JP7440819B1 - 溶融めっき鋼板 - Google Patents

溶融めっき鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP7440819B1
JP7440819B1 JP2023561115A JP2023561115A JP7440819B1 JP 7440819 B1 JP7440819 B1 JP 7440819B1 JP 2023561115 A JP2023561115 A JP 2023561115A JP 2023561115 A JP2023561115 A JP 2023561115A JP 7440819 B1 JP7440819 B1 JP 7440819B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot
normal direction
incident
dip
incident angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023561115A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023238935A1 (ja
Inventor
哲也 鳥羽
保明 河村
順 中川
進太朗 上村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Publication of JPWO2023238935A1 publication Critical patent/JPWO2023238935A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7440819B1 publication Critical patent/JP7440819B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2/00Hot-dipping or immersion processes for applying the coating material in the molten state without affecting the shape; Apparatus therefor
    • C23C2/04Hot-dipping or immersion processes for applying the coating material in the molten state without affecting the shape; Apparatus therefor characterised by the coating material
    • C23C2/06Zinc or cadmium or alloys based thereon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2/00Hot-dipping or immersion processes for applying the coating material in the molten state without affecting the shape; Apparatus therefor
    • C23C2/14Removing excess of molten coatings; Controlling or regulating the coating thickness
    • C23C2/16Removing excess of molten coatings; Controlling or regulating the coating thickness using fluids under pressure, e.g. air knives
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C2/00Hot-dipping or immersion processes for applying the coating material in the molten state without affecting the shape; Apparatus therefor
    • C23C2/26After-treatment

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)

Abstract

溶融めっき層のパターン部と非パターン部において、鋼板表面の法線方向に対して入射角度0~90°未満の範囲の入射光に対する、法線方向へのパターン部および非パターン部の反射光の関係が、式(1)、(2)を満足する溶融めっき鋼板を採用する。|IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)|IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)IPH、IBHは入射角度0~35°未満の入射光に対するパターン部及び非パターン部の反射強度。IPM、IBMは入射角度35~80°の入射光に対する法線方向へのパターン部及び非パターン部の反射強度。IPL、IBLは入射角度80超~90°未満の入射光に対する法線方向へのパターン部及び非パターン部の反射強度。

