JPH07243025A - 意匠性に優れた表面処理材及びその製造方法 - Google Patents

意匠性に優れた表面処理材及びその製造方法

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JPH07243025A
JPH07243025A JP3392994A JP3392994A JPH07243025A JP H07243025 A JPH07243025 A JP H07243025A JP 3392994 A JP3392994 A JP 3392994A JP 3392994 A JP3392994 A JP 3392994A JP H07243025 A JPH07243025 A JP H07243025A
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plating
hot
dip
plating layer
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JP3392994A
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English (en)
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Jiyunji Kawafuku
純司 川福
Atsushi Kato
淳 加藤
Kuniyasu Araga
邦康 荒賀
Koji Irie
広司 入江
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な工程を要することなく、従来の塗装法
では得られない金属光沢と幾何学的な模様を有し、且つ
その表面が複数の異なる色調を有する部位からなる、意
匠性に優れた表面処理材を提供する。 【構成】 表面に凝固模様を有する溶融下地めっき部材
に表面めっき層が形成されており、この表面めっき層
は、上記凝固模様に対応して異なる色調を示すことを特
徴とする意匠性に優れた表面処理材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種家庭用電気製品、
建築物の内壁あるいは外壁、ショーケース、サインプレ
ート等に有用な意匠性に優れた表面処理材及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、家庭用電気製品あるいは建材等の
分野で、意匠性の付与を目的とした着色表面処理材に対
する要求が高まっている。上記着色表面処理材として
は、現在各種カラー塗装鋼板が多用されている。このカ
ラー塗装鋼板は、鋼板の表面に有機系塗料を塗布するこ
とによって製造されるが、中でもコイルの状態で塗装が
施されているプレコート鋼板は、ユーザーサイドにおけ
る塗装工程を簡略化することができるという理由から、
近年急激にその需要が拡大している。しかしながら上記
有機系塗料を塗布したカラー塗装鋼板に付与される色調
は、有機系塗料中の各種顔料や染料に依存するものであ
って、金属特有の光沢を保持したまま鮮やかな色調を得
ることは困難である。そこで、金属特有の光沢と鮮やか
な色調を有する表面処理材として、カラーステンレス、
カラーアルミ、カラーチタン等が製品化されている。
【0003】これらの製品は、下記(i )および(ii)
の方法によって製造されている。すなわち、 (i )公知の電解着色法または化学発色法を用いて、基
材表面にオングストロームレベルの酸化物皮膜を形成す
る方法であり、該皮膜の組成と膜厚の違いによって、可
視光領域において様々な干渉色を得るものである。ま
た、この酸化物皮膜中に遷移金属イオンを析出させるこ
とによって析出金属イオン特有の色調を得ることも可能
である。 (ii)めっき法によって基材表面に有色材料をコーティ
ングすることも一般的に行われている。具体的には、
(a)電気めっき法によって基材にCuをめっきしてC
u特有の色調を付与したり、Cu−Zn合金をめっきし
て黄金色外観を付与する方法、または(b)真空蒸着
法、スパッタ法等の気相めっき法によって基材にSiO
2 、TiN等のセラミックス材料やSi等をめっきして
多種多様の色調を付与する方法等が挙げられる。このよ
うなめっき法を用いれば、コストの高いCuや真鍮等の
バルク材を用いる必要がなくなるので、コストの低減を
図ることができるという利点がある。
【0004】しかしながら、これら(i )および(ii)
のいずれの方法を用いたとしても単色の色調しか得られ
ないことから、さらに意匠性に優れた製品として、金属
特有の光沢と幾何学的な模様を有し、かつ部分的に色調
が異なる外観を有する製品(すなわち、観察する角度に
よって色調が変化したり、同時に複数の色調を見ること
のできる意匠性表面処理材)が要求されている。
【0005】このような製品は、基材にCu板もしくは
真鍮板を用い、該基材をエンボス加工あるいはエッチン
グ加工したものであり、サインプレートを始め、ドアー
パネル、建材等の各種内装品用として既に実用化されて
