JP7452276B2 - 単結晶製造装置及びSiC単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶製造装置及びSiC単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、単結晶製造装置及びSiC単結晶の製造方法に関する。
炭化珪素は高い耐熱性、大きな絶縁破壊電圧、広いエネルギーバンドギャップ、そして、高い熱伝導度等優れた性能を有するため、高周波半導体デバイス、高耐温半導体素子への応用が可能である。現在はシリコンを使用したデバイスや素子が主流となっているが、物性限界から性能向上にも限界が近づきつつあり、シリコンよりも優れた物性限界を持つ炭化珪素への期待は近年高まり続けている。最近では地球温暖化問題への対策として、各種電力変換時のエネルギーロスを低減する省エネルギー技術として、炭化珪素を用いたパワーエレクトロニクス技術への注目が高まっている。
従来、炭化珪素を含む種結晶及び昇華用原料より、炭化珪素単結晶(以下、適宜「単結晶」と略称する)を製造する炭化珪素単結晶の製造方法として、昇華再結晶法が知られている。この昇華再結晶法は、昇華用原料を2000℃以上に加熱することで、原料を昇華させて昇華ガスを発生させ、その昇華ガスを原料収容部よりも数10~数100℃低温にした種結晶へ供給することにより、この種結晶から炭化珪素の単結晶を成長させる方法である。
特開2014-5159号公報
昇華再結晶法による炭化珪素単結晶の製造においては、単結晶内に所望の多形とは異なる異種多形が混入する場合がある。異種多形の混入を抑制するためには、単結晶の成長時における径方向の温度分布を適切に調整することが重要である。径方向における温度分布を適切に調整することにより、成長中の単結晶の形状を適切な形状、たとえば坩堝の下部に向けて凸となる形状を維持しつつ単結晶を成長させることができる。一方、径方向における温度差が過大となり単結晶の上記凸形状が過大となった場合、欠陥や割れ、ウエハ反りを誘発する。しかし、たとえば発熱体の加熱温度を調整することのみによって径方向の温度分布を精密に調整することは容易ではない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、結晶成長中に種結晶やその上に成長した単結晶の径方向の温度分布が均一化されて単結晶の適切な成長形状を維持できる単結晶製造装置及びSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
(1)本発明の第1態様に係る単結晶製造装置は、坩堝本体と蓋部とからなる坩堝と、前記蓋部の上面に配置された断熱部材と、を備え、前記蓋部の内面に、種結晶を設置するための台座を有し、前記断熱部材は、前記蓋部の上面側から平面視して前記台座と重なる位置に配置する中央貫通穴と、前記中央貫通穴を囲むように配置する抜熱部を有する。
(2)(1)に記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、貫通穴、薄肉部、及び、前記断熱部材よりも熱伝導性が高い材料からなる高熱伝導部で構成された群から選択されたいずれかであってもよい。
(3)(1)又は(2)のいずれかに記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、前記中央貫通穴の中心軸に対して回転対称に配置されていてもよい。
(4)(3)に記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、前記中央貫通穴の中心軸に対して軸対称に配置されていてもよい。
(5)(3)又は(4)のいずれかに記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、外周部に環状に配置された環状抜熱部であってもよい。
(6)(5)に記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、前記環状抜熱部と前記中央貫通穴との間にさらに、環状に配置された環状抜熱部を有してもよい。
(7)(1)~(4)のいずれか一つに記載の態様に係る単結晶製造装置は、前記抜熱部が、複数の島状ドットからなってもよい。