Description

本発明は、溶融めっき鋼板に関する。本願は、2022年6月10日に日本に出願された特願2022-094349号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
溶融亜鉛めっき鋼板に比べて高い耐食性を有するZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、建材、家電、自動車分野等種々の製造業において広く使用されており、近年、その使用量が増加している。
ところで、溶融めっき鋼板の溶融めっき層の表面に、文字、模様、デザイン画などを現すことを目的として、溶融めっき層に印刷や塗装などの工程を施すことにより、文字、模様、デザイン画などを溶融めっき層の表面に現す場合がある。
しかし、溶融めっき層に印刷や塗装などの工程を行うと、文字やデザイン等を施すためのコストや時間が増大する問題がある。更に、印刷や塗装によって文字やデザイン等をめっき層の表面に現す場合は、需要者から高い支持を得ている金属光沢外観が失われるだけでなく、塗膜自体の経時劣化や塗膜の密着性の経時劣化の問題から、耐久性が劣り、時間とともに文字やデザイン等が消失してしまう恐れがある。
そこで、下記特許文献1に示されるように、Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板のめっき層表面に文字やデザイン等を現す技術が提案されている。
日本国特許第6648871号公報
特許文献1に記載されたZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、インク塗布や研削加工によらずに、めっき層の表面において、直線部、曲線部、図形、数字、記号及び文字またはこれらを組合せてなる意図的なパターンを形成できるようにしたものである。これにより例えば、製造者名、製造番号、文字や字形の組合せからなる標章等をめっき層表面に現すことが可能になり、鋼板の管理等が容易になるメリットがある。
しかしながら、需要者等からは、これら意図的なパターンは有用であるものの、パターンが形成された溶融めっき鋼板を素材とする部品、製品または構造物等において、特定の方向から光が入射した場合にパターンを人の視覚により容易に識別可能とさせ、それ以外の方向から光が入射した場合にはパターンを識別させにくくしたいという要望がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、めっき層の表面に表された文字やデザイン等のパターンを、特定の方向から光が入射した場合に人の視覚において容易に識別可能とさせ、それ以外の方向から光が入射した場合にはパターンを識別させにくくすることが可能な、溶融めっき鋼板を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
前記溶融めっき層に、パターン部と、非パターン部とがあり、
前記パターン部は、17~40°の傾斜角度を有する傾斜面の割合が、60%以上であり、
前記鋼板の表面の法線方向に対して入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、前記法線方向への前記パターン部の反射光および前記法線方向への前記非パターン部の反射光の関係が、下記式(1)および式(2)を満足する、溶融めっき鋼板。
|IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
|IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
但し、
PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
である。
[2] 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
更に、下記A群、B群からなる群から選択される1種または2種を含有し、
前記溶融めっき層に、パターン部と、非パターン部とがあり、
前記パターン部は、17~40°の傾斜角度を有する傾斜面の割合が、60%以上であり、
前記鋼板の表面の法線方向に対して入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、前記法線方向への前記パターン部の反射光および前記法線方向への前記非パターン部の反射光の関係が、下記式(1)および式(2)を満足する、溶融めっき鋼板。
|IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
|IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
[A群]Si:0.0001~2質量%
[B群]Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%
但し、
PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
である。
[3] 前記パターン部が、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼板。
[4] 前記溶融めっき層の付着量が鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融めっき鋼板。
[5] 前記溶融めっき層の付着量が鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする[3]に記載の溶融めっき鋼板。
[6] 前記溶融めっき層が、質量%で、前記A群を含有する平均組成を有する[2]に記載の溶融めっき鋼板。
[7] 前記溶融めっき層が、質量%で、前記B群を含有する平均組成を有する[2]に記載の溶融めっき鋼板。
本発明によれば、めっき層の表面に表された文字やデザイン等のパターンを、特定の方向から光が入射した場合に人の視覚において識別可能とさせ、それ以外の方向から光が入射した場合はパターンを識別させにくくすることができる。
図1は、パターン部及び非パターン部における、入射角度毎の反射光の強度を説明する模式図。 図2は、本発明の実施形態である溶融めっき鋼板のパターン部及び非パターン部における、入射角度毎の反射光の強度を示す模式図。
本発明の実施形態である溶融めっき鋼板について説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、鋼板と、鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、溶融めっき層に、平面視においてパターン部と、非パターン部とが形成されており、鋼板表面の法線方向に対して入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、法線方向へのパターン部の反射光および法線方向への非パターン部の反射光の関係が、下記式(1)および式(2)を満足する、溶融めっき鋼板である。
|IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
|IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
但し、IPH、IBH、IPM、IBM、IPL、IBL、は以下の通りである。
PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
溶融めっき層の下地となる鋼板は、材質に特に制限はない。詳細は後述するが、材質として、一般鋼などを特に制限はなく用いることができ、Alキルド鋼や一部の高合金鋼も適用することも可能であり、形状にも特に制限はない。鋼板に対して後述する溶融めっき法を適用することで、本実施形態に係る溶融めっき層が形成される。
次に、溶融めっき層の化学成分について説明する。
溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含む。更に好ましくは、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物からなる。また、溶融めっき層は、平均組成で、Si:0.0001~2質量%を含有してもよい。
更に、溶融めっき層は、下記A群、B群からなる群から選択される1種または2種を含有してもよい。
[A群]Si:0.0001~2質量%
[B群]Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%
Alの含有量は、平均組成で4~22質量%の範囲である。Alは、耐食性を確保するために含有させるとよい。溶融めっき層中のAlの含有量が4質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。22質量%を超えると耐食性を向上させる効果が飽和するばかりか、低下するおそれがある。耐食性の観点から、Alの含有量の下限値は、好ましくは6質量%であり、より好ましくは11質量%とする。Alの含有量の上限値は、好ましくは19質量%とする。
Mgの含有量は、平均組成で1.0~10質量%の範囲である。Mgは、耐食性を向上させるために含有させるとよい。溶融めっき層中のMgの含有量が1.0質量%以上であれば、耐食性を向上させる効果がより高まる。しかし、Mgが10質量%を超えるとめっき浴でのドロス発生が著しくなり、安定的に溶融めっき鋼板を製造するのが困難となるので、Mgの含有量は10質量%以下とする。耐食性とドロス発生のバランスの観点から、Mgの含有量の下限値は、好ましくは1.5質量%であり、より好ましくは2.0質量%とする。Mgの含有量の上限値は、好ましくは8.0質量%であり、より好ましくは6.0質量%の範囲とする。