いる。上記製品を製造する方法としては、以下の2つの
方法が挙げられる。
【0006】(i )Cu板もしくは真鍮板に酸化処理
(大気中加熱処理、浸漬黒色処理、電解黒色処理等)あ
るいは化学着色処理(硫化処理等)等の表面処理を施
し、任意の形状に彫刻されたエンボスロールまたはプレ
ス金型にて圧延・圧下した後、凸部を研磨する方法が挙
げられる。このような表面処理方法を行うことにより、
研磨された凸部のみがCuもしくは真鍮元来の色調に戻
り、研磨されていない凹部には上記表面処理によって得
られる色調が残存する製品を得ることができる。
【0007】(ii)Cu板もしくは真鍮板にフォトレジ
スト液を塗布し、任意の形状に加工されたフォトマスク
を通して該Cu板または真鍮板を露光し、感光していな
い部位のみを腐食液でエッチングすることにより、腐食
部位が凹形状となると同時に着色される結果、エッチン
グ部位とエッチングされていない部位との間に外観や色
調が部分的に異なる製品を得ることもできる。
【0008】上記製品の基材として用いられるCu板も
しくは真鍮板は、それ自身が耐食性や耐候性に優れてい
るので、端面部、加工部、疵発生部からの錆の発生が問
題になることは無く、屋内・屋外を問わず使用すること
が可能である。しかしながら、Cuや真鍮等のバルク材
はそれ自体高価なものであり、さらに部分的に異なる色
調を得るための処理工程が複雑であることから、コスト
が一層高くなるという問題がある。
【0009】そこで、基材としてコストの高いバルク材
を用いる代わりに安価なステンレス鋼板を用いためっき
材を利用して、上記製品と同程度もしくは更に多彩な色
調を有する製品が提供されている。具体的には、ステン
レス鋼板に、CuもしくはAu等の有色金属;TiN、
TiC等に代表される有色セラミックス材料;Si、各
種透明酸化物等に代表される様な可視光領域で干渉作用
を有する材料を、真空蒸着法、スパッタ法等の気相めっ
き法や電気めっき法を用いて単層または多層にめっきし
た後、部分的にエッチング処理を施す。このエッチング
方法を詳述すると、上記所望のめっき層を施した後、レ
ジスト液を塗布し、所望の形状に加工されたフォトマス
クを通して露光・硬化させることによりレジスト膜を形
成し、更に露光・硬化されなかった部分を溶剤等で除去
した後、腐食液にてエッチングを施すという方法であ
り、この方法によれば、上記マスクを通して露光・硬化
しためっき層部分のみがエッチングされずに基材表面に
残ることになる。
【0010】具体的には例えば、ステンレス鋼板の表面
に、電気めっき法または気相めっき法によってAuめっ
きを施し、更にその表面に気相めっき法によりブロンズ
色を呈するTiNとTiCの混合物をめっきする。この
ようにして得られためっき材に上記エッチング処理を施
すと、エッチングされずに残った部分はブロンズ色を呈
し、エッチングされた部分は下層めっきであるAuの色
調を呈する結果、多彩な色調を有する製品を得ることが
できる。
【0011】上記製品は、基材としてステンレス鋼板を
用いているので製造コストが低いという利点以外に、耐
食性および耐候性に優れているという利点も有している
ので、Cuもしくは真鍮板を用いた場合と同様に錆の発
生が問題となることはほとんど無い。
【0012】しかしながら、上記製品は以下の様な問題
を有する。すなわち、 (i )この製品によれば基材としてステンレス鋼を用い
ることは可能であるが、ステンレス鋼板よりも低価格で
ある冷延鋼板を用いることは事実上困難である。これ
は、冷延鋼板に上記AuめっきやTiNめっきを施す
と、めっき層自身が冷延鋼板に対して犠牲防食作用を有
していないので、基材である冷延鋼板が腐食してしま
い、端面部や疵発生部から赤錆が発生するようになるか
らである。赤錆が発生すると外観が著しく損なわれ、そ
の結果、意匠性表面処理材としての特性が失われること
になる。 (ii)上記製品を製造する際に用いられるエッチング処
理は、処理工程が複雑であり、簡便な方法とはいい難
い。 (iii )エッチング処理の際には、所望の形状に加工さ
れたマスク板を用いて露光・硬化を行うという工程を必
須要件とすることから、大面積基板にこの方法を適用す
る場合には、大面積用マスク板あるいはエッチング設備
が新たに必要になる。
【0013】このような問題を解決する方法として上記
エッチング処理を行わない方法がある。この方法は、予
めエンボス加工を施したステンレス鋼板に、蒸着めっき
法もしくは電気めっき法等により有色めっきを施した
後、更にその表面を研磨するというものである。具体的
には、所望の表面形状に加工されたエンボスロールを用
いて、基材であるステンレス鋼板を圧延し、該基材表面
に凹部及び凸部からなる幾何学的模様を形成する。その
後、蒸着めっき法または電気めっき法を用いて、該基材
の全面にCu等の有色めっき層を形成した後、基材表面
を研磨処理すると、凸部の有色めっき層のみが研磨され
て基材の色調を呈し、一方研磨されない凹部は有色めっ
き層の色調をそのまま呈するといった表面処理材を得る
ことができる。
【0014】上記エンボス加工法を用いることにより、
