を条件として、移動体による異物の挟み込み、或いは障害物や人の接触等によって、移動体の移動の阻害が発生したと誤判定し、移動体の移動動作を停止、或いは反対方向に移動させてしまうという問題があった。
即ち、本発明に係る移動体移動装置によれば、移動体の移動動作中において、制御部を介して当該移動体を移動させる駆動部に電力を供給するバッテリー電源の電圧値が、瞬時に低下した場合であっても、移動体の移動動作を継続することができる。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図1及び図2に示した矢印の方向によって、車両100の上下方向、前後方向、及び左右方向を規定して記述する。
また、図3中に示した矢印Aの方向を、駆動部2における作動部材22Aの進出方向と規定し、矢印Aの方向とは反対の方向を、駆動部2における作動部材22Aの後退方向として記述する。
先ず、移動体移動装置1の全体構成について、図1、図2、及び図4を用いて説明する。
本実施形態における移動体移動装置1は、駆動モータを備える駆動部によって、対象物である移動体を所定方向に移動させる装置である。
このような移動体移動装置1の一例として、例えば図1に示すような、車両100の車体101において、後背面の開口部101a(図2を参照)を開閉するバックドア102を移動体とし、当該バックドア102を上下方向に移動(回動)させるバックドア開閉装置が挙げられる。
また、移動体移動装置1は、例えば、店舗やガレージ等の構造物に設置されるシャッター、引き戸、開き扉、或いは、構造物正面の開口の上方に配置される折り畳み式の庇等を移動体とする開閉装置としても採用することができる。
即ち、本発明の実施形態である移動体移動装置1は、上述のような、バックドア102を開閉させるバックドア開閉装置に限定されるものではなく、移動対象物である物品または構造を、上下方向、左右方向、或いは斜め方向に移動させる、様々な装置に適用することが可能である。
また、駆動部2は、長さ方向に先端側の部材(具体的には、後述する作動部材22A)が進退可能に構成されており、車体101後部の左右両側にそれぞれ配置されている(図1を参照)。
なお、駆動部2の構成の詳細については、後述する。
具体的には、駆動部2は、後述する保持部材22Bの第二連結部27を介して、車体101と回動可能に連結される。また、駆動部2は、保持部材22Bに対して相対的に進退する作動部材22Aの第一連結部26を介して、バックドア102と回動可能に連結される。
例えば、バッテリー電源3は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)されたパルス電圧(電流)や、交流電圧(電流)などの時間的に変化する電圧(電流)を出力してもよい。
なお、バッテリー電源3が時間的に変化する電圧(電流)を出力する場合、電圧検出回路部52において測定される測定電圧は、実効電圧値である。
また、回転センサ4は、移動中のバックドア102におけるドア開度及びドア速度の検知部として、制御部5に対してこれらドア開度及びドア速度に関する情報を伝達することができる。
そして、パルス信号が入力された制御部5は、当該パルス信号の周期に基づき、電動モータ21の回転速度、つまりバックドア102のドア速度を検知するようになっている。
ここで、「全開位置P1」とは、バックドア102が完全に開かれた「開位置」の状態となる位置を意味する。また、「全閉位置P2」とは、バックドア102が完全に閉じられた「閉位置」の状態となる位置を意味する。
また、近接センサ、過電流変位センサ、光電センサ、またはレーザセンサ等によって、回転センサ4を構成することとしてもよい。
さらに、バックドア102のドア速度、及び移動方向(開方向または閉方向)については、電動モータ21に供給される電圧値、または電流値等に基づき、把握することとしてもよい。
制御部5は、ECU等からなり、演算処理部51、及びバッテリー電源3と接続し、制御部5に供給される当該バッテリー電源3の電圧値を測定する電圧検出回路部52などを有する。
そして、演算処理部51は、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して各種制御を実行する。
なお、演算処理部51の構成の詳細については後述する。
また、電圧検出回路部52は、一方において演算処理部51と接続されるとともに、他方においてバッテリー3と接続されている。
また、制御部5からの制御信号を受けて駆動部2の作動部材22Aが後退すると、バックドア102は、当該作動部材22Aの作動に応じて閉方向へと移動する。
