JP7438605B2 - 二次電池用電池部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池用電池部材の製造方法に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車等の普及により、高性能な二次電池が必要とされている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギ密度を有するため、電気自動車用電池、電力貯蔵用電池等の電源として注目されている。具体的には、電気自動車用電池としてのリチウム二次電池は、エンジンを搭載しないゼロエミッション電気自動車、エンジン及び二次電池の両方を搭載したハイブリッド電気自動車、電力系統から直接充電させるプラグイン・ハイブリッド電気自動車等の電気自動車に採用されている。また、電力貯蔵用電池としてのリチウム二次電池は、電力系統が遮断された非常時に、予め貯蔵しておいた電力を供給する定置式電力貯蔵システム等に用いられている。
このような広範な用途に使用するために、より高いエネルギ密度のリチウム二次電池が求められており、その開発がなされている。特に、電気自動車用のリチウム二次電池には、高い入出力特性及び高いエネルギ密度に加えて、高い安全性が要求されるため、安全性を確保するためのより高度な技術が求められる。
リチウム二次電池の安全性を向上させる方法として、電解液を固体電解質へ変更する方法等が知られている(例えば特許文献1)。
特開2004-107641号公報
しかしながら、固体電解質を用いたリチウム二次電池を製造する場合には、電解液を用いた二次電池と異なり、電極合剤層と電解質層との接触面が固体/固体界面となると共に、電極合剤層内の電極活物質と電解質との接触面も固体/固体界面となるため、これらの界面を良好に密着させることが困難である。二次電池においてこれらの界面が良好に密着していないと、二次電池内部の抵抗が増加し、電池特性が低下するおそれがある。そのため、電極合剤層/電解質層の界面、及び、電極合剤層内の電極活物質/電解質の界面を良好且つ簡便に形成できる手法が求められている。
本発明は、電極合剤層内の電極活物質/電解質の界面が良好に形成され、更に、電極合剤層/電解質層における層間の密着性に優れる二次電池用電池部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、集電体の一面上に、電極活物質を含有する電極合剤中間層を形成する工程と、電極合剤中間層の前記集電体とは反対側の面上に、酸化物粒子及びポリマを含有するスラリを塗布する工程と、を備え、電極合剤中間層及びスラリの少なくとも一方は、イオン液体及び電解質塩を含有する、二次電池用電池部材の製造方法を提供する。
本発明において、電極合剤中間層及びスラリの一方が、イオン液体及び電解質塩を含有してよい。この場合、スラリがイオン液体及び電解質塩を含有してよい。
本発明において、電極合剤中間層及びスラリの両方が、イオン液体及び電解質塩を含有してもよい。
酸化物粒子が、疎水性表面を有していてよい。疎水性表面を有する酸化物粒子は、好ましくは、ケイ素含有化合物で表面処理されている。
ケイ素含有化合物は、好ましくは、ハロゲン含有アルキルシラン、アルコキシシラン、エポキシ基含有シラン、アミノ基含有シラン、シラザン、及びシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ポリマは、好ましくは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を有する。
ポリマを構成する構造単位の中には、好ましくは、第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれる。
イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の濃度は、好ましくは、1.0~2.5mol/Lである。
本発明の製造方法は、電解質スラリを塗布する工程の前に、電極合剤中間層中に、下記式(1)で表される構造単位を有するポリマを含有する溶液を浸透させる工程を更に備えてもよい。
Figure 0007438605000001
[式(1)中、Xは対アニオンを示す。]
本発明によれば、電極合剤層内の電極活物質/電解質の界面が良好に形成され、更に、電極合剤層/電解質層における層間の密着性に優れる二次電池用電池部材の製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。 図1に示した二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。 第1実施形態に係る二次電池用電池部材の製造方法を示す模式断面図である。 第2実施形態に係る二次電池用電池部材の製造方法を示す模式断面図である。 変形例に係る二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。 実施例8に係る二次電池用電池部材の断面を観察したSEM画像である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲は、本発明を制限するものではない。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載される数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
なお、本明細書では下記の略称を用いる場合がある。
[Py13]:N-メチル-N-プロピルピロリジニウムカチオン
[EMI]:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン
[DEME]:N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムカチオン
[FSI]:N(SOF) 、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]:N(SOCF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[f3C]:C(SOF) 、トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
[BOB]:B(O 、ビスオキサレートボラートアニオン
[P(DADMA)][Cl]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド
[P(DADMA)][TFSI]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
図1は、一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。図1に示すように、二次電池1は、正極、負極及び電解質層から構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3とを備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えばラミネートフィルムで形成されていてよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層とがこの順で積層された積層フィルムであってよい。
図2は、図1に示した二次電池1の電極群2の一実施形態を示す分解斜視図である。図2に示すように、電極群2Aは、正極6、電解質層7及び負極8をこの順に備える。正極6は、正極集電体9と、正極集電体9上に設けられた正極合剤層10とを備えている。正極6の正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体11と、負極集電体11上に設けられた負極合剤層12とを備えている。負極8の負極集電体11には、負極集電タブ5が設けられている。
一実施形態において、電極群2Aには、正極集電体9と、正極合剤層10と、電解質層7とをこの順に備える第1の二次電池用電池部材(正極部材)が含まれていると見ることができる。同様に、電極群2Aには、負極集電体11と、負極合剤層12と、電解質層7とをこの順に備える第2の二次電池用電池部材(負極部材)が含まれていると見ることもできる。本発明の各実施形態に係る二次電池用電池部材(以下、単に「電池部材」ということもある。)の製造方法は、この正極部材又は負極部材の製造方法である。
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態に係る二次電池用電池部材の製造方法を示す模式断面図である。この製造方法では、まず、図3(a)に示すように、集電体13(正極集電体9又は負極集電体11)の一面(主面)13a上に、電極活物質を含有する電極合剤中間層14A(正極合剤中間層又は負極合剤中間層)を形成する(電極合剤中間層形成工程)。
電極合剤中間層形成工程において、集電体13の一面13a上に電極合剤中間層14Aを形成する方法は、一実施形態において、電極合剤スラリを集電体13の一面13a上に塗布する方法である。電極合剤スラリは、正極合剤層10又は負極合剤層12に含まれる材料を分散媒に分散させたスラリ(正極合剤スラリ又は負極合剤スラリ)である。本実施形態の電極合剤スラリは、少なくとも電極活物質(正極活物質又は負極活物質)及び分散媒を含有する。
電池部材が正極部材である場合、集電体13は正極集電体9である。正極集電体9は、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金であってよい。正極集電体9は、軽量で高い重量エネルギ密度を有するため、好ましくはアルミニウム又はその合金である。正極集電体9の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。
電池部材が負極部材である場合、集電体13は負極集電体11である。負極集電体11は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属、それらの合金などであってよい。負極集電体11は、軽量で高い重量エネルギ密度を有するため、好ましくはアルミニウム又はその合金である。負極集電体11は、薄膜への加工のしやすさ及びコストの観点から、好ましくは銅である。負極集電体11の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。
電池部材が正極部材である場合、電極活物質は正極活物質である。正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、例えば、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM又はLiM(Mは少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/2Mn3/2等であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギ密度を更に向上させる観点から、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
