JPH0813115A - 意匠性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法 - Google Patents

意匠性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法

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JPH0813115A
JPH0813115A JP14685094A JP14685094A JPH0813115A JP H0813115 A JPH0813115 A JP H0813115A JP 14685094 A JP14685094 A JP 14685094A JP 14685094 A JP14685094 A JP 14685094A JP H0813115 A JPH0813115 A JP H0813115A
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steel sheet
treated
embossing roll
optical interference
rolling
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JP14685094A
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English (en)
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Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Koji Irie
広司 入江
Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Atsushi Kato
淳 加藤
Kuniyasu Araga
邦康 荒賀
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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  • Coating With Molten Metal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストが低く、大面積であっても対応可
能な方法で、塗装では得られない金属光沢と、観測角度
によって連続的に変化する鮮やかかつ多彩な色調を有す
る意匠性に優れた表面処理鋼板、そのような表面処理鋼
板を製造するための有用な方法を提供する。 【構成】 被処理鋼板として、ZnもしくはZn合金め
っき層、またはAlもしくはAl合金めっき層を溶融め
っき法によって形成しためっき鋼板を用いると共に、奥
側が順次狭くなるような斜面を有する凹部が、エンボス
ロール圧延によって規則的な間隔で方向性をもって前記
めっき鋼板の表面に配設され、且つ前記凹部の斜面部面
積率が平面視で30%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種家庭用電化製品の
外装部材や、建築物の内外壁、ショーケース、看板等に
有用な意匠性に優れた表面処理鋼板、およびそのような
表面処理鋼板を製造するための有用な方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、家庭用電化製品や建材等の分野
で、意匠性付与を目的とした着色表面処理材に対する要
求が高まっている。着色表面処理材としては、現在各種
カラー塗装鋼板が多用されている。このようなカラー塗
装鋼板は、鋼板の表面に有機系塗料を塗布することによ
って製造されるが、中でもコイルの状態で塗装が施され
ているプレコート鋼板は、ユーザーサイドにおける塗装
工程を簡略化することができるため、近年急激に需要が
拡大している。しかしながら、プレコート鋼板に付与さ
れる色調は、有機系塗料中の各種顔料や染料に依存する
ものであるため、金属特有の光沢を保持したまま鮮やか
な色調を有する様な意匠性製品を得ることは困難であ
る。
【0003】そこで、金属特有の光沢と鮮やかな色調を
有する表面処理材として、カラーステンレス、カラーア
ルミ、カラーチタン等が製品化されている。これらの製
品は、公知の電解着色法または化学発色法を用いて基材
表面にÅレベルの酸化物皮膜を形成し、皮膜の組成と厚
さの違いによって可視光領域において様々な干渉色を得
