JP7452051B2 - 調光シートとその製造方法及びそれを用いた合わせガラス - Google Patents

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Description

本発明は、液晶調光層と透明電極とPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとからなる調光フィルムを備える調光シートとその製造方法、及び該調光シートを用いた合わせガラスに関する。
昨今、調光フィルムを備え、電界を加えることで透明、不透明などの、調光コンディションをコントロールできるデバイスが開発、実用化されている。
調光フィルムは、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)や高分子分散型液晶(PDLC:Polymer
Dispersed Liquid Crystal)などの、液晶分子を高分子で包み込んだ高分子液晶層を調光層とし、該調光層を両側から、透明導電膜による透明電極を形成した一対のPET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明性フィルム基材で挟持した構造からなる。透明電極の表面には液晶材料を配向する配向膜が形成されている場合もある。
例えば、自動車や建築物等に用いられる窓ガラスとして、一対の合わせガラスの間に前記の調光フィルムを備え、透明状態と不透明状態を切り替えることにより、室内から外の景色を見える透明な状態から、不透明な状態にして外部から室内を見えなくすることもできる。また、透明度を調整することにより、室外から室内に差し込む光の強度を調整することも可能である。
図6に、調光フィルム5を一対のガラス10で挟持した合わせガラスの模式断面図を例示する。合わせガラスにはガラス10と調光フィルム5の間に中間膜11が設けられる。中間膜11は、一対のガラス10間に調光フィルム5を挟持して貼り合わせるための接着機能を有している。中間膜11は、追加機能として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、染料、顔料等を含んでいるものもある。調光フィルム5と一対のガラス10とを中間膜11を介して挟持し減圧下で脱泡して、その後に加熱加圧することで一体化している。
中間膜5の材料としては、調光フィルム5への負荷を考慮すると、140℃以下で溶融する熱可塑性樹脂が好ましく、100℃以下で溶融する樹脂がより好ましい。候補となる樹脂としては、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、アイオノマー樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等が挙げられ、PVB、EVAが一般に使用されている。
合わせガラスの場合、中間膜11の材料(PVB、EVAなど)と、調光フィルム5の基材である透明電極付きPETフィルム3との密着性が低い、中間膜11により端部から調光層4が侵される、調光フィルム5の厚みが薄い場合にはしわが発生しやすい、などの課題がある。
一方で、一対(2枚)のガラスを用いる合わせガラスとは別に、1枚のガラス等の基板に貼り合せる後貼り型の調光シートの要望が高まって来ている。後貼り型とすることで、ガラス等の基板が1枚になるため軽量化が可能となり、また施工コストも抑えることができ、さらに既存インフラへも適用しやすくなる。また調光シートの厚さを調整し薄膜化することで曲面への加工も可能となる。
図7は、従来の後貼り型調光シートの第1例を例示する模式断面図である。図7の構造では、調光フィルム5の端部に封止材6を形成している。また、下方の透明電極付きPETフィルム3に透明性接着剤2を備えている。透明性接着剤2のさらに下方には、後貼り前には通常カバーフィルムを備えるが、図示を省略している。
以下、本願では、原則として、液晶調光層(適宜、単に調光層と記す)の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PETフィルムとを備えたまでの形態を「調光フィルム」、合わせガラスまたは後貼り型用に使用する形態を「調光シート」と呼称する。