即ち、車体101に対して、バックドア102の開方向への移動(開口部101aが開状態となる方向への移動)、及び閉方向への移動(開口部101aが閉状態となる方向への移動)を可能とする限りにおいて、例えば、これら2基の駆動部2が互いに同期して異なる方向に駆動する構成(具体的には、2基の作動部材22Aが異なる方向に進出または後退する構成)であってもよく、また、これら2基の駆動部2が互いに異なる駆動量で駆動する構成(具体的には、2基の作動部材22Aの移動量が互いに異なる構成)であってもよい。
例えば、何れか一方の駆動部2を、当該駆動部2の構成から動力源である電動モータ21を省いた構成からなる支持部、或いはダンバー機構等によって代替することも可能である。
つまり、移動体移動装置1においては、少なくとも1基の駆動部2が設けられていればよい。
次に、駆動部2の構成の詳細について、図3を用いて説明する。
駆動部2は、伸縮可能な棒状のアクチュエータからなり、軸方向の一方側に配置される駆動本体部、及び軸方向の他方側に配置され、当該駆動本体部から出没可能に設けられる進退部などにより構成される。
また、駆動部2は、駆動本体部における一方の端部側にて車体101(図2を参照)と回動可能に連結され、且つ進退部における他方の端部側にてバックドア102(図2を参照)と回転可能に連結される。
このような構成からなる駆動部2において、駆動本体部に対して、進退部を軸方向の他方側に向って進出させることにより、バックドア102は全開位置P1(図2を参照)に向かって移動されることとなる。
また、駆動本体部に対して、進退部を軸方向の一方側に向って後退させることにより、バックドア102は全閉位置P2(図2を参照)に向かって移動されることとなる。
例えば、駆動部2は、上下方向に回動するアームを備え、当該アームは、一端部において回動軸を有し、且つ他端部においてバックドア102と連結され、電動モータ21の駆動によって前記アームを回動させることにより、開方向または閉方向にバックドア102が移動される構成等であってもよい。
また、作動部材22Aは、スピンドル24と螺合するスピンドルナット25などを有する。
ここで、本実施形態においては、電動モータ21、保持部材22B、付勢部材23、及びスピンドル24等が上記駆動本体部に対応し、作動部材22A及びスピンドルナット25等が上記進退部に対応する。
そして、作動部材22Aは、第一連結部26を介して、バックドア102に設けられた取付部材(図示せず)と回動可能に連結される。
また、保持部材22Bの閉鎖端面22B1には、上述の第一連結部26と同様、例えばボールジョイントからなる第二連結部27が設けられており、当該第二連結部27を介して、保持部材22Bは、車体101の後部に設けられた取付部材(図示せず)と回動可能に連結される。
また、作動部材22Aの一方側の端部が保持部材22Bの内側に挿入されることにより、当該作動部材22Aの内側空間部22A2は、上記開放面側空間部22B4と連通された状態となっている。
このように、作動部材22A及び保持部材22Bによって、ハウジング22の外部に対して画定される空間部29は、閉鎖端面側空間部22B3からなる第一空間部29A、並びに開放面側空間部22B4及び内側空間部22A2からなる第二空間部29Bによって構成される。
また、ハウジング22の第二空間部29Bには、後述するように、付勢部材23、スピンドル24、及びスピンドルナット25等とともに、作動部材22Aの軸回り方向へのズレを規制する中空円筒形状の回転規制部材28が、保持部材22Bと同軸上に配置される。
また、回転規制部材28は、後退方向側の端部において、保持部材22Bの隔壁部22B2に固定されている。
一方、作動部材22Aの外周面において、後退方向側の端部には、前記スリット28aと嵌合可能な凸部22A3が設けられている。
これにより、作動部材22Aは、保持部材22Bに対して、軸回り方向へのズレを規制されつつ、軸方向に向かって確実に相対移動可能な構成となっている。
また、付勢部材23は、一方側の端部(本実施形態においては、後退方向側の端部)において、保持部材22Bの隔壁部22B2と当接し、且つ他方側の端部(本実施形態においては、進出方向側の端部)において、作動部材22Aの閉鎖端面22A1と当接した状態にて配置される。
これにより、作動部材22Aは、付勢部材23によって、保持部材22Bに対して軸方向の進出方向側へと移動するように、常に付勢された状態となっている。