るものである。また、酸化物層中に遷移金属イオンを析
出させることによって、析出金属イオン特有の色調を得
ることも可能である。
【0004】一方、各種ドライコーティング法を用い
て、窒化物、酸化物、炭化物等のセラミックス材料をス
テンレス鋼板にコーティングした製品も提案されてい
る。これらの製品も、セラミックス材料特有の色調を基
材表面に付与する場合と、前述の様に光の干渉作用を利
用して任意の色調を得る場合がある。特に、TiNをコ
ーティングしたものは黄金色を呈し、且つ非常に高硬度
であるため、装飾用途だけでなくドリル等の耐摩耗性が
要求される工具分野にも広く利用されている。
【0005】上述した様に、多種多様の着色表面処理材
が商品化されているが、このような着色材からさらに進
んだものとして、金属光沢を有し、且つ複数の色調を連
続的に見ることのできる製品が要求されている。即ち、
観測する角度によって色調が変化したり、同時に複数の
色調を見ることのできる意匠性表面処理材が求められて
いるのである。しかしながら、これまでの塗装鋼板は、
有機系塗料・インキを使用するものであるため、金属光
沢が隠蔽されてしまう上に、観測角度によって色調が変
化する様な意匠性を付与することはできなかった。
【0006】金属光沢を有し、観測角度を変えることに
よって複数の色調が得られる製品としては、現在ホログ
ラムフィルムが実用化されている。中でもレインボーホ
ログラムと称するものは、可視光領域の光干渉作用で、
見る角度や位置に応じて多彩な色調が得られる。このよ
うなホログラムは、樹脂フィルム上にサブミクロン〜ミ
クロンオーダーの規則的な凹凸を付与し、さらにその表
面にAlを蒸着して作製されており、微細な凹凸表面で
反射された光線の干渉作用によって多彩な色調が得られ
るものである。
【0007】しかしホログラムは、ミクロンオーダーと
いう微細な凹凸を基材表面に規則的に施すことが必要な
ため、製造工程が複雑で、かつ高精度な制御が要求され
る。具体的製造工程としては、 まずフォトレジスト液を塗布したガラス基盤に、レー
ザー光線の干渉作用を利用して干渉模様を露光させ、化
学エッチングすることで微細凹凸を有するフォトレジス
ト原盤を作製する。 次に、この原盤にNiめっき等を数回施し、凹凸を有
しためっき層を形成させた後に、このめっき層を原盤か
ら剥離して、金属製プレススタンパーを作製する。 このプレススタンパーを用いて、塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を熱プレスし
て、微細凹凸模様が付与された樹脂フィルムを得る。 最終工程で樹脂フィルム表面に反射層としてAlを蒸
着する。 といったものであって、製造コストが非常に高いのが現
状である。
【0008】また、表面が非常に平滑でなければならな
い点や、スタンパーの微細凹凸を忠実に被処理材上に再
現しなければならない点から、被処理材は前述の樹脂フ
ィルム材料に限定されており、金属基板材料への適用は
困難である。さらに、レーザー光線の干渉作用を利用し
ているために、大面積処理がむずかしく、広幅や大面積
ホログラムの作製はほとんどなされていない。
【0009】このような現状のもとで、本発明者等は、
膜厚を連続的に変化させながら金属表面に蒸着めっき膜
層を形成することによって、可視光領域において光干渉
作用を有し、且つ金属光沢と鮮やかな多彩な色調を有す
る表面処理材を既に提案している(例えば、特開平4−
247865号、同4−341557号等)。しかしな
がら、これらの方法で得られる表面処理材は、見る角度
によって色調を変化させることはできないという欠点を
有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明では上記事情を
考慮してなされたものであって、その目的は、製造コス
トが低く、大面積であっても対応可能な方法で、塗装で
は得られない金属光沢と、観測角度によって多彩に変化
することのできる鮮やかな色調を有する意匠性に優れた
表面処理鋼板、およびそのような表面処理鋼板を製造す
るための有用な方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の意匠性に優れた表面処理鋼板とは、最表面に光学
干渉膜が形成された表面処理鋼板であって、被処理鋼板
として、ZnもしくはZn合金めっき層、またはAlも
しくはAl合金めっき層を溶融めっき法によって形成し
ためっき鋼板を用いると共に、奥側が順次狭くなる様な
斜面を有する凹部が、エンボスロールの圧延によって前