調光シートでは、長期間使用、耐水性、車載対応などを含む高い信頼性を求められることが多くなってきている。調光層は、中間膜や接着剤に含まれる可塑剤や大気中の水分の影響により、電気信号に対する応答性が低下する可能性がある。このことから、調光フィルムは、調光層を保護するための工夫を施すことが求められる。このような状況、要望に対応するために、合わせガラスやラミネート(または真空ラミネート)を用いたパウチ構造などのさまざまな構造が提案、提供されている(例えば特許文献1~7)。
合わせガラスにおいて、中間膜11の端部から調光層4が侵される課題に関しては、図8のように、図7に示す、調光フィルム5の端部に封止材6を形成する構造を用いることが第一の解決手段として考えられる。
調光シート単体への封止構造として図7の形態を用いる場合は、封止材6の接触面積が少ないため、封止材6に外力が加わることや、施工時の曲げなどにより封止材6の剥がれなどが発生する懸念がある。また、調光フィルム5の端部への封止材6形成には特殊な封止プロセス設備が必要になるなどの課題もある。
その他にも、後貼り型の調光シートで端部を封止する案としては、図9の第2例のように、一対の透明電極付きPETフィルム3の一方の外周部をハーフカットし剥離した後に、ディスペンサなどで調光フィルム5を含む端部を覆う形状に封止材6を塗布する形態も提案されている。
しかしながら、図9の形状の場合、図7の構造と同様に、端部の封止材が露出しているので、外力等より封止材6が剥がれる恐れがあり、また、後述の図11のように調光フィルム5上に透明性フィルム1bを備える場合に、透明電極付きPETフィルム3表面に封止材6が乗り上げていることが障害になる、という課題がある。また、ハーフカットなどの難度の高いプロセスを含め、封止のためのプロセスが増えるという課題もある。
このように、後貼り型は適用できる範囲が拡大できる可能性がある反面、本来調光フィルムが露出した形態である。このため、通常図10のように、ガラス10等の基板への貼り合わせた後に封止材6を塗布形成する方法もあるが、透明性接着剤2と調光フィルム5による段差をもつ端面の被覆が必要であり、調光フィルム5上の厚みを含め、均一に形成することが困難であるという課題がある。そこで、外観的に均一できれいに仕上げるためには労力や職人技が必要とされる。また、図11のように調光フィルム5上に透明性フィルム1bを備える場合には、より大きな段差を被覆する必要がある。
このように、封止材6としては、調光層4を侵さない材料であることに加えて、特に後貼り型の調光シートに用いる場合は、調光フィルム5や透明性フィルム1bの端面からの剥離防止などの機械的な強度、透明電極端部からの漏電防止、外部からの湿気や汚染物の遮断などの機能を備えること、など条件が多くなる。
後貼り型の調光シートのガラス10への貼り合わせ後の端面保護として、封止材6の塗布以外に、図12のように、透明性フィルム1tと透明性接着剤2tから成る封止テープ12による保護構造も提案されている。上述の封止材6に比し、封止テープ12の方が外力に対して強固で、均一に形成できると考えられるが、透明性接着剤2tとして密着性や外部汚染からの遮断性、信頼性などの機能と合わせて、調光層4を侵さない材料を選ぶ必要があり、特殊かつ高価になる課題がある。
また、図示しないが、封止テープを使用すると、図11のように調光フィルム5上に透明性フィルム1bを備える場合にはより大きな段差のカバーが必要になるとともに、周辺部には封止テープ12の代(しろ)が必要であり、外観、設計、加工上の課題になる。
調光層4へのダメージは、図13のように、調光フィルム5単体を封止テープ12で封止する場合にも課題になり、その課題を改善するために、図14のように、調光層4の端部に透明性接着剤2tが触れない構造も提案されている。
前記の調光フィルム5単体に対する課題を解決し、さらに信頼性を向上させるためには、図7の封止材6を備える構造と、図13の封止テープ12を用いる構造とを組み合わせた図15の構造も考えられる。但し、調光フィルム5側面の処理が二重化し、プロセスが煩雑になることが課題になる。
また、後貼り型の調光シートで信頼性の強化や防水性の向上などのために、図16のような、ラミネート(または真空ラミネート)を用いたパウチ構造、もしくは図17のような、片面は端部だけを残したパウチ構造にすることも提案されている。
しかしながら、上記の封止テープを用いる場合と同様、透明性接着剤2bに、調光層4にダメージを与えないことも含め、複数の機能を持たせる必要があり、材料が特殊かつ高価になる懸念がある。また、真空ラミネートを用いる場合には、設備的に建材のような大きなものには適用しにくいという課題もある。加えて、周辺部の厚さが変わってしまい、ラミネートしにくいなどの課題もある。