前記エッチング法に比べて比較的簡単に所望の表面処理
材を得ることが可能であるが、この場合にも以下の様な
問題を有している。 (i )基材表面に模様を付与するにはエンボス加工が不
可欠であり、そのために必要なロールの作成、メンテナ
ンス等に伴うコストも新たに生じることになる。 (ii)3色以上の色調を同時に付与することは、その製
法上、非常に困難である。 (iii )エッチング処理法の場合と同様に、基材として
冷延鋼板を使用すると、Cu等の有色めっき層は冷延鋼
板に対して犠牲防食作用を有していないので、端面部、
疵発生部から冷延鋼板の赤錆が早期に発生し、実使用環
境下での耐食性及び耐候性を満足することができない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、以上のよ
うな事情を考慮してなされたものであって、複雑な工程
を要することなく、従来の塗装法では得られない金属光
沢と幾何学的な模様を有し、且つその表面が複数の異な
る色調を有する部位からなる、意匠性に優れた表面処理
材及びその製造方法を提供することを目的とするもので
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の意匠性に優れた表面処理材は、表面に凝固模様を
有する溶融下地めっき部材に表面めっき層が形成された
表面処理材であり、この表面めっき層は、前記凝固模様
に対応して異なる色調を示すものであることに要旨を有
するものである。上記表面めっき層は、好ましくは有色
金属もしくは有色合金、可視光領域で干渉作用を有する
物質、または有色セラミックスを含有する。好適な実施
態様では、本発明の表面処理材は上記表面めっき層の上
層に、更に有機樹脂系クリアー塗料層が形成されてい
る。
【0017】また、上記課題を解決し得た本発明の意匠
性に優れた表面処理材の製造方法は、表面に凝固模様を
有する溶融下地めっき部材を加熱した後、有色金属もし
くは有色合金、可視光領域で干渉作用を有する物質、ま
たは有色セラミックスを含有する表面めっき層を、蒸着
めっき法によって形成することに要旨を有するものであ
る。好ましくは、上記蒸着めっき時の溶融下地めっき部
材の加熱温度は前記表面めっき層に含有される物質によ
って以下の条件を包含する。 有色金属もしくは有色合金として、CuもしくはCu
合金、またはAuもしくはAu合金を用いる場合には、
上記加熱温度を150℃以上300℃以下とし、 可視光領域で干渉作用を有する物質としてSiまたは
Geを用いる場合には、上記加熱温度を100℃以上3
00℃以下とし、 有色セラミックスまたは可視光領域で干渉作用を有す
る物質としてセラミックスを用いる場合には、上記加熱
温度を200℃以上350℃以下とする。
【0018】
【作用】本発明者等は上記目的を達成するために、重厚
で幾何学的な模様を有するものであって、且つ金属光沢
を維持しつつ、複数の色調がランダムに存在する表面処
理材を得ることを目標にして種々研究を重ねた結果、本
発明を完成したのである。以下、本発明の完成に至った
経緯に沿って本発明を詳細に説明する。本発明の表面処
理材の基本構成は、下層として凝固模様を有する溶融下
地めっき部材を用い、その上層に表面めっき層が形成さ
れたものからなる。
【0019】本発明の表面処理材の下層に用いられる下
地部材を選択するに当たって、本発明者らはまず、下地
部材に幾何学的な模様を付与することのできるエッチン
グ処理法もしくはエンボス加工法について検討を行っ
た。しかしながら、これらの方法はいずれも下記の様な
問題を有することがわかった。すなわち、 (i )これらの方法はいずれも処理工程が複雑であるう
え、処理後に模様を付与するので生産性の低下は避けら
れない。 (ii)処理工程上、模様毎に異なる3色以上の色調を同
時に発色させることは困難である。従って、本発明では
上記処理方法の適用を断念した。
【0020】そこで、上記エッチング処理やエンボス加
工を行う必要のない下地部材、すなわちそれ自身が既に
幾何学的な模様を有する下地部材について検討した。そ
の結果、本発明の表面処理材に用いられる下地部材とし
ては、表面に凝固模様を有する溶融下地めっき部材を適
用すれば良いことが分かった。
【0021】ここで、本発明において用いられる溶融下
地めっき部材とは、溶融めっき法によって、下地部材に
Znなどの金属を含むめっき層が形成されたものであっ
て、その表面に凝固模様を有するものを意味する。この
ような部材の表面にはめっき層の凝固模様が見られ、そ
の凝固模様の一つ一つは通常スパングルと呼ばれている
(以下、この凝固模様をスパングルと呼ぶ)。このスパ
ングル1個の大きさは、用いられる下地部材と金属の種
類によっても異なるが、通常直径約1mm〜20mmで
ある。上記溶融下地めっき部材は、下地部材を高温下で
溶融金属浴中に浸漬した後、引き上げて、該溶融金属を
下地部材の表面で凝固させ、金属被覆を形成するといっ
た通常の溶融めっき法によって製造することができる。
【0022】上記下地部材としては特に限定されない
が、コストの低減化を図るという本発明の趣旨に合致す