記めっき鋼板の表面に規則的な間隔で方向性をもって配
設され、且つ前記凹部の斜面部面積率が30%以上であ
る点に要旨を有するものである。尚この表面処理鋼板に
おいて、前記光学干渉膜としては、半導体や透明酸化物
が挙げられる。
【0012】また上記目的を達成し得た本発明の製造方
法とは、被処理鋼板として、ZnもしくはZn合金めっ
き層、またはAlもしくはAl合金めっき層を溶融めっ
き法によって形成しためっき鋼板を用いると共に、先端
側が順次細くなる様な斜面を有する凸部が表面に配設さ
れたエンボスロールを用い、被処理鋼板のめっき層の膜
厚をt(μm)、エンボスロール表面の凸部の高さをh
(μm)、エンボスロールによる圧延伸び率をE(%)
としたとき、下記(1)式を満足するようにして前記め
っき鋼板表面に規則的な間隔で方向性をもつ凹部を前記
エンボスロールの圧延によって配設し、且つ該凹部の斜
面部面積率が30%以上となるようにし、その後被処理
鋼板の最表面に光学干渉膜を形成する点に要旨を有する
ものである。 h/(8×t)<E …(1)
【0013】
【作用】本発明者らは、意匠性に優れた表面処理鋼板を
実現すべく、これまでも様々な角度から検討を重ねてき
た。そしてその研究の一環として、特願平5−2319
20号や同5−318573号等の技術を提案してい
る。前者の技術は、規則的で方向性をもった凹凸を配設
した上に光学干渉膜を形成するか、または凹部(または
凸部)の各壁面の光学干渉膜の膜厚を異ならせることに
よって、観察する角度に応じて色調が連続的に変化する
表面処理材の実現に成功したものである。一方、後者の
技術では、凹部(または凸部)の各傾斜面の光学干渉膜
の膜厚を異ならせるために、表面に方向性を持った凹部
が配設されてなる被処理材に蒸着めっきを行なう方法で
あって、被処理材とめっき原料の間に遮蔽板を設け、ま
たは被処理材自体をめっき原料に対して傾斜させて蒸着
めっきを行なうことによって、被処理材に対して傾斜方
法に衝突する蒸気成分を多くするように制御する方法が
有効であることを提案している。
【0014】本発明者らが、表面処理鋼板の更なる改良
を図るべく、これまで提案してきた上記各技術について
検討したところ、特に上記特願平5−318573号の
技術においては、被処理材表面の凹部の状況によって
は、光学干渉膜を形成した後の表面処理材の色調が観察
角度に応じて変化する度合いが異なる場合があることが
明らかになった。こうした不都合が発生する原因は次の
ように考えることができる。
【0015】被表面処理材の表面に方向性をもった凹凸
を配設する方法としては、被処理材をエンボスロールで
圧延する方法が一般的である。こうした圧延方法を採用
する場合、被処理材がAl等の比較的軟質な材料である
ときには、圧延によってエンボスロールの凸部が被処理
材に十分に転写されるのであるが、被処理材がFeやF
e基合金のように硬度が比較的に高い材料であるときに
は、圧延を行なってもエンボスロールの凹凸が被処理材
の表面に転写されず、光学干渉膜を設けた後の表面処理
材の色調が観察角度に応じて変化する程度が小さくなる
事態が生じる。本発明者らは、これまでの研究成果に基
づき、表面処理鋼板の更なる改良を図るべく、鋭意検討
を重ねた結果、上述したような構成を採用すれば上記目
的が見事に達成されることを見いだし、本発明を完成し
た。以下、本発明が完成された経緯に沿って本発明を更
に詳細に説明する。
【0016】まず本発明者らは、被処理材として適用す
る鋼板の種類について検討を行なった。鋼板の種類とし
ては、冷延鋼板の他に各種電気めっき鋼板、溶融めっき
鋼板等があるが、これらの各種鋼板についてエンボスロ
ールで圧延し、更にその表面に光学干渉膜を蒸着めっき
によって形成したところ、溶融めっきによって形成され
たZnもしくはZn合金めっき層、またはAlもしくは
Al合金めっき層を有する溶融めっき鋼板を使用するの
が最適であることが判明した。即ち、被処理鋼板に冷延
鋼板を使用した場合には、光学干渉膜が犠牲防食能を持
たず、まためっき層にピンホールが存在するために早期
に赤錆が発生するのであるが、鋼板に対して犠牲防食能
を持つZnもしくはZn合金めっき層、またはAlもし
くはAl合金めっき層を有するめっき鋼板を本発明の被
処理鋼板として用いたところ、良好な耐赤錆性を得るこ
とができたのである。
【0017】鋼板へのめっき方法としては、通常、溶融
めっき法と電気めっき法があるが、このうち本発明では
溶融めっき法を採用する必要がある。即ち、溶融めっき