LiNiCo 2+e (2)
[式(2)中、Mは、Al、Mn、Mg及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、-0.2≦e≦0.2、且つb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO、LiMnPO、LiMn 1-xPO(0.3≦x≦1、MはFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってよい。
正極活物質は、造粒されていない一次粒子であってもよく、造粒された二次粒子であってもよい。
正極活物質の粒径は、正極合剤層10の厚さ以下になるように調整される。正極活物質中に正極合剤層10の厚さ以上の粒径を有する粗粒子がある場合、ふるい分級、風流分級等により粗粒子を予め除去し、正極合剤層10の厚さ以下の粒径を有する正極活物質を選別する。
正極活物質の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上である。正極活物質の平均粒径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。正極活物質の平均粒径は、正極活物質全体の体積に対する比率(体積分率)が50%のときの粒径(D50)である。正極活物質の平均粒径(D50)は、レーザー散乱型粒径測定装置(例えば、マイクロトラック)を用いて、レーザー散乱法により水中に正極活物質を懸濁させた懸濁液を測定することで得られる。
正極活物質の含有量は、正極合剤スラリ中の不揮発分(正極合剤スラリから分散媒を除いた成分)全量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよく、また、99質量%以下であってよい。これにより、得られる正極合剤層中の正極活物質の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
電池部材が負極部材である場合、電極活物質は負極活物質である。負極活物質は、エネルギデバイスの分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、具体的には、例えば、金属リチウム、チタン酸リチウム(LiTi12)、リチウム合金又はその他の金属化合物、炭素材料、金属錯体、及び有機高分子化合物が挙げられる。負極活物質は、これらの1種単独、又は2種以上の混合物であってよい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素、炭素繊維、及び、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。負極活物質は、より大きな理論容量(例えば500~1500Ah/kg)を得る観点から、シリコン、スズ又はこれらの元素を含む化合物(酸化物、窒化物、他の金属との合金)であってもよい。
負極活物質の平均粒径(D50)は、粒径減少に伴う不可逆容量の増加を抑制しつつ、且つ、電解質塩の保持能力を高めたバランスの良い負極を得る観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは30μm以下である。負極活物質の平均粒径(D50)は、上述した正極活物質の平均粒径(D50)と同様の方法により測定される。
負極活物質の含有量は、負極合剤スラリ中の不揮発分(負極合剤スラリから分散媒を除いた成分)全量を基準として、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上であってよく、また、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。これにより、得られる負極合剤層中の負極活物質の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
分散媒は、水又は有機溶剤であってよい。有機溶剤は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、トルエン、2-ブタノール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、2-プロパノール等であってよく、好ましくはNMPである。電極合剤スラリ中の分散媒の含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分(電極合剤スラリから分散媒を除いた成分)100質量部に対して、例えば、20質量部以上であってよく、1000質量部以下であってよい。
電極合剤スラリは、他の成分として、イオン液体、電解質塩、導電剤、結着剤等を更に含んでいてもよい。この場合、これらの材料を更に含有する電極合剤中間層14Aが形成される。
電極合剤スラリは、一実施形態において、イオン液体及び電解質塩を含有する。この場合、電極合剤スラリは、電解質塩がイオン液体に溶解された「イオン液体電解液」として、イオン液体及び電解質塩を含有してよい。電極合剤スラリは、イオン液体及び電解質塩を含有しなくてもよいが、その場合、後述するスラリ(電解質スラリ)がイオン液体及び電解質塩を含有する。すなわち、電極合剤スラリ及び電解質スラリの少なくとも一方は、イオン液体及び電解質塩を含有する。
電極合剤スラリは、後述するスラリ(電解質スラリ)が疎水性表面を有する酸化物粒子を含有する場合、好ましくは、イオン液体及び電解質塩を含まない。
イオン液体は、以下のアニオン成分及びカチオン成分を含有する。なお、本明細書におけるイオン液体は、-20℃以上で液状の物質である。
イオン液体のアニオン成分は、特に限定されないが、Cl、Br、I等のハロゲンのアニオン、BF 、N(SOF) 等の無機アニオン、B(C 、CHSO、CFSO、N(SO 、N(SOCF 、N(SO 等の有機アニオンなどであってよい。イオン液体のアニオン成分は、好ましくは、下記式(3)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有する。
N(SO2m+1)(SO2n+1 (3)
[式(3)中、m及びnは、それぞれ独立に0~5の整数を表す。m及びnは、互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。]
式(3)で表されるアニオン成分は、例えば、N(SO 、N(SOF) 、N(SOCF 及びN(SO である。イオン液体のアニオン成分は、比較的低粘度でイオン伝導度を更に向上させるとともに、充放電特性も更に向上させる観点から、より好ましくは、N(SO 、CFSO、N(SOF) 、N(SOCF 、及びN(SO からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、更に好ましくはN(SOF) を含有する。
イオン液体のカチオン成分は、好ましくは鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
鎖状四級オニウムカチオンは、例えば、下記式(4)で表される化合物である。
Figure 0007438605000002
[式(4)中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数が1~20の鎖状アルキル基、又はR-O-(CH-で表される鎖状アルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表し、Xは、窒素原子又はリン原子を表す。R~Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピペリジニウムカチオンは、例えば、下記式(5)で表される、窒素を含有する六員環環状化合物である。
Figure 0007438605000003
[式(5)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピロリジニウムカチオンは、例えば、下記式(6)で表される五員環環状化合物である。
Figure 0007438605000004
[式(6)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピリジニウムカチオンは、例えば、下記式(7)で示される化合物である。
Figure 0007438605000005
[式(7)中、R~R13は、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R~R13で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
イミダゾリウムカチオンは、例えば、下記式(8)で示される化合物である。
Figure 0007438605000006
[式(8)中、R14~R18は、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R14~R18で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
電解質塩のアニオン成分は、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、BF(CF、BF(C、PF 、ClO 、SbF 、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SO 、B(C 、B(O 、C(SOF) 、C(SOCF 、CFCOO、CFSO、CSO、B(O 等であってよい。電解質塩のアニオン成分は、好ましくは、N(SOF) 、N(SOCF 等の上述した式(3)で表されるアニオン成分、PF 、BF 、B(O 、又はClO である。
リチウム塩は、LiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
ナトリウム塩は、NaPF、NaBF、Na[FSI]、Na[TFSI]、Na[f3C]、Na[BOB]、NaClO、NaBF(CF)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaC(SOCF、NaCFSOO、NaCFCOO、及びNaRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
カルシウム塩は、Ca(PF、Ca(BF、Ca[FSI]、Ca[TFSI]、Ca[f3C]、Ca[BOB]、Ca(ClO、Ca[BF(CF)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[C(SOCF、Ca(CFSOO)、Ca(CFCOO)、及びCa(RCOO)(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
