JP2020136223A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Hiroaki Konishi
宏明 小西
西村 勝憲
Katsunori Nishimura
勝憲 西村
西村 拓也
Takuya Nishimura
拓也 西村
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Abstract

【課題】過充電させた場合であっても安全性に優れるリチウム二次電池を提供すること。【解決手段】正極、電解質層、及び負極を有する電極群を備え、電解質層が、ポリマと酸化物粒子とを含有し、電極群が、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF4又はLiPF6である第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含有する、リチウム二次電池。RAO−(CH2CH2O)y−RB(10)[式(10)中、RA及びRBはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、yは1〜6の整数を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器、電気自動車等の普及によって、高性能なリチウム二次電池が必要とされている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を有するため、電気自動車用電池、電力貯蔵用電池等の電源として注目されている。具体的には、電気自動車用電池としてのリチウム二次電池は、エンジンを搭載しないゼロエミッション電気自動車、エンジン及びリチウム二次電池の両方を搭載したハイブリッド電気自動車、電力系統から直接充電させるプラグイン・ハイブリッド電気自動車等の電気自動車に採用されている。また、電力貯蔵用電池としてのリチウム二次電池は、電力系統が遮断された非常時に、予め貯蔵しておいた電力を供給する定置式電力貯蔵システム等に用いられている。
このようなリチウム二次電池の中でも、特に、電気自動車用のリチウム二次電池には、高い入出力特性及び高いエネルギー密度に加えて、高い安全性が要求される。より安全性の高い電池としては、有機電解液とイオン液体を混合した溶媒を電解液として使用することが検討されている(例えば、特許文献1、2、非特許文献1参照)。特許文献1には、有機電解液とイオン液体を混合することで難燃性が確保されることが開示されている。また、特許文献2には、有機電解液とイオン液体と混合し、かつジスルホニル化合物を添加することで、難燃性が改善されることが開示されている。さらに、非特許文献1には、安全性の高い電池として、グライム系溶媒にリチウムイミド塩を溶解させたリチウム二次電池が開示されている。
特開2008−305574号公報 特開2007−157536号公報
Solid State Ionics 2014年、第262巻、p765−768
ところで、JIS規格8715−2の過充電試験において、「上限充電電圧の120%に単電池の電圧が到達した時点で,定電流充電を停止する。」という項目がある。しかしながら、イミド塩のみを含むリチウム二次電池では、過充電させた場合に上限電圧が上昇し難く、上限終止電圧に達するまでに多くの電流が流れ続けてしまう場合があり、安全性の観点においては、さらなる改善の余地がある。
そこで、本発明は、過充電させた場合であっても安全性に優れるリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[3]に示すリチウム二次電池を提供する。
[1]正極、電解質層、及び負極を有する電極群を備え、電解質層が、ポリマと酸化物粒子とを含有し、電極群が、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF又はLiPFである第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含有する、リチウム二次電池。
O−(CHCHO)−R (10)
[式(10)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、yは1〜6の整数を示す。]
[2]酸化物粒子がSiOを含む、[1]に記載のリチウム二次電池。
[3]ポリマがフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマを含む、[1]又は[2]に記載のリチウム二次電池。
本発明によれば、過充電させた場合であっても安全性に優れるリチウム二次電池が提供される。