法で製造しためっき鋼板では、その製品は高い光沢度が
得られたのに対し、電気めっき法で得られためっき鋼板
を採用したのでは、その製品は低い光沢度しか得られな
かったのである。この理由は次の様に考えることができ
た。
【0018】溶融めっき法では、めっき層の形成時に下
地鋼板の凹凸がレベリングされるのに対し、電気めっき
法では下地鋼板の凹凸に沿ってめっき層が形成される。
また溶融めっき法で形成されるめっき層の結晶粒は粒径
が数百ミクロン〜数ミリオーダーであるのに対して、電
気めっき法では数ミクロン〜数ミクロンオーダーであっ
て、結晶粒が非常に小さい。これらの被処理鋼板は、エ
ンボスロールによって圧延されるが、圧延によって全て
の領域が完全に圧下されて下地の凹凸やめっき層による
微細な凹凸が完全に消失する訳ではなく、一部の領域で
はそのままの状態で残存する。またその後に表面に蒸着
めっきによって光学干渉膜が形成されるが、この光学干
渉膜は非常に薄い(0.05〜1.0μm程度)ので、
エンボスロールでの圧延時に残存した凹凸はそのままの
形状で残存する。従って、電気めっき法で製造した被処
理鋼板を使用した場合には、下地鋼板の凹凸やめっき層
を構成する個々の結晶粒による微細な凹凸が製品表面に
残存する割合が多くなり、その結果製品の光沢度が低く
なるものと考えられる。
【0019】以上のことから本発明では、耐赤錆性を向
上させるためには被処理鋼板にZnもしくはZn合金め
っき層、またはAlもしくはAl合金めっき層が形成さ
れている必要があり、また所望する光沢を有する意匠性
めっき鋼板を製造するには、該めっき層が溶融めっき法
によって形成される必要がある。
【0020】ところで、観察する角度に応じて様々に色
調が変化する原理は、前述したように、被処理鋼板の表
面に形成される凹部の斜面毎に光学干渉膜の厚さを異な
るようにしたからである。従って、被処理鋼板の表面に
は、エンボスロールの凸部で圧下されて奥側が順次狭く
なる様な斜面を有する凹部が形成される領域が多い程、
色調の観察角依存性は大きくなることになる。そこで本
発明者らは、様々な条件で圧延した被処理鋼板に蒸着め
っき法にて光学干渉膜を形成して得られた製品につい
て、先端側が順次細くなる様な斜面を有する凸部が表面
に配設されたエンボスロールを用い、このエンボスロー
ルの凸部で圧下されて凹部が形成された被処理鋼板表面
の凹部の斜面部の面積率(以下、「斜面部面積率」と呼
ぶ)と色調の観察角度依存性の関係について調査した。
その結果、斜面部面積率を平面視で30%以上とするこ
とによって、色調の角度依存制大きい製品が得られるこ
とを見い出した。また様々な条件で圧延することによっ
て、斜面部面積率のみでなく凹部の深さも変化したが、
斜面部面積率が同一である場合には、凹部の深さが変化
しても色調の観察角度依存性に違いは認められなかっ
た。尚斜面部面積率が平面視で30%以上とは、平面視
全面積に占める凹部斜面部の平面換算面積率が30以上
であることを意味する。
【0021】上記したような表面処理鋼板を製造するに
は、まず被処理鋼板を圧延するエンボスロールとして、
先端側が順次細くなる様な斜面を有する凸部が表面に配
設されたロールを使用して被処理鋼板表面に奥側が順次
狭くなる様な斜面を有する凹部を形成する必要がある
が、前記凸部の頂上には、平地部が残存しないことが好
ましい。換言すれば、被処理鋼板の表面に形成される凹
部は、できるだけ斜面のみからなるものであることが好
ましい。即ち、前記凸部の頂上に平地部が残存する場合
には、被処理鋼板の表面に凹部が効率的に形成されない
からである。また同様の観点から、エンボスロールの凸
部の間にも平地部が存在しないことが好ましい。
【0022】但し、上記したようなエンボスロールを使
用するだけでは、めっき鋼板の硬度が高いときにはロー
ルの凸部が完全に鋼板表面に転写できなくなるので、色
調の観察角度依存性の高い製品を安定して得ることはで
きない。これは、鋼板表面へのロールの凸部の転写状況
は圧延条件にも影響されるからである。そこで本発明者
らは、上記のようなエンボスロールを使用して色調の観
察角度依存性の高い製品を安定して得るための条件につ
いても検討を行なった。その結果、圧延条件と製品の色
調角度依存性の間には図1に示す関係があることを見い
だした。即ち図1は、被処理鋼板のめっき層厚をt(μ
m)、エンボスロールの表面の凸部の高さ(または凹部
の深さ)をh(μm)、エンボスロールによる圧延伸び
率をE(%)としたときに、h/tとEが表面処理鋼板
の色調の観察角度依存性に与える影響を示すグラフであ