また、スピンドル24は、後退方向側の端部24bにおいて、隔壁部22B2に固定された第一軸受部材11を介して、軸回り方向に回転可能に支持され、且つ進出方向側の端部24cにおいて、後述するスピンドルナット25の内周面を軸方向に摺動可能な第二軸受部材12を介して、軸回り方向に回転可能に支持される。
これにより、後述する制御部5(図4を参照)からの制御信号に基づき、バッテリー電源3(図4を参照)から電動モータ21に電力が供給され、駆動軸21aが回転駆動すると、スピンドル24は、当該駆動軸21aに追従して軸回り方向に回転される。
また、スピンドルナット25の内周面において、後退方向側の端部には、軸方向に向かって螺旋状に形成された雌ネジ部25aが設けられている。
これにより、電動モータ21の駆動によってスピンドル24が軸回り方向に回転されると、スピンドルナット25は、スピンドル24に対して相対回転され、作動部材22Aとともにスピンドル24の軸方向へと移動する。
また、スピンドル24が、軸回り方向の所定側との反対側に回転されると、スピンドルナット25は、作動部材22Aとともに当該スピンドル24の軸方向の後退方向側へと移動する。
つまり、電動モータ21の駆動によって、進退部は、駆動本体部に対して軸方向に移動する。
従って、バックドア102は、全開位置P1、或いは、移動途中位置にあっても、外的要因が無ければ閉方向に移動しない。換言すると、駆動部2は、移動体であるバックドア102を、全開位置P1と全閉位置P2との間の途中位置にて保持可能な構成となっている。
電動モータ21がフリー状態となると、駆動部2によって支持されるバックドア102は、手動によって移動させることが可能となる。
即ち、バックドア102に対して負荷を掛けて、当該バックドア102と連結された作動部材22Aを軸方向に移動させようとすると、スピンドルナット25の軸方向への移動に追従して、スピンドル24がフリーな状態で軸回り方向に回転することから、手動によってバックドア102を開方向または閉方向に移動することができる。
次に、制御部5が有する演算処理部51の構成の詳細について、図4を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、前述したように、2基の駆動部2が設けられているが、これら2基の駆動部2の制御系は互いに同等な構成であるため、図4においては、簡略化のため1基の駆動部2のみ記載する。
演算処理部51は、回転センサ4及び操作SW7と電気的に接続される信号入力部51A、電動モータ21と電気的に接続される信号出力部51B、並びにこれらの信号入力部51A及び信号出力部51Bや、電圧検出回路部52と電気的に接続され、信号入力部51A及び電圧検出回路部52から入力される信号に基づき演算処理を実行した後、演算結果に基づく信号を信号出力部51Bに出力する制御信号演算部51Cなどにより構成される。
従って、車両100の運転者にしてみれば、上記の第一接点がON状態となる方向に操作部を操作することで、バックドア102を開くことができ、上記の第二接点がON状態となる方向に操作部を操作することで、バックドア102を閉じることができる。
ここで、前記デジタルマップは、移動するバックドア102の位置(ドア開度)に応じて、バックドア102の移動速度(ドア速度)を予め定めた「目標移動速度則」を構成するものであり、制御信号演算部51Cは、これらのプログラム及びデジタルマップに基づき、演算処理を実行するように設定されている。
つまり、本実施形態における移動体移動装置1においては、制御部5の制御信号演算部51Cによって、バックドア102の移動速度に基づき、当該バックドア102による異物の挟み込み、或いは障害物や人の接触によるバックドア102の移動の阻害の有無を判定可能な構成となっている。
また、イグニッションSW6は、図示せぬ第三接点及び第四接点を備え、これらの第三接点及び第四接点は、各々一方の端子が電源ラインに接続されており、他方の端子が運転制御部8の演算処理部(図示せず)に接続されている。
例えば、車両100のエンジンを停止させる場合、イグニッションキーは「OFF位置」に操作され、これにより、上記の第三接点及び第四接点は、何れもOFF状態(開状態)となる。
また、車両100のエンジンを作動状態にて維持させる場合、イグニッションキーは「ON位置」に操作され、これにより、上記の第三接点及び第四接点は、何れもON状態(閉状態)となる。
さらに、車両100のエンジンを停止した状態から始動させる場合(即ち、クランキング操作を実行する場合)、イグニッションキーは「START位置」に操作され、これにより、上記の第三接点はOFF状態となり、且つ上記の第四接点はON状態となる。