特開平4-152324号公報 特開2011-227400号公報 特開2014-91405号公報 特開2017-151151号公報 特開2018-97261号公報 特開2018-105984号公報 特開2018-141890号公報
本発明は、上記のような現状課題、状況を鑑みて発案されたものであり、後貼り型や合わせガラス用の調光シートとして、調光層を侵さない材料と構成で、外力や施工時の曲げなどによる剥離、クラックなどが起こらない機械的強度があり、諸々の外的要因(湿度、水、汚れ)からの保護が可能であるので信頼性が高く、外観的にも良好で、使い勝手もよい調光シートとその製造方法及びそれを用いた合わせガラスや後貼り型の調光シートを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る調光シートは、調光フィルムが、液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを備え、
前記調光フィルムの両側の面にそれぞれ、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1、第2透明性フィルムが、夫々第1、第2透明性接着剤を介して接着され、
平面視で前記第1及び第2透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域に封止材を備え、
平面視で前記第2透明性接着剤の外形は、前記第2透明性フィルムの外形と一致する、ことを特徴とする調光シートとしたものである。
あるいは本発明に係る調光シートは、調光フィルムが、液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを備え、
前記調光フィルムの両側の面にそれぞれ、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1、第2透明性フィルムが、夫々第1、第2透明性接着剤を介して接着され、
平面視で前記第1及び第2透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域に封止材を備え、
平面視で前記第2透明性接着剤の外形は、前記調光フィルムの外形と一致する、
ことを特徴とする調光シートとしたものである。
上記の調光シートにおいては、
前記第2透明性フィルムは、第2透明性接着剤と接合する側の面に剥離剤がコーティングされた剥離コート層を有し、剥離自在に該第2透明性接着剤を保護する構成としても良い。
さらに本発明に係る調光シートは、前記第1、第2透明性接着剤の少なくとも一方が、紫外線カット(吸収、反射)機能、赤外線カット(吸収、反射)機能、波長選択機能の少なくとも1つを有する、ことを特徴とする調光シートであることが好ましい。
また、前記第1、第2透明性フィルムの少なくとも一方が、紫外線カット(吸収、反射)機能、赤外線カット(吸収、反射)機能、波長選択機能の少なくとも1つを有する、ことを特徴とする調光シートであることが好ましい。
また、本発明に係る調光シートの製造方法は、以下の工程を順次含む、ことを特徴とする製造方法としたものである。
1)液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを有する調光フィルムを作製する工程。
2)前記調光フィルムの少なくとも一方の面に第1、第2透明性接着剤の少なくとも一方を塗布形成し、平面視で所定の外形に切断する工程。
3)所定の外形に切断した前記調光フィルムに、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1透明性フィルムを貼り合わせた積層体を作製する工程。
4)前記積層体の、平面視で前記第1透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域の、前記調光フィルムの近傍に封止材を配置する工程。
5)第2透明性接着剤が塗布形成されており平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第2透明性フィルム、若しくは第2透明性接着剤が塗布形成されておらず平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第2透明性フィルムと、
前記積層体と、を貼り合わせて調光シート用積層体を作製する工程。
