JP7438207B2 - 電池用スラリ組成物、並びに、電極、電解質シート、及び電池部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池用スラリ組成物、並びに、電極、電解質シート、及び電池部材の製造方法に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車等の普及により、高性能な二次電池が必要とされている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギ密度を有するため、電気自動車用電池、電力貯蔵用電池等の電源として注目されている。具体的には、電気自動車用電池としてのリチウム二次電池は、エンジンを搭載しないゼロエミッション電気自動車、エンジン及び二次電池の両方を搭載したハイブリッド電気自動車、電力系統から直接充電させるプラグイン・ハイブリッド電気自動車等の電気自動車に採用されている。また、電力貯蔵用電池としてのリチウム二次電池は、電力系統が遮断された非常時に、予め貯蔵しておいた電力を供給する定置式電力貯蔵システム等に用いられている。
このような広範な用途に使用するために、より高いエネルギ密度のリチウム二次電池が求められており、その開発がなされている。特に、電気自動車用のリチウム二次電池には、高い入出力特性及び高いエネルギ密度に加えて、高い安全性が要求されるため、安全性を確保するためのより高度な技術が求められる。
より安全性の高い電池としては、難燃性のイオン液体を使用することが検討されている。例えば、特許文献1には、有機電解液とイオン液体を混合した溶媒を電解液に用いることが記載されており、有機電解液とイオン液体を混合することで難燃性が確保されることが開示されている。
リチウム二次電池の安全性を向上させる方法として、電解液を固体電解質へ変更する方法も知られている。例えば、特許文献2には、電解質を非流動化させつつイオン伝導度に優れた電解質を提供するため、低分子脂質ペプチド型ゲル化剤、及びイオン液体等の溶媒を含むゲル電解質が開示されている。
特開2008-305574号公報 特開2012-186055号公報
しかしながら、本発明者らの検討によると、電極合剤層、又は固体状の電解質層にイオン液体を使用した場合に、イオン液体に難溶性の他の含有成分(例えば、ポリマ等)が再析出してしまう場合があることが判明した。含有成分の再析出が生じると、電極合剤層又は電解質層を均一な厚さで形成することが困難となり、電池特性にも悪影響を及ぼし得る。
本発明は、一側面において、塗布により電池用の部材を製造することが可能であり、かつ、含有成分の再析出が抑制された、電池用スラリ組成物を提供することを目的とする。
本発明は、第1の側面として、ポリマと、イオン液体と、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、分散媒と、を含有し、ポリマ、イオン液体、電解質塩、及び分散媒の含有量の合計に対する、ポリマ、イオン液体、及び電解質塩の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3である、電池用スラリ組成物を提供する。
電池用スラリ組成物は、電極活物質を更に含有してもよい。この場合、上記の質量比が、好ましくは0.2~0.3である。
電池用スラリ組成物は、酸化物粒子を更に含有してもよい。この場合、上記の質量比が、0.13~0.3であってよい。質量比が、0.1~0.25であってもよい。
本発明は、第2の側面として、集電体と、該集電体の一面上に形成された電極合剤層と、を備える電極の製造方法であって、製造方法は、上記の電池用スラリ組成物を、集電体の一面上に塗布して電極合剤層を形成する工程を備える、電極の製造方法を提供する。
本発明は、第3の側面として、基材と、該基材の一面上に形成された電解質層と、を備える電解質シートの製造方法であって、上記の電池用スラリ組成物を、基材の一面上に塗布して電解質層を形成する工程を備える、電解質シートの製造方法を提供する。
本発明は、第4の側面として、集電体、電極合剤層、電解質層をこの順に備える電池部材の製造方法であって、集電体の一面上に電極活物質を含有する電極合剤中間層を形成する工程と、電極合剤中間層の集電体とは反対側の面上に、上記の電池用スラリ組成物を塗布する工程と、分散媒を揮発させて、電極合剤層及び電解質層を形成する工程と、を備える、電池部材の製造方法を提供する。
本発明の一側面によれば、塗布により電池用の部材を製造することが可能であり、かつ、含有成分の再析出が抑制された、電池用スラリ組成物を提供できる。
一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。 図1に示した二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。 一実施形態に係る正極の製造方法を示す模式断面図である。 一実施形態に係る電解質シートの製造方法を示す模式断面図である。 一実施形態に係る正極部材の製造方法を示す模式断面図である。 バイポーラ型二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲は、本発明を制限するものではない。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載される数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書では、下記の略称を用いる場合がある。
[FSI]:N(SOF) 、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]:N(SOCF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[BOB]:B(O 、ビスオキサレートボラートアニオン
[f3C]:C(SOF) 、トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
本明細書において、「正極」及び「負極」をまとめて「電極」と呼ぶことがあり、「電極活物質」、「電極合剤層」等の類似表現においても同様である。
図1は、一実施形態に係る二次電池を示す斜視図である。図1に示すように、二次電池1は、正極、負極及び電解質層から構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3とを備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えばラミネートフィルムで形成されていてよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層とがこの順で積層された積層フィルムであってよい。
図2は、図1に示した二次電池1の電極群2の一実施形態を示す分解斜視図である。図2に示すように、電極群2Aは、正極6、電解質層7及び負極8をこの順に備える。正極6は、正極集電体9と、正極集電体9上に設けられた正極合剤層10とを備えている。正極6の正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体11と、負極集電体11上に設けられた負極合剤層12とを備えている。負極8の負極集電体11には、負極集電タブ5が設けられている。
一実施形態において、電極群2Aには、正極集電体9と、正極合剤層10と、電解質層7とをこの順に備える第1の電池部材(正極部材)が含まれていると見ることができる。同様に、電極群2Aには、負極集電体11と、負極合剤層12と、電解質層7とをこの順に備える第2の電池部材(負極部材)が含まれていると見ることもできる。
本発明における電池用スラリ組成物は、例えば、上記のような二次電池における、電極、電解質層、又は電池部材を製造するために用いられるスラリ組成物である。電池用スラリ組成物は、一実施形態において、電極(正極6又は負極8)が備える電極合剤層(正極合剤層10又は負極合剤層12)を形成するために用いられるスラリ組成物(以下、「電極合剤スラリ」ともいう。)である。電池用スラリ組成物は、他の一実施形態において、電解質層7を形成するために用いられるスラリ組成物(以下、「電解質スラリ」ともいう。)である。
一実施形態に係る電池用スラリ組成物は、ポリマと、イオン液体と、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、分散媒と、を含有する。
ポリマは、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴムなどであってよい。ポリマは、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマである。
電極合剤スラリにおいて、ポリマは、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、又は、ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとを構造単位として含有するコポリマである。電極合剤スラリにおけるポリマは、結着剤としての役割を有する。
電解質スラリにおいて、ポリマは、好ましくは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を有する。
電解質スラリにおけるポリマは、好ましくは、1種又は2種以上のポリマであり、1種又は2種以上のポリマを構成する構造単位の中には、上記の第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれていてもよい。すなわち、第1の構造単位及び第2の構造単位は、1種のポリマに含まれてコポリマを構成していてもよく、それぞれ別のポリマに含まれて、第1の構造単位を有する第1のポリマと、第2の構造単位を有する第2のポリマとの少なくとも2種のポリマを構成していてもよい。