る部材としては例えば普通鋼、ステンレス鋼、冷延鋼、
各種金属の他、Al、Cu、Ti等の非鉄材料やこれら
の合金が挙げられ、その形状も板状、棒状、管状等の様
々な形状のものが含まれる。このうち、好ましくは冷延
鋼板、普通鋼、ステンレス鋼板等が挙げられ、より好ま
しくは冷延鋼板である。なお、Cu板もしくは真鍮板等
のバルク材は高価であるので、本発明の主旨に沿った部
材とは言えず、好ましくない。
【0023】また、上記下地部材に被覆される金属とし
ては下地部材に対して犠牲防食作用を有するものであっ
て、且つ製造された溶融下地めっき部材の表面に凝固模
様を形成することができるものであればよく、その様な
例として例えば、Zn系めっき材料(Zn,Zn−5%
Al,Zn−55%Al)、Sn系めっき材料(Snめ
っき)、Pb系めっき材料(Pbめっき、Pb−Snめ
っき)等が挙げられ、最も好ましくはZn系めっき材料
(Zn,Zn−5%Al,Zn−55%Al)である。
その理由は、大気環境中において鋼に対する犠牲防食作
用を有しており、その結果優れた耐食性を示すためであ
る。この様な溶融下地めっき部材として好ましいのは、
溶融Znめっき鋼板、溶融Zn−5%Alめっき鋼板、
溶融Zn−55%Alめっき鋼板等の溶融Zn系めっき
鋼板である。
【0024】なお、上記溶融下地めっき部材の溶融めっ
き層中には、めっき材料である金属成分以外に、下地部
材に要求される特性を付与することを目的として不可避
元素が混入することがあるが、このことは本発明の表面
処理材を何等限定するものではない。このような不可避
元素の例として例えば、スパングルを形成するうえで不
可欠な元素であるPb,Sb等;溶融めっき製造時の合
金化を抑制するために添加される微量のAl,Si等;
溶融めっき製造時の均一付着性の向上のために添加され
るLa,Ce等のミッシュメタル;耐食性向上のために
添加されるMg,Sn,Cr等が挙げられる。
【0025】また、本発明では上記溶融下地めっき部材
におけるめっき付着量については特に規定しない。その
理由は、めっき付着量が大きければ大きいほど、下地部
材の赤錆が発生するまでの時間が延長されるものの、め
っき層自身の腐食に起因する白錆の発生に関してはこの
膜厚に依存しないからである。一般的には、耐食性と製
造コスト等の観点から、該めっき付着量の下限は20g
/m2 であり、上限は120g/m2 であることが好ま
しい。
【0026】このようなスパングルを有する溶融下地め
っき部材は表面全体に幾何学的な模様を有しているの
で、この下地部材自体が本発明の目標である幾何学的模
様を既に呈しているものである。その他に上記溶融下地
めっき部材を本発明の表面処理材の下地部材として適用
することにより、以下のような利点が挙げられる。すな
わち、 上記エッチング処理もしくはエンボス加工処理等の複
雑な工程を用いなくても所望の模様を得ることができ
る。従って、模様付与工程を不要にすることが可能であ
る。 本発明に用いられる溶融下地めっき部材は、冷延鋼板
も含めた下地部材に対して犠牲防食作用を有しているの
で、めっき層自身が端面部や疵部からの下地部材の赤錆
発生を防止および抑制する機能を発揮するものである。
【0027】上記溶融下地めっき部材の選択は、希望す
る模様によって選択すればよい。溶融下地めっき部材と
して例えば溶融Zn系めっき鋼板を用いた場合を例に挙
げて説明すると、微細な模様を得るには溶融Zn−55
%Alめっき鋼板を用い、比較的大きく且つランダムな
形状の模様を得るには溶融Znめっき鋼板を用い、また
亀甲模様が好まれる場合には溶融Zn−5%Alめっき
鋼板を用いれば良い。また、溶融Zn系めっき鋼板の種
類によってスパングル模様1個当たりの大きさも異なる
ことから、比較的細かい模様が好まれる場合には溶融Z
n−55%Alめっき鋼板を用い、また大きな模様が好
まれる場合には溶融Znめっき鋼板もしくは溶融Zn−
5%Alめっき鋼板を用いれば良い。
【0028】本発明の下層に用いられる溶融下地めっき
部材はそれ自体が既に凝固模様を有していることは既に
述べたとおりであるが、その表面全体の色調は基本的に
めっき材料として選ばれた金属に固有の色を呈している
にすぎず(例えば、溶融Zn系めっき鋼板の場合にはZ
nまたはZn−Al合金特有の銀白色を呈する)、この
ままでは本発明において目的とする複数の異なる色調を
得ることはできない。従って、上記溶融下地めっき部材
の上層に異なる色調を呈するためのめっき層を付与する
ことを検討した。この場合、溶融下地めっき部材の表面
全体に均一な膜厚または均一な組成の表面めっき層を単
純に付与するだけであれば、めっき面全体が別の色に置
き換えられるだけであり、全体として同一の色調となっ
てしまうので、所望の表面処理材を得ることができな
い。そこで本発明者等は、めっき層の付与に当たっては
上記溶融下地めっき部材の表面にスパングル模様に対応
して異なる色調を示す様な表面めっき層を形成すれば、
意匠性に優れた表面処理材が容易に得られるのではない
かとの着想を得、これを実験的に確認して本発明を完成
したのである。上記表面めっき層は、好ましくは有色