溶融めっき層には、平均組成で0.0001~2.0質量%のSiを含有してもよい。Siは、溶融めっき層の密着性を向上させるのに有効な元素である。Siを溶融めっき層に0.0001質量%以上含有させることで密着性を向上させる効果が発現するため、Siを0.0001質量%以上含有させることが好ましい。一方、2質量%を超えて含有させてもめっき密着性を向上させる効果が飽和するため、溶融めっき層にSiを含有させる場合であっても、Siの含有量は2質量%以下とする。めっき密着性の観点からは、溶融めっき層におけるSiの含有量の下限値は、0.0010質量%としてもよく、0.0100質量%としてもよい。めっき密着性の観点からは、溶融めっき層におけるSiの含有量の上限値は、1質量%としてもよく、0.8質量%としてもよい。
溶融めっき層中には、平均組成で、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cの1種又は2種以上を合計で0.0001~2質量%を含有していてもよい。これらの元素を含有することで、溶融めっき層の耐食性を更に改善することができる。REMは、周期律表における原子番号57~71の希土類元素の1種または2種以上である。
溶融めっき層の化学成分の残部は、亜鉛及び不純物である。不純物には、亜鉛ほかの地金中に不可避的に含まれるもの、めっき浴中で、鋼が溶解することによって含まれるものがある。
なお、溶融めっき層の平均組成は、次のような方法で測定できる。まず、めっきを浸食しない塗膜剥離剤(例えば、三彩化工社製ネオリバーSP-751)で表層塗膜を除去した後に、インヒビタ(例えば、スギムラ化学工業社製ヒビロン)入りの塩酸で溶融めっき層を溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析に供することで求めることができる。また、表層塗膜を有しない場合は、表層塗膜の除去作業を省略できる。
次に、溶融めっき層の組織について説明する。本実施形態の溶融めっき層の組織は、例えば、以下に説明するような組織を有していてもよい。これにより、溶融めっき層の表面の外観が梨地状の外観となり、美観性に優れたものとなる。なお、溶融めっき層の組織は、上記の化学組成を有するめっきであれば得られるものであるので、本発明において溶融めっき層の組織を限定する必要はない。
Al、Mg及びZnを含有する溶融めっき層は、〔Al相〕と、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とを含んでいる。具体的には、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔Al相〕が包含された形態を有している。更に、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgZn相〕や〔Zn相〕が含まれていてもよい。また、Siを含有させた場合には、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgSi相〕が含まれていてもよい。
〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕
〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕とは、Al相と、Zn相と金属間化合物MgZn相との三元共晶組織であり、この三元共晶組織を形成しているAl相は例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当する。
この高温でのAl″相は、常温では通常は微細なAl相と微細なZn相とに分離して現れる。該三元共晶組織中のZn相は少量のAlを固溶し、場合によってはさらに少量のMgを固溶したZn固溶体である。該三元共晶組織中のMgZn相は、Zn-Mgの二元系平衡状態図のZn:約84質量%の付近に存在する金属間化合物相である。
状態図で見る限りそれぞれの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。しかしながら、その量は通常の分析では明確に区別できないため、この3つの相からなる三元共晶組織を本明細書では〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕と表す。
〔Al相〕
〔Al相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、これは例えばAl-Zn-Mgの三元系平衡状態図における高温での「Al″相」(Znを固溶するAl固溶体であり、少量のMgを含む)に相当する。この高温でのAl″相は、めっき浴のAlやMg濃度に応じて、固溶するZn量やMg量が相違する。この高温でのAl″相は、常温では通常は微細なAl相と微細なZn相とに分離するが、常温で見られる島状の形状は高温でのAl″相の形状に起因すると考えられる。
状態図で見る限りこの相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。しかしながら、通常の分析では明確に区別できないため、この高温でのAl″相に由来し且つ形状的にはAl″相の形状に起因する相を本明細書では〔Al相〕と呼ぶ。
〔Al相〕は前記の三元共晶組織を形成しているAl相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。
〔Zn相〕
〔Zn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlや少量のMgを固溶していることがある。状態図で見る限り、この相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。
〔Zn相〕は、前記の三元共晶組織を形成しているZn相とは顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本実施形態に係る溶融めっき層には、製造条件により〔Zn相〕が含まれる場合が有るが、〔Zn相〕に起因する耐食性への影響はほとんど見られなかった。そのため、溶融めっき層に〔Zn相〕が含まれても、特に問題は無い。
〔MgZn相〕
〔MgZn相〕とは、前記の三元共晶組織の素地中に明瞭な境界をもって島状に見える相であり、実際には少量のAlを固溶していることがある。状態図で見る限り、この相にはその他の添加元素を固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。
〔MgZn相〕と前記の三元共晶組織を形成しているMgZn相とは、顕微鏡観察において明瞭に区別できる。本実施形態に係る溶融めっき層には、製造条件により〔MgZn相〕が含まれない場合も有るが、ほとんどの製造条件では溶融めっき層中に含まれる。
〔MgSi相〕
〔MgSi相〕とは、Siを添加しためっき層の凝固組織中に、明瞭な境界を持って島状に見える相である。状態図で見る限り、〔MgSi相〕にはZn、Al、その他の添加元素は固溶していないか、固溶していても極微量であると考えられる。〔MgSi相〕は、溶融めっき層中では顕微鏡観察において明瞭に他の相と区別できる。
本実施形態の溶融めっき層は、鋼板がめっき浴に浸漬された後に引き上げられ、その後、鋼板表面に付着した溶融金属が凝固することにより形成される。このとき、最初に、〔Al相〕が形成され、その後、溶融金属の温度低下に伴い、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕が形成される。溶融めっき層の化学成分(つまり、めっき浴の化学成分)によっては、〔Al/Zn/MgZnの三元共晶組織〕の素地中に、〔MgSi相〕、〔MgZn相〕または〔Zn相〕が形成される場合もある。
次に、溶融めっき層の表面におけるパターン部及び非パターン部について説明する。
本実施形態の溶融めっき層の表面には、パターン部と、非パターン部とが形成されている。パターン部と非パターン部は、所定の形状となるように配置されていてもよい。パターン部は、平面視において、直線部、曲線部、ドット部、また、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されていることが好ましい。これらのような形状を示すパターン部は、意図的に形成されたと言える。パターン部における直線部や曲線部は、後述するような目視で認識できる程度の幅を有し、かつそれぞれ1mm以上の長さであることが好ましい。パターン部におけるドット部は円相当直径1mm以上10mm未満であることが好ましく、複数のドット部が規則正しく配列されることが更に好ましい。また、パターン部が、図形、数字、記号若しくは文字である場合には、これらの形状が後述するような目視で認識できることが好ましい。このような寸法及び形状を示すことで更に意図的に形成されたと言える。また、非パターン部は、パターン部以外の領域である。また、パターン部の形状は、ドット抜けのように一部が欠けていても、全体として認識できれば許容される。また、非パターン部は、パターン部の境界を縁取るような形状であってもよい。
溶融めっき層表面に、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状が配置されている場合に、これらの領域をパターン部とし、それ以外の領域を非パターン部とすることができる。パターン部は、人工的に形成されたこれらの形状であることが好ましい。
パターン部と非パターン部の境界は、肉眼で把握することができる。パターン部と非パターン部の境界は、光学顕微鏡や拡大鏡などによる拡大像から目視によって把握してもよい。
パターン部は、肉眼による目視で、あるいは拡大鏡または顕微鏡を用いて目視でパターン部の存在を判別可能な程度の大きさに形成される。また、非パターン部は、溶融めっき層(溶融めっき層の表面)の大部分を占める領域であり、非パターン部内にパターン部が配置される場合がある。
なお、パターン部の視認性を向上させる観点から、パターン部が溶融めっき層の表面に占める面積率が、非パターン部よりも大幅に小さいことが好ましい。例えば、パターン部が溶融めっき層の表面に占める面積率が、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下であることが好ましい 。