(8)本発明の第2態様に係るSiC単結晶の製造方法は、(1)~(7)のいずれかの単結晶製造装置を用いて、SiC単結晶を製造する。
本発明の単結晶製造装置によれば、結晶成長中に種結晶やその上に成長した単結晶の径方向の温度分布が均一化されて単結晶の適切な成長形状を維持できる。
本発明の第1実施形態に係る単結晶製造装置を示す断面模式図である。 図1に示した単結晶製造装置が有する断熱部材の一例の平面模式図である。 本発明の第1実施形態に係る単結晶製造装置の蓋部近傍の温度分布のシミュレーション結果を示す図である。 従来の単結晶製造装置の蓋部近傍の温度分布のシミュレーション結果を示す図である。 高熱伝導部の材料の熱伝導率と径方向温度差との関係をシミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。 断熱部材のバリエーションの断面模式図であり、(a)は一のバリエーションの断面模式図であり、(b)は他のバリエーションの断面模式図であり、(c)は他のバリエーションの断面模式図であり、(d)は他のバリエーションの断面模式図であり、(e)は他のバリエーションの断面模式図である。 断熱部材のバリエーションの平面模式図であり、(a)は一のバリエーションの平面模式図であり、(b)は他のバリエーションの平面模式図であり、(c)は他のバリエーションの平面模式図であり、(d)は他のバリエーションの平面模式図である。 断熱部材のバリエーションの平面模式図であり、(a)は一のバリエーションの平面模式図であり、(b)は他のバリエーションの平面模式図である。 抜熱部2Baの幅と径方向温度差との関係をシミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。 抜熱部2Bbの幅を固定した場合における抜熱部2Bbの位置と径方向温度差との関係をシミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。 シミュレーションで用いたモデルの断熱部材の平面模式図である。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には図中、同一符号を付してある場合がある。また、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かりやすくするため便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。一つの実施形態で示した構成を他の実施形態に適用することもできる。
本発明は、昇華再結晶法、CVD法等の気相成長法に適用できるが、以下では一例として昇華再結晶法を用いた場合を例にあげて説明する。また、炭化珪素の単結晶を製造する場合を例に説明するが、本発明の単結晶の製造方法および単結晶製造装置は、炭化珪素に限らず、他の材料についても適用できる。
〔単結晶製造装置(第1実施形態)〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る単結晶製造装置を示す断面模式図である。図において、坩堝の上部と下部とを結ぶ方向をz方向として、z方向に直交する面をxy面とし、x方向とy方向とは互いに直交する。
図1に示す単結晶製造装置100は、坩堝本体1Aと蓋部1Bとからなる坩堝1と、蓋部1Bの外側(上面)1Baに配置された断熱部材2と、を備え、蓋部1Bの内面1Bbに、種結晶Sを設置するための台座1Bdを有し、断熱部材2は、蓋部1Bの上面1Ba側(z方向)から平面視して台座1Bdと重なる位置に配置する中央貫通穴2Aと、平面視して中央貫通穴2Aを囲むように配置する抜熱部2Bを有する。
ここで、「中央貫通穴を囲むように配置する」とは、連続的に配置する場合に限定されず、離間して複数の部分が配置する場合も含む。
また、図1に示す台座1Bdは円柱状である(z方向から平面視して円形)が、この形状に限定されない。
単結晶製造装置100はさらに、坩堝1の外側面を取り囲むように配置する加熱手段5と、蓋部1Bの外側に配置された断熱部材2とは別に、断熱部材2で覆われている以外の坩堝1の外面を取り囲むように配置する断熱部材22(側部断熱部材22A及び底部断熱部材22B)と、を備える。