金属もしくは有色合金、可視光領域で干渉作用を有す
る物質、または有色セラミックスを含有するものであ
る。
【0029】の例として例えば、CuやAuに代表さ
れる有色金属およびこれらの元素を2種以上含有する有
色合金(例えば、Cu−Ni,Cu−Zn,Cu−S
n,Cu−Ni−Zn,Cu−Sn−Zn,Au−C
u,Au−Zn,Au−Ag,Au−Fe,Au−N
i,Au−Cu−Zn,Au−Ni−Zn等)が挙げら
れ、の例として例えば、Si,Ge,GaAs,In
As,InSb等の半導体;Si,Al,Mg,Fe,
Cr,Ti,Mn,Zr,Ca,Mo,W等の酸化物
(SiO2 ,Al23 ,MgO,Fe23 ,Cr2
3 ,TiO2 ,MnO,ZnO2 ,CaO,TiO,
MoO3 ,WO3 等)が挙げられ、の例として例え
ば、TiN,TiC,ZrC,ZrN,TaC,TiA
lN,TiAlCxy 等の有色セラミックス等が挙げ
られる。これらのうち好ましいのは、Si,SiO2
Al23 ,Cu,Cu−Zn,Cu−Ni等であり、
より好ましくは入手容易性という観点から、Si,C
u,SiO2 ,Al23 が推奨され、中でもSiおよ
びCuは、蒸着めっき用原料として供給される時点で溶
湯化するので、原料浴からの蒸発速度が一定に維持さ
れ、蒸着作業を安定して行うことができる。
【0030】この様な本発明の表面処理材の例を挙げる
と、例えば溶融Zn系めっき鋼板に可視光領域で干渉作
用を有するSiO2 めっき層を付与し、且つ該Zn系め
っき鋼板の表面に存在するスパングル単位で該SiO2
めっき層の膜厚を変化させることによってスパングル単
位でめっき層の膜厚に応じた異なる色調を呈するように
なるものであり、めっき面全体を観察すると複数の色調
が幾何学的に配置された、非常に美麗な外観を有するも
のである。また、溶融Zn系めっき鋼板に有色合金であ
るCu−Zn合金をめっきし、且つスパングル単位でめ
っき組成を変化させることによって、CuとZnの比率
に応じてスパングル単位でCu色〜黄金色〜銀白色へと
色調が多彩に変化した表面処理材が得られる。そして上
記各変化を無秩序に行わせることによって、これらの色
調が無秩序に存在する表面処理材を得ることも可能であ
る。
【0031】上述したように上記表面めっき層は、溶融
下地めっき部材の表面に存在する凝固模様に対応して異
なる色調を示すものであるが、この様な多彩な色調が得
られるのは、該表面めっき層に2種類以上の異なるめっ
き膜厚またはめっき組成がスパングル単位で所望により
無秩序に存在するからである。ここで、該めっき膜厚ま
たはめっき組成の異なるスパングルの数は多ければ多い
程好ましく、このような構成とすることにより同時に複
数の色調を呈することができる表面処理材が得られる。
【0032】本発明の好適な表面処理材においては、実
使用環境下における耐候性の向上、耐表面疵付き性の向
上、および耐指紋性の向上等、各種性能の向上を目的と
して、該有色めっき層の上層に更に有機樹脂系クリアー
塗料層を付与することができる。
【0033】上記有機樹脂系クリアー塗料層を構成する
有機系樹脂の種類については何等限定されるものではな
く、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれもが用い
られる。本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、塩
化ビニル樹脂系、塩化ビニリデン樹脂系、ポリエチレン
系、フッ素樹脂系、アクリル樹脂系等が挙げられ、また
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂
系、ポリエステル樹脂系、フェノール樹脂系、アルキド
樹脂系、メラミン樹脂系、シリコン樹脂等が挙げられ
る。これらは単独でも用いられるが、これらの二種以上
を組み合わせても良く、例えばこれらの混合物、共重合
体、変性樹脂等を適宜選択して使用することも可能であ
る。更に該有機樹脂系クリアー塗料層中に、塗膜のレベ
リングを助けるためにシリコーンオリゴマー、フッ素化
ポリオレフィン等の流展剤を添加したり、塗膜付与後の
加工性の向上を目的として各種ワックス成分(ポリエス
テル系ワックス)、テフロン粒子を微量添加したり、あ
るいは塗膜の密着性の向上を目的としてシランカップリ
ング剤を添加したり、塗装時の発泡を抑制するためにア
ルコール類やオレイン酸、界面活性剤を添加してもよ
い。
【0034】上記有機樹脂系クリアー塗料層の膜厚は、
その下限が1μm以上であることが好ましく、より好ま
しくは5μm以上である。一方その上限は40μm以下
であることが好ましく、より好ましくは30μm以下で
ある。有機樹脂系クリアー塗料層の膜厚が1μm未満の
場合、クリアー塗料層にピンホールなどの欠陥が多量に
発生すると共に、クリアー塗料層の塗装による外観維持
効果も小さくなるので好ましくない。一方、有機樹脂系
クリアー塗料層の膜厚を40μmを超えて付与しても、
上記耐候性や耐疵性等の効果は飽和してしまい、製造コ
ストが高くなるのみで非経済的である。