この場合、運転制御部8によって、セルモータ9のクランキング動作が開始されると、「セルモータ9がクランキング動作を実行中である」旨の電子情報は、当該セルモータ9から信号入力部51Aに対して直接的に電気通信され、制御信号演算部51Cに入力される。
次に、本実施形態における移動体移動装置1の制御方法について、図2、図4乃至図7を用いて説明する。
例えば、図2及び図4に示すように、バックドア102が全開位置P1にて保持された状態において、操作SW7が操作されて、前述した第二接点(図示せず)がON状態となると、制御部5は、全閉位置P2に向かってバックドア102を移動させるように、駆動部2における電動モータ21の駆動を制御する。
また、バックドア102が全閉位置P2にて保持された状態において、操作SW7が操作されて、前述した第一接点(図示せず)がON状態となると、制御部5は、全開位置P1に向かってバックドア102を移動させるように、駆動部2における電動モータ21の駆動を制御する。
そして、このようなPI制御によるフィードバック制御を用いて、バックドア102の位置(ドア開度)に応じて当該バックドア102の移動速度(ドア速度)を予め定めたデジタルマップ(目標移動速度則)に基づき、駆動部2の駆動、即ち電動モータ21の回転速度を制御することにより、バックドア102のドア速度(移動速度)は、デジタルマップ(目標移動速度則)に対してより近似した理想の速度となるように、制御部5によって制御される。
一方、エンジンのクランキング操作が開始されると、制御部5を介して電動モータ21に印加されるバッテリー電源3の電圧値Voは、直ちに低下し始める。
即ち、制御部5は、例えば、エンジンのクランキング操作が開始される前には、d1[%](0<d1<100)付近で増減させていたデューティ比を、直ちに増大させていく。
なお、通常の場合、ドア速度が目標移動速度に比べて減速すると、制御部5は、電動モータ21に印加される実際の電圧値を上げるために、直ちにデューティ比を増大させるが、当該デューティ比は、既に上限である100%に達しているため、これ以上増大させることが不可能であり、性能限界を割り込むこととなる。
即ち、制御部5は、例えば、エンジンのクランキング操作が開始される前には、d1[%](0<d1<100)付近で微増減させていたデューティ比を、直ちに増大させていく。
また、経過時間T2[sec]の時点において、制御部5は、デューティ比を100[%]にまで増大させているが、バッテリー電源3の電圧値の低下に伴い、電動モータ21に印加される実際の電圧値も低下し続け、バックドア102のドア速度は、第三ドア速度V3[mm/sec]に比べて大きく下回ることとなる。
その結果、バックドア102のドア速度は、バッテリー電源3の電圧値が増加傾向に転じることで増加し始めるが、経過時間T4[sec]においては、未だ第三ドア速度V3[mm/sec]に到達しておらず、第二ドア速度V2[mm/sec](V2<V3)付近に到達した状態である。
従って、制御部5は、経過時間T4[sec]を過ぎても、デューティ比を100[%]に維持する。
また、デューティ比は、依然として100[%]に維持されていることから、バックドア102のドア速度も、この電圧値の増加に伴い、緩やかに増速する。
そして、経過時間T7[sec]において、バッテリー電源3の電圧値が第三電圧値Vo3[v]にまで回復すると、制御部5は、再びデューティ比をd1[%]付近で微増減させて、バックドア102のドア速度を、第三ドア速度V3[mm/sec]付近にて維持する。
ここで、前記操作量とは、フィードバック制御を前提とした、電動モータ21に印加される実際の電圧値を意味し、制御部5を介して電動モータ21に印加されるバッテリー電源3の電圧値Voと、0[%]~100[%]の間で可変可能なデューティ比dとの積(Vo[V]×d[%])によって示される。
また、本実施形態において、上記の所定値は、例えば、デューティ比dが100[%]である場合の、実際に電動モータ21に印加される電圧値に予め設定されている。
即ち、制御部5によるバックドア102の閉動作の実行中に、エンジンのクランキング操作を開始する場合において、操作量が所定値となるタイミング(デューティ比が100[%]にまで増大される経過時間T2[sec])から、操作量が再び所定値以下となるタイミング(デューティ比が100[%]未満となる経過時間T5[sec])までの時間を予め把握しておき、当該時間の経過をもって、上記の判定禁止制御を解除するタイミングとしてもよい。