第1実施形態に係るリチウム二次電池を示す斜視図である。 図1に示したリチウム二次電池における電極群の一実施形態を示す分解斜視図である。 図1に示したリチウム二次電池における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。 (a)は一実施形態に係る電解質シートを示す模式断面図であり、(b)は他の実施形態に係る電解質シートを示す模式断面図である。 第2実施形態に係るリチウム二次電池における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。 実施例3及び比較例1のリチウム二次電池のSOC(%)に対する電圧の変化を示すグラフである。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲は、本発明を制限するものではない。本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載される数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例中に示されている値に置き換えてもよい。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るリチウム二次電池を示す斜視図である。図1に示すように、リチウム二次電池1は、正極、負極及び電解質層から構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3とを備えている。正極及び負極には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極がリチウム二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えばラミネートフィルムで形成されていてよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層とがこの順で積層された積層フィルムであってよい。
図2は、図1に示したリチウム二次電池1における電極群2の一実施形態を示す分解斜視図である。図3は、図1に示したリチウム二次電池1における電極群2の一実施形態を示す模式断面図である。図2及び図3に示すように、本実施形態に係る電極群2Aは、正極6と、電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。正極6は、正極集電体9と、正極集電体9上に設けられた正極合剤層10とを備えている。正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体11と、負極集電体11上に設けられた負極合剤層12とを備えている。負極集電体11には、負極集電タブ5が設けられている。
正極集電体9は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。正極集電体9は、具体的には、例えば孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。正極集電体9は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
正極集電体9の厚さは、正極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは20μm以下である。
正極合剤層10は、一実施形態において、正極活物質と、導電剤と、結着剤と、を含有する。
正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、例えば、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM又はLiM (Mは少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co0.33Ni0.33Mn0.33)O、Li(Co0.6Ni0.2Mn0.2)O、LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.5Mn1.5等であってよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギー密度を更に向上させる観点から、好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
LiNiCo 2+e (1)
[式(1)中、Mは、Al、Mn、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d、及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、−0.2≦e≦0.2、かつb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO、LiMnPO、LiMn 1−xPO(0.3≦x≦1、MはFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg、及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってよい。
正極活物質は、造粒されていない一次粒子であってもよく、造粒された二次粒子であってもよい。
正極活物質の粒径は、正極合剤層10の厚さ以下になるように調整される。正極活物質中に正極合剤層10の厚さ以上の粒径を有する粗粒子がある場合、ふるい分級、風流分級等により粗粒子を予め除去し、正極合剤層10の厚さ以下の粒径を有する正極活物質を選別する。
正極活物質の平均粒径は、好ましくは1〜30μmである。正極活物質の平均粒径は、正極活物質全体の体積に対する比率(体積分率)が50%のときの粒径(D50)である。正極活物質の平均粒径(D50)は、レーザー散乱型粒径測定装置(例えば、マイクロトラック)を用いて、レーザー散乱法により水中に正極活物質を懸濁させた懸濁液を測定することで得られる。