<坩堝>
坩堝1は分割された坩堝本体1Aと蓋部1Bとからなるが、坩堝本体1Aおよび蓋部1Bはそれぞれさらに分割されていてもよい。また、坩堝本体1Aと蓋部1Bとは、原料が収容される側と種結晶が配置される側とに2つに分割された部分との意であって、坩堝全体にそれぞれが占める割合は各部の機能を発揮できる限り、任意である。坩堝本体1Aは、側部1Aaと底部1Abとからなる。
坩堝1の内部には内部空間Kを有する。内部空間K内の上部においては、炭化珪素種結晶Sが台座に取り付けられる。また、内部空間Kの下部には、炭化珪素種結晶S上に炭化珪素単結晶を結晶成長させるのに十分な量の炭化珪素原料粉末Mが充填される。
坩堝1の材料としては、高温において安定で、かつ不純物ガスの発生の少ない材料を用いることが好ましい。具体的には例えば、黒鉛(グラファイト)、炭化珪素、及び炭化珪素もしくはタンタルカーバイド(TaC)により被覆された黒鉛(グラファイト)等を用いることが好ましい。
台座1Bdは炭化珪素種結晶Sを取り付ける部分であり、蓋部1Bの内面1Bbに坩堝下方に突出するように設置されている。図示する台座1Bdは蓋部1Bと一体の部材として一つの材料で形成されているが、蓋部1Bと別個の部材であってもよい。
<加熱手段>
加熱手段5としては例えば、高周波加熱コイルを用いることができる。この場合、高周波電流を流すことにより、誘導加熱によって黒鉛製坩堝1を発熱させることができる。
<断熱部材(上部断熱部材)>
図2に、図1に示した単結晶製造装置が有する断熱部材の一例の平面模式図を示す。
断熱部材2は、蓋部1Bの上面1Ba側から平面視して台座1Bdと重なる位置に配置する円状の中央貫通穴2Aと、平面視して中央貫通穴2Aを囲むように配置する抜熱部2Bを有する。
以下では、蓋部1Bの上面1Baに配置された断熱部材を上部断熱部材ということがある。
断熱部材2が有する中央貫通穴2Aは厚み方向に貫通するものであり、蓋部1Bの上面1Baの一部が露出する。放射温度計8を、中央貫通穴2Aから蓋部の上面の一部が見える位置に配置することによって蓋部1Bの温度を計測できる。
中央貫通穴2Aは通常、測温窓として備えるものであるが、本発明者は、中央貫通穴2Aが断熱部材を有さない箇所であるため、熱が逃げることに着目し、坩堝蓋部の径方向の温度分布に与えている影響について鋭意検討した。その結果、坩堝蓋部の径方向の中央部と周辺部とで大きな温度差があることが分かった。
図3に、図1及び図2に示したタイプすなわち、中央貫通穴とその周囲に円環状の抜熱部を有するタイプの断熱部材を備える坩堝について、蓋部近傍の温度分布のシミュレーションを行った結果を示す。
このシミュレーションは、STR-Group Ltd社製の気相結晶成長解析ソフト「Virtual Reactor」を用いて行った。シミュレーションは、計算負荷を低減するために、円筒状坩堝の中心軸を通る任意の断面の半分(径方向の半分)の構造のみで行った。
シミュレーションで用いたモデルにおいては、抜熱部2Bは貫通した溝とした。
また、円環状の抜熱部2Bの外半径(図1及び図2に示したタイプにおいては、坩堝の外半径と一致)をR、中央貫通穴2Aの半径をR、円環状の抜熱部2Bの径方向の幅をRとしたとき(図2参照)、モデルでは、R:R:R= 7.5:1:0.6とした。
図4に、比較として、抜熱部2Bを有さない従来の坩堝すなわち、測温窓として中央貫通穴のみの断熱部材を備える坩堝モデルについての蓋部近傍の温度分布のシミュレーションを行った結果を示す。
図4に示す通り、蓋部の中央貫通穴2Aからの抜熱の影響により、SiC単結晶(種結晶)裏面における周端と中心との温度差ΔTは61℃であった。なお、実際のSiC単結晶の製造においては通常、SiC単結晶からなる種結晶を用いて、その上にSiC単結晶を成長させるが、シミュレーションにおいては、種結晶とその上に成長するSiC単結晶とは区別していない。蓋部内面とSiC単結晶(種結晶)とは接触しているので、蓋部内面1Bbにおける径方向の温度差がSiC単結晶(種結晶)裏面における径方向温度差につながっている。