マグネシウム塩は、Mg(PF、Mg(BF、Mg[FSI]、Mg[TFSI]、Mg[f3C]、Mg[BOB]、Mg(ClO、Mg[BF(CF)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[C(SOCF、Mg(CFSO、Mg(CFCOO)、及びMg(RCOO)(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
これらのうち、解離性及び電気化学的安定性の観点から、電解質塩は、好ましくはLiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO4、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはLi[TFSI]、Li[FSI]、LiPF、LiBF、Li[BOB]、及びLiClO4からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはLi[TFSI]、及びLi[FSI]からなる群より選ばれる1種である。
電極合剤スラリが、イオン液体電解液としてイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体電解液において、イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上、0.5mol/L以上、又は1.0mol/L以上であってよく、3.0mol/L以下、2.7mol/L以下、又は2.5mol/L以下であってよい。
電極合剤スラリがイオン液体電解液を含有する場合、イオン液体電解液の含有量(イオン液体及び電解質塩の含有量の合計)は、電極合剤層のイオン伝導率を向上させる観点から、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、また、電極合剤層の強度を高める観点から、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
導電剤は、特に限定されないが、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素材料などであってよい。導電剤は、上述した炭素材料の2種以上の混合物であってもよい。導電剤の含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、1~70質量%であってよい。これにより、得られる電極合剤層中の導電剤の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
結着剤は、特に限定されないが、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴムなどであってよい。結着剤は、好ましくはヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとを構造単位として含有するコポリマである。結着剤の含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、1~70質量%であってよい。これにより、得られる電極合剤層中の結着剤の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
電極合剤中間層形成工程において、電極合剤スラリを塗布する方法としては、例えばアプリケータを用いて塗布する方法、スプレーにより塗布する方法等が挙げられる。これらの方法によって、集電体13の一面13a上に電極合剤スラリを塗布する。その結果、図3(a)に示すように、集電体13の一面13a上に電極合剤中間層14Aが形成される。
電極合剤中間層形成工程においては、電極合剤スラリを塗布した後、スラリ中の分散媒を揮発させてもよい。つまり、本明細書における「電極合剤中間層」には、電極合剤スラリで形成された層、及び、電極合剤スラリから一部又は全部の分散媒が揮発して形成された層が含まれる。分散媒を揮発させる方法は、例えば、加熱により乾燥させる方法、減圧する方法、減圧と加熱を組み合わせる方法等であってよい。減圧する方法においては、真空の状態まで減圧してもよい。乾燥させる際の温度は、50~150℃であってよく、加熱時間は、分散媒が十分に揮発する時間であれば温度によって変化させてよいが、例えば、1分間~48時間である。
電極合剤中間層形成工程に続いて、図3(b)に示すように、電極合剤中間層14Aの集電体13とは反対側の面14a上に、酸化物粒子16、ポリマ17及び分散媒を含有するスラリ15Aを塗布する。以下、このスラリを、「電解質スラリ」とも呼び、電解質スラリ15Aを塗布する工程を、「電解質スラリ塗布工程」とも呼ぶ。
酸化物粒子16は、例えば無機酸化物の粒子である。無機酸化物は、例えば、Li、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zr、La、Na、K、Ba、Sr、V、Nb、B、Ge等を構成元素として含む無機酸化物であってよい。酸化物粒子16は、好ましくは、SiO、Al、AlOOH、MgO、CaO、ZrO、TiO、LiLaZr12、及びBaTiOからなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子である。酸化物粒子16は極性を有するため、電解質層中の電解質の解離を促進し、電池特性を高めることができる。
酸化物粒子16は、希土類金属の酸化物であってもよい。酸化物粒子16は、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロビウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等であってよい。
酸化物粒子16は、疎水性表面を有していてもよい。酸化物粒子は、通常、その表面に水酸基を有し、親水性を示す傾向にある。疎水性表面を有する酸化物粒子は、疎水性表面を有しない酸化物粒子に比べて、表面の水酸基が減少している。そのため、疎水性表面を有する酸化物粒子を用いると、電解質スラリにイオン液体が含まれる場合(例えば、アニオン成分がN(SOF) 、N(SOCF 等を有するイオン液体)、イオン液体が疎水性であることから、酸化物粒子とイオン液体との親和性が向上することが予想される。そのため、電解質層7においてイオン液体の保液性がより一層向上し、その結果として、電解質層7のイオン伝導率が向上すると考えられる。また、疎水性表面を有する酸化物粒子が含まれる電解質層7を備える二次電池においては、特に放電特性を向上させることができる。
疎水性表面を有する酸化物粒子は、例えば、親水性を示す酸化物粒子を、疎水性表面を付与することが可能な表面処理剤で処理することによって得ることができる。すなわち、疎水性表面を有する酸化物粒子は、表面処理剤で表面処理された酸化物粒子を意味する。表面処理剤は、好ましくは、ケイ素含有化合物である。
酸化物粒子16は、ケイ素含有化合物で表面処理されていてもよい。すなわち、酸化物粒子16は、酸化物粒子の表面とケイ素含有化合物のケイ素原子とが酸素原子を介して結合していているものであってもよい。ケイ素含有化合物は、好ましくは、ハロゲン含有アルキルシラン、アルコキシシラン、エポキシ基含有シラン、アミノ基含有シラン、シラザン、及びシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ハロゲン含有アルキルシランにおけるハロゲン元素は、塩素、フッ素等であってよい。塩素を含有するハロゲン含有アルキルシラン(アルキルクロロシラン)は、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n-オクチルジメチルクロロシラン等であってもよい。フッ素を含有するハロゲン含有アルキルシラン(フルオロアルキルシラン)は、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等であってもよい。
アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン等であってもよい。
エポキシ基含有シランは、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等であってもよい。
アミノ基含有シランは、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等であってもよい。
シラザンは、ヘキサメチルジシラザン等であってもよい。シロキサンは、ジメチルシリコーンオイル等であってもよい。これらの片末端又は両末端に、反応性官能基(例えば、カルボキシル基等)を有するものであってもよい。
疎水性表面を有する酸化物粒子(表面処理された酸化物粒子)は、公知の方法によって製造したものを用いてもよく、市販品をそのまま用いてもよい。
酸化物粒子16は、一般に、見かけ上の幾何学的形態から判断して、一体的に単一の粒子を形成している一次粒子(二次粒子を構成していない粒子)と、複数の一次粒子が集合することで形成される二次粒子とを含んでいてもよい。
酸化物粒子16の比表面積は、2~500m/gであってよく、2~400m/g、5~100m/g、10~80m/g、又は15~60m/gであってもよい。比表面積が2~500m/gであると、このような酸化物粒子を含有する電解質層を備える二次電池は、放電特性に優れる傾向にある。同様の観点から、酸化物粒子16の比表面積は、2m/g以上、5m/g以上、10m/g以上、15m/g以上、又は50m/g以上であってもよく、500m/g以下、400m/g以下、350m/g以下、300m/g以下、200m/g以下、100m/g以下、90m/g以下、80m/g以下、又は60m/g以下であってもよい。酸化物粒子16の比表面積は、一次粒子及び二次粒子を含む酸化物粒子全体の比表面積を意味し、BET法によって測定される。
酸化物粒子16の平均一次粒径(一次粒子の平均粒径)は、二次電池1の導電率を向上させる観点から、好ましくは0.005μm(5nm)以上であり、より好ましくは0.01μm(10nm)以上であり、更に好ましくは0.015μm(15nm)以上である。酸化物粒子16の平均一次粒径は、電解質層7を薄くする観点から、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下であり、更に好ましくは0.05μm以下である。酸化物粒子16の平均一次粒径は、酸化物粒子16を透過型電子顕微鏡等によって観察することによって測定できる。
酸化物粒子16の平均粒径は、好ましくは0.005μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.03μm以上である。酸化物粒子16の平均粒径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。酸化物粒子16の平均粒径は、レーザー回折法により測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する。