6)前記調光シート用積層体を、平面視で前記調光フィルムよりも外部の、前記封止材の途中で切断する工程。
また、本発明に係る合わせガラスは、一対のガラス間に、中間膜と、上記のいずれか一項に記載の調光シートと、を挟持して一体化された、ことを特徴とする合わせガラスとしたものである。
本発明に係る後貼り型調光シートでは、
第2透明性フィルムには、第2透明性接着剤と接合する側の面に剥離剤がコーティングされた剥離コート層を有し、剥離自在に該第2透明性接着剤を保護する構成の調光シートから第2透明性フィルムを剥離して、露出させた第2透明性接着剤に、調光シート以上の面積のガラス板を接合してなる構成が好適である。
本発明によれば、後貼り型や合わせガラス用の調光シートとして、調光層を侵さない材料と構成で、外力や施工時の曲げなどによる剥離、クラックなどが起こらない機械的強度があり、諸々の外的要因(湿度、水、汚れ)からの保護が可能であるので信頼性が高く、フルフラット(平坦)のため外観的にも良好で、構造の共通化によって使い勝手もよい調光シートとその製造方法及びそれを用いた合わせガラスが得られる。
また、調光シートでは様々なアプリケーションや使用環境に合わせた、個別の機能アレンジや評価が必要になるが、構造の共通化により、機能調整、評価などを最小限にできる効果も得られる。
本開示の第1実施形態に係る、調光シートの第1例を例示する模式断面図である。 本開示の第2実施形態に係る、調光シートの第2例を例示する模式断面図である。 本開示の第3実施形態に係る、後貼り型調光シートで、FPC(フレキシブルプリント回路基板)電極が付いた形態の模式断面図である。 本開示の第4実施形態に係る、合わせガラスの模式断面図である。 本開示の第1実施形態に係る調光シートの製造工程の一部を示す、(a)(b)(c)は模式断面図、(c’)は模式平面図である。 従来の調光フィルムを挟持した合わせガラスの第1例を例示する模式断面図である。 従来の後貼り型調光シートの第1例を例示する模式断面図である。 従来の調光フィルムを挟持した合わせガラスの第2例を例示する模式断面図である。 従来の後貼り型調光シートの第2例を例示する模式断面図である。 従来の後貼り型調光シートをガラスへ貼り合わせた後に、封止材を形成した形態を例示する模式断面図である。 図10で、調光シート上に透明性フィルムを貼り合わせた形態を例示する模式断面図である。 図10で、封止材の代わりに、透明性フィルムと透明性接着剤から成る封止テープで封止した形態を例示する模式断面図である。 従来の、調光フィルム単体を封止テープで封止した形態を例示する模式断面図である。 図13で、調光層の端部に透明性接着剤が触れない構造を例示する模式断面図である。 図7の封止材を備える構造と、図13の封止テープを用いる構造とを組み合わせた構造を例示する模式断面図である。 従来の調光シートで、調光フィルムの両面に透明性フィルムをラミネートしたパウチ構造を例示する模式断面図である。 図16で、片面は端部だけを残したパウチ構造を例示する模式断面図である。 第2透明性フィルム1bに剥離フィルムを採用した調光シートを用いて後貼り型調光シートに適用した形態を例示する模式断面図である。
以下、本開示の実施形態に係る調光シートとその製造方法及びそれを用いた合わせガラスについて図面を用いて説明する。同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付ける。各図面において、見易さのため構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も減らして図示していることがある。また、本開示は以下の実施形態そのままに限定されるものではなく、主旨を逸脱しない限りにおいて、適宜の組み合わせ、変形によって具体化できる。
図1は、本開示の第1実施形態に係る、調光シートの第1例を例示する模式断面図である。本開示の第1例の調光シート100は、調光フィルム5が調光層4の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極(図示せず)付きの第1、第2PETフィルム3を備え、調光フィルム5の両側の面にはそれぞれ、平面視で調光フィルム5よりも広い面積で調光フィルム5を覆う第1、第2透明性フィルム1a、1bが第1、第2透明性接着剤2a、2bを介して接着され、平面視で第1及び第2透明性フィルム1a、1bが調光フィルム5と重ならない領域に封止材6を備え、平面視で第2透明性接着剤2bの外形は、第2透明性フィルム1bの外形と一致している。