これに対して、抜熱部2Bを有する場合には、図3に示す通り、SiC単結晶(種結晶)裏面における周端と中心との温度差ΔTは33℃と大幅に低下した。
図4の場合、温度差ΔTは、円筒状坩堝の中心軸(Z-Zで示した点線)側に配置する中央貫通穴2Aのみからの抜熱の影響により、温度が低い中心軸(Z-Zで示した点線)側から側部1Aa側に向けてほぼ単調に温度が高くなっている。これに対して、図3の場合は、抜熱部2Bからの抜熱の影響により、図4と比べて、中心軸(Z-Zで示した点線)側以外に、側部1Aa側に温度が低い領域が形成された結果、温度差ΔTが低下している。
図3及び図4に示したシミュレーションによって、抜熱部2が存在する効果として、中央貫通穴2Aの抜熱に起因した径方向の温度分布の不均一さを是正する効果が明らかになった。
図3に示したシミュレーションで用いた抜熱部2Bは貫通した溝であったが、これに限らず、断熱部材よりも熱伝導率が高い材料からなる高熱伝導部でもよいし、また、周囲の断熱部材の厚みよりも薄い薄肉部であってもよい。
高熱伝導部を構成する材料としては、熱伝導率が2000℃において1.9W/m・K以上のものを挙げることができる。高熱伝導部を構成する材料としては、断熱部材よりも熱伝統率が高く、かつ、抜熱部近傍のおおよその最高温度である2000℃以上の融点を有する材料として、カーボンを主原料とするカーボン成形材、ポーラスカーボン、グラッシーカーボン、またはタンタル、ハフニウム、ニオブ、タングステンの金属、またはタンタル、モリブデン、ハフニウム、ニオブ、チタン、ジルコニウム、タングステン、バナジウムの金属炭化物または金属窒化物を例示できる。
抜熱部を貫通穴とする場合、抜熱部の分、用いる断熱部材を少なくできるという効果を奏する。
抜熱部を薄肉部とする場合、径方向温度差縮小度合いを薄肉部の厚さで微調整できるという効果を奏する。
抜熱部を高熱伝導部とする場合、径方向温度差縮小度合いを高熱伝導部の熱伝導率で微調整できるという効果を奏する。図5に、図3のシミュレーションで用いたモデルにおいて、抜熱部2Bが高熱伝導部である場合に、SiC単結晶(種結晶)裏面における中心と周端の温度差(径方向温度差)について、高熱伝導部の材料の熱伝導率の影響を、シミュレーションによって調べた結果を示す。
抜熱部2は、中央貫通穴2Aを囲むように配置することによって、中央貫通穴2Aの抜熱に起因した径方向の温度分布の不均一さを補償する機能を有する。
抜熱部2は、円筒状坩堝の中心軸(Z-Zで示した点線)に対して対称性を有する構成であるのが好ましいが、これに限定されない。
図6に、断熱部材2のバリエーションの断面模式図を示す。図7及び図8に、断熱部材2のバリエーションの平面模式図を示す。
図6(a)に示す断熱部材は、中央貫通穴2Aと、平面視して、中央貫通穴2Aを囲むように、かつ、坩堝本体の側部に重なる位置に配置する抜熱部2Baとを有する。このような断面を有する断熱部材の例としては、図7(a)及び(b)が挙げられる。
図6(a)及び図7(a)によって特定される抜熱部を有する断熱部材は、図1及び図2に示した断熱部材と同一構成である。この構成の断熱部材では、抜熱部2Baが大きいほど、つまり図2のRが大きいほど径方向温度差を小さくできるという効果を奏する。ただしRが大き過ぎると中心の温度よりも周端の温度が低くなり、径方向温度差は負の値になってしまう。中央貫通穴2Aの半径であるRと抜熱部2Baの径方向の幅であるRとの比は、Rを1とすると、Rを0.3~1.3とするのが好ましく、Rを0.5~1.3とするのがより好ましく、Rを0.6~1.3とするのがさらに好ましい。
また、中央貫通穴2Aと抜熱部2Baとの面積比は、中央貫通穴2Aの面積を1とすると、抜熱部2Baの面積を4~18とするのが好ましく、7~18とするのがより好ましく、9~18とするのがさらに好ましい。
図9に、図3のシミュレーションで用いたモデルにおいて、抜熱部2Baが貫通した溝である場合に、SiC単結晶(種結晶)裏面における周端と中心との温度差(径方向温度差)について、抜熱部2Baの径方向の幅Rの影響を、シミュレーションによって調べた結果を示す。R比が大きくなるに従って径方向温度差は小さくなり、R比が1.4以上では負の値になる。