パターン部は、非パターン部内において所定の形状に配置されている。具体的には、パターン部は、非パターン部内おいて、直線部、曲線部、図形、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されている。パターン部の形状を意図的に調整することによって、溶融めっき層の表面に、直線部、曲線部、図形、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状が現される。例えば、溶融めっき層の表面には、パターン部からなる文字列、数字列、記号、マーク、線図、デザイン画あるいはこれらの組合せ等が現される。この形状は、後述する製造方法によって意図的若しくは人工的に形成された形状であり、自然に形成されたものではない。通常の溶融めっき層の外観を知る当業者であれば、人為的形状を有するパターン部と非パターン部とを容易に区別することができる。本明細書において、例えば、パターン部と非パターン部との外観上の違いは、金属組織の結晶構造の違いや目視できない微小な欠陥の有無などが溶融めっき鋼板の外観に反映されたものではない。
特定の方向から溶融めっき層に入射した光に対して、パターン部の反射光と非パターン部の反射光との間で強度差があると、人の視覚において、パターン部と非パターン部とが識別しやすくなる。逆に、パターン部の反射光と非パターン部の反射光との強度差がないか、強度差が小さいと、人の視覚において、パターン部と非パターン部とが識別しにくくなる。そこで、本実施形態では、溶融めっき層の表面形態を制御することで、特定の方向から入射した入射光に対するパターン部および非パターン部の反射光の強度差を大きくし、特定の方向以外の方向から入射した入射光に対するパターン部および非パターン部の反射光の強度差を小さくする。これにより、特定の方向から光が入射した場合のみにおいて、パターン部が識別できるようになる。なお、特定の方向とは、鋼板表面の法線の方向に対して、35~80°の範囲とする。
具体的には、本実施形態の溶融めっき層では、入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、パターン部の法線方向への反射光および非パターン部の法線方向への反射光の関係が、下記式(1)および式(2)の関係を満足する。入射光の入射角度は、鋼板表面の法線方向に対する角度である。下記式(1)および式(2)の関係を満足するパターン部と非パターン部は、上述した境界を挟んで隣り合うパターン部と非パターン部であることが好ましい。
|IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
|IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
式(1)および式(2)におけるIPH、IBH、IPM、IBM、IPL、IBLはそれぞれ、以下の通りである。
PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度。
BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度。
PH、IBH、IPM、IBM、IPL、IBLについて図1(A)~(D)を参照して詳細に説明する。
図1(A)は、入射光の入射角度を説明する図であり、鋼板表面S、鋼板表面の法線H、法線Hに対する0~35°未満の入射角度の範囲、35°~80°の入射角度の範囲、80°超~90°未満の入射角度の範囲をそれぞれ示している。
図1(B)~図1(D)は、パターン部における入射光と反射光との関係を示す。
図1(B)には、反射強度IPHを示す。反射強度IPHは、パターン部の反射強度であって、入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の反射強度である。また、図1(C)には、反射強度IPMを示す。反射強度IPMは、パターン部の反射強度であって、入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の反射強度である。更に、図1(D)には、反射強度IPLを示す。反射強度IPLは、パターン部の反射強度であって、入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の反射強度である。
図1(E)~図1(G)は、非パターン部における入射光と反射光との関係を示す。
図1(E)には、反射強度IBHを示す。反射強度IBHは、非パターン部の反射強度であって、入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の反射強度である。図1(F)には、反射強度IBMを示す。反射強度IBMは、非パターン部の反射強度であって、入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の反射強度である。図1(D)には、反射強度IBLを示す。反射強度IBLは、非パターン部の反射強度であって、入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の反射強度である。
次に、図2を参照しつつ、式(1)および式(2)について説明する。ここでは、|IPM-IBM|、|IPH-IBH|および|IPL-IBL|と、パターン部の視認性との関係を説明する。図2には、パターン部および非パターン部のそれぞれにおける、入射光と反射光との関係、並びに、パターン部および非パターン部の反射光の強度差(明暗差)を示している。
|IPM-IBM|は、入射角度35°~80°の入射光が入射した場合における、パターン部の反射強度IPMと非パターン部の反射強度IBMとの強度差である。パターン部と非パターン部との反射強度差が大きいほど、すなわち、|IPM-IBM|が大きいほど、パターン部と非パターン部の反射光の明るさの違いが顕著になり、これによりパターン部が視認しやすくなる。逆に、|IPM-IBM|が小さいほど、パターン部と非パターン部の反射光の明るさが近づき、パターン部が視認しにくくなる。|IPH-IBH|、|IPL-IBL|についても同様である。以下、具体例を挙げて説明する。
図2には、パターン部が視認しやすい例として、入射角度0~90°の入射光が入射した場合のパターン部及び非パターン部の反射強度の大きさを、視覚的に表している。各図における矢印の長さが、反射強度および強度差の大小関係に対応する。図2の(A3)、(B3)、(C3)には、入射光の入射角度毎の強度差を示しており、|IPM-IBM|が、|IPH-IBH|および|IPL-IBL|に比べて大きくなっている。これは、35~80°の入射角度で入射光が入射した場合に、|IPM-IBM|が比較的大きくなり、他方で、35~80°以外の入射角度で入射光が入射した場合に|IPH-IBH|、|IPL-IBL|が比較的小さくなり、これにより、35~80°の入射角度で入射光が入射した場合にパターン部が視認しやすくなる。
|IPM-IBM|は、入射角度35°~80°の入射光が入射した場合のパターン部と非パターン部の反射強度の差であり、|IPH-IBH|は、入射角度0°~35°未満の入射光が入射した場合のパターン部と非パターン部の反射強度の差であり、|IPL-IBL|は、入射角度80°超~90°未満の入射光が入射した場合のパターン部と非パターン部の反射強度の差である。従って、入射角度35°~80°の入射光が入射した場合のパターン部が視認しやすい条件は、|IPH-IBH|/|IPM-IBM|および|IPL-IBL|/|IPM-IBM|がともに1.0未満になること、すなわち、上記式(1)、(2)を満たすことになる。
以上のように、上記式(1)および(2)を満足することにより、35~80°の入射角度で入射光が入射した場合に、パターン部が視認しやすくなり、0~35°未満および80°超~90°未満の入射角度で入射光が入射した場合に、パターン部は視認しにくくなる。
なお、図2の(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)について説明すると、図2の(A1)および(A2)には、入射角度0°~35°未満の入射光が入射した場合の、パターン部の反射強度IPHおよび非パターン部の反射強度IBHを示す。矢印の長さは、反射強度の大きさに対応する。そして、図2の(A3)には、パターン部の反射強度IPHおよび非パターン部の反射強度IBHの強度差である|IPH-IBH|を示している。
また、図2の(B1)および(B2)には、入射角度35°~80°の入射光が入射した場合の、パターン部の反射強度IPMおよび非パターン部の反射強度IBMを示す。矢印の長さは、反射強度の大きさに対応する。図2の(B3)には、パターン部の反射強度IPMおよび非パターン部の反射強度IBMの強度差である|IPH-IBH|を示している。
また、図2の(C1)および(C2)には、入射角度80°未満~90°未満の入射光が入射した場合の、パターン部の反射強度IPLおよび非パターン部の反射強度IBLを示す。矢印の長さは、反射強度の大きさに対応する。図2の(C3)には、パターン部の反射強度IPLおよび非パターン部の反射強度IBLの強度差である|IPL-IBL|を示している。
以上説明したように、本実施形態の溶融めっき鋼板は、式(1)および式(2)を同時に満足することにより、入射角度35°~80°の入射光が入射した場合に、法線Hの方向からパターン部が視認しやすくなり、これに対して、入射角度35°~80°以外の入射光が入射した場合は、法線Hの方向からパターン部が視認しにくくなる。これにより、35°~80°の方向から溶融めっき層に光が入射した場合に、人の視覚においてパターン部を識別可能とさせ、それ以外の方向から光が入射した場合はパターン部を識別させにくくすることができる。