図2は、本開示の第2実施形態に係る、調光シートの第2例を例示する模式断面図である。本開示の第2例の調光シート200が第1例の調光シート100と異なる部分は、平面視で第2透明性接着剤2bの外形は、第2透明性フィルム1bの外形とではなく、調光フィルム5の外形と一致していると一致している、ということである。
図1の調光シート100と図2の調光シート200はいずれも、調光フィルム5を透明性フィルム1a、1b、及び透明性接着剤2a、2bで挟持して、その外周部を封止材6で完全に包囲した密閉構造としているため、耐湿、耐水、防滴などの機能が向上する。
また、本開示の調光シート100、200では、封止材6は、封止テープ方式(図12参照)のように、調光フィルム5表面の保護に用いる透明性フィルム1a、1bの貼り合わせに用いる透明性接着剤2a、2bと機能を併用しなくてもよい。このため、それぞれが固有の機能を発現しやすい。
上記のように、本開示の調光シート100、200では、端面の封止材6は透明性フィルム1aと、透明性接着剤2bまたは透明性フィルム1bと、によって挟持された構造であり、調光シート断面としては端面までフラット(平坦)であるため、外観的に良好で、使い勝手も良くなり、外力(ひっかき、こすれ)や施工時の曲げなどによって封止材6の部分欠落やクラックが起きにくい封止構造を実現できる。
図1の調光シート100と図2の調光シート200は、作製する調光シートの用途、大きさや厚さ等の仕様、及び構成材料同士の相性に応じて適宜選択することができる。尚、後述のように、図1の調光シート100と図2の調光シート200は、製造工程の一部が異なる。
図1の調光シート100と図2の調光シート200は、作製する調光シートの用途、大きさや厚さ等の仕様、及び構成材料同士の相性に応じて適宜選択することができる。尚、後述のように、図1の調光シート100と図2の調光シート200は、製造工程の一部が異なる。
透明性フィルム1a、1bとしては、PETを用いることが好適であるが、これに限定されるものではなく、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、アクリル、PC(ポリカーボネート)、など用途に応じた樹脂材料を選択できる。厚みは、後貼り施工を考えた場合、施工性の面で薄いことが好ましく、25~50μm程度が好ましいが、用途に応じてその限りではなく、最大数mm程度の厚みであっても良い。
また、透明性フィルム1bとしては、少なくとも第2透明性接着剤2bに接合される側の表面に剥離剤がコーティングされたものを採用してもよい。また作製される調光シート100,200としては、第2透明性接着剤を保護する剥離フィルムとしての機能を持たせても良い。剥離剤はシリコン系,非シリコン系の何れでも良い。図1や図2に示す構成の調光シート100,200を2枚のガラス板に挟み込んだ合わせガラスの形態に加工する場合、または1枚のガラス等の基板に貼り合せる後貼り型の調光シートの形態に加工する場合、調光シート100,200から透明性フィルム1b(剥離フィルム)を剥離して露出した第2透明性接着剤2bをガラス板10に接合させることが出来る。図1に示す構成の調光シート100を用いて後貼り型調光シートに適用した形態を例示する模式断面図を図18に示す。
透明性フィルム1a、1bには、別途薄膜を付加することなどによって、耐候性の強化や遮熱性能へ対応のための紫外線カット(吸収又は反射)、赤外線カット(吸収又は反射)、意匠性付与等のための波長選択性(着色)、ハードコート(摩耗、擦傷性の向上)、反射防止機能、バリア性(湿度、ガス透過性低減)などの機能を付与しても良い。尚、透明性フィルム1a、1bは同じ材料でもよく、異なる材料であってもよい。
透明性接着剤2a、2bには、一般的にOCA(光学透明性粘着材)と呼ばれるものを用いるが、アクリル系、シリコン系、ウレタン系などのものがあり、用途に応じて選択する。特定波長領域に対する光吸収剤を含み、紫外線カット(吸収又は反射)、赤外線カット(吸収又は反射)、波長選択性(着色)などの機能を付加したものを用いても良い。厚みは10~30μmくらいが好適であるが、目的に応じてこの限りではない。尚、透明性接着剤2a、2bは同じ材料でもよく、異なる材料であってもよい。
また、本開示の調光シート100、200では、透明性フィルム、及び透明性接着剤のどちらか一方、または双方、片面、または両面を着色することによって、黒、グレーなどの色も含めた調光フィルムとすることもできる。