電解質スラリに含まれるポリマは、より具体的には、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ等であってよい。
ポリマの含有量は、電池用スラリ組成物を塗布しやすくする観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上である。ポリマの含有量は、電池用スラリ組成物における再析出をより好適に抑制する観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、ポリマの含有量は、電極合剤スラリをより塗布しやすくする観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上である。ポリマの含有量は、電極合剤スラリからの再析出をより好適に抑制する観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
ポリマの含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分(電極合剤スラリから分散媒を除いた成分、以下同様)全量を基準として、0.3質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は1.5質量%以上であってよく、また、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、又は4質量%以下であってよい。これにより、得られる電極合剤層中のポリマの含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、ポリマの含有量は、電解質スラリをより均一に塗布できる観点から、電解質スラリ全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。ポリマの含有量は、電解質スラリにおける再析出をより好適に抑制する観点から、電解質スラリ全量基準で、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
ポリマの含有量は、電解質スラリ中の不揮発分(電解質スラリから分散媒を除いた成分、以下同様)全量を基準として、3質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、また、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。これにより、得られる電解質層中のポリマの含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
イオン液体は、以下のアニオン成分及びカチオン成分を含有する。なお、本明細書におけるイオン液体は、-20℃以上で液状の物質である。
イオン液体のアニオン成分は、特に限定されないが、Cl、Br、I等のハロゲンのアニオン、BF 、N(SOF) ([FSI])等の無機アニオン、B(C 、CHSO、CFSO、N(SO 、N(SOCF ([TFSI])、N(SO 等の有機アニオンなどであってよい。イオン液体のアニオン成分は、好ましくは、下記式(1)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含有する。
N(SO2m+1)(SO2n+1 (1)
[式中、m及びnは、それぞれ独立に0~5の整数を表す。m及びnは、互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。]
式(1)で表されるアニオン成分は、例えば、N(SO 、N(SOF) 、N(SOCF 及びN(SO である。イオン液体のアニオン成分は、二次電池1におけるイオン伝導率を向上させる観点から、より好ましくは、N(SO 、CFSO、N(SOF) 、N(SOCF 、及びN(SO からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有し、更に好ましくはN(SOF) を含有する。
イオン液体のカチオン成分は、好ましくは鎖状四級オニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
鎖状四級オニウムカチオンは、例えば、下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0007438207000001
[式中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数が1~20の鎖状アルキル基、又はR-O-(CH-で表される鎖状アルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表し、Xは、窒素原子又はリン原子を表す。R~Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピペリジニウムカチオンは、例えば、下記式(3)で表される、窒素を含有する六員環環状化合物である。
Figure 0007438207000002
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピロリジニウムカチオンは、例えば、下記式(4)で表される五員環環状化合物である。
Figure 0007438207000003
[式中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
ピリジニウムカチオンは、例えば、下記式(5)で示される化合物である。
Figure 0007438207000004
[式中、R~R13は、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R~R13で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
イミダゾリウムカチオンは、例えば、下記式(6)で示される化合物である。
Figure 0007438207000005
[式中、R14~R18は、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R14~R18で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。]
イオン液体は、より具体的には、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py13-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py12-TFSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py12-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMI-DCA)等であってよい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
電解質塩のアニオン成分は、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、BF(CF、BF(C、PF 、ClO 、SbF 、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SO 、B(C 、B(O 、C(SOF) 、C(SOCF 、CFCOO、CFSO、CSO、B(O 等であってよい。電解質塩のアニオン成分は、好ましくは、N(SOF) 、N(SOCF 等の上述した式(1)で表されるアニオン成分、PF 、BF 、B(O 、又はClO である。
リチウム塩は、LiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
ナトリウム塩は、NaPF、NaBF、Na[FSI]、Na[TFSI]、Na[f3C]、Na[BOB]、NaClO、NaBF(CF)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaC(SOCF、NaCFSOO、NaCFCOO、及びNaRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
カルシウム塩は、Ca(PF、Ca(BF、Ca[FSI]、Ca[TFSI]、Ca[f3C]、Ca[BOB]、Ca(ClO、Ca[BF(CF)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[C(SOCF、Ca(CFSOO)、Ca(CFCOO)、及びCa(RCOO)(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
マグネシウム塩は、Mg(PF、Mg(BF、Mg[FSI]、Mg[TFSI]、Mg[f3C]、Mg[BOB]、Mg(ClO、Mg[BF(CF)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[C(SOCF、Mg(CFSO、Mg(CFCOO)、及びMg(RCOO)(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。