図6(a)及び図7(b)によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Baのドットが大きく、数が多いほど径方向温度差を小さくできるため、図7(a)の場合に比べ径方向温度差の縮小度合いを微調整できるという効果を奏する。ただしドットの大きさ、数が過大な場合、径方向温度差は負の値になってしまう。中央貫通穴2Aと抜熱部2Baとの面積比は、中央貫通穴2Aの面積を1とすると、抜熱部2Baの面積を4~18とするのが好ましく、7~18とするのがより好ましく、9~18とするのがさらに好ましい。
図6(b)に示す断熱部材は、中央貫通穴2Aと、平面視して、中央貫通穴2Aを囲むように、かつ、坩堝内の内部空間Kに重なる位置に配置する抜熱部2Bbとを有する。このような断面を有する断熱部材の例としては、図7(a)及び(b)に示す断熱部材において抜熱部2Baがより中央貫通穴2Aに近い位置に配置するように変更したものが挙げられる。
図6(b)及び図7(a)の当該変更によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Bbがより中央貫通穴2Aに近いほど、つまり図2のRが小さいほど径方向温度差が大きくなるため、抜熱部の位置としては図6(a)の2Baのように坩堝本体の側部に重なる方が好ましい。
図10に、図3のシミュレーションで用いたモデルにおいて抜熱部の位置をより中央貫通穴に近い位置に変更したモデルにおいて、中央貫通穴2A、抜熱部2Bbの幅を固定した場合における抜熱部2Bbの位置の変化に対するSiC単結晶(種結晶)裏面の周端と中心との温度差(径方向温度差)の変化を、シミュレーションによって調べた結果を示す。R比が4.8よりも小さい場合、径方向温度差は図4に示したシミュレーションの結果よりも大きくなる。
図6(b)及び図7(b)の当該変更によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Bbのドットの位置と数と大きさによって径方向温度差を調整できるため、図7(a)の場合に比べ、径方向温度差の縮小度合いを微調整できるという効果を奏する。一方で、抜熱部2Bbのドットの位置がより中央貫通穴2Aに近いほど径方向温度差が大きくなるため、抜熱部の位置としては図6(a)の抜熱部2Baのように坩堝本体の側部に重なる方が好ましい。
図6(c)に示す断熱部材は、中央貫通穴2Aと、平面視して、中央貫通穴2Aを囲むように、かつ、坩堝本体の側部に重なる位置に配置する抜熱部2Bc1と、抜熱部2Bc1よりも内側の中央貫通穴2A寄りに配置する抜熱部2Bc2を有する。図6(c)に示す例では、抜熱部2Bc1は薄肉部タイプの抜熱部である。このような断面を有する断熱部材の例としては、図7(c)及び(d)、並びに、図8(a)及び(b)が挙げられる。
図6(c)及び図7(c)によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Bc1のみの場合に比べ径方向温度差をより小さくできる。
なお、図6(c)及び図7(c)によって特定される抜熱部を有する断熱部材において、抜熱部2Bc1が貫通穴タイプである場合に、シミュレーションによって径方向温度差を計算したところ、25℃であった。シミュレーションで用いたモデルでは、R:R:R:R:R=7.5:5.5:1:0.6:0.6とした(図11参照)。中央貫通穴2Aを囲む環状の抜熱部が1つである図3の場合(R:R:R=7.5:1:0.6)が、径方向温度差が33℃であったから、図11に示す場合では、径方向温度差がより縮小していた。
図6(c)及び図7(d)によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Bc1、2Bc2のドットが大きく、数が多いほど径方向温度差を小さくできるため、径方向温度差の縮小度合いを微調整できるという効果を奏する。ただし大きさ、数が過大な場合、径方向温度差は負の値になってしまう。
図6(d)に示す断熱部材は、中央貫通穴2Aと、平面視して、中央貫通穴2Aを囲むように、かつ、坩堝本体の側部に重なる位置に配置する抜熱部2Bdとを有する。図6(d)に示す例では、抜熱部2Bdは薄肉部タイプの抜熱部である。このような断面を有する断熱部材の例としては、図7(a)及び(b)が挙げられる。