封止材6としては、一般にアクリル系材料などを用いることができるが、用途や周辺材料との相性などに応じ、オレフィン系、エチレン・酢酸ビニル系、ウレタン系、シリコン系、それらの複合系などの材料を用いても良い。ただし、基本性能として調光層と接触して、調光層の経時的な変化も含め侵さない(機能低下を招かない)ことが必須で、外気や湿度、水などの防御性に優れるものが好ましい。ディスペンサなどの滴下に好適な粘度の紫外線硬化樹脂などがプロセス的に扱いやすい。
封止材6は一般的には透明材料を用いることが好ましいが、状況に応じては調光フィルム5の不透明時色に合わせることで、ガラスフレーム近くまで隙間を作らずに調光シート
を貼り、端部の隙間感をなくすことも可能である。また、必要な場合には調光フィルム5と透明性フィルム1a、1bとのラミネートの際に、調光フィルム5の端部の負荷が低減できるよう、フィラー(スペーサー)を入れた材料を用いても良い。
図3は、本開示の第3実施形態に係る、後貼り型調光シートで、FPC(フレキシブルプリント回路基板)電極が付いた形態の模式断面図である。後貼り型調光シート300は、薄型のFPC電極8a、8bが、図1の本開示の第1例の調光シート100の、透明性フィルム1a、1b、及び透明性接着剤2a、2bに挟持された封止材6の中に埋め込む形で形成されている。従って、FPC電極も含めて調光シートの端面までフラットであるため、外力や施工時の曲げなどによって封止材6の部分欠落やクラックが起きにくい調光シートとなる。尚、ここで、第1例の調光シート100は、第2例の調光シート200であってもよい。
さらに、本開示の後貼り型調光シート300では、透明電極付きPETフィルム3の透明電極(不図示)と、薄型のFPC電極8a、8bと、がACF(異方性導電接着フィルム)7a、7bを介して電気的に接続し、図面で透明性フィルム1aの下面側には予め後貼り用の透明性接着剤2が形成され、透明性接着剤2のさらに下面側には、後貼り前の形態でカバーフィルム9を備えている。カバーフィルム9は後貼り施工時に剥離する。
図4は、本開示の第4実施形態に係る、合わせガラスの模式断面図である。本開示の合わせガラス400は、一対の合わせガラス10の中に、図1の本開示の第1例の調光シート100が中間膜11を介して挟持されている。このように合わせガラスにも第1例の調光シートを共通の構造で使うことができるので使い勝手がよい。ここで、第1例の調光シート100は、第2例の調光シート200であってもよい。
本開示の合わせガラス400では、本開示の第1例の調光シート100(または第2例の調光シート200)を用いることにより、以下のメリットが生まれる。すなわち、調光フィルム5の調光層4が中間膜11に直接侵されることを防ぐ。透明性フィルム1a、1bとして中間膜11と相性のよい材料を選び場合によっては表面処理を施す事等で密着性や耐久性を改善する。透明性フィルム1a、1bの膜厚を調整することで合わせガラスとして好適な厚みに調整できる。
図5は、本開示の第1実施形態に係る調光シート100(図1)の製造工程の一部を示す、(a)(b)(c)は模式断面図、(d)は模式平面図である。
まず、片面に透明性接着剤を形成した調光フィルムをプロッタなどで所定の外形に切断し調光フィルム5、透明性接着剤2aの形状とし、透明性フィルム1aをラミネートなどの手法で貼り合わせて積層体50を作製する(図5(a))。この時、透明性フィルム1aは、平面視で、切断した調光フィルム5よりも広い面積で調光フィルム5を覆うように、切断した調光フィルム5よりも一回り(5~10mm程度/辺)大きなサイズとする。尚、切断した調光フィルム5は、透明性フィルム1aに対して、ほぼ均等にセンターに配置して貼り合わせを行うが、高精度に位置決めをする必要はない。
次に、積層体50の、平面視で第1透明性フィルム1aが調光フィルム5と重ならない領域の、調光フィルム5の近傍に、封止材6aをディスペンサなどの方法で全周にわたって滴下配置する(図5(b))。塗布位置は調光フィルム5にぎりぎりかからない程度が好ましいが、裾が若干接触するレベルであれば問題がない。幅は任意であるが、この後の工程で透明性接着剤2b付き透明性フィルム1bを貼り合わせた時に上下の透明性フィルム1a、1bの端部からはみ出さないように計算した量とする。