これらのうち、解離性及び電気化学的安定性の観点から、電解質塩は、好ましくはLiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO4、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはLi[TFSI]、Li[FSI]、LiPF、LiBF、Li[BOB]、及びLiClO4からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはLi[TFSI]、及びLi[FSI]からなる群より選ばれる1種である。
イオン液体、及び電解質塩は、イオン液体電解液として電池用スラリ組成物に含有されてよい。イオン液体電解液は、イオン液体に電解質塩が溶解された液である。
イオン液体電解液において、イオン液体の単位体積あたりの電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上、0.5mol/L以上、又は1.0mol/L以上であってよく、3.0mol/L以下、2.7mol/L以下、又は2.5mol/L以下であってよい。
イオン液体電解液の含有量(イオン液体及び電解質塩の含有量の合計)は、二次電池1のイオン伝導率を向上させる観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。イオン液体電解液の含有量は、電池用スラリ組成物における再析出をより好適に抑制する観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、イオン液体電解液の含有量は、電極合剤層のイオン伝導率を向上させる観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。イオン液体電解液の含有量は、電極合剤スラリにおける再析出をより好適に抑制する観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
イオン液体電解液の含有量は、電極合剤層のイオン伝導率を向上させる観点から、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。イオン液体電解液の含有量は、電極合剤スラリにおける再析出をより好適に抑制する観点から、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。これにより、得られる電極合剤層中のイオン液体電解液の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、イオン液体電解液の含有量は、電解質層のイオン伝導率を向上させる観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上である。イオン液体電解液の含有量は、電解質スラリにおける再析出をより好適に抑制する観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
イオン液体電解液の含有量は、電解質スラリ中の不揮発分全量を基準として、3質量%以上、5質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上であってよく、また、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。これにより、得られる電解質層中のイオン液体電解液の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
分散媒は、水又は有機溶剤であってよい。有機溶剤は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、トルエン、2-ブタノール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、2-プロパノール等であってよく、好ましくはNMP、又はDMSOである。分散媒は、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
分散媒の含有量は、電池用スラリ組成物を塗布しやすくする観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上である。分散媒の含有量は、電池用スラリ組成物における再析出をより好適に抑制する観点から、電池用スラリ組成物全量基準で、好ましくは、90質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下である。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、分散媒の含有量は、電極合剤スラリをより塗布しやすくする観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。分散媒の含有量は、電極合剤スラリからの再析出をより好適に抑制する観点から、電極合剤スラリ全量基準で、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
分散媒の含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分100質量部に対して、3質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、又は20質量部以上であってよく、また、1000質量部以下、500質量部以下、300質量部以下、100質量部以下、又は50質量部以下であってよい。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、分散媒の含有量は、電解質スラリをより均一に塗布できる観点から、電解質スラリ全量基準で、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。分散媒の含有量は、電解質スラリにおける再析出をより好適に抑制する観点から、電解質スラリ全量基準で、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
分散媒の含有量は、電解質スラリ中の不揮発分100質量部に対して、10質量部以上、25質量部以上、又は50質量部以上であってよく、また、1000質量部以下、500質量部以下、又は300質量部以下であってよい。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、電極合剤スラリは、電極活物質を含有してよい。すなわち、電極合剤スラリは、ポリマと、イオン液体と、電解質塩と、分散媒と、電極活物質と、を含有してよい。
電極が正極である場合、電極合剤スラリ(正極合剤スラリ)は正極活物質を含有してよい。正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、例えば、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM又はLiM (Mは少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/2Mn3/2等であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギ密度を更に向上させる観点から、好ましくは下記式(A)で表される化合物である。
LiNiCo 2+e (A)
[式中、Mは、Al、Mn、Mg及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、-0.2≦e≦0.2、且つb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO、LiMnPO、LiMn 1-xPO(0.3≦x≦1、MはFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってよい。
正極活物質は、造粒されていない一次粒子であってもよく、造粒された二次粒子であってもよい。
正極活物質の粒径は、正極合剤層10の厚さ以下になるように調整される。正極活物質中に正極合剤層10の厚さ以上の粒径を有する粗粒子がある場合、ふるい分級、風流分級等により粗粒子を予め除去し、正極合剤層10の厚さ以下の粒径を有する正極活物質を選別する。
正極活物質の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは1μm以上である。正極活物質の平均粒径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。正極活物質の平均粒径は、正極活物質全体の体積に対する比率(体積分率)が50%のときの粒径(D50)である。正極活物質の平均粒径(D50)は、レーザー散乱型粒径測定装置(例えば、マイクロトラック)を用いて、レーザー散乱法により水中に正極活物質を懸濁させた懸濁液を測定することで得られる。
正極活物質の含有量は、正極合剤スラリ全量基準で、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上であってよく、また、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であってよい。