正極活物質の含有量は、電池のエネルギー密度を確保する観点から、正極合剤層全量を基準として、好ましくは85質量%以上である。
導電剤は、特に限定されないが、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の炭素材料などであってよい。導電剤は、上述した炭素材料の2種以上の混合物であってもよい。
導電剤の含有量は、充分な導電性を担保し、かつ電池のエネルギー密度の低下を抑制する観点から、正極合剤層全量を基準として、好ましくは1〜5質量%である。
結着剤は、正極6の表面で分解しないものであれば制限されないが、四フッ化エチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種をモノマ単位として含むポリマ、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等のゴムなどであってよい。結着剤は、好ましくは四フッ化エチレンとフッ化ビニリデンとを構造単位として含むコポリマである。
結着剤の含有量は、充分な結着性を有し、かつ電池のエネルギー密度の低下を抑制する観点から、正極合剤層全量を基準として、好ましくは1〜5質量%である。
正極合剤層10の厚さは、塗布厚さのむらを起こし難く、かつ導電性を担保できるという観点から、好ましくは20〜80μmである。
負極集電体11は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属、それらの合金などであってよい。負極集電体11は、軽量で高い重量エネルギー密度を有するため、好ましくはアルミニウム及びその合金である。負極集電体11は、薄膜への加工のし易さ及びコストの観点から、好ましくは銅である。
負極集電体11の厚さは、負極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは20μm以下である。
負極合剤層12は、一実施形態において、負極活物質と、結着剤と、を含有する。
負極活物質は、エネルギーデバイスの分野で常用されるものを使用できる。負極活物質としては、具体的には、例えば、金属リチウム、チタン酸リチウム(LiTi12)、リチウム合金又はその他の金属化合物、炭素材料、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。負極活物質はこれらの1種単独、若しくは2種以上の混合物であってよい。炭素材料としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素、炭素繊維、及びアセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。負極活物質は、より大きな理論容量(例えば500〜1500Ah/kg)を得る観点から、シリコン、スズ又はこれらの元素を含む化合物(酸化物、窒化物、他の金属との合金)であってもよい。
負極活物質の平均粒径(D50)は、粒径減少に伴う不可逆容量の増加を抑制しつつ、かつ、電解質塩の保持能力を高めたバランスの良い負極を得る観点から、好ましくは1〜30μmである。負極活物質の平均粒径(D50)は、上述した正極活物質の平均粒径(D50)と同様の方法により測定される。
負極活物質の含有量は、電池のエネルギー密度を確保する観点から、負極合剤層全量を基準として、好ましくは90質量%以上である。
結着剤及びその含有量は、上述した正極合剤層10における結着剤及びその含有量と同様であってよい。
負極合剤層12は、負極8の抵抗を更に低くする観点から、導電剤を更に含有してもよい。導電剤及びその含有量は、上述した正極合剤層10における導電剤及びその含有量と同様であってよい。
負極合剤層12の厚さは、塗布厚さのむらを起こし難く、かつ導電性を担保できるという観点から、好ましくは20〜90μmである。
電池内部には、正極6と負極8とが浸漬するように、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF又はLiPFである第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含む電解質溶液を含有させる必要があり、正極6、電解質層7、及び負極8を有する電極群2は、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF又はLiPFである第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含有している。電解質溶液に含まれる第1のリチウム塩及び第2のリチウム塩は、正極6と負極8との間でカチオンを授受させるために用いられる化合物である。電解質溶液が第1のリチウム塩のみを含む場合、過充電させた場合に電圧の上昇が起こり難い傾向にあるが、第2のリチウム塩を含むことによって、過充電させた場合に上限電圧が上昇し易い傾向にあり、結果として、安全性に優れる傾向にある。これは、第1のリチウム塩は高電圧で分解するため、過充電領域ではカチオンの授受に機能しないため、電圧上昇が起こり難く、高電圧領域でも機能する第2のリチウム塩を含むことによって、高電圧領域のカチオンの授受が進行するようになり、それに伴い電圧上昇も進行するためであると推測される。
第1のリチウム塩は、リチウムイミド塩である。すなわち、第1のリチウム塩は、アニオン成分として、イミドアニオンを有する。イミドアニオンとしては、例えば、N(SOF) 、N(SOCF 、N(SO 等が挙げられる。