封止材は、滴下配置した封止材6aの高さが調光フィルム5の膜厚より若干(2~5μm)高くなるような粘度に調整されたものを用いることが好ましい。必要に応じては、紫外線、熱などで半硬化状態にしてもよい。また、必要に応じ、封止材6aを配置する前に調光フィルム5の端面、並びに調光フィルム5の周辺部の透明性フィルム1aの表面を、溶剤を付着させた布で拭き取ったり、紫外線、プラズマなどによって汚染除去し、塗布性を向上してもよい。
次に、図5(b)の状態の、封止材6aが配置された積層体50上に透明性接着剤2bを塗布形成した透明性フィルム1bをラミネートなどの手法を用いて貼り合わせて調光シート用積層体60を作製する(図5(c))。このとき、透明性フィルム1bは、平面視で、調光フィルム5よりも広い面積で調光フィルム5を覆うように、調光フィルム5よりも一回り(5~10mm程度/辺)大きなサイズとする。尚、調光フィルム5に対して、ほぼ均等にセンターに配置して貼り合わせを行うが、高精度に位置決めをする必要はない。
前記の、貼り合わせて調光シート用積層体60を作製する際に、封止材6aをつぶして、押延べることで、調光フィルム5が透明性フィルム1a、1bと、接着材2a、2bとによって挟持されるとともに、調光フィルム5の端面が封止される。その後、紫外線などで封止材6bを硬化し、調光フィルム5を、上下は透明性フィルム1a、1bと透明性接着剤2a、2b、外周部は封止材6bで包囲した密閉構造が形成される。
図5(c’)は、図5(c)の模式平面図である。ここで、透明性フィルム1aと透明性フィルム1bとがわずかにずれ、調光フィルム5と封止材6bの形成位置がやや傾いたように図示しているのは、既述のように、調光フィルム5と透明性フィルム1aと透明性フィルム1bとは、ほぼ均等にセンターに配置して貼り合わせるが、高精度に位置決めをする必要はない、ことを意味している。
次に、図5(c’)の破断線Hに沿って、調光シート用積層体60を、平面視で調光フィルム5よりも外部の封止材6bの途中で、より具体的には、調光フィルム5の端部を基準にその外周を必要な寸法(1~2mm)だけ残すかたちでカットする。これにより、本開示の第1実施形態に係る調光シート100(図1)を作製することができる。
本開示の第2実施形態に係る調光シート200(図2)の製造工程は、図示しないが、第1実施形態に係る調光シート100(図1)の製造工程と異なる部分は、第2透明性接着剤2bを、予め第2透明性フィルム1bではなく、第1透明性接着剤2aと同様に、調光フィルム5に形成しておく、ということである。従って、調光シート200の製造工程では、第2透明性接着剤2bの形成を第1透明性接着剤2aの形成に引き続いて行うことができる。
本開示の第1、第2実施形態に係る調光シート100、200は、上記のような製造方法で製造することで、汎用的な製造プロセス設備の組み合わせによって製造することができ、且つ、最終工程で調光フィルムの端部を基準にして外形カットを行うので、封止幅を必要最小限にできるという利点も有する。
100、200・・・本開示の調光シート
300・・・・・・・本開示の調光シート(後貼り型)
400・・・・・・・本開示の合わせガラス
50・・・・・・・・積層体
60・・・・・・・・調光シート用積層体
1a・・・・・・・・第1透明性フィルム
1b・・・・・・・・第2透明性フィルム
2・・・・・・・・・透明性接着剤(後貼り型用)
2a・・・・・・・・第1透明性接着剤
2b・・・・・・・・第2透明性接着剤
2t・・・・・・・・透明性接着剤(封止テープ用)
3・・・・・・・・・透明電極付きPETフィルム
4・・・・・・・・・調光層
5・・・・・・・・・調光フィルム
6・・・・・・・・・封止材
6a・・・・・・・・封止材(滴下配置時)
6b・・・・・・・・封止材(貼り合わせ時)
7a、7b・・・・・ACF(異方性導電接着フィルム)
8a、8b・・・・・FPC(フレキシブルプリント回路基板)電極
9・・・・・・・・・カバーフィルム
10・・・・・・・・ガラス
11・・・・・・・・中間膜
12・・・・・・・・封止テープ

Claims (8)

  1. 調光フィルムが、液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを備え、
    前記調光フィルムの両側の面にそれぞれ、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1、第2透明性フィルムが、夫々第1、第2透明性接着剤を介して接着され、