り、図中の○印、△印および×印は夫々下記の評価を示
すものである。 ○:観察角度によって色調が様々に変化する △:観察角度によって色調が僅かに変化する ×:観察角度による色調の変化が認められない
【0023】図1に示されるように、特にt,hおよび
E等のパラメーターを、下記(1)式を満足させるよう
にすることによって、エンボスロール圧延後の被処理鋼
板表面の斜面部面積率を大きくすることができ、蒸着め
っき法により光学干渉膜を設けた後の製品の色調を観察
角度に応じて多様に変化させることができることが判明
した。 h/(8×t)<E …(1)
【0024】上記(1)式を規定することによって、上
記の効果が発揮された理由についてはその全てを解明し
た訳ではないが、おそらく次のように考えることができ
る。一般に、圧延伸び率Eを増加させるに従い、ロール
表面の凸部が鋼板に転写される割合は増加して斜面部面
積率は多くなる。しかしながら、被処理鋼板の表面にZ
nもしくはZn合金めっき層や、AlもしくはAl合金
めっき層が形成されている場合には、該めっき層は下地
の鋼板に比べて硬度が低い(例えば、鋼板の硬度はHv
で約100、めっき層の硬度はHvで約50)ために、
ロールの凸部が容易に転写されやすい。従って、圧延伸
び率Eが同じでも、めっき層の厚さが厚い程ロールの凸
部が溶融めっき鋼板に転写される割合が増大し、斜面部
面積率は大きくなる。即ち、めっき層が厚い程、同一の
傾斜部面積率を得るための圧延伸び率は少なくて済むよ
うになる。
【0025】一方、圧延伸び率Eが同じである場合に
は、エンボスロールの凸部の高さh(μm)が高くなる
に従って、鋼板に転写される凹部の深さは深くなるが、
逆にロールの凸部が鋼板に転写される面積割合は減少し
て斜面部面積率は小さくなる。換言すれば、エンボスロ
ールの凸部の高さhが低い程、同一の斜面部面積率を得
るための圧延伸び率Eは少なくて済むようになる。
【0026】従って、めっき層の厚さt(μm)を厚
く、エンボスロールの凸部の高さh(μm)を低く、そ
してエンボスロールによる圧延伸び率E(%)を大きく
して、上記(1)式を満足させることによって、斜面部
面積率を増加させて光学干渉膜を設けた後の製品の色調
の観察角度に応じて多彩に変化させることができるもの
と考えられる。
【0027】本発明で用いる被処理鋼板におけるめっき
層の厚さtについては、特に限定されるものではない
が、めっき層が薄くなりすぎた場合には、軽度の圧下に
よってもエンボスロールの凸部が下地鋼板にあるうねり
の凸部を圧下してそれ以上の転写が進みにくくなるの
で、3μm以上であるのが好ましい。まためっき層の厚
さとの上限については、製品を加工した際にめっき層剥
離を防止するという観点から、60μm以下であること
が好ましい。
【0028】エンンボスロールの凸部の高さhの下限に
ついては、特に限定されるものではないが、被処理鋼板
に大きな凹凸(うねり)がある場合には、うねりの凸部
のみにロールの凹凸が転写されて、うねりの凹部には転
写されないという問題が発生するので、前記高さhは5
μm以上であることが好ましく、更に被処理鋼板の表面
に均一に凹凸を形成するためには10μm以上であるこ
とが好ましい。一方、エンボスロールの凸部の高さhの
上限については、(1)式を満足している限りでは特に
限定しないが、凹凸が目視で識別しにくく外観を良好に
するという観点から、300μm以下であることが好ま
しい。
【0029】エンンボスロールによる圧延伸び率Eの上
限についても限定されるものではないが、圧延伸び率E
が大きくなるにつれて鋼板が加工硬化し、降伏点が上昇
すると共に、伸びは減少して製品の加工性が劣化するす
るので、5%以下にするのが良い。尚強加工して使用す
る場合には、圧延伸び率Eは3%以下にするのが好まし
い。
【0030】本発明において被処理鋼板に付与される凹
部は、光学干渉作用コーティング層への入射光線の角度
を変化させる目的で付与されるのであるから、この凹部
は、同一の形状のものが、規則的間隔で且つ方向性をも
って存在していなければならない。形状に統一性がない
場合や、方向性がない場合は、光の反射方向がばらばら
になって、反射光線束に様々な色調が混じり合うため、
角度依存性が消失もしくは小さくなる。同様に、凹部の
配置間隔が不規則なときも色調の角度依存性が認められ
なくなる。
【0031】本発明で用いるエンボスロールは、その表
面が上記の様な凸部が配設され、且つ該凸部の高さh
(または凹部の深さ)が前記(1)式を満足するように