本実施形態の溶融めっき層におけるパターン部及び非パターン部の反射光の強度の組合せは、式(1)および式(2)を同時に満足すればよく、図2に示す関係に限定されるものではない。
本実施形態に係る溶融めっき鋼板は、溶融めっき層の表面に化成処理皮膜層や塗膜層を有してもよい。ここで、化成処理皮膜層や塗膜層の種類は特に限定されず、公知の化成処理皮膜層や塗膜層を用いることができる。
化成処理被膜の一例として、樹脂及び界面活性剤のうちの少なくともいずれかで被覆されたフタロシアニン顔料を含有する化成処理被膜を例示できる。このような化成処理被膜が設けられた溶融めっき層は、フタロシアニン顔料によって着色されることによりめっき層表面に好ましい意匠性を付与でき、また、パターン部の視認性がより高められる。更には、化成処理被膜の耐食性や耐候性等を向上できる。
また、パターン部及び非パターン部の表面には、上記式(1)および(2)を満足させるために、微小な傾斜面を設けることが好ましい。入射角度35°~80°の入射光に対する反射光の強度を高めたい領域(以下、高反射領域という)には、鋼板表面に対して17°~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面を多数存在させるようにする。17~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面は、高反射領域の全面積に対して60%以上の面積を占めることが望ましい。
傾斜角度は、パターン部の表面形状を測定することにより得られる。表面形状を測定する装置としては、白色光干渉型顕微鏡(Bruker製,Contour GT I Elite)が挙げられる。また、白色光干渉型顕微鏡を用いて、17°~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面の割合を算出するには、例えば、パターン部の表面の500μm×500μm以上の領域における各点の傾斜Δiを求め、傾斜Δiを下記式(3)により表面角度θに換算して、表面角度θの絶対値が17°~40°となる領域の割合を算出することで求められる。なお、傾斜Δiは、下記式(5)で算出される局部傾斜dZ/dXと同じであるため、下記式(5)から求めることができる。
θ=tan-1Δi …(3)
表面形状の測定においては、300μmのカットオフ値による高域フィルタでうねり成分を除いた表面形状から傾斜角度を算出することが好ましい。傾斜角度を求める際には、サンプリング間隔の影響を大きく受ける。そのため、本明細書においては、サンプリング間隔は1μm以上4μm以下であることが好ましい。サンプリング間隔が小さすぎると、ノイズ上の凹凸の高周波成分を拾ってしまい、表面角度が過剰に大きく見積もられるおそれがあるからであり、サンプリング間隔が大きすぎると、表面角度を正確に見積もることができなくなるおそれがあるからである。測定面積は広い方が好ましく、少なくとも500μm×500μm以上の領域で測定されるのが好ましい。
また、17°~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面においては、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqが17°~40°である。粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜RΔqは、JIS-B0601:2001において、局部傾斜dZ/dXの二乗平均平方根として定義されており、下記式(4)で表される。RΔqは、微小領域における傾斜の平均値である。
二乗平均平方根傾斜RΔqは、傾斜角度と同様に、パターン部の表面形状を測定することにより得られる。表面形状を測定する装置としては、白色光干渉型顕微鏡(Bruker製,Contour GT I Elite)が挙げられる。
Figure 0007440819000001
上記の式において、nは全測定点であり、dZ/dXはi番目の局部傾斜を意味する。測定面の各点における局部傾斜は例えば下記式(5)により求められる。
Figure 0007440819000002
式中、測定面の一つ方向をX方向としたとき、Xはi番目のX方向の位置であり、Zはi番目の高さであり、ΔXはサンプリング間隔である。
一方、入射角度35°~80°の入射光に対する反射光の強度を低下させたい領域(以下、低反射領域という)には、鋼板表面に対して17°未満または40°超の傾斜角度を有する微小な傾斜面を多数存在させるようにする。17°未満または40°超の傾斜角度を有する微小な傾斜面は、低反射領域の全面積に対して60%以上の面積を占めさせることが望ましい。すなわち、低反射領域では、鋼板表面に対して17°~30°の傾斜角度を有する微小な傾斜面を少なくする。低反射領域では、17°~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面の面積率を、低反射領域の全面積に対して40%以下にすることが望ましい。17°未満または40°超の傾斜角度を有する微小な傾斜面の割合を算出するには、上述と同様に、パターン部の表面の500μm×500μm以上の領域における各点の傾斜Δiを求め、上記の式(3)~式(5)より求めることができる。
反射強度IPH、IBH、IPM、IBM、IPL、IBLの測定は、まず、めっき層表面をデジタル光学カメラで撮影して撮像データを得る。デジタル光学カメラで撮影する際は、めっき層表面をその垂直方向から撮影する。このとき、撮影光として、入射角度0超~35°未満、35~80°、80°超~90°未満の入射角度の光を入射させて、各入射角度毎に撮影する。それぞれの入射角度には10°以上の差をつけることが望ましい。撮影は、撮影光以外の光を遮光できる環境で行うことが望ましい。得られた撮像データから、撮像データ中の各画素における光強度のデータを抽出する。撮像データはデジタル光学カメラの個体差によってばらつく可能性があるため、画像の明るさが目視した場合と合うようにヒストグラム補正を行ってもよい。一般に、画素の光強度のデータは、0を黒、255を白とする256階調の濃淡データで表されるので、このデータを抽出する。そして、パターン部に含まれる画素の明るさの平均値を、反射強度IPH、IPM、IPLとする。また、非パターン部に含まれる画素の明るさの平均値を、反射強度IBH、IBM、IBLとする。これらの反射強度から、|IPH-IBH|/|IPM-IBM|および|IPL-IBL|/|IPM-IBM|の値を求める。
[溶融めっき鋼板の製造方法]
次に、本実施形態の溶融めっき鋼板の製造方法を説明する。
本実施形態の溶融めっき鋼板は、製鋼、鋳造、熱間圧延を経て製造された鋼板に対して、溶融めっきを行う。また、上記の熱間圧延後に更に、酸洗、熱延板焼鈍、冷間圧延、冷延板焼鈍を行い、その後に溶融めっきを行ってもよい。また、溶融めっきは、鋼板を溶融めっき浴に連続通板させる連続式溶融めっき法とする。
溶融めっき浴は、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部としてZnおよび不純物を含むことが好ましい。また、溶融めっき浴は、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物からなるものでもよい。更にまた、溶融めっき浴は、Si:0.0001~2質量%を含有してもよく、Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%含有してもよい。
溶融めっき浴の温度は、組成によって異なるが、例えば、400~500℃の範囲が好ましい。溶融めっき浴の温度がこの範囲であれば、所望の溶融めっき層を形成できるためである。
また、溶融めっき層の付着量は、溶融めっき浴から引き上げられた鋼板に対してガスワイピング等の手段で調整すればよい。溶融めっき層の付着量は、鋼板両面の合計の付着量が30~600g/mの範囲になるように調整することが好ましい。付着量が30g/m未満の場合、溶融めっき鋼板の耐食性が低下するので好ましくない。付着量が600g/m超の場合、鋼板に付着した溶融金属の垂れが発生して、溶融めっき層の表面を平滑にすることができなくなるため好ましくない。
溶融めっき層の形成後に、パターン部及び非パターン部の形成を行う。パターン部及び非パターン部の形成は、めっき層表面におけるパターン部および非パターン部の形成予定位置に、微小な傾斜面を設けることにより行う。
入射角度35°~80°の入射光に対する反射光の強度を高めたい領域には、鋼板表面に対して17°~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面を多数存在させる。17~40°の傾斜角度を有する微小な傾斜面は、この領域の全面積に対して60%以上の面積を占めることが望ましい。
一方、入射角度35°~80°の入射光に対する反射光の強度を低下させたい領域には、鋼板表面に対して17°未満または40°超の傾斜角度を有する微小な傾斜面を多数存在させる。17°未満または40°超の傾斜角度を有する微小な傾斜面は、この領域の全面積に対して60%以上の面積を占めさせることが望ましい。
以上のような微小な傾斜面は、ロール成形によって形成する。すなわち、上記の傾斜角度を有する傾斜面が形成可能となるようにロール表面の表面形状を調整したロールを、溶融めっき層の表面に押し付け、ロールの表面形状を溶融めっき層に転写することによって行う。
また、溶融めっき層の表面温度が250~300℃の範囲で転写を行うとよい。ロール転写の際の溶融めっき層の表面温度が250℃未満では、溶融めっき層が軟化せず、明瞭なパターン部を形成することが困難になるため好ましくない。また、溶融めっき層の表面温度が300℃を超えると、溶融めっき層が大幅に軟化した状態でロール転写することになり、パターン部と非パターン部を明瞭に識別できないおそれがあるため好ましくない。
更に、溶融めっき層の表面に化成処理層を形成する場合には、溶融めっき層を形成した後の溶融めっき鋼板に対して、化成処理を行う。化成処理の種類は特に限定されず、公知の化成処理を用いることができる。