酸化物粒子16の含有量は、電解質スラリ15A中の不揮発分(電解質スラリから分散媒を除いた成分)全量を基準として、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、更に好ましくは15質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。これにより、得られる電解質層中の酸化物粒子16の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
ポリマ17は、好ましくは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を有する。
ポリマ17は、好ましくは、1種又は2種以上のポリマであり、前記1種又は2種以上のポリマを構成する構造単位の中には、前記第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれていてもよい。すなわち、第1の構造単位及び第2の構造単位は、1種のポリマに含まれてコポリマを構成していてもよく、それぞれ別のポリマに含まれて、第1の構造単位を有する第1のポリマと、第2の構造単位を有する第2のポリマとの少なくとも2種のポリマを構成していてもよい。
ポリマ17は、より具体的には、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ等であってよい。ポリマ17は、電池特性を向上させる観点から、好ましくは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマである。
ポリマ17の含有量は、電解質スラリ15A中の不揮発分全量を基準として、好ましくは3質量%以上であってよく、また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。これにより、得られる電解質層中のポリマ17の含有量は、上述した含有量と同様の含有量となる。
電解質スラリ15A中の分散媒は、上述した電極合剤スラリに用いられる分散媒と同様のものであってよい。電解質スラリ15A中の分散媒の含有量は、電解質スラリ15A中の不揮発分100質量部に対して、例えば、5質量部以上であってよく、1000質量部以下であってよい。
電解質スラリ15Aは、酸化物粒子16、ポリマ17及び分散媒に加えて、イオン液体及び電解質塩を更に含有してもよい。この場合、電解質スラリ15Aは、イオン液体電解液として、イオン液体及び電解質塩を含有してよい。電解質スラリ15Aは、イオン液体及び電解質塩を含有しなくてもよいが、その場合、電極合剤スラリが、イオン液体及び電解質塩を含有する。
電解質スラリ15Aがイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体及び電解質塩は、上述した電極合剤スラリに含まれるイオン液体及び電解質塩と同様のものであってよい。電解質スラリに含まれ得るイオン液体及び電解質塩は、電極合剤スラリに含まれるイオン液体及び電解質塩とそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
電解質スラリ15Aがイオン液体電解液としてイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体電解液において、イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上、0.5mol/L以上、1.0mol/L以上、1.2mol/L以上、又は1.5mol/L以上であってよく、3.0mol/L以下、2.7mol/L以下、2.5mol/L以下、2.3mol/L以下、又は2.0mol/L以下であってよい。イオン液体電解液において、イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度は、0.3~3.0mol/L、0.3~2.7mol/L、0.3~2.5mol/L、0.3~2.3mol/L、0.3~2.0mol/L、0.5~3.0mol/L、0.5~2.7mol/L、0.5~2.5mol/L、0.5~2.3mol/L、0.5~2.0mol/L、1.0~3.0mol/L、1.0~2.7mol/L、1.0~2.5mol/L、1.0~2.3mol/L、1.0~2.0mol/L、1.2~3.0mol/L、1.2~2.7mol/L、1.2~2.5mol/L、1.2~2.3mol/L、1.2~2.0mol/L、1.5~3.0mol/L、1.5~2.7mol/L、1.5~2.5mol/L、1.5~2.3mol/L、又は1.5~2.0mol/Lであってもよい。
電解質スラリ15Aがイオン液体電解液を含有する場合、イオン液体電解液の含有量(イオン液体及び電解質塩の含有量の合計)は、電解質スラリにおいて均一な分散状態を得る観点、及び、電極合剤層(正極合剤層10又は負極合剤層12)と電解質層7の界面を良好に形成する観点から、電解質スラリ15A中の不揮発分全量を基準として、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上である。これにより、電解質層7のイオン伝導度を高め、二次電池の電池特性を更に向上させることができる。イオン液体電解液の含有量は、電解質スラリ15中の不揮発分全量を基準として、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってよい。
電解質スラリ15Aにおいて、酸化物粒子16及びポリマ17の含有量の比は、二次電池の負荷特性を向上させる観点から、質量比で、酸化物粒子:ポリマ=1:0.5~1:5であってよい。同様の観点から、酸化物粒子16及びイオン液体電解液の含有量の比は、体積比で、酸化物粒子:イオン液体電解液=1:0~1:15であってよい。
電解質スラリ15において、酸化物粒子16、ポリマ17及びイオン液体電解液の含有量の比は、質量比で、酸化物粒子:ポリマ:イオン液体電解液=6~67:5~83:0~86であってよい。酸化物粒子16、ポリマ17及びイオン液体電解液の含有量の比は、質量比で、酸化物粒子:ポリマ:イオン液体電解液=9~28:9~65:14~83であってもよい。
電解質スラリ塗布工程において、電解質スラリ15Aを電極合剤中間層14Aの一面14a上に塗布する方法は、上述した電極合剤スラリを集電体13の一面13a上に塗布する方法と同様であってよい。電解質スラリ15Aを塗布する方法は、電極合剤スラリを塗布する方法と同一でも異なっていてもよい。
電解質スラリ塗布工程の後、電極合剤中間層14A及び電解質スラリ15Aに含まれる分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、上述した電極合剤スラリ中の分散媒を揮発させる方法と同様であってよい。電極合剤中間層14A及び電解質スラリ15Aの分散媒を揮発させた結果、図3(c)に示すように、集電体13、電極合剤層18A(正極合剤層10又は負極合剤層12)及び電解質層7Aをこの順に備える二次電池用電池部材19A(正極部材又は負極部材)を得ることができる。
本実施形態の製造方法では、電極合剤中間層14A又は電解質スラリ15Aの少なくとも一方がイオン液体及び電解質塩(イオン液体電解液)を含有している。そして、電極合剤中間層14A上に電解質スラリ15Aを塗布したときに、図3(b)に矢印で示すように、イオン液体電解液が、分散媒と共に、電極合剤中間層14Aから電解質スラリ15Aへ移動するか、電解質スラリ15Aから電極合剤中間層14Aへ移動するか、又は、電極合剤中間層14Aと電解質スラリ15Aとの間を相互に移動する。この移動は、電極合剤中間層14Aと電解質スラリ15Aとの間のイオン液体電解液の濃度差を小さくしようとする作用、重力による作用、又は毛細管現象に基づくと推察される。
本実施形態の製造方法によれば、電極合剤中間層14A上に電解質スラリ15Aを塗布することによって電解質層7Aを形成するため、電極合剤中間層14Aの表面に微細な凹凸が存在しても、電解質スラリ15Aがその凹部を埋めて平坦化するように配置される。その結果、得られた電池部材19Aでは、電極合剤層18Aと電解質層7Aとが緻密に密着した良好な界面が形成されている。また、電池部材19Aでは、電解質スラリ塗布工程において、電解質スラリ15Aと電極合剤中間層14Aとの間でイオン液体電解液が相互に移動し得るため、電極合剤層18A中においては、イオン液体電解液が電極活物質の周りに存在しやすくなる。よって、電池部材19Aにおいては、電極活物質/電解質の界面が良好に形成されることになる。
このように、電池部材19Aでは、電極合剤層18A/電解質層7Aの界面が良好に形成されて密着性に優れると共に、電極活物質/電解質の界面も良好に形成される。したがって、この電池部材19Aを使用した二次電池は、放電特性等の電池特性が優れる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る二次電池用電池部材の製造方法を説明する。図4は、第2実施形態に係る二次電池用電池部材の製造方法を示す模式断面図である。この製造方法では、まず、図4(a)に示すように、集電体13(正極集電体9又は負極集電体11)の一面13a上に、電極活物質を含有する電極合剤中間層14Bを形成する(電極合剤中間層形成工程)。
電極合剤中間層形成工程は、上述した第1実施形態と同様に、電極合剤スラリを集電体13上に塗布する方法により実施される。電極合剤スラリは、少なくとも電極活物質及び分散媒を含有する。電極活物質及び分散媒の種類及び含有量は、上述した第1実施形態における電極活物質及び分散媒の種類及び含有量とそれぞれ同様であってよい。
電極合剤スラリは、他の成分として、イオン液体、電解質塩、導電剤、結着剤等を更に含んでいてもよい。この場合、これらの材料を更に含有する電極合剤中間層14Bが形成される。
電極合剤スラリは、一実施形態において、イオン液体及び電解質塩を含有する。この場合、電極合剤スラリは、イオン液体電解液として、イオン液体及び電解質塩を含有してよい。電極合剤スラリは、イオン液体及び電解質塩を含有しなくてもよいが、その場合、後述するスラリ(電解質スラリ)がイオン液体を含有する。すなわち、電極合剤スラリ及び電解質スラリの少なくとも一方は、イオン液体及び電解質塩を含有する。
電極合剤スラリがイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体及び電解質塩は、上述した第1実施形態において電極合剤スラリに含まれるイオン液体及び電解質塩と同様のものであってよい。
電極合剤スラリが、イオン液体電解液としてイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体電解液におけるイオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度、及び、イオン液体電解液の含有量は、上述した第1実施形態における範囲と同様であってよい。