正極活物質の含有量は、正極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよく、また、99質量%以下であってよい。これにより、得られる正極合剤層中の正極活物質の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電極が負極である場合、電極合剤スラリ(負極合剤スラリ)は負極活物質を含有してよい。負極活物質は、エネルギデバイスの分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、具体的には、例えば、金属リチウム、チタン酸リチウム(LiTi12)、リチウム合金又はその他の金属化合物、炭素材料、金属錯体、及び有機高分子化合物が挙げられる。負極活物質は、これらの1種単独、又は2種以上の混合物であってよい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素、炭素繊維、及び、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。負極活物質は、より大きな理論容量(例えば500~1500Ah/kg)を得る観点から、シリコン、スズ又はこれらの元素を含む化合物(酸化物、窒化物、他の金属との合金)であってもよい。
負極活物質の平均粒径(D50)は、粒径減少に伴う不可逆容量の増加を抑制しつつ、且つ、電解質塩の保持能力を高めたバランスの良い負極を得る観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは30μm以下である。負極活物質の平均粒径(D50)は、上述した正極活物質の平均粒径(D50)と同様の方法により測定される。
負極活物質の含有量は、負極合剤スラリ全量基準で、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上であってよく、また、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であってよい。
負極活物質の含有量は、負極合剤スラリ中の不揮発分(負極合剤スラリから分散媒を除いた成分)全量を基準として、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上であってよく、また、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってよい。これにより、得られる負極合剤層中の負極活物質の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、電極合剤スラリは、導電材を含有してもよい。導電材は、特に限定されないが、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素材料などであってよい。導電材は、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
導電材の含有量は、電極合剤スラリ全量基準で、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよく、また、10質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下であってよい。
導電材の含有量は、電極合剤スラリ中の不揮発分全量を基準として、0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってよく、また、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下であってよい。これにより、得られる電極合剤層中の導電材の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、電解質スラリは、酸化物粒子を含有してよい。すなわち、電解質スラリは、ポリマと、イオン液体と、電解質塩と、分散媒と、酸化物粒子と、を含有してよい。
酸化物粒子は、例えば無機酸化物の粒子である。無機酸化物は、例えば、Li、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zr、La、Na、K、Ba、Sr、V、Nb、B、Ge等を構成元素として含む無機酸化物であってよい。酸化物粒子は、好ましくは、SiO、Al、AlOOH、MgO、CaO、ZrO、TiO、LiLaZr12、及びBaTiOからなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子である。酸化物粒子は極性を有するため、電解質層中の電解質の解離を促進し、電池特性を高めることができる。
酸化物粒子は、希土類金属の酸化物であってもよい。酸化物粒子は、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロビウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等であってよい。
酸化物粒子は、疎水性表面を有していてもよい。酸化物粒子は、通常、その表面に水酸基を有し、親水性を示す傾向にある。疎水性表面を有する酸化物粒子は、疎水性表面を有しない酸化物粒子に比べて、表面の水酸基が減少している。そのため、疎水性表面を有する酸化物粒子を用いると、電解質スラリにイオン液体が含まれる場合(例えば、アニオン成分がN(SOF) 、N(SOCF 等を有するイオン液体)、イオン液体が疎水性であることから、酸化物粒子とイオン液体との親和性が向上することが予想される。そのため、電解質層7においてイオン液体の保液性がより一層向上し、その結果として、電解質層7のイオン伝導率が向上すると考えられる。また、疎水性表面を有する酸化物粒子が含まれる電解質層7を備える二次電池においては、特に放電特性を向上させることができる。
疎水性表面を有する酸化物粒子は、例えば、親水性を示す酸化物粒子を、疎水性表面を付与することが可能な表面処理剤で処理することによって得ることができる。すなわち、疎水性表面を有する酸化物粒子は、表面処理剤で表面処理された酸化物粒子を意味する。表面処理剤は、好ましくは、ケイ素含有化合物である。
酸化物粒子は、ケイ素含有化合物で表面処理されていてもよい。すなわち、酸化物粒子は、酸化物粒子の表面とケイ素含有化合物のケイ素原子とが酸素原子を介して結合していているものであってもよい。ケイ素含有化合物は、好ましくは、ハロゲン含有アルキルシラン、アルコキシシラン、エポキシ基含有シラン、アミノ基含有シラン、シラザン、及びシロキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
ハロゲン含有アルキルシランにおけるハロゲン元素は、塩素、フッ素等であってよい。塩素を含有するハロゲン含有アルキルシラン(アルキルクロロシラン)は、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、n-オクチルジメチルクロロシラン等であってもよい。フッ素を含有するハロゲン含有アルキルシラン(フルオロアルキルシラン)は、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等であってもよい。
アルコキシシランは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン等であってもよい。
エポキシ基含有シランは、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等であってもよい。
アミノ基含有シランは、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等であってもよい。
シラザンは、ヘキサメチルジシラザン等であってもよい。シロキサンは、ジメチルシリコーンオイル等であってもよい。これらの片末端又は両末端に、反応性官能基(例えば、カルボキシル基等)を有するものであってもよい。
疎水性表面を有する酸化物粒子(表面処理された酸化物粒子)は、公知の方法によって製造したものを用いてもよく、市販品をそのまま用いてもよい。
酸化物粒子は、一般に、見かけ上の幾何学的形態から判断して、一体的に単一の粒子を形成している一次粒子(二次粒子を構成していない粒子)と、複数の一次粒子が集合することで形成される二次粒子とを含んでいてもよい。
酸化物粒子の比表面積は、2~500m/gであってよく、2~400m/g、5~100m/g、10~80m/g、又は15~60m/gであってもよい。比表面積が2~500m/gであると、このような酸化物粒子を含有する電解質層を備える二次電池は、放電特性に優れる傾向にある。同様の観点から、酸化物粒子の比表面積は、2m/g以上、5m/g以上、10m/g以上、15m/g以上、又は50m/g以上であってもよく、500m/g以下、400m/g以下、350m/g以下、300m/g以下、200m/g以下、100m/g以下、90m/g以下、80m/g以下、又は60m/g以下であってもよい。酸化物粒子の比表面積は、一次粒子及び二次粒子を含む酸化物粒子全体の比表面積を意味し、BET法によって測定される。
酸化物粒子の平均一次粒径(一次粒子の平均粒径)は、二次電池1の導電率を向上させる観点から、好ましくは0.005μm(5nm)以上であり、より好ましくは0.01μm(10nm)以上であり、更に好ましくは0.015μm(15nm)以上である。酸化物粒子の平均一次粒径は、電解質層7を薄くする観点から、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.1μm以下であり、更に好ましくは0.05μm以下である。酸化物粒子の平均一次粒径は、酸化物粒子を透過型電子顕微鏡等によって観察することによって測定できる。
酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは0.005μm以上であり、より好ましくは0.01μm以上であり、更に好ましくは0.03μm以上である。酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは3μm以下であり、更に好ましくは1μm以下である。酸化物粒子の平均粒径は、レーザー回折法により測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する。