また、溶融めっき層の表面や化成処理層の表面に塗膜層を形成する場合には、溶融めっき層を形成した後、又は、化成処理層を形成した後の溶融めっき鋼板に対して、塗装処理を行う。塗装処理の種類は特に限定されず、公知の塗装処理を用いることができる。
化成処理の一例として、樹脂及び界面活性剤のうちの少なくともいずれかで被覆されたフタロシアニン顔料を含有する化成処理剤による化成処理を例示できる。化成処理剤として具体的には、シラノール基及びアルコキシシリル基のうち少なくともいずれかを有する、ポリウレタン樹脂粒子及びエチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂粒子と、酸化ケイ素粒子と、有機チタン化合物と、前記のフタロシアニン顔料と、を有し、フタロシアニン顔料の含有量が、ポリウレタン樹脂粒子とエチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂粒子との合計100質量部に対して、0.01~10質量部であり、フタロシアニン顔料の一次粒子径が0.01~1.0μmである水性被覆剤を用いることができる。このような化成処理がされた溶融めっき層は、フタロシアニン顔料によって着色されることによりめっき層表面に好ましい意匠性を付与でき、更に、形成される化成処理被膜の耐食性や耐候性等を向上できる。
本実施形態によれば、めっき層の表面に表された文字やデザイン等のパターンを、特定の方向から光が入射した場合に人の視覚において識別可能とさせ、それ以外の方向から光が入射した場合はパターンを識別させにくくすることができる。また、本実施形態では、溶融めっき層の表面に対して、表面形状を調整したロールを押し付けて、ロールの表面形状を溶融めっき層に転写することで、パターン部または非パターン部の範囲を意図的若しくは人工的な形状にすることができ、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるようにパターン部を配置できる。これにより、溶融めっき層の表面に、印刷や塗装を行うことなく、様々な意匠、商標、その他の識別マークを表すことができ、鋼板の出所の識別性やデザイン性等を高めることができる。また、パターン部によって、工程管理や在庫管理などに必要な情報や需要者が求める任意の情報を、溶融めっき鋼板に付与することもできる。これにより、溶融めっき鋼板の生産性の向上にも寄与することができる。
従来、インクをスタンプすることで文字やデザイン等をめっき層の表面に現す場合は、コストや時間は比較的抑えられるものの、インクと溶融めっき層との反応性を考慮する必要があった。更に、溶融めっき層の研削によって意匠等を現す場合は、意匠等の耐久性は優れるものの、研削する分の溶融めっき層の厚みを考慮する等の対応が必要であった。
次に、本発明の実施例を説明する。鋼板を脱脂、水洗した後に、還元焼鈍、めっき浴浸漬、付着量制御、冷却を行うことで、表2A~表3Bに示すNo.1~47の溶融めっき鋼板を製造した。次いで、溶融めっき層の表面温度を250~300℃にした状態で、一辺が50mmの正方形パターンを有するロールA~Fを、溶融めっき層の表面に押し付けることでパターン部を形成した。正方形パターンを有するロールA~Fの詳細は表1の通りとした。正方形パターンの箇所をパターン部とし、正方形パターン以外の箇所を非パターン部とした。なお、パターン部及び非パターン部の表面における微小な傾斜面の割合を上述の方法で測定したところ、表1の結果と一致した。
Figure 0007440819000003
また、上記と同様にしてZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板を製造した。その後、溶融めっき層の表面に、インクジェット法により、一辺が50mmの正方形パターンを印刷した。この結果をNo.48として表2B及び表3Bに示す。
更に、上記と同様にしてZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板を製造した。その後、溶融めっき層の表面を研削して、一辺が50mmの正方形パターンを形成した。この結果をNo.49として表2B及び表3Bに示す。
得られた溶融めっき鋼板について、|IPH-IBH|/|IPM-IBM|および|IPL-IBL|/|IPM-IBM|を求めた。具体的には、めっき鋼板のめっき層表面をデジタル光学カメラで撮影して撮像データを得た。デジタル光学カメラで撮影する際は、めっき層表面をその垂直方向から撮影した。このとき、撮影光として、入射角度0超~35°未満、35~80°、80°超~90°未満の入射角度の光を入射させて、各入射角度毎に撮影した。それぞれの入射角度には10°以上の差をつけた。得られた撮像データから、各画素における光強度のデータを抽出した。一般に、画素の光強度のデータは、0を黒、255を白とする256階調の濃淡データで表されるので、このデータを抽出した。そして、パターン部に含まれる画素の光強度の平均値を、反射強度IPH、IBH、IPM、IBM、IPL、IBLとした。これらの反射強度から、|IPH-IBH|/|IPM-IBM|および|IPL-IBL|/|IPM-IBM|の値を求めた。
なお、パターン部及び非パターン部の境界の判別が難しい例では、ロール表面の正方形パターンに対応する箇所がパターン部であるとして|IPH-IBH|/|IPM-IBM|および|IPL-IBL|/|IPM-IBM|の値を求めた。
[識別性]
正方形状のパターン部を施した試験板の、製造した直後の初期状態のものを対象に、下記の判定基準に基づいて目視評価した。初期状態において、観察時の光の入射方向として、入射角度0超~35°未満、35~80°、80°超~90°未満の入射角度の光を入射させた際のめっき表面の法線方向から視認した場合の識別性を評価した。A(Excellent)~C(Mediocre)を合格とした。
A(Excellent):入射角度0~35°未満、80°超~90°未満の入射角度の光ではほぼ視認できないが、35~80°の入射角度の光ではよく視認できる。
B(Good):入射角度0~35°未満、80°超~90°未満の入射角度の光では視認しにくいが、35~80°の入射角度の光では視認できる。
C(Mediocre):いずれの入射角度の光でも視認しにくいが、35~80°の入射角度の光ではかろうじて視認できる。
D(Bad):いずれの入射角度の光でも視認できない、あるいは、いずれの入射角度の光でも視認できる。
[耐食性]
試験板を150×70mmに切断し、JASO-M609に準拠した腐食促進試験CCTを30サイクル試験した後、錆発生状況を調査し、下記の判定基準に基づいて評価した。A(Excellent)~C(Mediocre)を合格とした。
A(Excellent):錆発生がなく、美麗な意匠外観を維持している。
B(Good):錆発生はないが、わずかな外観変化が認められる。
C(Mediocre):錆発生はないが、ある程度の外観変化が認められる。
D(Bad):パターン部と非パターン部の外観品位が著しく低下しており、目視で区別できない。
表2A~表3Bに示すように、No.1~No.41の本発明例のZn-Al-Mg系溶融めっき鋼板は、識別性及び耐食性の両方に優れていた。ただし、No.40、41は、他の例に比べて識別性がやや低下した。
一方、表2B及び表3Bに示すように、No.42は、溶融めっき層の平均組成のうちAl含有量が不足した。このため、溶融めっき層の耐食性が不十分になった。
No.43は、溶融めっき層の平均組成のうちAl含有量が過剰になった。このため、溶融めっき層の耐食性が不十分になった。
No.44は、溶融めっき層の平均組成のうちMg含有量が不足した。このため、溶融めっき層の耐食性が不十分になった。
No.45は、溶融めっき層の平均組成のうちMg含有量が過剰になった。このため、めっき浴中にドロスが発生し、また、溶融めっき層の耐食性が不十分になった。
No.46、No.47は、ロール表面の形状が不適切なものであったため、式(1)及び式(2)の条件を満たさず、識別性が劣っていた。
インクジェット法で正方形状のパターン部を印刷したNo.48は、6ヶ月間の屋外暴露によってパターン部が薄くなり、識別性が低下した。
また、研削によって正方形状のパターンを形成したNo.49は、耐食性の評価基準で評価した限りでは問題ないレベルとされたものの、研削した箇所のめっき層の厚みが低下したために研削箇所での耐食性が局部的に低下し、好ましい外観ではなかった。
なお、No.1~41及び46~49のめっき層には、Al相と、Al/Zn/MgZnの三元共晶組織とが含まれていた。
更に、No.38~41のめっき層の表面に化成処理膜を形成して、意匠性を確認した。化成処理膜は、フタロシアニン顔料を含有する化成処理剤による化成処理を行うことにより形成した。化成処理剤としては、シラノール基及びアルコキシシリル基を有するポリウレタン樹脂粒子及びエチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂粒子と、酸化ケイ素粒子と、有機チタン化合物と、Cuフタロシアニンと、を有し、Cuフタロシアニン顔料の含有量が、ポリウレタン樹脂粒子とエチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂粒子との合計100質量部に対して、0.01~10質量部であり、Cuフタロシアニンの一次粒子径が0.01~1.0μmである水性被覆剤を用いた。
化成処理膜を形成したNo.38~41に対して、識別性の評価を行ったところ、いずれも評価が「A(Excellent)」となり、Cuフタロシアニンを含有する化成処理膜を設けたことにより、識別性がより向上した。
Figure 0007440819000004
Figure 0007440819000005
Figure 0007440819000006
Figure 0007440819000007