なお、以下では下記の略称を用いる場合がある。
[FSI]:N(SOF) 、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]:N(SOCF 、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
第1のリチウム塩は、Li[FSI]又はLi[TFSI]であってよい。
第2のリチウム塩は、LiBF又はLiPFである。
電解質溶液は、一般式(10)で表される化合物(本明細書において、「グライム」という場合がある。)を含有する。
O−(CHCHO)−R (10)
式(10)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、yは1〜6の整数を示す。R及びRとしてのアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等であってよい。これらの中でも、アルキル基は、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
グライムとしては、例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(「トリグライム」又は「G3」という場合がある)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(「テトラグライム」又は「G4」という場合がある)、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル(「ペンタグライム」又は「G5」という場合がある)、ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル(「ヘキサグライム」又は「G6」という場合がある)等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、グライムは、好ましくはトリグライム又はテトラグライムであり、より好ましくはテトラグライムである。
グライムの一部又は全部は、上述の第1のリチウム塩又は第2のリチウム塩と錯体を形成していてもよい。グライムとリチウム塩とで形成される錯体は、イオン液体と類似の性質を有し得る。
電解質溶液は、グライムに加え、環状炭酸エステルを含有する。これは、グライムの高い粘度を低減させる効果がある。環状炭酸エステルは、炭酸プロピレン又は炭酸ビニレンであってよい。
電解質溶液は、イオン液体を含有していてもよい。
イオン液体は、以下のアニオン成分及びカチオン成分を含む。なお、本実施形態におけるイオン液体は、−20℃以上で液状の物質である。イオン液体は、構成するカチオンとアニオンの間に働く強い静電的な相互作用により水、有機溶媒等の分子性液体とは異なり、蒸気圧がほとんどないことが知られている。
イオン液体のアニオン成分は、特に限定されないが、Cl、Br、I等のハロゲンのアニオン、BF 、N(SOF) 等の無機アニオン、B(C 、CHSO、CFSO、N(SO 、N(SOCF 、N(SO 等の有機アニオンなどであってよい。
イオン液体のアニオン成分は、好ましくは、下記一般式(A)で表されるアニオン成分の少なくとも1種を含む。
N(SO2m+1)(SO2n+1 (A)
式(A)中、m及びnは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。m及びnは、互いに同一でも異なっていてもよく、好ましくは互いに同一である。
式(A)で表されるアニオン成分は、例えば、N(SO 、N(SOF) 、N(SOCF 、及びN(SO である。
イオン液体のアニオン成分は、比較的低粘度でイオン伝導度を更に向上させるとともに、充放電特性も更に向上させる観点から、より好ましくは、N(SO 、CFSO、N(SOF) 、N(SOCF 、及びN(SO からなる群より選ばれる少なくとも1種を含み、更に好ましくはN(SOF) を含む。
電解質層7は、ポリマと、酸化物粒子と、を含有する。
ポリマは、好ましくは、四フッ化エチレン及びフッ化ビニリデンからなる群より選ばれる第1の構造単位を有する。
ポリマを構成する構造単位の中には、上記第1の構造単位と、ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸、マレイン酸、エチルメタクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる第2の構造単位とが含まれていてもよい。すなわち、第1の構造単位及び第2の構造単位は、1種のポリマに含まれてコポリマを構成していてもよく、それぞれ別のポリマに含まれて、第1の構造単位を有する第1のポリマと、第2の構造単位を有する第2のポリマとの少なくとも2種のポリマを構成していてもよい。
ポリマは、具体的には、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ等であってよい。
ポリマの含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