酸化物粒子の含有量は、電解質スラリ全量基準で、0.5質量%以上、1質量%以上、又は3質量%以上であってよく、また、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
酸化物粒子の含有量は、電解質スラリ中の不揮発分全量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、また、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であってよい。これにより、得られる電解質層中の酸化物粒子の含有量は、当該含有量と同様の含有量となる。
電池用スラリ組成物は、他の成分として、セルロース繊維等の繊維などを含有してもよい。
電池用スラリ組成物において、塗布により電池用の部材を製造することが可能であり、かつ、含有成分の再析出を抑制する観点から、ポリマ、イオン液体、電解質塩、及び分散媒の含有量の合計に対する、ポリマ、イオン液体、及び電解質塩の含有量の合計の質量比(以下、単に「質量比」と呼ぶことがある。)は、0.1~0.3(ポリマ、イオン液体、及び電解質塩の含有量の合計/ポリマ、イオン液体、電解質塩、及び分散媒の含有量の合計)である。
質量比の下限は、電池用スラリ組成物の粘性を高めて塗布しやすくする観点から、0.1以上であり、好ましくは0.12以上、より好ましくは0.14以上、更に好ましくは0.15以上である。質量比の上限は、電池用スラリからの含有成分の再析出を抑制する観点から、0.3以下であり、好ましくは0.29以下、より好ましくは0.27以下、更に好ましくは0.2以下である。質量比は、0.1~0.29、0.1~0.27、0.1~0.2、0.12~0.3、0.12~0.29、0.12~0.27、0.12~0.2、0.14~0.3、0.14~0.29、0.14~0.27、0.14~0.2、0.15~0.3、0.15~0.29、0.15~0.27、又は0.15~0.2であってもよい。
電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、質量比は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.21以上、更に好ましくは0.22以上であり、また、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.29以下、更に好ましくは0.28以下である。電池用スラリ組成物が電極合剤スラリである場合、質量比は、0.2~0.3、0.2~0.29、0.2~0.28、0.21~0.3、0.21~0.29、0.21~0.28、0.22~0.3、0.22~0.29、又は0.22~0.28であってもよい。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、後述する電解質シートを好適に作製する観点からは、質量比は、好ましくは0.13以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.16以上であり、また、好ましくは、0.3以下、0.29以下、0.28以下、0.25以下、又は0.2以下である。電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、質量比は、0.13~0.3、0.13~0.29、0.13~0.28、0.13~0.25、0.13~0.2、0.15~0.3、0.15~0.29、0.15~0.28、0.15~0.25、0.15~0.2、0.16~0.3、0.16~0.29、0.16~0.28、0.16~0.25、又は0.16~0.2であってもよい。
電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、電解質スラリの塗布により電池部材を作製する(詳細は後述)観点からは、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.11以上、更に好ましくは0.13以上であり、また、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.23以下、更に好ましくは0.2以下である。電池用スラリ組成物が電解質スラリである場合、質量比は、0.1~0.25、0.1~0.23、0.1~0.2、0.11~0.25、0.11~0.23、0.11~0.2、0.13~0.25、0.13~0.23、又は0.13~0.2であってもよい。
続いて、上述した電池用スラリ組成物を用いた電極、電解質シート又は電池部材を製造する方法を説明する。
<電極の製造方法>
上述した電池用スラリ組成物を用いて、集電体、及び電極合剤層をこの順に備える電極(正極6又は負極8)を製造することができる。一実施形態に係る電極の製造方法は、上述した電池用スラリ組成物を、集電体の一面上に塗布して電極合剤層を形成する工程を備える。この電極の製造方法において、電池用スラリ組成物は、上述した電極合剤スラリであってよい。
本実施形態に係る電極の製造方法の例として、正極6を製造する方法を説明する。図3は、一実施形態に係る正極6の製造方法を示す模式断面図である。この製造方法では、まず、図3(a)に示すように、正極集電体9を用意する。
正極集電体9は、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金であってよい。正極集電体9は、軽量で高い重量エネルギ密度を有するため、好ましくはアルミニウム又はその合金である。正極集電体9の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。
次に、図3(b)に示すように、正極集電体9の一面9a上に、正極合剤スラリを塗布して、正極合剤スラリの層10Aを設ける。正極合剤スラリは、上述した電池用スラリ組成物において含有し得る成分を含む。
正極合剤スラリを塗布する方法としては、例えばアプリケータを用いて塗布する方法、スプレーにより塗布する方法等が挙げられる。正極合剤スラリの層10Aの厚さは、例えば、5~100μmであってよい。
次に、正極合剤スラリの層10Aに含まれる分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、例えば、加熱により乾燥させる方法、減圧する方法、減圧と加熱を組み合わせる方法等であってよい。分散媒を揮発させることにより、正極合剤層10が形成され、図3(c)に示すような正極6を得ることができる。
この製造方法では、上述の電池用スラリ組成物が用いられているため、塗布により正極6を製造でき、また、正極合剤層10が均一な厚さで形成され、正極集電体9に対する密着性にも優れた正極6を製造することもできる。
一実施形態に係る負極8の製造方法は、上述した正極6の製造方法と同様であってよい。すなわち、負極8の製造方法は、上述した正極6の製造方法において、「正極」を「負極」に読み替えた方法である。
負極8の製造方法において用いられる負極集電体11は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属、それらの合金などであってよい。負極集電体11は、軽量で高い重量エネルギ密度を有するため、好ましくはアルミニウム又はその合金である。負極集電体11は、薄膜への加工のしやすさ及びコストの観点から、好ましくは銅である。負極集電体11の厚さは、10μm以上であってよく、100μm以下であってよい。
<電解質シートの製造方法>
上述した電池用スラリ組成物を用いて、電解質シートを製造することができる。電解質シートは、基材と、基材の一面上に形成された電解質層とを備えるシートであり、電解質層7を得るために用いられる。
一実施形態に係る電解質シートの製造方法は、上述した電池用スラリ組成物を、基材の一面上に塗布して電解質層を形成する工程を備える。この電解質シートの製造方法において、電池用スラリ組成物は、上述した電解質スラリであってよい。
図4は、一実施形態に係る電解質シートの製造方法を示す模式断面図である。この製造方法では、まず、図4(a)に示すように、基材13を用意する。
基材13は、分散媒を揮発させる際の加熱に耐えうる耐熱性を有するものであって、電池用スラリ組成物と反応せず、電池用スラリ組成物により膨潤しないものであれば制限されないが、例えば樹脂で形成されている。基材13は、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン等の樹脂(汎用のエンジニアプラスチック)からなるフィルムであってよい。基材13の厚さは、例えば、5μm以上であってよく、100μm以下であってよい。
次に、図4(b)に示すように、基材13の一面13a上に、電解質スラリを塗布して、電解質スラリの層7Aを設ける。電解質スラリは、上述した電池用スラリ組成物である。
電解質スラリを塗布する方法は、上述した正極合剤スラリを塗布する方法と同様であってよい。電解質スラリの層7Aの厚さは、例えば、5~30μmであってよい。
次に、電解質スラリの層7Aに含まれる分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、上述した正極合剤スラリの層10Aに含まれる分散媒を揮発させる方法と同様であってよい。分散媒を揮発させることにより、電解質層7が形成され、図4(c)に示すような電解質シート14を得ることができる。
この製造方法では、上述の電池用スラリ組成物が用いられているため、塗布により電解質シート14を製造でき、また、厚さが均一で強度に優れた電解質層7が形成された、自立可能な電解質シート14を製造することができる。また、得られる電解質シート14においては、基材13を容易に剥離することもできる。