導電剤及び結着剤の種類及び含有量は、上述した第1実施形態における導電剤及び結着剤の種類及び含有量とそれぞれ同様であってよい。
次に、図4(b)に示すように、電極合剤中間層14B中に、ポリマを含有する溶液(ポリマ溶液)20を浸透させる(ポリマ溶液浸透工程)。
ポリマ溶液20は、一実施形態において、下記式(1)で表される構造単位を有するポリマと、イオン液体と、電解質塩とを含有する。
Figure 0007438605000007
式(1)中、Xは対アニオンを示す。Xとしては、例えば、BF (テトラフルオロボラートアニオン)、PF (ヘキサフルオロホスファートアニオン)、[FSI]、[TFSI]、[f3C]、[BOB]、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、C(SOCF 、CFSO、CFCOO、RCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等が挙げられる。これらの中でも、Xは、好ましくはBF 、PF 、[FSI]、[TFSI]、及び[f3C]からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくは[TFSI]又は[FSI]である。
式(1)で表される構造単位を有するポリマの粘度平均分子量Mv(g・mol-1)は、特に制限されないが、好ましくは1.0×10以上であり、より好ましくは3.0×10以上である。また、ポリマの粘度平均分子量は、好ましくは5.0×10以下であり、より好ましくは1.0×10である。また、粘度平均分子量が5.0×10以下であると、ポリマ溶液20を浸透させる際のハンドリング性がより高まる傾向にある。
本明細書において、「粘度平均分子量」とは、一般的な測定方法である粘度法によって評価することができ、例えば、JIS K 7367-3:1999に基づいて測定した極限粘度数[η]から算出することができる。
式(1)で表される構造単位を有するポリマは、イオン伝導性の観点から、式(1)で表される構造単位のみからなるポリマ、すなわちホモポリマであることが好ましい。
式(1)で表される構造単位を有するポリマは、下記式(1A)で表されるポリマであってもよい。
Figure 0007438605000008
式(1A)中、nは300~4000であり、Yは対アニオンを示す。Yは、Xで例示したものと同様のものを用いることができる。
nは、300以上、好ましくは400以上であり、より好ましくは500以上であり、また、4000以下であってよく、好ましくは3500以下であり、より好ましくは3000以下である。nは、300~4000、好ましくは400~3500、より好ましくは500~3000である。
式(1)で表される構造単位を有するポリマの製造方法は、特に制限されないが、例えば、Journal of Power Sources 2009,188,558-563に記載の製造方法を用いることができる。
式(1)で表される構造単位を有するポリマ(X=[TFSI])は、例えば、以下の製造方法によって、得ることができる。
まず、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド([P(DADMA)][Cl])を脱イオン水に溶解し、撹拌して[P(DADMA)][Cl]水溶液を作製する。[P(DADMA)][Cl]は、例えば、市販品をそのまま用いることができる。次いで、別途、Li[TFSI]を脱イオン水に溶解し、Li[TFSI]を含む水溶液を作製する。
その後、[P(DADMA)][Cl]に対するLi[TFSI]のモル比(Li[TFSI]のモル量/[P(DADMA)][Cl]のモル量)が1.2~2.0になるように、2つの水溶液を混合して2~8時間撹拌し、固体を析出させ、得られた固体をろ過回収する。脱イオン水を用いて固体を洗浄し、12~48時間真空乾燥することによって、式(1)で表される構造単位を有するポリマ([P(DADMA)][TFSI])を得ることができる。
式(1)で表される構造単位を有するポリマは、ポリマ溶液全量を基準として、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは75質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
ポリマ溶液20に含まれるイオン液体及び電解質塩は、上述した第1実施形態において使用できるイオン液体及び電解質塩と同様のものであってよい。ポリマ溶液20に含まれるイオン液体及び電解質塩は、第2実施形態の電極合剤スラリに含まれるイオン液体及び電解質塩と互いに同一でも異なっていてもよい。
イオン液体及び電解質塩は、イオン液体電解液としてポリマ溶液20に添加されてもよい。この場合、イオン液体電解液において、イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上、0.5mol/L以上、又は1.0mol/L以上であってよく、3.0mol/L以下、2.7mol/L以下、又は2.5mol/L以下であってよい。
イオン液体電解液の含有量は、ポリマ溶液全量を基準として、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは75質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
ポリマ溶液20は、分散媒を更に含有してもよい。分散媒は有機溶剤であってよく、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、γ-ブチロラクトン等であってよい。
ポリマ溶液浸透工程において、ポリマ溶液20を電極合剤中間層14Bに浸透させる方法は、図4(b)に示すように、電極合剤中間層14Bの集電体13とは反対側の面14a上にポリマ溶液20を塗布する方法である。塗布は、アプリケータによる塗布、スプレーによる塗布等であってよい。電極合剤中間層14B上に塗布されたポリマ溶液20は、図4(b)に矢印で示すように、電極合剤中間層14B中に浸透し、式(1)で表される構造単位を有するポリマを含有する電極合剤中間層14Cが形成される(図4(c))。
ポリマ溶液20を電極合剤中間層14B中に浸透させる方法は、他の方法として、電極合剤中間層14Bが形成された集電体13を、ポリマ溶液20に浸漬させる方法等であってもよい。
その後、図4(d)に示すように、電極合剤中間層14C(ポリマ溶液が浸透した電極合剤中間層)の集電体13とは反対側の面14a上に、酸化物粒子16、ポリマ17及び分散媒を含有するスラリ15B(電解質スラリ15B)を塗布する。(電解質スラリ塗布工程)。
電解質スラリ15Bに含まれる酸化物粒子16、ポリマ17及び分散媒の種類及びその含有量は、上述した第1実施形態における酸化物粒子16、ポリマ17及び分散媒の種類及び含有量とそれぞれ同様であってよい。酸化物粒子16は、疎水性表面を有していてよく、上述した表面処理剤での表面処理がされていてもよい。
電解質スラリ15Bは、イオン液体及び電解質塩を更に含有してもよい。この場合、電解質スラリ15Aは、イオン液体電解液として、イオン液体及び電解質塩を含有してよい。イオン液体及び電解質塩は、上述した第1実施形態において電解質スラリに含まれるイオン液体及び電解質塩と同様のものであってよい。電解質スラリ15Bに含まれるイオン液体及び電解質塩は、第2実施形態の電極合剤スラリ及びポリマ溶液20に含まれるイオン液体及び電解質塩と互いに同一でも異なっていてもよい。電解質スラリ15Bは、イオン液体及び電解質塩を含有しなくてもよい。
電解質スラリ15Bが、イオン液体電解液としてイオン液体及び電解質塩を含有する場合、イオン液体電解液におけるイオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度、及び、イオン液体電解液の含有量は、上述した第1実施形態における範囲と同様であってよい。
電解質スラリ15Bにおいて、酸化物粒子16及びポリマ17の含有量の比、酸化物粒子16及びイオン液体電解液の含有量の比、並びに、酸化物粒子16、ポリマ17及びイオン液体電解液の含有量の比は、上述した第1実施形態における組成比の範囲と同様であってよい。
電解質スラリ15Bを塗布する方法は、上述した第1実施形態における電解質スラリ塗布工程と同様の方法によって実施されてよい。電解質スラリ15Bを塗布する方法は、第2実施形態における電極合剤スラリを塗布する方法と同一でも異なっていてもよい。
電解質スラリ塗布工程の後、電極合剤中間層14C及び電解質スラリ15Bの分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、上述した第1実施形態における方法と同様の方法であってよい。分散媒を揮発させた結果、図4(e)に示すように、集電体13、電極合剤層18B(正極合剤層10又は負極合剤層12)及び電解質層7Bをこの順に備える二次電池用電池部材19B(正極部材又は負極部材)を得ることができる。
本実施形態の製造方法でも、電極合剤中間層14C又は電解質スラリ15Bの少なくとも一方がイオン液体及び電解質塩(イオン液体電解液)を含有している。そして、電極合剤中間層14C上に電解質スラリ15Bを塗布したときに、イオン液体電解液が、分散媒と共に、電極合剤中間層14Cから電解質スラリ15Bへ移動するか、電解質スラリ15Bから電極合剤中間層14Cへ移動するか、又は、電極合剤中間層14Cと電解質スラリ15Bとの間を相互に移動する。この移動は、電極合剤中間層14Cと電解質スラリ15Bとの間のイオン液体電解液の濃度差を小さくしようとする作用、重力による作用、又は毛細管現象に基づくと推察される。
本実施形態の製造方法によっても、電極合剤中間層14C上に電解質スラリ15Bを塗布することによって電解質層7Bを形成するため、電極合剤中間層14Cの表面に微細な凹凸が存在しても、電解質スラリ15Bがその凹部を埋めて平坦化するように配置される。その結果、得られた電池部材19Bでは、電極合剤層18Bと電解質層7Bとが緻密に密着した良好な界面が形成されている。また、電池部材19Bでは、電解質スラリ塗布工程において、電解質スラリ15Bと電極合剤中間層14Cとの間でイオン液体電解液が相互に移動し得るため、電極合剤層18B中においては、イオン液体電解液が電極活物質の周りに存在しやすくなる。よって、電池部材19Bにおいても、電極活物質/電解質の界面が良好に形成されることになる。
このように、電池部材19Bでは、電極合剤層18B/電解質層7Bの界面が良好に形成されて密着性に優れると共に、電極活物質/電解質の界面も良好に形成される。したがって、この電池部材19Bを使用した二次電池では、放電特性等の電池特性が優れる。
さらに、この電池部材19Bでは上述した式(1)で表されるポリマが電極合剤層18Bに含まれる。これにより、電極合剤層18Bのイオン伝導度を高めることができ、この電池部材19Bを用いた二次電池の電池特性を更に高めることができる。