酸化物粒子は、例えば無機酸化物の粒子である。無機酸化物は、例えば、Li、Mg、Al、Si、Ca、Ti、Zr、La、Na、K、Ba、Sr、V、Nb、B、Ge等を構成元素として含む無機酸化物であってよい。酸化物粒子は、好ましくは、SiO、Al、AlOOH、MgO、CaO、ZrO、TiO、LiLaZr12、及びBaTiOからなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子である。酸化物粒子は極性を有するため、電解質層7中の電解質の解離を促進し、電池特性を高めることができる。
酸化物粒子は、一般に、見かけ上の幾何学的形態から判断して、一体的に単一の粒子を形成している一次粒子(二次粒子を構成していない粒子)と、複数の一次粒子が集合することで形成される二次粒子とを含んでいてもよい。
酸化物粒子の平均粒子径は、好ましくは0.005〜5μmである。酸化物粒子の平均粒子径は、レーザー回折法により測定され、体積累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、体積累積が50%となる粒子径に対応する。
酸化物粒子の形状は、例えば塊状又は略球状であってよい。酸化物粒子のアスペクト比は、電解質層7の薄層化を容易にする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下である。アスペクト比は、酸化物粒子の走査型電子顕微鏡写真から算出した、粒子の長軸方向の長さ(粒子の最大長さ)と、粒子の短軸方向の長さ(粒子の最小長さ)との比として定義される。粒子の長さは、上記写真を、市販の画像処理フト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、A像くん(登録商標))を用いて、統計的に計算して求められる。
酸化物粒子は、表面処理剤で表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、ケイ素含有化合物等が挙げられる。ケイ素含有化合物は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン、ジメチルシリコーンオイル等のシロキサンなどであってもよい。
表面処理剤で表面処理された酸化物粒子は、公知の方法によって製造したものを用いてもよく、市販品をそのまま用いてもよい。
酸化物粒子の含有量は、電解質層全量を基準として、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
電解質層7の厚さは、正極及び負極の絶縁性を確保し、かつ電池のエネルギー密度の低減を避ける観点から、好ましくは5〜30μmである。
電解質層は、電解質シートから形成することができる。図4(a)は、一実施形態に係る電解質シートを示す模式断面図である。図4(a)に示すように、電解質シート13Aは、基材14と、基材14上に設けられた電解質層7とを有する。電解質シートは、少なくともポリマと酸化物粒子と分散媒とを含む電解質層形成用スラリーを基材上に配置する工程と、配置された電解質層形成用スラリーから分散媒を除去して基材上に電解質層を形成する工程と、を備える製造方法によって作製される。分散媒は、ポリマを溶解できるのであれば特に制限されないが、例えば、1−メチル−2−ピロリドンであってよい。
電解質層形成用スラリーを基材上に配置する方法としては、特に制限されないが、例えば、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等による塗布などが挙げられる。
電解質層形成用スラリーから分散媒を除去する方法としては、特に制限されないが、例えば、電解質層形成用スラリーを加熱して分散媒を揮発させる方法等が挙げられる。加熱温度は、使用される分散媒に合わせて適宜設定することができる。
基材14は、分散媒を揮発させる際の加熱に耐え得る耐熱性を有するものであって、電解質層形成用スラリーと反応せず、電解質層形成用スラリーにより膨潤しないものであれば制限されないが、例えば、樹脂からなるフィルムであってよい。基材14は、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン等の樹脂(汎用のエンジニアプラスチック)からなるフィルムであってよい。
基材14は、電解質層を製造する過程において分散媒を揮発させる処理温度に耐えられる耐熱温度を有していればよい。耐熱温度は、基材14が樹脂からなるフィルムである場合、基材14の軟化点(塑性変形し始める温度)又は融点のうち、より低い温度である。基材14の耐熱温度は、分散媒を加熱して除去する観点から、好ましくは50℃以上であり、また、例えば400℃以下であってよい。上記の耐熱温度を有する基材を使用すれば、上述したような分散媒を好適に使用できる。
基材14の厚さは、塗布装置での引張り力に耐え得る強度を維持しつつ、可能な限り薄いことが好ましい。基材14の厚さは、好ましくは20μm以上40μm以下であることが好ましい。
電解質層7は、正極6及び負極8よりも面積が大きいことが好ましい。
電解質層7は、上述の電解質溶液をさらに含有する。すなわち、電解質層7は、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF又はLiPFである第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含有する。