【0035】次に、本発明の表面処理材を製造する方法
について詳述する。本発明の表面処理材の製造方法は、
表面に凝固模様を有する溶融下地めっき部材に、有色金
属もしくは有色合金、有色セラミックス、または可視光
領域で干渉作用を有する物質を含有する表面めっき層を
蒸着めっき法によって形成する。なお、以下の記載にお
いて有色金属もしくは有色合金、有色セラミックス、ま
たは可視光領域で干渉作用を有する物質を総称して表面
めっき層構成物質と呼ぶことがある。
【0036】本発明に用いられる蒸着めっき法は広義の
蒸着めっき法を意味するものであり、例えば通常の真空
蒸着めっき法の他に各種イオンプレーティング法、DC
・マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッ
タリング法、CVD法等の気相めっき法等が挙げられ、
好ましくは真空蒸着めっき法、イオンプレーティング法
が挙げられる。これらの方法を採用するに当たっては、
好ましくは蒸着めっき時の下地部材の加熱温度に留意す
ること以外は、通常行われる方法を用いることができ
る。
【0037】例えば、真空蒸着めっき法を採用する場合
は、真空もしくは希薄ガス雰囲気中、または不活性ガス
雰囲気中にて、上記表面めっき層構成物質の種類に応じ
て溶融下地めっき部材の加熱温度を適宜変更し加熱する
ことによって表面めっき層構成物質を加熱蒸発させ、そ
の蒸発分子を下地部材の表面に凝固させるものである。
上記加熱蒸発方法としては、抵抗加熱方式、電子線加熱
方式、高周波誘導加熱方式、輻射加熱方式等が挙げら
れ、好ましくは抵抗加熱方式、電子線加熱方式が挙げら
れる。なお、蒸着めっき時の下地部材の加熱温度につい
ては、後記記載において詳述する。
【0038】上記蒸着めっきに当たっては、表面めっき
層構成物質を予め十分真空脱ガスまたは真空溶解させて
おくこと、溶融下地めっき部材の洗浄(洗剤処理、アル
カリ処理、有機溶剤による蒸気洗浄、脱イオン水による
洗浄、超音波洗浄等)等の、通常行われる前処理を行う
ことはいうまでもない。
【0039】本発明の方法によって、スパングル単位で
表面めっき層の膜厚または組成が変化して多彩な色調が
得られる機構は詳細には不明であるが、以下のような2
つの機構からなるものと推察される。なお、これらの機
構の如何は本発明の技術範囲を左右するものではない。
以下の記載では、溶融Zn系めっき鋼板の場合を例に挙
げて説明する。
【0040】第一に、スパングル毎にZnの蒸発温度
(蒸気圧と関係)が異なることが考えられる。Znは高
蒸気圧を有する金属であることから、溶融Zn系めっき
鋼板を真空もしくは希薄ガス雰囲気中で、または不活性
ガス雰囲気中で加熱すると、ある温度に到達した時点で
Znの蒸気が発生する。Znの蒸発温度は、溶融めっき
時に成長するめっき表面の酸化層の厚さ、結晶配向性、
不純物元素の濃度等によって変化する。溶融Zn系めっ
き鋼板の場合、スパングル毎に上記表面酸化層(Zn
O)の厚さ,Znの結晶配向性、Pb,Sb等の元素濃
度が異なることが知られているので、スパングル毎にZ
nの蒸発温度、換言すればある温度におけるZnの蒸気
圧が異なることが考えられる。従って所定温度に加熱保
持した溶融Zn系めっき鋼板に、蒸着めっき法により表
面めっき層を付与する場合、各スパングル毎に蒸気めっ
き極部表面の圧力分布が異なり、めっき鋼板に到達する
表面めっき材料の蒸気流束が異なることになる。すなわ
ち、Znの蒸発温度が高い(=蒸気圧が低い)スパング
ル部ではその極部表面内のZn蒸気の分布が少ないの
で、表面めっき層の膜厚が厚く、Znとの混合比が小さ
い表面めっき層が形成されることになる。逆に蒸発温度
が低い(=蒸気圧が高い)スパングル部では、その極部
表面にZn蒸気が大量に存在するので、表面めっき層の
形成が阻害されて膜厚が薄くなるか、あるいはZnとの
混合比が大きい表面めっき層が形成されるものと考えら
れる。
【0041】第二に、上層の表面めっき層構成物質か
ら下層への拡散速度と、下層の溶融Zn系めっき層から
上層へのZnの拡散速度とがスパングル毎に変化してい
ることが考えられる。このようなスパングル毎による拡
散速度の違いは、上述のスパングル単位におけるめっき
表面の酸化層の厚さ、結晶配向性、不純物元素の濃度の
差に起因して発生するものと考えられる。すなわち、ス
パングル毎にZnとの混合比が異なる表面めっき層が形
成されると共に、表面めっき層中にZnが拡散してくる
ので、該表面めっき層の有効厚さも変化するものと考え
られる。
【0042】上記Znの蒸発現象および拡散現象は、用
いられる溶融Zn系めっき鋼板の種類およびめっき表面
の状態によっても異なるが、この下地部材の蒸着めっき
時の加熱温度が100℃以上の場合に特に顕著に発生す
るものである。このような現象は溶融Zn系めっき鋼板
に限らず、本発明で用いられる他の下地部材を用いた場
合も同様のことが言えるものである。また、この現象は
各スパングル毎に異なって生じることから、スパングル
毎に表面めっき層の膜厚または組成が異なる製品を得る
ことが可能になるものと考えられる。