形成されていればどのような形状であっても良く、例え
ば、円錐状または角(三角、四角、多角形等)錐状、あ
るいは断面が角形、円形や曲線で表される凸部等が挙げ
られる。また本発明におけるエンボスロールの凸部の形
状は、被処理鋼板表面に規則的な間隔で方向性をもつ凹
部を形成するものであればよく、こうした観点からすれ
ば、断面が角形、円形や曲線で表される連続した凸条も
含む趣旨であ。この様に様々な形状の凸部が採用できる
のは、凸部の形状が変化した場合には、同一条件で圧延
したときに、被処理鋼板に転写される凹部の深さは変化
するが、圧延伸び率が5%以下で圧延する限りでは斜面
部面積率に明確な違いは認められず、製品の色調の観察
角度依存性も変化しないためである。また凸部のピッチ
も特に限定されないが、凸部の高さhに対してピッチが
小さ過ぎる場合には、凸部の先端の鋭角になって圧延に
よるロールの摩耗が大きくなるので、凸部の先端の角度
が60°以上、より好ましくは90°以上になるよう
に、凸部の高さhに応じてピッチを調節するのが好まし
い。
【0032】本発明で用いられる可視光領域における光
学的干渉作用を有するコーティング層形成材料として
は、Si、Ge等の半導体、あるいはSiO2 、Al2
3 、MgO、Cr23 等の透明酸化物材料が好まし
く用いられる。特に、Si、SiO2 、Al23 は、
比較的安価であり、容易に入手できるため好ましい。し
かしながら、Ti、Cu、Zn、Al等の金属材料やそ
の合金は、可視光領域の光線が膜中を透過せず干渉作用
を示さないため、本発明では使用に適さない。またTi
N、TiC等の有色セラミックス材料も同様に不適であ
る。
【0033】光学干渉コーティング層の膜厚は特に限定
されないが、Si、Ge等の半導体の場合は0.005
〜0.2μmとすることが好ましく、SiO2 、Al2
3、MgO、Cr23 等の透明酸化物材料では0.
05〜1.0μmが好ましい。干渉膜の膜厚が上記範囲
の上限を超えると、基材表面からの反射光強度の減衰が
著しくなり、鮮やかな色調が得られない。また、前記下
限値を下回ると、膜厚の制御が難しくなると共に、充分
な光干渉作用が得られず、基材の色調のままとなる。
【0034】上記コーティング層を付与する方法につい
ては特に限定されず、真空蒸着法等の公知の各種ドライ
コーティング方法や、電解法、加熱による酸化皮膜形成
方法を採用することができる。特に真空蒸着法では、凹
凸表面の膜厚に変化を持たせる場合に、原料の蒸発軌跡
と被処理材の角度制御によって簡単に行えるという利点
があり好ましい。
【0035】以下実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施す
ることは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0036】
【実施例】下記表1(実施例)および表2(比較例)に
示したように、各種めっき鋼板を被処理鋼板として用い
ると共に、各種の凹凸形状および凸部高さhを有するエ
ンボスロールを用いて圧延を行なった。尚表1、2に示
したエンボスロールの凸部形状の意味は下記の通りであ
る。
【0037】四角錐 :四角錐が連続的に配設され
たもの(凸部間に平地部なし) 三角凸条 :断面が三角形状の連続した凸条が横方向
に一定間隔で配設されたもの(凸条間に平地部なし) 円柱 :円柱が連続的に配設されたもの(凸部間
および凸部頂上は平地部;斜面部なし) 四角凸条 :断面が四角形状の連続した凸条が横方向
に一定間隔で配設されたもの(凸部間および凸部頂上は
平地部;斜面部なし)
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】エンボスロール圧延した鋼板の表面に、図
2に示す真空蒸着室で光学干渉膜としてのSi膜を真空
蒸着めっきした。即ち、図2は光学干渉膜を形成するた
めの真空蒸着室の一構成例を示す概略説明図であり、図
中1は真空蒸着室、2はめっき鋼板、3は蒸発槽、4は
めっき原料、5a,5bは蒸気、6は遮蔽板を夫々示
す。図2に示した真空蒸着室1内で、めっき原料4の入
った蒸発槽3の上を被処理鋼板であるめっき鋼板が蒸発
室入側(図中右側)から出側(図中左側)へ走行し、そ
の間にめっき原料の蒸気5bがめっき鋼板2に付着する
ことによって、めっき鋼板2上にめっき原料4としての
Siが蒸着めっきされる。尚前記遮蔽板6は、めっき原
料4から左方向に蒸発してめっき鋼板2に付着するはず
の蒸気5aを遮蔽しめっき鋼板2付着させないようにす