上述した各実施形態によって製造された電池部材を備える二次電池は、種々の変形例を取りうる。
第1の変形例として、上述した各実施形態に係る電池部材の製造方法は、いわゆるバイポーラ型二次電池に用いられる電池部材の製造方法として用いることもできる。図5は、変形例に係る二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。本変形例における二次電池が上述した実施形態における二次電池と異なる点は、電極群2Bが、バイポーラ電極21を備えている点である。すなわち、電極群2Bは、図5に示すように、正極6と、第1の電解質層7と、バイポーラ電極21と、第2の電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。バイポーラ電極21は、バイポーラ集電体22と、バイポーラ集電体22の負極8側の面(正極面)に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ集電体22の正極6側の面(負極面)に設けられた負極合剤層12とを備えている。
このバイポーラ型二次電池は、第1の電解質層7と、正極合剤層10と、バイポーラ集電体22と、負極合剤層12と、第2の電解質層7とをこの順に備える二次電池用電池部材(バイポーラ電極部材)が含まれていると見ることができる。本発明の一実施形態に係る電池部材の製造方法は、このバイポーラ電極部材の製造方法である。
一実施形態に係るバイポーラ電極部材の製造方法は、バイポーラ集電体22の一方の面上に正極合剤中間層を形成する工程(正極合剤中間層形成工程)と、正極合剤中間層のバイポーラ集電体22とは反対側の面上に第1の電解質スラリを塗布する工程(第1の電解質スラリ塗布工程)と、バイポーラ集電体22の他の面上に負極合剤中間層を形成する工程(負極合剤中間層形成工程)と、負極合剤中間層のバイポーラ集電体22とは反対側の面上に第2の電解質スラリを塗布する工程(第2の電解質スラリ塗布工程)と、を備える。それぞれの工程は、上述した各実施形態における各工程(電極合剤中間層形成工程、電解質スラリ塗布工程)と同様の材料及び方法によって実施されてよい。なお、第1の電解質スラリと第2の電解質スラリの組成は、互いに同一の組成であってよく、異なる組成であってもよいが、好ましくは同一の組成である。
本実施形態においても、電解質スラリ塗布工程の前に、正極合剤中間層又は負極合剤中間層中に、上記の式(1)で表される構造単位を有するポリマを含有する溶液を浸透させる工程(ポリマ溶液浸透工程)を更に備えてもよい。ポリマ溶液浸透工程は、上述した実施形態におけるポリマ溶液浸透工程と同様の材料及び方法によって実施されてよい。
電解質スラリ塗布工程の後、正極合剤中間層及び第1の電解質スラリの分散媒を揮発させる。同様に、負極合剤中間層及び第2の電解質スラリの分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、上述した実施形態における方法と同様の方法であってよい。分散媒を揮発させた結果、第1の電解質層7、正極合剤層10、バイポーラ集電体22、負極合剤層12、及び第2の電解質層7をこの順に備える二次電池用電池部材(バイポーラ電極部材)を得ることができる。
このようにして得られたバイポーラ電極部材でも、正極合剤層/第1の電解質層の界面、及び、負極合剤層/第2の電解質層の界面が良好に形成されて密着性に優れると共に、電極活物質/電解質の界面も良好に形成される。したがって、この電池部材を使用した二次電池(バイポーラ型二次電池)では、放電特性等の電池特性が優れる。
第2の変形例として、上述した各実施形態に係る電池部材の製造方法は、電解質層7A,7Bを形成した後に、当該電解質層(第1の電解質層)7A,7B上に、別の電解質層(第2の電解質層)を積層する工程を更に備えていてもよい。この場合、第1の電解質層が、電極合剤層と第2の電解質層との界面を良好に形成する役割を果たすため、第1の電解質層を界面形成層と呼ぶこともできる。この製造方法により得られる電池部材を用いた二次電池は、電極群として、正極集電体、正極合剤層、第1の界面形成層、電解質層(第2の電解質層)、第2の界面形成層、負極合剤層及び負極集電体をこの順に備える。
この電極群には、一実施形態において、正極集電体と、正極合剤層と、第1の界面形成層と、電解質層とをこの順に備える第1の電池部材(正極部材)が含まれていると見ることができる。同様に、この電極群には、負極集電体と、負極合剤層と、第2の界面形成層と、電解質層とをこの順に備える第2の電池部材(負極部材)が含まれていると見ることもできる。第2の変形例に係る製造方法は、この正極部材及び負極部材の製造方法である。
界面形成層は、上述した各実施形態の電池部材における電解質層と同様の組成であってよい。すなわち、本変形例に係る製造方法は、上述した各実施形態において、電解質層を界面形成層と読み替えた方法である。
この製造方法では、正極部材における第1の界面形成層側の面上、又は負極部材における第2の界面形成層側の面上に、電解質層を配置することによって電池部材を製造することができる。このときの電解質層は、一実施形態において、上述した電解質スラリ15A,15Bがシート状に形成されたものであってよい。すなわち、樹脂からなるフィルム等の基材を用意し、この基材上に電解質スラリ15A,15Bを塗布してから分散媒を揮発させることによって電解質シートを作製する。そして、この電解質シートから基材を剥離することにより、電解質層を得ることができる。
第2の変形例における電解質層は、他の実施形態において、電解質スラリ15A,15Bから作製される電解質層とは異なる組成を有するものであってもよく、例えば、有機高分子固体電解質、無機固体電解質等の公知の電解質組成物が予めシート状に成形されたものであってもよい。この場合、有機高分子固体電解質はポリエチレンオキシド等であってよく、無機固体電解質は、LiLaZr12、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512(LLZ-Nb)、Li6.75LaZr1.75Ta0.2512、Li1+c+dAl(Ti,Ge)2-cSi3-d12(式中、0≦c<2であり、0≦d<3である。なお、(Ti,Ge)は、Ti若しくはGeのいずれか一方、又はTi及びGeの両方であることを意味する。)、Li10GeP12、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3等であってよい。
このようにして得られた電池部材でも、正極合剤層/第1の界面形成層の界面、及び、負極合剤層/第2の界面形成層の界面が良好に形成されて密着性に優れると共に、電極活物質/電解質の界面も良好に形成される。さらに、界面形成層にイオン液体電解液が含まれることにより、界面形成層と電解質層との間のイオン伝導がより容易になる。結果として、本変形例に係る電池部材を用いた二次電池は、各層間の界面が良好に形成されているといえるため、この二次電池では、電池特性が優れる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、電解質塩を溶解させたイオン液体(イオン液体電解液)の組成を表す際に、「電解質塩の濃度(M=mol/L)/電解質塩の種類/イオン液体の種類」のように表記することがある。
<試験1>
<実施例1-1>
[正極部材の作製]
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(正極活物質)70質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)7質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ溶液(固形分12質量%)9質量部と、イオン液体であるN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)に電解質塩としてのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Li[FSI])を溶解させたイオン液体電解液(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)を14質量部と、を分散媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)250質量部に分散させて正極合剤スラリを調製した。この正極合剤スラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上に塗工量125g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度2.7g/cmの正極合剤中間層を形成させた。これを幅30mm、長さ45mmに切断してから、正極集電タブを取り付けた。
第1の構造単位であるフッ化ビニリデンと、第2の構造単位であるヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ(第2の構造単位の含有量に対する第1の構造単位の含有量の質量比=95/5。以下、PVDF-HFPとも称する。)を40質量部と、表面処理がされていない酸化物粒子であるSiO粒子(平均粒径0.1μm)を60質量部とを、分散媒であるNMP300質量部に分散させて電解質スラリを調製した。得られた電解質スラリを、正極合剤中間層の正極集電体とは反対側の面上に塗布し、80℃で12時間加熱して分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、正極集電体、正極合剤層及び電解質層をこの順に備える正極部材を得た。得られた正極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[負極部材の作製]
黒鉛(負極活物質、日立化成株式会社製)57.4質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)1.6質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマ溶液(固形分12質量%)7.8質量部と、電解質塩を溶解させたイオン液体電解液(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)33.2質量部とを、分散媒であるNMP250質量部に分散させて負極合剤スラリを調製した。この負極合剤スラリを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に塗工量60g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させることにより、合剤密度1.8g/cmの負極合剤中間層を形成させた。これを幅31mm、長さ46mmに切断してから、負極集電タブを取り付けた。