【0043】次に、蒸着めっき時の溶融下地めっき部材
の加熱温度について説明する。本発明の表面処理材の色
調は、表面めっき層が溶融下地めっき部材中の金属と混
合または合金化することによっても色調が変化するが、
付与する表面めっき層の種類によってその混合比または
合金比が異なり、色調変化の程度も異なってくる。
【0044】従って、蒸着めっき時の溶融下地めっき部
材の加熱温度を一義的に決定することは困難であるが、
本発明者等は蒸気圧の観点から、上記表面めっき層構成
物質を有色金属もしくは有色合金、可視光領域で干
渉作用を有する物質として半導体、有色セラミックス
または可視光領域で干渉作用を有する物質としてセラミ
ックスの3種類に分類し、それぞれの代表例について蒸
着めっき時の下地部材の加熱温度と該表面めっき層の膜
厚または組成の変化について検討した。
【0045】その結果、下地部材に表面めっき層を蒸着
めっきする時の下地部材の最適加熱温度範囲を、表面め
っき層構成物質の種類によって以下のように設定した。
このような温度範囲とすることにより、表面めっき層の
膜厚または組成をスパングル単位で変化させることが可
能である。
【0046】有色金属もしくは有機合金としてCuも
しくはCu合金、またはAuもしくはAu合金を用いる
場合、下地部材の加熱温度の下限は好ましくは150℃
以上であり、より好ましくは180℃以上である。一
方、その上限は300℃以下であり、より好ましくは2
60℃以下である。 可視光領域で干渉作用を有する物質としてSiまたは
Geを用いる場合には、下地部材の加熱温度の下限は、
好ましくは100℃以上であり、より好ましくは150
℃以上である。一方、その上限は300℃以下であり、
より好ましくは280℃以下である。 有色セラミックスまたは可視光領域で干渉作用を有す
る物質としてセラミックスを用いる場合には、下地部材
の加熱温度の下限は、好ましくは200℃以上であり、
より好ましくは220℃以上である。一方、その上限は
350℃以下であり、より好ましくは330℃以下であ
る。
【0047】下地部材の加熱温度が上記下限値を下回る
と、溶融下地めっき部材表面からの金属蒸発がほとんど
見られず、また表面めっき層との相互拡散が生じないの
で、このような下地部材に表面めっき層を付与しても単
一膜厚且つ単一組成,単一色調を有する表面処理材しか
得ることができない。一方、各表面めっき層構成物質の
基材加熱温度が上記上限値を超えると、すべてのスパン
グルから金属が蒸発するか、または表面めっき層表面全
域に金属が拡散してしまい、単一色調からなる表面めっ
き層しか得ることができない。
【0048】本発明の製造方法を用いることにより、表
面めっき層の付与と、スパングル単位で色調を変化させ
ることとを同時に達成することが可能であるので生産性
の観点からも非常に有用な方法であると言える。以下実
施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は
本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱
しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲
に包含される。
【0049】
【実施例】
実施例および比較例 表面にスパングル模様を有する溶融下地めっき部材とし
て、以下に示す溶融Znめっき鋼板、溶融Zn−5%A
lめっき鋼板、および溶融Zn−55%Alめっき鋼板
を用い、その表面に気相めっき法(真空蒸着めっき法ま
たはイオンプレーティング法)によって所望の表面めっ
き層を付与した。付与する表面めっき層の種類によっ
て、気相めっき時の該溶融Zn系めっき鋼板を加熱する
温度を変化させ、スパングル単位に表面めっき層の膜厚
または組成を変化させた。本実施例および比較例におけ
る製造条件を以下に示す。
【0050】(A)溶融下地めっき部材: 溶融Znめっき鋼板(レギュラースパングル材) めっき付着量:120g/m2 板厚 :0.8mmt 外観 :比較的大きな(直径5〜10mm程度)スパ
ングルが生成 溶融Zn−5%Alめっき鋼板 めっき付着量:60g/m2 板厚 :0.7mmt 外観 :比較的大きな(直径5〜10mm程度)亀甲
模様のスパングルが生成 溶融Zn−55%Alめっき鋼板 めっき付着量:60g/m2 板厚 :0.7mmt 外観 :小さな(直径1〜2mm程度)スパングルが
生成
【0051】 (B)表面めっき層を付与する際の下地部材の前処理 上記の各溶融Zn系めっき鋼板を弱アルカリ系脱脂液に
て脱脂処理後、水洗および乾燥した。(C)表面めっき
層を付与する際の下地部材の加熱温度:表1〜4に示
す。
【0052】(D)表面めっき層の種類: 有色金属および有色合金として、Cu,Cu合金(C
u−Ni,Cu−Ni−Zn),Au合金(Au−Cu
−Zn) 可視光領域で干渉作用を有する物質として、Si、G
eの半導体 有色セラミックスとして、SiO2 ,TiN,TiC これらのうち、TiN,TiCに関してはN2 等の反応
性ガスを用いたイオンプレーティング法にて成膜した。 (E)蒸着室の真空度:1×10-2Pa以下(真空蒸着