    平面視で前記第1及び第2透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域に、前記液晶調光層の機能低下を招かない封止材を備え、
    平面視で前記第2透明性接着剤の外形は、前記第2透明性フィルムの外形と一致し、
    前記第1、第2透明性接着剤と前記封止材とは、互いに異なる材料である
    ことを特徴とする調光シート。
  2. 調光フィルムが、液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを備え、
    前記調光フィルムの両側の面にそれぞれ、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1、第2透明性フィルムが、夫々第1、第2透明性接着剤を介して接着され、
    平面視で前記第1及び第2透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域に、前記液晶調光層の機能低下を招かない封止材を備え、
    平面視で前記第2透明性接着剤の外形は、前記調光フィルムの外形と一致し、
    前記第1、第2透明性接着剤と前記封止材とは、互いに異なる材料であり、
    前記第1、第2透明性フィルム夫々の端面と前記封止材の端面とが面一であり、
    調光シートの端面は、前記第1、第2透明性フィルム夫々の前記端面と、前記封止材の前記端面とから構成され、
    前記調光シートの前記端面は、前記第1透明性フィルムの前記端面から前記第2透明性フィルムまで連なる切断痕を有する
    ことを特徴とする調光シート。
  3. 前記第2透明性フィルムは、第2透明性接着剤と接合する側の面に剥離剤がコーティングされた剥離コート層を有し、剥離自在に該第2透明性接着剤を保護することを特徴とする請求項1または2に記載の調光シート。
  4. 前記第1、第2透明性接着剤の少なくとも一方が、紫外線カット(吸収、反射)機能、赤外線カット(吸収、反射)機能、波長選択機能の少なくとも1つを有する、ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の調光シート。
  5. 前記第1、第2透明性フィルムの少なくとも一方が、紫外線カット(吸収、反射)機能、赤外線カット(吸収、反射)機能、波長選択機能の少なくとも1つを有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の調光シート。
  6. 以下の工程を順次含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の調光シートの製造方法。1)液晶調光層の両側の面にそれぞれ、第1、第2透明電極と、第1、第2PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムとを有する調光フィルムを作製する工程。2)前記調光フィルムの少なくとも一方の面に第1、第2透明性接着剤の少なくとも一方を塗布形成し、平面視で所定の外形に切断する工程。3)所定の外形に切断した前記調光フィルムに、平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第1透明性フィルムを貼り合わせた積層体を作製する工程。4)前記積層体の、平面視で前記第1透明性フィルムが前記調光フィルムと重ならない領域の、前記調光フィルムの近傍に、前記液晶調光層の機能低下を招かない封止材を配置する工程。5)第2透明性接着剤が塗布形成されており平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第2透明性フィルム、若しくは第2透明性接着剤が塗布形成されておらず平面視で前記調光フィルムよりも広い面積で前記調光フィルムを覆う第2透明性フィルムと、
    前記積層体と、を貼り合わせて調光シート用積層体を作製する工程。
    6)前記調光シート用積層体を、平面視で前記調光フィルムよりも外部の、前記封止材の途中で切断する工程。
  7. 一対のガラス間に、中間膜と、請求項1~5のいずれか一項に記載の調光シートと、を挟持して一体化された、ことを特徴とする合わせガラス。
  8. 請求項3記載の調光シートから第2透明性フィルムを剥離して、露出させた第2透明性接着剤に、調光シート以上の面積のガラス板を接合してなる構成の後貼り型調光シート。
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