電解質シート14は、ロール状に巻き取りながら連続的に製造することもできる。その場合には、電解質層7の表面が基材13の背面に接触して電解質層7の一部が基材13に貼りつくことにより、電解質層7が破損することがある。このような事態を防ぐために、電解質シートは他の実施形態として、電解質層7の基材13と反対側に保護材を設けたものであってもよい。
保護材は、電解質層7から容易に剥離可能なものであればよく、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチレン等の無極性の樹脂フィルムである。無極性の樹脂フィルムを用いると、電解質層7と保護材とが互いに貼りつかず、保護材を容易に剥離することができる。
電解質シート14と、正極6及び負極8とを用いて、二次電池1を製造することができる。この製造方法においては、例えば、電解質シート14から基材13を、場合によっては保護材を剥離し、正極6、電解質層7及び負極8を、例えばラミネートにより積層することで二次電池1が得られる。このとき、電解質層7が、正極6の正極合剤層10側かつ負極8の負極合剤層12側に位置するように、すなわち、正極集電体9、正極合剤層10、電解質層7、負極合剤層12及び負極集電体11がこの順で配置されるように積層する。
<電池部材の製造方法>
上述した電池用スラリ組成物を用いて、集電体、電極合剤層、及び電解質層をこの順に備える電池部材(正極部材又は負極部材)を製造することができる。一実施形態に係る電池部材の製造方法は、集電体の一面上に電極活物質を含有する電極合剤中間層を形成する工程と、電極合剤中間層の集電体とは反対側の面上に、上述した電池用スラリ組成物を塗布する工程と、分散媒を揮発させて、電極合剤層及び電解質層を形成する工程と、を備える。
本実施形態に係る電池部材の製造方法の例として、正極部材を製造する方法を説明する。図5は、一実施形態に係る正極部材の製造方法を示す模式断面図である。この製造方法では、まず、図5(a)に示すように、正極集電体9を用意する。
次に、図5(b)に示すように、正極集電体9の一面9a上に、正極合剤中間層10Bを形成する。
正極合剤中間層10Bを形成する方法は、一実施形態において、正極合剤前駆体を正極集電体9の一面9a上に塗布する方法である。正極合剤前駆体は、上述した電池用スラリ組成物であってよく、電池用スラリ組成物とは異なる組成物であってもよい。正極合剤前駆体が電池用スラリ組成物とは異なる組成物である場合、正極合剤前駆体は、一実施形態において、正極活物質、ポリマ、及び分散媒を含有する。正極活物質、ポリマ、及び分散媒は、上述した態様と同様のものであってよい。すなわち、正極合剤前駆体は、イオン液体及び電解質塩を含有しなくてもよい。
正極合剤前駆体を正極集電体9の一面9a上に塗布する方法は、上述した正極合剤スラリを塗布する方法と同様であってよい。正極合剤前駆体が塗布されることにより、正極合剤中間層10Bが形成される。正極合剤中間層10Bの厚さは、例えば、5~100μmであってよい。
正極合剤前駆体が塗布された後、正極合剤前駆体に含まれる分散媒を揮発させてもよい。つまり、「正極合剤中間層」には、正極合剤前駆体で形成された層、及び、正極極合剤前駆体から一部又は全部の分散媒が揮発して形成された層が含まれる。分散媒を揮発させる方法は、上述した正極合剤スラリの層10Aに含まれる分散媒を揮発させる方法と同様であってよい。
次に、図5(c)に示すように、正極合剤中間層10Bの正極集電体9とは反対側の面10a上に、電解質スラリを塗布して、電解質スラリの層7Aを設ける。電解質スラリは、上述した電池用スラリ組成物である。
電解質スラリを塗布する方法は、上述した正極合剤スラリを塗布する方法と同様であってよい。電解質スラリの層7Aの厚さは、例えば、5~30μmであってよい。
この製造方法において、正極合剤中間層10Bがイオン液体及び電解質塩を含有しない場合、すなわち、正極合剤前駆体がイオン液体及び電解質塩を含有しない場合には、電解質スラリの層7Aを設けたときに、電解質スラリの層7Aに含まれるイオン液体及び電解質塩が、イオン液体電解液として、電解質スラリの層7Aから正極合剤中間層10Bに移動する。この移動は、正極合剤中間層10Bと電解質スラリの層7Aとの間のイオン液体電解液の濃度差を小さくしようとする作用、重力による作用、又は毛細管現象に基づくと推察される。よって、電解質スラリの層7Aが塗布された後の正極合剤中間層10Bには、イオン液体及び電解質塩が含まれる。
次に、正極合剤中間層10B、及び電解質スラリの層7Aに含まれる分散媒を揮発させる。分散媒を揮発させる方法は、上述した正極合剤スラリの層10Aに含まれる分散媒を揮発させる方法と同様であってよい。分散媒を揮発させることにより、正極合剤層10、及び電解質層7が形成され、図5(d)に示すような、正極部材15を得ることができる。
この製造方法では、上述の電池用スラリ組成物が用いられているため、正極合剤中間層10B上に均一な厚さで電解質スラリを塗布することができ、また、電解質スラリを正極合剤中間層10Bへ浸透させやすくすることもできる。
一実施形態に係る負極部材の製造方法は、上述した正極部材15の製造方法と同様であってよい。すなわち、負極部材の製造方法は、上述した正極部材15の製造方法において、「正極」を「負極」に読み替えた方法である。
上述の製造方法により得られる正極部材15と、負極部材とを用いて、二次電池1を得ることができる。二次電池1は、正極部材15の電解質層7側の面、及び負極部材の電解質層7側の面を合わせてプレスすること等により、製造することができる。
以上説明した実施形態は、種々の変形例をとり得る。
第1の変形例として、電池用スラリ組成物は、いわゆるバイポーラ型二次電池の製造に用いられてもよい。図6は、バイポーラ型二次電池の電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。電極群2Bは、正極6と、第1の電解質層7と、バイポーラ電極16と、第2の電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。バイポーラ電極16は、バイポーラ電極集電体17と、バイポーラ電極集電体17の負極側の面(正極面)に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ電極集電体の正極側の面(負極面)に設けられた負極合剤層12とを備えている。
上述した電池用スラリ組成物は、バイポーラ型二次電池における正極6、負極8、電解質層7の製造に用いることができ、バイポーラ電極16における、正極合剤層10の形成、及び負極合剤層12の形成に用いることができる。
また、バイポーラ型二次電池における電極群2Bには、正極6と、電解質層7とをこの順に備える第1の電池部材、更には、負極8と、電解質層7とをこの順に備える第2の電池部材(負極部材)が含まれていると見ることができる。また、電極群2Bには、電解質層7と、バイポーラ電極16と、電解質層7とをこの順に備える第3の電池部材(バイポーラ電池部材)が含まれていると見ることもできる。上述した電池用スラリ組成物は、これらの電池部材の製造における、正極合剤層10の形成、及び負極合剤層12の形成にも用いることができる。
第2の変形例として、電池用スラリ組成物は、界面形成層の形成に用いることもできる。界面形成層は、正極における正極合剤層と電解質層との間、及び/又は負極における負極合剤層と電解質層との間に設けられる層である。界面形成層によって、電極合剤層と電解質層との界面を更に良好に形成することができ、二次電池におけるイオン伝導率を更に高めることが可能となる。界面形成層を形成する方法は、例えば、電解質層の一面上に、上述した電池用スラリ組成物を塗布して、分散媒を揮発させる方法であってよい。界面形成層の形成に用いられる電池用スラリ組成物は、好ましくは、上述した電解質スラリに含まれる成分を含有する。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、電解質塩を溶解させたイオン液体(イオン液体電解液)の組成を表す際に、「電解質塩の濃度/電解質塩の種類/イオン液体の種類」のように表記することがある。
<実施例1-1~1-3、比較例1-1~1-5>
表1に示す組成に基づいて、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC、正極活物質)、アセチレンブラック(導電材、平均粒径48nm、製品名:HS-100、デンカ株式会社)、ポリフッ化ビニリデンを分散媒(NMP)に溶解させたポリマ溶液(結着剤、固形分12質量%)、及び、場合により分散媒(NMP)を、混錬装置を用いて混錬した。これに、イオン液体電解液として、電解質塩を溶解させたイオン液体(1.5moL/L/LiFSI/EMI-FSI)を加えて更に混錬し、正極合剤スラリを調製した。
<実施例1-4~1-5、比較例1-6~1-8>
[ポリマの合成(合成例1)]