つまり、制御部5による操作量が予め設定された所定値となった時点から、予め設定された一定時間の間、バックドア102による異物の挟み込み、またはバックドア102の移動の阻害の有無についての判定を強制的に禁止する判定禁止制御を実行することとしてもよい。
即ち、上記の所定値として設定される電圧値については、少なくとも、デューティ比が、エンジンのクランキング操作が開始される前のd1[%]以上である場合の、何れの電圧値を採用してもよい。
即ち、上記の判定禁止制御を「解除」するタイミングを判断する操作量の所定値は、上記の判定禁止制御を「開始」するタイミングを判断する操作量の所定値以下であれば、何れの所定値を選定してもよく、上記の判定禁止制御を「解除」する際の所定値として設定される電圧値については、少なくとも、デューティ比da[%]が、上記の判定禁止制御を「開始」する際の所定値として設定される電圧値のデューティ比db[%]以下(da≦db)であればよい。
ところで、バックドア102の閉動作の実行中において、エンジンの始動開始を指示する信号が運転制御部8に送られた場合に、挟み込みの有無の判定を禁止する判定禁止制御を実行する際の制御方法については、前述したような、主に、制御部5の操作量(即ち、フィードバック制御を前提とした、電動モータ21に印加される実際の電圧値)に基づく制御方法(以下、「本実施形態における判定禁止制御」と記載)に限定されることはなく、例えば、制御部5を介して電動モータ21に印加されるバッテリー電源3の電圧値(即ち、フィードバック制御を実行する前の電圧値)に基づき、判定禁止制御を実行する制御方法(以下、「別実施形態における判定禁止制御」と記載)としてもよい。
即ち、セルモータ9または運転制御部8より、当該セルモータ9がクランキング動作を実行中である旨の電子情報を受信した場合に、制御部5が判定禁止制御を実行することとしてもよい。
以上のように、本実施形態における移動体移動装置1は、バックドア(移動体)102と、バックドア102を移動させる駆動部2と、駆動部2に電力を供給するバッテリー電源3と、少なくともバックドア102の位置を検知する回転センサ(センサ)4と、回転センサ4によって検知されたバックドア102の位置に応じてバックドア102の移動速度(ドア速度)が所定の目標移動速度則となるように、フィードバック制御(本実施形態においては、PWM制御)により駆動部2の制御を行う制御部5とを備えた移動体移動装置である。
そして、制御部5は、電動モータ21に印加される実際の電圧値として、デューティ比を100[%]とするバッテリー電源3の電圧値を供給している間、挟み込みの有無の判定を強制的に禁止することとしており、これにより、バックドア102の開閉動作(移動動作)を継続することができる。
2 駆動部
3 バッテリー電源
4 回転センサ(センサ)
5 制御部
8 指令部
9 セルモータ(エンジン始動部)
102 バックドア(移動体)
Claims (2)
- 移動体と、
前記移動体を移動させる駆動部と、
前記駆動部に電力を供給するバッテリー電源と、
少なくとも前記移動体の位置を検知するセンサと、
前記センサによって検知された前記移動体の位置に応じて当該移動体の移動速度が所定の目標移動速度則となるように、フィードバック制御により前記駆動部の制御を行う制御部とを備えた移動体移動装置であって、
前記制御部は、
前記駆動部に供給される電圧値を検出するとともに、
前記移動体による異物の挟み込み、または障害物や人の接触による前記移動体の移動の阻害の有無を判定可能であり、
前記移動体の移動動作中において、
前記制御部による前記駆動部に印加される実際の電圧値である操作量が、前記バッテリー電源の電圧値の低下に伴い予め設定された所定値となった場合、
予め設定された一定時間、または前記操作量が前記所定値未満となるまでの間、前記移 動体による異物の挟み込み、または前記移動体の移動の阻害の有無についての判定を禁止する判定禁止制御を実行する、
移動体移動装置。 - 前記制御部は、
デューティ比を変位させることにより、当該制御部を介して前記バッテリー電源から前記駆動部に印加される電圧値を変位させて、前記駆動部の駆動におけるPWM制御を行い、
前記制御部による前記操作量は、
前記バッテリー電源の電圧値と、前記デューティ比との積として表される、前記駆動部の実際の電圧値であり、
前記所定値は、
前記デューティ比の値が、エンジンのクランキング操作が開始される前のデューティ比以上の値として設定された、電圧値である、
請求項1に記載の移動体移動装置。
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