電解質層7に電解質溶液を含有させる方法としては、例えば、電解質シートの電解質層7に電解質溶液を加える方法、後述のリチウム二次電池1の製造方法の第3の工程の後(すなわち、正極集電体9、正極合剤層10、電解質層7、負極合剤層12、及び負極集電体11がこの順で配置されように積層した後)に、電解質層7に電解質溶液を加える方法等が挙げられる。
電解質シートは、他の実施形態として、電解質層7の基材14と反対側に保護材を設けたものであってもよい。図4(b)は、他の実施形態に係る電解質シートを示す模式断面図である。図4(b)に示すように、電解質シート13Bは、電解質層7の基材14と反対側に保護材15を更に備えている。
保護材15は、電解質層7から容易に剥離可能なものであればよく、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ四フッ化エチレン等の無極性の樹脂フィルムである。無極性の樹脂フィルムを用いると、電解質層7と保護材15とが互いに貼りつかず、保護材15を容易に剥離することができる。
保護材15の厚さは、電解質シート13B全体の体積を小さくしつつ、強度を確保する観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μmであり、また、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
保護材15の耐熱温度は、低温環境での劣化を抑制するとともに、高温環境下での軟化を抑制する観点から、好ましくは−30℃以上、より好ましくは0℃以上であり、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下である。保護材15を設ける場合、上述した分散媒の揮発工程を必須としないため、耐熱温度を高くする必要がない。
続いて、上述したリチウム二次電池1の製造方法について説明する。本実施形態に係るリチウム二次電池1の製造方法は、正極集電体9上に正極合剤層10を形成して正極6を得る第1の工程と、負極集電体11上に負極合剤層12を形成して負極8を得る第2の工程と、上述の製造方法によって得られた電解質シートの電解質層7を正極6と負極8との間に配置する第3の工程と、を備える。
第1の工程では、正極6は、例えば、正極合剤層に用いる材料を混練機、分散機等を用いて分散媒に分散させてスラリー状の正極合剤を得た後、この正極合剤をドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法等により正極集電体9上に塗布し、その後分散媒を揮発させることにより得られる。分散媒を揮発させた後、必要に応じて、ロールプレスによる圧縮成型工程が設けられてもよい。正極合剤層10は、上述した正極合剤の塗布から分散媒の揮発までの工程を複数回行うことにより、多層構造の正極合剤層として形成されてもよい。
第1の工程において用いられる分散媒は、水、1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPともいう。)等であってよい。
第2の工程において、負極集電体11に負極合剤層12を形成する方法は、上述した第1の工程と同様の方法であってよい。
第3の工程において、電解質シート13Aを用いて正極6と負極8との間に電解質層7を配置する方法は、例えば、電解質シート13Aから基材14を剥離し、正極6、電解質層7、及び負極8を、例えば、ラミネートにより積層することでリチウム二次電池1が得られる。このとき、電解質層7が、正極6の正極合剤層10側かつ負極8の負極合剤層12側に位置するように、すなわち、正極集電体9、正極合剤層10、電解質層7、負極合剤層12、及び負極集電体11がこの順で配置されるように積層する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るリチウム二次電池について説明する。図5は、第2実施形態に係るリチウム二次電池における電極群の一実施形態を示す模式断面図である。図5に示すように、第2実施形態におけるリチウム二次電池が第1実施形態におけるリチウム二次電池と異なる点は、電極群2Bが、バイポーラ電極16を備えている点である。すなわち、電極群2Bは、正極6と、第1の電解質層7と、バイポーラ電極16と、第2の電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。
バイポーラ電極16は、バイポーラ電極集電体17と、バイポーラ電極集電体17の負極8側の面(正極面)に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ電極集電体17の正極6側の面(負極面)に設けられた負極合剤層12とを備えている。
バイポーラ電極集電体17において、正極面は、好ましくは耐酸化性に優れた材料で形成されていてよく、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてよい。負極活物質として黒鉛又は合金を用いたバイポーラ電極集電体17における負極面は、リチウムと合金を形成しない材料で形成されていてよく、具体的には、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、チタン等で形成されていてよい。正極面と負極面に異種の金属を用いる場合、バイポーラ電極集電体17は、異種金属箔を積層させたクラッド材であってよい。ただし、チタン酸リチウムのように、リチウムと合金を形成しない電位で動作する負極8を用いる場合、上述の制限はなくなり、負極面は、正極集電体9と同様の材料であってよい。その場合、バイポーラ電極集電体17は、単一の金属箔であってよい。単一の金属箔としてのバイポーラ電極集電体17は、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってよい。バイポーラ電極集電体17は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