正極部材の製造方法と同様の方法により、負極合剤中間層の負極集電体とは反対側の面上に電解質スラリを塗布してから分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、負極集電体、負極合剤層及び電解質層をこの順に備える負極部材を得た。得られた負極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[リチウムイオン二次電池の作製]
作製した正極部材と負極部材とを、それぞれの電解質層同士が接するように積層させることにより、電極群を作製した。この電極群を、図1に示すように、アルミニウム製のラミネートフィルムで構成された電池外装体内に収容した。この電池外装体内に、上記の正極集電タブと負極集電タブとを外部に取り出すようにして電池容器の開口部を封口し、リチウムイオン二次電池を作製した。なお、アルミニウム製のラミネートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン等)の積層体である。作製したリチウムイオン二次電池の設計容量は20mAhであった。
<実施例1-2>
実施例1-1において、電解質スラリにおけるポリマの含有量を50質量部、酸化物粒子の含有量を50質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-3>
実施例1-1における電解質スラリに、イオン液体であるPy13-FSIに電解質塩としてのLi[FSI]を溶解させたイオン液体電解液(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)14質量部を更に添加した以外は、実施例1-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-4>
実施例1-3において、電解質スラリ中のイオン液体電解液(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)の含有量を9質量部に変更した以外は、実施例1-3と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-5>
実施例1-3において、電解質スラリ中のポリマの含有量を30質量部に、酸化物粒子の含有量を20質量部に、イオン液体(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)の含有量を50質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1-3と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-6>
[正極部材の作製]
(正極合剤中間層の形成)
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(正極活物質)92.5質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)2.5質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部と、を分散媒であるNMP250質量部に分散させて正極合剤スラリを調製した。この正極合剤スラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上に塗工量125g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度2.7g/cmの正極合剤中間層を形成させた。これを幅30mm、長さ45mmに切断してから、正極集電タブを取り付けた。
(ポリマ溶液に用いるポリマの合成)
式(1)で表される構造単位を有するポリマを、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライドの対アニオン[Cl]を[TFSI]に変換することによって合成した。まず、[P(DADMA)][Cl]水溶液(20質量%水溶液、Aldrich社製)100質量部を、蒸留水500質量部で希釈して、ポリマの希釈溶液を得た。次に、Li[TFSI](キシダ化学株式会社製)43質量部を水100質量部に溶解し、Li[TFSI]水溶液を作製した。このLi[TFSI]水溶液を希釈溶液に滴下してから、この混合物を2時間撹拌することによって白色析出物を得た。析出物をろ過によって分離し、400質量部の蒸留水で析出物を洗浄後、再度ろ過を行った。洗浄及びろ過は5回繰り返した。その後、105℃の真空乾燥によって析出物の水分を蒸発させ、式(1)で表される構造単位を有するポリマである[P(DADMA)][TFSI]を得た。[P(DADMA)][TFSI]の粘度平均分子量は、2.11×10g・mol-1であった。
粘度平均分子量Mvは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を標準物質として用いて、ウベローデ粘度計を使用して25℃におけるポリマの粘度[η]を測定した後、[η]=KMv(ここで、Kは拡張因子を示し、その値は、温度、ポリマ、及び溶媒性質に依存する。)の式に基づき、算出した。
(ポリマ溶液の調製及び塗布)
得られたポリマ([P(DADMA)][TFSI])24質量部に対して、電解質塩としてのLi[FSI]を18質量部、イオン液体としてのPy13-FSI(関東化学株式会社製)を58質量部、及び分散媒としてのアセトンを72質量部加えて撹拌し、ポリマ溶液を得た。
調製したポリマ溶液を、ドクターブレード法にて、ギャップ150μmで正極合剤中間層上に塗布した。その後、ポリマ溶液を60℃で12時間真空乾燥させた。これにより、式(1)で表されるポリマを正極合剤中間層に含有させた。
次に、実施例1-1と同様の組成である電解質スラリを調製し、実施例1-1と同様の方法により、正極集電体、正極合剤層及び電解質層をこの順に備える正極部材を得た。
[負極部材の作製]
黒鉛(負極活物質、日立化成株式会社製)92質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)3質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部とを、分散媒であるNMP250質量部に分散させて負極合剤スラリを調製した。この負極合剤スラリを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に塗工量60g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度1.8g/cmの負極合剤中間層を形成させた。これを幅31mm、長さ46mmに切断してから、負極集電タブを取り付けた。
上述した正極部材と同様に、式(1)で表される構造単位を有するポリマである[P(DADMA)][TFSI]を含むポリマを負極合剤中間層に含有させた。さらに、実施例1-1と同様の方法により、負極集電体、正極合剤層及び電解質層をこの順に備える負極部材を得た。
[リチウムイオン二次電池の作製]
得られた正極部材及び負極部材を用いて、実施例1-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-7>
実施例1-6において、ポリマ溶液に含まれるイオン液体をEMI-FSIに変更した以外は、実施例1-6と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-8>
[正極部材の作製]
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(正極活物質)92.5質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)2.5質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部と、を分散媒であるNMP250質量部に分散させて正極合剤スラリを調製した。この正極合剤スラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上に塗工量125g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度2.7g/cmの正極合剤中間層を形成させた。これを幅30mm、長さ45mmに切断してから、正極集電タブを取り付けた。
PVDF-HFPを30質量部と、表面処理がされていないSiO粒子(平均粒径0.1μm)を20質量部と、イオン液体電解液(1.5M/Li[FSI]/Py13-FSI)50質量部とを、分散媒であるNMP300質量部に分散させて電解質スラリを調製した。得られた電解質スラリを、正極合剤中間層の正極集電体とは反対側の面上に塗布し、80℃で12時間加熱して分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、正極集電体、正極合剤層及び電解質層をこの順に備える正極部材を得た。得られた正極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[負極部材の作製]
黒鉛(負極活物質、日立化成株式会社製)92質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)3質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部とを、分散媒であるNMP250質量部に分散させて負極合剤スラリを調製した。この負極合剤スラリを負極集電体(厚さ10μmの銅箔)上に塗工量60g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度1.8g/cmの負極合剤中間層を形成させた。これを幅31mm、長さ46mmに切断してから、負極集電タブを取り付けた。
正極部材の製造方法と同様の方法により、負極合剤中間層の負極集電体とは反対側の面上に電解質スラリを塗布してから分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、負極集電体、負極合剤層及び電解質層をこの順に備える負極部材を得た。得られた負極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[リチウムイオン二次電池の作製]
得られた正極部材及び負極部材を用いて、実施例1-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例1-9>
実施例1-8において、電解質スラリのイオン液体電解液を1.5M/Li[FSI]/EMI-FSIに変更した以外は、実施例1-8と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<電極合剤層と電解質層の密着性の確認>