図6(d)及び図7(a)によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、薄肉部が薄いほど図6(a)の抜熱部2Baの場合に近づき、径方向温度差が小さくなるため、径方向温度差の縮小度合いを微調整できる。
図6(d)及び図7(b)によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、薄肉部が薄いほど図6(a)の抜熱部2Baの場合に近づき、径方向温度差が小さくなるため、ドットの大きさ、数と共に薄肉部の厚さにより径方向温度差の縮小度合いを調整できる。
図6(e)に示す断熱部材は、中央貫通穴2Aと、平面視して、中央貫通穴2Aを囲むように、かつ、断熱部材の厚み方向に対して傾斜して延在する抜熱部2Beとを有する。このような断面を有する断熱部材の例としては、図7(a)及び(b)に示す断熱部材において抜熱部2Baがより中央貫通穴2Aに近い位置に配置するように変更したものが挙げられる。
図6(e)及び図7(a)の当該変更によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部が断熱部材の厚み方向に対して垂直な場合に比べて用いる断熱部材量を減らしても、同程度の径方向温度差縮小ができる。
図3の構成において、R:R:R=5.9:1:0.6に変更したモデルで、シミュレーションによって径方向温度差を計算したところ、40℃であったのに対して、図6(e)及び図7(a)の当該変更によって特定される抜熱部を有する断熱部材において、上側がR:R:R=3.9:1:2.9でかつ下側がR:R:R=7.5:1:2.9であるモデルでシミュレーションによって径方向温度差を計算したところ、42℃であった。
図6(e)及び図7(b)の当該変更によって特定される抜熱部を有する断熱部材では、抜熱部2Beのドットが大きく、数が多いほど径方向温度差を小さくできるため、図7(a)の場合に比べ径方向温度差の縮小度合いを微調整できるという効果を奏する。ただし大きさ、数が過大な場合、径方向温度差は負の値になってしまう。
図7及び図8に示す断熱部材はいずれも、抜熱部が中央貫通穴の中心軸に対して回転対称に配置される構成である。例えば、図7(b)及び(d)に示す断熱部材では、抜熱部が中央貫通穴の中心軸に対して16回対称であり、図8(a)及び(b)に示す断熱部材では、抜熱部が中央貫通穴の中心軸に対して4回対称である。
また、図7(a)及び(c)に示す断熱部材は、抜熱部が中央貫通穴の中心軸に対して軸対称に配置する構成である。
抜熱部の対称性が高い断熱部材ほど、蓋部の径方向の温度分布の均一化に好ましく、その結果として、成長中の単結晶を適切な形状に維持できる。
図7(a)、(c)、及び、図8(a)に示す断熱部材は、抜熱部が平面視して環状に配置される環状抜熱部である。特に、図7(a)及び(c)に示す断熱部材は、抜熱部が平面視して円環状に配置される環状抜熱部である。図7(a)の抜熱部及び図7(c)の外側の抜熱部は、蓋部の外周部に配置する環状抜熱部である。ここで、蓋部の外周部とは平面視して坩堝の側部に重なる部分を指す。図7(a)及び(c)に示す断熱部材では、抜熱部は中央貫通穴から等距離に配置し、一つ又は複数の抜熱部で構成される。図7(c)に示す断熱部材では、抜熱部は中央貫通穴からの距離が異なる2つの抜熱部からなるが、3つ以上の抜熱部からなるものでもよい。
環状抜熱部の場合、複数の島状ドットの場合に比べ対称性が高く、蓋部の径方向の温度分布の均一化に好ましい。
また、図7(b)及び(d)に示す断熱部材は、抜熱部が離間して配置する平面視して円状の、複数の島状ドットからなる。複数の島状ドットは、中央貫通穴から等距離に配置されて、全体として円環状に配置されている。図7(d)に示す断熱部材は、抜熱部は中央貫通穴からの距離が異なる2つの円環状に配置される島状ドット群からなるが、3つ以上の円環状に配置される島状ドット群からなるものでもよい。
図7(d)に示す断熱部材では、内側と外側の2つの島状ドット群は同じ数の島状ドットからなるが、図8(b)に示す断熱部材では、内側と外側の2つの島状ドット群は異なる数の島状ドットからなる。