バイポーラ電極集電体17の厚さは、10μm以上100μm以下であってよく、正極全体の体積を小さくする観点から、好ましくは10μm以上50μm以下であり、電池を形成する際に小さな曲率でバイポーラ電極を捲回する観点から、より好ましくは10μm以上20μm以下である。
続いて、第2実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法について説明する。本実施形態に係るリチウム二次電池の製造方法は、正極集電体9上に正極合剤層10を形成して正極6を得る第1の工程と、負極集電体11上に負極合剤層12を形成して負極8を得る第2の工程と、バイポーラ電極集電体17の一方の面に正極合剤層10を形成し、他方の面に負極合剤層12を形成してバイポーラ電極16を得る第3の工程と、正極6とバイポーラ電極16との間及び負極8とバイポーラ電極16との間に上述の製造方法によって得られた電解質シートの電解質層7を配置する第4の工程と、を有する。
第1の工程及び第2の工程は、第1実施形態における第1の工程及び第2の工程と同様の方法であってよい。
第3の工程において、バイポーラ電極集電体17の一方の面に正極合剤層10を形成する方法は、第1実施形態における第1の工程と同様の方法であってよい。バイポーラ電極集電体17の他方の面に負極合剤層12を形成する方法は、第1実施形態における第2の工程と同様の方法であってよい。
第4の工程における正極6とバイポーラ電極16との間に上述の製造方法によって得られた電解質シートの電解質層7を配置する方法及び負極8とバイポーラ電極16との間に上述の製造方法によって得られた電解質シートの電解質層7を配置する方法は、第1実施形態における第3の工程と同様の方法であってよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
<正極の作製>
Li(Co3/5Ni1/5Mn1/5)O(正極活物質)、アセチレンブラック(正極導電剤)、及びポリフッ化ビニリデン(正極バインダ)を1−メチル−2−ピロリドン(分散媒)に投入し、混錬機を用いて分散させ、正極合剤層形成用スラリーを得た。各成分は、質量比率で正極活物質:正極導電剤:正極バインダ=96:1.75:2.25とした。次いで、厚さ16μmの表面にカーボンがコートされたアルミニウム箔(正極集電体)上に正極合剤層形成用スラリーを塗布し、塗布された正極合剤層形成用スラリーを80℃、2時間の熱処理に供し、正極集電体上に正極合剤層を有する正極を得た。正極の厚さは45μmであった。電極密度は3g/cmに調整した。
<負極の作製>
人造黒鉛(負極活物質)、アセチレンブラック(負極導電剤)、及びポリフッ化ビニリデン(負極バインダ)を1−メチル−2−ピロリドン(分散媒)に投入し、混錬機を用いて分散させ、負極合剤層形成用スラリーを得た。各成分は、質量比率で負極活物質:負極導電剤:負極バインダ=94:1:5とした。次いで、厚さ10μmの銅箔の負極集電体上に負極合剤層形成用スラリーを塗布し、塗布された負極合剤層形成用スラリーを80℃、2時間の熱処理に供し、負極集電体上に負極合剤層を有する負極を得た。負極の厚さは42μmであった。電極密度は1.6g/cmに調整した。
<電解質シートの作製>
フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマ(ポリマ)及びSiO粒子(酸化物粒子)を1−メチル−2−ピロリドン(分散媒)に投入し、混錬機を用いて分散させ、電解質層形成用スラリーを得た。各成分は、質量比率でポリマ:酸化物粒子=65:35とした。次いで、ポリエチレンフタレート(基材)上に、電解質層形成用スラリーを塗布し、塗布された電解質層形成用スラリーを80℃、2時間の熱処理に供し、電解質層を有する電解質シートを得た。電解質層の厚さは30μmであった。
<電解質溶液の調製>
Li[TFSI](第1のリチウム塩)、テトラグライム(一般式(10)で表される化合物)、及び炭酸プロピレン(環状炭酸エステル)をモル比1:1:4で混合し、炭酸ビニレン(環状炭酸エステル)をさらに加え、混合液を調製した。炭酸ビニレンの含有量は、混合液全質量を基準として、10質量%とした。この混合液に、LiPF(第2のリチウム塩)を、混合液の単位体積あたりの濃度が0.1mol/Lとなるように加えることによって、電解質溶液を調製した。
<リチウム二次電池の作製>
作製した正極、電解質層、及び負極をこの順に重ねて、電解質溶液を加えた後、封止することによってリチウム二次電池を作製した。
<充放電特性の評価>
(放電容量維持率の測定)
作製したリチウム二次電池を0.05Cで定電流充電し、4.2Vに電圧が達した後に定電圧充電の電流値が0.005Cになるまで充電し、0.05Cで2.7Vまで定電流放電し、0.05Cの放電容量を求めた。次いで、同様の条件で充電し、0.5Cの条件で放電を行うことによって、0.5Cの容量を求めた。0.05Cの放電容量に対する0.5Cの放電容量の割合(0.5Cの放電容量/0.05Cの放電容量)を算出し、これを放電容量維持率とした。結果を表1に示す。