実施例1-8に係る正極部材及び負極部材(電池部材)を、それぞれイオンミリング(E-3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で切削し、電池部材の断面を露出させた。走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-6010LA、日本電子株式会社製)で断面を観察し、目視によって電極合剤層と電解質層との間に剥離している箇所がないかを確認した。また、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の周囲に空隙がないかも確認した。実施例1-8に係る電池部材の断面を観察したSEM画像を、図6に示す。なお、図6(a)は正極部材の断面、図6(b)は負極部材の断面を示している。
その結果、図6に示すように、実施例1-8のリチウムイオン二次電池において、電極合剤層と電解質層との間に剥離している箇所がなく、電極合剤層と電解質層との間の密着性が良好であると判断した。また、電極活物質の周囲に空隙も見られなかったため、電極活物質と電解質との界面が良好に形成されていると判断した。実施例1-1~実施例1-7及び実施例1-9についても、同様に断面を観察することにより、電極合剤層と電解質層との間の密着性が良好であること、及び電極活物質と電解質との界面が良好に形成されていることを確認した。
<試験2(参考)>
<実施例2-1>
[正極部材の作製]
層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(正極活物質)92.5質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)2.5質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部とを、分散媒であるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)適量に分散させて正極合剤スラリを調製した。この正極合剤スラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上に塗工量125g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度2.7g/cmの正極合剤中間層を形成させた。これを幅30mm、長さ45mmに切断してから、正極集電タブを取り付けた。
PVDF-HFPを25質量部と、表面処理がされたSiO粒子(比表面積:50m/g、表面処理:ヘキサメチルジシラザン、平均一次粒径:40nm、製品名:AEROSIL RX50、日本アエロジル株式会社製)を12質量部と、イオン液体電解液(1.0M/Li[FSI]/EMI-FSI)63質量部とを、分散媒であるNMP適量に分散させて電解質スラリを調製した。得られた電解質スラリを、正極合剤中間層の正極集電体とは反対側の面上に塗布し、80℃で12時間加熱して分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、正極集電体、正極合剤層及び電解質層をこの順に備える正極部材を得た。得られた正極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[負極部材の作製]
黒鉛(負極活物質、日立化成株式会社製)92質量部と、アセチレンブラック(導電剤、製品名:HS-100、平均粒径48nm、デンカ株式会社製)3質量部と、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマ溶液(固形分12質量%)5質量部とを、分散媒であるNMP適量に分散させて負極合剤スラリを調製した。この負極合剤スラリを集電体(厚さ10μmの銅箔)上に塗工量60g/mで塗工し、80℃で12時間加熱して乾燥させ、プレスすることにより、合剤密度1.8g/cmの負極合剤中間層を形成させた。これを幅31mm、長さ46mmに切断してから、負極集電タブを取り付けた。
正極部材の製造方法と同様の方法により、負極合剤中間層の負極集電体とは反対側の面上に上述した電解質スラリを塗布してから分散媒を揮発させて、電解質層を形成させた。これにより、負極集電体、負極合剤層及び電解質層をこの順に備える負極部材を得た。得られた負極部材における電解質層の厚さは、15±2μmであった。
[リチウムイオン二次電池の作製]
作製した正極部材と負極部材とを、それぞれの電解質層同士が接するように積層させることにより、電極群を作製した。この電極群を、図1に示すように、アルミニウム製のラミネートフィルムで構成された電池外装体内に収容した。この電池外装体内に、上記の正極集電タブと負極集電タブとを外部に取り出すようにして電池容器の開口部を封口し、リチウムイオン二次電池を作製した。なお、アルミニウム製のラミネートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン等)の積層体である。作製したリチウムイオン二次電池の設計容量は20mAhであった。
<実施例2-2~実施例2-3>
電解質スラリの調製において、電解質塩の濃度を表1に示したものに変更した以外は、実施例2-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<実施例2-4>
電解質スラリの調製において、PVDF-HFPを15質量部、SiO粒子を29質量部、イオン液体電解液を56質量部に変更した以外は、実施例2-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
<参考例2-1>
酸化物粒子を表面処理がされていないSiO粒子(比表面積:50m/g、平均一次粒径:40nm、製品名:AEROSIL OX50、日本アエロジル株式会社製)に変更した以外は、実施例2-1と同様の方法によりリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例2-1~実施例2-4、及び参考例2-1のリチウムイオン二次電池について、試験1と同様の方法により電極合剤層と電解質層の密着性を確認したところ、全てのリチウムイオン二次電池において、電極合剤層と電解質層との間の密着性が良好であること、及び電極活物質と電解質との界面が良好に形成されていることを確認した。
<放電特性の評価>
0.1Cの定電流充電を上限電圧4.2Vまで行った。その後、0.1Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値0.1Cにおける放電容量とした。次に、0.1Cの定電流充電を上限電圧4.2Vまで行った後、0.5Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値0.5Cにおける放電容量とした。以下の式により放電容量維持率(0.5C/0.1C)を算出した。結果を表1に示す。
放電容量維持率(%)=(電流値0.5Cにおける放電容量/電流値0.1Cにおける放電容量)×100
Figure 0007438605000009
1…二次電池、6…正極、7…電解質層、8…負極、9…正極集電体、10…正極合剤層、11…負極集電体、12…負極合剤層、13…集電体、14A,14B,14C…電極合剤中間層、15A,15B…スラリ(電解質スラリ)、16…酸化物粒子、17…ポリマ、18A,18B…電極合剤層、19A,19B…二次電池用電池部材、20…ポリマ溶液。

Claims (10)

  1. 集電体の一面上に電極合材スラリを塗布し、前記電極合材スラリ中の分散媒を少なくとも部分的に揮発させることによって、電極活物質を含有する電極合剤中間層を形成する工程と、
    前記電極合剤中間層の前記集電体とは反対側の面上に、酸化物粒子及びポリマを含有するスラリを塗布する工程と、を備え、
    前記ポリマは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を単量体ユニットとして有し、
    前記電極合剤中間層及び前記スラリの少なくとも一方は、イオン液体及び電解質塩を含有し、
    前記イオン液体は、アニオン成分及びカチオン成分を含有し、
    前記アニオン成分は、下記式(3)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有するものであり:
    N(SO 2m+1 )(SO 2n+1 (3)
    [式(3)中、m及びnは、それぞれ独立に0~5の整数を表す。m及びnは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
    前記カチオン成分は、鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、二次電池用電池部材の製造方法。
  2. 前記電極合剤中間層及び前記スラリの一方が、前記イオン液体及び前記電解質塩を含有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記スラリが、前記イオン液体及び前記電解質塩を含有する、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記電極合剤中間層及び前記スラリの両方が、前記イオン液体及び前記電解質塩を含有する、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記酸化物粒子は、ケイ素含有化合物で表面処理されている、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記ケイ素含有化合物は、ハロゲン含有アルキルシラン、アルコキシシラン、エポキシ基含有シラン、アミノ基含有シラン、シラザン、及びシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の製造方法。
  7. 前記ポリマを構成する構造単位の中に、前記第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれる、請求項に記載の製造方法。
  8. 前記ポリマは、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマである、請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記イオン液体の単位体積あたりの前記電解質塩の濃度は、0.3~3.0mol/Lである、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記スラリを塗布する工程の前に、前記電極合剤中間層中に、下記式(1)で表される構造単位を有するポリマを含有する溶液を浸透させる工程を更に備える、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
    [式(1)中、Xは対アニオンを示す。]
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