複数の島状ドットの場合、径方向温度差縮小度合いの微調整が可能である。
抜熱部が複数の環状抜熱部である場合、各環状抜熱部の平面視の幅は互いに異なってもよい。
環状抜熱部が複数の構成の場合、平面視して坩堝本体の側部に近い位置に配置する環状抜熱部が最も幅広である構成にすることが好ましい。
抜熱部が複数の環状に配置された島状ドット群からなる場合、各島状ドット群を構成する島状ドットは異なる径のものであってもよい。
抜熱部が複数の環状に配置する島状ドット群からなる場合、平面視して坩堝本体の側部に近い位置に配置する島状ドット群のドット径が最も大きい構成にすることが好ましい。
断熱部材(上部断熱部材)2は坩堝に密接して配置されることが好ましい。断熱部材は、坩堝を安定的に高温状態に維持するためのものであり、坩堝を必要な程度に安定的に高温状態に維持するよう、断熱部材は適宜、厚さや熱伝導率を調整した材料を用いることができ、例えば、炭素繊維製の材料、黒鉛(グラファイト)などを用いることができる。
断熱部材2は、その外形が蓋部1Bの上面の外形と相似形であることが好ましい。また、断熱部材2は、蓋部1Bの上面を完全に覆うことが好ましい。
<断熱部材(側部断熱部材、底部断熱部材)>
側部断熱部材22A及び底部断熱部材22Bは、断熱部材2と共に、坩堝1全体を覆うように設置されている。
側部断熱部材22A及び底部断熱部材22Bは、断熱部材2と同様に、坩堝に密接して配置されることが好ましい。断熱部材は、坩堝を安定的に高温状態に維持するためのものであり、坩堝を必要な程度に安定的に高温状態に維持するよう、断熱部材は適宜、厚さや熱伝導率を調整した材料を用いることができ、例えば、炭素繊維製の材料、黒鉛(グラファイト)などを用いることができる。
断熱部材22は坩堝本体1Aの底部1Abの外表面の一部が露出するように厚み方向に貫通する貫通穴22Baを有する。放射温度計(図示せず)を、貫通穴22Baから坩堝の底部の外表面の一部が見える位置に配置することによって坩堝の底部の温度を計測できる。
〔SiC単結晶の製造方法(第2実施形態)〕
本発明の第2実施形態に係るSiC単結晶の製造方法は、本発明の単結晶製造装置を用いて行うものである。
1 坩堝
1A 坩堝本体
1B 蓋部
1Bd 台座
2 断熱部材(上部断熱部材)
2A 中央貫通穴
2B 抜熱部

Claims (8)

  1. 坩堝本体と蓋部とからなる坩堝と、
    前記蓋部の上面に配置された断熱部材と、を備え、
    前記蓋部の内面に、種結晶を設置するための台座を有し、
    前記断熱部材は、前記蓋部の上面側から平面視して前記台座と重なる位置に配置する中央貫通穴と、前記中央貫通穴を囲むように配置する抜熱部を有
    前記抜熱部は、前記坩堝本体の側部に重なる位置に配置された第1抜熱部と、前記第1抜熱部と前記中央貫通穴との間に配置された第2抜熱部と、を有する、単結晶製造装置。
  2. 前記抜熱部は、貫通穴、薄肉部、及び、前記断熱部材よりも熱伝導性が高い材料からなる高熱伝導部で構成された群から選択されたいずれかである、請求項1に記載の単結晶製造装置。
  3. 前記抜熱部は、前記中央貫通穴の中心軸に対して回転対称に配置されている、請求項1又は2のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  4. 前記抜熱部は、前記中央貫通穴の中心軸に対して軸対称に配置されている、請求項3に記載の単結晶製造装置。
  5. 前記第1抜熱部は、環状に配置されている、請求項3又は4のいずれかに記載の単結晶製造装置。
  6. 前記第2抜熱部は、前記第1抜熱部と前記中央貫通穴との間に環状に配置されている、請求項5に記載の単結晶製造装置。
  7. 前記抜熱部は、複数の島状ドットからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の単結晶製造装置。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の単結晶製造装置を用いて、SiC単結晶を製造するSiC単結晶の製造方法。
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