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した3リットルのセパラブルフラスコに、精製水1804gを仕込み、窒素ガス通気量200mL/分の条件下、撹拌しながら、74℃まで昇温した後、窒素ガスの通気を止めた。次いで、重合開始剤の過硫酸アンモニウム0.968gを精製水76gに溶解させた水溶液を添加し、直ちに、ニトリル基含有単量体のアクリロニトリル183.8g、カルボキシル基含有単量体のアクリル酸9.7g(アクリロニトリル1モルに対して0.039モルの割合)、及び単量体のメトキシトリエチレングリコールアクリレート(商品名:NKエステルAM-30G、新中村化学工業株式会社)6.5g(アクリロニトリル1モルに対して0.0085モルの割合)の混合液を、系の温度を74±2℃に保ちながら、2時間かけて滴下した。続いて、懸濁した反応系に、過硫酸アンモニウム0.25gを精製水21.3gに溶解させた水溶液を追加添加し、84℃まで昇温した後、系の温度を84±2℃に保ちながら、2.5時間反応を進めた。その後、1時間かけて40℃まで冷却した後、撹拌を止めて一晩室温で放冷し、ポリアクリロニトリル骨格にアクリル酸及び直鎖エーテル基を付加した共重合体(ポリマA)が沈殿した反応液を得た。この反応液を吸引ろ過し、回収した湿潤状態の沈殿を精製水1800gで3回洗浄した後、80℃で10時間真空乾燥して、単離及び精製し、ポリマAを得た。
(正極合剤スラリの調製)
ポリマ溶液におけるポリマを、上記の合成例1により合成したポリマAに変更した以外は、実施例1-1と同様の方法により、正極合剤スラリを調製した。
<実施例1-6~1-7、比較例1-9~1-11>
表1に示す組成に基づいて、黒鉛(負極活物質、日立化成株式会社)、炭素繊維(導電材、製品名:VGCF-H、昭和電工株式会社)、ポリフッ化ビニリデンを分散媒(NMP)に溶解させたポリマ溶液(結着剤、固形分13質量%)、場合により分散媒(NMP)を、混錬装置を用いて混錬した。これに、イオン液体電解液として、電解質塩を溶解させたイオン液体(1.5moL/L/LiFSI/EMIFSI)を加えて更に混錬し、負極合剤スラリを調製した。
<ゲル化の有無>
混錬装置の容器内の正極合剤スラリ又は負極合剤スラリを目視により観察して、含有成分が再析出することに起因するゲル化の有無を確認した。再析出によりスラリがゲル化したものを+、ゲル化しなかったものを-とした。結果を表1に示す。なお、表1中の「質量比」は、ポリマ、イオン液体電解液、及び分散媒の含有量の合計に対する、ポリマ、及びイオン液体電解液の含有量の合計の質量比であり、以下において同様である。
表1に示すように、ポリマ、イオン液体電解液、及び分散媒の含有量の合計に対する、ポリマ、及びイオン液体電解液の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3の範囲内である実施例の電極合剤スラリでは再析出が生じなかった。一方、当該質量比が0.1~0.3の範囲外である比較例の電極合剤スラリでは、ポリマの再析出によるゲル化が生じていた。
<塗布形成性の評価>
ゲル化が生じなかった電極合剤スラリについて、集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布可能か否かを評価し、正常に塗布できたものをA、正常に塗布できなかったものをBとした。正常に塗布できたと判断する要件は、電極合剤スラリの塗布後に電極合剤スラリ側から観察して集電体が見えないこと、及び、目的の塗布幅又は塗布量で塗布できたこととした。結果を表1に示す。その結果、比較例1-5及び比較例1-11の電極合剤スラリでは、粘性が低すぎるために目的の塗布量で塗布しようとすると電極合剤スラリが集電体上から流れ出てしまい、集電体上に正常に塗布することができなかった。
Figure 0007438207000006
<実施例2-1~2-6、比較例2-1~2-3>
表2に示す組成に基づいて、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロピレンとのコポリマ(PVDF-HFP)と、SiO粒子(製品名:AEROSIL RX50、日本アエロジル株式会社製)と、イオン液体電解液として、電解質塩を溶解させたイオン液体(1.5moL/L/LiFSI/EMI-FSI)と、セルロース繊維(平均長さ50μm、平均繊維径0.1μm)とを、分散媒(NMP)に分散させ、混錬装置により混錬することにより電解質スラリを調製した。
<実施例2-7~2-9>
分散媒をDMSOに変更した以外は、実施例2-1と同様の方法により、電解質スラリを調製した。
<ゲル化の有無>
混錬装置の容器内の電解質スラリを目視により観察して、含有成分の再析出に起因するゲル化の有無を確認した。再析出によりスラリがゲル化したものを+、ゲル化しなかったものを-とした。結果を表2に示す。
表2に示すように、ポリマ、イオン液体電解液、及び分散媒の含有量の合計に対する、ポリマ、及びイオン液体電解液の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3の範囲内である実施例の電解質スラリを用いて作製した電解質シートでは、再析出が生じなかった。一方、当該質量比が0.1~0.3の範囲外である比較例の電解質スラリを用いて作製した電解質シートでは、特にポリマの再析出が生じていた。
<塗布形成性の評価>
ゲル化が生じなかった電解質スラリについて、ポリエチレンテレフタレート製の基材(製品名:テオネックスR-Q51、帝人デュポンフィルム株式会社製、厚さ38μm)に塗布可能か否かを評価しし、正常に塗布できたものをA、正常に塗布できなかったものをBとした。正常に塗布できたと判断する要件は、電解質スラリの塗布後に電解質スラリ側から観察して基材が見えないこと、及び、目的の塗布幅又は塗布量で塗布できたこととした。結果を表2に示す。その結果、比較例2-3の電極合剤スラリはでは、粘性が低すぎるために目的の塗布量で塗布しようとすると電解質スラリが基材上から流れ出てしまい、基材上に正常に塗布することができなかった。
Figure 0007438207000007
実施例2-4~2-9の電解質スラリを用いて、電解質シートを作製した。電解質スラリをポリエチレンテレフタレート製の基材(製品名:テオネックスR-Q51、帝人デュポンフィルム株式会社製、厚さ38μm)上にアプリケータを用いて塗布した。塗布した電解質スラリを80℃で1時間加熱乾燥することにより、分散媒を揮発させて、電解質シートを得た。
その結果、実施例2-4~2-9の電解質スラリは、ポリマの再析出が見られなかったため、基材の一面に均一な厚さで塗布することができ、表面状態が良好で欠点の無い、自立可能な電解質シートを作製できた。
1…二次電池、6…正極、7…電解質層、7A…電解質スラリの層、8…負極、9…正極集電体、10…正極合剤層、10A…正極合剤スラリの層、10B…正極合剤中間層、11…負極集電体、12…負極合剤層、13…基材、14…電解質シート、15…正極部材、16…バイポーラ電極、17…バイポーラ電極集電体。

Claims (8)

  1. ポリマと、
    イオン液体と、
    リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、
    分散媒と、
    酸化物粒子と、
    繊維と、を含有する電池用スラリ組成物であって
    前記ポリマ、前記イオン液体、前記電解質塩、及び前記分散媒の含有量の合計に対する、前記ポリマ、前記イオン液体、及び前記電解質塩の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3であり、
    前記ポリマは、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、又は、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムであり、
    前記ポリマの含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、0.3質量%以上20質量%以下であり、
    前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py13-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py12-TFSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py12-FSI)、及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMI-DCA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記電解質塩は、LiPF 、LiBF 、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO 4 、LiBF (CF )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiC(SO CF 、LiCF SO O、LiCF COO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記イオン液体に前記電解質塩が溶解されたイオン液体電解液において、前記イオン液体の単位体積あたりの前記電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上3.0mol/L以下であり、前記イオン液体電解液の含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、1質量%以上20質量%以下である、電池用スラリ組成物。
  2. ポリマと、
    イオン液体と、
    リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、
    分散媒と、
    電極活物質と、を含有する電池用スラリ組成物であって
    前記ポリマ、前記イオン液体、前記電解質塩、及び前記分散媒の含有量の合計に対する、前記ポリマ、前記イオン液体、及び前記電解質塩の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3であり、