Claims (7)

  1. 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
    前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
    前記溶融めっき層に、パターン部と、非パターン部とがあり、
    前記パターン部は、17~40°の傾斜角度を有する傾斜面の割合が、60%以上であり、
    前記鋼板の表面の法線方向に対して入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、前記法線方向への前記パターン部の反射光および前記法線方向への前記非パターン部の反射光の関係が、下記式(1)および式(2)を満足する、溶融めっき鋼板。
    |IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
    |IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
    但し、
    PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    である。
  2. 鋼板と、前記鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を備え、
    前記溶融めっき層は、平均組成で、Al:4~22質量%、Mg:1.0~10質量%を含有し、残部がZnおよび不純物を含み、
    更に、下記A群、B群からなる群から選択される1種または2種を含有し、
    前記溶融めっき層に、パターン部と、非パターン部とがあり、
    前記パターン部は、17~40°の傾斜角度を有する傾斜面の割合が、60%以上であり、
    前記鋼板の表面の法線方向に対して入射角度0°~90°未満の範囲の入射光に対する、前記法線方向への前記パターン部の反射光および前記法線方向への前記非パターン部の反射光の関係が、下記式(1)および式(2)を満足する、溶融めっき鋼板。
    |IPH-IBH|/|IPM-IBM|<1.0 …(1)
    |IPL-IBL|/|IPM-IBM|<1.0 …(2)
    [A群]Si:0.0001~2質量%
    [B群]Ni、Ti、Zr、Sr、Fe、Sb、Pb、Sn、Ca、Co、Mn、P、B、Bi、Cr、Sc、Y、REM、Hf、Cのいずれか1種または2種以上を、合計で0.0001~2質量%
    但し、
    PH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BH:入射角度0°~35°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    PM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BM:入射角度35°~80°の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    PL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向のパターン部の反射強度、
    BL:入射角度80°超~90°未満の入射光に対する法線方向の非パターン部の反射強度、
    である。
  3. 前記パターン部が、直線部、曲線部、ドット部、図形、数字、記号若しくは文字のいずれか1種またはこれらのうちの2種以上を組合せた形状となるように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
  4. 前記溶融めっき層の付着量が鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
  5. 前記溶融めっき層の付着量が鋼板両面合計で30~600g/mであることを特徴とする請求項3に記載の溶融めっき鋼板。
  6. 前記溶融めっき層が、質量%で、前記A群を含有する平均組成を有する請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
  7. 前記溶融めっき層が、質量%で、前記B群を含有する平均組成を有する請求項2に記載の溶融めっき鋼板。
JP2023561115A 2022-06-10 2023-06-09 溶融めっき鋼板 Active JP7440819B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022094349 2022-06-10
JP2022094349 2022-06-10
PCT/JP2023/021555 WO2023238935A1 (ja) 2022-06-10 2023-06-09 溶融めっき鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2023238935A1 JPWO2023238935A1 (ja) 2023-12-14
JP7440819B1 true JP7440819B1 (ja) 2024-02-29