時) (F)加熱蒸発方法 :電子線加熱方法
【0053】表面めっき層付与後のめっき表面外観を目
視にて観察し、スパングル毎に色調の変化を以下の基準
で評価した。 ◎:3色以上の色調変化が認められ、非常に美麗な外観
を有する。 ○:2色以上の色調変化が認められるが、上記に比べる
とやや劣る。全体としては美麗な外観を有する。 ×:色調変化が認められない。 また、スパングル毎の色調変化の発生機構を以下のよう
にして表示した。 膜厚 :表面めっき層の膜厚変化によって色調が変化し
た場合。 組成 :表面めっき層の組成変化によって色調が変化し
た場合。 変化なし:表面めっき層の膜厚・組成ともに変化がない
場合。 このようにして得られた結果を表1及び表2に併記し
た。なお、比較例として、表面に凝固模様のない溶融Z
nめっき鋼板(ゼロスパングル材)を用いた場合、およ
び表面めっき層を蒸着めっきする際の下地部材加熱温度
が本発明の範囲外である場合について、上記と同様の評
価を行った。その結果を表3及び表4に併記した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】表1〜2から明らかなように、本発明の表
面処理材はいずれも、表面めっき層の膜厚または組成が
溶融Zn系めっき鋼板のスパングル単位で異なるので、
スパングル毎で異なる色調を有する非常に美麗な外観を
有していた。一方、溶融下地めっき部材としてスパング
ル模様のない、ゼロスパングル溶融Znめっき鋼板を用
いた比較例(表4)の場合は、蒸着めっき時の下地部材
加熱温度が本発明の範囲内であっても、付与された有色
めっき層の色調は単一なものしか得ることができなかっ
た。
【0059】また、溶融下地めっき部材としてスパング
ルを有する溶融Zn系めっき鋼板を用いた場合であって
も、蒸着めっき時の下地部材の加熱温度が本発明の範囲
外である比較例(表3)の場合には、表面めっき層の色
調の変化は認められなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明の表面処理材およびその製造方法
は以上の様に構成されているので、従来の塗装板では得
られない金属光沢を保持したまま幾何学的な模様を有
し、且つ観察角度によって色調が多彩に異なる表面処理
材を簡便に且つ安定して供給することができる様になっ
た。この表面処理材は意匠性に優れ、製造コストも安価
であるので、家庭用電気製品、建物の内壁あるいは外
壁、ショーケース、サインプレート、門扉等の他、種々
の用途に適用することができる。
フロントページの続き (72)発明者 荒賀 邦康 兵庫県加古川市尾上町池田字池田開拓2222 番地1 株式会社神戸製鋼所加古川研究地 区内 (72)発明者 入江 広司 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に凝固模様を有する溶融下地めっき
    部材に表面めっき層が形成されており、該表面めっき層
    は、前記凝固模様に対応して異なる色調を示すものであ
    ることを特徴とする意匠性に優れた表面処理材。
  2. 【請求項2】 前記表面めっき層は、有色金属もしくは
    有色合金、可視光領域で干渉作用を有する物質、または
    有色セラミックスを含有するものである請求項1に記載
    の表面処理材。
  3. 【請求項3】 前記表面めっき層の上層に、更に有機樹
    脂系クリアー塗料層が形成されたものである請求項1ま
    たは2に記載の表面処理材。
  4. 【請求項4】 表面に凝固模様を有する溶融下地めっき
    部材を加熱した後、有色金属もしくは有色合金、可視光
    領域で干渉作用を有する物質、または有色セラミックス
    を含有する表面めっき層を、蒸着めっき法によって形成
    することを特徴とする意匠性に優れた表面処理材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記蒸着めっき時の溶融下地めっき部材
    の加熱温度が、前記表面めっき層に含有される物質によ
    って以下の条件を包含するものである請求項4に記載の
    製造方法。 有色金属もしくは有色合金として、CuもしくはCu
    合金、またはAuもしくはAu合金を用いる場合には、
    前記加熱温度を150℃以上300℃以下とし、 可視光領域で干渉作用を有する物質としてSiまたは
    Geを用いる場合には、前記加熱温度を100℃以上3
    00℃以下とし、 有色セラミックスまたは可視光領域で干渉作用を有す
    る物質としてセラミックスを用いる場合には、前記加熱
    温度を200℃以上350℃以下とする。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017226216A (ja) * 2016-06-17 2017-12-28 泰有 穂積 金属板及び表示部材

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