(定格容量の1.2倍の電圧(5.04V)到達時のSOCの測定)
上記放電容量維持率において、0.5Cでの放電容量を定格容量とし、満放電状態をSOC(充電深度、State of charge)0%とし、満充電状態をSOC100%とした。次いで、放電容量維持率の測定で使用したリチウム二次電池を0.5CAでSOC200%となるまで過充電した。このとき、定格容量の1.2倍の電圧(5.04V)に到達するか否かを観測し、到達したものについては、電圧(5.04V)におけるSOCの数値を求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
LiPF(第2のリチウム塩)を混合液の単位体積あたりの濃度が0.5mol/Lとなるように加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
LiPF(第2のリチウム塩)を混合液の単位体積あたりの濃度が1.0mol/Lとなるように加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
LiPFをLiBFに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
LiPFをLiBFに変更した以外は、実施例2と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
LiPFをLiBFに変更した以外は、実施例3と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
LiPFを加えなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
第2のリチウム塩であるLiPFに代えて第1のリチウム塩であるLi[TFSI]を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
第2のリチウム塩であるLiPFに代えて第1のリチウム塩であるLi[TFSI]を用いた以外は、実施例3と同様にしてリチウム二次電池を作製した。作製したリチウム二次電池について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
図6は、実施例3及び比較例1のリチウム二次電池のSOC(%)に対する電圧の変化を示すグラフである。図6に示すように、実施例3のリチウム二次電池では、SOC100%を超えてSOC200%まで充電させたとき(ずなわち、過充電させたとき)、上限電圧が上昇し続け、SOC200%まで充電させる前に、4.2Vの120%である5.04Vまで到達した。これは、JIS規格8715−2の過充電試験において、「上限充電電圧の120%に単電池の電圧が到達した時点で,定電流充電を停止する。」という項目から判断して、安全性に優れるといえる。一方、比較例1のリチウム二次電池では、過充電させたときに、上限電圧が上昇せず、SOC200%に到達する前に5.04Vに到達しなかった。
Figure 2020136223
表1に示すとおり、実施例1〜6の電気化学デバイスは、放電容量維持率(0.5Cの放電容量/0.05Cの放電容量)が80%以上と高く、過充電させた場合であっても、5.04Vまでの電圧上昇がSOC200%以下で観測された。また、実施例1〜6の電気化学デバイスは、リチウム塩の濃度が減少するにつれて、放電容量維持率が向上することが確認された。一方、比較例1〜3の電気化学デバイスは、SOC200%まで過充電させた場合に、5.04Vに到達しなかった。このような結果が示すように、本発明のリチウム二次電池が、過充電させた場合であっても安全性に優れることが確認された。
1…リチウム二次電池、2,2A,2B…電極群、3…電池外装体、4…正極集電タブ、5…負極集電タブ、6…正極、7…電解質層、8…負極、9…正極集電体、10…正極合剤層、11…負極集電体、12…負極合剤層、13A,13B…電解質シート、14…基材、15…保護材、16…バイポーラ電極、17…バイポーラ電極集電体。

Claims (3)

  1. 正極、電解質層、及び負極を有する電極群を備え、
    前記電解質層が、ポリマと酸化物粒子とを含有し、
    前記電極群が、リチウムイミド塩である第1のリチウム塩と、LiBF又はLiPFである第2のリチウム塩と、一般式(10)で表される化合物と、環状炭酸エステルと、を含有する、リチウム二次電池。
    O−(CHCHO)−R (10)
    [式(10)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、yは1〜6の整数を示す。]
  2. 前記酸化物粒子がSiOを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記ポリマがフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマを含む、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
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