Family

ID=89118443

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023561115A Active JP7440819B1 (ja) 2022-06-10 2023-06-09 溶融めっき鋼板

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP7440819B1 (ja)
TW (1) TW202405203A (ja)
WO (1) WO2023238935A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004002918A (ja) 2002-05-31 2004-01-08 Sheng Yu Steel Co Ltd 鋼帯の連続溶融めっき装置
JP2010509495A (ja) 2006-11-03 2010-03-25 セヴァスタル スパロウズ ポイント エルエルシー アルミニウム・亜鉛合金溶融めっき皮膜を研磨するための方法と装置、およびそれらによる製品
JP2012201914A (ja) 2011-03-24 2012-10-22 Nisshin Steel Co Ltd 意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法
WO2021053088A1 (en) 2019-09-18 2021-03-25 Tata Steel Nederland Technology B.V. Metal substrate with a surface texture
JP2021085085A (ja) 2019-11-29 2021-06-03 日本製鉄株式会社 溶融めっき鋼板

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0813115A (ja) * 1994-06-28 1996-01-16 Kobe Steel Ltd 意匠性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
KR102363286B1 (ko) * 2020-06-25 2022-02-15 포스코강판 주식회사 광반사율이 우수한 도금강판 및 그 제조방법

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004002918A (ja) 2002-05-31 2004-01-08 Sheng Yu Steel Co Ltd 鋼帯の連続溶融めっき装置
JP2010509495A (ja) 2006-11-03 2010-03-25 セヴァスタル スパロウズ ポイント エルエルシー アルミニウム・亜鉛合金溶融めっき皮膜を研磨するための方法と装置、およびそれらによる製品
JP2012201914A (ja) 2011-03-24 2012-10-22 Nisshin Steel Co Ltd 意匠性に優れた溶融めっき鋼板の製造方法
WO2021053088A1 (en) 2019-09-18 2021-03-25 Tata Steel Nederland Technology B.V. Metal substrate with a surface texture
JP2021085085A (ja) 2019-11-29 2021-06-03 日本製鉄株式会社 溶融めっき鋼板

Also Published As

Publication number Publication date
TW202405203A (zh) 2024-02-01
JPWO2023238935A1 (ja) 2023-12-14
WO2023238935A1 (ja) 2023-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6648871B1 (ja) Zn−Al−Mg系溶融めっき鋼板及びその製造方法
JP7381865B2 (ja) Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板
JP7328542B2 (ja) 溶融めっき鋼板
WO2019194229A1 (ja) 亜鉛系電気めっき鋼板
JP7328543B2 (ja) 溶融めっき鋼板
JP7381864B2 (ja) Zn-Al-Mg系溶融めっき鋼板
JP7440819B1 (ja) 溶融めっき鋼板
TWI813903B (zh) 熔融鍍敷鋼板
JP7328541B2 (ja) 溶融めっき鋼板
KR102658299B1 (ko) Zn-Al-Mg계 용융 도금 강판
JP7339531B2 (ja) 溶融めっき鋼板
JP7410448B1 (ja) 溶融めっき鋼板
JP7415193B2 (ja) 溶融めっき鋼板
JP7486011B2 (ja) 溶融めっき鋼板
TWI840251B (zh) 熔融鍍敷鋼板
KR102566779B1 (ko) 아연계 도금 강판
KR102676570B1 (ko) 용융 도금 강판
JP7415194B2 (ja) 溶融めっき鋼板
JP2022124269A (ja) 溶融めっき鋼板
KR20210152501A (ko) 도금 강판

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231004

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20231004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240129

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7440819

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151