るためのものであり、これによってめっき鋼板の凹凸部
におけるめっき膜厚を変化させるものである。
【0041】得られた製品について、蒸着層を上にして
太陽光下で目視観察を行い、色調の観測角度依存性を以
下の基準で評価した。 ○:観測角度によって色調が様々に変化する。 △:観測角度によって色調が僅かに変化する。 ×:観測角度による色調の変化が認められない。 その結果を、h/(8×t)の値、圧延伸び率Eおよび
傾斜部面積率と共に表3(実施例)および表4(比較
例)に示すが、本発明の実施例のものは観察角度に応じ
て色調が多様に変化していることがわかる。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、従来の塗装板では得られない金属光沢を保持したま
ま、観測角度によって多彩に変化する鮮やかな色調を有
する表面処理材を提供することができた。この表面処理
材は意匠性に優れ、製造コストも安価であるので、家庭
用電気製品の外装部材や、建材等の他、種々の用途に適
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき層の膜厚tとエンボスロールの高さhの
比(h/t)や圧延伸び率E等が表面処理鋼板の色調の
観察角度依存性に与える影響を示すグラフである。
【図2】光学干渉膜を形成するための真空蒸着室の一構
成例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 真空蒸着室 2 めっき鋼板 3 蒸発槽 4 めっき原料 5a,5b 蒸発蒸気 6 遮蔽板
フロントページの続き (72)発明者 川福 純司 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内 (72)発明者 加藤 淳 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内 (72)発明者 荒賀 邦康 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最表面に光学干渉膜が形成された表面処
    理鋼板であって、被処理鋼板として、ZnもしくはZn
    合金めっき層、またはAlもしくはAl合金めっき層を
    溶融めっき法によって形成しためっき鋼板を用いると共
    に、奥側が順次狭くなる様な斜面を有する凹部が、エン
    ボスロールの圧延によって前記めっき鋼板の表面に規則
    的な間隔で方向性をもって配設され、且つ前記凹部の斜
    面部面積率が平面視で30%以上であることを特徴とす
    る意匠性に優れた表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 光学干渉膜が、半導体または透明酸化物
    である請求項1に記載の意匠性に優れた表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の表面処理鋼板
    を製造するに当たり、被処理鋼板として、Znもしくは
    Zn合金めっき層、またはAlもしくはAl合金めっき
    層を溶融めっき法によって形成しためっき鋼板を用いる
    と共に、先端側が順次細くなる様な斜面を有する凸部が
    表面に配設されたエンボスロールを用い、被処理鋼板の
    めっき層の膜厚をt(μm)、エンボスロール表面の凸
    部の高さをh(μm)、エンボスロールによる圧延伸び
    率をE(%)としたとき、下記(1)式を満足するよう
    にして前記めっき鋼板表面に規則的な間隔で方向性をも
    つ凹部を前記エンボスロールの圧延によって配設し、且
    つ該凹部の斜面部面積率が30%以上となるようにし、
    その後被処理鋼板の最表面に光学干渉膜を形成すること
    を特徴とする意匠性に優れた表面処理鋼板の製造方法。 h/(8×t)<E …(1)
JP14685094A 1994-06-28 1994-06-28 意匠性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法 Withdrawn JPH0813115A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023238935A1 (ja) * 2022-06-10 2023-12-14 日本製鉄株式会社 溶融めっき鋼板

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