    前記ポリマは、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、又は、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムであり、
    前記ポリマの含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、0.3質量%以上5質量%以下であり、
    前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py13-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py12-TFSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py12-FSI)、及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMI-DCA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記電解質塩は、LiPF 、LiBF 、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO 4 、LiBF (CF )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiC(SO CF 、LiCF SO O、LiCF COO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記イオン液体に前記電解質塩が溶解されたイオン液体電解液において、前記イオン液体の単位体積あたりの前記電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上3.0mol/L以下であり、前記イオン液体電解液の含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、1質量%以上15質量%以下である、電池用スラリ組成物。
  3. 前記質量比が0.2~0.3である、請求項2に記載の電池用スラリ組成物。
  4. 前記質量比が0.13~0.3である、請求項1に記載の電池用スラリ組成物。
  5. 前記質量比が0.1~0.25である、請求項1に記載の電池用スラリ組成物。
  6. 集電体と、該集電体の一面上に形成された電極合剤層と、を備える電極の製造方法であって、
    前記製造方法は、電池用スラリ組成物を、前記集電体の一面上に塗布して前記電極合剤層を形成する工程を備え、
    電池用スラリ組成物が、
    ポリマと、
    イオン液体と、
    リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、
    分散媒と、を含有し、
    前記ポリマ、前記イオン液体、前記電解質塩、及び前記分散媒の含有量の合計に対する、前記ポリマ、前記イオン液体、及び前記電解質塩の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3であり、
    前記ポリマは、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、又は、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムであり、
    前記ポリマの含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、0.3質量%以上5質量%以下であり、
    前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py13-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py12-TFSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py12-FSI)、及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMI-DCA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記電解質塩は、LiPF 、LiBF 、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO 4 、LiBF (CF )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiC(SO CF 、LiCF SO O、LiCF COO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記イオン液体に前記電解質塩が溶解されたイオン液体電解液において、前記イオン液体の単位体積あたりの前記電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上3.0mol/L以下であり、前記イオン液体電解液の含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、1質量%以上15質量%以下である、電極の製造方法。
  7. 基材と、該基材の一面上に形成された電解質層と、を備える電解質シートの製造方法であって、
    前記製造方法は、請求項1又は4に記載の電池用スラリ組成物を、前記基材の一面上に塗布して前記電解質層を形成する工程を備える、電解質シートの製造方法。
  8. 集電体、電極合剤層、電解質層をこの順に備える電池部材の製造方法であって、
    前記製造方法は、前記集電体の一面上に電極活物質を含有する電極合剤中間層を形成する工程と、
    前記電極合剤中間層の前記集電体とは反対側の面上に、電池用スラリ組成物を塗布する工程であって、
    電池用スラリ組成物が、
    ポリマと、
    イオン液体と、
    リチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩と、
    分散媒と、を含有し、
    前記ポリマ、前記イオン液体、前記電解質塩、及び前記分散媒の含有量の合計に対する、前記ポリマ、前記イオン液体、及び前記電解質塩の含有量の合計の質量比が、0.1~0.3であり、
    前記ポリマは、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、及びアクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含有するポリマ、又は、スチレン-ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びアクリルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴムであり、
    前記ポリマの含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、0.3質量%以上20質量%以下であり、
    前記イオン液体は、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME-TFSI)、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(DEME-FSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(EMI-TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(EMI-FSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py13-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py13-FSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Py12-TFSI)、N-エチル-N-メチルピロリジニウム-ビス(フルオロスルホニル)イミド(Py12-FSI)、及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド(EMI-DCA)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記電解質塩は、LiPF 、LiBF 、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO 4 、LiBF (CF )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiBF (C )、LiC(SO CF 、LiCF SO O、LiCF COO、及びLiRCOO(Rは、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記イオン液体に前記電解質塩が溶解されたイオン液体電解液において、前記イオン液体の単位体積あたりの前記電解質塩の塩濃度は、0.3mol/L以上3.0mol/L以下であり、前記イオン液体電解液の含有量は、前記電池用スラリ組成物全量基準で、1質量%以上20質量%以下である、工程と、
    前記分散媒を揮発させて、前記電極合剤層及び前記電解質層を形成する工程と、を備える、電池部材の製造方法。
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